山城嫁提督がだらだら書く、艦これの妄想置場 作:もののけティラミス
今日の業務を終え執務室の隣に併設されたれた自室に入り、早三時間が経とうとしていた。
いつもならまだ業務が残っているのだが、今日はその半分にも満たない量であった。
今日は終戦の日であった。
大日本帝国海軍に所属していた艦艇の魂を持つ彼女達にとって、今日と言う日は様々な意味を持っていたようだ。
どうしても出撃させてほしい者、真逆に演習すらも拒む者。ずっと海を眺めている者、決して海を見ない者。彼女たちの過ごし方は様々であった。
彼女たちの多くは戦中に没したものが多い。彼女たちが再び生を受けた後、我が国が負けていたことを知った時の心境を私が想像することは無理であろう。
戦中に没することができなかった者は、その中で何を思いどう彼女たちに語ったのかを私は知らない。私が知っているのは、それを語った彼女の姿を今日、誰にも見せていないと言うことだけだ。
しかし、そんな日ももう残り三時間弱で終わりを迎えようとしている。辛気臭い雰囲気が苦手な私としては早く夜が明けてほしいと言うのが本音である。
今、私は本を読んでいる。本土から離れた南洋の地、一人で楽しめる娯楽と言えば惰眠を貪ることか字を食う虫になることぐらいであろう。
今読んでいるのは、終戦時に学生であった人のエッセイだ。中々ユーモアにあふれた文章なのだが、今日と言う日のせいか、いつもとは違った見方、受け取り方をしてしまう。
それでも、後半になればその色は薄れていく。こうなれば占めたものであれよこれよと紙をめくっていき、気が付けば最後の文字を読み終えていた。
面白かったなどと誰でも浮かぶような常套句を心中にあらためて抱きつつ、私は本を閉じた。
咽喉の渇きを今更に自覚した私は水を取りに行こうと思ったが、同じときに置くからお盆を持って近づいてくる艦娘の姿が見えた。
「どうせ、咽喉が渇いたと言うと思って持ってきました。感謝してください」
そう言った赤い目の彼女は私の隣に腰を下ろす。
お盆には二人分のガラス製のコップと水の入ったペットボトルが乗せられている。
彼女はコップに水を注ぎ、私は、ありがとうと言ってそれを受け取る
のどの渇きと言う物は不思議なもので、一度感じてしまうと我慢が効かないものだ。
私は、コップの中の水を一気に飲んだ。
うっ。
「おい!これは酒じゃないか!」
「私は一言も水だとは言っておりませんが」
「お前なぁ…」
まぁ、香りで気づかない私も私だが。
隣の彼女は、何事もないかのようにすまし顔で液体を咽から腹へ流しこんでいく。
程よい赤みの唇。姉とは違い肩にかからない程度に揃えられている黒く艶のある髪、その黒さとは対照的な白く綺麗な肌。
彼女はいつもの白い巫女服のような服装ではなく、寝間着用の白藍色をした薄地の浴衣を着ている。
そんな彼女を肴にして酒が飲めるのだ。そう考えるとこの悪酒も銘酒に代わる。
私は、酒をあおる。
甘ったるく一著前にアルコールは入っていると来ている。
こんな粗悪品を流してくるのだ、この国は再び負けるのではないか?
