「…!!」
ドロシーはガバッと飛び起きる。
簡素な部屋。ベッドの上。閉じた木窓からは朝日が漏れている。
ここはどこ…私は何をしていた?ギンタとシズキは…そうだ、地下水路で別れて…
頭が痛くて思考がまとまらないが、昨晩までのことは思い出した。鯨の腹から脱出して、アーテンボローと一緒に酒場へ潜入して…
以降の記憶が曖昧だ。そうだ。お酒を飲んだからこんなに記憶が曖昧で、頭も痛いのだ。
飲んだあとどうなった…?
自分の姿を確認する。
兎を模した、扇情的なコスチューム。
放り出された乳房。股周りを破かれた網タイツ。下腹部の違和感。身体中がぬるぬるしている。
ハイレグの股間部分は黒く濡れている。ぬるぬるした液体がハイレグで蓋をされ、ドロシーの膣内でタプタプと満ちているのを感じる。
今いるベッドの上には、肥った中年男性―アーテンボロー―が寝ている。全裸でいびきをかいている。
「嘘…私…こいつと…」
泥酔した自分が、この脂ぎったオヤジと男女の関係になってしまったことを、あらゆる状況が証明していた。
ドロシーは顔を青くし、ハイレグの股布をずらし、指を膣内に突っ込む。
起床時から感じていた下腹部の違和感…何か液体が膣内を満たしている感覚…
栓の代わりになっていた股布がずらされ、膣内にあったヌルヌルがとろりと流れ出てくる。
指についたそれを鼻先に近づける。数ヶ月前に処女を失って以来何度も嗅いだこの匂い…精液…
「やっやだ…!嘘…」
きっと、間違いなく、隣りにいる中年男性のザーメン。
ドロシーは半泣きで、膣奥を満たすそれを掻き出そうとする。
二日酔いと相まって目眩がしそうになったが、ふとお尻の違和感に気づく。
自分の臀部中央についているのは、白いフサフサの毛玉。兎の尻尾を模した飾り。
尾骶骨の上についていたはずのそれは、自分の肛門上に位置を変えていた。
というより、刺さっていた。
肛門に栓をするかのように何かが肛門に差し込まれており、その先端に毛玉があるから、まるでドロシーにうさぎのしっぽが生えているかのように見える。
「何よこれ…」
お尻に挿入された異物。昨晩自分の身体が玩具にされたことを物語っていた。怒りにまかせてそれを引き抜こうとする。
「あ…んんっ…♥」
思ったより簡単には抜けてくれない。肛門の異物は円錐状になっており、一番太いところが肛門の内側に全て入っている。つまり”返し”の構造になっており、挿入の何倍も、引き抜くには力が要る。
「ん…ぐっ♥…ん♥」
やがて、ドロシーの肛門から太いものが引き抜かれる。排便感にも似た感覚は、腸から広がってゾクゾクした快感となり全身に溶ける。
(や…私、お尻でこんなに気持ちよく…)
つい一昨日、マイラによって教え込まれたばかりの尻穴の快楽に戸惑う。
「んっ♥」
キュポン、という音とともにお尻に入っていたものが全て抜ける。
ギンタの腕くらいありそうな太さの樹脂塊。こんな卑猥なものを尻穴に挿れられていたなんて…
「朝からええもん見せてもらったで」
いつの間にか起きていたアーテンボローが、ニタニタしてドロシーに言う。
「!…アーテンボロー…あんた…」
ドロシーが鬼の形相でアーテンボローを睨みつける。
「勘違いしないでやドロシーちゃん、あんたから誘ってきたんやで?儂の顔見てギンタン…とか言ってなぁ、一緒にこの部屋入って、ドロシーちゃんからキスして舌絡めてきたんや」
アーテンボローの言ったことは、事実だった。
「し…信じないわよ…それに…こんなものまで…」
ドロシーは真っ赤に涙ぐみながら、シーツ上に投げ捨てられたアナルビーズをちらと見る。
「それ、君が自分で挿れてもらったんやで?壁に手ぇつけて、尻広げてぇ。おっぱいやおまんこ触らせながら酒場の男たちと楽しくやっとったやないか。儂がここまで”お持ち帰り”しなかったらきっとあいつらに輪姦されとったで」
アーテンボローが言う。紛れもない真実を言う。
「は……?そんなの…嘘…嘘よぉ…」
「お尻のそれ使って俺も楽しませてもろたでぇ。引き抜いたり挿れたりする度に面白いようにイってたわ。初めてじゃないやろ、尻穴」
「知らない!知らないわよぉ…!」
ドロシーは顔を真っ赤にして耳を塞ぐ。
酒に酔ってこんな醜態を晒すなんて、情けなくて顔から火が出そうだ。
「へへ、忘れたなら思い出させてやるでぇ♥」
アーテンボローがドロシーに覆いかぶさる。
「は、離しなさいよ!」
抵抗しようにも、18歳の少女の腕力では中年男性のそれに勝てない。二日酔いの所為か、頭も痛い。力が入らない。
「儂もまだまだイけるもんやな…朝立ちなんて久しぶりやで…ほれ、もう一度ドロシーちゃんの膣内に入りたいって熱り立っとる」
ブヨブヨの贅肉が密着する中、唯一硬い感触。黒ずんだ中年ペニスがドロシーの下腹部を突いている。
「やっ…このぉっ!!」
ARMは…昨晩アーテンボローに外され、床下に乱雑に撒き散らされている。
ベッドの上で取り押さえられては、取りに行くこともできない。
「大人しく楽しまんかい。ドロシーちゃんだって、すぐに儂のモノが恋しくなってたまらなくなるんやから、1発やっといたほうがええで?」
「馬鹿言ってんじゃないよ…!一度寝たぐらいで調子に…乗るなぁっ!」
アーテンボローはドロシーの肩を抱くようにして、片手で彼女の動きを制しつつ、もう片手で彼女のバニースーツの又布をずらす。
ドロシー本人の意思とは裏腹に濡れそぼった膣口に赤黒い亀頭が触れた瞬間、肉棒が全て挿入される。
「あああっ!や…もう…ん…♥」
数回のピストンのうちに、ドロシーから甘い声が漏れる。
(やだ…なにこれ…♥)
ドロシーは断片的に、昨晩の記憶を思い出す。泥酔から醒めて気怠い気分の中でアーテンボローに犯されて、拒否感でいっぱいだった頭の中がある瞬間から甘い快楽に満たされたのだ。
「あ゛っ♥あ゛あっ…!」
太くも長くもない、その上さほど硬くもない中年のペニス。亀頭は妙に大きいが、それだけだ。いくら感じやすいドロシーの身体でも、流石にこんなに容易く乱れてしまうのはおかしい…
「そら出すで…!朝一番のおっちゃんの子種っ!ピチピチのドロシーちゃんのおまんこに…!」
