※この作品はR-18です。

山城嫁提督がだらだら書く、艦これの妄想置場   作:もののけティラミス

1 / 7
山城と提督が入れ替わる話

工廠

 

提督「おーい、明石いるか?」

 

明石「はいはーい。あっ、提督と山城さんじゃないですか。何用でしょうか?」

 

提督「新たに改修できる装備が増えたという報告があったからさっそく来たぞ。その辺の事を資料としてまとめたいので、そのついでに試してみようと思ってな」

 

山城「はぁ…私が使いもしない装備の改修の為に姉さまと離れてまでここに連れてこさせられるとは、不幸だわ」

 

明石「本当ですか!?ちょっと待ってください!すぐ用意しますから!!」バタバタ

 

山城「…私の声は、届かないのね、やっぱり私なんていてもいなくても変わらない存在なのよ、不幸だわ」

 

提督「明石からしたら、お前が今一番必要だと思うけどな。装備改修の為に」

 

山城「なぜ、明石と他の艦娘が一緒ではないと改修できないのかしら?」

 

提督「明石が、装備できない物の改修はやっぱり使用者の声が聞きたい、って言ってたぞ」

 

山城「使用者って…私、誰かの指示で41砲しかつまされないのですけど」

 

提督「妖精さん、すまんが、水をくれないか?喉が乾いてしまった。」

 

山城「はぁ…こんな馬鹿にも無視されるだなんて、不幸だわ…」

 

妖精「ドウゾ」コップ持ち

 

提督「ありがとう」貰い

 

山城「提督、私にも少し下さい」

 

提督「ん」差し出し

 

山城「はい」

 

妖精(ニヤリ)

 

提山「ウッ」バタン

 

明石「わっ、なんの音ですか…って、提督に山城さん!?」

 

山城「うっつつつつ」

 

提督「あいたたたた」

 

明石「二人とも大丈夫ですか!?」

 

山城「ああ、膝の力が抜けただけだ」

 

提督「こいつと同じというのが非常に癪に触りますが…」

 

明石「二人ともに何か違和感が…ハッ!?」

 

山城「まったく、二人して倒れるだなんて…ん?」

 

提督「なによこれ」

 

山城「お前…山城か」

 

提督「そう言う貴女は…提督?」

 

明石「ま、まさか…」

 

妖精(ニヤリ)

 

提山「「なんで私(俺)が目の前にいるんだぁぁぁ!!」」

 

明石「あわ、あわわわわ」

 

妖精(計画通リ)

 

 

 

 

 

明石「…妖精さんがお二方に飲ましたのは、私が作った、人格を入れ替える薬です…」

 

提督(山城)「なんでそんなもの作ったのよ!なぜ私が提督になっているのよ!!」

 

明石「前に夕張と遊びで作ったんですよ。お互いが入れ替わったらほら、目線とかスタイルとか変わるじゃないですか。普段の自分とは、違う自分になりたい時があるね、ってお互いに話していた時に思いついて試作品として作ったものの残りを、お二方は誤飲されたのです」

 

山城(提督)「俺はそのようなものを作ったという報告はもらっていないのだが」

 

明石「こ、これはあくまで二人のプライベートとして作っただけですし、結局三時間くらいでお互いに飽きて、そのまま使うこともないだろうと思ってしまっておいたんですよぉ。それを妖精さんが勝手に」

 

妖精「我々ハ、面白ソウナ事ヲシタマデダ」

 

提督「明石さん!!そんな説明いいですから早く戻してください!!」(明石の両肩に手を置く

 

明石「そ、それが申し上げにくいのですが、お二人を今すぐ戻すことは出来ません…」

 

提督「なんでよ!」(ガタガタ

 

明石「肩をぉ揺すらぁないでぇくだぁさいぃ〜」

 

山城「山城、明石が話せなくなってるぞ」

 

提督「フッーッ!」

 

山城「で、なぜ出来ないのだ」

 

明石「お二人が飲んだ液体。あれは少量で効果が出るように作ってありまして、もう一度飲用すれば元に戻るようにしておいたのです。しかし、お二人は、それを飲みきってしまいましたから…」

 

提督「なら早く作りなさいよ!」

 

明石「そ、それが、そちらを作るのに休日のみですけど一ヶ月ほど、夕張と二人で作りましたから…」

 

提督「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!!それなら私たちは一ヶ月このままってこと!?」(襟つかみ

 

明石「グギギギギ」(持ち上げられている

 

山城「山城、明石の首を絞めるな。死なれたら困る」

 

提督「ちっ」

 

明石「はぁはぁ」

 

山城「明石。これから作れと言ったら最短で何日かかる?」

 

明石「そうですね…5日あれば…」

 

山城「3日だ」

 

明石「いや、それは流石にむ「3日だ」

 

明石「…はい」

 

山城「お前のせいで山城の出撃予定を変えなければならなくなった。あとで誰に代わってもらうかアナウンスするから個別にお礼を言うように。あと、今月の休みなしな」

 

明石「…はい」

 

妖精(ケラケラ)

 

山城「妖精くんたち、君たちはこれから3日間明石の手伝いをしてもらう。もし、3日以内にできなければこれから一生おやつの金平糖は無くなると思え」

 

妖精「ソ、ソンナバカナ!?」

 

山城「そのセリフは、俺たちが言いたいのだがな…。山城、とりあえず現在、鎮守府に残っているメンバーにこのこととお前の代理艦の通達行ってくる。俺がアナウンスを流すから、お前は、それが本当だと鎮守府を歩いて証明してこい。あと、しばらくは此処に誰もよこさないようにするから、明石は何に優先してもいいから薬を早く完成させろ」

 

提督「私を見世物にするつもりですか」

 

山城「こんな話を誰が信じると思う。俺は信じないぞ。それに執務室に面白がってこられても困る」

 

提督「なら、あなたがやればいいでしょう!!」

 

山城「お、俺はその、ホラ、シ、仕事ガアルカラ」

 

提督「ここぞとばかりに仕事をださないでください!」

 

山城「頼んだぞ。俺は戻る」脱兎

 

提督「あっ提督!?…まったく、逃げ足だけは早んだから。明石、提督はああ言ったけれど、体調だけには気をつけて急いで作りなさいね。不調で変なの作られても困るし」

 

明石「…ハイ、頑張ります」

 

妖精「オウ、頑張レヨ」

 

 

明石「あなたもやるんです」(頭グリグリ

 

妖精「グガガガガ」

 

 

廊下

 

提督「はぁ…厄介ごとだけ押し付けて不幸だわ…」

 

最上「あれ、提督だ。おーい、入れ替わったって本当?」

 

提督「あら、最上。私、山城なのだけれども」

 

最上「あっ、提督の姿だから山城さんなのかぁ〜失敗失敗。というか、本当に入れ替わってるんだね」

 

提督「ええそうよ。全く、どうして私があんな奴と入れ替わらなきゃならないのよ。理不尽だと思わない?」

 

最上「あはははは…。ちなみに、元には戻れるんだよねぇ?」

 

