スラム街の広場から、1体の人形が駆け出してくる。
顔・手足・胴体全て木でできた人形は、まるで人間のように自力で走っている。
その人形を追う魔女が一人。
魔女ドロシーはその人形のことを知っていた。
ピノキオン。彼女の故郷メルヘヴンの破壊集団・チェスの駒の幹部をしていた人形。
そして、彼女の姉・ディアナが命を吹き込んだ人形でもあった。
「会いたかったよ、オネエサン」
チンピラやシキなどの邪魔者から離れたことを確認すると、人形は逃げるのをやめてドロシーに対峙する。
「ピノキオン…」
ピノキオンの姿を見て合点がいった。
ドロシーがオズの国へと転送された日、彼女と一緒に門番ピエロを潜った男4人。
オスカー、ギロム、カペル、そしてもう1人。小柄のフードを被った男…
昨晩ドロシーがマイラと出会ったときは彼がその4人目だと思っていた。
しかしマイラはモンビに蘇らされた死者であり、オスカー一味とは関係がないという。
今目の前にいるピノキオンが4人目。メルヘヴンからやってきたオスカーの仲間だ。
「あんただったのね…ピノキオン。オスカーがメルヘヴンから連れてきた仲間ってのは」
「違ウヨ。おすかーサントハ関係ナイヨ」
ピノキオンの、木でできた長鼻が伸びる。嘘をついている証拠だ。
「脚、もとに戻ったのね。オスカーにでも付け替えて貰った?」
ドロシーが最後に彼と出会ったのはカルデアでバッボを治療したとき。
バッボの不調を好機とし、ギロム・コウガと共にギンタ達を襲撃したのだ。
当時の彼は下半身をなくし、いざり車の上に乗って移動していた。
「でぃあな様ガ治シテクレタンダ」
またピノキオンの鼻が伸びる。これも出鱈目な嘘だ。ディアナはドロシーが殺したのだから。
「オスカーは元気にしてるの?ここでARMを売ってるのは奴の命令?」
「獄鬼に襲われて大怪我してる。死にそうだよ。仕方ないから代理でARMを売ってあげてルンダ」
鼻は長さを増し、先端が銃口のように変化した。これも嘘。
忌々しいことにオスカーは今も健在のようだ。
「オスカーはARMを広めて、金も稼いで、何をしようとしてるの?」
「獄鬼ノ被害ニ悩マサレテイル人々ヲ救ウノサ。稼オダオ金デオ花ヲ買ッテ皆ニ配ルンダ」
銃口が炸裂し、火薬の匂いと共に砲弾が射出された。
「相変わらずまともに会話ができないわね…この気狂い人形」
ゼピュロスブルームの突風で砲弾をいなす。爆炎を少し吸ってしまったドロシーは咳をしながらそう言う。
とはいえ、ドロシーが追っているオスカーの情報を持っているのだから逃がすわけにはいかない。
ふん縛ってでも彼の居場所や目的を吐かせてやる。
ドロシーがゼピュロスブルームを構えるのを見たピノキオンも、戦闘態勢に入る。
人形が左右の腕をぐるぐる回す動作をすると、肩の球体関節から腕がもう1本ずつ生えてくる。ARMの能力ではなく、人形であるピノキオンの得意技だ。
ウォー・ゲームでピノキオンと戦ったときは3本腕が限度だったようだが、改造の際に4本腕にできるようになったようだ。
4本の腕それぞれに嵌められている指輪が光り、鋸へと変化する。
「ウェポンARM・ノコギリギリ!」
人形は鋸をドロシーに向かって滅茶苦茶に振り回す。
何の能力もない唯のノコギリだが、4本の腕から放たれる斬撃を避けるのに苦戦してしまうドロシー。
3本の鋸をゼピュロスブルームで受けることに成功したが、残り1本の鋸の刃先がドロシーの胸を掠める。
「っく!!」
右胸を覆う布が裂け、薄ピンクの乳首がぷるんと外気に晒された。
「このッ!」
ドロシーはゼピュロスブルームを振るうが、ピノキオンはカウンターのように鋸を薙ぎ、ドロシーの背面のスカートがスリットの開始部から千切られる。
後ろから見るとドロシーの綺麗なお尻が丸見えになってしまう。
(相手は腐っても元チェスの兵隊・ナイトクラス…手加減はできない!!)