「や゛っ♥あああああああーーっ♥」
中年男性と少女は同時に絶頂に達し、18歳の子宮に50過ぎの男性の精液が流し込まれる。
「は…♥ぁ…♥」
絶頂の余韻で息を切らせるドロシーの隣でベッドに腰掛け、アーテンボローは葉巻を吹かせる。
「ほんま最高やわドロシーちゃんのおまんこ♥おじちゃんとドロシーちゃん、身体の相性最高かもしれんなあ?」
上機嫌で紫煙を吐くアーテンボローの背後で、ドロシーがゆらりと立ち上がる。
手には銀色の箒。床に落ちていたゼピュロスブルームの指輪を拾ったのだ。
「調子に…乗るなあああっ!!!!」
突風が部屋中に炸裂し、逃げ場のない衝撃は木窓を突き破る。
爆発した酒場2階の窓から街路に向けて、家具の破片が突風と一緒になって撒き散らされる。
数回鈍い音がした後、バニースーツを着た少女が崩壊した窓から路上に飛び立ち、呆気にとられる人々の視線を縫って走り去っていった。
爆音を聞きつけ部屋に駆けつけた店主が目にした光景は、割れたベッドの上で、全身を殴打されて失神しているアーテンボローの姿だった。
―ランゼス 倒鬼師駐屯地 地下牢―
ギンタとシズキは地下牢の中、永遠に思える時間を感じていた。
つい数時間前、ギンタはシズキと一つになった。
お互い縛られた状態で、どうにか互いの性器を結合させてのセックス。
定期的に他者の粘膜に射精しないと魔力暴走を起こしてしまうギンタを楽にするため、シズキが取った選択だ。
当のシズキは疲れて寝てしまっている。
ギンタに尻を向けて寝入っており、先程その中に精を吐き出したことを思い出させられる。
不意に、耳鳴りがする。
(まただ…)
たまに訪れる、”聴覚が異常に過敏になる時間”。突然訪れ、突然聞こえなくなる。
ギンタには原因がさっぱりわからない。
過敏になった聴覚は、彼が収監されている地下牢の上階の様子を拾ってくる。
―ランゼス 倒鬼師駐屯地―
「あら、キサラちゃん」
青い長髪を下ろした眼鏡の女性がキサラを呼び止める。
「シリカさん、おはようございます」
キサラは長い金髪をはためかせ、人の良い笑顔で返事する。
「なんだか最近は盛りだくさんねえ…一昨日は地下に侵入者が出てきて、昨日はいきなり大きな鯨が空を泳いで…」
「ええ、あの鯨も結局墜落して、跡形もなく消えちゃって、詳細が掴めなくて」
「まだ開獄日前なのに大パニックになっちゃって、街の皆を落ち着かせるの大変だったわぁ…」
シリカと呼ばれた女性は、やれやれと眼鏡の位置を直す。
「その侵入者さん―この2日間うちの地下牢で預かってる子たち、いつまで預かってればいいのかしら?」
「ええ、本日の開獄日が終わったら、とりあえずエスメラルダに移送する予定で…」
「あら、そうだったんだ。私達には全く連絡が回ってこなくてね…しかし地下水路に人が入るのってそんなに問題になることなのかしら?エスメラルダに連れてって、あの子達はどうするの?」
「ああ、…それはそのぉ…王属の件で、機密事項でして…」
とっさにごまかすのが下手な彼女は、正直にそう言う。
「あら……そうでした。ランゼス地下のお話は”王属”の皆様の管轄だったわね。”郷属”の私が訊くことではなかったわ」
シリカは露骨に不機嫌な態度で返し、キサラは気まずそうにモジモジとうつむく。
アーテンボローのようなフリーの討鬼師を例外とすると、討鬼師は"王属"と"郷属"の2種に分かれる。
"王属倒鬼師"はオズの国中心部にある聖都エスメラルダによって認められた倒鬼師。
"郷属討鬼師"は、郊外の村や街に生まれた魔女や魔法使いがそのまま倒鬼師として働いている者を指す。
この女性、シリカは5人いるランゼスの”郷属倒鬼師”のうちの1人。
キサラはランゼスに派遣されている”王属倒鬼師”だ。
若手の王属討鬼師は大抵エスメラルダ国内でなく、僻地の村や街の安全管理を担当させられる。
同じく王属倒鬼師であったコッローディも、そういった理由でシズキの村を頻繁に訪れていた。
多くの町村において、獄鬼の討伐は地元の郷属討鬼師が仕切っており、
王属倒鬼師は聖都エスメラルダからのサポートという形で連携を取る。
しかし、ランゼスのように”黄瓦の塊の上にある街”においては、王属倒鬼師が大きな実権を持つ。
それはこの施設が”倒鬼師駐屯地”という名称であることからも伺える。
エスメラルダから派遣された倒鬼師が駐屯する施設、という意味であり、
地元の郷属討鬼師は離れの建屋が仕事場となる。
獄鬼対策に重要な拠点だからエスメラルダ側が実権を握る、というのが理由らしい。
今のように開獄日の前は、アーテンボローとヨハンのようなベテランの王属倒鬼師もエスメラルダからやってきて、この街の護りを固める。
聖都の者が地元民よりも指揮権を握り、挙句の果てに16歳程度のキサラが20を越えた自分よりも上の立場である屈辱がシリカの態度を冷たいものにしていた。
「立ち話かネ?私も混ぜて欲しいネ」
丸眼鏡を掛けた男が2人の間に割って入る。
「ヴァーミリオン様…」
シリカの背筋が伸びる。彼もまた王属。普段は地方に派遣させることのない、位の高い倒鬼師だ。
「先程キサラ君が言ったとおり、地下の2人はエスメラルダへ移送すル。今日の夕方には我々と同行させるので後で牢の鍵を渡してほしイ」
「はっ、かしこまりました」
「…とにかく、今日の日没からが開獄日だから、外壁の警護はお互い頑張りましょう。”王属倒鬼師サマ”ではないにしろ、魔女である以上は神に選ばれた人間。使命を全うさせていただきますわ」
皮肉を言って去っていくシリカを、俯きながらキサラは見送っていった。
100人に1人程度の確率で産まれる魔女・魔法使い。
家柄・遺伝に全く関係なくランダムに産まれるという神秘性が、”神に選ばれた”というプライドを彼らに与えることは珍しくないことだった。
「……」
「さ、キサラ君、彼女の言う通り今日が正念場だヨ、新しい仲間のシキ君と一緒に頑張ろうじゃないカ」
ヴァーミリオンはキサラの肩に手を置く。
開獄日。地獄とオズの国の境界が曖昧になり、オズの国の地面に2つの世界の連絡口が開く日。
この日、ランゼスの討鬼師達はこの街をぐるりと覆う壁の上に登って街を護る。
