※この作品はR-18です。

女性化願望の果てに   作:姫野真沙美

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その2:性転換手術

 松戸の車に乗り込み、施設に着く。

 

 知らない男の車に乗り込むのはどうかと思ったが、女の子になれるかもしれないという誘惑に勝てなかった。

 それに家はそんな裕福でもないので、誘拐して身代金要求したとしても割に合わないだろうし。まあ、そんなことを誘拐犯が考慮するかどうか。そもそも僕にはわからないのだけれど。

 

 案内された施設は山奥にあるこぢんまりした建物だった。

 白いコンクリートの四角い建物。窓がちょこちょこ付いている、3階建てだった。

 

 通された部屋は小さい窓の無いところで、会議用の長机が1つとパイプ椅子が2つ在るだけだった。

 松戸は、しばらくここで待つようにと言い残して部屋を出て行った。

 パイプ椅子に腰掛けて所在なく部屋を見渡す。

 

 何もない部屋。灰色のコンクリートの壁があるだけ。他には何もない。

 すぐに見る所がなくなってしまった。

 

 程なくして松戸が戻ってきた。

 

「では、ご案内します。こちらへどうぞ。」

 

 松戸に付いて行った先は手術室の脇の部屋だった。

 

「今から手術室をご案内致しますが、無菌状態を保つため、入室する前に消毒を行いますので、これに着替えてください。」

 

 そう云って旅館で着る様な着物を渡された。

 

「そちらの部屋で着替えてください。」

 

 松戸が指差す先には、小部屋が在った。

 松戸の言葉に従って、小部屋に入り、渡された着物に着替えた。

 

 小部屋から出ると、今度は消毒するからと云って、別の部屋に案内された。

 

「さーっと霧の様なものが出ます。それで消毒します。害は無いので呼吸しても問題ありません。」

 

 そう云って松戸は部屋の扉を閉めて出て行った。

 

「では消毒を開始します。」

 

 部屋の中にスピーカーが在り、松戸の声が部屋に響いた。合図とともにシュウウウウっと霧が天井から降り注いだ。

 

「あ、眼に入ると痛いかもしれませんので眼を瞑ってください。眼を瞑るとバランスを崩されて倒れる方もいらっしゃるので、どうぞ横になってください。」

 

 松戸の言葉に従い、ゆっくりとその場に仰向けになり眼を瞑った。

 

「終わりましたら合図いたしますので、そのままじっとしていてください。」

 

 手術室に入った事は今までに一度もない。病院の手術室って入る度にこんな面倒な事をするのだろうかと、疑問に思ったが、考えても仕方がない。後でネットででも調べようと思った。

 

 シュウウウウウ

 

 霧はずっと降り注ぎ続ける。

 一体どのぐらい待てば良いのだろうか? 予め聞いておけばよかったと少し後悔した。

 霧が肌にあたり少し不快ではあるが、別段呼吸する分には気にならなかった。

 

 ただ、手足の感覚が鈍くなって……

 

 

 

 

 ※※※  ※※※  ※※※  ※※※

 

 

 

 

 あれから何日が経ったのだろうか?

 

 いつの間にか眠っていて、気がついたらベッドに寝かされていた。

 身体はどういうわけか全く動かすことが出来ない。何かで拘束されているわけではない。なんというか、身体の動かし方を忘れてしまった様な感じだ。

 動かせるのは眼だけ。首も動かないので、天井とその周辺が視れるだけだ。

 

 ときどき何度か松戸がやってきて、見えないところで何かをやっているようだった。

 

 

 そんな日々が続いたある日の事。

 

「そろそろいい頃合いです。今から少しずつ身体が動く様になって来ます。でも急に動かしてはダメです。慎重にね。」

 

 そんな松戸の声が耳元で聴こえた。

 

 身体を動かそうとしたが、やっぱり動かし方がわからない。

 ぴくりとも動かない。

 声を出そうとしたが、声も出ない。

 松戸はまた見えないところで何やらごそごそした後、

 

「また後で来ます。」

 

 そう言い残して、松戸は部屋を出て行ったようだ。扉の閉まる音がした。

 

 時間の経過とともに、徐々に身体を感じる事が出来るようになって来た。

 動かし方がわからないという感覚が、そのとき身体そのものの感覚が無くなっていたんだと気付いた。

 ずっと寝かされていたせいだろうか? 身体の節々が痛み、背中やお尻が特にきつかった。

 寝返りをうとうと身体を捻ったとき、手首が拘束されているのを感じた。

 

