「あ、見えてきたよおねえちゃん!」
遠くに木造の小屋が立ち並ぶ村が見え、ギンタはドロシーにそう伝える。
ドロシーの言ったとおり、獄鬼に乗っ取られて住民がいなくなった廃村があった。
彼女がギンタを取り返す為モンビの城へ向かう途中に通過した村だ。
あの時は大量の蛞蝓型獄鬼が生息していたが。今はどうなっているだろう。
親玉である巨大な女型蛞蝓獄鬼は深手を負って川に流されていったので、残っていたとしても小型の蛞蝓だけのはずである。
連日の戦いで披露が蓄積している。
廃村に着いたら、屋根のある、恐らく寝具もあるであろう場所で身体を休めようと思っていた。だが獄鬼がいるかどうかの確認をするのが先だろう。
村の入り口にたどり着いた2人は、まず村内部に獄鬼が残っているか確認しようということになった。
「ギンター。そっちはどう?」
「大丈夫だよ、おねえちゃん。」
すぐ近くの茂みの向こうで、ギンタの声が聞こえる。
手分けして探す体裁だが、ドロシーはギンタの傍を離れないようにしていた。
獏の獄鬼に襲われてから今までも、2回野生の獄鬼に遭遇したがギンタは前線に出さずにドロシーが全て蹴散らしていた。
自分も手伝いたいとせがむギンタを、ドロシーは優しくたしなめた。
『ギンタは戦う必要ないんだよ。おねえちゃんが護ってあげるから、安心して。』
(おねえちゃん、僕に闘ってほしくないんだな…)
獄鬼がいるかどうか探しながら、ギンタはそう思ってため息を漏らす。
自分だって獄鬼は怖い。でも、護られてばっかりいるのも、居心地が悪い。
むしろ、彼自身は無自覚であるものの、好意を持っている相手を護りたいという男の子らしい気持ちが、ギンタにはあった。
(でも仕方がないよね…今の僕じゃ、おねえちゃんの足手まといになっちゃう…)
村を一周したが、獄鬼の姿はない。あの黒服の集団―オスカーにARMを貰った集団が片付けたのだろう。
オスカーの野望は食い止めたいが、今回はそのおかげで助かった。
「ギンタ、もうこの村には獄鬼はいないみたいだよ。ご飯にしよう…」
そう、少し離れた場所のギンタに言いかけた瞬間、ドロシーは遠目に何か蠢く影を見た。ドロシーの声に反応したのか、こちらを見ている。
(小さい、人型の…猿の獄鬼?角も生えている。いや、ギンタンくらいの年齢の人間……)
「嘘…」
その人影が何かを知ったドロシーが呟くと同時に、それはこちらに走ってきた。人間の癖にウサギのような4足歩行で走ってくる。
ドロシーは踵を返し、ギンタのいる茂みに走る。
ドロシーの形相に目を丸くしたギンタの口を塞ぎ、抱えるようにして村の奥へ走っていく。
(なんであいつが…いや…)
ドロシーはカルデア宮殿でのことを思い出す。
門番ピエロによってこのオズの国に転送された人間は私を含めて5人…
私、オスカー…そしてフードをかぶった3人の男…
確かに、あの中に彼くらいの身長の男がいた。
あいつ、オスカーの仲間になったのか…
ドロシーは馬小屋を見つける。中の馬が脱走しないよう、外から閂をかけるタイプの小さな馬小屋。
住民もろとも馬がいなくなっているその小屋の中は獣の匂いが全くせず、大量の干し藁と、土の匂いが小屋中を包んでいた。
「ねえ…誰か…獄鬼が追ってきてるの…?」
目の前で不安そうにこちらを振り返るギンタ。
「ううん…もっと危険な奴だよ…だからギンタはここに隠れてて。」
「そんな!危ないなら僕も戦…」
そう言いかけるギンタを、ドロシーは藁山の中に突き飛ばす。
「っ?おねえちゃ…」
「デンリレ・ハーフルー…」
人魚姫の意匠が施された指輪を発動させる。
ギンタは何か言おうとするが、魚のように口をパクパクさせるだけ。
ダークネスARM、デンリレ・ハーフルー。相手の音を奪うARMだ。代償は発動中術者が泳げなくなること。地上の戦いにおいてノーリスクといえる。