屋根から屋根へ渡りながらの攻防は、やがて2人を時計台へと誘う。
誰も手入れをしていない貧民街の古ぼけた礼拝堂だ。
「オネエサン!ココマデツイテコレルカナ?」
周囲の建物の倍程度の高さの礼拝堂の屋根に猿のような動きでたどり着いたピノキオンはドロシーを煽る。
「そうね…鬼ごっこはもうここらで終わらせるよ…」
ドロシーのブレスレットが光を放つ。
「ブリキン!」
巨大な石造りの巨人がピノキオンの頭上に出現する。
圧倒的な質量は重力加速度を伴ってピノキオンを踏み潰し、礼拝堂の屋根を陥没させ、それらをまっすぐ大地に押し付ける。
ガーディアンは出現させているだけで魔力を食う。ドロシーはすぐにブリキンを腕輪に戻した。
土煙が晴れると、礼拝堂の天井に直径5m程の大穴が空いていた。ピノキオンはこの穴の下で潰れているだろう。
ドロシーは一度屋根から降りて礼拝堂の門から中へ侵入する。打ち捨てられた礼拝堂の中は、瓦礫の山と化していた。天井や柱などを構成していた煉瓦が丘のように積み重なっている。
ピノキオンは先程の衝撃でバラバラになっているだろうが、所詮は人形だから死ぬことはない。実際、以前ドロシーが彼を破壊して首だけになってもまだ喋っていた。
そうなってくれたほうが、オスカーの情報を吐かせやすいというものだ。
さあ、あの木偶人形はどこで潰れているだろうか…
「きゃああああっ!?」
突然、股間に電気が走るような刺激が走る。
刺激の正体はすぐにわかった。両脇に走るスリットによって前後に分けられたドロシーのスカート。その前部分のスカートが股を通って後ろ側へ引っ張られているので、スカートの布がドロシーの股間に強く食い込んでいるのだ。
「いっ…痛っ…やだ…ちょっと…何…?」
「ギャハハハハ!!モット遊ボウヨ、オネエサン!!」
ピノキオンだ。驚いたことに身体の表面にヒビが入っているだけで四肢…もとい六肢は健在。首も胴とつながっている。
ワイヤーハンドで大きく伸びた彼の腕が、ドロシーの前スカートを引っ張っていた。
瓦礫に埋まっていたピノキオンがドロシーの前スカートを掴み、そのままドロシーが通り過ぎて行こうとしたところを後から引っ張ったといったところか。
ワイヤーが巻き取られ、強い力でドロシーのスカートが引っ張られる。スカートの布はドロシーの秘裂にがっちりと食い込み、クリトリスを押しつぶしていた。
歯車の回転がワイヤーに伝わり、微かな振動がスカートに、そしてクリトリスに与えられる。
「あ…は…ん…♥」
大事な所への刺激に、つい甘い声が出てしまう。
露出した右胸はもちろん、左胸を覆う布も薄い為、ドロシーの乳首が勃起していることがわかる。
「は…離しなさいっ!このエロ人形!」
ドロシーは快感に顔を真っ赤にしながら、気丈にピノキオンを怒鳴る。
「良い物をあげるよ、オネエサン」
ピノキオンの腹部が盛り上がり、服を裂いて回転鋸が顔を出す。
ウォーゲームのときと違い、回転鋸は両腕からも出現する。
このままワイヤーが巻き取られてしまえば、ドロシーの背中は回転鋸に切り裂かれてしまうだろう。
ドロシーはなんとか踏みとどまろうとするが、ワイヤーは驚異的な力で巻き取られていく。
それに引っ張られている力は全てクリトリスにかかっているようなものなので、力が抜けてしまう。
このままでは奴の回転ノコギリに真っ二つにされてしまう。
手段は1つしかなかった。
「く…ああっ!」
ドロシーは引っ張られている前スカートを2つの手で掴み、思いきり捻りあげる。
引っ張られているのは前スカートだけなので、それを千切れば鋸の餌食にはならない。
ピノキオンが巻き取る力に加えて自分の腕が引っ張る力もクリトリスにかかり、甘い刺激が走る。しかし命がかかっているので、力が緩んでしまうのを気力でカバーして、ドロシーは渾身の腕力でスカートを裂いていく。
ブチブチブチ…という音と共に、ドロシーのスカートの繊維が千切れていく。
前スカートがドロシーのドレスから完全に分断されると、ワイヤーハンドはスカートの布を掴んだままピノキオン本体へと巻き取られていく。
18歳の女の子として、自分のスカートを自分で裂くなんて考えられないことだったが、もう少し判断が遅れていたらドロシーはスカートと一緒に巻き取られて回転鋸に切り刻まれていただろう。
「ギャハハ!付イテオイデオネエサン!」
ピノキオンはまたもドロシーに背をむけて逃げようとする。
「こんの…待てエロ人形!!」
「ドロシー!」
ピノキオンを追おうとするドロシーの背後から青年の声が響く。
「ものすげえ音がしたけど大丈夫か…」
追っ手をいなしてついてきたシキは、ドロシーの姿を見て固まる。
ドロシーの右胸の布は破られ、乳首が露出している。
後ろのスカートはピノキオンに裂かれ、前のスカートは自分で裂いた。
つまりドロシーの臍から下を隠す布は、全くない状態。
「あ…あんまり見ないで…」
ドロシーは露出した右胸を手で隠し、
スカートの残りの布を目一杯引っ張って、下半身を隠そうとする。
「ボクとオネエサンの追いかけっこの邪魔するなー!ウェポンARM・百足!!」
ピノキオンが振り返りざまに右手をムカデの形に変化させる。巨大なムカデは真っ直ぐに伸び、シキに直撃して半壊した壁の向こうまで突き飛ばしてしまう。
「シキ!」
やはり強い。シキがドロシーの姿に動揺した隙を突いたとしても、彼が反応できない程の素早さで攻撃を繰り出すのは、流石元チェスのナイトクラスと言えた。
