ドロシーとギンタは林道を歩いていた。今朝まで滞在していた廃村から南に向かって進んでいる。藪に覆われて歩きにくいが、もう少しでギリキンの国境へと続く道に出る。それまでの辛抱だ。
本当はもう少しあの廃村でギンタとゆっくりしていたかったが、いつまでもあの場所に留まっているわけにはいかない。ギンタの体内の神導器の核を狙うモンビからの追っ手がいつ来るかわからないのだ。
「お姉ちゃん…」
ギンタが不意に立ち止まる。モジモジと股間を押さえながら、上目遣いにドロシーの顔を見る。
「ギンタン…もうなの?」
ドロシーは困ったような表情を浮かべるも、その目には興奮の光が浮かんでいた。
「朝起きてからしたばっかりなのに、ギンタンのエッチ♥」
ドロシー達が進んでいたのは獣道に近い場所。寝転ぶのに適した場所もない。
適当な木に手をついて、ギンタのが届くように腰を少し落としながらスカートをずらす。
「ほら、ギンタン♥ 早く済ませるんだよ?」
ギンタの眼前では綺麗な秘裂が愛液に濡れながら少年のおちんちんを待ち構えている。
下着を履かずに深いスリットのドレスを着ているドロシーの服装は、ほんの少しスカートをずらすだけで性行為に移ることができる。
ギンタもそれは同じで、モンビにあてがわれたスカートには下着がついておらず、スカートをめくり上げるだけで挿入の準備が終わる。
「あ…ギン…タ…ン♥」
あっという間に繋がってしまった2人は、誰もいない藪の中でセックスを始める。
―――――――――――――
「さて、と。」
2人で歩いて数時間。ドロシー達の視線の先には壁のように切り立った岩山と、それをくり貫かれて作られた砦。
オズの国北方領ギリキンと緩衝地帯との境目だ。
あの砦の中にはエスメラルダからの兵士が駐屯し、人の出入りを管理している。
モンビによって無政府地帯と化したギリキンで獄鬼やら畏鬼教やらが悪さをしないように、ということだろう。
基本的に出入りはエスメラルダ側の許可を得た者でないと許されない。
ドロシーは緩衝地帯側からギリキンへ入る際、この検問を通過した。
一緒にいた魔法使い、アーテンボローの助手、「ベル」という形で、だ。
(まあ、入れないわよねえ…)
そのアーテンボローは蛞蝓の獄鬼と共に川へ落ち、流されていった。命があるかもわからない。
ドロシー1人で帰ってきては怪しまれてしまう。
それに、ドロシーはあの砦で受けた身体検査と称する辱めに怒り、兵士たちを張り倒して逃げるようにギリキンへ入ったのだ。
(あの検問を通過するのは現実的じゃないね。どうしたって怪しまれる。)
仮にも自分の目的地であるエスメラルダから派遣された兵士に目をつけられるのは得策ではない。下手なことをして指名手配でもされたら目も当てられない。
砦の中を入らずに、向こう側へ抜ける他ないだろう。
そうすれば、アーテンボローの助手としてギリキンに入った女「ベル」はアーテンボローと共に行方不明、という扱いになる筈だ。
しかしこの切り立った岩山を登るのは骨が折れる。
それに山肌を遮る木々などがないことも問題だ。登っている間に砦の兵士に見つかってしまうだろう。
(ゼピュロスブルームが直ってればなあ…)
ドロシーは彼女の箒に備わっていた飛行機能が破損していることを嘆く。
このオズの国での旅がメルヘヴンでのARM集めの旅より過酷なのは、
アンダーダをネッサローズに壊されたこととゼピュロスブルームの飛行機能の破損の要因も大きい。瞬間移動、飛行という移動手段を奪われて徒歩を余儀なくされているのだ。
「素早くブリキンを出して、私とギンタンを放り投げてもらう…いやいや、私はともかくギンタンが怪我しちゃう…」
ドロシーがブツブツと作戦を練っていると…
「そこで何をしている!」
凛とした女の声。
ドロシーが振り返ると、2人の来た方向から(即ちギリキン側から)馬に乗った騎士の1団がやってきていた。
2人を呼び止めたのは先頭に立っている女騎士だ。
パーマのかかった黒寄りの赤髪は肩まで伸び、緑色の軍服を身に着けている。凛とした青い眼は、ドロシー達を怪しむかのような鋭い光を放っていた。
