夜中に目が覚めて、そっと布団を抜け出した。他の兄弟たちはよく寝ている。
階段を降りてトイレに向かうと、途中の風呂場に電気が点いていた。
服を脱いで風呂場に入り、シャワーを出す。
大学の友達に誘われて飲みに行ったのだが、少し遅くなってしまった。
初対面の男子たちもいて、ほぼ合コンみたいで楽しかったが、兄たちには黙っておこう。
中でも一人の男子にやけに気に入られたみたいだということは、尚更秘密にしておかなくては。
『松莉?』
脱衣所から声をかけられ、ビクリとする。シャワーを止めて振り返ると、人影が見えた。この声は。
「チョロ松兄さん。起きてたの?」
『たまたま目が覚めて、トイレに行こうと思ったら電気点いてたから…消し忘れたのかと思って』
消し忘れではないことは分かったのに、ぐずぐずと立ち去ろうとしない。
何か企むつもりかな? こちらからは何もしないけど。と思っていると、今度は少しはにかむような声が届いた。
『松莉、背中…流してあげようか』
「昔は松莉も一緒に銭湯に入ってたのにな」
服を脱いで腰にタオル一枚巻いた姿で入ってきた3番目の兄は、そんなことを言いながらボディソープを手に泡立て始めた。
「みんなで背中流しっこしたよね」
松莉は末っ子だけど、定位置はトド松兄さんの隣ではなかった。端だと背中流しっこのとき、一回しか洗ってもらえないから損だとダダをこね、真ん中…つまりチョロ松兄さんと一松兄さんの間に入れてもらっていたのだ。
「今でも流しっこしてるよ、六人で」
「うふふ。仲良いね兄さんたち」
成人男性が六人揃って背中を洗い合っているなんて、想像すると可笑しいが、いつもケンカばかりしていても本当は仲のいい兄たちが松莉は大好きだった。
「混浴は小学校の低学年くらいが限界だもんな…」
チョロ松は立ち膝の格好になると、泡だらけの手を松莉の背中に滑らせた。と、ビクッと肩を震わせ、松莉は肩越しに兄を振り向いた。
「チョロ松兄さん、スポンジあるのに」
松莉ご愛用のピンクのボディスポンジを肩越しに差し出すが、チョロ松は受け取ろうとしない。
「知らないの松莉、素手で洗うのが一番お肌に優しいんだよ」
もっともらしいことを言って背中を撫で回しているようにしか思えないが、松莉もアルコールのせいか少しエッチな気分になっていたので、それ以上咎めはしなかった。そもそも、その気もなければ、背中流そうかと言われたときに断っていたのだから。
「…そう考えれば、チョロ松兄さんに背中流してもらうのって、何年ぶりだろうね」
家族が多すぎて、家のお風呂に全員が入ると最後の人が何時になるか分からないから、6つ子は今も銭湯に通っている。松莉は家のお風呂を使っているが、たまに時間が合うと兄たちと銭湯に出かけることもあった。
女の子は何かと時間がかかるので、いつも兄たちを待たせてしまうが、それでもいいから一緒に行こうといつも誘ってくれるのが嬉しいのだった。
「…ついでに全部洗ってあげるよ」
やっぱりそう来た。でも松莉も期待してなかったと言えば嘘になる。
チョロ松兄さんの両手が脇の下を通って胸に到達した。二つの膨らみを包み込むようにしてから、泡で撫で始める。
「やぁ…チョロ松兄さんのエッチ…」
「洗ってるだけだよ、そんな気になる方がエッチだぞ」
目の前の鏡は曇っていたが、3番目の兄がニッと笑っているのは分かった。
チョロ松兄さんの笑顔が好きだ。直接見たいと思い振り向いてしまう。
なのにキスされて、見ることが叶わなかった。
「…酒臭い、松莉…」
「体洗うだけなのに、キスなんてしていいの?」
意地悪してみると、
「ゴメン、つい…」
ははっと笑って、でも謝るなんて律儀。
「洗うのに集中するよ」
と言いつつ、胸の先端をぬるぬる触ってくる。
「…あんっ…」
「どうしてエッチな声出すの?」
「だって、そんなとこ…あ…」
お風呂場特有の響きと揺らぎが色っぽい。
「ちゃんとキレイにしなきゃ…」
くりくりとそこばかりいじられて、ぽうっとしてくる。腰がだるい…。
「飲み会に男もいたの?」
優しいままの声音で問われ、はぁっと息を吐きながら首をゆるり横に振った。
「女の子…だけ…」
「そっか…」
「男の子がいると、心配?」
「心配…というか、嫉妬…」
「嫉妬するの?」
「そうだね…」
「兄さんなのに」
「兄さんでも、嫉妬するよ…」
チョロ松兄さんの声が、耳元をかすめる。
「だって松莉は、こんなに可愛いから…」
手が下の方に伸び、ぬるっと敏感な部分に触れた。
「ふぁっ…」
「びちょびちょだよ松莉…よく洗わなきゃ。ほら立って、こっち向いて」
優しく腕を引かれ、言われるままバスチェアから立ち上がり、チョロ松兄さんの方を向く。
