ACT.30 眠りの芥子と討鬼師の少女
オズの国北方領ギリキン、東方領マンチキン、中央領エスメラルダ。
3つの地の間の緩衝地帯のギリキン寄りに位置する林の中。
広葉樹が茂り外からの視線が届かなくなっている箇所に、くぷくぷと粘音が響き渡る。
そこには2人の人間の姿があった。
木に背を預けて立っているのは10歳程の背丈の少年。
肩まで届く金髪を揺らして、クリーム色のスカートをたくし上げているその姿ははたから見れば女の子のようだ。
彼のスカートに顔を埋め、その男の子の象徴を口で奉仕しているのは黒衣に身を包んだ18歳の少女。
口奉仕をする度に桃色の三つ編みが、黒衣を押し上げる程豊かな胸が、揺れる。
臍の高さまで深く入ったスリットからは、健康的な太ももがチラチラと覗く。
「ドロシーおねえちゃんの口、気持ちいいよぉ…」
「んふ…まだ出しちゃらめよ?ギンタン♥」
黒衣の少女の名はドロシー。
オズの国とは違う時空の世界、メルヘヴンからやってきた魔女だ。
同郷の魔法使いオスカーが故郷を裏切り襲撃したことを許せず、彼を追ってオズの国までやってきた。
金髪の少年の名はギンタ。
1年前にメルヘヴンを脅かしたテロ集団を倒すべく、オズともメルヘヴンとも違う世界から召喚された英雄…
…のクローンである。
10年前に当時5歳だったギンタの魂を使って、オズの国の邪悪な魔女、モンビが作成した複製。その後別の魔女によって5年間封印されていたので彼の肉体年齢は10歳である。
オリジナルのギンタに想いを寄せていたドロシーが、奇しくもクローンのギンタの封印を解いてしまい、紆余曲折あって今はこのような仲になっている。
「お姉ちゃん…もう…」
「ん…らめぇ♥らすならおねえひゃんの中にぃ…♥」
そこに、突如かん高い大声が響く。
「な、ななななな何してるんですかあーっ!」
「「!?」」
同時に声のするほうを向く二人。
彼らから少し離れた場所に、顔を真っ赤にした少女がドロシー達を指差しながらわなわなと震えている。
歳は14,15歳程度で、セミロングの黒髪を後ろでポニーテールにまとめている。
纏っている服は随分変わったデザインだ。
上半身は袖が無く肩・腋の露出した真っ白な白衣と、別途腕に着けている袖。
下半身は赤い袴。しかし袴は前がぱっくりと大きく割れている。
正面から彼女の下半身を隠すのはひざ上まで伸びた白足袋と、同じく純白のショーツのみ。
「な…ちょ…これは…」
人気のない、獄鬼(オズの国に蔓延る異形たち)もいるような森で女の子が単身でいることに、そして彼女に性行為を見られたことに動揺してあたふたするドロシー。
「見つけましたよ…畏鬼教・ウィッカの信者!近隣の村の人々の要請で参りました!おとなしく成敗されなさい!」
黒髪の少女はそう言うや否や地面を蹴り、真っ直ぐドロシーに殴りかかる。
「ちょ…私はウィッカの信者なんかじゃ…」
そう弁解しながら拳を避ける。
ドロシーが避けた拳は彼女の背後の樹木に激突する。
ゴキ…と重い音が響くが華奢に見える少女の拳は傷1つつかず、逆に木肌が拳の形に陥没している。
(なんて威力…この娘…魔女…?)