声が出せないことに戸惑うギンタが中にいるまま、ドロシーは外から馬小屋の閂をかける。
ギンタは慌てて内側から扉を叩くが、その音すらも聞こえない。デンリレ・ハーフルーは対象の発する全ての音を無にするのだ。
「ごめんねギンタ…あいつは本当に危ないんだ。」
そう。本当に危ない。
女子供を好んで惨殺するのが大好きなイカれた少年…いや、ギンタンと同じ年齢だからもう青年と言ってもいいかもしれない。
馬小屋を背にするドロシーの前に背が低めの青年が現れる。年齢は15,16歳あたりか。
青白い肌に真っ黒な目、三本の角がトサカのように生えている、人間離れした見た目だ。
「あんたもこの世界に来てたとはね…ギロム。」
「魔女ォ…」
低いダミ声で、ギロムは唸るように呟く。
「ギンタは…何処だああああ!!!」
同時に、ギロムの掌から大粒の雹が大量に放たれる。
ネイチャーARM、アイスドアース。スノウも使っているARMだ。
「っと…いきなり攻撃ぃ?それにギンタなんて知らないわよ。」
とぼけるドロシー。“ギンタ”は確かにドロシーの後ろの馬小屋にいるが、きっと彼が追っているであろう“ギンタ”はいない。彼は自分の故郷の世界で平和に暮らしている。
「嘘つけよ…獄鬼どもが噂してるぜ…桃色髪の魔女、ドロシーと金髪のガキ、ギンタの2人組が旅をしてるってな…それに…」
ギロムが焦点の定まっていない血走った目で、牙を見せつけて威嚇する獣のように口を開けて言う。
「ここにはギンタの匂いがプンプンしやがる…」
「に…匂い…?」
「そうだ!近くにいる!何処だ!姉ちゃんの仇ィ!!」
まともじゃない。1年前から凶悪な人間だったが、なんだか…獣性が増しているように思える。
「…知らないってば。匂いとか馬鹿じゃないの…っとと!」
無言で繰り出される雹の雨。
それを避けようとするドロシーの視界が一瞬で氷に覆われる。
避けようとした先に巨大な氷の壁が現れたのだ。
「ぐああああっ!!」
壁に行く手を阻まれ、雹の雨がドロシーを襲う。
「随分バカスカARMを使うじゃない…」
ドロシー達メルヘヴンの人間はオズの国の魔力と適合せず、魔力の燃費が極端に悪くなる。
ビショップクラスであるギロム程度の魔力では、今の攻撃で魔力が空っぽになる筈だ。
「あんたの親玉はオズの人間の血が入ってるからむしろこっちの世界で魔法が上手く使えるみたいだけど、あんたは違うはずよ。」
「手術を受けた…魔力の波長を変える手術…だからまだまだARMが使えらあ!!アイススパイク!」
地面から氷の棘が生え、ドロシーを襲う。
どうにか跳躍して避けることができたが、ドロシーの頬には汗が一筋流れている。
(オスカーに魔力を改造されたのか…)
個人で異なっている魔力の波長を換える試み―例えば雷のARMが得意な人間の魔力を炎のARMに適した魔力に換えるといった具合だ―はカルデアでも研究されてきたが、未だ実現はできていない。
可能なことは可能なのだが、身体に負荷がかかりすぎ、身体に不随な箇所ができたり、本人の精神が汚染されたりするのだ。
ギロムはオスカーの手で、彼の魔力をオズの国のものに無理矢理同調させられているのだろう。
見たところ身体に異常はないようだが、随分と精神をやられているようだ。先ほどからギンタへの執着が異常だ。
きっとオスカーの陣営から抜けだして単身ここまで来たのだろう。
(まあ1人なのは好都合ね…)
「悪いけどギンタはいないわよ。納得してくれないようなら戦うしかないね!ゼピュロスブルーム!」
ギロムの放つアイスドアースが箒から生み出された突風によって相殺される。
「あああああ早くギンタを出せぇぇええ!!お前を徹底的に痛めつけてやれば吐くかぁ!??」
まるで狂人。せっかくARMを使えてもこれではただの戦闘マシーンだ。
