ユープを倒し、マンチキン方面に引き返すことに決めた次の朝。
森のなかで寝るのにも慣れてきたが、野宿初日以来チップはドロシーと少し離れて寝るようにしていた。
彼女の肉体を間近で見ると今まで感じたことのない妙なドキドキした感覚を覚えてしまう。それが気恥ずかしかったのだ。ドロシーも「え~ギューしながら寝てあげてもいいんだよぉ?」とからかいつつも少年に対して配慮していた。
これであのむずむずする感覚を味わわずに済む…
そういう安心感があった分、目を開けて魔女のふとももが視界に広がった時の少年の動揺は筆舌に尽くし難かった。
「ぅわっ…!?」
どちらか、或いは両方の寝相の結果、ドロシーの顔前にチップの股間、チップの顔面にはドロシーのふとももが重なるような配置になっていた。
思わず凝視してしまうチップ。
しかもドロシーの手がチップのスカートをたくしあげていて、案の定大きくなっていくチップのペニスはパンツからはみ出て彼女の口元近くまで延びていた。
「ん…うん…♥」
どんな夢を見ているのか、悩ましげな声が漏れ、吐息がチップの亀頭にかかる。感じたことのないざわざわした感覚にチップは動揺する。
ドロシーの白くすらりとしていて、それでいて柔らかい肉感的なふともも。それが彼女の魔女服のスリットから露出している。
かなり深く入ったスリットで、それから伺える限り下着は、パンツの類は身につけていないようだ。メルヘヴンの人は皆そうなのか、カルデアという国の民がそうなのかはわからないが、少しずらしてしまえば股間も丸見えになってしまいそうだ。
少年の脳裏にある疑問がわく。女性の股間はどうなっているのだろうか。
ドロシーに出逢う前の記憶は、暗い場所に囚われていたくらいしかない。自分が何者なのかすらわからない少年には、正しい性知識は皆無と言って良かった。
泉でドロシーお姉ちゃんの裸を見たとき、おちんちんはなかったような…
目の前のスリットスカートを少しずらせば確認できる。しかしそれを良しとしない分別も少年にはあった。
当の魔女ももう起きそうである。邪な疑問を脳裏から追い出し、少年は彼女から離れる。
「ふあぁ…おはよ、チップ… どしたの?顔赤いよ?」
「…なんでもない…それよりドロシーお姉ちゃん。マンチキンの町までどれくらいかかるの?」
「ふふん…答えは、一瞬!じゃじゃーん!」
ドロシーが高々と掲げたのは、円の中に渦巻き模様のある指輪だった。
「アンダータっていってね、今まで言った所ならどこでも行けるの♪
この世界にはネッサローズの城から今いる山奥までしか足をつけたことはないからマンチキンから逃げ出すのには使えなかったけど、一度行った所に引き返すならこいつの出番よ!」
「す、すごい!」
目をキラキラさせながらアンダータを見るチップ。こういう好奇心旺盛な眼差し、なんだかギンタンを思い出してしまう。
「よーし待ってなよゼピュロスブルーム!アンダータ!私達をネッサローズ城下町の河原へ!」
いきなり敵の本陣ど真ん中に現れるのは悪手だろうと思い、城の外側へ移転してから、城内部に侵入することにしたのだ。
ドロシーが流された川から城下町に移動する2人。
「ここがマンチキン…」
「僕たちは指名手配中だからなるべく人目につかないようにしないとね」
マンチキン。町といえども質素な木造家が乱立している程度で、発展度はメルヘヴンでいえばジャックの住んでいた島程度だろう。しかし中央には巨大な城がそびえていた。
「ここの人たちはいい暮らししてないみたいだね。」
ネッサローズが年貢として住民からどんどん搾取している、とボクから訊いた通りだ。
「よく反乱が起こらないわねぇ」
「魔女ってみんなで反乱を起こしても勝てないくらい強いのかな…」
「それもあるだろうし、魔女がいないと町の外からの野生の獄鬼の襲撃から護ってもらえなくなるみたいだよ」
「なんだか…かわいそう…」
城下町の路地裏を縫うようにして城へ向かう。やがて2人の眼前に巨大な城の外壁がそびえ立つ。
「あれがネッサローズの城…」
