部屋にはカラ松ただ一人。しかも服を脱ぎ捨て、タオルケットにくるまってソファで昼寝をしている。
チャンスだ、と思った。 即座に何のチャンス?とセルフツッコミが入る。
松莉は後手に戸を閉め、そーっとソファに近付いた。
この間3番目の兄と体を重ねたソファで、次兄がすやすや気持ち良さそうに眠っている。そう思うと体の奥が甘く疼いてしまうのだった。
脱ぎ捨てられた上着を手に取る。痛いと言われ続けられながらも愛用をやめない黒のライダースジャケットに顔を近付け、匂いを嗅いでみた。男臭い。2番目の兄の匂いだ…。
さっきからムラムラしているのを自覚していた。ライダースジャケットを抱きしめるようにして、膝をつき、兄の顔を覗き込む。こちら向きになって寝ているので、よく見えた。ヨダレを垂らしてどちらかというとだらしない寝顔だが、松莉は自然に笑んでいた。
起きているときにはいつもカッコつけている兄の、これが素の姿と思うと愛おしい。
気持ちのまま、そっと頬に口付ける。全く目覚める気配がない。
それならと、革の上着を元に戻し、タオルケットをゆっくり剥がしてみた。タンクトップにトランクスというリラックスした格好に、胸のドキドキが止められない。
無意識に手を伸ばしていた。トランクスの上から、兄の体に触れようと…。
「…何してんの」
ひっ、と喉の奥に悲鳴が張り付いた。
弾かれるように背後を振り向く。
入り口のふすまを少しだけ開けて、猫背の男がこちらをじっと見据えていた。
「い…一松にい…」
何故か体に悪寒が走る。ソファの前に膝をついたまま、動けやしない。
4番目の兄は音もなくふすまを開け、また閉めて、すっと近付いてくる。全く気配を感じなかった…猫みたいに忍び寄って来たのだろうか。
「寝てる奴犯すつもり? そんなに溜まってんだ…セックス三昧のくせに」
松莉の背後にぴったりとついてきて、耳に口をつけるようにして囁く。
「それなら俺がしてやるよ、淫乱女…」
「…っ…」
妹に言う言葉ではない。そもそもこんなふうになった元凶は誰だ。
振り向いて睨みつけるが、兄の恐ろしいほど冷たい目にギョッとして前を向き直った。こんな緊迫した中でも、カラ松は平和に熟睡している。
「四つん這いになれよ、そこで」
「…いやよ一松兄さん…するっていうなら私の部屋で…」
「駄目だね…」
ぐっと胴を抱え込まれ、無理やり四つん這いの格好をさせられる。何か返すより早くショートパンツと下着を下ろされた。
「や…」
「大声出すと、奴が目を覚ましちまうぞ…まあ俺は構わないけどな」
妹のすべすべしたお尻を撫で回したり、ジャージ越しに下半身を擦り付けたりしていたが、戯れに飽いた一松は自らも膝をつき、松莉のお尻を後ろから覗き込んだ。
「ひひっ…可愛いなぁ松莉のケツの穴…」
「いや!」
思わず大きな声を上げてしまい、自分で口を塞ぐ。
「んん…」
カラ松は眉間にシワを寄せ身じろぎをしたが、すぐにまたすやすやと寝息を立て始めた。松莉はホッとする。こんな姿を見られたら…。
「あ…!」
後ろから手を差し入れられてビクリとする。
「…なんで濡れてんの?」
蜜壷から引き抜いた指を目の前にチラつかせられ、口に突っ込まれる。松莉はぬるりとしたしょっぱいものを味わわされることになった。
「ほら舐めろよ。お前のエロい汁が俺の指を汚したんだ、綺麗にしろよ…」
ぐりぐりと動かされ、必死に舌で追って舐め取る。
ようやく口から引き抜くと、一松はその指で松莉のアナルに触れた。
「ケツの穴、弄られたことある? こんな風に…」
逃げようとする腰を捕まえ、松莉自身の唾液を丁寧に塗りこんでやる。
「答えろよ松莉ぃ…」
「な、い…」
なぜか逆らえない。松莉の返答は変態を喜ばせた。
「ひゃはぁ…それなら、こんなことも…」
ぐっとお尻を掴まれて、広げられたと思ったら、柔らかい何かがアナルに触れた。舌だ、舐められている…。全身がぞぞぞっと粟立つ。目の前ですうすう寝ている次兄の前で、逃げることも声を上げることも叶わず、松莉はただ硬直して受け入れるしかなかった。
舌の先を尖らしてつんつんつついたり、べろべろと舐めあげたりしてくるのを、ただ黙って…。
「はぁっ…」
息が上がる。決してそこ自体は刺激されて感じる場所ではない。それなのに、下腹に甘い疼きを感じずにはいられない。
それは一松にも見抜かれていて、一度口を離すと今度は指で弄りながら囁いてきた。
「ケツで感じるってどういうことだよ。…あーエロいのが流れてる…」
一松は太ももに舌を這わし、ぬるぬるを舐め取る。
「あ…」
そんなところまで濡らしていたとは、自分でも驚きだった。
「寝てる奴の前で犯されるのが、そんなに感じるのか? あぁ?」
ぐちゅぐちゅと、今度は前を弄られて、声を抑えきれなくなる。松莉はタオルケットを噛んで耐えた。
クリトリスを刺激しながらアナルをべろべろ舐めてくる。
「挿れて欲しいかぁ?」
松莉は無言で頷いた。我慢できないというよりも、早く終わって欲しい気持ちが勝っていた。
「じゃあキッチリおねだりしてみろよ…」
「ち、ちょうだい…」
「ちょうだい? 下さいだろー?」
「下さい…一松兄さん…」
「足りねぇなぁー。何を下さいって?」
下半身を出して、一松は屹立した己の先っぽで妹のアナルをつついた。
これはエロ本やAVでよくあるあのセリフを言わないことには収まらないのだろう。
早く終わらせないと次兄が起きてしまう。
松莉は意を決した。
「い…一松兄さんの、おちんちんを…松莉のおまんこに、挿れてください…!」
「ん…?」
むにゃむにゃと、目をこすって…
(う、嘘でしょ…⁉︎)
そこでカラ松が、目を覚ましてしまった…!