山城「3日後には戻る予定よ。まぁ、明石の腕次第なのだけど」

 

最上「明石さんの?」

 

提督「ええ。彼女の作ったもので入れ替わったから、彼女しかその薬が作れないのよ…不幸だわ…」

 

最上「明石さんはなんで、入れ替わるような薬を作ったのかい?」

 

提督「普段の自分と別の存在になりたかったそうで。ほんっと、いい迷惑だわ」

 

最上「あー、でも僕、明石さんの気持ち、ちょっとわかるなぁ」

 

提督「なぜ?」

 

最上「ほら、僕って女の子らしくないからさ、もし男だったらーとか、逆に三隈みたいにお淑やかな女性だったらーとか、考えちゃうからね」

 

提督「…貴女が女の子らしくないわけないじゃない。こないだ街に行った時、熱心に服を選んでいたじゃないの。試着室にたくさん持ち込んだりして」

 

最上「うぇっ!?山城見てたのかい!?」

 

提督「ええ、ばっちりとね」

 

最上「恥ずかしいなぁ」

 

提督「あんなに真剣な顔で服を選んでいたのだもの。最後の最後に青のワンピース買っているとこまでばっちり見させてもらったわ」

 

最上「そこまで見てたのかい!?」

 

提督「私の見立てでも、似合っていると思うわ。…去年の三隈の影響かしら?」

 

最上「えへへ、実はそうなんだ。三隈が去年着てた白いワンピースが綺麗だったからさ、僕もちょっと冒険しちゃった」

 

提督「ふふ、私は夏が恋しくなったわ。早くあなたが着ている姿を見たくなったもの。きっと、とても可愛らしくて、女の子らしいわよ」微笑み

 

最上「…」

 

提督「どうしたのよ?」

 

最上「雰囲気は山城だけど、声や見た目が提督だからさ、その、提督に褒められているみたいで少しドキドキしちゃったんだ。提督が僕の事を女の子扱いしてくれてるみたいでこそばゆいって感じかな」

 

提督「…そうだったわ、私今、見た目と声があの馬鹿なのだったわ」

 

最上「でも、山城も変わったよね。いつもと姿が違う分はっきりと感じられるよ」

 

提督「私が変わった?」

 

最上「うん。やっぱり提督のおかげだね!」

 

提督「どうしてそこであいつの名前が出てくるのかしら」

 

最上「それは自分が一番分かっているでしょう?」

 

提督「さぁ、何のことかしら」

 

最上「にひひ、そういうことにしておくよ。さて、僕はそろそろ演習だから失礼するね」

 

提督「ええ、いってらっしゃい。無理しない程度に頑張りなさいよ」

 

最上「うん、わかった。そっちも頑張ってね」

 

提督「…」

 

提督(山城も変わったね…か)

 

 

執務室

 

山城「戻った」

 

扶桑「あら山城…ではなく提督。全身ジャージとはあまり提督らしくありませんね」

 

山城「仕方がなかろう。制服に着替えようかと思ったら胸がつっかえてしまったのだから。まともに着れそうなのがこれしかなかったから仕方なく着た」

 

扶桑「山城の服のままでよろしかったのではないでしょうか?」

 

山城「いくら見た目が山城でも、中身は男なんだ。あんな服を着ている自分を想像すると反吐が出る」

 

扶桑「ならこれを機に着てみたらいかがでしょうか?」

 

山城「冗談でもやめてくれ…。考えただけでも吐き気がする」

 

扶桑「今なら不審がられることもなく思う存分女性ものの服を着れますよ」

 

山城「これ以上俺の好奇心をくすぐらないでくれ。病みつきになったら困るだろう」

 

扶桑「好奇心旺盛な提督には、こういうからかいかたが最適だと思いますから」

 

山城「全く…で、こいつの分の穴は、どうするつもりだ?」

 

扶桑「最上と三隈さんに入ってもらおうと思っています。もちろん、私も」

 

山城「まぁ、それが妥当か。ありがとう」

 

扶桑「いえ、これが私達秘書艦の仕事ですから」

 

山城「有能な秘書艦殿達に囲まれて、私は非常に楽だよ」

 

扶桑「…あのー、提督?」

 

山城「なんだ?」

 

扶桑「その姿で私っておっしゃらない方が良いと思います」

 

山城「む」

 

扶桑「ほら、山城一人称も「私」ですから、入れ替わっていることがわからないのではないかと思いまして」

 

山城「確かに。…これからは意識するか」

 

扶桑「それに俺って言う山城の姿も面白いですからね」

 

山城「それが本音か」

 

扶桑「さて、仕事を始めましょうか」

 

山城「露骨に話題をそらすなぁっ!」

 

扶桑「仕事仕事」クスクス

 

 

夜

執務室

 

提督「…と言うわけで大変だったのです!」

 

扶桑「頑張ったわね、山城」

 

提督「姉様ぁ…」

 

山城(俺の姿で扶桑に抱きつかれてると、こうなんか、恥ずかしくなるなぁ)

 

提督「では、姉様、お風呂へ行きましょう、お風呂」

 

扶桑「ええっと…その…」

 

山城「お前、自分の姿見てみろ。その姿で風呂へ突撃するつもりか?」

 

提督「チッ、そうだったわねぇ。こんなうす汚い体を姉様に見せるわけには、行きませんからね」

 

山城「お前、自分の腹回りを見てもそう言えるのか」

 

提督「なっ!?それは、関係ないでしょ!?」

 

山城「前見た時よりすこしふえ「ワーワー!!」

 

提督「黙りなさい!それ以上姉様の前で私のことを話さないで!!」

 

扶桑「あら、山城。私に隠し事があるの…?」

 

提督「ン、ンンッ!?いえ、そういうわけではなくてですね…」

 

扶桑「なら、どうして私に貴女のこと話してくれないの?」

 

提督「それはですね…その…恥ずかしいといいますか、なんといいますか…」

 

扶桑「大丈夫よ、山城、私はどんな貴女でも妹として迎えられるから」

 

提督「ね、姉様ぁ!」

 

山城(目の前で俺と扶桑がいちゃつかれると、こう何か、変な感じするなぁ)

 

山城「さて、話もひと段落したところで山城、お前は、俺が使える時間にでも入ってこい。ちょうどもうそろそろだしな」

 

扶桑「提督はどうなさるのですか?」

 

山城「俺は帰ってから一人で入るとするよ。もう少しこっちかかりそうだしな」

 

提督「ちょっと、私が入ったら姉様はいつ入るのよ!」

 

山城「その辺は二人で決めてくれ。今日は夜間に帰ってくる部隊もないし本来ならば俺が最後のはずだ。その辺は、二人で話をつけてくれ」

 

提督「なら、ねえさ…「山城、先に入ってきてくれるかしら?」

 

扶桑「私は、今日はちょっと長風呂したい気分なのよ。だから先に入ってきてちょうだい」

 

提督「よろしいのですか?」

 

扶桑「ええ。私に構わずゆっくりしてきなさい」

 

提督「…では、お言葉に甘えさせていただきます」

 

山城「…」

 

扶桑「…行きましたね」

 