飛行能力を持つ獄鬼の対策をする為だ。
街の地盤そのものが獄鬼避けになっているランゼスの地上からは、地獄との連絡口は開かない。つまり、獄鬼の襲撃を受けない。
街の外に出現した獄鬼は、街への侵入を強固な壁に阻まれる。
しかし、飛行能力を持つ獄鬼はその壁を越えて街へ侵入できる。
獄鬼の全体数と比較するとごく少数だが、空を飛べる獄鬼は存在するのだ。
キサラも、ランゼス王属討鬼師としてこの街に派遣されて以来、開獄日は壁の上から獄鬼を迎撃する仕事をしている。
キサラの氷結の魔法は飛行型の獄鬼と相性が良く、翼を凍らせるだけで獄鬼は簡単に地上へと堕ちていった。
(そうだ…今日からシキくんも一緒…)
密かに想いを寄せていた幼なじみの青年が急遽同僚になったのに、キサラの顔は浮かない様子だった。
-ランゼス市街-
「最悪…最悪っ…!」
ドロシーは顔を真っ赤にし、目に涙を浮かべながら朝方の街を早足で歩く。
身にまとっているのはいつもの魔女服。酒場を出てから、路地裏の物陰を見つけて着替えた。
バキュアに溶かされ着れる状態でなかったが、ようやく裁縫のARMによる修復が完了したのだ。
この魔女服、随分長い間着ていなかった気がする。しかし、懐かしい着心地を堪能できる気分ではなかった。
(アーテンボローと…あんな気持ち悪い中年男と…酒の勢いで、私…)
自分の父親程の年齢の男性と男女の仲になってしまった事実…
18歳の少女には、あまりにもショックだった。獄鬼相手に異種姦するのとはまた別方向の嫌悪感である。
身体がベタベタして気持ち悪い。アーテンボローの汗と唾液と精液が全身を汚している。それにしたって粘度が高すぎる気がする。脂ぎった中年男性だからだろうか?
(それにしても…すごいイっちゃった…)
挿入されただけで脳をかき回されるような快感。あんなことは初めてだった。
『ドロシーちゃんとの身体の相性、最高かもしれんなあ?』
アーテンボローの言葉を思い出す。
(相性とか…あるのかな…)
ドロシーの下腹部が、先程の快感の余韻にきゅんと震える。
「って私…何を考えて…!」
あんな気持ち悪いおっさん、もし身体の相性が合ったとしても、抱かれるのはもうごめんだ。
当のアーテンボローは向こう1ヶ月はまともに歩けない状態のはずだ。怒りに我を忘れたドロシーが半殺しにしたのだから。骨が折れる音も何回か聞こえた。まあ命があるだけ情けをかけたほうだろう。
「…でも、ようやくギンタ達の居場所がわかった…」
手痛いアクシデントはあったものの、離れ離れになった仲間達の手がかりがようやく判明した。
地下水路で別れたギンタとシズキは、この街の倒鬼隊―獄鬼から人々を護る魔法使い集団―の施設にいる。この街で地下水路に侵入するのは厳禁らしく、その現場を見つかった為に捕らえられてしまったようだ。
街の治安維持組織の留置所に入るのは一筋縄ではいかないが、昨晩水道局員から入手した情報がある。
地下にある留置所隣に隣接する水汲み部屋。ランゼス地下水路からその部屋へ水を引き上げている水道は、隣接する民家の浅井戸と繋がっている。
相当致命的な工事上のミスだが、水道の点検を行う彼しかこの情報は知らない。
倒鬼師達に報告してもいない。面倒な仕事が増えるだけだからだ。
街のならず者に好まれそうな情報だが、彼らと関わりを持ちたくもないようで、今まで誰にも話したことがないという。
正真正銘、水道局員とドロシーだけが知る、秘密の侵入口だ。
「ここね…」
ランゼス市街地の外れにある、簡素な石造りの平屋。水道局員の情報によると、正面入り口を入って右手のエリア、その地下に留置所がある。
なるほどそこから少し離れて隣にある民家の庭に、古井戸がある。人気もなく、井戸に入るのは容易だ。
「よし…待っててねギンタン…ッ…!」
ドロシーはふらりと体勢を崩す。
起きてから、身体がだるい。頭痛がし、目がチカチカする。
「風邪でも引いたかな…」
体調を崩していてもおかしくない。一昨日の晩は夜の街を裸で徘徊したし、昨日は不衛生な鯨の胃袋の中に”3日も”裸同然の格好でいた。その晩は…酒のせいで覚えていないが、やはり半裸に近い格好で過ごしていた。
ギンタの場所は掴めたのだし、少し休憩してから奪還に向かったほうが合理的に見える。
しかし、それでは遅い。
開獄日は、もう今晩なのだ。
ランゼスにいれば安全らしいが、それでもこの”災害”の夜を一緒に過ごせないのは不安だ。
もしかしたら、不法侵入者へのペナルティとして街の外に放り出されてしまうかもしれない…
少々の体調不良を圧しても、今助けに向かうべきだ。
ドロシーは意を決して、古井戸へ侵入する。彼女の身長の2倍程度しかない浅井戸には足首を濡らす程度の水が溜まっており、腰の高さには話しの通り人が入れる程度の穴が空いている。蜘蛛の巣が張り苔むしているため、事前に知らなければ気づかない程度の穴。
少し臭う水溜りにドレスを汚しながらも、狭い穴を這って進む。
やがて頭上から光が漏れている場所があり、その石床を下から押し上げると埃っぽい小部屋へと出る。
見張りもいない。ここは地下のはずだが、上階を行き来する人の足音も聞こえない。
開獄日前だから人員は外に出払って忙しくしているのだろうか。どうあれドロシーには好都合だ。
「動くな」
鋭い声と共に、ドロシーの首元に透き通った石片のようなもの―ガラス片が押し付けられる。
包丁ほどもあるガラス片は独りでに中に浮いており、刃のように尖った先端で彼女の柔肌を浅く突く。
背後から現れた声の主が操っているのだろう。
(しまった…魔女…)
ドロシーがガラス片に気づいて動けないのを確認し、藍色の髪をした眼鏡の女が現れた。
魔女らしい黒いローブを羽織り、整っているが鋭い顔でドロシーを睨む。
「ここはランゼスに駐屯する魔法使いの施設…部外者が侵入して良い場所ではありません…」
厳粛な声で、ドロシーにささやきかける。
「ここに囚われている者達の仲間でしょうか? …いずれにせよ、“硝子”の魔女、シリカが…」
魔女の眼球がぐるりと上を向き、どさりと音を立てて倒れる。何か毒を吸って失神している…?