オスカー自身、きっと彼を鉄砲玉程度に使おうとしか思っていないのだろう。
「気絶してな!クレイジーキルト!」
つぎはぎだらけの小さな人形が出現し、相手の心を乱す怪音波を発する。
だが、そのARMを選んだのは悪手だった。
「…!!っガァァァァァ!!!!」
騒音に耳を塞ぐこともせず、怒号を発しながら人形に突進し、手に氷を纏わせ巨大な氷の爪と化し、地面に叩きつける。
間髪入れず驚きの表情を浮かべるドロシーの首根っこを掴み、馬小屋の壁に頭を叩きつける。
「うぐっ…!」
「魔女ォォォォ!!それは嫌味のつもりか!?ウォーゲームで姉ちゃんを倒す決め手になったARMなんざ使いやがって!!」
ドロシーは全く意識していなかったが、そういえばそうだった。
そのアームのセレクトがギロムを激高させ、怪音波を物ともしない程に怒らせたのだ。
ギロムの手が首から離れる。ドロシーはそれを見逃さず素早く距離を取ろうとしたが、身体が動かない。
見れば彼女の両腕が、両足が、馬小屋の壁に氷漬けにされている。
「く…」
「魔女ぉ…しっかり憶えてるんだぜえ?ギンタは絶対許せねえが…姉ちゃんが殺される直接の理由はお前だってなあ!!」
そう。ウォーゲームの4thバトルで彼の姉ラプンツェルがドロシーに敗北したことで、ラプンツェルはファントムの粛清を受けたのだ。
「ぶち殺してやる…ギンタの居場所を言えば楽に殺してやるが、言わないなら…」
ギロムは掌に纏った氷を成長させ、氷の剣へと変化させる。
「言う気になるか、命が尽きるまで、痛みを刻みこんでやる。」
ギロムは氷の剣先をドロシーの魔女服の胸部分に浅く刺し、そのまま下へゆっくり裂いていく。
ビリビリと繊維が裂ける音と共にドロシーの深い谷間が、臍が、あらわになる。
「ほう…エロい身体だな。」
「あんたには勿体無いくらいの、ね。」
ドロシーは強気に言い返す。
「そうだな。メルヘヴンでのお前はナイトクラス。姉ちゃんを倒すほど強かった。
だがどうだ。今はビショップクラスの俺相手にこのザマだ。」
「まともにARMが使えるようになった代わりに、今までに輪をかけてお馬鹿さんになちゃったみたいだけどね。」
ドロシーが嘲笑する。
「いちいち小癪な女だなあ!」
再び爪状に戻した氷を纏った掌で、強引にドロシーの乳房を鷲づかみにする。
「うぐ…ぅ…」
白く大きな乳肉から真っ赤な血が垂れる。
「メルヘヴンじゃナイトクラスだったお前もこの世界じゃポーン並だ。この牛みたいな胸使って敵に媚びたほうが生き残れるんじゃねえか?」
「ふん…残念だけど命乞いにあんたと寝るくらいなら死んだほうがましだよ。」
「生意気言いやがる…」
ギロムの髪がざわざわと逆立つ。
怒りで逆立っているだけではない。生き物のようにうねり、その長さも増していく。
「それは…」
「思い出したかよ!?ネイチャーARM・ヘアマスター!姉ちゃんの形見のARMでお前を甚振ってやらぁ!」
長く伸びたギロムの髪は束になって首に絡みつき、締め上げる
「っ…ぐ…ぁぁ…」
頭に血がのぼる感覚。脳に酸素が行かずにドロシーは苦痛の声をあげる。
このまま続けてはドロシーが死んでしまうので、髪は一旦ドロシーの首から離れる。
「そら、苦しいのが嫌ならギンタの居場所を吐くことだな。」
「知らないって…言ってるだろ…」
「その強がりがいつまで続くかな!」
髪の1本1本が彼女の身体を縛り上げる。針金のように硬い髪は容易に彼女の肌を裂く。白い太ももはハムのように縛られ、血が滲んでいる。
彼女の大きな乳房にも髪は伸びていく。白い双丘の根本を囲むようにして締め上げると、乳肉は鞠のように変形する。
「うぐああああっ!!」
ドロシーは声にならない叫びをあげる。
「そら、次は下だ。」
髪が長い1本の束になり、大蛇のような形になる。