山城「そうだな」

 

扶桑「それにしても驚きました。あの山城が提督に裸体を見せただなんて」

 

山城「お前が何を思っているのか知らないが、ただ、一緒に入浴しただけだ。一ヶ月前くらいにな。なんでも時雨から「カッコカリでも結婚したのだからお風呂ぐらいは、一緒に入らないと」と約束させられたらしい」

 

扶桑「ふふっ。あの子は、時雨には弱いですからね」

 

山城「まったくだ。別にそんなことしなくても良いと言ったが、顔をああ赤らめられながら言われる続けると流石に…な」

 

扶桑「でも、口ぶりからすると一度ではないご様子で」

 

山城「あれから彼此3回は一緒に入っただろうか。3回も入れば慣れたものだな」

 

扶桑「…全く、そこまで言うのなら早くお手を出されればいいのに。姉として私は構いませんよ」

 

山城「アホか。風呂でさえ不本意だったのだ。そんなことしようものなら俺は肉片になってしまう」

 

扶桑「そうでしょうか?私は違うと思いますが…」

 

山城「だいたい、結婚だってカッコカリとついているだろうに」

 

扶桑「でも、現状の通い妻状態は嬉しいのでしょう?」

 

山城「…黙秘権を行使させてもらう」

 

扶桑「提督は、もっと山城に対して大胆になってもよろしいと私は思います」

 

山城「俺としてはこのまま何も変わらず、ずっとこの時が続けばいいと思ってるよ」

 

扶桑「保守的…と申させてもらいます」

 

山城「臆病なだけだ。それくらいは、わかる」

 

扶桑「そこまでわかっているならなぜ…。はぁ、指輪を渡すと決めた時の貴方は、どこへ行かれたのでしょうね」

 

山城「いうな。あの時の方がおかしかっただけだ」

 

扶桑「はぁ…空は、あんなに青いのに」

 

山城「今は夜だぞ」

 

扶桑「提督、いい天気ですね」

 

山城「星ひとつ見えないがな」

 

 

 

最上「次の日だよ」

 

 

鎮守府内 出撃口

 

山城「全員揃っているか?」

 

木曾「木曾、島風、天津風、飛鷹。以上4名揃い済みだぜ」

 

山城「今回もいつも通り近海警備だ、異変があったらこちらに連絡後指示を待て」

 

木曾「わかってるって。これが何回目の出撃だと思ってるんだ」

 

山城「ルーティーンだよ。いつも通りやってこいってことだ」

 

木曾「それも何回目って話だよ。ま、姿形が変わってるやつに見送られるのは、初めてだけどな」

 

山城「ああ、俺も初めてだよ、忌々しい」

 

島風「山城さんだけど提督なんだよねー?不思議な感じー」

 

天津風「見た目や声は完全に山城さんだものね」

 

飛鷹「明石さん、よくそんなもの作れますよね」

 

島風「ほんとー。明石さんに頼んだら、もっともっと早くなれるかなぁ?」

 

山城「やめておけ。というかやめろ」

 

天津風「いつ頃元に戻るのだったかしら?」

 

山城「明石の気合い次第だが、早ければ明日戻るはずだ」

 

飛鷹「ふーん。なら、今の姿はもう見納めなのね。山城さんのイメージに合わなくて新鮮だったから残念だわ」

 

山城「それを山城の前で言ってみろ。睨まれるぞ」

 

飛鷹「それは遠慮させていただきたいわね」

 

山城「全く。各々好き勝手言いやがって。ほら、とっとと出撃してこい」

 

全員「はーい」

 

木曾「…」

 

山城「どうした?」

 

木曾「いや、なんでもねぇ」

 

山城「そうか」

 

木曾「ああ。いつも通り、お前に最高の勝利を与えてやるよ」

 

山城「ん。期待して待っているぞ」

 

木曾「重雷装巡洋艦木曾、でてやるぜ!」

 

 

執務室

 

山城「もどったぞ」

 

時雨「おはよう、提督。はい、これ今日の朝ごはん」

 

山城「ありがとう。今日は、焼き魚とご飯に味噌汁か。山城と扶桑は?」

 

時雨「食堂で食事中だよ。提督と食べているみたいって評判なんだよ」

 

山城「なんだそれ」

 

時雨「本物の提督だったらちょっと怖いけど、中身が山城って事で取っ付きやすいみたいだよ。提督が食堂に来る時は大体山城とイチャついているから話しかけずらいんだってさ」

 

山城「イチャつくとは、心外な」

 

時雨「提督と山城は、そう思ってなくても他のみんなはそう思っているって事さ。仮にもケッコンしているし、提督が山城にホの字なのは、みんな知っているしね」

 

山城「ちょっと待て。俺が山城に惚れてる事が知られてるとはどういう事だ?」

 

時雨「提督は、あくまで提督の仮面をかぶってるって事さ。でも、山城の前だと、仮面を外して一人の人間として接しているように見えるから外から見たらバレバレだよ。…まぁ、古参の人には、山城の時のように接している事、僕は知っているけど、知らない子も多いからね」

 

山城「」

 

時雨「電や木曾、島風とかと、提督が一緒にいる事って少ないからね。提督の隣には山城がいつもいるせいで必然的に二人の絡みが印象的に残るんだよ。だからそういう風に思われていてもしょうがないでしょ」

 

山城「まて、秘書艦には、扶桑もつけてるぞ」

 

時雨「扶桑は、二人の保護者みたいな感じに思われているかな。というか、本人がそう思っている節があるね」

 

山城「…そうか、そんな風に思われてたのか」

 

時雨「これを機に艦隊のみんなとの接し方を考えてみるといいかもしれないね。山城達みたいに、もう少し踏み込んだ関係になっても僕はいいと思うよ」

 

山城「それはなぁ…」

 

時雨「提督が臆病なのは知っているけど、此処のみんなはそれを支えてあげられるだけの力はあるよ。僕としては一歩踏み出す事をお勧めするよ。みんなの事、もっと頼ってもいいんじゃないかな。じゃあ、食べ終わった頃にまた来るね」

 

山城「………頼る、ねぇ」

 

 

廊下

 

提督「全く困ったものだわ!なにが「提督とお話ししているみたいで楽しかったです」よ!私は提督じゃありません!!」ジタバタ

 

扶桑「まぁ、落ち着いて山城。いつもよりも多くの子達とお話できたのだからいいじゃない」

 

提督「よくないです!私がどうしてあの馬鹿の代わりなんかに…」

 

扶桑「提督は良くも悪くも公私を使い分けるお方だからしかたないでしょう。提督をよく知らない子達、特に最近になって配属された駆逐艦の子達からは少し怖がられているようなのよねぇ」

 

提督「あいつのどこに怖がられる要素があるのかしら。甚だ疑問だわ」

 

扶桑「駆逐の子達からしたら、自分よりもふた回り以上大きい人は怖いものよ。それに、自分たちよりも強い戦艦や空母に指示をする人だもの。私たちからしたら、海軍元帥と接しているって感覚が一番近いのではないかしら?」

 