「こうやって助けるのはもう3度めやなあ、ドロシーちゃん」
ドロシーが侵入してきた石床の穴から顔を覗かせて、禿頭の中年男性が言う。
「…え……アーテンボロー…!」
肥った腹がつかえて穴を通りづらいようで、悪戦苦闘しつつ全身を床上に出す。その滑稽な絵面に反し、ドロシーは怪物でも見るかのような眼差しで彼を見つめる。
「あんた…どうして…あの酒場で半殺しにしたはずなのに…」
ゼピュロスブルームの暴風を浴びせた上、リングアーマーを召喚してボコボコにした。低級ARMだが成人男性を制圧するには十分な強さ。全治1ヶ月は見積もれる程こてんぱんにしたはずだ…
それなのに彼は”少し捻挫した”程度の腫れを全身に作りつつも平然としている。
魔法使いとしての彼の能力は”毒”。肉体強化の力はないはずだ。
「ちょっと身体が丈夫なんよ、それよりもなぁ、ドロシーちゃんが探してるって言っとった”ギンタ”と”シズキ”っての…知らん言ってたけど嘘ついとったわ…」
「え…」
「ギンタは知らんが、シズキちゃんは知っとる…儂の仕事仲間の倒鬼師姉妹の妹さんでな…まだ15歳なのにおっぱいが大きぅておじちゃん何度もマスかいとったんや…」
下衆な発言をしながら、アーテンボローはだらしない顔でよだれを拭う。
「いつか喰ったろうと思っとったんやが、お姉さんが亡くなった後もコッローディとかいう倒鬼師が姉御ぶってくっついててなぁ…なかなか手が出せんかった」
「それについ最近ドロシーちゃんとナメクジ獄鬼に襲われた後にシズキちゃんの村行ったら、そこら中死体だらけ。獄鬼に襲われて全滅しとったわ」
シズキの村は蜘蛛の獄鬼に襲撃された。あの事件の数日後にアーテンボローも村を訪れていたのか…
「シズキちゃん死んじゃったんかなあ思てたら、まさかのドロシーちゃんと一緒にいたとはなあ。だからドロシーちゃんにも協力したんやで?」
アーテンボローが黄ばんだ歯を見せてニヤリと笑う。
「ドロシーちゃんも最高やけど、シズキちゃんのロリ巨乳も魅力的や。牢屋の中においとくのは惜しい。な、ドロシーちゃん。シズキちゃんと一緒に儂の女に…」
言い終わらぬうちにドロシーの箒の柄がアーテンボローの顔を殴りつける。
「まだ殴られ足りないみたいだね…」
まさかの利害の一致のおかげでドロシーはここまで潜入できたようだが、こんな男を放置してシズキ達を救出はできない。ここで倒す。
「いやあドロシーちゃんええ女やわあ…でもちょっとお仕置きしたろかなぁ…」
アーテンボローの腕が粘液を纏い、巨大な腕と化してドロシーに殴りかかる。
ドロシーは避けようとするが、その先には例の毒霧が待ち構えており、立ち止まらざるをえない。
「っぐぁ!」
まともに一撃を食らい、壁に叩きつけられる。
強い。”原因不明の体調不良”を考慮に入れても、廃村で初めて彼に会ったときに感じた強さとは一線を画している。あの時の彼は、少量の毒液を撒き散らすだけの攻撃スタイルだったのに…
「あんた…そのタフさといい…自在に操れる毒霧といい……前はもっと単純な毒の魔法しか使えなかったじゃないの…っきゃあ…!」
間合いを詰めたアーテンボローがドロシーに覆いかぶさろうとする。
「ドロシーちゃん…ホンマエッチやなあ…おっきな胸プルプルさせながら飛んではねて…切れ込み入ったスカートから生脚チラチラ見せながら戦って…」
アーテンボローはズボンを脱ぎ、怒張したペニスを露出してそれをドロシーにねじ込もうとする。
信じられない。この場に二人しかいないとはいえ、倒鬼師の管理する施設の中で行為に及ぼうとするなんて…
「いい加減にしろ!エアハンマー!!」
空気の塊がドロシーの手のひらに発生し、アーテンボローの顔に直撃する。
「ほほ…痛た…手強いなあ、ドロシーちゃん…」
普通の人間なら昏倒する衝撃を食らってなお、下半身をプラプラさせながらニタニタ笑っている。
「…!…それ…」
ドロシーは言葉を失う。
その視線はアーテンボローのペニスに注がれている。
昨晩は酔っていて気付きもしなかった。
勃起で反り返ってこちらを向いたペニスの裏筋には、入れ墨のようなものが刻まれていた。
コッローディの下腹部に刻まれていたものと全く同じデザイン…
「あんた…まさか……!」
ドロシーの驚愕の表情に応えるように、アーテンボローは語り始める。
「ああ…女郎蛞蝓様…あの妙な武器を使う集団にやられて息も絶え絶えだったのに、儂を包み込むようにして激流から守ってくれたんや…」
アーテンボローの姿が変化する。身体が溶けているかのように粘液を生成し、膨張し大きさを増していく。
「流れ着いた川辺で、女郎蛞蝓様は死にかけながら儂を抱いてくれた…情熱的な交尾やった…」
体色が飴色になり、下顎からは触覚のようなものが生えてくる。
目玉が顔面から押し出されたかと思えば、芽吹くように上へと伸びていく。その顔はまるで、ナメクジ…
合点がいった。
魔法使いが獄鬼との交尾によって精神的に屈服し、大きな力を得る現象…
身体が獄鬼に近くなり、驚異的な生命力を得る…
魔法の質も変化し、より強力になる…
「そう。あの日、俺は女郎蛞蝓様の命と引き換えに…"堕獄"させていただいたんや…!」
「堕獄とはね…なるほど、さっき半殺しにしたのにピンピンしてるわけだ…」
ナメクジの化け物と化したアーテンボローの股間から、白く透き通った棒状のものが伸びてくる。先端は平茸のように展開し、ドロシーにはそれが亀頭だとわかった。
昨日散々挿入された、浅黒い男根とは全く違う、神秘的な姿をした性器。
「これが、ナメクジのチンポや」
「昨晩はボロが出ないように、ドロシーちゃんが気絶するまでこの姿にはならんかったが…ナメクジの交尾ってのは凄いんやで?ゆーっくり、ゆぅ~っくり絡み合いながら、気が触れる程気持ちよくなってトロけ合うんや…」
ドロシーは今朝自分が目覚めたとき、身体中がベトベトだったのを思い出す。
(あのベトベトはこれね…私が気絶してからも、ナメクジ形態で抱かれてたってわけか…)
一晩かけて中年オヤジ兼ナメクジ男にたっぷり汚されてしまったことを改めて思い知らされ、吐き気がする。
「…ッごめんだよ!的が馬鹿でかくなって当たりやすくなっただけじゃないか!ゼピュロスブルーム!」
ドロシーが箒を振るって放った風の刃は、アーテンボローの首筋に直撃する。
やっぱり。巨体な上にナメクジなので動きがトロい。
「効かんなあ…ぜ~んぜん…」
ドロシーの手応えに反して、アーテンボローは全くダメージを受けていない様子だった。
「そんな…モロに当たったのに…」
「斬撃も攻撃も効かん。このヌルヌルが護ってくれるんや」
この巨大なナメクジ男の全身を覆う粘液。それがドロシーの風を無効化していたのだ。
「そらそら!もう終わりかドロシーちゃん!?」
アーテンボローがドロシーに平手打ちを食らわす。
粘液まみれの手に叩かれても痛みはないが巨大な手のひらにドロシーの身体が貼り付き…
石壁にしたたかに打ち付けられる。
「ぐああああっ!!!」
アーテンボローは頬をぷくーっと膨らませ、口内に生成した毒液をドロシーに吹き付ける。
「くっそ…!」
ドロシーは大風を起こして毒液を跳ね返す。勿論毒液を跳ね返されたところで、アーテンボローにはダメージはない。
(粘液まみれの身体には単純な物理攻撃は効かない…)
アーテンボローを堕獄させたナメクジ女の獄鬼は、ARMを持つ集団に対峙された。
粘膜を乾かす炎に、”斬る”というよりは”突き穿つ”鉄槍…
(私の得意なARMにはそういうものはない…なら…!!)
