ネッサローズ城の壁を破壊したドロシーはチップを片手で抱いたまま、もう片方の手でゼピュロスブルームを手に取り、それに跨って飛行体制をとる。
ゼピュロスブルームは風を操る箒型ARMである。自分の周囲に風を纏えば防御に、敵に向ければ攻撃に、そして浮力を生じ、生み出した風を推進力にして飛行することもできる。
「っえ…?」
しかし彼女の予想に反して、2人の周囲には申し訳程度の風が起こるだけ。魔女と少年はそのまま落下していった。
恐らく飛行を制御する機構が故障しているのだろう。武器として顕現させた状態で時空移動をし、しかも爆発に巻き込まれてしまったのだから当然かもしれない。単純に風を起こして操る機能が無事であるだけ感謝すべきなのだろう。
「いたた…チップ、大丈夫?」
「うん。大丈夫」
幸いなことに2人は城外に生えていた樹木の上に落下したため、ある程度は衝撃を殺して着地したようだ。
「ごめんね、この箒、空をとぶことが出来たんだけど、今はその機能が壊れちゃってるみたいなんだ」
更に幸いなことには、2人は城下町側でなくその裏手、鬱蒼とした森の中にいた。まだ追っ手が出てくる様子はないが、マンチキンの住民に姿を見られたら自分たちの逃走先もすぐにわかり、追いつかれてしまうだろう。
…それに、今の自分の姿を見られるのは耐え難い…両肩の服は破れ、乳房は両方共露出している。破られたスカートは超ミニスカートになってしまい、スリットが風でそよいだだけで秘部が見えそうである。しかも股からは…
「ん…」
ドロシーは自分の秘部から滴る、少し血の混じった白濁液を見る。先ほどまでは逃走に精一杯だったが、自分に起こった事を思い出すと涙が滲む。
いつか大好きな人にあげようと思っていた処女。18年間守り続けていたそれを、こんな形で散らしてしまった。
「…ごめんなさい、ドロシーお姉ちゃん。僕が捕まらなければこんな…」
「いいんだよチップ!こっちこそ、私がしっかりしてないせいで、ごめんね。」
わざと明るく振る舞うドロシー。恨むべきはネッサローズであり、チップもまた若すぎる年齢で恥辱を受けた被害者なのだ。
「でもこれはなんとかしないとね…」
ドロシーはディメンションARM、ジッパーを発動させる。空間に巨大なジッパーが現れ、彼女はその中を探る。彼女が普段使用しないARMはここに保管するようにしているのだ。数あるARMの中から、中央に裸の女性を模した意匠のあるチェーンを取り出す。ドロシーがそれを自分の下腹部に当て、魔力を込めると、柔らかい光を放った。
名をメンフェゴーラという。避妊のホーリーARMである。行為の1日、2日以内に使用すれば胎内の精子は不活性化する。
ドロシーがディアナを追ってカルデアを出る際、彼女のカルデアでの友人、イフィーに貰ったものだ。
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「いらないってこんなの!ドロシーちゃんがそこらの男なんかに乱暴されるタマかっての!」
「貴女が強いのは知っている。でも外の世界は何があるかわからない。持っていきなさい。…それに、この旅でいい人が貴女にできるかもしれない。旅を続けつつ『楽しむ』ためには必要。」
「わ、私はそんな…浮ついた気持ちで旅するつもりないし…」
真っ赤になってしまったドロシーの手に、イフィーは強引にそのARMを押し付けた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
結局メルヘヴンでのディアナ討伐、ARM探しの旅では幸運なことに使う機会はなく、ギンタと使うこともなかったが、まさか異世界で使用することになるとはイフィーも思わなかっただろう。