そんな思いが一瞬こみあげてくるが、隣の艦娘を見ているとどうでもよくなってくる。
流石に私の視線に気づいた彼女は、胸元を両手でしっかり締めながら、赤い大きな両目を不審げに向けてくる。
私は少し体裁が悪くなり彼女から視線を移す。
しかし、そこに視線を向けるべきか決めかねていると、急に室内が暗くなる。
「なんだ?消したのか?」
「ええ。貴方にこれ以上変な目で見られたくなかったので」
そう言いながらもまた私の隣へ座ってくるのだからかわいいものだ。
段々と夜目が効いてくる。月明かりしか光源がないのだが、生き物とは不思議なものでそれでも、物をモノと判断できるくらいには見えるようになってくる。
空になったコップに二杯目の酒を補給する。
アルコールが体の中を駆けていく。
その感覚を味わって二杯目を飲みきる。
そして、三杯目を入れようとしたとき、不意に隣から重みをと暖かみを感じた。
その主は
「頭を置かせて」
と言って図々しく、彼女の頭を私の胸元に侵攻させてきた。
彼女の髪からいいにおいがする。
彼女から熱が伝わる
それらは私の気落ちを昂らせるのには十分である。
心拍数が上がっていくのを感じる。
彼女にそのことが気づかれないようにしなくては。
私がそう我慢していることを知ってか知らずか、彼女は口を開ける。
出てくる内容は、今日の出撃の事と艦隊の様子についての事だ。
赤城が水平線の彼方を見ていた、その様子を祥鳳が辛そうに眺めていた。
電は、ずっと浜辺から動かなかった。彼女の姉妹たちも同様だった。
島風がいつもより静かだった。川内が昼間から起きていた。
五十鈴はいつも通りを装って振舞っていた。木曽は軍刀を磨いていた。
最上は駆逐の子と遊んでいた。三隈はそれを見守っていた。
長門の姿は今日一日見なかった。
男である私は、彼女達から一定の距離を取ることにしている。だから彼女たちのプライベートにはあまり首を突っ込まないようにしている。
しかし、彼女たちの見えない一面を私は知る必要がある。そこで活躍するのが彼女であるわけだ。
彼女は見た事をそのまま私に伝える。私はそれから個人に対応した策を考える。
そうした話は、今のように夜の時間帯に行われることがほとんどだ。
いつもならこれで終わりである。
しかし、今日は“いつも”と違った。
彼女は身体を回し、私と向かい合うように身体を動かした。
私が不信に思っていると器用に私の手からコップを奪い去り、自らの物と一緒に盆の上へと置く。
そして、そのまま両手を私の首へ回す。
首に彼女の重さがかかる。
視線が交わる。
大きな赤色の瞳の中に私の姿が映っている。
そこから視線を下げると浴衣の隙間から、鎖骨と谷間が見える。
「スケベ」
彼女がむっとした顔で言う。
「今は私の目だけを見て…」
彼女の言う通り、私は視線を彼女の瞳に戻す。
無言のまま見つめ会う。
彼女は、今更気恥ずかしくなったのか視線だけを横にずらす。
反則的な可愛さだ。
私は、両手を彼女の両頬に添える。
「見てと言ったのはお前だろ?」
安い挑発だが、彼女には効果は抜群である。
彼女は、むっとした顔でこちらへ視線を戻す。
…。
どちらが示し合わせたわけでもなく、互いの距離が近づいていく。
最初は互いに軽く唇同士を触れさせるだけ。
彼女の唇は柔らかく、私の唇がふれると跳ね返されるような錯覚さえある。
と、同時に頭に電流が流れたかのような痛みを覚える。
しかし、その痛みは嫌なものではない。
むしろ、もっと深く求めないとさらに痛くなるかのようなものであったからだ。
いつしか、互いの唇が離れなくなっていく。
彼女の鼻息が荒くなっているのが分かる。私もそうなのだろう。
呼吸のためにいったん唇を離す。
「たりません」
そう言って彼女から舌を絡めてくる。
彼女が私に口の中を攻める中、私は、ふっと、視線を彼女のうなじに移す。
彼女はうっすらと汗をかいているようで、黒い髪の毛が、白いうなじのアクセントとなり、私を惑わす。
案の定、それを見て、私の中の何かがはじけた。