普通の城とは異なり、バルコニーのようなものはなく、窓も最小限。日光を嫌う魔女の城らしい作りだ。
「どうやって入ろうかしらね…」
「あそこから入れないかな?」
チップは城壁から開いている、排気口のようなものを指さす。陽の光を入れずに換気するためのものなのだろう。
ドロシーの背丈の倍以上の高さに、いくつか穴が空いている。
「行きましょう。チップ」
2人は狭い排気口の中を進んでいた。
人が入るのは想定していない作りなのでかなり狭い。横穴を進んでいくとその先は縦に延びていた。
「上か…よいしょ…」
ドロシーが先行し、チップが後ろについていたが、上に移動するとなると、チップを足蹴にしてしまいそうで危ない。二人はどうにか並んで上に進むことにした。
人1人入るのが限界の狭い空間の中で、魔女と少年の身体は密着することになる。意図せずドロシーのスリットスカートはチップの足でめくれ上がり、彼の手のひらは彼女の胸に、2人の顔は今にも接触しそうな距離で向かい合っている。
「ごめんなさい、ドロシーお姉ちゃん!」
「もう、気にしないで。」
少し頬を染めながら言うドロシー。
実を言うと服越しに彼の硬くなった股間がドロシーのへその辺りを切なげに押しているのだが、気付かないふりをした。
(チップは10歳くらい…だよね…もう、大きくなったりするんだね…そういえば裸見ちゃったときもしてたっけ…)
二人の潜む通気口の外から何か声が聞こえる。
よく城外にも偵察に行っている空飛ぶ猿達だ。
「アの箒はドこにやッタ?」
「クー=くリッぷノ研究室ニ。アの方も物好きダからナ…」
ガタン
と、ドロシーの足元から音が出た。壁が少し脆いのか。やはり排気口に人が入るのは無理があったようだ。
「誰ダ!?」
(あっちゃ~)
通気口の中に誰かがいると知られた以上、引き返したところで遅かれ早かれ見つかってしまう。ならば…
「チップ、逃げて。私1人が出て行けばもう中を調べようとはしない筈」
小声で胸の中にいる少年に話しかけるドロシー。
「そんな!できないよ!」
「お願い。今まで私なんかのせいで色々とごめんね…もう迷惑かけるわけにはいかないんだ」
「ドロシーお姉ちゃん…」
「あんな猿共どうってことないって♪ね♪」
少し考えこみ、意を決したように引き返すチップ。
それでいい…無関係の少年に大変なトラブルに巻き込んでしまった。今はなんとか逃げ延びて欲しい…私はこいつらを倒して、箒を取り返さなくては!
ドロシーも通気口から顔を出す。
「アチャ~バレちゃったか…しっかしこんな侵入しやすい通気口作るなんて、あんた達のご主人様馬鹿なんじゃない?」
通気口に群がる羽の生えた小猿の衛兵達に啖呵を切るドロシー。
「馬鹿はオ前のほウ」「大魔女ねッさローズ様ノ城に忍び込もウなんテ」「命が惜しクない奴のスるこト」「侵入者、ミんな、行キては帰ってなイ」
猿たちが嘲笑しながらじりじりとにじり寄る。
「女1人、俺達ダけで充分」「コの数、勝てるト思ウのカ?」
「30匹くらい…?…余裕よ!」
ドロシーは愛用の箒の代わりに短剣を構え、強気に答える。
「ドロシーお姉ちゃん、ああ言ってたけど、慣れた武器がないと危ないよね…」
少年は城外に逃げたわけではなかった。チップはの中を少し引き返し、排気口から城内のある部屋に出た。奥に進むように走っていた。
「ドロシーお姉ちゃんの箒はくーくりっぽ?とかいう人の研究室…」
幸い衛兵の猿達はドロシーの騒ぎで皆彼女のところに駆けつけているようだ。
それでも用心しながら城内を進んでいく。
「ここかな…」
異様な雰囲気の部屋だった。散乱するブリキの義手や義足、そして床には血痕…
その奥に、あった。色々な薬品や書類が散乱する机の上に無造作に置かれている銀色の箒。
「これがドロシーおねえちゃんが探してる箒…よし!」
「誰かね君は?」
箒を手に取った途端、初老の男性が部屋に入ってきた。
「ああ、ピンク髪の魔女と行動しているという、えー…少女、だな?」
「男だよ!」
「む、失礼。その箒を今階下で戦っている彼女に届けようと。どうやら協力しているのは本当のようだ」
「あ…あの…」
