「シズキおねえちゃん?」
腕を後ろ手に縛られた状態で、シズキは這うようにしてギンタに近づく。
同じく腕を縛られて仰向けになっていたギンタの上に、頭と足の位置が互い違いになった状態で乗っかる。ギンタの目の前には、シズキの身に付ける純白のショーツと、それに堰き止められて今にも決壊しそうな、シズキの割れ目から垂れてくる村男達の精液が映る。
シズキの口元には、ギンタの股間。シズキの股間を見て思わず勃起し、スカートを押し上げているのが見える。
「ごめんなさいギンタさん…ドロシーさんでもないのにこんなこと…」
そう言いながら、シズキは口でスカートの裾を咥え、ギンタの勃起を露出させることに成功する。
「ドロシーさんだと思って、目つぶっててくださいね?」
そう断ると、自分より4つか5つ下の少年の性器を舌で舐め始める。
「う…シズキ…おねえちゃん…」
ドロシーおねえちゃんの柔らかい舌よりも、少しだけ更に柔らかい感触に、ギンタは思わず声を漏らす。
(ギンタさんのおちんちん…どんどん膨らんでる…)
シズキは昨日見た、ドロシーのギンタへの口奉仕を思い出す。
(確か…舐めるだけじゃなくて…)
「ん…ちゅ…」
シズキは戸惑いながらも、口の中にある親指のようなサイズのおちんちんを口に含み、唇や舌でむにゅむにゅとねぶる。
「あ…っ ああああ…っ!」
最近上手になってきているドロシーおねえちゃんに対して、シズキさんの不慣れなフェラチオが新鮮に感じる。ドロシーおねえちゃん以外の女の子といやらしいことをしている背徳感も手伝い、ギンタは程なく達してしまう。
ドクン!ドクン…
「う…ぐ…ん…」
シズキの口内に、10歳の少年の青臭い精液が満ちていく。
(苦い。でも…飲み込まないとダメなんだよね…)
ドロシーがやっていたように、口に出されたギンタの精液を吐き出さず、飲み込む。
途端、力がみなぎってくる。今まで魔法で出せた怪力の数倍の力が出せる気がする。
上昇したシズキの筋力はダークネスARMで弱められている分を加味しても荒縄を引きちぎるのには充分だった。
その姿を見て動揺するARM使いに向かって突進し、彼らを隔てていた木組みの枠を突き破る。
ARM使いに向けて弱めに当身を叩き込むと、彼の意識が途切れると同時にARMの筋力低下効果がなくなる。
筋弛緩のARMが効果を失った今、シズキは自分の変化に驚いていた。
(すごい…この感じ…今までの倍以上の力が出せてるかも…これがギンタくんの精液の効果…)
シズキはギンタを拘束する縄も手で容易く引きちぎり、2人で地上に出る。
村には人の気配がしない。残りの村人は蜘蛛を討伐しに出て行ったようだ。
蜘蛛達が消えていったのは、村の外の小山の方向。あそこに“巣”とやらがあるに違いない。
「あそこにおねえちゃんが…」
ギンタが小山を見て言う。
「ギンタさん!行きますよ!」
シズキとギンタは、走って村を出て行った。
――――――――――
「ん…」
そこらに満ちるカサカサという不快な音のせいで、ドロシーは意識を取り戻す。
いつの間にか眠っていた。ここはどこだろう…寝る前は何をしていたっけ…そんなことを思いながら瞼を開ける。
目の前―自分の腹の上には、巨大な蜘蛛の顔が相対していた。
「いやあああああっ!!!」
そうだ、私はあれから数えきれない蜘蛛達に代わる代わる犯され続けていた。衣服はブーツと手袋以外細かい布切れになり、ほぼ裸の状態で蜘蛛に輪姦されていた。衣服の代わりに蜘蛛たちの精液が彼女の身体を覆っているほどだった。
そして、自分を犯す蜘蛛へのあまりの嫌悪に気絶し、肉体的にも疲労の限界だった為かそのまま眠りに落ちていたのだ。
今自分の上に乗っかり、8本の脚でドロシーの腰をがっしりと掴んでいる蜘蛛。
その腹部から伸びている性器は、自分の秘裂と繋がり合っていた。
秘裂からはドロリとした精液が溢れ、太ももの間で精液の池ができていた。
気絶している間も、代わる代わる自分の膣が蜘蛛達に使用されていたことになる。
「いやっ!抜いてっ!動かないでぇ!」
ドロシーの言葉を無視し、蜘蛛は腹を動かしてピストン運動を続ける。
ビュッ…ビュ…ドクン…