オズの国には魔女・魔法使いと呼ばれる、生まれながらに固有の魔法を行使できる人間が低確率で生まれる。数は少ないながらも圧倒的な力を持つこの存在が、オズの国に蔓延る獄鬼から一般市民を護るのがこの世界の常だ。
今ドロシーの目の前にいる少女は肉体強化の魔法の持ち主だろうか。
木を陥没させる程の衝撃は彼女の拳にも伝わっている筈なのに、少女は痛がる素振りも見せない。
「畏鬼教じゃない…?」
少女はゆらりとドロシーの顔を見る
「こっ…こんな小さな男の子に…女の子の格好させて…その…エ…エッチなことしてるなんて…!明らかに堕落きった畏鬼教の所業でしょう!」
「うぐ…」
そう言われるとドロシーも強く反論できない。
「そうでなければヘルファイア・クラブの魔女!いずれにせよ獄鬼に毒された堕落した人間です!」
今度は蹴りが飛ぶ。
ドロシーはゼピュロスブルームと呼ばれる風を生み出す箒を出現させ、箒の柄でその蹴りを受け止める。
彼女のゼピュロスブルームはARMというメルヘヴンの武器だ。術者の魔力とシンクロして魔法を生み出す道具だが、ここオズの国ではドロシーは上手く魔力が練れずにいる。
簡単に言えばメルヘヴンよりも魔力の燃費が悪いのだ。メルヘヴンでは20発は撃てた攻撃が、オズの国では4、5発の使用で魔力切れになる。
そのおかげで、彼女は今まで苦戦の連続だった。
(成る程…体術を使うから、身体が動かしやすいように前が開いた服を着てるのね…)
少女のハイキックとゼピュロスブルームで鍔迫り合いをしているドロシーからは、少女の純白の下着が丸見えだ。袴が前で大きく開いていて常に見えている状態なので“下着”と呼んでいいのかは不明だが。
そんなことを考えているとミシ…と嫌な音がゼピュロスブルームから響いてくる。
(一応鉄以上の硬度はある筈なのに…なんて力なの…)
ドロシーがゼピュロスブルームを指輪の形態に戻すと、少女の蹴りは空を蹴る。
仕切り直しだ。ドロシーは次のARMを発動させようとし、少女は次の打撃を叩き込む体勢に入る。
「や、やめてよおねえちゃん達…!」
そんな2人の間に、金髪の少年、ギンタが割って入る。
「ギ、ギンタン!?」
攻撃の手を止めるドロシー。
それは黒髪の少女のほうも同じだった。彼女としては淫乱な畏鬼教徒に慰み者にされている哀れな少年を助けるつもりだったので、彼のことを害するつもりは毛頭ない。
しかし拳を叩き込むつもりでドロシーに体当りしようとしていた彼女の身体は止まりきることができず、割り込んできた少年に衝突する…
「う…いたた…大丈夫ですか?ぼく…」
派手に転んでしまい目眩がする頭を押さえながら、黒髪の少女は少年の姿を探す。
「む…むぐぅ…」
「むぐ…?…っきゃああああっ!?」
少年―ギンタは、少女の下敷きになっていた。
少女はギンタの胸板の上で尻もちをついた格好になっており、ギンタの口と鼻は丁度彼女のショーツに押し付けられて塞がれていた。
「やっ…やだあっ!」
予想外の事態にパニックになる少女は体勢を整えようにも上手く腰が入らず、股間をギンタの顔面に押し付けてしまう。
「んむぅ…」
呼吸をしようと口をもぞもぞさせると、薄布越しにその感触が少女の大事なところに伝わる。
「あ…ん…ううぅぅっ…」
己の指の感触しか知らなかった少女の秘部に甘い痺れが走り、声をあげてしまったことに羞恥の表情が浮かぶ。
「はあ…はあ…ごめんなさい。私としたことが…」
どうにかギンタから離れ、ぶつかってしまったことを詫びようとするが、ギンタとドロシーの視線が自分の胸元に行っていることに気づく。
「…ッ!!」
ぶつかった衝撃で白衣がはだけ、まだ幼さの残る小さな身体には不相応なほど豊かな双丘が外気に晒されていた。
「きゃああああっ!!!」
2段重ねの羞恥に、少女は林中に響く大声で叫び、うずくまる。
「…つまり、貴方がたはウィッカでも、ヘルファイアクラブでもないと。…恋人同士だと。」
落ち着きを取り戻した少女は、衣服を整えてドロシーにそう言う。
「そう言ってるじゃない。」
呆れ顔で言うものの、ギンタとの関係を恋人と言われたドロシーは頬を少し染める。
「申し遅れました。私はあのあたりの村で討鬼師をやっております、シズキと申します。」
シズキという少女は深々と頭を下げ、南のほうを指す。
その方角に村らしきものは見えない。山を越えた処ということだろう。随分遠くから来たようだ。
