昼寝から覚めたら、4番目の兄の顔がすぐそばにあった。
反射的に身じろごうとして、窮屈さに気付く。
両手を後ろに回した格好で、手首を縛られていた。
「なんだもう起きたのか…寝てる間にと思ったのに…念のため縛っておいて良かった」
兄が口の中で呟くトーンは完全に独り言だったが、距離が近すぎるせいで全部くっきり聞こえた。
「え、何これ一松兄さん…イタズラはやめてよ」
この兄は時々奇行に走る(いや、この兄に限らないが)。何だかお腹がスースーすると思って下を向くと、Tシャツが胸の上まで捲り上がっているではないか。
「ぎゃー! ちょっと何これ変態ー!」
身悶えする。ブラが丸見えだ。
「オカズにしようと思って」
いつもの無気力な表情で淡々と言うから、心底ぞっとした。
確かに無造作に床に寝転がっていた自分にも非はあるのだろうが…。
「昼寝してる妹をオカズにって最低じゃない! ダメニート、ほどいてよ!」
足をバタつかせる。足の方はいましめられていなかったので、異常接近している一松の脛に当たった。
「……」
一度目を落として、それからまた顔を上げた一松の顔は、さっきまでの表情とは一変していた。
「…ふっひひっ…」
奇妙な笑い声。にへらぁっと崩れた相好は、時々見せる、変にスイッチが入ったときのもの…。
「…いいね、それ…」
ゆらりと身を起こし、何がいいのか分からなくてぽかんとしている松莉の体を支え、立たせた。
立ち上がったことでTシャツが下がり、ほっとしたのもつかの間、松莉は背後の壁に押し付けられ、そして一松は、その足元に今一度ころりと横になった。
「もっと蔑んで…罵ってくれよ松莉…僕を蹴って、ゴミを見るような目で見て…」
胎児のように丸まっていたのが大の字になって妹を見上げる。狂気をたたえた目で。
「ちんこも踏んでよ、もうこんななんだ…」
「ひっ…」
直視は出来ない。だけどジャージ越しの盛り上がりは目の端に捉えてしまった。
「早く…やんないの?」
口元は緩んだまま、軽蔑と罵倒を待ち望んでいる。
松莉に言われた通りにする勇気はなかった。ただ恐ろしさに膝が震える。
「こ、声出すよ一松兄さん…誰か呼ぶから」
「ざぁんねーん…今みんな留守…」
焦れたかおもむろに立ち上がり、接近すると体を密着させてくる。逃げようにも背後は壁。松莉のお腹に硬いものが擦り付けられた。
「嘘でしょ…」
「どうせおそ松かチョロ松か…誰かにもう、やられてんだろ…?」
押し付けた腰を動かしながら、低く囁く。
「何言ってるの、そんなことあるはずないじゃない…」
「ケッあいつら口だけかよ、いつも松莉で童貞卒業するってわめいてる癖に」
ますます強くリズミカルに擦り付けられ、松莉は気も遠くなる心地だった。兄たちがそんな話をしていたとは。あまつさえ、実行しようとする奴がいるなんて。
普段よりももっと背中を丸くしているせいで、はぁ、はぁと明らかに昂った吐息が耳にかかる。そのまま低い声で囁き込まれた。
「まぁいいや、一番乗りだ…。松莉、僕の童貞を貰って…」
「いやいやいらない、遠慮…」
言葉は遮られた。一松の唇を押し付けられて。
「…松莉の唇、柔らかいよ…」
ぺろっと唇を舐められて、それからまた重ねてくる。今度は舌の侵入も許してしまった。
「やっぱり俺が兄弟で一番のクズ…燃えないゴミ」
再び松莉を横にして、ブラごと服を捲り上げる。
「どんな気分…? クズとセックスするのって」
陰気に笑って、胸にむしゃぶりついた。
「だめっもうやめて!」
「やめない…こんなおっぱい見たら、やめられない…」
「あっ…」
すぐに屹立した乳首を舌で責められて、ビクンと身を震わす。
「反応いいね…松莉は処女じゃないもんな、溜まってた?」
「……」
確かにいくつかの恋愛経験はある。兄たちの妨害でことごとく破局に至っているが。
現在はフリーであり、意外に性欲の強い松莉がモヤモヤしていたのも事実だ。
4番目の兄は顔を上げてニタニタ笑っている。
「本当は松莉も、俺たちのことをオカズにしてんだろ?」
全部見透かされているような気がした。人付き合いが出来ないくせに、変なところが鋭い兄だ。