蛇の視線は、彼女の股間に真っ直ぐ注がれている。
「まさか…それを私の中に…そんなことしたら…」
「ああ、ぶっ壊れちまうだろうなあ。二度と孕めねえ身体にしてやるよ。」
髪の束はドロシーの膣内に突っ込まれる。
「まずはじっくりと甚振ってやる。」
1本1本が針のように硬いギロムの髪の毛が、柔らかいドロシーの膣肉を容赦なく擦っていく。
敏感な粘膜は快感を感じるどころではなく、血が滲む程の暴力的な抽送に悲鳴を上げる。
「あっ…うっ…ぐぅぅぅぅっ……」
膣内が焼かれるような痛みに、ドロシーは身をくねらせて耐える。
――――――
ドロシーの叫びは、馬小屋の中にいるギンタにも聴こえていた。
助けに行こうにも唯一の出口は外から閂がかけられている。
どうやら自分を探しているらしい男に、自分の存在を伝えようにも声が出せない。
拳に血が滲むほど扉を叩いても音ひとつ出ない。
また、ドロシーの絶叫が聞こえてくる。
(おねえちゃん…どうにか…どうにかここから出ないと…)
――――――――
「まったくエロい声で鳴きやがる…」
ドロシーのソプラノ声は、例え被虐の中であってもそれを聴く者に艶めかしい印象を与える。
それはギロムも例外ではなく、いつしか彼の股間はもっこりと膨らんでいた。
元来彼は、女子供の叫びを聴くと興奮してしまう性質だった。
膣内を蹂躙していた髪の束が引き抜かれる。
「二度とガキを孕めねえ身体にしてやると言ったが…気が変わった。」
ギロムはARMの出力を調節し、ドロシーを壁に縛り付ける氷を融かす。
「お前が殺した姉ちゃんを産みなおしてもらうってのはどうよ?」
そしてドロシーがそれに気づかぬうちに巨大な氷を纏った掌でドロシーを張り倒す。
「じょ、冗談じゃないよ…っきゃ…!」
張り飛ばされて地べたに四つん這いに倒れた瞬間、またしてもドロシーの四肢が凍りつく。
「いい格好だな。」
「くっ…… …!やっ…見るな!見るなぁ…!」
四つん這いで、ギロムに尻を向けたまま拘束されているだけではない。
倒れこんだ勢いでドロシーのスリットが捲れ上がり、ギロムに対して下半身を完全に曝け出している。
スカートを戻そうにも両手両足は氷に覆われて地面に完全に縛りつけられている。
暴れてみても丸出しの尻が左右に揺れるだけで、余計にギロムの劣情をかきたてるばかりであった。
「随分綺麗なマンスジじゃねえか。膣内は使い込んでないピンク色だが…俺の髪のおかげで随分荒れちまってるな。」
ドロシーの秘裂をまじまじと見つめるばかりか、それを指で開いて奥の奥まで観察されてしまう。
ギロムの言うとおり、髪による激しい責めで、ドロシーの膣内は血が滲んでいた。
「まあ血塗れのほうが俺好みだ。」
ギロムは自分のペニスを取り出し、血が滲んだドロシーの秘裂に押し当てる。
「や…」
ドロシーの制止も虚しく、ギロムは硬くしたペニスをドロシーの温かい膣奥に、深くねじ込んでいく。
硬質な髪の毛にあちこちを引っ掻かれ、擦られて出血している膣内はギロムのペニスを受け入れる否や激しい痛みに悲鳴を上げる。
「う…く…」
またしても、男の生殖器に大事な処への侵入を許してしまった。
無理矢理犯されるのは泥の擬似精液を吐き出す土人形を計算に入れなければ、オスカーに次いで2度目。
氷のARMとシンクロしている所為か低めの体温だが、土人形とは違う“生きている”者のペニスが自分の中に入り込んでいる感触が痛いほど伝わる。
そう。ギロム本人の宣言どおり、ドロシーを妊娠させることができる生殖器がねじ込まれている。本来愛する者と行う子作りの行為を、ギロムなんかとしている。
その嫌悪感にドロシーの目尻に涙が溜まる。
「く…そお…抜けえ…!」
強気にギロムを睨みつける一方で、涙を浮かべているドロシーの表情は、ギロムの嗜虐心に火をつけた。