「ドロシーお姉ちゃん、この…僕から出たの、何?毒なの?」
不安げにドロシーを見つめるチップ。ドロシーが解毒していると思ったのだろう。
「えっとね、ちがうんだよ、そのぉ…」
困った顔で目をつむるドロシー。チップは女として育てられてきた環境もあってか、普通の同年代の男の子以上に性への知識がないのだ。
男女の性差、性器、性行為、妊娠などの知識を彼に教えるか悩んだが、そういった知識を知るべき年齢か、そして教えたところで彼の罪悪感を倍増させるだけではないのか、と思い直し、
「ん~難しいことだからね、教えるのは大変なんだ、まあこのことは忘れて、ね?」
とお茶を濁す。
「でもドロシーお姉ちゃん、泣いてた…きっと僕、ドロシーお姉ちゃんに酷いこと…」
「だ、大丈夫だよ!チップみたいな可愛い子にされるなら嬉しいよ!な~んて…あ、でも、こういうことはチップの年じゃ早過ぎるから、もっと大きくなったらするんだよ?」
「は、はい…」
7割は目の前の少年の罪悪感を和らげるためで、3割は本心だ。普段憎からず思っている少年と「こういうこと」になっても嫌悪感そのものはなかった。
むしろ、こんな子が最初の相手ならそれはそれで良いのではないか、と諦めに近い心境にあった。
「でも、僕から出る白いのって魔力を回復する働きもあるんだね。」
「う、うん?そうね…」
それだ。色々なショックで忘れかけていたが、ネッサローズの城を抜け出せたのはチップが果てた後に魔力がなぜか回復したお陰なのだ。回復という生易しいものではなかった。今まであれほどの魔力が溢れたことはウォーゲームの最中だってない。
彼女の性知識もあまり深いものではないが、精液を注がれて魔力が回復するなど聞いたことがない。万が一そうだとしたら、ネッサローズも敵に塩を送るような真似はしない筈だ。実際、ドロシーの魔力が戻ったとき大層驚いていた。ならばこの現象は、普通は起こりえない事態だろうと判断できる。
(チップが封印されてた理由って、もしかしてこれのせい…?)
確かにチップの魔力を調べた際、普通の魔力反応がない代わりに、何か熱いエネルギーを感じた。そして、先ほど体中に漲っていた自分の魔力も、「彼女が使用できる魔力に変換」されてはいるものの、同じような感覚がする。
(でも何にせよ、お陰でなんとか逃げることができた…)
意図せず、ドロシーの脳裏に不謹慎なアイデアが思い浮かぶ。自分はこの世界では上手く魔力が練れず、軽い攻撃魔法でも魔力がすぐに枯渇してしまう。いつも魔力不足な状態だ。お陰でメルヘヴンでは瞬殺だったような相手にも苦戦を強いられる。だが…
「~~~~ッ!何考えてんのよ私ったら!」
顔を真っ赤にしてぶんぶんと横に振る。隣にいるチップは何事かとビクっとしてドロシーを見る。
確かにこの状況で魔力回復手段があるのは魅力的だが、方法に問題がありすぎる。確かに、チップは可愛げのある少年で、猿に輪姦されるよりは断然マシな処女喪失の相手ではあった。
しかし異性としての好意があるわけではない。ギンタの件もあり、自分は年下が好みの傾向にあるとうっすら自覚はしている。でもチップはまだ10歳。当時のギンタよりも4歳も年下な少年だ。きっとあのような事件がなければ精通ももう数年後の現象だったろう。あまりにも幼すぎる。 何よりギンタのようなまっすぐで、元気で好奇心旺盛、といった性格とは程遠い。
それにチップだって幼いうちから7つも上の女性と性的関係が何度もあるのは彼の将来を考えても良くないに決まっている。
今回の件は事故ということにして、それでも多少気まずくなるだろうが何事もなかったかのように旅を続けるほうがいい。
