ベート・ローガは好かれると同時、弄ばれているようです。 作:飛鳥
__気持ち、悪ぃ……。
そんな最悪な気分で、ベートは自室のベッドの上で目を覚ました。
どうやら昨日は、理性を飛ばして気絶したらしい。
どろりとした汗が身体中に伝ってるような不快な感覚に、ベートは顔をしかめて、ベッドから降りる。
寝巻き代わりの薄い肌着が酷く濡れていて、癖のある髪をぐしゃぐしゃとかき混ぜながら大きな溜め息をついた。
__風呂に入ったらすぐに、ダンジョンに行っちまおう。
流石に彼女等も迷宮の中では襲っては来ない。
他からすれば意味もわからないだろうが、ベートからすればダンジョンは安全且つ安心の休憩場所だった。
最悪泊まりでも良い、今日は【黄昏の館】に帰ってきたくはない。
昨日のティオナの言葉が頭から離れず、彼は明るい顔をしないまま風呂場へと向かった。
▼▼▼
「……ふぃ__……」
ひとっ風呂浴びてさっぱりすると、俄然ダンジョンへ行くやる気が出てきた。
よし、と小さく声をあげ、ベートは手早くダンジョンへと向かった。
▽▽▽
「っち……やっぱ手応えがねぇ……」
地下十八階層。通常【地下の楽園】。
予定よりも出発してから時間がかかり、地上で太陽が高く上る頃、ベートはそこに立っていた。
さっさと下の階層に行ってしまおうと、軽いあくびを噛み殺していると、
『うわぁああぁああああっ!!』
「……………………」
非常に聞き覚えのある悲鳴が、下の階層へと続く階段から響いて来た。
ついでに、不特定多数の足音とモンスターの独特な臭い。
「……っち」
ベートは非常に面倒だった。
何れだけかと言うと、自分のいるこの世界が壊れると知っても駄眠を貪りたい位に面倒だった。
だが非情な訳ではないし、何より__
「__ぶっ飛ばされに来てんじゃねぇよ、モンスター共よォ!!」
__苛々を何かにぶつけたかった。
案の定、例の白髪頭の兎野郎が引き連れてきた大量のモンスターを、ベートは思いきり狩り散らした。
突然の事に呆然とするベルなんて放っておいて、怪物の悲鳴も掻き消す勢いで殴打の音がなる。
__数分とたたず、そこには灰の山が出来、その中心でベートはどことなくすっきりした表情で立っていた。
「ぁー……もうちょい、下行くか」
「あっ、あのっ!」
混乱する兎には目もくれず、立ち去ろうとする狼にベルは慌てて声をかける。
振り返ったベートに、ベルはありがとうございました、と礼をした。
それを見たベートは、
「……飲みに行くか」
「へっ?」
首根っこをつかんで、リヴィラのとある酒場へと歩いていった。