「このあたりで旅人が行方不明になることが多くてですね。エスメラルダの王立討鬼部隊の方々の庇護もなかなか届かないど田舎ですゆえ、近隣唯一の魔女である私が山3つ超えてはるばる駆りだされてきたわけです。」
ここ数日の調査の結果、今迄で20を超える人間が行方不明になっているが彼らの荷物や衣服、骨などの死骸さえも残っていない。獄鬼だけなら死体の片付けなどせずに食い散らかす筈なので、人間が絡んでいる。そうシズキは踏んだようだ。
「だから私のこと畏鬼教徒呼ばわりしたわけね…それと…へるふぁいあ?」
「ヘルファイア・クラブ。獄鬼の味方をする魔女集団です。」
獄鬼の強さに惹かれ、心酔するようになる人間は一定数存在する。
その中で組織立って行動している集団は大きく2つに分類される。
魔法が使えない人間で構成される畏鬼教団、ウィッカ。
そして魔女や魔法使いで構成される魔女集会、ヘルファイア・クラブだ。
ウィッカは魔法で自分の身を守れない人間達が獄鬼に庇護を乞う形で築かれる関係。…つまり、女は身体を差し出す、男は他所から餌用の人間を拉致してくるなどする代わりに『自分たちの命だけは助けてください』と獄鬼に服従する人間の集まりだ。爬虫類・両生類型の獄鬼がそういった人間の相手をする傾向にあるのだという。
獄鬼の王を“神”とする宗教という形をとっており、集会所も各地に点在しているので根絶やしが難しい。
ヘルファイア・クラブは獄鬼に心酔する魔女・魔法使いの集団だ。
一般的に言えば、魔女や魔法使いは下級獄鬼に対しては一方的に殲滅できる強さを誇っている。だが言語を流暢に操る程の知性を持つ上級獄鬼の強さはピンからキリまであり、本当に強い上級獄鬼には普通の魔法使い達は手も足も出ない。その強さに心酔し、獄鬼の側につく者も少なからずいるらしい。
「ヘルファイア・クラブはそんな魔法使い達で構成された組織です。拠点を東方領マンチキンと西方領カドリングに置いていて、それぞれネッサローズとエルファバという魔女がリーダーを務めているんです。」
ドロシーはネッサローズの名前に反応する。
(…あいつ、そんなにすごい奴だったのか…)
ドロシーは東の魔女、ネッサローズと一度戦っている。
彼女がオズの国にやってきた際、ネッサローズの城の上に門番ピエロの時空間ゲートが開いた為に城の一部を破壊してしまい、ネッサローズの怒りに触れたのだ。
魔力が練りづらいというハンデを持つ中でドロシーは善戦したほうだがやはり負けてしまい、ギンタと無理矢理交わらされて処女を失うという手痛い敗北の代償を味わってしまった。
「貴女達も気をつけてください。このあたりでも行方不明者が出ているので。」
シズキは調査の続きをするようで、ドロシー達と別れを告げる。
が、数歩離れて振り返る。
「あと…エッチなことは…程々にですよ。」
顔を染めながらそう言うと、今度こそシズキは風のように去っていく。
「まさかこんな場所で人に見つかるとはね…」
Hを邪魔されてしまった形になったドロシーがぼやく。シズキはもう遠く離れたようだ。
ギンタの股間を見ると、切なそうにスカートを押し上げている。
「もう…他の女の子のでこんなにしちゃって…」
シズキがスノウや小雪ちゃんに風貌が似ていたこともあったことも手伝い、ドロシーは拗ねたように頬をふくらませる。
「そ、そんなこと…」
弁解しようとするギンタの口に人差し指を当てて制する。
「それ、挿れてくれたら許してあげる♥」
ドロシーがスリットを引っ張ると、シズキの乱入でお預けを食らっていた秘裂が、しっとりと濡れている。
ギンタはたまらずドロシーに覆いかぶさった。
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存分にお互いを貪りあった2人は茂みを抜け、南へと向かう。
中央部、エスメラルダを目指すのだ。
ギンタは長い刺突剣を持って歩いていた。身長の低い彼にとっては身の丈ほどもある剣だ。
昨日、2人はギリキンと緩衝地帯との間の検問で何故か復活したチェスのポーン兵に襲撃された。ドロシーとは別の部屋にいたギンタを彼女が抱えるようにして退散した際にギンタが持っていたのだ。
襲撃の際、ギンタの取り調べをしていたジンジャーという女騎士が『君も男なら戦え』と渡した剣だという。
結果的に持ちだしてしまった形になるが、捨てればいいのにギンタはいつまでもその刺突剣を持っていた。
