ドロシーはARMを発動させようとするが、反応はない。ブリキンの召喚でもう使い果たしてしまったのだ。チップの無事を確認しようと彼の姿を見ると、ドロシーは一瞬ハッとした表情をして、モンビのほうを向く。
「どういうつもりよ…」
「ん?」
「チップの…その服…」
「…ああ。いい趣味だろう?私の話を聴けばわかるよ。全部ね。」
またしても邪悪なニヤニヤ顔をドロシーに向けるモンビ。
「どこまで話したか… そうだ。このガキを作るのに、あんたのお姉さんからヒントを得た、という話だったねえ。」
ディアナの話題に、どうしても反応してしまう。ドロシーは反撃のチャンスを探しながらもモンビの話を聴く。
「私がオズの魔法使いから盗んできた神導器のうち、この遠視額装ミラーシュは私が所有することになった。…びっくりしたよ。この世界だけじゃなくて、異世界の様子も見られるなんて…
今から15年前、私はメルヘヴンのある女の行動を観察していた。私と同じ、いい身分に生まれながら巨大な力に魅せられ、堕ちていく姿が他人とは思えなくてね…」
「ディアナ…」
姉とモンビの姿を重ねられるのが癪で、ドロシーは少し表情を歪めた。
「あの女はどうやら異世界とのゲートを開く為の仕込みをしていたようだった。その世界の住人と魂を分けた存在、半身を人工的に創りだすことでね」
小雪ちゃんとスノウのことだ。ディアナはギンタンの世界から小雪ちゃんのお母さんの中に宿っていた魂を一部切り取って、同時期にレスターヴァ王妃の中に宿っていた生命の中に注入することでスノウを創りだした。
その様子をモンビは盗み見ていたのだ。
「まさか次元を跨いで魂を取ってきて、赤ん坊の中に埋め込むことができるなんてねえ。私は決めたよ。この方法を使って異世界の人間の魂を核にした最高のホムンクルスを作ろう。それを自分の新たな肉体にしようと…」
モンビは恍惚とした表情でそう語る。
「本当はディアナの魂が欲しかったんだけどね、流石に彼女に直接ちょっかいを出すのはおっかなすぎた。そもそも魂を分けるのには胎児である必要はないにしろ子どもの“柔らかい”魂じゃないといけないようだったしね」
モンビは遠視額装を出現させ、ある女性の姿を映し出す。
長い金髪の前髪は片目を隠すほどで、煙草もやっているようだ。スレンダーな体型を、落ち着いた服に包んでいる。
「さて、人工的に“半身”を作ったディアナだが、彼女自身にも実は半身がいた。ギンタの世界に住む一般人女性さ。
…そいつのことを観察していたら驚いたよ。そいつの旦那はメルヘヴンに召喚されちまっていた。そして英雄になって戦死してしまった。…結局生きていたようだが」
ダンナさんのことだ。
まさに今額縁の向こうで、その女性と一緒にソファーに腰掛けて他愛もない話をしている。
まさか…
ドロシーの脳裏に、ずっと予感してはくだらないと頭から追い出していたことが思い浮かぶ。
ふとチップのほうを見る。
話がいまいち把握できていないようで、混乱した表情でこちらを見ている。
モンビが彼に着せた新しい服は、シャツとスカート。
黒いシャツに、薄黄土色のスカート…ご丁寧なことに黒いリストバンドも着けている。
そして女の子のように長い髪は、後頭部で束ねられてポニーテールになっている…
「メルヘヴンを陥れた大魔女の半身と、メルヘヴンを救った救世主との間にできた子供…これだけの逸材はない。私の新しい肉体にふさわしいと思ったよ。私はそのガキの魂を切り取り、ホムンクルスの肉体の核とすることに決めた。」
「ギン…タン…」
頭の中で何かが破裂したような衝撃がドロシーを襲う。
チップが、いや、モンビによってチペタリウスと名づけられた目の前の少年が…
人工的に作られたギンタンの半身…?
