ねてもさめても、あのえがお 作: 池田
「ふぁ……あ」
ベッドの上に寝っ転がりながら、私は大きく欠伸をする。
今日はなんだか疲れた……。
ウトウトしながら、私は学校でのことを思い出していた。
あのトイレでの出来事、空き教室での彼女の表情。
ぼんやりした頭の周りを、そのふたつが仲良くぐるぐる周っている。
このまま眠ってしまうのも良いかもしれない……。
なんて思い始めていた頃、唐突に聞こえたノックの音で私の目は一気に覚めた。
「……なんだ、一体」
ノックというのは、普通はドアからするものだ。
しかし私が今回遭遇したそれは、カーテンを閉めたその向こうの窓からやってきた。
私は一応、警戒する態勢に入ってその音の主を確かめることにした。
刺客か?いや、だとしたら馬鹿正直にノックなんかするわけがない。
まさか、罠?
窓にゆっくりと近づいていく間にも、ノックは続く。
「さぁ、正体を現せ……!」
カーテンに手をかけて、いざ開けようとした次の瞬間。
「こんばんは~」
「わああああ!?」
背後と言う全く予想外の方向から、聞き覚えのある声が飛んできた。
私は思わず叫びながらひっくり返る。
「びっくりしましたか~?」
「当たり前だ!」
「うふふ、ごめんなさ~い」
「お前な!こんな時間に一体何の用……だ……」
今度こそ勘弁ならんと、ありったけの抗議をぶつけてやろうと思った私の言葉は、彼女の姿を見た途端一気に勢いを失った。
いつも見ている制服姿の彼女とはまた、違う。
「今日はこれを見せに来たんです~」
「……なんだそれ」
「組織が、新しい衣装を支給してくれたんですよ~、どうですか~?」
くるりとその場で一回転するあぎりを、私は呆然と見つめていた。
その格好は、あまりにも肌色が多すぎた。
支給された衣装と彼女は言うが、私からしてみればただの紐の集合体にしか見えない。
黒を基調とした地味な色使いではあるが、肌色との対比に加え派手な配色のニーソックスのせいでビビッドな印象を受ける。
まるで漫画かアニメに出てくる、お色気担当の「ニンジャ」の格好だ。
「……何考えてるんだ、組織は」
「ちょっと露出が多いですけど、動きやすくて私は好きですよ~」
作られた意図はともかく、衣装そのものはなかなかよく出来ていた。
胸や腰のあたりが強調されていて、体のラインも美しく見える。
いや、あぎりの体そのものが整っていると言うのもあるか。
「きゃ、えっち」
思わずまじまじと見つめていると、芝居がかった動きで彼女が胸を隠す仕草をする。
そんな風にしたところで色々見えてしまっているのには変わりは無いのだが。
「い、一体何の用だ!こんな時間に……!」
「なんとなく、寄ってみただけです~」
「なんとなくで不法侵入するんじゃない!」
「まぁまぁ、そんな大声出しちゃ近所迷惑ですよ。それに……」
あぎりが一気に詰め寄ってくる。
私の懐に難なく入り込んだ彼女は、その右手で私の股間を揉み始めた。
「こんなにしてちゃ、説得力が無いですね~」
「お、おいバカっ……!」
さっきから勃起しそうになるのをなんとか必死に抑えていたのに、こいつ……!
全部お見通しとでも言いたげに、彼女は私のそれをぐいぐいと揉みしだく。
「やめろ、おいっ……!」
「やめろなんて言われて、やめる人はいませんよ~」
「くそっ……!」
私の意思に反し、股間のそれはむくむくと膨らんで首をもたげ始める。
こうなると、もう逃げられない事は明らかだった。
既に私は、彼女の射程内。
私の抵抗が弱まったのを悟ったのか、あぎりはさらに私に迫ってくる。
「ほら、ソーニャも……」
もう片方の手で、胸を隠している紐を豪快にずらす彼女。
拘束を解かれた胸が、ぷるんと飛び出した。
彼女も興奮しているのか、綺麗な桜色の乳首がつんと立っている。
「……このっ!」
「ひゃんっ」
目の前で無造作に放り出された胸に、私は乱暴にしゃぶりついた。
正直に言おう、ここまでされて黙っていられる男なんかいない。
仮に居るとしたら、そいつは重大な勃起不全か、もしくはホモかのどちらかであろう。
「んっ、はぁっ、あむっ」
「あんっ、う、んんっ……!」
乳首を舌先でこね回す度に、あぎりが甘い声をあげる。
しょっぱいような、甘いような、なんだか不思議な味がした。
彼女の乳房は、既に私の唾液でべちゃべちゃだ。
「ほらっ、あむ、どうだ、あぎりっ」
「ソーニャぁっ……!すごい、ですぅっ」
乳首が弱いのか、いつもの彼女とは少し違う反応が返ってくる。
そう言えば、今までこんな風に胸を弄んだ事などなかった気がする。
それがなんだか面白くて、私もだんだんその気になっていった。
「やぁっ、ちくびぃっ……!あっ、あああっ……!」
彼女は体を弓のように仰け反らせ、全身をひときわ大きく震わせた。
イッた、らしい。
「はあっ……っぁ……」
「イッた、のか……?」
「ソーニャが、上手だからぁ……思わず、イッちゃいました……」
恍惚とした表情で、途切れ途切れに言葉を返す彼女。
これでやっと大人しくなるか……。
と、思いきや。
「私も、なんだか……欲しくなっちゃいました……」