ドロシーの拒絶も虚しく、子蜘蛛は自らの子種をドロシーの子宮に注ぎ込んでいく。
「あら、お目覚め?」
ドロシーの悲鳴を聞いたコッローディが大蜘蛛のペニスをしゃぶる口を休め、四つん這いでドロシーのところまでやって来る。
「貴女、アラネア様に抱かれてる途中失神しちゃったのよぉ。あれだけ嫌がっておいて、身体は蜘蛛のおちんちんの味を気に入っちゃったのかしらぁ?」
そうドロシーに語りかけるコッローディの上に、大蜘蛛がのしかかる。
「ああん♥アラネア様ぁ♥勝手に口奉仕を中断してしまってごめんなさぁい♥」
大蜘蛛は勃起させた生殖器を、コッローディのショートパンツを強引にずらして挿入する。
「あっ♥これぇ!欲しかったのぉ!」
そのまま、コッローディと大蜘蛛は交尾を始める。
ドロシーの頭上目と鼻の先で、コッローディの膣に大蜘蛛のペニスが出し入れされている。
仰向けに拘束されているドロシーの上でコッローディが四つん這いになって大蜘蛛に犯されているのだ。
コッローディの結合部はドロシーの顔の上で、コッローディの愛液と蜘蛛の先走りの混合物がドロシーの顔に滴ってくる。
ドロシーは不快そうに、顔をしかめながら首を限界までひねってそれがかからないようにする。
四つん這いで犯されているコッローディが地面に目を落とすと、子宮に収まりきらなかった蜘蛛の精液を噴出するドロシーの秘裂がある。彼女はドロシーの秘裂に顔を近づけると、その精液をすすりとる。
「ちょ…何して…あああん♥」
「アラネア様のおちんぽ、貴女にもわけてあげるわ♥だから、子どもたちが撒き散らした精液は綺麗にしなきゃ♥」
そう言って、シズキはドロシーの秘裂に口をつけ、舌を膣内に侵入させて子蜘蛛の精液を舐めとっていく。
「そ…そんなの要らないわよぉっ!」
コッローディはドロシーのクリトリスも舌でチロチロと刺激し、つい喘いでしまう。
開かれたドロシーの口に、コッローディと大蜘蛛の結合部からの愛液が垂れていく。
「んふ♥綺麗になった。さ、アラネア様。“第2夫人”のおまんこですよ」
「いやぁ!もう…いやぁ…」
ドロシーの拒絶の言葉は無視され、大蜘蛛はコッローディの中で果てたばかりのペニスをドロシーの膣内に沈み込めようとする。
「うぐ…」
苦しそうに、ドロシーの膣は巨大蜘蛛の生殖器を収めていく。
「もうだいぶ馴染んできてるじゃないアラネア様の極太蟲おちんちん♥天性の異種姦体質なんじゃないの?…早く堕獄して、もっと美味しく獄鬼のおちんちんを味わえるようにしときなさい。なんたってもうすぐ待ちに待った開獄日なんだから。」
「我ら蟲型獄鬼の王、ガゥフ・ブラグ様のご寵愛を受けられるかもしれんぞ」
大蜘蛛が言う。
「ああ…私が堕獄してから初めての開獄日ね♥今から楽しみ♥ 貴方も堕獄が間に合うように協力してあげるわ♥」
「だ…誰が堕ちるもんですかっての…!んぐぅぅん♥」
杭を打ち込まれているかのような重い衝撃が膣奥を刺激し、何度も絶頂を味わうドロシーは、快楽に融けた表情で声だけは強気にコッローディに言い返す。
「アラネア様、射精が近いんですね♥」
コッローディが大蜘蛛の様子を見て言う。
「やだ…もう膣内に出さないで…」
「だーめ♥」
コッローディはドロシーの唇を自らの唇で塞ぎ、舌を侵入させる。
「んむっ…!」
女同士で舌を交えるという初めての経験に、ドロシーの心臓がトクンと高鳴る。
男よりも柔らかい女の舌、唇。その感触に、とろんとしながらつい自分も舌を絡めてしまう。
蜘蛛に犯される嫌悪に満ちた快楽と、女同士で舌を交える甘美な背徳感が混ざり合ってドロシーの神経を駆け巡り、脳の中で弾ける。
「んぐ…んんんんんん~~~♥♥」
ドロシーが絶頂に達すると同時に、大蜘蛛の精液が噴出し、子宮を満たす。
(やだ…気持ちいい…よ…このままじゃ…)
堕獄。オズの国の魔法使いが異性の獄鬼に心から屈服したときに訪れる肉体および精神の変化。
一度堕ちてしまえば、コッローディのような正義に燃えた魔女ですらも、このように残酷で淫乱な、獄鬼の娼婦と化してしまう。
メルヘヴンの魔女である自分が堕獄可能なのかは疑問だ。
しかし長時間に渡る絶頂の連続は確実に、ドロシーの心をおかしくしてしまうだろう。