ギンタンとは似ても似つかない弱々しい気質、女の子のような中性的な風貌からそんなことは思っても見なかった。
しかしチップは確かに彼と同じ緑の瞳を有していた。
髪も本物のギンタンのツンツンと逆だってしまう硬い毛とは違ってサラサラと柔らかいものの、色は確かにあの金色だ。
ボロを着ていた頃は全く意識していなかったが、モンビに着せられた今の服装だと本当に彼にそっくりだ。
「今思えば私の読みは当たったねえ。2年前、その子供もまたメルヘヴンに召喚され、真の英雄になった。こんな優秀な血統を材料にしたホムンクルスは理想的な“引越し先”じゃないか。そして私が偶然手に入れた神導器の核。こいつを融合させれば…」
モンビは興奮したようにまくし立てる。
「異世界の勇者の血を引く強い肉体に加えて魔法を使い放題な無尽蔵の魔力。完璧な身体が出来上がるというわけさ。」
―――――――――――――――――――――――――――
「…待って、ギンタンは男だし、チップも男の子の姿よ?男に生まれ変わるつもりでもあったの?」
チップがギンタであるという事実をどうにか否定しようとするかのように、モンビを話の粗を探そうと質問を投げかける。動揺を隠そうとするも、声は震えている。
「いいや。女にするつもりだったんだよ。
あんたも知ってるだろう?創りだされたばかりのホムンクルスには性別がない、未分化の状態さ。」
確かに今ドロシーを押さえつけている土人形たちの股間には何もついておらず、顔つきも中性的だ。
「ホムンクルスは自分で性別を選べるんだ。
まあこいつらには自我がないから…性を連想させるようなものを見せられると、それに対応した性別に変化する。こんなふうにね!」
「きゃっ!」
モンビはドロシーの服を破り、両胸をプルンと露出させる。
黒いドレスから露出した白く大きな双丘の頂点には、桃色の綺麗な乳首がかわいらしく鎮座している。
するとそれを見た周囲の土人形達は一瞬動きを止めた後…一斉にペニスを生やす。体つきも筋肉量が増していく。
ドロシーの背後で彼女を拘束している土人形の股間もいきり立ち、彼女の股の間を通って、スカートを押し上げている。まるでドロシーからペニスが生え、怒張しているかのようだ。
ドロシーに欲情し、本能的に襲いかかろうとする周囲の土人形に、右手を挙げて「待て」の合図を出しながらモンビは続ける。
「私が作った“ギンタ”もそうだった…
10年前、父親が失踪して途方にくれていた当時5歳のギンタの魂を少し頂いて、それを核にして人間に限りなく近いホムンクルスを作り…神導器の核を身体の中に埋め込んだ」
モンビはチップの心臓を指さす。
「この時点ではホムンクルスの頭にはギンタとしての人格・記憶が宿っている。魂の引っ越しにそいつは邪魔だ。だから心を空っぽにする必要がある。
培養槽の中に閉じ込めて人との接触を断ち切り、何ヶ月も何年も独りにさせておくことでね。チペタリウスってのはその作業をする上での仮の名だよ」
愕然とするドロシーに向かってモンビは続ける。
「心を空っぽにする作業と同時並行で、魂の引っ越しに先駆けて私の魔法をチペタリウスの身体に送り込む作業も行った。
…それが完了すれば私の魂を引っ越しさせて、適当な男の裸でも見て女の肉体になる計画だった。」
「だが記憶と人格を消す作業の途中…あと少しで完了だったのに、邪魔が入った。あの小娘が…オズの魔法使いの飼い犬、南の魔女、グリンダが私の計画に感づいて、チップを奪った…」
モンビは怒りにわなわなと震える。
「手も足も出なかったよ。私はもう老いていたからね。弱っちい土人形や死体を動かすくらいしかできない、唯の老魔女さ」
「それからずっと探した…そして見つけた。」
モンビは、ドロシーとチップに視線を送る。
「どうやらグリンダはチペタリウスの扱いに手を焼いて封印していたようだね。そしてあんたが封印を解いた。
そしてあんたと行動を共にしたせいで、チペタリウスの肉体は男に分化してしまった…
このいやらしい身体をあのガキに見せたんだろう?そのせいで男の身体になっちまったんだ!」
「ぐうう…っ!」
怒りに任せてドロシーの胸を鷲づかみにして痣になりそうなくらい捻りあげる。
ドロシーは痛みに必死に耐えるが、額には脂汗が浮かぶ。
そういえばチップの封印を解いたとき、私は水の触手に襲われてあられもない姿をしていた。
或いはその後、彼のことを女の子だと思って泉で沐浴に誘ったこともあった。
その姿をチップ…いやギンタ………この子が見たから、彼の肉体は男になるのを選択したのだ。
ギンタンと違って弱々しい性格なのも、魂が5歳の状態からモンビによる心を弱める教育を受けたからだ。きっとギンタンは小雪ちゃんを始めとした色々な人と触れ合ってあの活発で勇気のある性格に育ったのだろう。
肉体年齢が10歳かそこらなのは、グリンダという魔女に封印されている間は肉体の成長が止まっていたからだ。
頭が混乱して考えが追いつかない。
しかしはっきりと脳裏に響く言葉がある。
目の前にいるこの男の子の身体は…ギンタンの身体だ。
魂や記憶、ギンタとしての自我こそモンビによって失われているが、
身体はまぎれもなく、ギンタンのそれと同じなのだ。
「本当に!なんてことをしてくれた!男の身体になっちまったら女である私の魂は入り込めない!」
モンビは激高し、ドロシーを睨みつける。
「お前さえいなければ…
この私モンビの魔法と!