 首をゆっくりと動かして左の手首の方を見ると何か黒い物が巻かれており、ベッドと繋がっていた。

 右手首も同様に繋がれている。

 最初、拘束されていないと思ったのは間違いだった。身体の感覚が無かったために拘束感も無かったのだ。

 

 なんとか拘束を解こうとしたが全く外れる様子は無かった。

 

 無理に引き抜こうとした手首がひどく擦り切れて痛んだ。

 

「ちゃんと動けるようになってみたいだね。」

 

 そう云って松戸が部屋に入ってきた。

 

「な、、に、、を、、」

 

 声が掠れてなかなか出ない。

 

「後は、見た目だけじゃなく、君自身の感覚がちゃんと女の子になっているか試験しないとね。」

 

 こちらの藻掻いている姿を完全に無視して、松戸は話を進めた。

 

 え? 今なんて?

 

「い、、今、、、女の子になっているか、、、ってい、、った?」

 

 たどたどしくも何かと言葉が出た。

 

「そうです。もう貴方は女の子ですよ。あーすみません。事情が事情でしたので、貴方の好みを訊く事は出来ませんでしたので、申し訳ありませんが私の好みの女の子に仕上げました。そこはどうかご容赦ください。」

 

 確かめるために自分の胸元視るが、よくわからない。確かに膨らみがあるような気もするが。

 よし、揺らしてみよう。

 

 ぷるんぷるん

 

 身体をふるふると揺らすと、確かに胸のあたりが大きく揺れているのを感じる。結構大き目かもしれない。

 すぐにでも着物を脱いで眼で確かめたい。そして手で触ってみたい衝動に駆られる。

 

「ぉい、、、この拘束を、、外してくれよ。」

 

「まあまあ、お気持ちはわかりますが、まだまだ検査が必要なので。検査が終わり次第、ちゃんと開放して家に帰してあげますので、どうか検査に協力お願いします。」

 

 あ、そうか。もうあれから何日も経ってるはずだ。親が心配してるだろうな。

 そしてちゃんと家に帰してくれるなら幸いか。このままここで実験体とかかと思って怖かったし。

 でも、女の子になって家に帰って、それから僕はどうなるんだろう。それを考えたらまた怖くなった。

 確かに僕自身女の子になりたいと思ったけど、実際になったら後、どう生きていけばいいのか、そんな事は考えた事も無かった。そもそもに、女の子になれるなんて思っていなかったから。

 

 僕が思案していると、松戸は返事を待たずに僕の着物を手際よく脱がした。

 

 何をするんだと反発しようと思ったが、同時に自分の胸を視れるチャンスであり、そっちの方が気持ちが強かった。

 仰向けに寝かされたまま、顎を引いて胸を視る。

 

 そこには確かに、丸く膨らんだ形の良い乳房が2つ在った。Cカップぐらいは在るだろうか? 詳しくは知らないけど、よくDカップって云われるグラビアアイドルだか芸能人だかと比べるとそれよりは小さいけど、ぺちゃんこでもない。充分におっぱいだと主張している。

 

 ああ、これが僕のおっぱいなんだ。そう思うと感動とともに興奮してきた。身体が熱くなる。

 しかし、いつもなら有る股間の膨張が感じられない。そして今見える位置からだとその存在も確認出来ないが同時に、女性のそれであるかも確認出来なかった。

 

「お気に召された様ですね。ちなみに豊胸手術とは違います。本物の女性の胸と寸分違わないものです。」

 

 豊胸じゃないんだ。本当に、女の子のおっぱいなんだ。それはすごい。そしてそれなりに大っきい。

 

「では、最後の検査を行います。これでOKであれば完成です。」

 

 僕が満足しているのを見て取ると、松戸も満足そうに笑った。

 松戸は手を僕の後頭部に回すと、僕を抱き起こすのかと思いきや、そのまま唇に唇を合わせてきた。

 

「んっぅ――」

 

 突然の事に、自分が何をされているのか理解するのに時間が掛かった。

 キスだ。キスされてるんだ。何? なんで? え? 僕のファーストキスがこの中年オヤジ?!