「…何処の方でしょうか。エスメラルダの許可を得て行き来しているのですか?」
女騎士は馬を降り、丁寧な言葉づかいでドロシーに問う。
どう応えたものか。エスメラルダの軍人のようであるが、あちらの事情には詳しくない。
(様子がわかるまでは下手な発言はできないね…エスメラルダの人間なら特に。)
ドロシーが答えに窮していると女騎士が畳み掛ける。
「その風貌…魔女ですね。」
ドロシーのような格好をする人間の層は限られている。
獄鬼により物資の行き来が困難なこの時代、一般の人間の服装は簡素な身なりだ。
単なる金持ちであったとしても、獄鬼の襲撃の危険がある界隈を進むのであれば鎧や盾などの装備になる筈。
つまりこの場でドレスを着るような人間は、身一つで自衛が可能な魔女と判断できる。
(軍人の私ですら剣と鎧を着こむ必要があるのに…気楽なものだな、魔女というものは。)
女騎士は心の中で毒つく。
ドロシーは返答に窮した。
勿論、彼女は“オズの世界の魔女”ではない。ドロシーは生まれ持って使える固有の魔法など持っていない。ARMがなければ魔法を使えないのだ。
だが、このオズの世界における魔女の位置づけはわかってきている。
獄鬼に対抗しうる数少ない存在として、アーテンボローのような下種でもある程度の社会的地位がある。
ドロシーはARMがあれば魔法が使える。“魔女”のふりは可能なのだ。
魔女と一般人、どちらとして通したほうがこの場を切り抜けられるか…
「…」
女騎士は何も言わずに、腰に携えた刺突剣を抜き、ドロシーに斬りかかる。
「うっ、ウィンダールヴ!」
突然攻撃されたドロシーは応戦する為風の刃を発生させる。
驚いたことに女騎士はその全てを避け、ドロシーへ斬撃を与えていく。
「勝負ありです。」
剣先はドロシーの喉元に突きつけられていた。
「ね?魔女でしょう?」
あっさり“魔女”であることがバレてしまった。
正確にはARM使いだが、ウィンダールヴは発動の際にアクセサリーが変形するタイプではないので、彼らの目には生身の身体から魔法を出したように見えたのだ。
女騎士が率いていた兵士達の目が好色そうなものに変化していることに気付いたドロシーは、自分の左肩から胸にかけてが露出していることに気づく。
「く…」
ドロシーは恥ずかしそうに露出した胸を押さえる。
女騎士の刺突剣は、ドロシーの肌には傷1つつけずに衣服のみを剥ぎとったのだ。
それもウィンダールヴを避けながら…大した剣の使い手だ。
女騎士はドロシーの首へ向けた刺突剣の先を少し反らし、言う。
「ご無礼失礼いたしました、魔女さま。エスメラルダの魔女登録は?」
ドロシーは首を横にふる。
すると、女将軍の表情が変わる。安心と嗜虐を混ぜたような表情。
「エスメラルダ本国の魔法使いでないのなら、向こうからこのギリキン側へやって来る際に許可証が必要な筈だ。見せろ。」
丁寧語が消え、尊大な態度に変化する。再び刺突剣がドロシーの首に突きつけられる。
許可証とは、アーテンボローが持っていたものだろう。
「ないのか?…では、貴女はギリキンの魔法使いで、向こう側へ行きたがっているとでも?」
女騎士は詰問する。
「現在ギリキンは無政府状態にある。ギリキン所属の魔法使いはエスメラルダ側で徹底的に管理されている。
ギリキンに風を操る魔法を持つ魔女は登録されていない。貴女の年齢なら“最近生まれた”という屁理屈も通用しない。」
ドロシーの首に突きつけられた剣先が、少し前へ進む。
「未登録の魔女がギリキンから向こう側に出たがっている…獄鬼側の魔法使いと判断しても全く飛躍ではない。」
どうにか取り繕うと口を開いたドロシーの背後から、男の声が響く。
「ああ、そいつはアーテンボローの助手“らしい”ですよ。」
国境の検問から2人の兵士が出てきた。
「アーテンボロー?」
「非所属で村つきの魔法使いですよ。毒の魔法を使う奴です。」
女騎士の隣の兵士が補足する。恐らく獄鬼だろうが、巨大な蟷螂の頭のようなものを脇に抱えている。
「ああ、あの脂臭い男か。」
「申し遅れました、臨時調査お疲れ様です。ジンジャー将軍。」
検問の兵士2人は女騎士に敬礼する。