「もう少し遊んでいたかったけど、邪魔者が集まってくる前にオネエサンともっと“仲良く”しないとね!ネイチャーARM・煙幕!」
黒煙が一瞬のうちに周囲を覆う。
クンフーフロッグやさっきの百足といい、同じくチェスの駒ナイトクラスであるコウガの使っていたARMだ。
ウォー・ゲームが終了してからオスカーの配下になるまで、ピノキオン・コウガ・ギロムの3人でつるんでいたようだが今は亡き戦友の形見のつもりだろうか。
スラム街のチンピラの傷を治してあげたり彼らに慕われたりと、変な所で人間味のある人形だ。
煙幕をゼピュロスブルームで払おうとするが、風が出ない。
直後に、ウォー・ゲームでコウガが煙幕を使っていた際にアルヴィスがARMを使えなかったことを思い出す。
(そうだった…この煙幕があるとARMが使えない…)
視界が遮られたドロシーは、再び彼女に迫るワイヤーハンドを避けることが出来ない。
4本のワイヤーハンドが、ドロシーの両肩と両足首を掴む。
「しまった!!」
「フフ、また捕まえた」
「うわあああっ!!」
ピノキオンが急激に足首のワイヤーを巻き取ると、ドロシーはあっけなく尻もちをついてしまう。
「キレイなオネエサン…オマンコモ綺麗ナンダネ…」
下着をつけていないドロシーは、ピノキオンに対して大股開きで自分の大事なところを開帳してしまう。
「み…見てんじゃないわよ…」
「オネエサンのオマンコに、今度はモットイイモノヲアゲルヨ」
ピノキオンのズボンが再度盛り上がり、突き破られる。
彼の股間からは、木細工のペニスが屹立していた。
「な…木彫り人形の癖にいっちょ前に…私を犯そうってのかい?バカバカしい…」
「犯スナンテトンデモナイヨ。せっくすナンテ全然興味ナイモノ」
ピノキオンの股間の棒が肥大化し、すりこぎ棒程の大きさになる。嘘をつくと彼の鼻が伸びる仕組みと同じ要領か。
即ち、彼の発言が嘘だとすると、彼はドロシーにしっかり欲情していることになる。
「オネエサンとマタ会ッタトキノ為ニ用意シタンダヨ。喜ンデクレルトウレシイナ」
今度は鼻もペニスも伸びない。
いつの間にか随分と気に入られていたようだ。執着というべきか。
「そんなもん要らない…きゃああああっ!!」
ドロシーを拘束するワイヤーが巻き取られる。
今度は衣服の端でなく手足そのものを掴まれているので、服を破いての脱出などできない。
木彫人形の歯車の馬力は、18歳の少女の腕力を遥かに越えていた。
「この…」
ゼピュロスブルームを地面に突き刺して抵抗するも、着実にピノキオンとドロシーの距離は縮まっていく。ピノキオンの疑似ペニスの先端は正確に彼女の秘裂を捉えていた。
「う…あ…」
やがて先端がドロシーの大事なところに到達する。
ドロシーがもがくのも虚しく、ワイヤーが巻き取られていく力でどんどん木彫りのペニスが彼女の中に侵入していく。
先程ピノキオンがドロシーのスカートを股に食い込ませたことで不本意にも濡れてしまったドロシーの膣内は、愛液を潤滑油にして人形の疑似ペニスを受け入れてしまう。
「オネエサンノとボクノが1ツニナッテルヨ、アア、ナンテ気持チ悪インダロウ」
ピノキオンの嘘で、ドロシーに突き刺さっている木製ペニスが更に変化する。
竿の周囲に真珠大のイボが発生し、ドロシーの膣壁をゴリゴリと擦る。
ペニスの付け根が枝分かれして2又となり、2本目の尖った先端がクリトリスに押し付けられる。
「や…この…クリまで…ぁんっ♥」
「おいドロシー!」
シキの声が聴こえる。
ピノキオンの攻撃で壁の向こうまで追放されたが、痛む傷をかばいながら来てくれたのだろう。
声はドロシーのすぐ傍の壁から聴こえる。壁の向こうにシキがいるのだ。
煉瓦組みの壁は頑丈で、シキが破壊してこちらまで来るには少し厳しい。
というより、今来られても困ってしまう。
ピノキオンとは、木でできたペニスでばっちり結合してしまっている。歳も近い異性に、こんな醜態を見られたくはなかった。
(もうちょっと早く助けに来なさいよ…)
ペニスが突き上げる度に声が出そうになるのを必死に抑えながら、ドロシーは壁に穴が空いているのに気づく。
指の太さ程度の小さい穴。ブリキンの落下の衝撃で割れたのだろう。
シキもそれに気づき、穴越しにドロシーの様子を見ようとする。
「大丈夫かドロシー!!」
「だ、大丈夫だから!私はまだ…んんっ♥」
ドロシーは前のスカートを必死に引っ張って、ピノキオンの股間から伸びる棒が自分の大事な所に突き刺さっているのを隠す。
シキからはどうにか、ただピノキオンと取っ組み合っているように見えるだろうか。
「ボクとオネエサンは真面目ニ戦ッテルンダカラ邪魔スルナ!」
ピノキオンがシキに嘘をつくと、彼の疑似ペニスは3度目の変身を遂げ、
ヴィィィィンという音と共に振動を始める。
「…!!っ…ぐ…そう…なの…シキ…戦ってるから…んぅ♥…」
木でできた亀頭はドロシーの子宮口を押しつぶすようにぴったりとくっついており、ペニスの振動はドロシーのポルチオを直接刺激する。
ドロシーの努力が功を奏し、シキはドロシーの膣が串刺しになっていることに気づかない。
「…駄目だこの壁…壊してそっち行けねえ!遠回りになるけどすぐにそっち行くから、耐えろよドロシー!!」
「わ…わかった…ぁん♥」
壁の向こうでシキが走り去る音が聴こえる。