「あっはぁー! よく言えましたあ。ほらよご褒美だぁー!」
「あっいや待って、そこ違う!」
「チッ…んじゃあここのバージンはまた今度…」
背後で不穏なことを呟いて、しぶしぶお尻に突き立てようとした陰茎を引いてくれたが、松莉にはそこにばかり構っていられない。
目を開けた2番目の兄と、至近距離でバッチリ目が合っていたのだ。
「ん…? 松莉…」
「ダメっカラ松兄さん…、っああんっ!」
背を反らす。一松が一気に突いてきたのだ。
「……」
のそのそと体を起こして、カラ松は周りを見回した。
起きた途端こんな光景…妹が四つん這いになって弟に犯されているなんて…。兄はどう思うだろう。
それでも激しく突かれて声が止められない。涙で曇った視界の中で、カラ松が弾かれたようにソファから起き上がり、物凄く素早い身のこなしでパーフェクトファッションをかき集めると出口に駆けていくのが見て取れた。
「ま、待って、カラ松兄さん!」
引き止めてどうするという考えもなく、気がついたらそう叫んでいた。
「は、話があるなら後で…シスター」
2番目の兄は止まらず、バタバタと出て行ってしまった。
『あれーカラ松、何そのカッコ。さてはお前もとうとう童貞卒業したかー?』
廊下で能天気な長兄の声がした。松莉は緊張したが一松は全く意に介さず、ずちゅずちゅと腰を動かしている。
『ちっ違う、暑くてな…』
『ふーん。松莉いるかな?』
『まっ待て、いない、誰もいない。あーそうだ、競馬に行こうブラザー。俺が軍資金を出してやるぞー!』
『えー本当⁉︎ 行く行くー!』
階段を降りてゆく二人の足音と遠ざかる話し声に、力が抜ける。カラ松は本当に優しい男だ。
「フン…クソ童貞が…」
下手に見るように呟くと、4番目の兄は更に激しく突いてくる。
「あいつを呼び止めてたなぁ…何でだよ…松莉ぃ…」
「あっあっ…」
「クソ松ともヤリてえのかよ、え? とんだビッチだなあ!」
「違っ…ひぁぁ…っ!」
タオルケットに爪を立てる。襲い来る快感に何もかも押し流されそうだった。
「ゴミクズの兄貴に、犬コロみてぇに犯されて…喜んでんじゃねぇかよ…こんなに汚れた女、あのクソは抱いてくれねぇよ!」
「あっあっ…」
「うぁ…もう出る…出るっ…!」
後始末をして、二人はともかく服を整えた。さっきまでのSっけはどこへやら、一松は甲斐甲斐しく松莉の秘所を拭き清め、ショーツとショートパンツを上げてやり、優しくソファに座らせてくれた。
「どうしてあのとき、カラ松兄さんを縛ってしまったの?」
自分はソファではなく妹の足元にうずくまるように座った一松に尋ねかける。最初にこの部屋で、4番目の兄が自分を抱いたときの話だ。
「…別に…クソ松に松莉はもったいないから…」
声の調子もすっかりいつものぼそぼそしたものに戻っている。
「…一松兄さん、もしかしてカラ松兄さんのこと好きだから、それで私とはさせたくなくて…」
「…BLとか見過ぎだろ」
一松は顔を上げもせず、右脛をそっと撫でてきた。
「何、くすぐったいよ一松兄さん」
松莉は笑う。一松は撫でるのはやめてそっと頬を寄せてくる。
「さっきの…全部嘘だから…松莉は僕にとって女神様だから…」
「大袈裟だなぁ…でも、そういえば、ビッチとか汚れてるとか言ってたよねぇ…」
「ご、ごめん…」
気弱に下を向く。ここで責めてなじれば大喜びするだろうから、いじめてあげないことにする。
「許して…」
土下座のような格好をしたと思ったら、足の甲に軽い感触。
「はぁ…」
足にキスしてうっとりしている。
変態四男の二面性には、松莉も苦笑いするしかなかった。