「久しぶりですね、ベルさん。」
兵士の1人が小声でドロシーに言う。もう1人もドロシーを見てニヤニヤしている。
あの日、ドロシーの通過検査を行い、セクハラに耐えかねた彼女が殴り倒した兵士達だ。
(まあ、あれだけ騒げば出てくるわよねえ…)
検問を通らずどうにか砦を迂回する当初の計画は女騎士の登場により崩れ、
その場に居合わせた者は皆砦の中に入っていった。
――――――――――――――――
一行は検問の広間に集まった。
ドロシーとギンタの両脇には屈強な兵士がぴったりくっついており、逃げ出すことを一切許さなかった。
ドロシーは恥ずかしそうに露出した左胸を手で隠す。裁縫のARMで服を修復することは可能だが、この場でARMを出したら確実に面倒なことになる。
ジンジャーと呼ばれた女騎士は置かれていた椅子にどっかりと座る。
「ジンジャー将軍、お疲れでしょう。」
検問の兵士が彼女に茶を出す。
「…モンビを発見した。奴の城の近くだ。すぐに気づかれ、姿をくらましたがな。」
ジンジャーが静かに言う。
「あのモンビが!!エスメラルダの王族でありながら獄鬼の側につき、ギリキンを壊滅させた邪悪な魔女!!」
「エスメラルダの将軍様がこんな辺境までいらしてどうしたのかと思ったら…これを予期していたと!」
「熟練の騎士の勘ってやつですね!」
兵士たちが口々に囃し立てる。
「…まあ、そんなところだ。」
「本件はエスメラルダ本国へ速やかに報告する。すぐに大規模な捜索が開始されるだろう。」
女騎士は気だるそうに言う。
「あの2人もモンビと関係がある可能性がある。何しろこのタイミングで、未登録な上臨時許可証も所持していないのだからな。」
「ちっ、違う!モンビなんて奴知らないわ!」
ドロシーが否定する。実は大いに関係しているのだが、それを話せはこの場は不利になる。
「この娘はギリキンの者ではありません。」
あの日ドロシーを検査した検問の兵士が口を開く。
「向こう側から、ギリキンへ入ってきたのです。」
緩衝地域の方を指差して説明する。
「ギリキンの廃村に巣食う獄鬼の討伐の任に就いた魔道士アーテンボロー様の助手として。名前は、ベル殿でしたな?」
モンビからギンタを取り戻す為に緩衝地域からギリキン側へ検問を抜ける際、ドロシーは偽名を使っていた。とっさにメルヘヴンでの仲間である妖精の名を借りた。
検問にいたアーテンボローという魔法使いと取引をして、彼の助手という設定で通り抜けたのだ。
「ふむ、それで、アーテンボローの姿がないが?」
ジンジャーが問う。
痛い質問だ。アーテンボローは蛞蝓の上級獄鬼に敗北し、獄鬼と共に増水した川へと落ちて、流されていった。生きているかもわからない。
「アーテンボロー様はギリキンで仕事が残っているの。助手の私は足手まといなので先に帰ることになったわ。」
ドロシーは苦しい嘘をつく。
「…ふむ。で、この少女は?」
門番はギンタを見る。
「…獄鬼に襲われていたところを保護したの。魔法は使えないわ。」
モンビの魔法を移された影響でギンタは無機物の操作が可能だ。
しかし、ドロシーが魔女であるとわかった途端のジンジャーの反応を見て、一般人として通したほうが良いと判断した。
「成る程、成る程。」
やり取りを聞いていたジンジャーはわざとらしく納得したように頷く。
「言い分はわかった。だが事実かの判断はできない。取り調べ室へ連れて行け。何か怪しいものを持ち込んでいないか、検査だ。」
ドロシーとギンタはそれぞれ別の扉を指差される。
「別々の部屋に行くの?」
「ええ。検査器具は1人用ですので。」
検問の兵士はにんまりと笑う。あの日顔面を殴った兵士だ。まだ鼻柱が腫れている。
「…本当にここを通りたいだけよ。さっさと通してくれない?」
うんざりした態度をとるドロシーの前に、ジンジャーが立ちはだかる。
「暴れても構わないが…この場の兵士を皆殺しにする必要があるな。誰かが生き残ればお前はエスメラルダで手配犯の扱いになる。」
ジンジャーが刺突剣に手をかける。
「魔女であれば、エスメラルダの討鬼隊との互助を受けられないと困るのではないか?