私は、彼女の舌を自分の口内から追い出すと、そのままの勢いで彼女の元へ攻め込む。
敵陣地へ乗り込んだ私はさながら大将首を狙う野武士のように、がむしゃらに彼女の口内を荒らしていく。
私の攻撃になすすべもないのか、大きな抵抗もなく大将の元へすんなりたどり着いた。
私は、彼女の舌の裏側を責める。
首にかかる力が強くなる。と同時に彼女の口角は広がり、隙間から嬌声が漏れ始める。
私はそれに気を良くし、同じところをひたすら攻める。
「…痛っ!」
突然、首に痛みが走る。原因は彼女が私の首をつねったからだ。
「調子に乗りすぎよ」
彼女は自分だけが艶やかな声を出していることが気に食わなかったようだ。
「だからってつねることはないだろう?」
「そうでもしなければ貴方は止めないでしょう」
「それはお互い様だろ?」
「うるさい!黙って私にやられなさい」
彼女の顔が再び近づいてくる。
しかし、目的地は唇ではなく、私の右耳のようだ。
「いただきます」
そのささやき声を皮切りに私の耳に暖かく湿った感触が広がっていく。
彼女の唇と舌と唾液の暖かみが外耳に断続的に与えられる。内耳へは、彼女の吐息が直接伝わっていく。
その音、言葉にできるようものではなく、優しく暴力的だ。
「貴方、本当にこれが好きね」
すべてを見透かしているかのように彼女の声が脳へ響く。
私は、自分の中がのぞかれていることに恐怖感を覚えてしまう。
彼女には見せたくないものだってあるのだ。
私にも隠したいことはある。しかしこのままでは彼女へすべて伝わってしまうのも時間の問題だ。
そのように錯乱している私は、彼女の右耳を攻めはじめる。
私の唇が彼女に触れた瞬間、ため息にも似た大きな吐息が彼女から漏れる。
私は、そのまま有耶無耶にしようと外耳を唇と舌で攻めはじめる。
彼女の耳の筋をゆっくりとなぞるようになめる。
わざと音を出してそれをやると効果的なのはこれまでの経験によるものだ。
「…反対も…お願いします」
彼女にそう懇願されたので、その通りにしてやる。
勿論、彼女はされるままではなく、私の左耳にも右耳と同じような事をしていく。
ふと、また彼女のうなじが目に入る。
先ほどよりも汗をかいているようで、張り付いている髪の毛の量が多くなっていた。
その先から一筋のしずくが流れる。
その美しいしずくはうなじをすべり、肩の方へ流れる。
いつの間にか、彼女の着ていた浴衣が着崩れていて、左肩は完全に露わになっていた。
これは反則だろ…。
耳からうなじへと、私の舌は、彼女の身体を沿って下って行く。
自分の汗とは違う、しょっぱく甘い味。
私はそのまま肩へ頭を流そうとしたが、あることに気付く。
彼女は、自らの左胸を自らの手ではだけさせているではないか。
そして、きれいな薄桃色の塔を立たせている。
私は虫が紫外線に引っ張られるように、そこを目指す。
しかし、まだ触らない。
彼女の鎖骨のくぼみを舐め、乳房の付け根を舐め、そこから薄桃色の塔をわざと避けて、下乳へ進んでいく。
彼女の乳房は大きい。それ故に、乳房と肌との間はかなり汗ばんでいる。
私はそこを執拗に舐める。
いままでより、強く、彼女の甘美なしずくの味が広がる。
「焦らさないでください」
嬌声交じりの嘆願の声が聞こえる。
私は、それを無視する。
「ていとく…お願いですから…」
先ほどよりも弱弱しく嘆願される。
ちらりと視線を上にあげてみると、彼女の赤い目はいつものよう凛とした、力強く見開かれてはおらず、力なく眉尻を下げ、半目とも違う、妖艶な色香をはなっていた。
私は今更ではあるが彼女の要望に沿おうと顔を少し上へ動かす。
しかし、そのまま乳首を舐めるのではなく、桃色の乳輪をなぞるだけにする。
彼女は、何かを訴えかけるように見つめてくる。
私は、舌を一度離す。
そして、はぁ、と吐息をかける。
彼女が大きく身震いしたのが分かる。
さて本命だ。
私は一気に左乳房へ噛みつく。
「ンッ!」
彼女が再び大きく身震いをする。