「私はクー=クリップという者だ。ネッサローズ様のご厚意で、職人業を好きにやらせてもらっている。その箒はなかなか興味深い品だ。オズの国にはないものだ。もうちょっと貸してはくれんかね?」
「や、やだっ!これはおねえちゃんのものだ!」
「そうか…では…」
震える少年に言い放つ老人。
「やれ。ニック・チョッパー。キャプテン・フィーター」
老人の背後にいた2人の人影が前に出る。
斧を持っている、身体がブリキの木こり。
剣を持った、上半身がブリキでできた兵士。
2人とも虚ろな目で得物を構えている。普通の精神状態でないことが見て伺える。
「どうだ少年?これが私の魔法だ!」
「私が作ったブリキ細工を“移植”した人間を操ることができるのだよ。少し頭が悪くなるのでネッサローズ様の衛兵として採用はされなかったがね」
「この人達…無理矢理こんな姿にされたの…?」
「うむ。“非”魔法使いの木こりや傭兵崩れを攫ってきて、生まれ変わらせてやった」
「そんな…ひどい…」
「いいじゃないか。彼らも強い肉体を手に入れ、大魔女に仕える私の護衛という任務につけている。山で木を切ったり、魔法の使えない身体で愚直に剣をやっているよりは遥かにましな人生と言える」
「くっ…」
少年はそこらにあるブリキの残骸に手を触れる。
単純に残骸の1つを自分の力で浮かせて投げつけるつもりだったが、ブリキの義足、義手、胴体、頭のパーツが寄せ集まって人型になった。どうやら自分の意思で動かせるようだ。
「ほうほうほう!貴様の魔法は念動力か少年!」
「こんな大きなもの、動かしたことない…ドロシーお姉ちゃんに会ってから、“物を動かす力”がどんどん強くなってる気がする…どうして…?」
なんとかブリキの巨人を動かして木こりと兵士の攻撃を凌ぐチップ。
木こりを何とか投げ飛ばし、兵士と戦わせるが…
「もらった!少年!頑張ったが2対1では動きを追え切れまいて!」
完全にチップの背後からブリキの木こりが斧を振り下ろす。
しかし…
ブリキの巨人の腕がその斧を掴む。少し遅れてチップが奇襲に気付く。
掴んだ斧を木こりごと兵士に投げ飛ばし、2人の改造人間は完全に沈黙する。
「く…!」
ブリキの巨人の巨大な拳がクークリップを襲う。
「ぐわあああーーーっ!」
がっくりと膝をつくクークリップ。もう2人の下僕達も動かない。
「これ、返してもらうね。」
そう言い残し、研究室を去る少年。
足をやられて動けないクークリップは、2体の下僕「だったもの」と共に部屋に残される。
「負けた負けた……しかし少年が操っていたガラクタ、少年の不意をついた筈なのに何故反応できたのだ…」
チップがクークリップという魔法使いを倒した頃、ドロシーは依然として大量の猿相手に戦っていた。
強さはチェスでいうポーン程度の強さ。しかし周囲を囲まれ、人海戦術で来られると戦いにくい。
「ウィンダールヴ!」
風でできた刃が猿達を切り裂く。一方向にしか射出できないため、左右、後方からも襲ってくる相手に対応しきれない。
「デンジャラスストーム!」
今度は風船が大量に現れる。猿達に触れると爆発するが、この乱戦だと彼女自身も爆風を食らってしまう。
どちらもゼピュロスブルームの代わりとして使っている風のARMだ。普段使用しない分取り回しに慣れない。
「きゃっ!」
猿達の爪がドロシーを襲う。捕まらないようギリギリで回避するが、服に爪が引っかかる。胸の部分は上から破られ豊かな谷間を露出させる。両肩の袖やスリットも破られノンスリーブとなり、程よい肉付きの健康的な二の腕や、きゅっと引き締まったフトモモ、白く細長い生脚が姿を表す。
「はあ…はあ…やっぱきついね…」
一瞬の隙をつかれ、1匹の猿がドロシーの右腕にしがみつく。
「ああっ!」
左腕、右足、左足。彼女は地面に押し倒されてしまう。
「捕マえタ…」「なア…こイつネッさローズ様ほどではなイにしろ良イ身体しテないか?」「俺、最近町ノ女襲ってなイ!」
「ちょっと!何するつもりよ!?」
猿の1匹が、ドロシーのスリットを横にずらす。