ボロボロの服を裁縫用ARMで修復しながらドロシーはそう思った。
チップはチップで今回のことについての悶々とした感情を上手く処理できずにいた。
突然現れたドロシーという女性。女性に関わることなど物心ついて以来なかったし、彼女の強さに惹かれていく自分にも戸惑っていた。敬愛以外にもそれとは別な、胸がドキドキしてきて下腹部がむずむずするような気持ちが自分の中にある。 外界から隔離され、他人と積極的にコミュニケーションする経験に乏しかったチップにはあまりに複雑な感情であった。
そして、ドロシーに詳しいことを訊いても教えてくれなかったが、ドロシーお姉ちゃんにはおちんちんがなく、ドロシーお姉ちゃんに会って以来おちんちんが硬くなるようになり、それをドロシーお姉ちゃんの、おちんちんのある筈の場所に入れる、という奇妙な行為をしてしまった。しかしその行為には今までに感じたことのない背徳感と、熔けてしまいそうな快感があった…
そういったことを考えていると、自分のおちんちんがむずむずするのがわかる。だがドロシーの様子から、その行為はタブーのようなので、あまり考えないように務めた。
そして、ドロシーお姉ちゃんが戦っても手も足も出なかった大魔女、ネッサローズ。何もできず人質になってしまった自分に歯がゆさを感じていた。
ドロシーお姉ちゃんを守りたい、力になりたい。 自覚こそなかったが、少年にはそういった感情が芽生えつつあった…
……
…
「そ、そうだ、ドロシーお姉ちゃん、これからどうしよう。」
気まずい雰囲気を誤魔化そうと、ドロシーに話を振る。
「そうね…この国はさっきの魔女が治めているんだよね、…思いっきり喧嘩売った形になっちゃったから…急いで離れたほうがいいわね。…ったくなんなのよ銀の移動靴って…そんなん盗んでないっつーの」
チップも同意する。何しろボクの話だとオズの国の西部、ウィンキーを支配するエルファバはネッサローズの姉であり、彼女にも目をつけられることになるだろう。
「実質東と西は僕とドロシーお姉ちゃんが堂々と歩ける場所じゃないんだね…」
「北のギリキンは治める魔女が死んで無法地帯みたい。オズの中心エスメラルダか、南のカドリングに逃げるのがいい、のかな。」
「そこの魔法使いならドロシーお姉ちゃんが元の世界に帰るための方法もわかるかもね!」
「ふふ、そうだね。オスカーの奴が気になるけど…とりあえず帰る方法を確保しないとね。よし!とりあえず西に移動して、中央を目指しましょう!」
「うん!」
「これからもよろしくね、チップ!」
魔女服の破損が完全に修復されたのを確認し、ドロシーは少年に微笑んだ。
---時は少し遡り、オズの国北部ギリキンの荒野にて---
「ここが異世界、オズか。どうも閑散としてるじゃねえか。俺らの舞台はこんな寂しいとこなのかぁ?」
長い銀髪に浅黒い肌の、体格の良い男性が呟く。その者の言うとおり、この場所は無骨な大岩が点在するだけの笹原だった。
「たまたま荒れ地に転送されただけと信じたいですね。オスカー様。…あの女は近くにはいないようです。」
フードに身を包んだ長身の男が答える。
「ドロシーか。次元移動なんて初めてだからわからんが、転送地点がズレちまうこともあらあな。取っ組み合いながらゲートをくぐったから、その所為かもしれん。」
「これからどうされますか?」
「そうだな、まずは“お客様”を見つけねえとな。需要はそこら中にある筈だが、どう広めたもんかね…」
「おいっオスカー!アイツはどこだ!?早く闘わせろぉ!何のために門番ピエロ通ったと思ってる!!」