…貴女の師匠であるアーテンボローも、エスメラルダと上手くやっているからこそギリキンへの許可証も取得できたのだぞ。」
「…わかった。わかったわよ。貴女とやりあって勝てる気がしないわ。早く済ませてよね。」
ジンジャーの気迫に押されたドロシーは、大人しく取り調べを受けることにする。
「ギンタン、少し我慢してね。」
ドロシーのウィンクに、不安そうなギンタは頷いて返す。
「私はまずこの娘を調べる。」
ジンジャーはギンタの肩に手を置く。
「この魔女はまずお前たちが相手していろ。私も後で合流する。」
ドロシーとあの日ドロシーを検査した兵士2人ともう1人の兵士を広間に置いて、ジンジャーはギンタと自軍の兵士を連れて取調室へ入る。
「相変わらずジンジャー将軍はおっかねえな…」
「部下の兵士が持ってた蟷螂の獄鬼の頭あったろう。あれ、ジンジャー将軍1人で討伐したらしいぜ。自慢のレイピアで蜂の巣だとよ。」
「流石ジンジャー将軍…魔法が使えなくてもやれるもんだな。」
「お前、本人の前では禁句だぞ…」
3人の兵士はそう雑談を交わすと、椅子に座らされているドロシーへ振り返る。
「さあ、俺らも始めますか、取り調べを。」
ドロシーの身体に好色な視線が突き刺さる。
服はジンジャーに破かれたときのまま。露出した左胸を隠す右手に力が篭った。
ドロシーはギンタとジンジャーが入ったのとは別の取調室に通される。
「今回は本国のジンジャー将軍もいるんです。この間のように逃走することはできないと思ってください。」
前回ドロシーの胸を背後から揉み、ドロシーが肘鉄を食らわせた兵士が言う。
「まずは、ここに何か隠し持っていないか調べます。さあ手をどかして。」
手を頭の後ろで組まされたドロシーは、露出した右胸を外気に晒す。
形の良い乳房には小ぶりで桜色の乳首がツンと立っていて、兵士たちは下卑た声を漏らす。
「さあ、触診を始めますね。」
そう言って、兵士はドロシーの両胸を揉む。左胸は服越しに。右胸は生乳を。形が変わる程激しくその柔らかさを味わっていく。
「…ん…♥」
乳首を摘まれたドロシーは声をあげてしまう。埃だらけで汚い兵士のざらざらした指がドロシーの繊細な乳首を嬲っていく。
「次は下に怪しいものがないか確かめます。」
「スカートの中に顔を突っ込むような真似はしませんよ。前回のように蹴られてはたまりませんのでね。」
そう言うのはドロシーの膣に指を突っ込み、膝蹴りを食らった兵士だ。腫れた鼻をさすりながらにやける。
2人の兵士が両脇からドロシーのスカートを摘み、ゆっくりと引き上げる。
下着をつけていないドロシーは、その動作だけで簡単に割れ目を晒してしまう。
「おお、これは…」
ドロシーの膣を見た兵士があることに気づく。
「!!…やだ…!」
広げた股の間。薄紅色の割れ目から、白く濁った粘液が垂れてくる。ここに来る直前、ギンタと愛しあったとき膣内射精された精液だ。
「おやおや…」
「随分お盛んのようで…」
兵士たちは興奮気味に嘲る。
ドロシーは恥ずかしさにプルプルと震える。自分がさっきまで膣内射精してきたことがこいつらにバレるなんて、考えてもみなかった。
「相手はアーテンボロー様ですか?」
ギンタのことを髪型と服装から女の子だと思っている兵士はそう言ってドロシーを誂う。
「違うわよ…誰があんなオヤジと…」
顔を嫌悪の表情に染めながら否定するドロシー。
とはいえ、あの時雌の蛞蝓獄鬼が邪魔しなかったらアーテンボローに抱かれてしまっていたかもしれない。実際、彼の亀頭までは完全にドロシーの膣内に入っていたのだ。
(あんなのノーカウントよ…先っぽだけだし…)
「ほら、わかったでしょ?怪しい物なんて持ってないから、ここを通してよ。」