ドロシーは風を自分に当てる。突風はドロシーの身体を巻き上げ、アーテンボローの巨体も追い越す大ジャンプを実現させる。
「取った!」
「ぐあっ!?」
ドロシーの両太ももと脚、それが作る三角形がアーテンボローの首を締める。
「三角絞めやと…!?」
「絞め技なら…物理攻撃無効なんて関係ないわよね…」
首の血管を絞められたアーテンボローの顔はみるみる赤くなり、苦しそうにもがく。
とはいえ、このままではアーテンボローに力負けしてドロシーは剥がされてしまうだろう。
だが、ここまで隙が作れれば良い。
「全身粘膜の鎧で内蔵まで攻撃が届かないけど…ここはどうかしら?」
ドロシーが脚で絞めているアーテンボローの首、そこから生えている彼の頭。
ドロシーが禿頭に手を置くと、硬い頭蓋骨の感触がある。
彼の身体で唯一、粘膜の薄い場所…
「待っ待てまて!!ええんか?
何を抜かすのか。デタラメな妄言で命乞いとは情けない…
ドロシーはエアハンマーを発動させ、アーテンボローの頭蓋を叩き割ろうとする。
「エア・ハンマ……んぐっ!?」
まただ。寝起きからずっと続いていた身体の不調…頭が痛いし、身体中が痒いようなムズムズするような不快感…
折角のチャンスなのに、ここに来て症状が重くなってきた。
ドロシーはたまらずアーテンボローの身体から滑り落ち、石畳に身体を打つ。
「くっそ…なんなのよこれ…」
「随分苦しそうやなぁドロシーちゃん。”薬”をやるで」
「んっ!?んぐーっ!?」
苦しそうにうずくまるドロシーを無理やり立たせ、壁に押し付けるようにして唇を奪う。
中年オヤジのディープキスなんてただでさえ気持ち悪いのに、人ナメクジと化した顔面が不快感を倍増させる。
ドロシーの口内に注ぎ込まれる唾液はやはりナメクジの性質を持っており、ベタつく粘液が胃の中にまで流し込まれる。
今すぐ嘔吐してしまうほどの気持ち悪さなのに、何故かドロシーの身体は歓喜の声をあげる。
(え…何…)
朝から悩まされていた身体の不調が、すっと消える。
あれほどひどかった頭痛は消え、身体が浮くような気分の良さを覚える。
「ぷはっ!」
アーテンボローの唇が離れ、白い粘液が2人の口の間に橋を作る。
「どうして…身体が…楽に…」
「今のドロシーちゃんはな、”ヤク中”や。俺の精液を”シャブ毒”にして、昨日何度も膣出ししてやったからのう!」
「な…」
そういえば、寝起きは頭痛や寒気が酷かったのに、アーテンボローに犯されて膣内射精された直後は症状がなくなったことを思い出す。
それから暫くして、また身体の不調が出てきたんだった…
アーテンボローの体液を身体に入れると「体調不良」は良くなり、時間が経つとまたぶり返す…
「そんな…まさか…」
「察しがええな。そう、ドロシーちゃんは儂の”体液中毒”になったんや」
“毒の魔法使い”アーテンボロー。彼は自らのザーメンを麻薬にしてドロシーの胎内に注ぎこんでいた。
昨晩アーテンボローに一回目の中出しを受けてから途端にわけがわからない程の快感に狂ったのを思い出した。あれは麻薬を摂取したことの快感…
そして、宿を出てから今までの体調不良は麻薬の禁断症状…
彼女は文字通りの意味で、アーテンボローの体液中毒にさせられたのだ。
「なんてことしてくれたのよ…!ぶっ殺してやる!!」
「良いんか?ドロシーちゃんはもう儂の精液がないと、一生苦しい禁断症状に悩まされるんやで」
「く…」
麻薬の恐ろしさは知っている。メルヘヴンでもチェスの一部が人々に麻薬を売り歩いていたことがあった。
麻薬中毒者の惨状は筆舌に尽くし難く、更生の為に麻薬を絶たせられた患者が示す禁断症状は、見ているだけで辛くなるものだった。
そしてドロシーにとっての”麻薬”は世界に1箇所にしかない。眼の前に要る中年男性の体液しか、彼女の苦しみを癒せない。
毎日毎日、こいつの体液を摂取しないと地獄の苦しみを味わうことになる。
もう、この男から離れられないし、体液を恵んでもらう為にこの男の言うことを何でも聞かなくてはいけない。
「もう詰みなんや。もうドロシーちゃんは一生、儂の体液なしじゃ生きていけん身体なんや…!」
「嘘よ…そんな…きゃあっ!?」
ナメクジ男と化したアーテンボローの胴体から粘液が触手のように伸び、ドロシーの身体をその巨体に絡め取る。
アーテンボローに背を向けた状態で、ドロシーの2本の腕が完全に彼の身体に埋没する。これでは動けない。
「へへへ…唾液だけじゃ薄いやろ?すぐ苦しくなくなるで。濃ゆい精液、このナメクジチンポからたっぷり注いでやるわ」
脚に纏わりついた粘液がドロシーの股を大きく広げさせる。
露わになった秘裂に、白く透き通ったナメクジのペニスが狙いを定める。
「やっ…あ…ん♥」
大蛇のように太く長いそれはしかし柔らかく、ドロシーの割れ目に先端を押し付けると、ゆっくりと自身を埋没させていった。
ナメクジのようにゆっくり…だが圧倒的な力で確実に、その巨根を沈めこんでいく。
「こ…の…おっ♥」
ペニスが侵入するなり、例の淫毒がドロシーの身体を甘くしびれさせる。
その上、毒を膣壁に塗りたくるのは中年男性の半立ちペニスではなく、獄鬼の逞しいそれだ。柔らかいが圧倒的な質量のそれが、粘液を潤滑油に膣内を満たしていく。
ゆっくりゆっくり…内側から膣道をふくらませるように、ナメクジの肉棒が挿入される。
やがてペニスが動き始めるが、ピストン運動というよりはブラシのように膣壁をゆっくり掻き回すだけ。
「ひゃ…ひゃああああ…んああああっ♥」