提督「あの馬鹿にそんな威厳も権力も能力もありません!」

 

扶桑「それは、あの方と接する時間が長い私たちの考え方よ。…あっ」

 

提督「どうされましたか、姉様?」

 

扶桑「山城、貴女は自分が提督とその姿で話せないから嫉妬して「それはないです」

 

扶桑「あら、そうなの、山城?」

 

提督「姉様ならともかく、あんな奴と会話できないところで別にどうでもいいです」

 

扶桑「あらあら、嘘ばかり得意になって」

 

提督「嘘なんかではありません!姉様、からかうのもいい加減にしてください!」

 

扶桑「…まぁ、そういう事にしといてあげるわね」

 

提督「むー…納得がいきません…」

 

 

執務室

 

電「司令官さん。艦隊帰投なのです」

 

山城「ん、お疲れ様。出迎えに出れなくて悪かったな」

 

電「…山城さん?その格好でどうしたのですか」

 

山城「ん?…あぁ、そうか。お前は知らないのだったな」

 

山城「見た目は山城だが、中身は、君の司令官さ。今、とある事情で入れ替わってるのだよ」

 

 

山城「君が此処に来た当初、思いっきり酒瓶を割ってシミができたから、昇進祝いに絨毯を買ってシミを隠した事を知っている人間は?」

 

電「ううっ、そんな話、しなくてもいいじゃないですか…。でも、確かに司令官さんなのです」

 

山城「信じてもらえてなによりだ」

 

山城「で、船団護衛中、何か異常はなかったか?最近深海の奴らの動きが静かだから、そろそろ何かくると予想するのだが」

 

電「私達は、会敵しませんでしたけど、他の鎮守府の艦娘さんと話した時、輸送艦が少し増えているような気がしているという話を聞きました。逆に空母や戦艦の数は減っているとか」

 

山城「やはりそうか…。実際、此処でも同じような結果が出ていると周りからデータが送られてくる。…近海哨戒を増やしたほうがいいかもしれんな」

 

電「それがいいと思うのです。備えあれば憂いなしなのです」

 

山城「そうだな。よし、下がっていいぞ」

 

電「…」

 

山城「どうした?何か他にあったか?」

 

電「…いえ、なんでもないのです」

 

山城「?」

 

ドア「ノックノック」

 

山城「入れ」

 

扶桑「昼食から戻りました」

 

提督「戻りました」

 

山城「そうか」

 

電「こんにちはなのです、扶桑さんと山城…さん?」

 

扶桑「こんにちは、電ちゃん。遠征の報告中だったかしら」

 

電「それは今終わった所なのです」

 

提督「そう。お疲れ様」

 

電「…なるほどなのです」

 

提督「どうしたの?」

 

電「原因がわかったから納得したのです」

 

山城「原因?」

 

電「ハイなのです。…扶桑さん、ちょっと屈んで欲しいのです」

 

扶桑「………ふふっ、なるほどねぇ」

 

電「はいなのです!では、私はこれで失礼するのです。扶桑さんも司令官さんも山城さんもお仕事頑張ってください」

 

山城「…電は何を言ったんだ?」

 

扶桑「残念ですけど、内緒にしてくださいと頼まれてしまったから、誠に残念ですけど私の口から、とても言えませんわ」

 

提督「姉様、私にだけこっそりと教えてください」

 

扶桑「そんなズルイことはできません。さて、午後のお仕事を始めましょうか」

 

山城「特に重大な物ではないんだな?」

 

扶桑「ええ。提督は、気になさる必要はありませんわ」

 

山城「そうか。…扶桑がそう言うならそうなんだろうな」

 

提督「そうです!姉様の言うことに間違いはありません!苗様は常に正しいのですから!」

 

扶桑「あらあら、山城ったら」

 

山城(こっそり聞き出そうとしていたのは、どこのどいつだよ)

 

提督「なんですかその目は?」

 

山城「別にー」

 

提督「むかつくわね。言いたいことがあったらはっきりと言ったらどうですか?」

 

山城「生憎、俺は他人を怒らせる趣味はないのでな。思ったことは心の中にとどめておくのだ、どこかの小言大戦艦様とちがってな」

 

提督「それは誰の事を指しているのかしら?」

 

山城「…さぁ?」

 

提督「目は口ほどのよく言いますね!」

 

山城「そうかそうか、俺の顔だったら隠し通せるのだが、今はお前の顔だからな、顔のしまりがないようだな」

 

提督「…」

 

山城「あっ、その目線…そうだったな、中身もわかりやすかったな」

 

提督「ムキャァァア!!」

 

扶桑(中身が入れ替わってもやることはかわりませんね)

 

 

電「深夜になったのです」

 

 

山城「うーん」ジー

 

山城「…うーん」マジマジ

 

提督「なんですか、隣で唸って、気持ち悪い」

 

山城「なんだか、俺が行儀よく食べてる姿を見るのが不思議でしょうがない」

 

提督「それはお互い様です」

 

山城「まぁ、そうだよなぁ」

 

提督「…」モグモグ

 

山城「…」モグモグ

 

提督「…」ススッーツ

 

山城「…」ズズッーツ

 

提督「…」ハァー

 

山城「…」ハァー

 

提督「…」

 

山城「…」

 

提督「…」

 

山城「…」

 

提督「…」

 

山城「…」

 

提督「…」

 

山城「…」

 

提督「…」

 

山城「…」

 

提督「…」

 

山城「…」

 

提督「…」

 

山城「…」

 

提督「…」

 

山城「…」

 

 

廊下

 

Z3「何よあれ」(覗き

 

満潮「夫婦がイチャついてるだけよ」(覗き

 

Z1「隣あわせで何もしてないように見えるんだけど」(覗き

 

満潮「そうね。確かにそう見えるわね。でもそろそろ、提督がちょっかいをかけるわ」

 

Z3「あっ、ヤマシロさんがテイトクのほっぺをつねったわ」

 

Z1「マックス、今は入れ替わっているからあっちがテイトクだよ」

 

Z3「ああ、そうだったわね。テイトク…じゃなくてヤマシロさん、提督の人指し指折る気でつかんでいるけど止めなくて大丈夫かしら」

 

満潮「いつもの事よ」

 

Z1「ヤーパンには、でぃーぶいと言うものがあると聞いたけど、それとあれは何が違うんだい?」

 

満潮「DVってのは、どっちかがどっちかを一方的に嫌がるのも顧みずに殴る蹴るの暴行のような肉体的苦痛、罵倒無視等の精神的苦痛を与える事よ。あれ、どう見たって嫌がってないでしょ」

 

Z3「…確かに、ヤマシロさんの顔が苦痛に歪みながらも、どこか笑っているような感じがするわね。中身はテイトクだけど」

 

Z1「あっ、反対の手でつねりに行ったね。テイトクの目が座り始めたよ。中身はヤマシロさんだけど」

 

満潮「…」

 

Z1「どうしたのミチシオ?」

 

満潮「…イライラしてきたわ」

 