小柄な男がオスカーの言葉を遮って食ってかかる。猛犬のような殺気と、凍てつくような冷気を放ちながらオスカーを睨みつけている。
「ボクはオネエサンに会いたい…イッパイイッパイ…ナカヨクする…ギヒヒ…」
隣にいるもう一人の小柄な男は俯いたまま不気味な口調で呟き続けている。フードの隙間から木で出来た腕をガチャガチャ言わせているのが見え、異様さを際立たせている。
「…こいつらはあんまアテにならねえな…」
オスカーは呆れたように首を振る。
「魔力をこの世界用に改造する過程で、心が壊れてしまいました故… 彼らの改造を担当した私の失態でございます。お許し下さい。」
長身の男が謝罪する。
「ああ、良い良い。元々俺と、ドロシーと、お前を連れてくれば良いつもりでいたんだ。
あいつらはカルデア侵入に使えれば良かったし、ここでも鉄砲玉として役立ってもらうさ。それに“売人”くらいならやれるだろう。」
「“ビジネス”の手伝いは、カペル。お前を当てにしてるぜ。」
「かしこまりました。我が君。」
カペルと呼ばれた長身の男は、深々と礼をする。もじゃもじゃした緑の髪に、屍人のような肌。それでいて端正な顔立ちをした彼はオスカーに問いかける。
「あの女はどう致しましょう。」
「ドロシーは俺がこの世界でのし上がっていく為に必要だ。まあ、この世界のどこかにいるんなら問題はない。気楽に探すさ。」
「そんなことより、“こいつ”だ。」
オスカーはどっかりと大岩の1つに腰をおろし、懐から小さな包みを取り出す。カルデア宮殿から盗み出したものだ。
「こいつが俺の身体に合わなければ、ドロシーの利用価値も半減しちまう。」
包みの中身は、本。片面が掌から少しはみ出す程度の小さな本。
しかしその外見は異様そのものだった。本の表紙は黒がかった緋色の肉のような物質でできており、生きているかのように蠕動している。
チェスの駒のリーダー、ファントムの身体に刻まれていたゾンビタトゥを思わせるおどろおどろしい紋様も刻まれており、それとは別に目玉のようなものが複数、ギョロギョロと蠢いている。
それ以上に目を引くのは、中央部に埋め込まれている珠。マジックストーンのようなサイズのその珠は、それ自体は透明なものの、中に白い光の奔流を湛えている。
「オエ…キモチワルイ…」
先ほどブツブツ独り言を言っていた小男はその場にいた誰もが思ったことを代弁する。
オスカーは本を開く。中のページには何も書かれていない。
「こいつを、身体に押し当てればいいんだよな…?」
シャツをはだけさせ、開いた本を分厚い胸板に押し付ける。
「失敗だったらリーダーは俺様に変更かぁ?ギャハハ!」
「はっ、その時はその時だ。それにこいつが使えなくてもお前なんか敵じゃねーよ…!?うぐっ…うおお!!」
もう一人の小柄な男の挑発に、オスカーは余裕たっぷりに言い返すが、その語尾は呻き声に変わる。
本はオスカーの胸板を融かすように侵食していき、その身を沈めていく。
やがて本は完全にオスカーの体内に埋没したが、オスカーは身を裂かれるような痛みにのたうち回る。
遠巻きにオスカーの様子を見守る3人だったが、そのうちカペルと呼ばれた長身の男が逸早く異変を察知する。
「我が君!」
オスカーが身体を預けていた岩がゆっくりと隆起し、身体が鉱物で形成された岩男が姿を現す。その体躯は巨大で、先ほど露出していた部分は岩男の左肩の先端のようだった。
岩と岩が擦れ合うような荒々しい声で何かを叫んでいる。
やがて周囲に点在する岩も蠢きだし、地中から20体近くの岩男が現れる。
「岩の…魔物…この世界にはこんな生物が存在しているのか?」
「この荒野は彼らのねぐらだったのか…我が君!危ない!」