稚拙だが的確な刺激に身をよじる。すでに溺れかけていた。
「誰のこと考えてしてるの? たまには僕で…んなわけないか、ゴミクズでオナニーなんてしないよな…」
ぼそぼそ自虐しながら、指で挟みコリコリしごく。
「どうなんだよ松莉…」
きゅっと少し強めに摘むと、あああんっといい声で啼いた。AVでしか聞いたことのない嬌声に、童貞の興奮は高まるばかり。夢中で乳首をベロベロ舐め、赤ん坊のようにちゅうちゅう吸い上げる。松莉の胸元は唾液でべちょべちょになっていた。
「そろそろ下も…」
ウエストゴムの緩い短パンとショーツを同時に脱がされる。もう観念していた松莉だが、さすがに羞恥を覚え首を振った。
「あぁ窮屈だよな…」
手首の紐を外されたが、逃げるなんて気は起きなかった。それどころかこの先にさせることにどうしようもなく期待してしまう。…知られたくはないけど。
「ほら自由になったんだ、殴ってよ、口汚く罵って欲しいって、さっきから言ってるのに…」
「一松兄さんのして欲しいようになんか、絶対してあげない…」
ささやかな抵抗のつもりが、ますます変態を喜ばせる。
「たまんねぇなぁ…」
もはや何を言っても性の快楽に結びついてしまうようだ。
指が潜り込んできて、かき回される。淫らな水音に、こんなになっていたのかと自分でも驚き、恥ずかしく思う。
「あーおもらしかな松莉ちゃん、大丈夫だよお兄ちゃんがキレイにしてあげるから…」
いきなり兄妹プレイを始め(いや本物の兄妹だが)体をずらし、脚を開かせるとそこに顔を埋めた。
「いやっ汚いから…」
シャワー浴びてない。一松は構わず、舌を這わす。
「一松兄さん、ダメ…」
「松莉のはキレイだよ…それに美味しい…」
味や匂いはAVでは知りえなかったもの。存分に堪能するように時間をかけて舐めたり吸ったりし続ける。猫のように、丁寧に。いくら舐めても後から後から溢れる愛液は、松莉の悦びのしるしであり、何より一松を嬉しがらせた。
「あっああっ…また…またイッちゃう…」
「いいよイッて…可愛いよ松莉のイクとこ…」
「いやっあああーん!」
感じるところを執拗に責められ、何度も何度も立て続けに気をやった。
「そろそろ…」
ジャージのズボンとパンツを膝まで下げ、松莉の入り口にあてがう。一松のものは今までにないほどの硬度を持ってはち切れんばかりだ。
「クズが入りますよー、松莉の中に…」
「一松兄さんがクズなら、私も同じ…」
荒い息の下で、松莉は少し笑う。
「だって…ほんとはこうしたいって思ってた…」
兄さんたちをオカズにもしてたよ、とまでは言えなかったけど。
一松はばふっと松莉に折り重なりぎゅっと抱きしめた。
「…松莉は違う。クズなんかじゃない…」
「ん…」
兄のぼさぼさ頭を撫でる。
その時、ガラガラガラ…と階下の引き戸が開く音が聞こえた。続いて、わいわいと話し声が。
夢から醒めた心地で、松莉はパニックに陥る。
誰か…もしかして兄弟全員が、帰ってきた!
早く服を着ないと。焦って起き上がろうとするのに、一松が退こうとしない。
「一松兄さん!」
「挿れるからじっとして…」
「何言ってるの、みんな帰ってきたよ!」
一階の居間でグダグダするかも知れないが、二階に上がってくる可能性だって十分ある。
「見つかったら見つかったで、あいつらクズだから、誘えば仲間に入るよ…複数プレイも、いいだろ…?」
「ええっ…」
さすがに正気かこの四男。
「でも最初は俺じゃないと嫌だから…」
ぐっと腰を進められ、身をのけ反らした。松莉の体内に久しぶりに迎え入れた「男」は、熱くて大きくて、圧迫感と駆け巡る快楽に思わず声を上げていた。
ボリューム大きすぎた…絶対聞こえた。青くなって、自分で自分の口を塞ぐ。
『今の、松莉の悲鳴だよな⁉︎』
『松莉ー⁉︎ どうした⁉︎』
階段を上る足音…。もう、ダメだ。確実に見られてしまう。
そうしたら、その後はどうなるの…?
「あっあんっ…」
中で激しく暴れられると、思考が続かなくなる。
声を上げさせるためにわざと激しくしているかのように、一松は強く腰を打ち付けてくる。
「松莉ー」
ふすまが、開いてしまったー。
END
一松の名ゼリフ?を散りばめてみました。