(やだ…やだよこんなの…ギンタン…)
「…人間の男達だ…この巣へ近づいてくる」
大蜘蛛が突然、言葉を発する。
「アラネア様も聴こえますか?」
コッローディが応える。ドロシーには何も聞こえない。
堕獄すると魔法が強化されるだけでない、身体能力も向上するようだ。
「…子どもたちの悲鳴も…どうして?唯の人間の男たちのはずなのに…」
流石に心配になったのか、コッローディ達は様子を見に行くことにした。
彼女は小蜘蛛達にも加勢を頼もうとするが…
「あら、貴方達…」
子蜘蛛達がドロシーの身体に群がる。父親に負けまいとするかのように、ドロシーを犯そうと鋏角をカチカチ鳴らせて興奮をアピールする。
「もう、お父さんに似て性欲旺盛なんだから…スッキリした子から加勢しなさいね?」
そう言い残して大蜘蛛とコッローディが去ると、イったばかりで痙攣しているドロシーの股に子蜘蛛達が群がり我先にと性器を挿入しようとする。
「や…もう…蜘蛛の精液なんか…やだぁ…」
――――――――――――――
「ライトニング!」「フレイムボール!」「アイシクル!」
シズキの村の男達はカペルから借りたARMに武装し、炎・雷・氷…等々様々な魔法を蜘蛛たちに浴びせながら蜘蛛の巣を目指していた。
蜘蛛達も負けてはいなかった。急に魔法が使えるようになった村男達に驚愕していたものの、獄鬼としての圧倒的な力を武器に男たちへ雪崩かかり、首筋へと噛み付いた。
村男達も初めて扱うARMに慣れず、蜘蛛たちへ隙を見せていた。
勝負は泥沼。人間の死体と蜘蛛の死体が交互に増えていった。
それでもARMを使う男たちが比較的優勢だったが、コッローディと大蜘蛛がかけつけたことで形成は逆転した。
「み…皆さん…!」
シズキとギンタが駆けつけた頃には、蜘蛛の巣が張っている岩崖の根本は地獄のような光景となっていた。
村の男達は、皆血まみれで血に伏していた。
蜘蛛も、あの日村を襲撃した数が全部だとすると、殆どが躯と化していた。
「シズキ…ちゃん…」
「ハギさん!」
唯一意識があった村人の若者が、息も絶え絶えにシズキの名を呼ぶ。
アガタ村で若者と呼べるのはこの青年とシズキのみ。以前シズキに自らの想いを告白したが、当時倒鬼師としての責任に圧迫されていたシズキに断られてしまった青年だ。
若さゆえの生命力でどうにか意識を保っていたようだ。だが、この怪我ではもう助からないであろうことはシズキもひと目でわかった。
「俺たち…どうかしてた… カペルさんのARMを見てから…頭がカーっとしたものでいっぱいになっちまって…」
やはりカペルのARMの効果だ。きっと、人の心の怒りの火種に風を当て、大火とする精神操作のARM。
そうでもなければあの村人たちがシズキを皆で輪姦するなんてこと、ありえないのだ。
シズキを犯した男たちの中には、このハギという青年もいた。蜘蛛が襲ってこなければ、カペルがやって来なければ、自分とこの青年とは別の形で繋がり合っていたかもしれない。
「謝って済むことじゃあねえが…本当に… 俺…シズキちゃんのこと…」
「ハギ…さ…」
青年の瞳孔が開いていくのを見届けていたシズキの頭上に、雨粒のようなものが垂れた感触がした。
頭上を見上げると、崖と崖の間、地上から10m程離れた空間に巨大な蜘蛛の巣が張っていた。
巣には10数体の女達が縫い付けられていた。シズキの村の女性達だ。
彼女たちが、シズキの頭上に降り注ぐ血の持ち主であった。
漏れ無く孕んでいた女達は腹の中から小蜘蛛に食い破られ、絶命していた。
唯一生きている女性がいた。女達から生まれたばかりの子蜘蛛達に代わる代わる犯されている。あの桃色の髪は見覚えがあった。
「ドロシーさん!」
蜘蛛の巣の中央、数十匹の蜘蛛がドロシーの身体に群がっている。
「んぶっ!」
待ちきれなかった蜘蛛がドロシーの口に性器を挿入する。口の中で感じる感触も人間のペニスとはまるで違う。肉ではなく虫の甲殻でできたペニスは、まるで苦いべっこう飴のような硬さで口腔内の粘膜を犯している。
「ん…むうう!!」
ドロシーは膣に伝わる感覚が変化したことを感じる。蜘蛛のピストンを受けている膣内が、更に押し広げられる。
(2本同時…?)