「ええ。わかったのは“怪しい物を持ってない”ことだけです。」
「な…!」
「我々の任務は身体検査。獄鬼の仲間であるかどうかの尋問はジンジャー将軍が行います。」
将軍の取り調べはきついぞ、と兵士は相方の兵士に笑う。
「何しろ大の魔女嫌いだからな。」「楽しみは後にとっておく方だからこいつを後回しにしたのだろう。」
「そんな…!そんなのただの嫌がらせじゃない!」
モンビが出現した以上兵士がドロシーを警戒するのは当然だが、この分だと白だとわかっても難癖をつけて通してもらえなさそうだ。
それはドロシーを魔女だと判断した瞬間の、ジンジャーの嫌悪に満ちた表情から容易に想像できた。
「そうだな…その胸でヌイてくれたら見逃してやってもいいぞ。」
未だに片方露出しているドロシーの豊満な乳房を見て、兵士は言う。
既に兵士としてのドロシーへの丁寧語は消えていた。男と女の取引だった。
「そりゃいい。そうしたらジンジャー将軍に口利きしてやるよ。あのガキも一緒にな。」
「犯そうってんじゃねえんだ。口も使わなくていい。どうだ?」
「はぁ!?ふざけんじゃ…」
罵ろうとしたドロシーだが、ふと思いとどまる。
『メルヘヴンじゃナイトクラスだったお前もこの世界じゃポーン並だ。この牛みたいな胸使って敵に媚びたほうが生き残れるんじゃねえか?』
ギロムの言葉が思い浮かぶ。
ここで暴れたら、エスメラルダの兵士に指名手配されるとジンジャーは言っていた。
今まで会った人々の話を聞く限り、エスメラルダは唯一治安が良い都市である。だから私達はそこを目指している。
そのエスメラルダすらも安全ではなくなってしまうのだ。
そしてそれは、ギンタにとっても同じだ。彼の不安そうな顔、あどけない笑顔が交互に浮かぶ。
「…いいわよ。約束は守りなさい。」
ドロシーは、ゆっくりと服に手をかけた。
左胸はジンジャーに肩ごと服を裂かれ、既に外気に晒している。
ドロシーは不服そうに右肩の服を緩め、右胸も露出させると、白く大きな双丘が兵士達に向けてさらされる。
「ほら…早く出しなさいよ…」
恥ずかしそうに顔を背けながら兵士の股間に胸の高さが合うように跪く。
するとドロシーの眼前に、ギンタンの倍はありそうなペニスが放り出される。
パイズリならしたことがある。オスカーに無理矢理、そして、ギンタンにしてあげた…
ドロシーは突き出されたペニスを、自分の白い大きな胸に挟み込む。
ギンタのはどうにか亀頭の先が出るくらいに自分の胸に埋もれたが、大人のペニスはドロシーの巨乳に挟まれても亀頭のほとんどが露出していた。
(硬い…熱い…気持ち悪い…)
ドロシーは恥辱に涙を浮かべて、乳房を擦らせる。胸にペニスの熱さが伝わってくる。
「そろそろ出そうだ…」
ブ…ブピュッ…
ドロシーの胸の間で、熱いものが弾け、彼女の柔肌を濡らしていくのが感じられた。
(出てる…私の胸の中で…)
下種の精液がドロシーの胸の間をべっとりと汚していた。
「へへ、良かったぜベルちゃん。」
胸で抜いてもらった兵士は上機嫌で、別室の様子を見に部屋を出た。
「俺ら2人はその綺麗な手でしてもらおうか。」
2人の兵士は早速ドロシーに膨張した陰茎を突き出す。
「待ってよ、順番に…」
「手は2本あるだろう?」
「…わかったわ…」
ドロシーは両手で2本のペニスを握る。
熱を持った硬いゴムのような感触のそれを、事務的にしごく。
(…当たり前だけど…ギンタンのより大きいわね…気持ち悪い形して…臭くて…最悪…)
胸の内に呟く嫌悪の言葉とは裏腹に、ドロシーの息は荒くなっていき、陰茎をしごく指に力が入る。
ドロシーの白く細い指の感触に耐え切れなくなった兵士のペニスは一瞬大きくなり…
