一息つきながら、再生機器に入った記録媒体を入れ替える。
外はだいぶ暗い。
日がそろそろ沈む時間だ。
(早いもんですねー)
司令官は、まだ帰ってこない。
ぐぅー
腹の音が執務室に響く。
小腹も空いてきた、そういえば棚に、
「あったあった」
ミント味の飴。
清涼感が強い、タブレット菓子一歩手前。
抜けた小鼻を少し揉む。
あまり甘くないが、これでも腹の足しになる。
「さぁて、次は何が出ますかね」
画面下のシークバーを操作し、さっきまでの再生位置へ。
そして早送り、次のレポートの日付まで。
* * * * * * * * * * * * *
第八記録
積極的な受診
* * * * * * * * * * * * *
お決まりのように金色の髪をした少女が入ってくる。
ただ違うのは。
「どうした皐月、ノックもしないとは」
ノックもせず上官の部屋に入るなど、本来はならぬ事。
とはいえこの鎮守府は若干緩い。
相手が駆逐艦で、しかもひどく悩んだ表情をしているとなれば尚更だ。
「あ、ごめん司令官」
扉の向こうに回り、ノックして入りなおしてくる。
その様に、画面の中の司令官と同時に噴き出してしまう。
「も、もう!笑うなってば司令官!」
怒る姿も可愛い。
「いや、すまない。なにぶんおかしくてな」
「もう!」
「それで、何の用事だい」
「あ、うん」
さっきのでだいぶ緊張がほぐれた。
深刻に悩んでいた皐月が話題を切り出す。
「えっとね、司令官その……いつもみたいに、お尻触って、ほしいんだけど」
その顔は赤く。
「だめ、かな?」
眩しいほどの笑顔だった。
「それは、普段のような処置をしてほしい、ってことかい」
「あ、うん!そ、そうだよ!」
「ふむ」
足を組み悩む。
これは想定外だったらしい。
このヘドが出る悪党にとっては願ってもない申し出だろう。
レポートにも、喜ばしいなりなんなり書かれている。
ただ、まさか……おねだりまで、し始めるとは。
「処置は、できない」
「えっ!?えぇぇっ!!」
驚きに声を上げる。
それはそうだろう、画面のこちら側も驚いた。
ただ、これはレポートとしてまとめられている、つまり。
「どうして?!どうして司令官!前は毎日してたのに!なんで今日はダメなの!!?」
「落ち着け皐月」
あまりの驚きに錯乱し騒ぐ皐月。
自分の頼み事がどういうものだとか、そういう事を失念している。
「最初こそあの薬剤は連続使用したが、本来はもう少し――今くらいの間隔を開けて使うのが正しい使用方法なんだ」
使用間隔は、別に薬そのものとは関係が無い。
ただ単にスケジュールの問題だ。
「だから皐月。処置以外でなら、してあげられるぞ」
「うっ」
処置という名目は奪われた。
これは罠、名目を奪い、おねだりだと認識させるための。
とはいえ、前に触るのは良い事だなんだとのたまっていた。
完全には無理だろう。
「皐月、気持ちよすぎるか?」
「ぐっ……」
畳み掛ける。
少女は考える、考えている間に。
「気持ちいいのは良い傾向だ、ただ今日の用事はその気持ちよさだけが欲しい、違うか?」
「うぐっ……」
さらに畳み掛ける。
いつの間にか、少し責めてるような形になっている。
残る羞恥と、僅かな罪悪感が大きくなる。
「だが、皐月の是非ともない頼みであれば仕方がない」
「…………」
「皐月。どうしても、してほしいか?」
少女が頭を抱えて唸る。
顔は真っ赤で、今にも泣きだしそうだ、が。
「して、ほしい。お願い……司令官」
* * * * * * * * * * * * *
「これで、いいかな?」
皐月が執務室の机に腹這いになり、下着を晒す。
下着はグレー、スポーツタイプだろうか。
足は宙でぷらぷらと浮いている。
体勢自体は普段とあまり変わりないが、机というのが背徳感を誘う。
「それで皐月、どうしてほしいんだ」
「えっ!ボクが言うの?」
「皐月の頼みだからな、言ってくれればその通りに」
「えっと、じゃあ普段みたいに揉んで……」
指示に従い、手が伸びる。
下着の上から揉み始める。
「んっ、ふっ」
息が漏れる。
ただ、手つきは普段より拙い。
動きが硬いというべきか。
「んっ、んっ……んん」
刺激に声が漏れ続けるが、不満そうだ。
単調な動きを繰り返し続ける
「あのさ、司令官。もっと……いつもみたいに……」
「いつものように揉んでるとも、もし違うならどこが違うか言ってほしいな」
こうなると自分の要求を言うしかない。
良い具合の場所を告白させられるようなものだ。
「うぅ……えっと、いつもだったらもっとこう、激しく?」
揉み方が強くなる。
だが、力任せな荒々しすぎる手つきだ。
「いたっ!止めて、いたいよ!司令官!」
「言われたとおりにしたんだけどな」
にやにやと笑っている。
その笑みに、何か合点がいったようだ。
体越しに振り向いていた頭を前に向ける。
「えっと……まずボクのお尻に、手をそえて」
言葉通りに、手を添える。
ぴたりとも動かない。
「じゃあそのまま、ゆっくり……つかんで」
手がゆっくりと鉤状になっていく。
尻肉に指がじわじわと食い込んでいく。
「ストップ!……そのまま、ゆっくり回すように、して」
少し言葉を詰まらせながら、指示を出していく。
ぷるぷると震えている。
怒り、じれったさ、もどかしさ、面倒。
顔は見えない。
その後もいくつか指示を続けるが、
「あぁーもうっ!司令官のいじわるーー!!」
キレた。
「もういいもん!司令官!言う事聞くんだよね!」
「そう言ったな」
「じゃあ司令官!ボクのこと……気持ちよく、して!」
単刀直入な指示。
裁量に任せるということだ。
「わかった」
流石に、あそこまで細かい指示を求めすぎたのは失敗だった、と悟ったのか素直に応じる。
「ただ皐月、おおまかな方向性は欲しいな。どういうのがいい」
「……お尻の、穴とか……」
顔を伏せて返事をする。
耳まで真っ赤だ。
「じゃあそのあたりを重点で」
グレーの下着を下ろす。
中央に少しシミがあるが、構わず脱がす。
缶を取り出し、さっと拭く。
いつもよりあっさりと。
そして、おもむろに顔を近づけた。
「ひゃぁぁぁっ!」
たしか最近の処置内容には入っていなかった。
だから皐月にとっては少し久しぶりな感触、と言えるだろうか。
「あっ、あぁぁっ……!」
体が跳ねる、足がバタバタと動く。
ぶつかりそうになった足を押さえつける司令官。
唾液の絡んだ卑猥な音が響き渡る。
ぐぷっ!ぢゅぷ!