ドロシーの予想通り、順番待ちに耐え切れなくなった蜘蛛が、すでにドロシーを犯している兄弟のペニスと膣壁との間に無理矢理己の肉棒をねじ込んだのだ。
(や…また1本…)
さらにもう1匹の蜘蛛が挿入に成功し、ドロシーの膣は同時に3匹分の蜘蛛のペニスを受け入れていた。
「あの上にドロシーさんがいます…」
シズキは目を凝らしながら、ギンタに伝える。
シズキとギンタは、頭上10mの蜘蛛の巣へ到達する為に崖を登り始める。
ギンタはそこらに散らばる朽木で形成した木偶人形の背に乗り、壁を渡らせる。
「あらシズキ、遅いじゃないの」
コッローディが、かつてのシズキの姉貴分であった魔女が、2人の前に立ちはだかる。
まさに蜘蛛のように、崖中に張り巡らされた糸の上に器用に立っている。
「コッローディさ…」
シズキは悲壮に満ちた顔でかつての先輩魔女の顔を見るが、すぐに拳を構えて彼女を睨みつける。
「ギンタさん!…この人は私が食い止めます!ドロシーさんを助けてあげて!」
「わかった!」
上へと登っていくギンタを背に、シズキはコッローディに対峙する。
―――――――――――
「おねえちゃん!」
蜘蛛の巣に到達したギンタの目の前に広がったのは、予想以上に凄惨な光景だった。
巣に縫い止められた村の女達は、ほぼ息絶えている。
唯一生かされている女―ドロシーに小蜘蛛達が集まり、ドロシーを代わる代わる犯している。
膣穴には同時に3匹の蜘蛛がペニスを突き刺し、涙に濡れるドロシーの口も別の蜘蛛が容赦なく使用している。
まるで蜘蛛の公衆便所だ。子蜘蛛達がムラムラする度にドロシーの穴を使って欲望を吐き出していく。肉でできた便器のような扱いだ。
「このっ!離れろ!」
ギンタは木偶人形と共に子蜘蛛達をドロシーから引き剥がす。
手にした刺突剣を棍棒のように振り回し、這い寄ってくる蜘蛛を牽制する。
生まれたばかりで子犬のような大きさとはいえその力は強く、ギンタも反撃をくらいあちこち噛みつかれながら、蜘蛛を巣から叩き落としていく。
―――――――――
「シズキ。貴女もアラネア様に女にしてもらいなさい。ぜーんぶ馬鹿らしくなるわ。傷つきながら戦うことも。村人達を守ることも。…私達が本当に仕えるべき存在が獄鬼様だってことがわかるわ。」
「馬鹿言わないでください!貴女のこと…尊敬してたのに…」
張り巡らされた糸の上の移動しながら戦うシズキは、コッローディほど上手く動けなかった。
蜘蛛の巣を構成しているしなやかな糸と粘着糸。コッローディはそれらを見分け、しなやかな糸の上のみを移動していた。
粘着糸の上に乗ってしまったシズキは足を取られ、コッローディに命中せず宙を突いた彼女の拳はコッローディの手から吹き出す糸に絡め取られる。
「今までの私は本当の私じゃなかったの。貴女だってそう。“これ”が魔女の真の姿なのよ。…大丈夫。最初は痛いけど、だんだん気持よくなってくるわ…」
糸で拘束されたシズキの頬に手をあて、もう片方の手で自らの堕獄の証、臍下の紋を指し示す。
「っ…こんな…神様から選ばれて授かった魔法の力を…獄鬼に利用されるのが…真の姿なわけないでしょう!」
ブチブチブチ…と音をさせながらシズキの腕が蜘蛛の糸を千切っていく。
本来のシズキの魔法では、強化されたコッローディの糸に歯が立たない。
しかし、ギンタの精液を飲んだばかりのシズキは、一時的に魔法の力をブーストさせることができていた。
「…貴女を、取り戻します。…元のコッローディさんに戻します」
自由になったシズキは、声を低くさせてそう言う。
コッローディはまさか自分の糸が破られるとは思ってもおらず、糸を噴出させる手が遅れた。
その手をシズキが掴み、コッローディの懐に入る。
コッローディを掴んでいないほうの手はシズキの腰のとなりで拳の形に握られ、力を溜めていた。
「目を覚まして!!」