「ならギンタの居場所を教えろ!それができないなら俺の子種をお前の膣内に撒き散らしてやるぜ。」
ギロムはドロシーの尻をしっかり掴んで、欲望に滾りながら彼女の柔肉を貪り始める。
「う…く…はあ…」
ギロムの性器は深々と結合し、ドロシーに腹の中をえぐるような苦痛と不快感を与える。
土人形に犯されていた時と同じ。快楽など感じない。
痛みと苦しみと屈辱だけの時間である。
(悔しい…)
こんなビショップクラスの男に犯されることになるなんて、メルヘヴンにいた頃のドロシーは想像できない事態だった。
その悔しさをどうすることもできず、ただドロシーはギロムによる強姦を受け続ける。
――――――――――――
無人の廃村に、パンパンと腰を打ち付ける乾いた音が響き渡る。
その音は彼らが交わっているすぐ傍の馬小屋からも聴こえていた。
何か柔らかいものを叩くような音、ドロシーおねえちゃんの苦しそうな声…
あの時と同じ…モンビの城で目にした光景と同じ音がする。
おねえちゃんのあそこにおちんちんを入れるあの行為…
また無理矢理されているんだ。
きっとあの時と同じように泣きながら、その行為を受け続けているんだ。
(助けないと…)
外に出る手段は、考えついた、だがそのためにはやはり“命を与える力”で作った木偶人形がいる。
だがこの馬小屋―4匹の馬が入れるように仕切られただけのシンプルな小屋には人形の材料になるような固いものはない。
あるのは藁ばかり。藁人形ではここを抜け出ることはできない。
ギンタは辺りを見回し、声にならないひとりごとを呟く。
(材料がないなら…作ればいいんだ…)
――――――――
「へへ…ギンタの女を犯すのは気分がいいぜ… どうだ?ギンタのと較べてどっちがいいよ?」
“ギンタン”としたことなんてない。ドロシーは目に涙を溜めながらなおも強気にギロムに言い放つ。
「ほ…細すぎて入った気がしないわ…あっちのほうも腕みたいに氷で補強した方がいいんじゃない?」
「チッ…本当に可愛げのねえ女だなあああ!!」
尻を掴む氷の爪に力が入り、更に激しく腰を打ち付ける。
「うぐう……ん…♥あ……はん…♥」
悪態とは裏腹に、ドロシーは激しい痛み以外の感覚が生まれ始めていることに気付いていた。
ギロムの亀頭がドロシーの膣壁を擦り上げるたびに、何か痺れるような感覚が昇っていく。
この感覚は知っている。複製のほうのギンタと繋がったとき、一瞬だけ。
そして、オスカーによって強引に何度も味わわされたあの感覚。
(く…こんな…ギロムなんかにイかされるもんか…)
歯を食いしばって、寄せ上がる快感に飲まれないように耐える。
必死に絶頂を耐えるドロシーに、ギロムが言う。
「く…そろそろ一発目…お前の子宮に注ぎ込んでやるぜ…」
ドロシーの顔が青ざめる。避妊のARMがあるから大丈夫という問題ではない。
土人形の擬似精液とは違う、自分の妊娠させることができる子種を受け入れるという屈辱、苦痛…そんな悪夢、もう金輪際御免だ。
「やめ…ろぉ…膣内に…出すなぁ!」
「嫌なら答えろ!ギンタは何処だ!何処に隠した!」
ギロムは腰を打ちつけながらながら怒鳴り散らす。
「ギンタはいないわよ…」
ドロシーの脳裏に、自分の故郷の世界で家族や恋人と平穏に暮らしている映像が浮かぶ。
「この世界のどこにも…いないんだからあっ!!」
半ば叫ぶように、涙を流しながらそうギロムに答える。
「なら俺の子を孕みやがれええええ!!!」
「や…め…んんんっ♥…あ…あ…ぅ♥」
ギロムの腰がスパートをかけるように早く動き、彼の射精感を高めていく。
同時に、ドロシーの中の上り詰めるような感覚も抑えられないほどに大きくなっていく。
ギロムはドロシーの子宮口に鈴口をしっかりと押し付け、子種を注ぎ込む準備を整えた。
「っな…ぐああああああ!!!」