「ばれナイヨウニ必死ナオネエサン、可愛カッタヨ…僕…萎エテキチャッタ!!」
ピノキオンがまた嘘をつく。ペニスは振動したまま、高速でピストン運動を始める。
「やっ…あ♥あ♥あああああんっ!!!」
機械的でありながら暴力的に、純粋に女性器へ刺激を与えることに特化したピノキオンのペニスに突かれ、ドロシーはたまらず叫び声をあげてしまう。
「キモチイイ?キモチイイ?」
ピノキオンがケタケタと笑う。
ドロシーは余裕がなくなってきて、背筋を弓なりに逸らす。軽くイってしまった…
「ボク、“床上手”ダネエ、ボクガ人間にナッタラオネエサンヲオ嫁サンにシテアゲルヨ!毎日ひいひい言ワセテアゲル!」
「お…お嫁さんって馬鹿じゃないの…セックスは子作りの為にするんだよ……こ…こんな張りぼてのモノ入れられても…野菜か何か突っ込んでオナニーしてるのと一緒よ…。それとも精子の代わりに歯車用の油でも出すのかい?」
ドロシーの言葉を聴いたピノキオンの肩が震え始める。
―――――――――――
「……お…おネエさんのバカーーー!!」
ピノキオンはワイヤーの拘束を解き、ドロシーを突き飛ばす。
思いのほか傷ついたようだ。“人間になりたい”が行動原理だった彼にとって、精一杯再現しようとした人間の真似事をけなされるのは琴線に触れたのだろう。
どんなに人間の性行為を形だけ真似てみたとしても、遺伝子そのものがない人形に子種は再現できない。
そんな人形の性を指摘されたピノキオンは、大きく傷ついた。
「ガーディアンARM ケートゥス!!!」
「な…!」
ピノキオンとドロシーの間に、水色の巨大なクジラが姿を現す。
ピノキオンが鯨型のガーディアンARMを使ったのはこれが初めてではない。
ウォーゲーム6thバトルで使ったファスティトカロン。
カルデアでの戦いで使ったモビーディック。
これら2つの他に、まだ鯨のガーディアンを隠し持っていた。…もしくはオスカーに貰ったのだろうか。
デザインの似通っていたファステイトカロンとモビーディックと違い、
ケートゥスは基本的な体格こそ鯨だが、攻撃的なデザインをしていた。口からは鮫のように数多の尖った牙が放射状に伸びており、胸鰭の先端は鎌状の爪が生えていた。
凶悪な大口がドロシーに向き、今にも彼女を飲み込もうとする。
「ファスティトカロンの時みたいに私を喰わせようってわけ?同じ手に何度も引っかからないよ!」
巨大さに惑わされず冷静に対処すれば問題ない。
さっきクンフーフロッグの術者を倒した時と同じ。ピノキオン本人を攻撃すればいい。
巨体では小回りが利かないだろう。ドロシーは飛び跳ねるようにケートゥスの正面から側面へと移動する。
「じゃあこんなのはどう?オネエサン!」
ケートゥスはドロシーを喰おうと方向転換すると思いきや、真っ直ぐ突進する。
巨体が壁に突っ込んだその先には、刀を持った青年の姿があった。
ドロシーを助ける為、崩れた礼拝堂を走り回ってようやくここまで来たのだろう。
「シキ!!」
突然のことに対応できないでいるシキの身体を、ドロシーが突き飛ばす。
突き飛ばす動作を終えた彼女の姿を、巨大な口が覆い隠す。
「ドロシー!!!」
ドロシーの姿は、巨大鯨の喉の奥へと消えていった。
「オネエサン…暫くケートゥスの中で反省すればイインダ!」
ピノキオンはケタケタと笑い、ケートゥスに指示を送り街の上空を旋回させる。
突如出現した巨大生物の姿は貧民街のみならず殆どのランゼス住民の目に触れ、街中から悲鳴が上がり始める。
「待ちやがれ!お前が操ってんだな!?」
シキがピノキオンに啖呵を切る。
ドロシーが言っていた。ガーディアンARMを使用中、術者は動けないと。
あの大鯨が街の上空で浮遊している今、この木彫り人形を護る者はいない。
木彫り人形本人は動けず、抵抗することはできない。
「鯨に命令して、ドロシーを吐き出させろ!」
シキが斬りかかる刹那、ピノキオンは腕を空へと向ける。
「ワイヤーハンド!」
ピノキオンの拳が射出され、向かいの建物の煙突を掴む。
拳と胴体を繋ぐワイヤーが巻き取られると、木彫人形の身体は一瞬で屋根の上に移動する。
呆気にとられるシキを無視して、ピノキオンは再度ワイヤーハンドを別の屋根から伸びる煙突へと射出する。
そうして屋根から屋根へ、人形は高笑いしながら逃げていった。
「ARMで化け物出してる時は動けないんじゃなかったのかよ…」
ピノキオンを追いながらシキがぼやいた。
これでもピノキオンは元チェスの兵隊・ナイトクラス。
ファントムのように同時に複数のガーディアンは操れないが、“ウェポンARMとガーディアンARMの併用”くらいは出来る。
ウェポンARMであるワイヤーハンドを利用して、ガーディアンを出しながら逃走するという離れ業をやってのけたのだ。
「ドロシー…死ぬんじゃねえぞ!」
ドロシーは自分を助ける為に身代わりになって鯨に飲まれたのだ。
「絶対に助けてやるからな…」
シキは片手に持った剣をぎゅっと握り締める。
―――――――――――――――
暗く生暖かい、暗色をした肉壁がどこまでも続く…
ここは大鯨のARM・ケートゥスの胃の中。ケートゥスに飲み込まれたドロシーはこの巨大な臓物の中を彷徨っていた。
彼女は一度、全く同じような目にあったことがある。
ウォー・ゲーム6thバトルでピノキオンが出した鯨型ガーディアンARM・ファスティトカロンに飲み込まれたのだ。
「やっぱり生臭い…まいったねこりゃ…」
