戦い続けるたびに魔力が強くなる。それは俺も感じていた。最初の頃は戦うたびに翌日まで寝込むことがあったが、それも今はない。
フレイム形態に変身した俺はまっすぐにファントムを見据える。
「ショータイムだ」
回し蹴りでファントムのバランスを崩し、さらに逆足を軸にして蹴り飛ばす。
立て続けに攻撃を向けた後にソードガンで相手を切り裂く
それで終わるはずだった。
「俺に食わせろー!」
ソードガンを振り上げたところで体当たりを受けて軽く吹っ飛んだ。
受け身を取りながらも転がり体制を整える。
「メインディッシュだ!」
その頃にはビーストのサーベルから放たれた力がファントムに直撃していた。
同時に爆発が起こりファントムの魔力がビーストの中のキマイラに食われていく。
「ごっちゃん!!」
変身を解いた俺はため息を吐くと邪魔をしたビーストを無視して帰路に就く。
こうして邪魔をしてくるから鬱陶しいのだが向こうはそんなことを気にせず近づいてくる。
でもあいつのことを知れば知るほど惹かれていく自分がいた。
「明日の命より今日の命だよな」
明るい声で自分の命よりもゲートを優先させる事を宣言したあいつ。
ファントムにだまされるほど愚直で強引で、あきらかに俺とは真逆の性格で。
でもそんなあいつのまっすぐな言葉。
そこが始まりだった。
魔力を食べなければ死ぬというあいつに俺は魔力を与えようとした。けどそれを断られた時点で、あいつと俺は対等の位置に立った気がした。
世界で唯一、俺と対等の存在。
最初はきっと戦友とか背中を預けられる存在だった。
ベルゼバブと戦った時、仁藤がいなかったら俺は大切なものを守ることができなかった。
白の魔法使いの力を借りてドラゴンの力を引き出したとしても、間に合わなかったら意味がない。
そこからはあいつに振り回されるのも嫌じゃなくなった。マヨネーズ料理を押し付けられるのだけは嫌だけど。
フェニックスとの戦闘後、俺は少しおかしくなっていたんだと思う。
人を守れなかったつらさに潰れかけ、偉そうに希望になるなんて言った自分に苛立ちすら抱いていた。
暗闇の中から引き戻してくれたコヨミ。
俺を守ろうと代わりに戦おうとしてくれた仁藤。
その夜、俺は仁藤のテントを訪れてフェニックスを倒したことを報告していた。
ただ人は激しい戦いの直後は気分が高揚しすぎているという。
俺が魔法使いになる前に、プロレスなどでそんなことがあるという話を何となく聞いた気がする。
そしてレスラーでもない俺はそれを激しく実感していた。
「晴人……っ、おまえ……これ、おかし……っ」
仁藤の切羽詰まった声が漏れて俺は軽く笑う。
「狭いテントで男二人こもってることか?」
「違……っぁ!」
否定しようとする生意気な奴の中、奥深くまで押し込むように腰を打ち付ける。
それだけで仁藤は反論する余裕を失った。
「……みなまで言うな。仁藤」
腰を打ち付けながら耳元でささやいてやると仁藤が顔を赤くさせる。
「そ……おれ、の……っ」
「わかってる。おまえの下の口はマヨネーズよりこっちがお好みだってことはな」
「んっな……こと、いってねぇっ」
まだ反論する余裕があるのか。それなら手加減する必要はなさそうだな。
さらに強く打ち付け始めると、グチグチと音をたてながら先に食わせたマヨネーズが溢れてくる。
「マヨネーズ、こぼしてるぞ。仁藤」
「っあ、やめ……っ、ぁあああっ」
もう限界が近いのか仁藤は虚空に目をやったままだらしなく嬌声を漏らしてる。
俺の暴走は結局朝まで続いて仁藤を完全に潰していた。おかげで俺はなんとか冷静さを取り戻せたが……
自分の浅ましさに少しだけ絶望した。