突如、熱湯がギロムの足もとから吹き出す。少し熱めだが浸かれる程度の湯温だが、ギロムは大層熱がっている。
間欠泉のように噴き出る湯から、1人の少年の姿が現れる。
「ギンタ!」
すぐ傍の小屋に閉じ込めた筈のギンタが地中から現れた。
湯を全身にかぶってずぶ濡れの状態で、ドロシーとギロムの間に割って立つ。
「ギンタアァァァァァ!!」
ギロムも、ギンタの姿を確認し次第吠える。
「そこにいたかぁ!なんで女の格好してやがるか知らねえが、その匂い、間違いなくギンタだな!?」
「そうだよ…ぼくは…“ギンタ”だ!!」
語気を強めて、そう言い放つ。既にデンリレ・ハーフルーの効果は切れていた。
その果敢さが見かけ倒しであることは、小刻みに震える彼の膝小僧が物語っている。
「ギンタ…どうして…」
ドロシーが蚊の鳴くような声で言いかけるが…
「ド…ドロシーおねえちゃんにひどいことするな!!」
「…!ギンタ…」
役目を終えて横たわっている、人型に組み合わさった木片を見る。
まさか自分を助ける為に、木偶人形を「命を与える力」で動かし、地中を掘させてここまで来たというのか。
地中を掘って私達のいるところに出てこようとしたが、掘っている途中で湯脈と合流してそのまま地上に吹き上がってきた、といったところだろう。
だがあの場所には木偶人形を作るような材料はなかった筈…
「ギンタ…その手…」
ギンタの手のひらは皮が剥けて真っ赤になっていた。
複数の馬の場所を区切る為の仕切りを無理矢理解体して木偶人形の材料にしたのだ。頑丈に釘打ちされた木組みを、10歳の男の子の腕力で…
血塗れで物を触るのも痛むだろう手で、木偶人形だったものの身体から一振りの木の棒を掴みとり、構える。
「おいおいそんな枝っきれで戦うのかぁ? …ああそうか、バッボがいなければお前はただのガキなんだもんな。だから魔女に守ってもらってコソコソ隠れてたのかよ?」
ギンタを挑発するギロム。
バッボがなんなのかはわからないが、これだけは答えられる。
「うるさい!僕は隠れたりしないぞ!おねえちゃんは…僕が守るんだ!」
ギンタの真っ直ぐな声に、ドロシーの胸がキュンと痛む。
「駄目…ギンタ…逃げて…」
「オラオラ嬲り殺してやるぜえええええ!」
そう言ってギンタに向かって走ろうとしたギロムが、転倒する。
「っ!?」
体制を整えようとしたギロムが自分の手を見ると、纏った氷が溶けている。
「なんだ!?なんで身体が…」
(そうか…)
ドロシーはギロムに起きている現象が理解できた。
同じ氷のARM使いであるスノウが火山で戦ったときと同じ現象だ。
ギロムは氷のARMとシンクロしていたから、突如吹き出た温泉の熱で体力を大きく奪われているのだ。
戦闘のことしか考えぬあまり、あまりにも強く氷のARMとシンクロしていたギロムは氷そのもののような身体になっていたので、熱による消耗はあの時のスノウ以上に大きくなっていた。
(もうちょっと冷静さがあればシンクロ率を調節してここまで体力を奪われることはなかったろうに… オスカーによる改造で理性がなくなっていたのが仇になったね…)
突然身体が動かなくなったことにパニックになったギロムは撤退を決意する。
「お…覚えてやがれ…ギンタ…魔女ォ!」
ギロムのアンダータが光を放ち、彼の姿は虚空へと消えた。
偶然に助けられた形で窮地を脱することが出来、2人は数分放心していたが、先にドロシーが口を開いた。
「ギンタ…その…ありがとう…」
「おねえちゃ… …っ!」
返事をしようと振り返るギンタの表情が固まる。
そこにはスカートが捲り上がった状態で秘部を丸出しにしているドロシーの姿があった。
熱湯によって解けたのは足もとの氷のみ。腕はまだ地面に固定されたままで、四つん這いの姿勢を崩すことはおろか捲れ上がったスカートを直すこともできない。