彼女は、乳首を噛まれることが好きなようだ。本人もそれを自覚しているのか、普段なら絶対に噛ませてくれない。
「ンッー!ムフゥー!」
彼女は口を一文字に口を閉じて声を漏らさないようにしているつもりだろうが、吐息は漏れ出し、艶やかな声は抑えられていない。
私は、乳首を噛み、舐め、また強く噛む事を続けながら、彼女の口に右手を差し向ける。
最初こそ、頑なに私の指の口内への侵入を許してくれなかったが、官能的な声と共に一瞬開く口角の隙間から、私の指先を駆けさせ、私の眷属は彼女の口内に侵入し、舌を押さえつけ、無理やり下顎を開かせる。
彼女の舌は、私の右手を押し上げようとするが、それを私は許さない。
彼女のえずく声が聞こえる。
当たり前だ。私の右指は彼女の喉まで到達しているから。
もうそろそろだな。
私は空いていた左手を、まだ着物で覆われている右胸へ伸ばし、布と肌の間に滑り込ませる。
もちろん、右胸の乳首も立っていた。
そして、それを思いっきり引っ張る。
その瞬間、盛大な嬌声と身体の震えが彼女から生まれた。
ひとしきり震えた後、彼女は身体に力が入らないのかぐったりと、こちらへ身をゆだねる。
私は顔を起こして、それを自身の身体全体で受け止める。
息が上がって話すことの出来ない彼女の背を、私はゆっくりと撫でる。
彼女の吐息の音だけが響く。
肩で呼吸している息を、彼女は徐々に整えはじめる。
「馬鹿」
彼女からの一言。
「よかったろ?」
「私の口から言わせるのですか?」
「ならよかった」
私は、彼女の背中をぺちぺちと軽くたたく。
「なにか、子ども扱いされている気がしますねぇ」
「実際にお前は少し子供っぽいと思うぞ。童顔だ」
「なら、貴方は少女趣味なのかしら?駆逐艦の子たちとの距離を少しでも離さないとなりませんね」
「向こうから近寄ってくるのはノーカンだろ?」
彼女は、その身を起こし、私の事をジト目で睨んでくる。
私は、その目を見つめ返す。
…。
はぁ、と彼女がため息。
「なんで、こんな奴に」
彼女はぶつぶつ文句を言いながら私の甚平の下を脱がせ始める。
私は抵抗することなく、寧ろ腰を浮かせてそれを手伝う。
「ふふっ、大きいままなんですね」
彼女は私の下着もおろし、私の男根を露わにさせる。
彼女の手がそっと触れると、私のソレは私の意思とは関係なく、ビクンと脈打つ。
「これがかわいいなんて思う時点で、私ももう末期かしら」
彼女は、足先を少し開いた立膝になる。
その姿はあまりにも扇情的だ。
彼女の着ていた着物の内、既に上半身は肌を隠す機能を放棄しており、豊かな両乳房がしっかりと目視できる
袖には腕を通したままで、何とか、肘で刺さられている状態だ。
腰に巻かれた帯もまだ健在である。
下半身の方は、まだ機能しているが、着物の隙間から太ももの一部が見えている。
「貴方」
彼女に呼びかけられてふっと目線を彼女の顔に戻す。
彼女の顔はイタズラな笑みを浮かべていた。
顔に一気に熱が広がる。
「貴方は、着たままの方が好きですものね」
そう言いながら、彼女の両手は、足にかかっている彼女を隠す着物を、自ら上にまくっていく。
徐々に増える白く清らかな肌色に、私の目は釘付けとなっていた。
下着がぎりぎり見えないところまでめくり終えた彼女は、着物の下に手を潜り込ませる。
もちろん、この時も私の目に映るのは、美しい下肢の大部分だけだ。
暫くした後、彼女の股下から白い下着が手に引っかかりながらゆっくりと降りてくる。
よく見るとそれは糸を引いていて、彼女も昂っていることが分かる。
太ももの中心まで降りたところで、下着は降りることをやめる。
「翔鶴のアドバイスがこんなところで役に立つとはね」
「お前…それ紐パンかよぉ!」
「ええ、そうですよ。翔鶴さんに脱ぎやすいですよ、と勧められたので実験的に買ってみました」
そう言って、紐の結び目が彼女の手によってほどかれる。
はらりと彼女の下着が床に落ちる。
彼女の秘部が直接見えているわけではない。
しかし、彼女の秘部を覆う物がないと言う現実は、私に生唾を飲ませるには十分だ。
