『お誕生日おめでとう、ドロシー』
5歳の誕生日にディアナから受け取った長鼻の木彫り人形は、魔法の糸で楽しげに踊りを踊ってくれた。
あの頃の自分は、姉や周囲からの愛情を無邪気に受け取っていた。
数年後、姉は大罪人となり、その罪の重さを自分が背負うことになる。
そして12年後。世界を巻き込む戦いの英雄として立ち上がり、最後はこの手で姉に命の終わりを告げる運命が待っていた。
13年後には異世界で、心も身体も傷つけられながら戦う日々を送ることになるなんて、あの温かな日を過ごした誰もが想像もしなかっただろう。
「ん…」
瞼に陽光が柔らかく当たり、ドロシーの意識がゆっくりと目覚めていく。どうやら長い間、眠りについていたようだ。空に浮かぶ太陽は、昼間の静かな時を告げていた。
春の風が少女の身体を撫でる。
整った顔、桜色の髪の毛、豊かな乳房、しなやかな脚
それらは、ボロボロに破られてもはや服の役目を果たしていない魔女服と、カピカピに乾いた液体に覆われている。人を食い犯す異世界の生物、獄鬼の精液だ。
春生まれのドロシーは、この世界に来る直前に18歳になった。
豊かに性徴を続けていた身体は異世界に来たその日に純潔を奪われ、
人・獄鬼を問わず欲望に蹂躙され続けていた。
今のこの状況もその1つ。
人間が受け入れられない程巨大な性器を、牛鬼の”ゴム化”の能力で無理やり咥えさせられての乱暴な異種性交。
当の牛鬼は、躯となって転がっている。ギンタがARMを使って倒してくれたのだ。
シズキとギンタもまた、ボロボロの姿で気絶したように眠っている。
激しい肉体の疲労で身体が重いが、下腹部の中心から発生する疼きが、心地よい虚脱感を与えている。
嫌で仕方なかったのに、何度も何度もイかされた。あの快楽を、ドロシーの身体の奥はまだ恋しがっているかのようだ。
(あり得ない…私は人間よ…!こんな化け物に…犯されて…感じるなんて…)
メルヘヴンでは、膨大な魔力を武器に強力なARMを次々に繰り出す戦闘スタイルだったドロシー。
このオズの国では魔力燃費が悪くなり、その戦術は使えなくなった。
敵の攻撃を避けながら、最小限の手数で相手を仕留める戦闘スタイルへの変更。
それでも魔力切れになってしまったら、ジンによる広範囲の強力な攻撃。
それでもまだ仕留めきれなかったときには…
ドロシーは瑞々しい豊かな身体を、ジンを使用した代償―発情状態で敵に捧げることになる…
ドロシーの苦境をいたわるように、春の風は温かく彼女を撫で続ける。
季節が変わらないうちに、彼女の経験人数は既に100人を超えていた。
…ほとんどが獄鬼によるものなので、”人”は間違いかもしれない。
開獄日に無数の蟲型獄鬼に輪姦されたことで、交わった獄鬼の”数”は大幅に増えたのだ。
人間相手だと膣内性交まで至った相手は意外と少ない。ギンタ、オスカー、ギロム、マイラ、名も知らぬ浮浪者、アーテンボロー。
お尻の穴をカウントすると30名程増えてしまう。蚕の雌型獄鬼がドロシーの肛門に卵を産み付け、街の男性を脅してその中に次々に射精させたのだ。
―ほんの数ヶ月前まで処女だったドロシーの肉体は、本人の望まぬ形で一気に”女”にされてしまった。
(もう…嫌…こんなの…)
もう、望まぬ相手以外に犯されるようなことにはなりたくない。
しかし立ちはだかる敵はあまりにも多い。
自分を狙う東西の魔女、モンビ、季節に一度地獄より現れる”王”と上位獄鬼たち…
そして倒すべきオスカー一味…
「カルデアの反逆者 オスカーを倒す」
「ギンタの体内に埋め込まれた神導器核を除去する」
「メルヘヴンに帰還する」
これらの目的を達成するまでに、あとどれだけ戦い続ける必要があるのだろうか…
そもそもあと2つの目的は達成までの手段も見当がつかない。
当面は、この国の中心部『聖都』エスメラルダを治める奇跡の王『オズ大王』への謁見・相談を目標に、黄色いレンガの道を歩いてエスメラルダに向かっている。
「ドロシーおねえちゃん…」
ギンタが起きてくる。
「ギンタン…」
ほぼ全裸のドロシーは、申し訳程度に手で乳房を隠し、少年を見つめ返す。
硬めの金髪は自分の初恋の少年、ギンタにそっくりだが、目の前の彼は本人ではない。
ギンタのクローンであり、出生の違いから人格も少し違う。
歳もオリジナルのギンタは15歳のはずだが、彼は10歳か11歳程度。
それでも、ドロシーは『このギンタ』と男女の仲になった。
お互い元の世界から引き離された2人。
この残酷な世界で、不安を埋めるように互いを求め合った。
「ドロシーさん…」
シズキも目覚める。カペル・マイスターの実験で生まれ育った街を壊され、ドロシー達に同行する魔女の少女。
ここオズの国では、100人に1人程度の割合で魔法を持って生まれる人間が生まれてくる。
彼らは魔女・魔法使いと呼ばれ獄鬼から人々を守るのだ。
“剛力”の魔法を持つシズキは、心強い味方だ。
三人は言葉を探し求め、それぞれの心の中で昨日の悪夢のようなひとときを思い返していた。
人間が獄鬼に辱められるなんて、ここ『オズの国』では日常の一部だった。
もちろん、身体と心に受ける苦痛や悲しみは、何度経験しても慣れることはない。それでも、前を向いて歩き続けるしかないのだ。
「さあ、着替えてご飯を食べて、出発しよう。ギンタン、シズキ!」
ドロシーは意気揚々と立ち上がった。彼女の声には、何とか強気を装っている様子が感じられた。
「今日こそ、次の街にたどり着くわよ!」