そんなスローなセックスなのに、頭が飛びそうな程の快感がドロシーを襲う。
淫毒がゆっくりゆっくり…ヒダの1枚1枚に丹念に塗り込められる。
ペニスが膣内をみっちりと詰まっているから、動きの一瞬一瞬で膣全体が刺激される。
こんなゆっくりな抽送でこんなに気持ちよかったら…自分自身も動いたら…どれだけ…
ドロシーの腰が、本人の意思とは無関係に動きはじめる。
「ん゛ん゛っ…♥あん♥…」
顔をしかめ、頬を真っ赤に染めて恥じらいながら、腰だけは素直にぐりぐりとおちんちんを味わう。
「ほほ、ドロシーちゃんの腰使いええなあ。まだぎこちないけど、チンポを欲しがってるのは伝わってくるで…そらご褒美や!」
ナメクジペニスの先端が子宮口にぴったり口をつけると、ドロドロのザーメンを放出する。
「んんっ♥ああ゛っ…あ゛あ゛あ゛あああーーーっ♥♥」
麻薬唾液の交換でこんなに昂ぶってしまうなら。
麻薬先走り液を膣壁に擦りつけられてこんなに気持ちいいなら。
子宮に濃厚な麻薬精液を叩きつけられてしまったらどれほどの暴力的な快感が襲うかは自明だった。
ドロシーは目をむいて、涙を流してその快感に身を任せる。
「ほんまかわいいわドロシーちゃん…食べちゃいたいくらい…」
そう言うと、アーテンボローは口を広げる。軟体動物と化した彼の口は顎の可動域を越えて大きく広がり、ドロシーの頭上をすっぽり覆う。
「んっ!?んぐーっ!??」
交尾の姿勢はそのままに、ドロシーの頭がアーテンボローの口の中に収まる。
突然のことに混乱し、引き抜いた両手でアーテンボローの顔を叩くが何の抵抗にもならない。
首、胸、胴体…どんどん飲み込まれていく。
もはやドロシーのくぐもった声は聞こえず、脚をバタバタさせて暴れるのみ。
相当息苦しいのだろう。股にペニスを咥えたまま、2本の脚が狂ったように宙を蹴る。
その抵抗も、ドロシーの身体が尻、太もも、脛と飲み込まれていくうちに止んでいった。
ドロシーの全身がアーテンボローの口の中へ収められるに伴って、
彼女の膣から引き抜かれたペニスは名残惜しそうに縮んでいき、アーテンボローの股間に収まっていった。
「しばらくおじちゃんの中にいといてや。シズキちゃんを迎えに行ってくるからの」
ドロシーを完全に飲み込んだナメクジ男は、ゆっくり這いながら部屋を出ていき、地下牢へと脚を進める。
―アーテンボローの体内―
「な…何よ…これぇ…」
突然アーテンボローに飲み込まれたドロシーは、息苦しさに喘ぎながら肉壁の中をもがく。
どうにかアーテンボローの口から脱出しようと身体を足元へ押し出そうとも、スカートがずり上がって下半身が露出するだけで一向に戻っている気がしない。
それどころか周囲の肉壁の強力な蠕動運動で、ドロシーの身体は奥へ奥へと誘われているようだ。
(でも…ようやく一息つける…)
この空間は息苦しいが、暴力的な快感を与えてくるペニスは膣から引き抜かれた。
ARMを使う精神集中が確保できたということだ。
(ジッパー…!)
ドロシーが普段使わないARMを貯蔵するディメンションARMを起動させようとするドロシーの口に、何かが押し込まれる。
「むぐっ!?」
肉壁の一部が隆起し、触手のようにドロシーの口へ入り込む。
触手は麻薬粘液を絶えず生産し、彼女を再び快楽の渦へ飲み込もうとする。
足元からも触手がのび、アーテンボローの精液滴る膣口へ侵入しようとする。
(んんっ♥…まだ…この程度じゃ…ARMは使える…ジッパー起動…っ!)
ドロシーの手元のシルバーアクセサリーが光っては消えを繰り返す。
快感の中で、ARMをどうにか発動させようと頑張る。
ドロシーの奮闘中も蠕動運動は続いており、やがて少し広い空間へと出てくる。
広いといっても人間3人がぎゅうぎゅう詰めになるような空間を、ドロシー1人で専有しているというだけ。それでも空気が増えた分多少楽になった。
これなら触手から弱い麻薬を注入されている中でもARMの発動を…
(…嘘…)
肉壁に裂け目ができ、そこから青白い大蛇のようなものがゆっくりと出てくる。
アーテンボローのペニスだ。
どういう仕組みか知らないが、彼はペニスを体外だけでなく体内にもこうして引き出すことができるようだ。
「ん―ッ!んーっ!!!」
ドロシーは青ざめてそれを掴み、自分の膣内へ入れないように抵抗する。
ドロドロの麻薬精液をまた注入されたら…もうARMを発動するどころじゃなくなる…
既に亀頭を入り口へ埋没させているナメクジペニスを掴み、必死に引き抜こうとする。
粘液でコーテジングされたそれはドロシーの手を滑り、着実に挿入される。
「ん゛んんっ♥」
先走りを膣内に擦りつけられた衝撃でドロシーは手を離し、ナメクジペニスへの抵抗の手段を失った。
―倒鬼師兵舎 地下牢―
「シ~ズ~キ~ちゃん♥」
アーテンボローはひょっこりと牢屋に顔を出すと、よく知る着物を着た少女の姿を確認する。
シズキは着物から乳房を放り出しながら金髪の少女の上に座っていた。
いや、少女に見えるがあれは男の子だ。彼の腰の上に、シズキが座っている。
…衣服に隠れているが、明らかに2人の性器は繋がっている。
「あれがギンタンか…?」
ドロシーが探していた人物。昨晩彼女を抱いたときの寝言からして、恐らく恋人。
てっきり青年かと思えば、10歳しないくらいの男の子だ。
(ドロシーちゃんあんなちんちくりんのガキが好みなんか…しかもシズキちゃんともデキてて、捕まっとる不安に身を寄せ合ってセックス三昧…!皮も剥けとらんガキには贅沢すぎるで…!)