「う…もう…」「出すぞ!」
「きゃあっ!」
2人の兵士は同時に射精に、どちらもドロシーの顔面に振りかかる。
整った顔は彼らのほかほかの子種で白く汚される。
「はあ…これで満足?」
顔も、胸も、兵士達の精液でベタベタに汚されている。
ドロシーが胸を右側だけでも仕舞おうとすると、背後の扉が開き、別室に行った兵士が戻ってくる。
「おい、あのガキ男だったぞ。」
驚いたように兵士はそう報告する。
「あんた…ギンタンにも手を出したの!?」
ドロシーは精液塗れの顔で兵士を睨みつける。
「ちょ…ちょっと身体検査しただけだ。」
「それよりも…まさかさっきの精液はあのガキのものじゃねえだろうな?」
「う…」
「図星、だな。」
「あんな小さなガキとヤるだなんて、そんなに飢えてたのか?」
「うるさい、…もういいでしょう?スッキリさせてあげたんだから…」
兵士が息を荒げながらドロシーに覆いかぶさる。露出したドロシーの乳首に吸い付き、膣に指を入れようとする。
「待って!約束が違…」
「へへ…あんなガキのチンポよりもいい思いさせてやるよ」
兵士はしまいかけたペニスを再び露出させ、ドロシーにねじ込もうとする。
ギンタンのかわいらしいものとは似ても似つかない醜悪なペニス。
トンワンやアーテンボローに辱められた恐怖感、オスカーやギロムにレイプされた嫌悪と絶望が蘇る。
もう限界だ。そこまで身体を許すつもりはない。ギンタン以外のペニスなんて、もうこの身体への侵入は許さない。
クレイジーキルトでも起動させて気絶させてしまおうか…
そう考えていると、取調室の入り口にいる男の背後に黒い影が立つ。
次の瞬間には、彼の胸からは血に染まった矛が顔を出していた。
「だ、誰だ…」
ドロシーを襲おうとしていた兵士2人からの言葉が終わらぬうちに、見えないほど素早い衝撃が彼らの顔面を砕く。
あっという間に3人の兵士が力尽きる。
入り口からはフードに包まれた仮面の男が4人入ってくる。うち3人は先程入り口の兵士を刺したランス型の武器を担いでいる。
ドロシーはその仮面に見覚えがあった。
「チェスの…ポーン兵?」
仮面の男達は答えず、ランスを持っていない男の袖から拘束で何かが出てくる。
ドロシーはどうにか、迫り来る鞭のようなものを避ける。
今絶命している取り調べ兵士2人を屠った武器だ。
「パイソンウィップ…」
当時ルークだったイアンが所持していたウェポンARM。
ポーンでも所持を許される程度の簡単なARM。だが丸腰の人間を倒すには充分の威力だ。
「悪名高い魔女、ドロシー…」
ランスを持った男が呟く。私の名前を知っている。やはりチェスのポーン兵だ。
「忘れはしない…氷漬けの城で、貴様の操る狼に殺されたのだから…」
「あんた達…あの時私が殺したポーン兵?」
1年前、メルヘヴンに来たばかりのギンタは、ジャック達と一緒に氷の城に自らを閉ざしたスノウを救出するべくチェスと戦っていた。
偶然その場に居合わせたドロシーは、影に潜んでギンタを襲おうとしたポーン兵の集団を人知れず全滅させていたのだ。
このオズの国にチェスのポーン兵がいることだけで驚きだが、まさか自分が殺した相手が蘇ったとは…
「く…はは…」
ポーン兵達が笑う。
「何がおかしいのよ!?」
「我々が殺されてから1年が経過していたようだな…あの後貴様はウォーゲーム全勝。メルヘヴン最強の魔女だ…」
「な、なんで知ってるのよ…」
「だがこの世界ではお前は弱い…」
「我々を虫けらのように殺した女が、唯の雑魚兵士に身体を使って媚びている!」
ポーン兵は、足もとに転がる兵士の露出した股間を踏みつけてゲラゲラ笑う。
「く…」
