「ハア…ハア…追ってこないね…」
関所を飛び出して、走り続けていたギンタは息を切らしながらドロシーに言う。
「ハア…そうね…」
ようやく、ギリキンを抜けることができた。
今いる場所は、東部マンチキン、北部ギリキン、中央部エスメラルダの緩衝地域。
目指す場所はエスメラルダ。
ドロシーは今まで自分が辿ってきた道を確認する。
オスカーを追って門番ピエロを通りオズの国に来たドロシー。
彼女はオズの国東部マンチキンを治める魔女の城に転送されてきた。
城を壊されたネッサローズは怒り狂うが、ドロシーは川に流されて追跡の手を逃れる。
流されてきた彼女を救ってくれたのは現地の中年女性。だが彼女もネッサローズの追っ手には逆らえず、ドロシーの逃走劇が始まる。
魔女の追っ手から逃れるうちに、ドロシーは動く水に護られた隠し部屋を見つける。
そこに封印されていたのは金髪の少女。のちに少年であることを知る。
ゼピュロスブルームを失くしたことに気付いたドロシーはアンダーダでネッサローズの城に飛ぶ。
ゼピュロスブルームは回収できたものの、飛行機能が壊れていた。
その上ネッサローズに捕まったドロシーは、アンダータを壊され、処女も失う。
ネッサローズに睨まれた以上、マンチキンを脱出することを決意したドロシーは、ギンタを連れてエスメラルダへ向かうことにする。
道中遭遇したコッローディという魔女がエスメラルダ出身だったのだ。
東部マンチキン、北部ギリキン、中央部エスメラルダの緩衝地域に到達したドロシーは、宿泊した街でオスカーに遭遇する。彼はARMをオズの国の人間に売りつけ、何かを企んでいるようだ。
次に訪れた街ではイブノムという魔女にギンタンと小雪ちゃんの愛しあう姿を見せられた。
自暴自棄になったドロシーはイブノムの口車に乗せられて少年を引き渡し、
自身は畏鬼教の殲滅に向かう。そして再び出会ったオスカーに、一晩中犯された。
イブノムの正体がモンビという邪悪な魔女であることに気付いたドロシーは少年を取り戻すべく国境を抜け、北部ギリキンに向かう。
そしてモンビの城で、少年の正体が自分の想い人、ギンタの複製であることを知る。
ギンタを取り戻して来た道を引き返す途中ギロムに陵辱されたが、その晩彼女は複製のギンタと結ばれた。
1日中愛しあった後、再び関所を抜けて今に至る。
こうしてみると、この世界で自分は色々な陣営を相手にしなくてはいけないのかもしれない。
東西南北中央の5つに分かれたオズの国。
東部、マンチキンを治める魔女には彼女の神導器を盗んだと思われている。
西部、カドリングを治める魔女とは姉妹のようで、彼らにも狙われるだろう。
北部には今モンビがいる。ギンタの体内にある神導器の核を狙っているのだ。
そしてドロシーがオズの国に来た目的、オスカー。彼を止めるのがカルデアの魔女としての使命だ。各方面にARMを配っているようなので、そのARM使い達も警戒すべきだ。
更に獄鬼を崇める畏鬼教ウィッカや、野生の獄鬼達にも気をつけないといけない。
また、先ほど検問に現れたチェスのポーン兵も何故現れたのか謎に満ちている。
メルヘヴンと違いARMとのシンクロに莫大な魔力が必要なこのオズの国で、私はオスカーを倒し、メルヘヴンが帰る方法を見つけることができるのだろうか…
既にこの世界で何度となく味わった敗北、そして敗者として強いられる恥辱の記憶に目頭が熱くなる。
でも、今はこの子がいる。ドロシーはギンタの幼さの残る顔を見つめる。
守る者、愛する者ができたドロシーは、少なくとも孤独ではなかった。
そしてそのことは、彼女に勇気と力を与えた。
「行くよ、ギンタン、エスメラルダへ!」
「ま、待ってよおねえちゃん!」
ドロシーは元気よく太陽の方向―南へと踏み出す。
18歳の魔女と10歳の少年の影は夕陽に照らされ、オズの国の大地へ長い尾を引いていた。