悪い意味ではなく、ドロシーはギンタに戦闘面での期待はしていなかった。
彼という存在がいるだけで精神的に大いに支えになっているし、魔力を含んだ彼の精液を摂取することで結果的に戦闘でのサポートにもなってもらっている。
(まあ、男の子だもんね。私を守りたい…とか思っちゃってくれてるのかな♥)
「見て!おねえちゃん!」
ギンタの指差す方向には、真っ白な花が一面に咲いている花畑があった。
荒野なども多かったこの地域には珍しく美しい光景に、ドロシーもギンタも目を奪われた。
丁度2人の進行方向の先にあったので、この花畑を抜けて南下することにした。
膝くらいの小さな花が咲き誇る中進んでいくドロシー達。
少し歩いたところで、隣を歩くギンタが突然倒れた。
「ギンタン!?」
ギンタの様子を見ようと屈んだ瞬間、ドロシーの身体もまた、糸の切れた操り人形のように地面に倒れる。
そのまま、2人はすやすやと寝息を立て始めた。
彼女達の足もとで咲いている花達の正体、それは植物型の獄鬼、昏睡芥子である。
低級獄鬼の中でも更に低級で、人間を襲ったり孕ませたりすることはない。
催眠作用のある花粉を振りまいて鼠や土竜などの小動物を永久の眠りに落とし、生きたまま養分を吸収したり、種を仕込んだりする生態を持つ。
花粉は人間にも有効だが、それくらいのサイズの生き物に対しては数時間分の催眠作用しか与えられない。
陽が落ちて、芥子が活動を休止する頃にはドロシー達も目覚めるだろう。
無害さ故から、多くの人間には獄鬼の扱いすらされない昏睡芥子の花畑。
しかしそれを利用する者が、ドロシー達の『真下』に潜んでいた。
ドロシー達が倒れてから数十分後、芥子畑の中央の地面が盛り上がり、蝶番式の扉が土を撒き散らしながら開く。
「お、いるいる。」
顔の下半分に布を巻き、鼻と口を防御した男が2人、その穴から這い出てくる。
「今日は上物が引っかかったな。見ろよすげえデカ乳だ。隣のガキは妹か?」
男の1人がドロシーの胸を粗暴に揉みながら言う。
ドロシーは芥子の花粉の作用で完全に熟睡しており、胸を揉まれても悩ましげな息を漏らすだけだ。
「おい…こいつ男だ。女の格好してるだけだぜ。」
もう一人の男がギンタのスカートを下ろして男の証を確認し、残念そうに言う。
「お前もう脱がせてるのか…獄鬼様の生け贄だぞ?」
呆れ顔の男に、ギンタのスカートを脱がせた男はニタニタをした笑みを浮かべる。
「へへ…獄鬼様に捧げる上でさ、“毒味”が必要だろ?」
「違いねえな。」
2人の男はドロシーに群がる。
「お、こいつのドレス、切れ込み入ってる上に下着がねえぞ!」
男がドロシーのスカートを捲くる。毛の生えていない綺麗な秘部が男たちに向かって露わになる。
「入れてくださいと言わんばかりじゃねえか。脱がす手間が省けた。」
「へへ…じゃあ早速…」
ずぷぷ…
男のペニスがドロシーの膣に侵入していく。
「ん…♥」
眠ったままのドロシーが甘い声を出す。ドロシー本人の意識がないまま、彼女の膣は名も知らぬ男のペニスを受け入れる。
「どうだ?兄貴。」
「初モノじゃねえみたいだがそんなに使い込んでねえみてえだ。まだ膣内が固い。」
男はドロシーに覆いかぶさり、腰を打ち付ける。
「んっ♥ あっ♥は…」
その度にドロシーは夢の中にいながら甘い声を出し、大きな胸はゆさゆさと揺れる。
男を知ってから日の浅いドロシーの膣だが、この数日間のギンタとの快楽に浸る日々で、徐々にペニスの咥え方を知り始めていた。
男のペニスにみっちりと絡みつき、快楽を与えていく。
「う…っ もう出るっ!」
「ん…んぅ♥…」
男の精液がドロシーの膣内にトクトクと注がれていく。ドロシー自身の自覚のないまま、顔を合わせたこともない男の子種が子宮の中いっぱいに溢れる。
「あ、兄貴!“毒味”のときは外に出す決まりだろ!司祭様や獄鬼様にバレたら…」
「うるせえ!だってよ、こいつのマンコ、まだ馴染んでねえけどすげえ具合がいいんだ。」
「ほんとかよ。じゃあ次、俺の番。」
2人目の男のペニスが、ドロシーの膣に侵入する。。
「う…やべえっ!ほんとだ、手で握ってるみてえに俺のを締め付けて離さねえよ!」
ドロシーの膣の感触に興奮し、男は鼻息を荒くしながらピストン運動を始める。
「あ…ん…ギンタン…いつもより…おっき…」