ドロシーは顔を真っ赤にする。その通り、ドロシーの露出した両胸の間には精液がべっとり付着している。端正な顔にも精液がぶっかけられている。
「ポーン以下!ポーン以下だ!」
自分が倒した兵士の躯を蹴りつけ、興奮したようにポーン兵は叫ぶ。
「あの時の屈辱、今晴らしてやる!」
4人のポーン兵が一斉に躍りかかる。
ドロシーの服はジンジャーの攻撃で左肩から胸にかけて剥ぎ取られている。そのため脇腹からスリットの開始部にかけての僅か数センチの布が、服が大きく肌蹴ることを防いでいる。
リーダーのポーン兵から繰り出されるパイソンウィップがその布へと直撃する。
ドロシーのボロボロの魔女服は、ドロシーの右肩だけで支えているような状態になり、彼らの攻撃を避ける度に、布が右半身に集まっていく。
もう何も着ていないのと同じようなものだ。
「ははは!いい格好だ!」「全員で輪姦(まわ)してやる!」
ポーン兵達が叫ぶ。相変わらず、チェスの末端はただ暴れたいだけの下種な連中だ。
「…ふん…ポーンごときが…!」
ドロシーの目が冷たい光を帯びる。
このオズの世界に来て、魔力の燃費が悪くなってしまったドロシー。
何十発も出せた風の魔法は今やほんの数発で魔力切れになってしまう。
トトの召喚などの大魔法は数秒しか行えない。
おかげで、メルヘヴン最強の魔女ドロシーを知る者には考えられない程の受難を、この世界で味わった。
だが…
「ぐうっ…!」
ランスを持ったポーン兵が3人、首を切られて倒れる。
この世界で失われたのは、魔力の燃費だけ。
ARMとのシンクロのセンス、ウォーゲームを含めた数々の戦闘経験はドロシーの血肉に染み付いている。
「お前たち程度の雑魚なんて、ダガーARM1本で充分なのよ。」
ドロシーの武器は嵐や巨人、狼の召喚等の大魔法だけではない。
大魔法が必要でない相手にはナイフ1本だけで制圧するスマートさは、ウォーゲームの4thバトルでも示していた。
「おのれえええ!!」
パイソンウィップを滅茶苦茶に振り回すポーン兵の攻撃を、踊っているかのような軽やかな身のこなしで避けていき、拳をポンと彼の腹に当てる。
「ポーン並の魔力になった所で、ポーンに負ける程堕ちちゃいないわ。 エア・ハンマー!!」
凝固した空気がポーン兵の腹を一瞬で凹ませ、慣性を失ったその身体は取調室の石壁に叩きつけられ、そのまま突き破る。
――――――――――――――
一方、ギンタの取調室にも出現していた。
「ギンタだ。」
「俺たちがあの魔女に殺された時、城にいたガキだ。」
「少し幼くないか?」
「だが外見の特徴はモンビ様の言っていたのと同じだ。」
「回収する。」
仮面を被った黒ローブの集団は一斉に襲いかかる。
しかし、鋭い光が踊ったかと思うと、半数のポーン兵が1本の刺突剣に団子の如く串刺しにされる。
「何者だ。モンビと言ったが、奴の手下か?」
致命傷を与えたことを確認すると、刺突剣を素早く抜いて残りのポーン兵にジンジャーが問う。
「貴様に語ることなどない。スクリューサーベル!」
ポーン兵の1人が螺旋状のアクセサリーを取り出すと、それは光と共に奇妙な形のレイピアと化す。付け根から刃先までがスプリングのように曲がった形状の剣だ。
その光景を見たジンジャーは目を見開く。
「おい貴様!それは…ARMというものか!?」
「答える必要は… !!ぬうっ!」
突如、ポーン兵の横の石壁が盛り上がり、破裂する。
隣の部屋から同胞のポーン兵が石壁を突き破って吹き飛ばされてきたのだ。
爆発の衝撃で、スクリューサーベルを持ったポーン兵は、パイソンウィップを操るポーン兵と共に意識を失った。
抜けた壁越しに隣部屋からドロシーが恐る恐る顔を出すが、ジンジャーと目が合う。