満潮「小腹がすいたから食堂に着てみたら馬鹿夫婦がイチャイチャしてるから空気を読んでいなくなるまで待とうと思ったけども、あそこまで長くあそこに居座る必要ないじゃない。なに、私たちに見せつけているのかしら」

 

満潮「だいたい、くっつくなら早くくっつきなさいな!いつまでもお互い煮え切らない!」

 

満潮「あぁっ!!もうっ!!文句の一つでも言ってうやらないと気が済まないわ!」

 

Z3「あっ、ミチシオ…行ってしまったわ」

 

Z1「…ヤマシロさんの鳩尾にミチシオのパンチが入ったね。中身はテイトクだけど」

 

Z3「テイトクの頭にも容赦ないチョップが入ったわね。中身はヤマシロさんだけど」

 

Z1「あ、ヤマシロさんが呻きながらもミチシオを背後から捕まえて動けないようにしたね。中身テイトクだけど」

 

Z3「テイトクがミチシオの脇腹をくすぐり始めたわね。中身ヤマシロさんだけど」

 

Z1「ミチシオ、すごく暴れているけどヤマシロさんでがっちりホールドされているから逃げられないわね。中身テイトクだけど」

 

Z3「あっ、テイトクがくすぐるのをやめて頭撫で始めたわね、中身ヤマシロさんだけど」

 

Z1「…あの二人って入れ替わっているんだよね?」

 

Z3「…ええ、そのはずよ」

 

Z1「笑っている顔、いつもの二人そのものよ」

 

Z3「レーベ、日本にはニタモノフウフという言葉があるみたいよ。あれはきっとそれね」

 

Z1「なるほど!僕たちはまた新しい日本文化に触れる事ができたんだね!」

 

Z3「ええ、そうね。フウフって言葉を聞くとミチシオは二人の娘みたいね」

 

Z1「確かに、そう見えるね!ミチシオ、二人の事をよく知っていたし、そういってもさしつかえないんじゃないのかな」

 

満潮「そこで何勝手に納得してるのよ!早く私を助けなさーい!!」

 

 

扶桑「次の日、二人が入れ替わって3日目です」

 

 

明石の改修工廠

 

山城「おーい、明石、生きてるかー?」

 

明石「…お早うございます」

 

山城「うわっ、お前目元真っ暗じゃないか!?」

 

妖精「明石サン、コノ間カラ一睡モシテナイデス」

 

山城「お前なぁ、少しは休めよ」

 

明石「いえ…お二人の入れ替わった原因は、半分ほど、私にありますし、今日までに完成しないと山城さんが怖いですし…」

 

山城「全く、あいつは…。ほい、差し入れだ」

 

明石「なんですかこれ?」

 

山城「俺が食いたくなったから祥鳳に頼んで小倉トースト作ってもらったんだよ。それのお裾分けだ。一緒に食べよう」

 

明石「えぇ…これ、美味しいのですか?」

 

山城「大丈夫だって。これ、普通の小倉トーストじゃないし」(モグモグ

 

明石「まぁ、食べますけど…」

 

明石「…」

 

明石「…うそ、美味しい」

 

山城「だろぉ。サンドにして揚げるとちょうどいいんだよ、これ」

 

明石「…」(モグモグ

 

山城「パンに塩気があって、小倉が甘く感じるだろう?」

 

明石「はい。食感も、最初サクサク、小倉の甘さが広がった後にフワフワとなり、その後にサクサクが戻ってきて…とても美味しいです」

 

山城「ヌッフッフ。ゲテモノだけが名古屋飯じゃないのだよ…」

 

明石「正直なめていました…。また、新たな発見ですね!」

 

山城「喜んでもらえるなら、祥鳳に作らせた甲斐があったよ。祥鳳にも落ち着いたらでいいからお礼言っておきな」

 

明石「はい、そうさせていただきます」

 

山城「ん。では今から歯を磨いて仮眠でいいから寝なさい」

 

明石「いや、そんな訳には…」

 

山城「お前に体調を崩されると装備改修ができなくなるからな。ただでさえまだほとんどしていない状態なのだから1日と無駄にしたくない。そのための休息だ」

 

明石「ですが…」

 

山城「はいはい、何も聞こえなーい。それじゃ、無理せずやれよ」

 

明石「あっ、提督…」

 

妖精「行ッテシマイマシタ」

 

妖精「ドウスル、休ミマスカ?」

 

明石「はぁ…。提督はああおっしゃっていたけど現状が続くのはあまり芳しくないですから、このまま続きを行いますよ」

 

提督「良い心がけね」

 

明石「うわっ!?山城さん。どうしたんですか?」

 

提督「貴女の事だから変に責任感じて困っているのではないかと思って、様子を見に来ただけよ。ま、見た感じ頑張っているようだけど」

 

明石「頑張っては、いるんですけども、どうしても時間がかかるものですから…」

 

提督「そう。…まぁ、あの馬鹿も言っていましが貴女、少しどころかかなり顔色が悪いのだから一旦休みなさい」

 

明石「いえ、そういうわけにも…」

 

提督「そんな状態で作られて失敗するよりかは、明日になってもいいから確実なものを作ってだけよ」

 

提督「それに、ここでの貴女の仕事はかなり重要で重大なものなのだから、それに必要な貴女が倒れられて、私たちが元に戻っても貴女の働きがなくなるなら、身も蓋もないわ」

 

提督「他の子は、ある程度欠員が出ても融通は効くけど貴女は無理なのだから、そこの所の意識をしっかりと持ってほしいものね」

 

明石「ううっ…はい、肝に銘じておきます…」

 

提督「ま、これに懲りて以後、こういうことがないようにしてほしいものね」

 

明石「はいぃ…」

 

提督「わかったなら、仮眠ぐらいは取りなさいな。それくらいは許してあげるから。女性がそんな顔をするものではないとおもいますから。それでは、失礼するわ」

 

明石「…行ってしまいました」

 

明石(昨日、夕張が言っていたけども、提督と距離感が違って違和感がすごいですねぇ)

 

明石(先日、扶桑さんが話されていた意味もわかった気がします。提督は、距離感をとても気にしておられるようですね)

 

明石(だからこそ、艦娘と話している距離になってしまうと、距離を急に詰められたようで、すこしおかしくなってしまうんでしょうね」

 

明石(山城さんも、少しはそのこと自覚してないようなので夕張が言っていた風になっているわけですねぇ)

 

明石(…山城さんは自覚していないのがまた、立ち悪いですねぇ)

 

明石(もしそうだとしたら、提督の特別はやっぱり山城さんなんですねぇ…)

 

明石(ま、私には関係ないことですけど)

 

明石「んー。休憩終わり。では、続きを…ん?こんな紙さっきからあったっけ?」

 

明石(これは、山城さんの字ですねぇ)

 

明石(………)

 

明石「…こんなの見たら、頑張らなきゃいけなくなるじゃないですか…ずるいなぁ」(苦笑

 

 

執務室

 

扶桑「…」

 

山城「うーん…ここの所をどう思う?」

 

扶桑「…」

 

提督「そうですねぇ…。やっぱり時雨は、ここに残しておいたほうが…」

 