同じく立ち上がった兄さんは、ふにゃっととろけそうな笑顔でいてくれたから、嬉しくて仕方ない。
「こんなにして…悪い子だなぁ」
ぐちゅぐちゅ指を動かすから、いきなりの刺激に全身貫かれて、立っていられなくなる。松莉は両腕をチョロ松の首に絡めた。
「ちゃんと立って…洗ってるんだから。ほら、一番大事なところだから、丁寧に…」
少し強めに指を擦り付けられて、高い声が響く。
「ああんっ…ん…」
松莉は無意識に体をチョロ松に押し付ける。兄が腰に巻いていたタオルはとっくに外れて床に落ちていた。
右腕を首から外し、猛り立ったモノをそっと握ってみる。
「あ、松莉…」
少し慌てたような顔を見上げる。口が三角になっているのがまた可愛い。
「チョロ松兄さんの大事なところも、洗ってあげるね…」
「ぼ、僕はもう洗った…ァッ…」
小さな喘ぎもしっとり響いて、互いに官能を高めてゆく。
自分の胸の辺りから泡を取って、くちゅくちゅと擦り付けるようにまた握ってあげる。チョロ松も応えるようにかき回してくる。
「あっ、気持ちいいよぉチョロ松兄さん…」
「はぁっ僕も…すごい、ぬるぬる気持ちイイっ…ああダメだ松莉、もうイッちゃいそう…」
「いいよチョロ松兄さん、出して…」
早いなとは思うが、それだけ気持ちいいのだろう、むろん悪い気はしない。松莉は手の動きを速めながら、チョロ松の表情を見上げていた。目を閉じて感じ入っている。口はもちろん、松莉の好きなきれいな三角形だ。
「あっあっイッちゃう、出るよ松莉、松莉っ…!」
名前を呼びながら、ぶるると体を震わし、手の中でビクビクさせて、チョロ松兄さんはあっという間に射精してしまった。
「あ…いっぱい出たね、チョロ松兄さん」
松莉はうっとりとして、お腹にかかった熱い白濁を手で塗り広げた。ボディソープと混ざってぬちゃぬちゃする。
「体を洗っていただけなのにね…」
ちょっと意地悪を言って、背後のドアにもたれてはぁはぁと息を整えている3番目の兄に笑いかけ、松莉はシャワーで泡も精液も全部流した。
「お風呂だと後始末が簡単でいいよね」
「…他の奴とも風呂でしたことあるの…?」
余裕のない目でこちらを見ている。松莉はシャワーを止めた。
「嫉妬?」
「…嫉妬」
素直に頷くのが可愛い。兄なのにさっきから可愛すぎる。
「こんなこと、今が初めてよ…」
と兄の足元に跪き、小さく萎んでしまったモノを口に含む。
「あ、松莉…」
唇ではむはむしながら先っぽを舌で弄んでいると、程なく起き上がってくる。
男子の神秘だと思う。
「元気なったね…」
愛おしくて根元を撫でさすりながられろれろ舐めてみる。どんどん硬度が増してゆくのを嬉しく感じていた。
「松莉…挿れたい…」
「私も…して欲しい…」
口を離すと、手を引かれ立ち上がった。
「こっち向こうか」
バスタブの向かい側に手すり兼タオル掛けがある。それを掴むように言われた。
「お尻もっと突き出して…」
恥ずかしいけど言われる通りにする。チョロ松はまず指で触れてきた。そこは洗い流していなかったのでまだ濡れていて、ぷくっとしたクリトリスを弄られると甘い声が溢れた。
「ここ…だよね」
入り口の場所を確かめて、少し指を入れてくる。
「うん…そこ…」
「もう挿れていい?」
「挿れて…チョロ松兄さん」
松莉も待ちかねて、もう少しお尻を突き出してみる。チョロ松ははぁはぁと興奮した息遣いで、指をガイドに己自身を当てがった。
「じゃあ…挿れるよ…」
ゆっくりと進めてくる。中に分け入ってくる感覚に、背を仰け反らして悦んだ。
「はぁ、っ、チョロ松兄さん…っ…」
ぐっと手すりを握りこむ。チョロ松の大きな手も同じ手すりを掴んでいた。
振り向いたらまたキスをされた。繋がったまま、舌を絡め合う。
深く探り合うキスを堪能してから、チョロ松はゆっくりと動きを加え始めた。
「あ…チョロ松兄さん」
「アァ松莉…気持ちい…」
手すりから手を離すと、松莉の腰を掴んで自分の腰を打ち付ける。少しずつ激しさを増してゆくごと、互いの吐息も荒くなり、動きに合わせて松莉の喘ぎ声が漏れる。
「ああ…あんっあんっ…」
「はぁだめ松莉…もうっ…僕、早いよねぇ?」
また比べているのかな? と思う。松莉は首を左右に振った。
「いいよっ気持ちいいから…松莉もイキそうだもんっ…」
「じゃあ、イクよっ、松莉…ああ…」
「チョロ松兄さん…一緒に…松莉もっ…あ!」
頭の中何かが白く弾けて、危うく崩れ落ちそうになる。
体から抜かれた直後、腰に熱いシャワーを浴びた。
「はぁ…」
ぺたん、とその場に腰を落としたチョロ松に、向かい合うようにして松莉も膝をつく。
両腕を差し伸べて、ハグした。
「気持ち良かった…」
「私も…」
頬を寄せて笑い合い、じゃれるようにキスを重ねた。
END