じゅぼっ!ぐぷぷっ!
わざと音を立てるように舌を抜き差しする。
そして深く突き、中を掻き回す。
「んぁっ!うごいてぇ、しれいかんの!べろうごいてる……」
呂律が怪しい。
感度は良好になってしまったようだ。
と、舌が引き抜かれる。
「んんんぅぅう!……あっ!はぁ、はぁ……あれっ?」
再度突き立てられるのではないかと身構えるが、顔は離れていく。
何をしているかと言えば、棚をごそごそと漁っている。
「なにしてるの……?」
「いいものを用意していた事を思い出してな」
「いいもの?」
取り出されたのは、いくつもの球体が連なった何か。
全体としては棒状、たぶんだがアナルパールと呼ばれる代物だ。
「えっ、ちょっ、なにそれ……?」
「これはなこうして」
ビン。高速修復剤とローションの混合液。
それを少しずつ垂らし塗りたくると、ゆっくりと尻に近づけていく。
「やっぱりそれ、入れるの……?
「任せる、と皐月が言っただろう。どちらにせよこれは使うつもりだった」
言いながら、先端の球体――根元につれて大きくなっている――が沈む。
体が異物に震える。
指や舌と比べて異物感は、どうなのだろうか?
「ぅあ……んっ!」
そのまま一つずつ奥へと送り込んで行く。
粒の一つ一つを意識させるように、時間をかけて入れていく。
玉の表面に付いた液体が、すばまりに阻まれ垂れていく。
最後の一粒が入る。
尻尾のように、最後尾についたわっかが出ている。
「っはぁ、はいり、きった?」
「あぁ、一つ一つが分かれている分、何回も刺激されただろう」
「あ、うん……」
「そしてこれからが本番だ」
引き抜く。
「あぁっ!」
一番後ろの大きな粒が出てくる。
続けてもう一つ、さらに一つ。
中々の速度で引き抜かれ、断続的な刺激が皐月を襲う。
「んあっ!あっ!だ!だめ!これっ!なんども!あんっ!」
球が出る度に、抗議の声は区切られる。
最後の一粒が出た時には腰砕けだ。
時折ぴくぴくと震えるもののぐったりとしている。
「少々刺激が強かったか」
言いながら、また棚を漁る
取り出したのは、
「"口直し"といくか」
今口に含んでいるものと同じ、ミント味の飴だった。
* * * * * * * * * * * * *
「げふっ!げふっ……!」
思わず咳き込む。
「使うんですか?!これ!!?」
あの器具などはもうここには無かったが、あの飴だけここに残していったらしい。
しかし……どう使うのだろうか。
(入れ……そんなまさか……ねぇ?)
司令官は自分の口に入れた。
これはこれで使い方が今一つ分からない、が。
本当に自身の口直し、いや。
「へぇっ?しれいかん……?あっ!うあっ!なに、これ!」
再度、顔を近づける。
「んんっぅ!なんか……すごい、ぴりぴりしてっああっ!」
合点がいった。
飴を口に含んで溶かし、清涼感を舌で……ということだ。
「あぁぁ!なんかあたって、んあっ!」
飴だ。
舌で押し付けるように飴を口から出している。
それでわざと異物感を与える、とそういうわけだ。
ある意味では口直し、なのだろうか。
「しょーどくするときより……すっごい、すーすーして、んんんっ!!」
息が吹きかけられる。
濡れとメンソール、そこに風を通せば効果は絶大。
「あぁぁぁっ!しれいか、ん!それ、おかしくなっちゃうぅ……」
拒絶のような嬌声。
それに応えるように、舌が嬲り、たっぷりと唾をつけられ、息を吹きかけられる。
「あぁっ!だめっ!だめだよっ!なにいれたの!」
飴を半ばまで差し込む。
そしてそれを吸い込む。
ちゅぽん。
「あぁぁんっ……♡」
その外見に似合わない、悩ましい声が一際響く。
明らかな嬌声。
体が震え、脱力する。
今までもぐったりとなることはあった。
ただ、これは明らかに蕩けている。
つまり、この年にして……後ろでイク事を覚えた、という事になる。
「もういいかな、皐月。」
「……っぁ、あぁぁっ……」
胡乱な目、朧な表情、垂れる涎。
返事が出来る様子は無い。
その耳元に、囁かれる言葉。
「自分から求めるなんて、うれしいよ。皐月」
そう言って、布団へと送った。
このレポートはここで終わり。
この日は布団で何もしていない。
"この日は"、だが。