ドロシーはその時と同じ感想を口にする。
中の構造はファスティトカロンと同じ。巨大な胃の中に、このガーディアンが飲み込んだ様々なものが浮かんでいる。
船の甲板、家の残骸、城壁…あらゆるものがケートゥスの咀嚼をうけてバラバラになった状態で胃液の海の上に浮かんでいる。
ドロシーはそれらを足場にして進むが、朽ちた板に足を乗せた瞬間踏み抜きそうになり、胃液が大きく跳ねる。
「痛った…!」
これもファスティトカロンと同じだ。胃液はなんでも溶かしてしまう。ドロシーの手甲が少し破損してしまう。
「ARMは…やっぱ使えないわね」
ゼピュロスブルームを機動させようとするが、指輪は一向に箒へと変化しない。
胃の中ではARMが使えない。そこもファスティトカロンと同じだ。
ファスティトカロンのときは奥の方にポコという水色の小人が住んでいた。
彼はドロシーの姉ディアナの召使をしていて、小さなミスを咎められてこの鯨の胃の中で暮らすはめになったのだ。
鯨の胃の中の住人である彼が許可すればドロシーはARMが使えるようになる。
ドロシーはどうにかポコを説得し、ガーディアンARMで腹の中から鯨の胃を食い破らせて脱出した。
きっとこのケートゥスの胃の中もルールは同じ筈。
中の住人を見つけ出し、協力を仰ぐ必要がある…
鯨の飲み込んだ様々な漂流物を足場にしながら進んでいくと、ようやく人影を見つける。
平たい床の正座座りしてちゃぶ台の上でお茶を啜る小さな影…
「…ポコ?」
思わずポコの名前を呼んでしまう。彼はファスティトカロンから介抱されてからはメルヘヴンで海の運送屋をやっている。
こんなところにいるわけないのは分かっていても、それでもその名前を呼んでしまう程、目の前にいる小人はポコそのものの容姿をしていた。
青白い皮膚にたらこ唇。白い褌状の衣服。頭には提灯鮟鱇を思わせるぼんぼりがついている。
「ポコ…懐かしい名前だね。彼は僕の同僚だよ。一緒に召使いをしていたんだ」
「貴方の名は?」
ドレスが破けて露出している右胸と下半身を隠しながら、ドロシーが問いかける。
「僕の名はコポ」
「ええ…」
「ポコを知っているのかい?」
コポはドロシーにお茶を出しながらそう言う。
「そうよ。ファスティトカロンっていう、別の鯨のARMに閉じ込められていたの。1年前私が解放したわ」
「へえ…僕に次いでポコまでもか…彼もディアナ様の不興を買ったんだろう?」
「ポコはディアナのスカートの裾を誤って踏んづけたらしいわ。貴方は一体何したのよ」
コポに出されたお茶を飲みながら、ドロシーは質問する。
「ディアナ様のお召し物を洗濯中…ディアナ様のショーツを手にしたとき、つい魔が差しちゃったんだよ。脱ぎたてで体温が残ってるそれを持った瞬間…我慢できなくなっちゃって、物陰でオナニーしちゃったんだ。でもバレちゃった。ディアナ様はレスターヴァ城中に監視用のARMを設置してたんだ。下着を鼻に当てながらヌいてるところ、バッチリ見られてたみたい」
「よく殺されなかったわね…」
ドロシーは呆れて頬を引き攣らせる。
「でも、多分僕はポコより重い罰を与えられてるんだよ。ポコが囚われていたファスティトカロンの中は普通に時間が流れていたんじゃないかい?」
「ええ。普通に… ここは違うの?」
「修練の門って知ってるかい?時間が外の世界の1/60の速さで流れる空間を作って修行の場として使うARMさ」
「1年前に何度も入ったわ。まさか…」
「そう。この胃の中も同じ。外の1日がこっちの60日なんだ。僕はもう何十年もこの胃の中にいるんだよ」
閉じ込められた際のメルヘヴンの暦をコポから訊く限り、彼は2年程閉じ込められていることがわかった。
つまり、120年の時間をこの暗い、生臭い鯨の胃の中で過ごしていたのだ。
「今日は本当に良い日だよ…やっと人に会えた…」
コポの瞳から涙が一筋流れる。
下着でオナニーされたら、ディアナであればコポの首を刎ねるくらいはしただろう。しかし、実際にコポが受けている仕打ちは死よりも辛い拷問に思えた。
コポの受けている仕打ちは余りに哀れに感じた。
「ねえ、貴方もこの空間内のARMの使用許可を与える権限を持っているんでしょう?私に任せてくれれば、ここから出してあげるわ」
ドロシーが小人の肩に手を乗せてそう言う。
「…君、よく見たらディアナ様に似ているね。」
ドロシーの胸元から顔までぼんやりした目で眺めながら、不意にコポはそう言う。
「そりゃそうよ。妹だもの」
今着ているドレスも、普段ドロシーが着ているドレスに比べて肩も谷間も出しているスタイルだ。ディアナの服と少し似ている。
コポが似ていると思うのも自然なことだ。
「へえ…ディアナ様の妹…そうなんだ…」
ドロシーは気づくことがなかったが、コポの瞳に暗い光が宿る。
「それで、君もこの中に放り込まれて、早く出たくて困ってるんだね?」
「…ええ。そうよ。だから貴方がARMの使用許可を出してくれれば2人で外に出られるわ」
コポを救う為と言いつつも自分が外へ出る為にARM使用許可を求めていた自分を咎められたようで、少し反省しながらそう言い直す。
「すぐには、駄目だね」
ドロシーが予想もしなかったことを言い出すコポ。何十年も閉じ込められていたなら、一刻も早く外に出たいはずだ。
「ど、どうして!?」
「確かにこの空間は修練の門と同じで、中にいる人の肉体年齢は外の世界と同じさ。2年分しか年取ってない。…でも、僕は120年も孤独に耐えてきたんだよ?」