呆然としている小男ら2人を尻目に、カペルはオスカーを救出しようと飛び出すが、オスカーに振り下ろされた岩男の拳はそれより速かった。
何かが破裂したような音。土煙の中3人が見たものは、落ち着いた姿勢で直立し、右手を突き出しているオスカー。
その掌の先には岩男の拳がある筈だったが、ない。消し飛んでいた。
拳を吹き飛ばされ激高する岩男とその仲間たち。
オスカーは笑みを浮かべながらそれらを見回すと、先ほど殴りかかろうとした岩男の足もとに跳びかかる。
再び掌を天に掲げると、衝撃波が岩男の脚から頭まで貫通し、跡形もなく破壊してしまう。
2体目、3体目… あっという間に5体を同じようにして消し飛ばす。
まだまだ大勢いる岩男。オスカーは四方を彼らに囲まれてしまう。
「めんどくせえな… おいお前ら、離れてろ。」
オスカーは直立姿勢のまま両手のひらを地面に向ける。すると彼を中心に大爆発が起こり、残りの岩男を粉々に粉砕した。
20体以上いた岩の魔物を1人で殲滅してしまったオスカー。3人はそんな彼の姿を驚愕の顔で見るばかりであった。
「へへ、楽しそうな世界じゃねえか、オズの国。」
勝ち誇った笑みを浮かべたオスカーの胸には、取り込まれた本の表紙の模様が刺青のように刻まれていた。
それは、“本”が自らの力をオスカーに与えたことを意味していた。
---再び時は戻り、マンチキン南西部 ギリキンとの国境近く---
「ゼピュロス…ブルーッム!」
樹の枝を組み合わせた人形をチップが動かし、トカゲ型獄鬼の脚に組み付かせたところをドロシーが風の刃で枝人形ごと切り裂く。
朝からネッサローズの部下の飛行猿3匹(偵察中だったらしい。全員仕留めたので居場所が割れることはない、だろう)と戦闘し、今、襲ってきた野生の雑魚獄鬼を討伐した。
「ナイスだよチップ!はあ…はあ…もう魔力切れたぁ…」
チップの念動力は無機物を人形のように動かす形をよくとっていた。そのほうが動かすイメージがしやすいようで、実際動きも滑らかであった。
もう日が暮れる。今夜はもう獄鬼に出くわさないことを祈るばかりだ。雑魚とはいえ魔力を温存することを考えながらの戦闘、攻撃の機会を慎重に選びながらなので普段なら喰らわないような傷も増えてしまう。服もボロボロで特にスカートのお尻部分が剥ぎ取られてしまっている。
「あの魔女の部下になってる獄鬼だけじゃなくて野生の獄鬼とも相手するのかあ…」
野宿の用意をしながら、ドロシーは言う。
「魔除け魔法がかかってる道ってのがあるみたいだけど…そこを通ったらすぐに見つかっちゃうもんね。少し南側に逸れて中央に進まないと…」
少しトロンとして赤ら顔になったチップがけだるそうに答える。魔物と戦ったのだから疲れて当然だ。隠れててと言ったのに僕も手伝うと言ってきかなかったのだ。弱い獄鬼が相手だったからしぶしぶ手伝ってもらったが…
どさりと、チップが地面に倒れこむ。びっくりしてチップのもとに駆け寄るドロシー。
「チップ!?しっかりして!どうしたの?」
「なんだろう…突然…身体が…熱くて…苦しい…」
少年は荒い呼吸をしながら答える。
野宿続きで風邪でも引いてしまったのだろうか。確かにすごい熱だ。
「待ってて!」
ドロシーはホーリーARM、「癒しの天使」を取り出し、使ってみる。淡い光がチップを照らすがチップは依然として苦しそうにしている。外傷を治療する用のARMだけど痛み止めくらいにはなるだろうかと思ったが、全く効果がない。
熱を再度測ろうとチップの額に触れると、耐え切れない程の熱い奔流を感じ、驚いて手を引っ込めてしまう。
(チップに流れてた、“魔力”とも違う“何か熱い力”…それが暴走している?)