扶桑(本人たちからしてみれば、いつもの日常と変わらないのかしら)

 

扶桑(私からしたら、座っている山城に提督が話しかけているように見えます)

 

山城「あん?これの処理はお前の仕事だろ?」

 

提督「はい?これは、貴方の仕事でしょう?」

 

扶桑(いつもは、提督から山城に喧嘩の種をふっかけるのだけれども、私から見ると逆に見えますし)

 

山城「…ハァハァ。と、とりあえず半分手伝え」

 

提督「…ハァハァ。し、仕方ありませんね」

 

扶桑(…)

 

扶桑「提督、私も手伝いましょうか?」

 

山城「ありがとう。それじゃあ山城を手伝ってやってくれ」

 

扶桑(山城が、私の事を呼び捨てにして)

 

扶桑「わかりました。山城」

 

提督「…すみません姉様。ありがとうございます」

 

扶桑(提督が姉様と呼ぶ)

 

ドア「コンコン」

 

山城「入れ」

 

満潮「お昼ができたから呼びに来たわよ」

 

扶桑「ありがとう満潮」

 

山城「そうか。なら、二人とも先に行っていてくれ、俺はこれを終わらせてから行く」

 

提督「そう言ってどうせこないでしょう?後で持ってきますね。姉様、行きましょう?」

 

扶桑「ええ、そうね」

 

扶桑(山城を執務室に残し、姉様と呼ぶ提督とそれに特に反応を示さない満潮と共に食堂を目指す)

 

最上「あ、満潮と扶桑と提督じゃないか。おーい」

 

提督「私は提督じゃないわよ!…演習の帰りかしら?」

 

扶桑(最上に弄られて)

 

時雨「こんにちは山城。元気かい?」

 

提督「腕に絡みついてくるじゃないわよ!」

 

時雨「こうな時でもないと提督に抱きつけないからね」

 

扶桑(時雨が右腕に絡みつき)

 

山雲「ならー、私は左腕にー」

 

提督「はーなーしーなーさーいー」

 

山雲「んー、ゴツゴツしてます―」

 

扶桑(山雲が左腕に絡みつき)

 

朝雲「私もせっかくだし抱き付こうかしら?」

 

山城「やめなさい!」

 

朝雲「あ、山城さんが怒った!」

 

扶桑(朝雲にからかわれる)

 

満潮「貴女たちも演習終わったのなら一緒にお昼食べに行くわよ。今なら天下の提督様もお食事に加わってくださるから」

 

西村ズ「さんせーい」

 

提督「だから私は提督ではありません!」

 

 

 

扶桑(満潮の号令と共に、歩みを進め始める)

 

扶桑(いつもの風景なのだけれども、山城の姿は提督)

 

扶桑(提督が、右腕に時雨、左腕に山雲、朝雲と最上にからかわれながら満潮に背中を蹴られている)

 

扶桑(その光景に妹がいない違和感)

 

最上「扶桑?どうかしたの?」

 

扶桑「…結局、あの姿に慣れることはなかったわね、と思って」

 

扶桑(山城があの姿になって3日。私の違和感は、払拭されることはなさそうね)

 

 

 

山雲「夜になりましたよ〜」

 

 

工廠

 

提督「これが」

 

山城「元に戻るためのものか?」

 

明石「はい。正確に言うならば、お二人が3日前に飲まれた物と同じ物ですが」(ビーカーの中に少量の液体

 

提督「…コップの底にちょっとあるだけじゃない、本当に効くの?」

 

山城「お前、ビーカー知らんのか?」

 

提督「びーかー?なんですかそれは?」

 

山城「そうか、いや、何でもない」

 

山城「でだ、この20ミリにも満たないコレが、本当に効くのか?」

 

明石「今ある材料ではこれが精一杯の量となります。もちろん効果はありますが少し問題が…」

 

提督「問題?」

 

明石「はい…。私のミスでこのようになった挙句、こんなことを言うのは、大変心苦しいのですが…」

 

明石「もともとこの薬は艦娘にしか聞かない予定だったんです。艦娘は、なぜか魂を剥離しやすいので。それを利用して魂を浮かせ、互いの肉体に憑依させ、そのまま一時的に違う肉体へ定着させる、それがこの薬が行っている事です」

 

明石「なので、普通の人間である提督には、本来この薬は効かないはずなんですよ…。そこで、なぜそんなイレギュラーが生まれたかを調べた所、この薬が私の想定以上に強いものだった事がわかりました。だから、普通では剥離しない提督の魂も剥がれ、山城さんの肉体に定着してしまったわけです」

 

明石「短時間なら、それでも良かったのですが、お二人は3日という長い時間、互いの魂が入れ替わってしまいました。それも、かなり多量のものを飲料してしまいましたから、ただでさえ難しい魂の再剥離からの再定着がさらに困難となってしまっています」

 

明石「覆水盆に返らず。元あった物を動かすのは簡単ですが、それをまた元の位置に戻すということは、難しいものなのです。もちろん、そんなわけにもいきませんから、私の名にかけて必ず元へ戻れるものを作成いたしました…」

 

提督「要領をえないわねぇ。つまり、この量でも効くから安心しなさいってことじゃないの?」

 

明石「いえ、それの飲み方に重大な欠陥があるのです…」

 

山城「欠陥だと?」

 

明石「はい。どうしても、今あるもので作ろうとしたらこの量にしかならなかったのですが、この量が、互いに元に戻る最低限度の量と合致してしまったのです…」

 

提督「なら、この量を正確に半分ずつにするということかしら?」

 

明石「いえ、そうではなくて…その…」

 

山城「どうした、はっきりと言ってくれないと飲むに飲めないのだが」

 

明石「これは…飲んではダメなんです…。先ほども言ったように、本来提督の魂は剥離しにくいものですから、これを剥離させるには最低でもこの量が必要なのです…」

 

提督「飲んではいけないって…ならどうすればいいのよ!?」

 

明石「お二人には、たわしでしつこい汚れを何度も磨いて取るようにゆっくり、少しずつ、時間をかけて互いの魂を身体から剥がし、元に戻す必要があります」

 

明石「この動作は、その、私が、思いつく行為としては、あの…ゴニョゴニョ…」

 

山城「なんだ明石?声が小さくてきこえないのだが」

 

明石「だから…そのですね…、―をして頂きたきたいと申し上げたいのです…」

 

提督「…なによ、顔を赤らめて」

 

明石「だからですね…き、き、」

 

妖精「キスヲスルノデス」

 

山提「はっ?えっ?」

 

山城「キ…」

 

提督「ス?」

 

妖精「ソウデス!口吸イ、チュウー、ソノ他諸々ノ名称デ呼バレル、互イノ唇ヲ重ネ合ワセル行為デス」

 

妖精「ソレモ、時間ヲカケテ、オ互イニ薬ヲ行キ来スルタメニ、俗ニ言ウ、フレンチキスヲシテ頂キマス」

 

提督「ちょちょちょ、それはどういうことよ!!なんで私がこんな奴とキスなんてしなければならないのよ!!!それもそんな屈辱的な方法で!!!!」(首絞め

 