腕を掴まれて逃げ場のないコッローディに、シズキの正拳突きが叩き込まれる。
人体同士の激突とは思えないような重い音が響き渡った。
手応えはあった。みぞおちに、綺麗に正拳が入った。現にコッローディは地上に叩き落とされ、大地の上で痛みにうずくまっている。
だが、堕獄の影響で肉体的にもタフになっているコッローディを再起不能にはできていないことはわかっていた。すぐに復活し、襲ってくるだろう。
―堕獄する前―自分の良き先輩だった頃の彼女にすら組手で勝てていないのだ。
堕獄で強化されたコッローディを倒すには力の差がありすぎることは承知していた。
だが、ギンタが子蜘蛛を蹴散らし、ドロシーを救う時間は稼げた。
シズキの頭上では、丁度ギンタの木偶人形が蜘蛛たちを地上へ放り投げていくところだった。
――――――――――
「おねえちゃん!」
「ギン…タン…」
息も絶え絶えに消耗しているドロシーの肩を支え、ギンタは何度もドロシーの名を呼ぶ。
全身が蜘蛛の粘ついた精液で汚されている。
特に彼女の秘裂からは蜜のように濃厚な白濁が後から後から溢れ出る。
連れ去られてから今まで、数えきれない程の蜘蛛に何度も犯され、その殆どを子宮に注がれてきたことが容易に想像できる量の精液。それが、幾度と無く自分のペニスを熱く包んでくれた割れ目から吐き出されていた。
シズキも崖を登って頂上にたどり着き、目の前の惨状に戻しそうになりつつもギンタに撤退を提案する。
「…ギンタさん、ドロシーさんを連れて逃げますよ…っきゃああああっ!」
針のような毛に覆われた、丸太のように太い脚がシズキを横から張り倒す。
「私を忘れてもらっては困るな」
鋏角をガチガチ鳴らしながら、それは喋る。アラネアと呼ばれる大蜘蛛だ。
今まで闘ってきた子蜘蛛は彼の子供。簡単には勝てない相手だ。
シズキとギンタは、どうにか逃げ切る隙を作ろうと身構える。
「ゲーゲンザッツ。バージョンフランベ」
天高くより人影が急降下してきたかと思うと、その片手が巨大な、炎を纏う棍棒と化し、大蜘蛛の頭部を粉砕しする。
重い一撃の勢いはそこで止まらず、崖に張り巡らされていた糸の巣を巻き込みながら大地まで一直線に落下していく。
グシャ、という音と共に、炎の棍棒と大地の間で、大蜘蛛は生き途絶えた。
崩落した巣の上にいたシズキ・ギンタ・ドロシーも地上に落とされた。巣を形成していた大量の糸が緩衝剤となり3人とも怪我はなかった。
炎の棍棒から吹き出す炎に糸が焼かれていくことに気づいたギンタ達は、慌てて自らの身体に纏わりつく糸を取り払う。
巣の上で絶命していた女達、地上で戦死した男たちと蜘蛛たちは、等しく炎に焼かれていった。
炎の棍棒で大蜘蛛を叩き潰した男。黒い翼を生やした長身の男は、水色のパーマヘアをしていた。
「カペル!」
シズキが叫ぶ。村人を煽動し、ARMを渡して蜘蛛と戦わせた張本人だ。
シズキの言葉も無視し、死屍累々となって燃えている村男の死体に近づく。彼の周囲を薄青いベールのようなものが覆っており、燃え盛っている炎はベールを越えて彼の身体を焼くことがかなわなかった。
「ふむ、シンクロも上手くいかず、魔力切れも見られる…やはり練習なしですぐに使えるのは単純なウェポンARM等ですね。本命に売るときは修練の門とセットにしましょうかね」
男達の指から、ARMを回収しながら呟く。
「何を…平然と…貴方のせいで…」
シズキは怒りに言葉が出ず、カペルを睨みつける。
あまりの怒りに、痛みから回復したコッローディが逃げていくのも見逃してしまう程に。
「カペル…」
弱々しいが、確かな驚きが混じった声がシズキの背後から響く。
ドロシーだ。ギンタに支えられながら、メルヘヴンで倒したはずのチェスの駒の姿に驚愕している。
あの日カルデア宮殿を襲撃し、オスカーと共にこの世界へとやってきた3人。うち1人はギロム。もう1人はこの男、カペルだったというわけだ。