「ごっごめんおねえちゃん…」
ギンタは顔を真っ赤にしてドロシーに背を向けるが、ドロシーの大きくて柔らかそうなお尻、そして性器が目に焼き付いてしまう。
一瞬見ただけだったギンタは気づかなかったが、ドロシーの尻から秘裂にかけて、べっとりと白い粘液が付着していた。
熱湯の勢いでドロシーからギロムのペニスが抜けた瞬間、射精に至ったのだろう。
膣内射精はされていないと言えるが、今にも精液が中に入り込みそうな不快感、
そして、敵に射精に至るまで―最後まで、犯されてしまったという事実を、下半身のヌルヌルした感触はドロシーに伝えていた。
「その…手の氷も…お湯で溶かしてくれるかな…」
恥ずかしそうにドロシーはギンタにお願いする。
ギンタもぎこちなく了承し、なるべくドロシーの姿を見ないようにして、手で湯を汲んでドロシーの手元にかける作業を繰り返す。
氷を融かし終わると、ドロシーは癒しの天使を取り出して凍傷になった手足や、ヘアマスターで傷めつけられた部分、そしてギンタの両手を治療しつつ、吹き出す湯でギロムの精液を洗い落とす。
「おねえちゃん…」
癒やしの天使の光を手に浴びながら、ぽつりとギンタが言う。
「ぼく…足手まといになんてならないから…だから…」
拙い言葉で、精一杯伝えようとする。
ドロシーのほうを向かないようにして喋る少年の姿を見ていると、なにか心の奥が暖かくなるような、そんな感覚を覚える。
そして、自分が戦闘からギンタを排除しようとした理由に、彼の中に“ギンタン”を意識したくない、という身勝手な思いがあったことを認める。
そして“ギンタン”のような勇気もないのに、強力なガーディアンも操れないのに、全身震えながらギロムに立ち向かった少年の姿を思い出す。
「ありがとう…」
言葉を必死に選んでいるギンタに、ドロシーはそう返す。
彼女の頭のなかに、初恋の相手の姿が浮かぶ。
白い服を来て、青空の野原にいた彼。魔女と呼ばれ疎まれていた私を恐れもせず一緒に伝説のARMを取りに行ってくれて、ピンチに陥った私を救ってくれた…
次に会った時、彼は少し頼もしくなっていて、チェスの駒相手にも果敢に挑んでいった…
最後にはあのファントムにまで打ち勝つまでに強くなって…
そして、メルヘヴンで色んなものを見てどんどん大人になっていくギンタ。
その傍にずっといたかったけれど…
あの日、笑顔で旅立つ彼を、遠く見守っている自分の姿。
そして、遠い世界で恋人と愛し合っている彼へと心の中の映像は切り替わり、朝霞のように消えていく。
「…ありがとう…ギンタン…」
ひとりごとのように、或いは目の前の少年に云っているかのように、そう呟く。
「ギンタン…?」
「………君のアダ名だよ。」
心が一瞬チクっとし、その後ふっと軽くなる。
「今度から一緒に戦おうね。改めてよろしく、ギンタン♪」
「うん、よろしくね、ドロシーおねえちゃん…」
言いかけるギンタの顔を寄せ、その頬に口づけをする。
「これはね、ありがとうのしるしだよ。こんなに怪我してまで助けに来てくれてありがとうね。」
自分より2回りも3回りも年下の少年の頬にキスしただけなのに、どうしても心臓が鼓動を早めてしまい、顔を赤らめながらドロシーは言う。
びっくりしたように頬をおさえるギンタは、唇の柔らかさ、温かさを何度も反芻しているようだった。
ギンタの手は既に治療が終わっていた。
まだ固まっているギンタを背に、ドロシーは元気よく立ち上がる。
「さ、今日はこの村に泊まろうか!久々にベッドで寝れるよ!鍵の空いてる家を探そう♪」
「ま、待ってよおねえちゃん!」
自分を追いかける少年を背にドロシーは歩き出し、遠い空を見上げる。
(ありがとう、ギンタン… 小雪ちゃんと仲良くね… …さようなら…)
「早く早く!置いてっちゃうよ、ギ・ン・タ・ン♪」