 

 松戸を振り払おうと藻掻くも、手首は拘束されているし、松戸の腕にしっかりと頭を押されられているため身動きがとれない。

 

 松戸は散々唇の周りを舐め回すと、唇を離して、ベッドの脇の計測器を観た。

 

「うーん。今ひとつ反応がよくないですね。女性としての興奮はありませんでしたか?」

 

 女性じゃない、いや、いままで女性じゃなかったんだから、女性としての興奮と云われたって解るわけがない。それに仮に女性だったとしても、こんな急にキスされて興奮とかするのかどうか、それも疑問だった。

 

「いきなりやられてもびっくりするだけです。」

 

 松戸に文句を云ってやった。そして声が普通に出て、いや、普通じゃなかった。声がようやくちゃんと出るようになったものの、その声音は、僕のものじゃなかった。正確には、以前の僕のものじゃなかった。つまりはそう、女の子の声音だった。

 

「うむ。なかなか良い声だね。よかった。声帯の方は問題ないようだ。うーん。だが、そうか。いきなりとか、単純にキスするだけではだめかあ。ムードというやつか。でも私はそういうのは苦手なたちでねえ。まあいいか。キスは後回しにしましょう。」

 

 そう云うと今度は僕の胸に手をあてて揉み始めた。

 

「ちょっと、何するんですか? 検査って、それ検査なんですか? 単にエッチしたいだけじゃないんですか?!」

 

 気持ちいいとかなくてなんかよくわからない。それよりも、この松戸という中年オヤジに犯される事が受け入れられない。

 

「心外だよ。君。私は科学者だ。エッチがしたいわけじゃない。もちろんしたいが、それ以上に、今は君が本当に女になっているかを確かめたいんだ。男に触られてちゃんと女として感じるかどうかをね。」

 

 松戸は凄く熱の入った口調で捲くし立てた。嘘や誤魔化しは感じられなかった。確かに松戸が云っている事に嘘偽りは無いのかもしれない。僕を女にしてエッチしたかったわけでは無さそうだ。

 

「見た目や身体の中身全てがちゃんとした女なのに、エッチしたときに何も感じなくても君は満足かね?! んん?」

 

 そっか。確かに、おっぱいがあって股間のイチモツが無くなっても、身体が何も感じないとかだったらすごくもったいないかも知れない。どうせなら、ちゃんとした女になりたい。

 

「わかりました。検査に協力します。」

 

 このまま仮に開放されたとして、なにか不具合が有ったらその方が問題だ。ここは大人しく検査されて完全な女にしてもらう方が、いいかも。もうここまで女にされたんだし。同意なしにされてしまったことは不愉快じゃないといえば嘘になる。でも、勇気が無かっただけなので、ちゃんと女の子にしてもらえるなら僕としては文句は無かった。後のことはどうするか気になってはいるけども。それはそれ。後の話だ。

 

 もみもみもみ

 

 松戸を検査機とにらめっこしながら僕の胸を揉み続ける。

 まったく気持ち良くならない。

 

「うーん。どうもダメみたいだね。おかしいなあ。失敗してるとは思えないんだけど。」

 

 松戸は真剣に悩んでいる様子だった。

 

「あの、ちょっといいでしょうか?」

 

「何だい?」

 

 女性だった経験が無い僕でも、何となく何が問題だかわかる。つまり、

 

「ただ触るだけだと、感じないんじゃないでしょうか? やっぱりAVとかであるような言葉とか、そういう雰囲気創りって大事なのかも知れませんよ。」

 

「AVなんて観たこと無い。いや、まったく無くは無いけど、覚えてないよ。」

 

 なんだって。この人、もしかして研究にしか興味無いって系か?!

 それなら、僕の乏しい記憶から導き出した答えを。

 

「じゃあ、胸全体じゃなくて、その、乳首を摘むとか、ぐりぐり転がすとか、後、股間の、そのクリトリスをいじるとか、そこなら感じるかもしれませんよ。」

 

 なんかすごく云ってて変な気分になってきた。男なら別にただのエロイセリフなんだけど、女になった自分の身体の部位をこういうふうに弄ってくれとか、自分の口で云うとかなんかすごく羞恥プレイじゃないか。

 そう思うと凄く恥ずかしい事を云っている自覚が湧いてきた。女の子だったら絶対自分から云わないセリフだ。よく無理やり恥ずかしいセリフを云わせるってシチュエーションがあるけど、やっぱりそれってこんな風に女の子側としては恥ずかしくてそして興奮しちゃうのかな。

 

 あくまでも僕の想像上の女の子の感覚ではあるけれど、女の子の感覚に同調している気がしてさらに興奮度が増してきた。そして僕の身体もそれに反応して疼きだしてきた。

 

 はやく触って欲しい。触られたらきっと凄く感じて気持ちいいに違いない。

 その思いが逸る。それがさらに耐えられないような疼きを生み出し始めた。

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