「おや、連れ去られた魔女がいたとは聞いていましたが、まさか貴女だったとは」
カペルが意外そうな顔をしてみせる。
「お久しぶり…でもないですね。カルデア宮殿襲撃の直前にもお会いしましたし」
あの日、ナナシと別れてから路地裏で交戦した人物。フードを被っていてわからなかったが、あれがカペルだったのだ。
「なかなか面白い有様ですね。ウォーゲームで無敗の成績を出した魔女である貴女が」
カペルの言うとおり、今のドロシーは手袋と足袋以外はほぼ全裸。口元と股からはたっぷり注がれた蜘蛛の精液がとろとろと垂れてきている。
「う…くっ…」
ドロシーは涙を溜め、顔を真っ赤にしながらせめて両手で乳房と股間は隠そうとする。
メルヘヴンでの知り合いに今の姿を見られると、メルヘブン最強の魔女であった自分とオズの国で化け物の精液便所となっている自分が地続きになっていることを自覚させられ、より惨めな気持ちになった。
「仕方ありませんね。メルヘヴンの魔力はオズに満ちる魔力とは異質。メルヘヴン人はこの場所ではまともにARMが使えないのですから」
「…あんたは、使えてるみたいじゃない…」
「私は以前からゴーストアーム使いとして自らの身体を改造し続けていましたからね。魔力の調律等造作もありません」
「じゃあギロムは…」
「おや、ギロムには会ったのですか。…メルヘヴンから連れてきたもう2人は、少し“いじらせて”もらいました。無理矢理魔力を変質させたので、少し精神に異常が出ていますがね。まあ元々2人ともまともというわけでもなかったので、ご愛嬌です」
時間のロンド、ゲミュールエッセン…人間に埋め込み、その人間に影響を及ぼすゴーストARMをカペルは使っていた。
ギロムも、もう1人とやらも、そういったARMで肉体改造を受けたのだろう。
「答えなさい…オスカーは…あんたの“新しい”ご主人様は…ARMを広めて何をしようとしてるのよ…」
「私の口から詳しいことは言えませんが…そうですね、あの方はご自身のあるべき場所に戻ろうとしているだけです。その過程が大変興味深かったので協力している。それだけですよ」
そう言い残すと、カペルは黒い翼のゴーストARMを広げて空へと飛び立った。
躯と化し、灰と化した村人たちを見て、魔女の少女はただ呆然としていた。
「シズキ…」
かける言葉もない。
彼女が守ってきた村人たちは皆死んだ。
アガタ村とカヤベ村は、蜘蛛に襲われて。
サルホ村にいたはずのカンラという魔女すらも、大量の獄鬼の死体を残して姿を消した。
「ドロシーさん、ギンタさん…私…」
シズキは大声で泣いた。この短い間に、獄鬼によって多すぎるものを失った。
陽が落ち、村人たちの躯を焼く残り火に照らされながら、少女はドロシーの胸で泣き続けた。
涙が枯れた頃、シズキは2人に提案した。
「ドロシーさん、ギンタさん、私も連れて行ってくれませんか?」
シズキの提案に、ドロシーたちは驚く。
行くところがないとはいえ、彼女の凄惨な体験を思い出させてしまうような自分たちと同行することを望むことに。
「お2人はエスメラルダへ行かれるんですよね。もとの世界へ戻る為、体内の神導器を取り出す為に、オズ大王様にお願いを叶えてもらうんですよね」
2人は頷く。
「…私もエスメラルダへ行って、以前のコッローディさんみたいに王属の討鬼師になります。それで…獄鬼に悲しい目にあわされる人たちを減らしていきたいんです」
強い子だ。いや、無理矢理自分に使命を設定して、寄り添うもののなくなったこの状況を切り抜けようとしているのだろう。
その姿に、ドロシーは昔の自分を感じた。
慕っていた人が邪悪に変貌してしまった絶望、その人が故郷を襲撃したやり場のない怒り。
そして、ディアナ討伐の使命に寄り添い、孤独感を紛らわしていた自分を。
「ええ、もちろんよ。私達も仲間ができたら心強いわ。」
「うん。よろしくね、シズキおねえちゃん」