恋人の名前だろうか。まさか隣で寝ている幼い少年のこととは思っていない男は、自分が今抱いている女の恋人よりも立派なモノで突いていることに歪んだ優越感を感じ、それが引き金となり射精に導かれた。
「俺もっ…出るっ…!」
またしても、ドロシーの子宮に男の精液が注がれる。
ドロシーはモンビという魔女の操る土人形に輪姦されたことがあるが、モンビの土人形が出す精液は泥と変りなく、生殖能力はない。
ドロシーが本物の精子を注がれるのは、恋人となっているギンタを除けば、オスカーに次いで2回目となる。
ドロシーの子宮を、卵管を、醜い男の精子が泳ぎまわっている。
当のドロシーはそれに全く気付かず、眠ったままでいる。
「さあ、勿体無いが獄鬼様の生け贄に持って行こう。」
「可哀想にな、俺たち畏鬼教の集会所の近くを通ったばっかりに。一生獄鬼様の子を生み続けることになるぜ。」
「俺、目を盗んで犯りに来ちまうかも。」
「そりゃいい。この名器っぷりなら獄鬼様を産みまくっても具合が良さそうだ。」
「おい!早く戻ってこい!」
隠し穴の奥から焦ったような声がする。
「ああ、丁度獲物がかかってよ。回収するところだ。」
下ろしたズボンを戻しながら、穴の中の同胞へ返答する。
「そんな場合じゃねえ!討鬼師だ!討鬼師の小娘が暴れてやがる!お前らも加勢に来い!」
「マジか。」
「仕方ねえ。こいつらは置いていこう。急ぐぞ。」
2人の男は穴の中へ戻り、地上との連絡口を閉ざす。
日も暮れ始め、植物型獄鬼である昏睡芥子は催眠の花粉を振りまくのを止める。
小動物なら次の朝再び昏睡芥子が花粉を撒き始めるまで眠り続けてしまう程の睡眠毒だが、人間相手ではすぐに目を覚ます程度の弱い毒だ。
ドロシーの目がうっすらと開く。暫しとろんとした目をした後、驚いたように目を見開く。
「え、なんで私達寝てるの?」
空を見ればもう暮れかけている。
立ち上がると、自分の割れ目からヌルヌルした液体が垂れてくる。
「…?」
指につけて嗅ぐと青臭い匂い…精液だ。
(ギンタンの精子…昼にした分がまだこんなに私の中に残ってたんだ…♥)
普段のギンタの精子よりも黄色みがかっていてツンと臭うことは、夕焼けと芥子の花粉の残り香が誤魔化していた。
ドロシーは溢れる精液をくちゅくちゅともてあそび、“愛しい少年の精液”が勿体無いと言うかのように、自分の膣奥へ押しやる。
(毎日こんなに出されたら妊娠しちゃうよ♥ちゃんとメンフェゴーラ使わないとね。)
“少年の精液”を自分の身体に馴染ませるように、指を膣内に突っ込んで精液を擦りこむ。
知らぬ間に身体を辱められていたとは露ほども思わず、淫靡な幸福感に酔いしれていた。
「あれ…僕なんで寝てたの?」
ギンタも目を覚ましてきた。芥子の花が催眠毒を持っていることには思い至らず、2人して首をかしげていると、ギンタが不審げに辺りを見回す。
「ねえ…なんか、へんな音しない?おねえちゃん。」
「音?私は別に…」
最近気づいたことだがギンタは妙に耳が良い時がある。
旅をしている中、はるか遠くから野生の獄鬼の近づく音に逸早く気づくこともあった。
かと思えば近くまで接近している獄鬼にドロシーのほうが先に気づくこともある。聴力にムラがあるというのか…不思議な子だ。
ギンタ曰く音は下から響いてくるようだ。音のする方向へ芥子畑を進んでいくと、怪我せずに飛び降りることができる程度の絶壁になっていた。この芥子畑自体が小高い丘の上にあったようだ。
丘を降りてみると、草が生い茂っている絶壁の一部が抉られたようになっている。
誰かがこの辺りで戦闘を行った形跡にも思える。
「ここからだ…」
戦闘の形跡のある場所の近く、絶壁から花畑に向かって人1人が這って通れる程度の横穴が空いていた。草に覆われており、よく注意しないと気付かずに通り過ぎてしまうだろう。
「ねえギンタン…さっき壁にあったの…」
「うん…」
土が“足先程度の”細さのもので抉られた跡。そして“拳程度の”大きさの陥没穴もあった。
昼に出会った少女の戦闘スタイルだ。彼女と別れてから何故か眠りこけてしまい、あれからそれなりの時間が経っている。
横穴の中は普通に考えれば真っ暗な筈なのに、奥からほんのり灯りが漏れている。
『獄鬼は地獄からやってくる。だから畏鬼教の集会所は地下にあるんだ。』
アーテンボローの言葉を思い出す。
「ギンタン、どんな音が聞こえる?」
「怒鳴り声と…女の子の、悲鳴…」
2人は顔を見合わせると、まさに地獄へと続くような穴へと進んでいった。