「貴方の今の顔、鏡で見せてあげたいわ」
そう言って近づいてくる彼女。
一歩、また一歩と着実に近づいてくる。
私の目の前に来るまで、私は彼女の顔から目が離せない。
そして、私のモノを跨ぐとパサッと、たくし上げていた着物を離し、私の太ももにわざと着物を触れさせ、布の感触を味あわせる。
少々くすぐったい。それが、さらに私を彼女に没頭させる。
彼女は、空いた手で私のモノの位置を確認すると、その先端に手のひらを置き、その上に彼女の体重が軽くかける。
私のモノは、それに負けることなく立っている。
彼女が軽く動く。その衝撃が手から伝わる。
「脈打っていますねぇ」
面白がって動きを早くする彼女は、こう私に問う。
「どうですか焦らされる感覚は?」
正直今すぐ押し倒したかった。
けど、私はそれを我慢する。
彼女は無邪気に私のもので遊んでいる。
とても楽しそうだ。
その表情を私は崩したくなかった。
「貴方、今、他事を考えていましたよね?」
ば、ばれてる。
私の右肩にもう片方の手を付き、彼女は囁く。
「他のこと考えられなくさせていただきます」
そして、唇に触れるだけのキスをして、身体を持ち上げる。
「行きます」
彼女は一気に私のソレに腰を下ろした
「ッ~!!」
彼女が必死に歯を食いしばっているのが分かる。
その彼女の動きは、私にとって予想外の物であった。
彼女は、ゆっくりと味わいながら入れることを好む。
この様に彼女と一つになった時は、必ずあのつねりが私を襲う。
しかし、今日はそれを彼女から行ってきた。
あまりの非常事態に、私は彼女の事が心配になる。
「おい、いくら濡れてるからって―」
「貴方は黙っていてください」
そう言って彼女は乱暴に身体を踊らせる。
「ッ!!ンンッ!」
彼女から漏れる音は、性行の気持ち良さからの嬌声ではなく、苦しみから出る叫びを我慢しているおとだ。
「馬鹿、一回落着け!」
「煩いです!」
苦悶の表情を浮かべる彼女。私はそんな彼女をこれ以上みたくない。
「お ち つ け!」
私は、山城の両脇に手を滑り込ませ、裏から肩を強引に捕まえ、彼女の動きを中断させる。
「馬鹿!放しなさい!」
「絶対、い や だ !」
彼女はその後もしばらく動いていたが、段々とその力は弱まり、そして止まる。
私は、止まったのを確認すると、片手を背中に、もう片方を頭に回して、彼女を強く抱きしめる。
「…」
「…」
「落ち着いたか?」
「…貴方は馬鹿です」
そう言って、彼女も私の背中に手を回し、強く抱きしめてくる。
「どうして、止めたのですか。気持ちよくありませんでしたか」
「あんな苦悶の表情で襲われたら萎えるわ」
「…の割にはガチガチじゃないですか」
「心が萎える」
「何を言っているんだか」
「うるさい。しばらくこうされてろ」
抱きしめる力をさらに強める。
彼女の二つの大きな乳房の感触。
彼女が出すじっとりとした汗。
彼女の髪から醸し出される頭を溶けさせる匂い。
彼女が呼吸するたびに回る脈。
彼女の柔らかな背中。
彼女が唯一自慢する姉と同じ深い黒髪
私は、彼女を今、感じている。
彼女は私を感じてくれているのだろうか。
「…これは独り言です」
彼女が抱きしめる力を強めながら始める。
「昨日までは、今日と言う日はいつもと同じ、普通の一日だと思っていました」
「私は終戦を迎える前に沈みましたし、姉さまと共に沈めたのですから、はっきり言って終戦しようがしまいが関係ありません」
「だから、なぜみんながあれほど感傷的になっているのか、正直理解ができませんでした」
「終戦によってあの下らない、愚かな戦いが終わったのですよ。むしろ祝うべきじゃないですか」
「その気持ちは今でも変わりません。赤城辺りには怒られてしまうかもしれませんね」
「でも、ふと思ってしまいました」
「もし、あの時、私が沈まなかったら、 “彼ら”は生きていたのではないかと」
「あの時、私が耐えて無事本土へ戻り、いいえ、ただ、どこかの島でもいいから座礁したら助けられた命があったのではないかと思ってしまいました」