「ええ…下着でその…したにしては酷すぎる罰だと思うわ」
空気が不穏になってきた。コポをなだめるように、ドロシーは彼に同調する。
「今更、はい出してあげますよ、良かったですね、で終わるのは理不尽だと思うんだ。ディアナ様にはやりすぎたことを償って欲しいもんだよ」
「そう思うわ。でもディアナは私が殺した。怒りをぶつける相手はもういない。貴方はこれから新しい人生を…」
「だったらなおさら、妹である君が償うべきじゃないか!」
コポがちゃぶ台を叩く。
「…何をしろっていうの?」
「僕のをヌいてよ。手でいいからさ」
コポの白いふんどしが、微かに盛り上がってテントを張っている。
「ディアナ様の下着で欲情してオナニーすることが、120年こんなところで閉じ込められる罰には釣り合わないって君も言っただろう!?だったら証明しておくれよ!」
コポは白いふんどしを脱ぎ、ピンと勃起したそれをドロシーに見せる。
小人の身長相応というべきか、ギンタと同じ程度の控えめなサイズ。
「君の格好見て僕のもこんなになっちゃったよ!120年の理不尽分の“お釣り”を!全ての始まりである僕の“これ”に返しておくれよ!妹の君が!」
ドロシーは改めて自分の格好を思い出し、両手で大事なところを隠す。
片胸は露出し、下半身は前面背面共に丸出し。
その結果であるコポの欲情の証を見せつけられ、赤面する。
それにしたって、彼の言い分は滅茶苦茶だ。
「僕の許可が必要なんだろう?そうでなきゃ君はここから出られない。違うかい?」
「っこの…」
ドロシーはコポを睨みつけるが、彼が本気であることがわかると諦めの表情を浮かべる。
「わかった…手でしたげる…そしたらARM使わせなさいよ…」
「おっぱいも吸いながらがいいな」
「馬鹿…」
ドロシーは露出した右胸を隠す手を離す。思わずむしゃぶりつきたくなるようなドロシーの乳首が顔を出した。
「すごい…ディアナ様のおっぱいもこれくらい大きかったなあ…」
1年前はドロシーよりディアナのほうが巨乳だったが、この1年でバストサイズが姉に追いついてきたようだ。
ドロシーはコポに膝枕をし、身をかがめて彼の口に乳首を当ててやる。
「ん…」
コポのたらこ唇がドロシーの乳首に吸いつく。
コポの頭を膝の上に乗せて授乳させてあげながら、ドロシーは彼の要求通り手で処理してあげる。
彼の体色と同じ水色のペニス。亀頭がなく先端が細くなっている。蛭を思わせる形だ。
新しいドレスのグローブ越しにそれを握り、上下させる。
「う…んう…」
コポが喘ぐと同時に、黄色く周囲を照らしていた頭のぼんぼりが紅く変化する。
この種族が興奮した時の反応なのだろう。
ポコはぼんぼりにキスしてあげただけでそうなる程純情だったのに、この小人ときたら授乳しながらの手コキを要求してくるなんて…
機械的な手コキがコポのペニスを刺激する。肉厚だがそんなに硬くないそれは、しごく度にビクビクと震えた。
「お、お嬢ちゃん…出すよ…」
「きゃ…!」
突然の射精宣言に対応できず、おびただしい量の精液がドロシーの顔にかかる。
人の精液のように粘つかず、色も真っ白。まるで牛乳のような精液が大量にドロシーの顔を汚していた。
「これでいいでしょ?ARMを使わせなさい!」
精液を不快そうに拭いながら、ドロシーは言う。
「やだね。セックスもしたい。お嬢ちゃんで僕の童貞を卒業させてよ」
「この…いい加減に…」
「いいんだよ?僕は120年もここにいたんだ。…寂しかったなあ…本当に気が狂いそうだったよ…お嬢ちゃんと一緒ならもう100年ここにいたって大したことないさ」
「…わかった…わかったわよ…」
『身内の不始末は身内が償う』
カルデアの旧い掟に縛られ、少女の年齢でありながらメルヘヴン中のARMの回収を科せられたドロシー。
それだけではない。ディアナ本人の命もドロシー自身の手で引導を渡した。
これで、ディアナの罪は全て精算したと思っていた。
しかしそれは”カルデアの”損害を補填しただけなのだと知る。彼女がメルヘヴン中で遺した爪痕はこのコポを含め、至る所に存在しているのだ。
コポの要求が理不尽なのはわかっている。
しかし、ドロシーの少女時代に大きな影響を与えた“ディアナの罪を自分の手で償う”というキーワードは、彼女にとって強力な殺し文句だった。
「早く…済ませてよね…」
コポの座っていた場所にはちゃぶ台の他に木製の箪笥があった。
彼はそれを開けると、薄くて粗末なせんべい布団を取り出して広げ始める。
布団…メルヘヴンやオズの国では一般的でない寝具だが、存在は知っていた。
ドロシーはコポに促されるままに布団に腰をおろす。
この湿気では仕方ないことだが、布団は少し黴臭かった。
おずおずと、ドロシーはコポに向けて股を開く。
スカートの前面はピノキオンとの戦いで自分の手で破いたので、ドロシーの大事なところはコポに対して惜しげもなく晒される。
「こ…これが…女の人の…」
コポは初めて見る女性器に感動し、顔を近づけてまじまじと観察する。
「一度だけよ…一回出したらARMを使わせなさい…」
「膣内に出していい?」
「…好きにしなさい」
正直、勘弁してほしかったが、ここで注文をつけるとコポの機嫌を損なうと判断した。
コポは童貞喪失の機会に胸を高鳴らせながら、仏頂面で股を開くドロシーへにじり寄る。