「…ベル!」
「せ、正当防衛よ!こいつらがいきなり襲ってくるから!」
必死に自分の正当性を主張するが、この場に居続けても厄介なことが続くのは目に見えている。
ドロシーはほとんど裸の胸を抑えながら、片手でギンタの手を取る。
「ギンタン!行くよ!」
エアハンマーの衝撃は2つの取調室の間の壁のみならず、緩衝地帯側へと続く外壁も破壊していた。
魔女と少年は、土煙に紛れてその場を去っていく。
「あっ、待てっ!!」
ジンジャーの部下の兵士が、ドロシー達を咎める。しかし…
「行くならお前たちが先にいけ。私はこの男を尋問せねばならん。」
ジンジャー将軍は少し興奮気味に、部下の顔を見ずにそう言う。
部下の兵士は大きなため息をつく。
ジンジャー将軍は普段ならこんな投げやりなことは言わない方なのだが…
ジンジャーがこの不思議な武器を使う男達に興味を持つのは仕方がないことだった。
今回、彼女の管轄地でもないギリキンへ臨時調査に行くと言い出したのはモンビの発見を予期したからではない。モンビの発見は本当に偶然のものだ。
彼女がギリキンに行こうとしたのは他でもない、『ARMという、魔法使いに生まれなくても魔法を使える、神導器のような道具を売っている集団がいる』という噂を聞きつけたからだった。
あくまでも彼女は部下に対して臨時調査という名目を主張し続けているが、付き合いの長い彼には嘘は通じなかった。
ジンジャーは、ただ魔法使いを嫌悪しているのではい。魔法への強い嫉妬と羨望があるのだ。
ジンジャーはエスメラルダの騎士である。
エスメラルダの軍、つまりエスメラルダの住民を脅かす獄鬼や、隣国の邪悪な魔女が支配する東西の国への対抗勢力は2つに分かれている。
魔女や魔法使いの軍団と、魔法を持たない人間が武装した軍だ。
魔法を持たずに生まれたジンジャーは後者の所属になる。
2つの軍の待遇は公平とは言いがたく、少数にして一騎当千の魔法軍はその多くがエスメラルダの防衛として本国に配備される。
数が多い武装軍は緩衝地帯などの僻地に行かされることが多く、そこで下級獄鬼の討伐をしたり、手に負えない場合はエスメラルダ内地の魔法使いを呼ぶ伝令役が主な仕事だ。
そんな武装軍ではどんなに血を流しても、どんなに偉くなってもオズ大王に謁見することすら叶わない。オズ大王の勅令は全て魔法使いを通じて伝えられていた。
エスメラルダで働く魔法使いは全員がオズ大王と謁見する機会を与えられているのに、だ。
ジンジャーは女の身でありながら剣の才能を鍛えあげて将軍まで上り詰めた。弛まぬ研鑽によって剣の腕を磨いて大型の獄鬼とも渡り合えるようになった。それでもオズ大王は非魔法使いである自分を目に入れてはくれない。
ジンジャーは魔法使いを憎んでいた。
自分たちが命をかけて戦う下級獄鬼を、汗1つかかずに一掃する魔法使い達を憎んでいた。
生まれ持ったものの違いだけで高い下駄を履かされる、大王とお近づきになる権利すら得る魔法使い達を憎んでいた。
それ以上に渇望していた。魔法さえ使えれば、と。
そんな彼女がARMという噂を信じ、僻地まで遠征するのも無理からぬことだ。
まして本当にARMを使う者を発見したとあれば、不審な魔女の出領審査など重要な問題ではなくなるであろう。
ジンジャーの部下は、桃色の髪の魔女と金髪の少年の追跡は止めることにした。
どうやら本当に悪意はないようだった。獄鬼の手先になるような人間の目はしていない。
そもそも取り調べを行ったのは魔女嫌いのジンジャー将軍の憂さ晴らしによるものだ。
負傷した兵を率いて追うような相手ではない。
兵士は仲間の手当をしに、薬箱を探しに行った。