下着をつけていない彼女はそれだけでその年齢の割りには毛の生えていない秘部を外気に晒してしまう。
「やっ…このエロ猿ッ!」
足をぴったり閉じて大事な箇所を見せまいとするドロシー。しかし彼女の努力も虚しく、彼女の足を押さえていた猿達がドロシーの足を頭のほうへ持ち上げていく。
…結果、ドロシーの腰が持ち上がり、綺麗な桜色をした秘部を猿達にさらけだすことになる。
「キャきャ!」「綺麗なマんコダ!」「毛もビらびラもなクて幼女みタいだ」
相手が人外とはいえ、自分の女性器をこれほど多くの者の前で晒した経験など今まであろうはずもなく、ドロシーは耳まで真っ赤にして恥辱に耐える。
「も…モうガまンでキねエッ!」
目の前の猿が叫ぶ。その股間からは赤黒く隆起したペニスが姿を現しており、その凶悪な姿にドロシーはぎょっとする。それが人間の男と違う形状だということも、経験のないドロシーにはわからないが…
目の前の猿だけではない、彼女に群がる猿全員が、ペニスを勃起させていた。
ドロシーに欲情していた。
ディアナを追い、カルデアを出てから、知識としては把握していた。女の一人旅では暴漢や魔物に貞操を奪われることもあると。しかし彼女は強かった。そこらの男がドロシーに襲いかかろうとしても、彼女に触れる前に全身を風に斬りさかれて絶命していたし、彼女の評判が広まれば広まるほど、うかつに手を出そうとする男も減っていった。
ウォーゲームで戦った相手にしても、マイラ、アヴルートゥ、ラプンツェル、ピノキオン、キメラ、キャンディス、ロラン、そして、ディアナ。序盤の男2人は瞬殺だったし、それ以降は無機物や女ばかり。ピンチになっても彼女を性的に嬲ろうとする者はいなかった。
そう、ドロシーは、雄の欲望が自分へ襲いかかるという経験がこれまでなかったのだ。
「いやっ来ないで…」
ドロシーの顔が青ざめる。気丈だった声もか細い少女の声だ。
先ほど叫んだ猿がドロシーに近づき、ペニスをドロシーの秘所に擦り付ける。
「ギギ…処女カ?ぴっタり閉じやガるからマん汁で滑ってナかなか入ラねエ…」
「ひゃあっ!?♥」
滑った亀頭がクリトリスを擦り、上ずった声が出てしまう。
『でも女が襲われたら悲惨だよぉ…犯され、孕まされちまう』
ボクさんの言葉が頭のなかに響く。
「ガまンでキねエ!おイ、シゃぶっテくれよ」
頬にこすりつけられるペニス。
「あア~やワらけエ…」
彼女の柔らかいふとももにペニスを擦り付ける猿もいる。
ドロシーのぴったり閉じた秘裂は先走り汁の粘液の潤滑の力を借りて少しずつ猿の亀頭を飲み込もうとしている。
ドロシーの女の子の入り口に、猿の亀頭の半分が埋まりかけている。
「ああ…や…やだ…」
一度はギンタに捧げようと思ったが叶わなかった。しかしこんな場所で、異世界の化け物に初めてを捧げるなんて絶対に…
「いやーーーーっ!!」
「ドロシーお姉ちゃん!」
アトリウムの上の階に、逃したはずの少年の姿が見える。
「チップ!?」
「これを!」
上の階から銀色の箒を投げる。彼女の愛用ARM、ゼピュロスブルーム。風を起こす箒だ。
「ありがと、チップ。かっこいいよ…」
拘束されながらもしっかり箒をキャッチする。
「ゼピュロスブルーム!」
彼女の周囲に突風が巻き起こり、猿達はたまらずドロシーを離してしまう。風はドロシーを中心に大きくなり、竜巻となって部屋中の猿達を吹き飛ばし、壁に叩きつける。
「やっぱこれが一番しっくりくるわね…」
「ちょっとちょっと。なんで自分から現れた上に人の城の中で暴れ回ってるわけ?」
ドロシーの背後で若い女性の声がする。
「姉さんからの借り物全滅じゃない…まあ、自分のとこの余りの弱い小猿ばっか寄越す姉さんも姉さんか。うちの強い子達の代わりにはなんないわねぇ…」
赤黒いローブを纏った女性が壁に叩きつけられてのびている猿達を見て溜息をつく。紫色のショートヘアが妖艶な雰囲気を醸し出している。
「あらあら…魔女さんご登場か… …!チップ!」
「ドロシーお姉ちゃん…」
その女性、東の魔女は暴れるチップの首根っこをぎゅうと掴み、ニタニタとした笑みでドロシーを見つめていた。