「戦後も生きていけた人の命を、私は、奪ってしまったのではないかと」
「私は、日本を守るために造られ、何と言われようがその誇りだけを胸に抱いて、戦艦山城としてありました」
「それなのに、私は、私に乗っている者すら助けられませんでした」
「彼らの人生を私が身勝手に奪ってしまったのです」
「それに今更気づきました」
「私は、こうして二度目の生を受け、姉様と共に海を駆け、日本を再び守る使命を帯び、貴方に出会えました」
「が、あの方たちはそうではない」
「家族がいたかもしれない、友人がいたかもしれない」
「死にたくなかったかもしれない。生きていたかったかもしれない」
「そして、こんな私を恨んでいるかもしれない」
「それが怖くて、そして辛くて」
「あの方たちの怨みを私は背負っているのではないかと」
「そしてとてもじゃないけど私一人では背負える数じゃないと」
「そんなの感じたくない、知覚したくない。だから、私は自分に罰を与えなければならなかった」
「違う、罰を受けて許されたかった。私は、自分が痛い思いをして少しでも辛くありたかった」
「そのために貴方を使わせていただきました」
「貴方にこの重みを、自分勝手にも背負ってもらおうと思ったのです」
「ごめんなさい。幻滅しましたよね、こんな女で」
そう言って、彼女は、嗚咽を押し込める。
押し込めようとするが、それが零れ落ち、私に振動として伝わる。
「早く貴方も私の事を嫌ってください」
「あほか。むしろ余計に好きになったぞ」
「なんでっ!!」
「初めは一目惚れだった」
「前に聞きました」
「その後、扶桑に対するお前の愛情を見てさらに好きになった」
「それも聞きました」
「扶桑だけじゃない、艦娘に対しての深い愛情を感じた」
「同胞だもの、当たり前じゃない」
「ケッコンカッコカリを受けてくれた時、それは天にも昇る気持ちだった」
「…」
「一緒に居る時間が伸びて、お前の事をもっと知れて、さらにさらに好きになった」
「…」
「そして、今こうして、お前の成長を感じられて、さらにさらにさらに好きになった」
「なによそれ、子ども扱いかしら?」
「生まれて3年もたってないのだから、人間でいえばまだ赤ちゃんだぞ」
「人と艦娘は違います」
「だが、心は違わない」
「違います」
「違わない」
「違います」
「違わない!」
「違います」
「もう黙れ」
「…勝手な人」
「勝手に愛させてくれ」
「…ばか」
その一言と共に、離してと言わんばかりに私の背中をべしべしと彼女は叩く。
要求通り、私は彼女を放してやる。
するとどうだろうか。
彼女は、その両手で私の頬をもって頭を固定する。
そして、私の唇に彼女の唇を重ねる。
あまりに急なことで私は目を白黒させていた。
やがて彼女が私から離れてこう言う。
「夜は、長いですから」
この話の後日談はと言うと、大方予想はできているだろう。
私と山城は次の日、そろって寝坊した。
二人そろって時間が過ぎていることに気付き、慌てて隣の執務室に行くと長門と扶桑が既にそこに居た。
にやにやとした表情で私たちを迎える二人の戦艦。
朝の遠征の見送りは扶桑がやってくれていて、山城の仕事は長門が代行していたようだ。
私たちは二人に謝り、感謝を述べた。
曰く。
「今日から暫く、二人の噂で持ち切りになるだろうな。木曽なんて、顔を真っ赤にさせていたぞ。あと換気をすることを進めておこう。中々のにおうぞ」
曰く。
「姉としては、今日一日くらい二人でゆっくりしてほしいものですけど、どうしょうか?」
長門の提案を受け入れ、義妹の提案は受け入れず、私と山城の一日は少し遅くから始まった。
その後、選択当番であった五十鈴に昨夜使われた寝具一式をすごい顔で持ていかれたり、島風に昨夜何をしていたのか質問攻めにされたり、長門の言う通り暫く私の顔を見るたびに艦娘たちがにやつくようになったりしたが、それはまた別のお話。
作者用時系列メモ
山城提督ケッコンカッコカリ済
山城返事済
H済
結婚1年目、出会って3年目