「欲しいって」
「ソーニャが、欲しいです」
彼女はすっと立ち上がって、ベッドの方へと向かう。
見ると、太ももには何やら一筋の蜜の跡。
「ソーニャ……」
ベッドに仰向け寝転がるあぎり。
はしたないくらいに開かれた足の間。
彼女は人差し指と中指で、自身の割れ目を押し広げている。
その中にあるのは、綺麗なピンク色をした彼女のひだ。
よく見るとひくひく動いて、愛液を無遠慮に垂らしている。
「きて、ソーニャ……」
そう言う彼女の顔に、いつもの余裕そうな笑みは無く。
切なそうで苦しそうな、しかし喜びを湛えたような、そんな顔。
それが目に入った瞬間、私は理性の糸が切れる音と言うのを産まれて初めて聞いた。
「あぎりっ!」
無意識のうちに、私は彼女に覆いかぶさった。
私も、私のソレも、完全に戦闘態勢だ。
突撃一番、とばかりに彼女の膣の奥深くまで、それを突っ込む。
「~~~~っ!」
彼女は目を見開いて、声にならない叫びをあげた。
あぎりの中は、とても温かかった。
ぬるぬるしていて、私のそれをきゅうきゅうと締め付けてくる。
挿れてみてわかったことは、私と彼女の体の相性は抜群だということだった。
理性の飛んだ、私の頭。
最高級の快感。
彼女に打ち付ける腰を止める物など、もはやこの世に存在しなかった。
「あぎりっ、あぎりぃっ……!すごいぞ、これぇっ……!」
「あんっ!あっ!ソーニャぁっ!すごいですっ!ああんっ!」
全身の神経が、燃え上がるように熱くなる。
私の首を、腋を、腹を、胸を。
そして、彼女の首を、腋を、腹を、胸を。
お互いがお互いを、滅茶苦茶にする。
「はぁっ、はぁっ、あっ、うぁぁっ……!」
「んっ!ん、ぐぅっ!うっ、ああっ!」
突き上げる度に、揺れる彼女の胸。跳ねる体。
胸を揉みしだきながら、乳首を吸いながら。
一体、どれほどの間腰を振っていたのかすらわからない。
何度の絶頂を迎えたのかすらもわからなくなってきた。
だけど、多分。
次の絶頂が最後だろうなということだけは、なぜかはっきりとわかってしまったのだった。
「あぎりっ……これで、最後かなっ……」
「はいっ……私も、もうっ……」
「じゃあ、ラストスパートだっ!」
「ソーニャっ!」
彼女の腕が素早く動いて、私を抱き寄せる。
密着する肌の温度。
彼女の体に触れると、すこしひやりとした。
だけどその奥では、燃えたぎるような血流がものすごい勢いで駆け巡っているのがわかる。
「なんだ、いきなり」
「最後は、キスしながら……」
少し恥ずかしそうにしながら、彼女がそんなことを言う。
その時、私は初めて彼女に対して、はっきり可愛いなんて感情を抱いた事に気がついた。
「……あぁ、いい考えだな」
「ふふ、そうですか?」
「最高に冴えてる」
だから私は先手をとって、彼女の唇を奪ってやったのだ。
最初は少し驚いていたあぎりだが、その後すぐに幸せそうに目を閉じた。
「ん……む、う……」
「んんっ……」
そのまま腰を動かすと、少し静まった私達の体に熱と激しさが舞い戻ってくる。
頭が、溶けてしまいそうだ。
「んっ、はぁっ、んむっ、んっ」
噛みつくように、何度も唇を重ねあう。
そうしていると腰の方に、再びこみ上げてくるような感覚がやってきた。
もうそろそろだ、終わりが近い。
「もうすぐイキそうだっ、あぎり……っ!」
「良いですよ、ソーニャ……っ、中に、中に出してくださいっ……!」
彼女が、足を絡ませてくる。
膣の方も、更に締め付けを強くして、搾り取ろうと必死だ。
「あああああっ!最高だ、あぎりっ……!」
「きてっ!ソーニャっ、きてぇぇっ!」
もはや、声を抑える事すらしない。
二人で咆哮をあげた次の瞬間、私は果てた。
彼女の奥に、私が流れ込んでいくのがわかる。
熱も、激しさも全てが吹き飛んだあと、やって来た余韻に身を任せた。
私は倒れこむようにして、彼女に覆いかぶさる。
「ふぅっ、ふっ、う……」」
「はぁ……は、ぁ、あっ……」
全エネルギーを使い果たした私たちは、もう話すことすら重労働だ。
呼吸をするので、精一杯。
意識が朦朧としてきて、まぶたも重い。
世界が、遠ざかっていく。
「ソーニャ……」
「な、んだ……?」
「……好き」
「……あぁ」
彼女が放った、たった二文字の言葉。
それが、私の耳に最後に届いた言葉だった。
「はっ!?」
何の脈絡もなく、唐突に目が覚める。
とっさに時計を見ると、時刻は正午を既に回っていた。
「あぁー……っ」
遅刻どころの騒ぎではない、これじゃ無断欠席だ。
「……あれ?」
そう言えば、一緒に寝ていたはずの彼女の姿が見えない。
まさか、やることやってさっさと自分だけ帰ったか……?
と言うのは杞憂だったようだ。
部屋を見回すと彼女の姿を簡単に捉えることが出来た。
「あ、おはようございます~」
「おはようって……お前、もう昼だぞ」
「ねぼすけさんですね~、ソーニャは」
「うるさいな……て言うか、お前帰らなかったのか?」
そう聞くと、彼女はやはりいつも通りにっこりと笑って。
「たまには二人も、いいじゃないですか~」
なんて事をのほほんと言うのだった。
おわり。