明石「ぐ、ぐるじいぃ…」

 

山城「わー待て待て山城!!明石の顔が青くなってる。死ぬ死ぬ!!」

 

提督「ハァ…ハァ…」

 

明石「お、お二人を元に戻すため、魂を肉体から剥離させ、また戻す為には、この薬を媒介にするしかありません!しかし、この量しか作れなかったものですから!お二人は、この薬を、こ、口内で行ったり来たりさせていただく必要がどうしても生じたのです!!」

 

明石「それを行うことによって、魂をゆっくり剥離させ、互いの肉体に染み入るように移動させます!フレンチキスで互いにこの薬と唾液を交換することによって、互いの魂は徐々に肉体から肉体へ、口内に含まれるその薬によって運搬され、すべて元に戻し終わって、互いの体にその身体が吸収されれば元に戻ります!!私としても心苦しいことこの上ないのですけどこの方法しかなかったんです!!何か問題でもあるんですか!!」(逆ギレ

 

提督「なに逆ギレしてるのよ!貴女には事の重要性がわかっていないのよ!わ、私は、は、初めてなのよ!それも初めてがそんなのって!」

 

明石「初めてって言ったって最初は自分の顔にするんです!ノーカンですよ、ノーカン!」

 

提督「こっ、この…!」

 

山城(初キスを自分の顔にするのは確かに嫌だ)

 

山城「あと数日待つから何とかならんのか?」

 

明石「なりません!材料に貴重なものを使用したため、次いつこれが手に入るかわかりません!さぁ!さぁ!!」

 

山城「あのなぁ、俺は一応提督だぞ?こんな部下にセクハラまがいのことを…」

 

明石「セクハラって言ったって夫婦じゃないですか!私知っているんですよ、夜遅くに山城さんが宿舎を抜け出してどこかに向かっている姿!その先に提督が待っていたことも!!」

 

山城「なっ!?」

 

明石「風の噂で聞きましたけど提督、山城さんに告白したらしいじゃないですか!返事についての話題がないのが気になりますが、そんな夜の一幕を見てしまったらどう思われるかお分かりでしょう!?」

 

明石「勿論、提督がヘタレだっていうことは知っていますから私が思っている事とは大幅に違うのでしょうけど、この際いじゃないですか!私が理由を作って山城さんと堂々とキスをする機会を作ったんですから、有効活用してください!!」

 

山城「有効活用って、お前…」

 

妖精「艦隊運営ノコトモナー考エロヨナー。山城ノ抜ケタ穴ハ大キイゾ」

 

山城「そうは言うが、やはりことがことだから「ふたりきりにしてください」

 

山城「山城」

 

提督「艦隊運営に支障をきたすのは危険です。ただでさえ相手の出方が不明なのですから」

 

提督「明石、二人きりさせてもらえるわよね?カギは閉めておくわ」

 

明石「勿論です!」

 

妖精「エッ、見テイカナイノ?」

 

明石「私はもう寝ます!あとは二人でご勝手に!馬に好き好んで蹴られる趣味はありません!用船さんも行きますよ!お二人とも、お幸せに!!」

 

妖精「アーレー」

 

バタン

 

 

 

 

「…」

 

「…」

 

明石と妖精がいなくなった部屋で、一人の人間と一隻の艦娘が言葉もなく立っていた。

 

明石に言った手前、この薬を使わないという選択肢はないのだけれども、気恥ずかしさなのか私のプライドなのかはたまた別の感情か、よくわからない目で見ることができない力に私は負けている。

 

頭で理解している。この三日間、姉様を始め此処の子達に私のせいで(元はと言えば明石と夕張と妖精なのだが)しわ寄せがきて苦労を掛けてしまっていることを私は知っている。そして、彼女たちがそれに不満を持つことなく受け入れてくれていることを。

 

私は正直口下手で姉様ほど社交的ではない。その証拠に、昼食中に他の艦娘たちと話した後、かなり気疲れしてしまった。プライベートで姉さま以外と率先して話そうとした覚えはないし、仲良くしているつもりもない。

 

そんな彼女たちがここまで何も言わず従っていたのは提督の存在があるからだろう。この馬鹿、私の前では馬鹿なのに他の子達の前では有能そうに見えるから腹がたつ。…彼がそれをできるまでに苦労してきた姿を、私は間近で見てきた。彼はことあるごとに悩み、苦しみ足掻きながら今に至っている。そして、その姿を知っている艦娘がいることも知っている。

 

だからここの子達は今日までこのふざけた状態に付き合ってくれていた。

 

全ては、この提督のために…。

 

彼は私のことが好きだ。これはうぬぼれでもなんでもなく、列記とした事実だ。現に告白された。

 

…こうはっきりと再認識すると恥ずかしい。心臓の音が速くなる。

 

話を戻して。

 

そんな彼に一番の発言権を持っているとあの子達に思われているのは、どうやら私らしい。実際は、そんなこともなく古参の子達や姉様、長門等々に意見を求めることも多いのだが、私と姉様以外の誰かが見ている場所でそれが行われたことは一度もない。だから、駆逐艦の子を中心に私の中で馬鹿に、馬鹿と言っている姿が印象に残ってしまっているのだろう。馬鹿に対して高圧的な態度を取れるのは私だけ。馬鹿に馬鹿と言っている私の姿を毎日見ていればそう思うことも無理はないのでしょうね。

 

だから、この事は私から言い出さなければならない。今日まで我慢してくれた艦娘達のためにも、私ができる事は、こんな小さな事でしかないのだから…。

 

「…」

 

私は無言でビーカーと呼ばれるガラス製のコップを掴み、その中の液体を全て口に含む。

 

「おいっ!」

 

まさか本当にするとは思わなかったのだろうか。彼は私のその動作に驚きを隠せていない。

 

驚いたときの私の顔なんて初めて見た。

 

私は、自分の顔に向かって少しずつ顔を近づける。

 

彼が一目惚れしたと言う私の顔に…。

 

私の顔は、苦虫を噛み潰したような表情になっている。それもそうか。彼から見たら自分の顔が迫ってくるのだ。きっと自分の顔が近づく事に嫌悪感を抱いているのだろう。

 

…そうだ。思いついた。

 

私は、右手を私の頬に添え、左手で目を隠した。こうすれば彼は自分の顔を見なくても済むだろう。

 

彼はその意図に気付いたのか、同じように私の視界に暖かい蓋をした。私との違いは、彼は私の腰に手を回したことだろう。

 

私の身体の暖かく柔らかい感触が伝わってくる。

 

布と布とを間に挟みながら、密着した互いの身体から荒々しい呼吸が伝わる。奇しくも、その脈拍は私と一部の狂いはなかった。

 

「…」

 

「…」

 

今度は布越しなんかじゃない。

 

二人の距離がゼロになる。

 

普通ならこれで終わりなのに…。

 

「…!?」

 

「…ンゥ」

 

本当、不幸だわ。

 

口移しで液体を渡す。

 

「…」

 

「…ンンッ」

 