2人は快くシズキを迎え入れた。
メルヘヴンに生まれた魔女、ドロシー。
オズの国に生まれた魔女、シズキ。
その2つの世界と異なる3つ目の世界に生まれ、魂を分割されてオズの国で育った少年、ギンタ。
3つの異なる世界で生まれた少年少女達は、それぞれの願いを叶える為、黄色い煉瓦の道を通ってエスメラルダへと向かう旅へと旅たった。
―時は遡り、サルホ村―
村内の広場、その隅にそびえ立つ石柱に向かって、20数体の獄鬼が話しかけていた。
「コいつだ。こイつが魔女ダ。」
「大丈夫カ?攻撃して来なイか?」
「大丈夫ダ。前回ノ開獄日ヨり獄鬼の恐怖に怯エ、石ノ中に閉じコモってオる腰抜けダ。」
石柱の中には1人の魔女が閉じこもっていた。名前をカンラという。
私に声をかけてくれた親友がサバトの日に死んでからずっと、無人のこの村で1人で暮らしていた。サバトで半数になった村の住民は、私に愛想を尽かしてとなり村に移り住んでいった。
前回の開獄日、この村を親友と一緒に守っていた。岩の魔法で、次々に湧いて出る獄鬼を倒していった。
しかし、大量の下級獄鬼にまぎれて現れた強力な上級獄鬼に、私達は手も足も出なかった。
戦線は崩壊。下級の獄鬼達が防衛線を突破し、村人を襲っていく。
私はあまりの恐怖に、浅ましくも岩に身を包んで自分だけ獄鬼から身を守った。
岩の外から聞こえる音は、悲鳴と罵声。
男が食い殺される音。女が獄鬼に犯される音。
女の声の中には、親友の声も混じっていた。悲鳴とも嬌声ともつかない声は私の脳裏を離れた日はない。
我が身可愛さに守るべき村人も、共に戦うべき親友も見捨てて守りに徹した自分が、生き残った人々に合わせる顔などない。
それ以来、私はこうして岩に篭っている。初めは岩越しに言葉をかけてくれた村人たちも、私が親友の妹―シズキという少女も来た。
いまいち反りが合わなかった彼女の説得も、他の村人と同じく岩とかした自分の心に響くことはなかった。
「なあ岩の魔女よ、観念して我々に殺されてくれないかね。」
今目の前にいる獄鬼のうち、唯一流暢な人語を喋っている上級獄鬼、山猫の姿をした獄鬼。
あの日地獄の穴から出てきて村を襲った獄鬼の1体だ。
「もうすぐ開獄日も近いからさ、次に地上へやってくる仲間を迎える前に前回の食べ残しを片付けようと思っているんだ。私は完璧主義なのでね。」
山猫の獄鬼は4又に裂けている尻尾を左右に揺らしながら、石柱に語りかける。
「とはいえ岩の魔法を持つ君が守りに入ると手が出しにくいんだよな、私の力はパワータイプじゃないから相性が悪い。…おかげで、お友達が犯されている横でずっと無事でいられたんだもんな。」
周囲をぐるっと囲む獄鬼の集団から笑い声があがる。
「そこで、今日は手下を連れてきた。頭は悪いが力がある。」
獄鬼の集団の中から、象の獄鬼が前に出て石柱に向かう。
「臆病者ノ魔女よ。我ガ自慢の牙デ突き崩シてくレヨう。」
象の獄鬼が嘲るように言うと、石柱に逞しい牙を突き立てる。
「いいぞいいぞ、初めにこの魔女を犯す権利はお前にやろう。」
山猫の獄鬼の言葉に、象の獄鬼は興奮して岩を削るスピードを上げていく。
「そラそラソら、どンどン削レてイくぞ。」
怖い。戦わなくては死んでしまう。あの日の親友のように、犯され尽くしてから殺されてしまう。 でも、身体が動かない。身を護る岩はどんどん剥がれていく。
恐怖につぶった瞼越しに光が指す。久々に見た外の景色は、20を超える獄鬼達に囲まれたものだった。
自分の身を守るものは、もうない。
ここまでか…親友も村人も護れず、石の中に閉じこもっていた自分には相応しい結末だ。
「魔法ヲ使われテは厄介ダ」
「四肢を潰しテしマえ。ドうせ肉ヲ食むノダ。膣肉ガ無事ナラ良いだロう」
象の獄鬼がカンラの足を踏みつけようと振り上げた前脚を、突如現れた炎の腕が掴む。
「ネイチャーARM、フレイムハンド」