アーテンボローはまさかの事態に少し驚愕する。
(ま、クソガキに過ぎたオモチャはおじちゃんが貰ってあげるで♥既にドロシーちゃんはもう儂なしじゃあ生きられん身体で、今も腹の中でチンポ咥えて喘いどるんや♥
このガキの前でシズキちゃんをモノにしたら、腹からドロシーちゃんも登場させて存分に見せつけながら2人まとめて犯りまくったるわ♥)
「助けに来たでシズキちゃん、かわいそうになあ、口にこんなん着けさせられてぇ」
アーテンボローは怪力で檻をひしゃげさせて牢の中に侵入する。
シズキの口に着けられた口枷も外してしまう。
彼女の腕は氷の枷で固められている。都合がいい。これは壊さず放置する。
「おじちゃんな、色々あってな、変身できるようになったし、体液を麻薬にできるようにもなったんや」
シズキはその意味するところが理解できた。
彼女が慕っていた姉貴分、コッローディがパワーアップと引き換えに獄鬼の娼婦へと堕ちたときと一緒…
この男は、堕獄したのだ。
「アーテンボローさん…貴方…堕獄を…」
「良く知っとぉなあシズキちゃん。心配してたんやで?この姿になってから、シズキちゃん達と”遊びたくて”ここまでおっかけて来たんや…大変やったなあ、アガタ村もカヤベ村も獄鬼に襲われて…」
堕獄した知り合いに迫られて、『ただ助けに来た』わけではないのは明らかにわかる。
逃げ出そうとするが、手が使えない以上、ギンタを抱えて走ることは難しい…
「きゃあ!」
アーテンボローの身体から粘液が伸び、シズキを捉える。
腕は氷の枷で封じられており、脚は宙を蹴る。
「もう待ちきれんからここでしような?後でベッドの上で優しくしてやるけえの…ここで一発…な?ちょっと待っててな……なにせチンポは1本しかないからなぁ…」
-アーテンボローの腹の中-
「んあ”あ”あ”っ♥」
薄い空気の中、ドロシーはアーテンボローのナメクジペニスに膣内をかき回され、絶頂を繰り返していた。
両手両足を肉壁に捕らえられ、あられもなく開脚させられてナメクジペニスを咥えこんでいる。
獄鬼化したアーテンボローのペニスは、噴水のように麻薬精液をドロシーの子宮に叩き込み続ける。
「んやっ!!もうっおかしくなるっ♥」
麻薬毒がドロシーの神経に染み込む度に、化学反応による強制的な絶頂がドロシーを襲う。
アーテンボローの腹の肉一枚向こうにギンタとシズキがいることなど知るはずもなく、無様にアクメ声を放ち続ける。
ブヨブヨの肉とヌルヌルの粘液はドロシーの声を吸収し、体外にいる2人にそれが聞こえることはなかった。
麻薬ザーメンを更にもう一発注ぎ込むと、ようやく白く太いナメクジペニスがドロシーの膣から引き抜かれる。
ごぼり と音がし、粘性を持った精液がぽっかり空いた秘裂から流れ出る。
暗い腹内に一瞬光が差す。腹の壁に切れ込みが入り、そこからナメクジペニスが体外へと顔を出すと、切れ込みは再び塞がっていく。
「はひ…♥は…ぁっ♥」
だらしなく大股を開き、ドロシーは絶頂の余韻に浸りながら全身を痙攣させる。
気が触れてしまいそうな快楽の代償に、中年ナメクジ男の精液なしでは一生生きていけない身体にされてしまった少女は、息を切らせて力なく喘ぐばかりだった。
「ほうら、これがナメクジのおちんちんや」
“体内”に仕舞い込んでいたペニスを体外に出し、アーテンボローは熱り立つそれをシズキに見せつける。
枯葉色のテカった身体から伸びる白く透き通った性器。場違いな美しさが逆におぞましさを感じさせた。
「一度おじちゃんのザーメンを膣内に受ければもう離れられんで。一日でも中出しされないと苦しくてたまらなくなるんやで~ 昨日も麻薬ザーメンで1人ヤク漬けにしたんや。 …そんな心配することないんやで。その娘と一緒にシズキちゃんも一生面倒見たるわ」
面倒を見るとはつまり、毎日アーテンボローとセックスし続ける生活が一生続くということでしかない。
「や…やあああっ!!」
涙目で叫びながらシズキは抵抗するが、腕をキサラの氷の魔法で拘束されているため満足に動けない。
彼女の”怪力”の魔法による脚力でアーテンボローを蹴ろうとするが、軟体な上粘液まみれの身体への打撃はなかなか通らない。
「シズキちゃん、獄鬼のチンポは初めてか?大丈夫や、一度中出しされれば後はずっと天国やで」
ナメクジの性質を獄鬼に付与されたアーテンボローの巨大な性器は、その白い亀頭をシズキの割れ目に押しあてる。
「いやああああああ!!!」
シズキが目に涙を溜めて叫んだとき、ぼぐっという湿った破裂音が地下牢に響いた。
「な…な…」
驚愕するアーテンボローの土手っ腹から、狼の険しい顔が突き出していた。
「うぇ…久々に呼ばれたと思ったらまた不味い…」
口いっぱいに、ナメクジ男の粘液まみれの肉を噛み締めながら、その巨狼は不満げな言葉を吐く。
「文句言わないで全部食べちゃいな…ッ!」
(やっぱり、トトみたいな上級のガーディアンはガンガン魔力吸われるね…)
この世界の魔力と相性が悪く、メルヘヴンよりも魔力消費量が高くなったドロシーには、上級のガーディアンARMを使う余裕はあまりない。
前よりも少し長く出せたがもう限界だった。ドロシーはトトへの魔力供給をストップする。
前回と同じく突然に召喚を打ち切られたトトは、様子のおかしい主人に訝しげな視線を宿しながら銀細工のアクセサリーに姿を戻した。
「ドロシーちゃん…正気か…今のアンタ、ヤク中なんやで!?しかもその禁断症状を抑える”ヤク”は、儂が死んだらこの世のどこにもなくなるんやで!?」
破れた腹から体外へと脱出し、犯される寸前だったシズキを護るようにアーテンボローの間に立ったドロシーを見つめながら、アーテンボローは言う。
「……そうね…いつもより回るお酒も、今朝からの体調不良も、全部毒だったわけよね…堕獄してたから魔法も強化されてた…か、思い至らなかったわ…
ったく何が身体の相性よ…麻薬で無理矢理イかせてた癖に…」