彼はそれをまた私に戻す。

 

「…ハァ」

 

「…アハッ」

 

どちらからともなく、舌を使い始める。

 

目を覆っていた手は、互いの背中に回される。

 

「…ハァ、ンッ、ンン」

 

無意識のうちに口を一瞬離し、呼吸をしてまたつなげる。

 

互いに舌を使い液体を互いに流し込み、貰い受ける。それが薬なのか唾液なのかは、わからない。

 

彼の舌が私に触れるたび、私の思考は溶けて行ってしまう。

 

二人に境界は無いような錯覚を起こす。彼が私で私が彼。一心同体と言う奴だ。

 

明石は言っていた。魂を離して互いの身体にまた戻すと。

 

今、まさに互いの魂が離れているのだろう。そして私の魂と混ざっている。そうでなければこんな気持ちになるはずがない。

 

私は正直、彼のことが嫌いであった。姉様との距離は近いし、ガサツだし、汗臭いし、仕事は遅いし、サボり癖はあるし、余計な仕事は増やすし、艦娘からなぜ慕われているのか私には全くこれっぽっちもわかっていなかった。

 

そしてそれが全ての答えなのだろう。なぜかそう思える。きっと彼の魂が私の魂との境界線が無くなってしまっているからこんな意味不明、荒唐無稽、事実無根の思考に走らせているのだ。

 

「ン、ウッ」

 

「ハァ、ンッ」

 

ピチャピチャという主旋律に私たちのうめき声をアクセントにした曲がいったん終わりを告げる。

 

「ハァ…ハァ…」

 

私は、重い瞼を開ける。

 

目の前に映っていたのは、いつもよりも呆けている馬鹿の顔だった。

 

突然膝の力が抜ける。

 

「あっ。おいっ、大丈夫か!」

 

全く。少し力が抜けたぐらいで大げさね。

 

そうだ、明日になったら絶対に仕返しをしてやる。そう決めた。

 

だから

 

「提督…」

 

だから、もう少し、もう少しだけは、この気持ちを味あわせて欲しい。

 

私は、彼の両頬に私の両手を重ねて。

 

「やましンッ!?」

 

彼の顔を強引に私の顔に近づけさせ。

 

また、私たちの距離はなくなる。

 

「あなた、ンッ」

 

明日以降の私、どうか今日の私だけは許して。

 

「――」

 

こんなに自分の気持ちが透き通って純粋なんだもの。

 

今のこの時間を、最大限に楽しませて。

 

明日の私、うらやましいでしょ?

 

 

 

次の日 執務室

 

 

提督(やってしまった。色々と長い昨夜だった)

 

ノックノック

 

提督(おっとっと、やばいやばい)

 

提督「入れ」

 

扶桑「おはようございます提督。お体、ご無事に戻られたのですね」

 

提督「ああ」

 

扶桑「私としては、もう少しこのままでも良かったのですけど」

 

提督「馬鹿を言うな」

 

扶桑「今度は私と入れ替わりますか?」

 

提督「冗談でもよしてくれ」

 

扶桑「…」

 

提督「…」

 

扶桑「そうそう、山城が今日は休ませてほしいとのことでした。なんでも体調が悪いとかで」

 

提督「そうか。体が戻ったせいであろう。仕事回してやろうと思ったが許してやろう」

 

扶桑「昨夜戻ってから少しぼーっとしていましたから、そう言って頂けるとありがたいです」

 

提督「後でいいから明日出撃できるかどうかだけ聞いておいてくれ。なんだったら非番の奴捕まえて演習を行ってもいいぞ。許可証も事後でいいと伝えてくれ」

 

扶桑「では、そのように。そういえば提督」

 

提督「なんだ?」

 

扶桑「昨夜、山城と何かありましたか?」

 

提督「何も」

 

扶桑「本当ですか?」

 

提督「何を持ってそう言っているのか、私にはわからないな」

 

扶桑「私が、山城が休むという報告をする前、提督は何か構えていらっしゃいました。そして私が山城の休みを伝えるとそれを解いて、普段のように戻りました。こう言っても教えてくださいませんか?」

 

提督「さて、久々に食堂まで食べに行くか」

 

扶桑「お仕事が溜まっているのでは?」

 

提督「自分の身体回帰記念だ」

 

扶桑「で、昨日何か?「何もなかった」

 

扶桑「そうですか?」

 

提督「前々から思っていたが、扶桑も大概しつこいよな」

 

扶桑「ここは譲れません」

 

提督「おっ、似てるなぁ。赤城の真似ほどではないが」

 

扶桑「で、昨晩「何もない」

 

扶桑「本当にですか?」

 

提督「…ほら、とっとと食いに行くぞ」

 

扶桑「ことの仔細、必ず教えていただきますからね」

 

提督「…なぜそんなにこだわるんだ」

 

扶桑「それは、妹夫婦の惚気話が最近の私の楽しみですから」

 

提督「夫婦ではないし、楽しんでるというのはからかってだろう」

 

扶桑「あら、ばれてしまいましたか」

 

提督「隠す気もないくせによく言う」

 

扶桑「はぁ…空はあんなに青いのに、提督は何も面白いことを漏らしてくださらないなんて…」

 

 

山城(あの時の私の馬鹿!!)

 

山城(なんであんな奴にあんなことをしてしまったのよ!?)

 

山城(だいたい何よ!初めから腰に手をまわすとか頭おかしいんじゃないの!)

 

山城(それをなぜ私は受け入れたのよ!)

 

山城(キ、キスも私から誘ってしまったし、なんてはしたないのかしら!)

 

山城(まるで私がキスしたがってみたいじゃない!)

 

山城(キスもそうよ、私初めてだったのに、あ、あんな舌を使って、互いに薬を口移しで…)

 

山城(…)

 

山城「ああっー!!ほんっとっ、不幸だわ!!」

 

山城(私は…私はいったい…)

 

 

 

 

 

???

 

???「いやぁ、大変でしたよ。まさかあれを提督達が誤飲されるなんて」

 

???「ねぇー。あれ人間にも効くんだね」

 

???「びっくりですよね。あれをもう一度作るのは大変でしたし、もうしばらくはこりごりです…」

 

???「えっー!せっかく面白いアイデア持ってきたのに」

 

???「もうっ!少しは私の気持ちを考えてください!今回ばかりはホント疲れたんですからぁ…」

 

???「アハハハハ!」

 

???「笑い事ではありません!」

 

???「ハイハイ。で、考えてきたアイデアなんだけどさぁ、聞いてくれない?きっと気分転換にもなるだろうし!」

 

???「もぉー、聞くだけ、聞くだけですよ!」

 

???「ありがと、明石!」

 

明石「で、次は何を考えたんですか、夕張?」

 

夕張「明石さぁ…

 

 

男になってみたくない?」

 

明石「ゆうばりぃ…。

 

何それめちゃくちゃ面白そう!作る作る!」

 

妖精「トゥービーコンティニュー?」

 




 作者用時系列メモ
 山城提督ケッコンカッコカリ済
 山城返事まだ
 Hまだ
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。