先端をグリグリとドロシーの股へ押し付ける。
「あれ?上手く入らない…」
彼女の尿道に押し付けているだけで、一向に挿入されない。
「…もっと下…ここよ」
コポのペニスに白く長い指が優しく絡み、彼女の陰唇へと導く。
早く終わらせて欲しいが為の行為だった。
「ん…」
今度こそ、コポの水色のペニスがドロシーの膣内へと埋没していく
「すごい…すごいよ…これがセックスなんだ…」
コポは初めての快楽に、歓喜に打ち震える。
小人相応のサイズのペニス。
彼の低い身長と相まって、ギンタとしているような感覚になる。
しかしその感覚は、ピストンが始まってから打ち消されることになる。
「お嬢ちゃぁん…お嬢ちゃん…」
耳に入るのはギンタの可愛らしい声でなく、間の抜けたトーンのダミ声。
自分の腰を掴むペトペトした手の感触。
ピストンの度にいちいち頬に当たるぼんぼりは生暖かい。
自分の乳首を吸うたらこ唇。
目を開けてみればそこには、瓜のような顔をした水色の小人が自分とセックスしている。
妥協と同情で身体を許したことを後悔する程に、生理的な拒絶感が襲う。
(やっぱり気持ち悪い…早く終わって…)
体温の低いコポのペニスは生ぬるく膣内を蠢く。
亀頭のないぬるりとした先細りのそれは、太さもなく長さもなく、それ程硬くもなく、カリが膣壁を擦ることもない。
これといった性感を与えられることもなく、嫌悪感の中でドロシーはこの小人がさっさと果ててくれることを望む。
冷めた表情のドロシーとは対象的に、コポは密かに劣情を抱いていた雇用主の妹で童貞を卒業する高揚感と初めての性行為への期待で、夢中になって腰を振っていた。
生暖かい鯨の胃の中で、パンパンパン…と肉の打ち合う音だけが響き渡る。
「んっ♥」
突如ドロシーの身体にぞくりとした快感が走り、マグロ状態でピストンを受け入れていたドロシーが甘い声を出す。
「んっ…ぅ…♥」
(やだ…こんなのでも…私…気持ちよく…)
今までドロシーが受け入れてきたペニスに比べて貧弱なコポのペニスは、1点だけ他種族のペニスに秀でている特性があった。
筋肉が走っていないヒトのペニスは根本をピクピク動かせる程度の可動域であるのに対し、コポのペニスはまるで舌のように自在に動くことができた。
女を知らなかったコポは自覚的にそれを行っていないが、初めての生殖活動に張り切っていた彼のペニスは本能的にその先端を動かし、ドロシーの子宮口をツンツンと突いていた。
必死に声が出るのを抑えようとするドロシーだが、コポは彼女が感じ始めていることに気づく。自分が上手くできていることへの安心感と、自分の何倍もの体躯がある女性を喘がせている征服感にコポのペニスは硬さを増す。
そして無自覚に、自在に動く先細りペニスの先端でドロシーのポルチオをねちっこく突いていく。
「はあ…お嬢ちゃん、出すよぉ…お嬢ちゃんの膣内にぃ…」
ぼんぼりがチカチカ点滅する。射精の合図なのだろうか。
「『コポの赤ちゃん産んであげる』って言ってよぉ…約束してよぉ…そしたらARMも使わせてあげるよぉ…」
おぞましいリクエストに鳥肌が立つが、拒否して約束を反故にされてもいけない。それに言うだけならタダだ。
「っ…ぐっ…ゃ…♥…コ…コポの赤ちゃん産んであげる…早く出して…」
「う…ううっ…!」
先細りのペニスの先端は子宮口に突き刺さるように侵入し、水色の鈴口はドロシーの子宮から直接精液を放出する。
ドロシーは自分の中に生ぬるい水のようなものがドクドクと注がれる感触を味わう。
いつもギンタに中出しされる時の熱い感覚はない。コポ自身の体温が高くない為、出て来るものもそれくらいの温度なのだろう。
しかし勢いのある水流はドロシーの子宮口に余すことなく注ぎ込まれ、ゾクゾクと背骨が震えるような感覚が彼女を軽い絶頂へと導いてしまう。
コポがペニスを引き抜くと、、数秒遅れてドロシーの秘裂から真っ白な液体が逆流してくる。
色も粘度も牛乳のような精液。そういえばメルヘヴンを旅していた時に港町で魚の採卵作業を見たことがあるが、まさにこんな感じだった。
水中の雌の卵に“放精”するから、水中で拡散し易いように人間のように粘ついていない。そして拡散しても受精能力が落ちないよう、濃厚で量も多いのだ。
(気持ち悪い…)
でも今度こそ終わりだ。
赤ちゃんがどうだとか言っていたが、人間であるドロシーとコポは別種族だ。妊娠するわけがない。
異種姦で繁殖するのは獄鬼で充分だ。メルヘヴンの異種族同士にはそんなことはない。
「さあ、今度こそ約束よ、ARMを使わせて」
「僕の子、妊娠したらちゃんと産んでおくれよ。お嬢ちゃん」
膣内射精後の制服感に酔いしれながら、コポが言う。
「わかったわかったから…」
ドロシーは少し苛々しながらコポを急かす。
「お嬢ちゃん…僕がこんな姿だからって妊娠なんてするわけないって思ってるだろ」
腰布を巻き直しながら、コポがニヤつく。
怪訝な顔をしながら立ち上がり、服を整えるドロシー。
ドロシーが直立するとサラサラしたコポの精液は重力の影響を大きく受け、膣内から垂れてくる。彼女のスカートは破れており尻が丸出しなので、その様子がよく見える。
「僕ら小魚人族が人間と子供を作った話はいくつもあるんだよ?両方の種族の特徴が半分づつの子供が生まれるんだ」
気分の悪い話をされた。ここから出たら速攻でメンフェゴーラを使おう。そうドロシーは思った。
「へえ、動揺しないんだね…そうだ、ARMといえば…」