異世界の英雄の息子の肉体を持ち!
神導器の核を仕込んだホムンクルス!
それに私の魂を転送すれば、私は最強の魔女として復活できたのに!」
「ぐうっ…!」
怒りに任せてドロシーの腹に拳を叩き込む。老婆の力だが、ドロシーをえづかせるのには充分だった。
「まああんたのおかげでこのガキが見つけられたってところもあるからね。
殺しはしないでおくよ。」
モンビはずっと挙げていた右手を、下ろす。
「辱めるだけ辱めるだけで許してやる。…お前たち、いいよ」
モンビの合図と共にドロシーの周囲にいた土人形が一斉に襲いかかる。
ドロシーの胸を見たことで無性別から男の身体に分化したばかりで、溢れ出る性欲を彼女にぶつけようとする。
「んっ!?んぶっ!?」
チップの秘密を知ったショックで反応が遅れ、ドロシーの唇は簡単に男根の侵入を許してしまう。
仰向けに押し倒されたドロシーの股は数多の腕に掴まれてガバっと開かれる。
「んむーーー!!んむーー!」
脚をバタバタさせながら必死に閉じようとするが、腰が扇情的に動くだけで抵抗になっていない。
嫌悪と恐怖の叫びは口に深くまで突っ込まれたペニスに邪魔され、くぐもった声しか出ない。
土人形のそそり立ったペニスがドロシーの秘裂に押し当てられる。
「んんーーー!!」
ここまで来て、挿入直前で助かったことはこの世界に来てから何度もあった。
アーテンボローに犯されかけた時、地底湖の獄鬼に輪姦されかけた時、オスカーにARMを貰ったならず者達に辱められた時…そうだ、ネッサローズの翼猿達に襲われた時はすんでの所でチップが助けてくれたっけ…
そのチップが…ギンタン…
ドロシーの脳が考えることを放棄したと同時に、ドロシーの膣内に硬くそそり立ったものが無理矢理入り込んできた。
「んんんんーーー!!!」
オスカーのそれには及ばないが、アーテンボローのそれと比べると遥かに長く、硬い。
しかし所詮土人形か、その肉棒は熱く滾ってはおらず、冷えたすりこぎでも挿れられているかのような苦痛だった。
「おやおや…私達が初めて会った時と同じだねえ。若いとはいえお盛んなことだよ。」
なんのことかわからずモンビの声のする方を見ると、目の前には遠視額装がある光景を映し出していた。
ギンタンの言っていたガッコウ…という場所だろうか。ギンタンは私と初めて会った時と同じ格好をしている。ガクセイフク…といってたっけ。
そのガクセイフクを半脱ぎにして、ギンタンは小雪ちゃんに後ろから抱きついていた。
「ギンタぁ…こんな所で…駄目…人が来ちゃうよぉ…」
「この時間帯は体育倉庫は誰も来ねえんだ。…なあ。小雪ぃ…」
ギンタンは少し声変わりしかけているが、あの可愛い声で小雪ちゃんに甘える。
「もう…ギンタのエッチ… 早く済ませてよね…」
小雪ちゃんはスカートをたくしあげ、下着を膝まで下ろして台形型の木箱に手をつき、ギンタンにおしりを向ける。
ギンギンにそそり立ったギンタンの肉棒は、小雪ちゃんのアソコに飲み込まれていく…
同時に、ドロシーの咥えていたペニスと、膣内のペニスが爆ぜた。
「ん、んぶっ!?んんーー!!」
土人形の生ぬるい精液はドロシーの喉に、子宮に、ドクドクと注がれていく。
間髪をいれずに別の土人形がドロシーの唇と秘裂をこじ開け、剛直を挿入する。
土人形はいつのまにか30体、40体に増えている。城中の土人形が集まってきているのだ。
ドロシーの2つの口は、限界まで注がれて精液が逆流し始めているがそれも構わず次の肉棒が突き入れられる。
ギンタンと小雪ちゃんは2回戦目に突入しているようだった。
私は…何をしているんだろう。
ろくな準備もせずにオスカーを追って異世界に来て、出会ったばかりの男の子とエッチさせられて処女を奪われて、
ギンタンと小雪ちゃんのことを知ったその日にオスカーに一晩中陵辱されて、他にもいっぱい恥ずかしい目にあって、
一緒に旅していた男の子は人工的に作られたギンタンの半身で、
今本物のギンタンが小雪ちゃんと愛し合っている姿を見せられながら土人形達に犯されている…
涙に濡れたドロシーの瞳が、光を失っていく。