“何か熱い力”そのエネルギーが蓄積されすぎたのだろうか?チップの中で暴れ回っていて、彼の身体をオーバーヒートさせているようだ。
(チップはARMを使えなかった…溜まりすぎた“力”を、チップは魔法等で消費することができない…どうしたら…)
ふとチップの下半身に目をやると、スカートが盛り上がっている。
ドロシーの視線に気づいたチップが苦しげに言う。
「ごめんなさい、ドロシーお姉ちゃん…少し前から、ドロシーお姉ちゃんのこと考えるとおちんちんがおっきくなってムズムズして… でも今日ドロシーお姉ちゃんが魔物に服を破られて、ドロシーお姉ちゃんのお尻とか脚見ちゃったら…ムズムズがどんどん大きくなって…身体があつくなって…ど、どうすればいいの?」
涙目で訴えるチップ。とんでもない告白にドロシーも真っ赤になるが、それで先日のことを思い出した。
(チップが私の中で射精…したとき、その力の一部が私の中に流れて、魔力に変換された…)
恐らく、チップの精液と彼の“力”は繋がっている。精液を排出することで、“力”は外に出る。
スカートの下で自己主張する少年のペニスを困った顔で見ながら考えを続けるドロシー。
(…たぶん…今考えられる唯一の方法は…もう一回射精させて、その“力”を出せばいいんだよね…)
チップが外界から隔離され、封印されていた理由がうっすらわかってきた。なぜこのような体質なのかはわからないが、彼を封印した人間は、こうなってしまうのを防ぎたかったのだろう。
チップが私と出会わないままなら、このような苦しい目には合わなかったのだろうに…私の責任で、こんなことに…
「ごめんね、チップ…」
そう呟きながら、ドロシーはチップのスカートを捲る。ドロシーの処女を奪ったとは思えない、かわいらしいペニスが姿を現す。
「ど、ドロシーお姉ちゃん!?何を…」
「これは…そう、おまじないだよ。チップの苦しいのがなくなる、オマジナイ…」
魔女らしい説明でごまかしながらドロシーはそれを指先で優しくつまみ、ぎこちなく上下にしごく。
「じっとしててね?すぐ終わるから…」
「う…うん」
(これがこの前…私の中に入ったんだ… すごい硬いけど、かわいい…)
自分の処女を奪ったペニス。それを愛しいものでも見るかのような眼差しで、恍惚としながら手淫を続ける。
「うっ…あっ…おねえちゃ……」
「チップ、このあいだみたいにおちんちんから白いのピュって出して?そうすれば苦しいのも治まると思うから…」
恥ずかしそうに俯きながら少年に告げ、彼の可愛らしくも硬く勃起したペニスを手でいじくる。
慣れない手つきだが、慕っていた美しいお姉さんにおちんちんをしごいてもらうというシチュエーションに、少年はすぐに果ててしまう。
「あっ…あっ…また、きちゃうぅ!」
ブピュッ
ドロシーの顔にチップの精液がかかる。“力”と繋がっているのが影響しているのか、成人男性にも負けない程のおびただしい量のザーメンがドロシーの端正な顔を汚す。
「ん…」
顔の皮膚からも感じる、大量の“力”。やった、成功した…
と思ったのも束の間、その“力”はドロシーの顔面にかかっている精液から瞬時に抜けていき、ドロシーに吸収されることもなく、チップの中に戻っていった。その証拠に、チップはまだ苦しそうにしている。ペニスも硬く勃起したままだ。
(あ、あれ?顔にかかった瞬間はすごいエネルギーを感じたのに、戻っちゃった?)
“力”が精液に運ばれて体外に排出されたのは確かだ。何故またチップの元に還ってしまったのか?
前回との相違点といえば…
(まさか、膣内じゃないとダメなの…?そうでないにしても、粘膜からとかでないと力が渡せない、とか…?)