ドロシーは銀細工のチェーンをアーテンボローに見せつける。
「実は私…毒を消すことができるのよ」
毒消しのアールフェ。ドロシーが所持するホーリーARM。
汎用的なホーリーARMである癒しの天使のように外傷の回復や病の治療能力こそないが、”解毒”という1点においては最上位のホーリーARMである。
致死量の毒でも、依存性を持つ毒でも、毒であれば何でも無効化が可能だ。
…勿論、”ARMを使える程度の集中力があれば”という条件がついてくる。
麻薬の禁断症状の中で苦しんでいるときも、
堕獄したアーテンボローの猛攻を凌いでいるときも、
彼に丸呑みされて快楽の波状攻撃を受けていたときも、
最上級の解毒用ARMとシンクロするだけの集中力を出すことはできなかった。
それに、いかにアールフェとはいえ、異世界の魔法使いが出す毒にも有効かは使ってみないとわからない。
奥の手があることを悟られてしまえばアールフェを奪われ、破壊されてしまうかもしれない。
アールフェを使える集中力を確保するまでは、”一生アーテンボローの精液中毒になるしかない”と絶望したフリを続ける必要があった。
体内でドロシーを犯すのに使っていたペニスが、シズキを犯す為に体外へ出されたとき、ようやく彼女にアールフェを使う機会が訪れたのだ。
「フィオーレ…炎の力、フランメ…」
それぞれの威力は弱いが1つで火・水・土の力を使えるネイチャーARMを使い、シズキの両手を覆う氷を焼く。
魔法でできた氷も、流石に魔法の火には弱いようだ。
「久しぶり、シズキ」
ドロシーは、優しく少女に微笑みかける。
「ドロシーさん…」
「こ…この…調子に乗るんやないでぇーーーー!!!」
腹を破かれたのにまだ動けるアーテンボローは、即死の毒液を口いっぱいに生成し、ドロシーとシズキに吹きかけようとする。
いかにアールフェが高い解毒力を持っていても、使用者が即死すれば意味がない。
トトに魔力をほぼ吸い尽くされ、反撃の選択肢が少なくなったドロシーは反応が遅れたが…
「んぐええぇぇぇえええーー!!?」
自由になったシズキが、アーテンボローの下顎を蹴り上げる。
一晩たっぷりギンタの精液を受け入れ、強化されていたシズキの脚力は、”下顎”というナメクジ男の数少ない硬い箇所へ、衝撃を逃がすことなく叩き込まれた。
「シ…シズキちゃ…堪忍や…シズキちゃんの小さい頃から…同じ倒鬼師として面倒みてたやろ?な?」
たまに村にやってきては姉やカンラ、最近はシズキを好色な目で見るだけだったアーテンボローの発言。
本当の意味で世話になったコッローディが堕獄してしまったシズキにとって、その発言は火に油を注ぐだけだった。
「貴方から学んだことなんて…1つもありません!!」
目に涙を浮かべながら、アーテンボローの胸に正拳を突き入れる。
粘液に隠された肋骨を正確に捉えた突きは軟体に衝撃を吸収されることなく、アーテンボローの巨体を石壁へと叩きつけた。
ナメクジ男は力なくその場に項垂れ、巨体がみるみる縮んでいき、皮膚も人間のものに変化していき…やがて肥った全裸中年男性の姿に戻った。
少なくとも、当分は再起不能だろう。
「ありがとうシズキ、相変わらずすごい力ね」
そう言いながらドロシーはあたりを見回す。
やがて、部屋の隅で縛られながらもなんとかシズキを助けようともがいていた少年を見つける。
魔女は何も言わずに駆け寄り、炎のARMで彼を縛る氷結拘束を溶かす。
「ドロシーおねえちゃん…」
「ギン…タン…」
ドロシーは目の前の少年を力いっぱい抱きしめる。
「お、おねえちゃん?」
大きく柔らかい胸に顔を埋めながら、少年は困惑する。
ドロシーはそのまま、無言でいつまでもギンタを抱きしめる。
ギンタはきっと”ほんの2日間”はぐれていた寂しさと、再会できた嬉しさだと解釈しているだろう。
”ほんの2日間”の間、ギンタに再会する為にドロシーが奮闘している間…
彼女の身体を何人の男が玩具にしたか、彼は今も、これからも知らないのだから…
今現在だって、ドロシーの姿は一見おかしな所はない。
目立った衣服の損傷もなく、ただナメクジ男の体内に捕らえられ、粘液まみれで脱出しただけに見える。
丈の長いスカートに隠された彼女の下半身の様子が、ギンタには見えないからだ。
ギンタがドロシーとの再会を喜びつつ、彼女の胸の感触にドギマギしているこの瞬間も、
子宮いっぱいに注がれたアーテンボローの精液がドロシーの秘裂から溢れ、彼女の内ももを伝っていた。
愛しい少年に再会するために、たくさんたくさん身体を汚してしまった悔しさ。
それでも、再びこの胸に少年を抱くことができた安堵。
目に涙を溜めながら、ドロシーはいつまでもギンタを抱きしめる。
「ドロシーさん!あたりが騒がしく…」
シズキが言う。
流石に、誰か帰ってきただろう。
隣部屋でのびている”硝子の魔女”だけがこの建屋にいたタイミングで潜入できたのは幸運だったといえる。
「そうだね…行こうか、ギンタン、シズキ!」
石床のタイルを剥がすと現れる抜け穴に入り、3人はその場を後にした。
外に出てしまえば、一度ランゼスに出てきたシズキのほうがこの街に詳しい。
彼女の案内に従って兵舎から離れ、やがて賑やかな商店街へと出る。
風俗店まがいの酒場のあるような通りではない、健全な賑やかさのある場所。
勿論、ならず者の巣食うスラム街とは雲泥の差だ。
「ここの宿屋さんなら安全です。前も泊まったことがあって、変なお客も入ってこないですよ」
シズキが選んだ宿で手続きをする。
本当なら3日前に享受できたこの安寧。ずいぶんな遠回りをしてしまったが、ようやく手にすることができた。
「ただいま、ギンタン」
店主と世間話をするシズキの後ろで、ドロシーは少年の手を握る。
どちらがただいまなのかわからない状況に2人でくすりとはにかむが、少年は笑顔で手を握り返す。
「おかえり、ドロシーおねえちゃん」