「ふん、いい気味だよ。」
モンビは輪姦されるドロシーを見てそう言う。
「…この小僧はしょうがない。失敗作として諦めるよ。
神導器の核からのエネルギーを自分で使えない、精液経由でしか排出できないって意味でもとんでもない失敗作だ。」
モンビは輪姦されているドロシーから少し離れたところで、雷に打たれたように遠視額装を眺めている少年のほうへ寄り、懐から短刀を取り出す。
「神導器の核は貴重だから、こいつの身体を裂いて摘出する。」
少年に刃を当てようとするが彼の様子に興味を示し、まず猿轡を解く。
チップと呼ばれていた少年の目は、先ほどから遠視額装が映し出す青年に釘付けになっている。
初めは陵辱を受けるドロシーに向かって猿轡越しに叫んでいたが、遠視額装の映像を見た途端スイッチが切れたかのように映像を見続けていた。
「“オリジナル”を見て自我を取り戻したかい?そうだ。あんたはギンタ。ギンタの偽物、失敗作さ。神導器の核を渡してさっさと死にな」
「そうだ…僕は…チップじゃない…」
猿轡を外されたチップはそう呟く。
それがきっかけとなったのか、少年は額縁の外の世界の様子に気づく。
ドロシーは無数の土人形の性欲処理の相手をさせられていた。
彼女の身体には既に何十人分もの土人形の精液を浴びせられ、全身が白い粘液で穢されている。
「おねえちゃん!」
思わずドロシーの所に向かおうとするが、手足を縛られているため即バランスを崩し、顔面から地面にぶつかってしまう。
モンビの土人形が芋虫のように暴れるチップの身体を押さえ、石机に拘束する。
「離…せぇ…!」
少年はそこらに散らばる木材や石片から木偶人形を作り出し、自らの拘束を破壊させて土人形を襲わせる。
「無機物に生命力―擬似魂―を与えて動かす力…それも私がお前に与えたものだ」
モンビが新たに創りだした土人形が、チップの木偶人形を粉々に破壊する。
「私も老いているとはいえ、お前のような“失敗作”に負ける道理などないよ」
「う…」
思わずドロシーのほうを見るチップ。
ドロシーの目から光は消えており、土人形達の性欲のはけ口になるがまま犯され続けていた。
「おねえちゃんから…」
チップがわなわなと震える。
彼の頭の中ではチップとしての自我とギンタの記憶がぶつかり合い、混ざり合い、脳がぐちゃぐちゃにされるような嵐が吹き荒れていた。
耐え難い苦痛、恐怖に気絶してしまいたかった。自分の頭の中の嵐と戦うので精一杯のはずだった。
しかし少年の身体は大好きな女性の元へ向かおうと動いていた。
彼女を救う為に戦おうとしていた。
「おねえちゃんから離れろぉ!」
突如、頭の中にある魔獣の姿が浮かんだ。
それは“ギンタ”が少年の頃から、それこそ5歳の頃から思い描いていた“強さ”のイメージだった。
上半身は巨大な翼と豪腕を備えた獣、下半身はペンデュラムのような宝石でできている。
粉々にされた木偶人形達の破片が1つになる。
かつてない力で強固に組み合わさり、少年の“強さ”の象徴へと変化する。
木片が身体を作り、破壊された天井の石材が拳を、下半身を形成する。
「馬鹿な…これは…」
モンビが今度こそ本当に狼狽えた表情を見せる。
同じようなものを彼女は遠視額装越しに見ていた。
1年前、メルヘヴンで起きた戦争で猛威を振るったあの魔獣…
「…ガーゴイル…ぐわぁぁぁぁっ!!!」
モンビの身長ほどもある石の魔獣の拳が彼女にめり込み、横に吹き飛ぶ。
そのまま石の魔獣は少年を手のひらの上に乗せてドロシーに群がる土人形達のところへ向かい、空いた方の拳で彼らを破壊していく。
「ドロシーおねえちゃん!」
“少年”はドロシーに駆け寄り、その身体を抱えようとする。
小さな身体には重すぎたのか、何度かよろけた。
しかしどうにか、“少年”は魔女を両手で抱き上げる。
暗い闇に落ちた意識。身体中が痛い。
だが、誰かに抱きかかえられている。
…誰…?
激しい陵辱に目は霞んでいる。それでもおぼろげに頭上に見えるのは懐かしい魔獣の姿。
そして自分を抱え上げる金髪の少年…
「ギン…タン…」