いつからその場にいたのか。炎の腕は、体格の良い男の肩からまるで第3の腕の如く生えていた。
「グ…なンだ貴様…ぬウ…」
炎の腕から吹き出す豪炎は、象の獄鬼の前脚から全身へと燃え広がり、その巨体を消炭へと変える。
「人間ダ…」「炎ノ魔法ヲ使う。魔法使いダ…」
突如現れた男の存在にうろたえる獄鬼達。
褐色で面長の顔のその男は、自らの長い銀髪を撫でつけている。象の獄鬼が焼けて出た煙の臭いが髪につくのを嫌がっているかのようだった。
「随分余裕そうじゃないかよ。この数に囲まれながら喧嘩売っておいてよお」
山猫の姿をした上級獄鬼がオスカーに喋りかける。
「炎の魔法…堕獄して獄鬼と共にオズ東部を支配する魔女エルファバと同じ魔法か…だが当たらなければ意味はねえわな」
山猫の獄鬼が一瞬にして消え、褐色肌の男の真後ろに現れる。
「俺のスピードについてこれるか?」
山猫の上級獄鬼は炎の腕を警戒して上下左右あちこちを高速移動しながら距離を詰め、鋭い爪を伸ばして男の首筋に斬りかかろうとする。
「ウェポンARM、ムーンフォール」
三日月状の刃が、男の周囲に大量に出現する。
「なあっ!?」
目に追えないほどのスピードで移動していた山猫の獄鬼は減速しきれず、自らの周囲に浮かぶ刃に突っ込んでしまう。獄鬼の全身が無数の刃に引き裂かれ、一瞬で血達磨と化す。
「炎の魔法じゃねえのかよ…2種類の魔法を使える魔法使いなんて聞いたことがねえ。なら片方は神導器ってやつかぁ?」
戸惑う山猫の獄鬼の言葉に、男は答えない。
「くっ…てめえらぁ!」
山猫の獄鬼が吠えると、残りの獄鬼達が戦闘態勢に移る。
「「みんなでカカれば怖くネえ!!」」
20を超える数の獄鬼が一斉に男に向かって躍りかかる。男はそれに動じもせず、ゆっくりと天を指差す。
「ガーディアンARM、トルベディーネ」
その指す先に雷雲が立ち込め、中から巨大なエイが出現する。
エイは雷を纏いながら空を及び、強力な雷撃が獄鬼達の身体を焼きつくす。
「なにやってんだお嬢ちゃん、そんなところで」
少し前まで自分を蹂躙しようとしていた数十体の獄鬼が躯と化した光景に目を疑っている娘に、褐色肌の男は話しかける。
張り詰めていた心が決壊し、自分を助けてくれた男の胸に顔をうずめながら、カンラは吐露した。
自分がこの村を獄鬼から守る魔女であったこと。前回の開獄日で村が崩壊し、隣村の親友も殺されたこと。自分は恐ろしくなってずっと岩に閉じこもっていたこと。
「…辛かったな」
カンラがしゃべり終えてからしばらくして、ゆっくりと男が口を開く。
「村人達も、自分で自分の身を護れるようになればよかったんだよな。」
男はカンラに銀色のアクセサリーを見せる。
「これ、ARMっていうんだ。」
カンラはそれを手にとって見る。見た目は銀細工。いずれも色のついた透明な珠が埋め込まれている。
「練習が必要だが量産可能な神導器って考えればいい。」
神導器。エスメラルダの王、オズ大王が管理している神器。見たことはないが、魔法使いに生まれなかったものでも特定の魔法が使えるようになる道具と聞く。
『神導器がいっぱいあればさ、私達がこんなに頑張らなくてもみんな自分の身を守れるよね』
同じようなことを親友と話した。他愛のない夢物語だ。
「石の魔法が使えるんだってな…ARMの核、マジックストーンも石なんだ。
お前が協力してくれればこの世界でのARMの量産が格段に楽になる。
…お前の村で起こった悲劇が、これ以上起こらないようにできる。」
男は切れ長の目をカンラに向けながら、熱く語りかける。
「俺はオスカーってんだ。どうだ、俺と一緒に来ないか?」
頬が熱くなり、胸が高鳴る。
それは獄鬼の襲撃から開放された安堵か、ARMなる武器の存在への感心か、それとも…
石礫の魔女、カンラは、オスカーと名乗る男へ熱い眼差しを向けながら、ゆっくりと顔を縦に振った。