思い出した、とばかりにコポのぼんぼりが光る。
「避妊のARMってのがあったな。ディアナ様がレスターヴァ王との夜伽の度に使っていたよ。僕、よく窓の外からこっそり覗いてたんだ」
ドロシーはコポに背を向けながら冷や汗を滲ませる。
「もしかして…持ってるんじゃないかい?避妊のARM」
ドロシーの無言の返答に、コポは図星と理解する。
「そうだ。随分すんなり中出しさせてくれたから変だと思ったよ。お嬢ちゃんがそう来るなら決めた。ここで妊娠するまで出してやらない」
「……は?」
何をほざくのか。しかしその戯言を笑い飛ばすことなどできない。
この空間はARMが使えない空間。避妊のARMも、使えない。
ドロシーの妊娠が確定するまでコポがARM使用許可を出さないのであれば、本当に妊娠してしまう。
「ふ…ふざけんじゃないわよ!約束守りなさいよ!いい気になって…あんたなんていつでも殺せるんだから…」
「僕が死んだらそれこそお姉さんはここから絶対に出れないよ。ここでひとりぼっちで暮らすことになる。…ああ、お腹の中の僕の子も一緒かもね」
「う…ぐ…」
「おねえさんが助かる方法は1つ。ここで僕の子を産むんだ。そうしたら出してあげる。約束するよ。ここで10ヶ月経ったとしても、外の世界では5日しか経たない。悪くない話だろう?」
「そんな…嫌…絶対…」
「へへへ…気分いいや。僕を閉じ込めたディアナ様の妹に、僕の子を孕ませるんだ」
誰か助けて。ドロシーは思った。
シキがどうにかピノキオンを倒してくれるだろうか…
或いはこの街の何処かにいるギンタンやシズキが大鯨を見て気付いてくれるかも…
それにピノキオンを倒すだけでは駄目だ。ピノキオンが戦闘不能になっても、ケートゥスがARMに戻るだけ…私はずっとこの醜い魚人と腹の中…
誰かがケートゥスを再発動してドロシーを助け出してくれるのがゴールだ。
そこへ到達するまでどれだけの時間がかかるのだろう…
そもそもシキはケートゥスを発動するだけの魔力なんて持っているだろうか…
ナイトクラスが扱う上級のガーディアンARMを…
(時間がない…そう、時間がないのよ…早くこの鯨の腹の中から出ないと…)
避妊のARM、メンフェゴーラが効果を発揮するタイムリミットは、最初の性交から3日以内。
(3日…72時間…)
外の空間で流れる時間はこの空間の60分の1…
(1時間と、12分…)
余りに非現実的なタイムリミットに、ドロシーの瞳から希望の光が失せる。
「お嬢ちゃん、また勃ってきちゃったよ。もう一度していいだろ?」
青色の皮膚をテカらせ、勃起したペニスを手で支えながら、コポはドロシーに近づく。
「早く子供を作ればそれだけお嬢ちゃんも早く出られるんだからさ。子作り頑張ろうよ」
「い、嫌あっ!」
ドロシーは手を払いのけ、コポは鯨の胃液の中に落ちる。
跳ねた胃液がドロシーの服の端にかかり、焦げた臭いとともに繊維を溶かす。
しかしそんな胃液の池に堕ちたコポの身体は無傷で、けろりとしてドロシーのいる小島の上に這い上がる。
“鯨の胃の住人”とされた者には胃液が効かない。それもポコと一緒だ。おそらくは自殺防止の為の仕組み。しかしドロシーとコポの追いかけっこが始まった今、その仕組みはコポに有利に働いた。
ドロシーが強酸の池に浮かぶ漂流物を足場に慎重に、かつ急いで渡って逃げている間に、
コポは酸が跳ねるのもお構いなしに彼女を追いかける。
「ほらお嬢ちゃん、お嬢ちゃんは胃液がかかったら溶けちゃうよ。暴れたら危ないよ」
コポの忠告通り、ドロシーは瓦礫に躓いてうつ伏せに転んでしまう。
「った…」
ピノキオンに破かれたドレスの後ろスカートは服として全く機能しておらず、彼女の安産型の尻と、コポの子種を垂れ流す秘裂を惜しげもなくコポに晒す。
「君はディアナ様と違ってショーツを着けてないんだね」
うつ伏せのドロシーに覆いかぶさり、コポが言う。
「ディアナ様のお尻とアソコを覆ってたショーツ…青紫で、ところどころレースになって透け透けだったんだよ… 洗っててドキドキしちゃうのも無理ないだろ?それなのにちょっと嗅いだだけで100年も閉じ込めるんて、酷すぎるよ!」
コポは両腕でドロシーの肩を地面に押さえつけ、太腿に馬乗りになり手足の動きを封じる。
ドロシーはコポを振り払おうとしたが、離れない。
彼女をお嬢ちゃん呼びする通り、コポは魚小人族の大人なのだ。腕力は成人女性よりも強い。
それに下手に暴れると鯨の胃酸が自分を襲うので、自由に動けない。
精一杯の抵抗で左右に揺れる尻はコポを欲情させる結果になった。
「お嬢ちゃんのお尻、ディアナ様にそっくりだよ。ああ興奮してきたぞ…」
再度カチカチになったペニスを、寝バックの体勢で挿入する。
「ディアナ様め…よくも…よくもっ…!」
「やっ…やああああっ!!!」
姉の罪の償いでも、出して貰うための取引でもない。
このセックスは本当に子作りの行為であると自覚したドロシーは泣き叫びながら暴れる。
しかしコポに掴まれた腕はびくとも動かない。
もし小人だから子供程度の腕力しかないのであれば、ディアナが使用人として雇う筈もなかった。
自分の半分しか身長のない小人に良いように犯され、ドロシーは顔を伏せて涙する。
「助けて…誰か…」
避妊のARMが使えない空間で、自分を孕ませることのできる醜い小人の子種をたっぷり注がれながら、ドロシーはか細い声でそう呻いた。