「あそこ以外の粘膜… …口か…」
ネッサローズの城で猿に取り押さえられたとき、フェラチオを強要されたのを思い出した。
(チップが初めてなら… いいかな…)
この世界に飛ばされてから次々に起こるショッキングな出来事に、感覚が麻痺してしまったのかもしれない。
自分の、少年への性的欲求。理性で強力に抑えていたつもりだが、一度一線を超えてしまった事実、それに比べればフェラチオくらい…という考え、彼を苦しみから救うをという大義により、ドロシー中の理性は「まあチップを救う為だし、今回は特別に」と許可を下した。
恐る恐る、ドロシーはチップのペニスに顔を近づける。包皮に包まれて、ぽってりしたツクシのようだ。こんなに至近距離で見たのは泉で彼を女の子と思い違えて押し倒してしまって以来だった。
「なに…するの?…」
不安げに尋ねるチップ。
「さっきのおまじないじゃ効かないみたいだから、新しいのを試すんだよ…」
ドロシーは舌を出し、包皮に包まれた亀頭を舐める。
「ひゃっ!?ドロシーお姉ちゃん!?だめぇ!そこ、おしっこするところだから、汚いよぉ!」
ドロシーの顔を手で遠ざけようとするも、やはり子供の力では引き剥がせない。
(しょっぱいな…これがおちんちんの味なんだ…)
そう思いながら5回ほど陰茎を舐め、少しの迷いの後…
ぱくっ
思い切って彼のペニスの全体を咥え込む。
「ひうっ!?」
ぐちゅ…ぐちゅぷ…
口に含むと“これ”の硬さがよくわかる。舌で、口腔で、その硬さを味わうドロシー。
「ひっぷ…がまんして…ほれれきっと、くるひくなくなゆはずらから…」
初めてのフェラチオへの覚悟を決めるのにいっぱいいっぱいだったドロシーだが、この陰茎の持ち主のことを思う余裕ができ、ペニスを含みながら少年へ語りかける。
「や…!喋ったらお姉ちゃんの舌が動いて気持ちよすぎてぇ… ドロシーお姉ちゃんの口の中…あったかいよぉ…」
「ん…ちゅぷ…ふ…ん…♥」
フェラチオの経験などなかったドロシーだが、試行錯誤で舌を絡ませてみたり先っぽを吸ってみたりする。
チップの亀頭は歳相応に包皮に包まれていた。ドロシーにとって、間近で見る人間のペニスはこれが初めてなのでこういうものなのかと理解していた。
ぐんぐん大きくなるペニスは包皮を少しばかり押し広げ、亀頭の先っぽが露出する。
(ん…この皮って…剥けるのかな…?)
舌先で亀頭と包皮の間を押し広げてみると、チップの身体がびくんと跳ねる。
(チップ、すごい反応…ここが気持ちいい場所なのかな?)
陰茎を唇で押さえながら、舌で丁寧に包皮を剥いていく。やがてチップの亀頭はドロシーの口腔内で完全に露わになった。
「ああああっ!!!それ、だめえ!おちんちん溶けちゃう…!」
塩っぱい男の子の味に少なからず恍惚を覚えながらも、露出した亀頭に愛撫を加えようとしたその時…
「お姉ちゃん!また!来ちゃ…あ!」
チップは本日2度目、人生3度目の射精をする。ドロシーの口腔に、先ほど出したばかりとは思えない量の精液が満たされる。
「ん…んぶっ…」
(ん…ちょっと苦くて青くさいけど…これがチップの味…)
舌から感じる熱い“力”。吐き出すとまたチップに戻ってしまうかも知れない。ドロシーはゼリーのようにプルプルした少年の精液を1滴も残さないように、ごくんと飲み下す。
その瞬間、彼女の身体に膨大な魔力が溢れだす。本日の戦いで枯渇していた魔力を瞬時に満たしていく。
「やった…チップ、大丈夫?」
「うん。全然苦しくないよ。…おちんちんも、むずむずしなくなった。」
恥ずかしげに、ドロシーと目を合わせようとせずに答えるチップ。
「そ、そう。よかったぁ。」
ドロシーも彼の顔をまともに見ることなどできない。彼を助けるためとはいえ、ネッサローズのときのように無理矢理ではなく、自分から、少年のペニスを咥え、精液まで飲んでしまった。
「あ、明日も早いし寝ようか、ね?」
「う、うん!」
ぎこちない会話で眠りにつく2人。
ドロシーは横になりながら、バクバク言いっぱなしの自分の心臓の鼓動を聞いていた。
(…しょうがないよね、チップのためなんだし、セックスまでする必要まではないってわかったし。)
そう、先ほどの行為を正当化する。
出会ったばかりの少年相手に処女を散らし、次の日にはフェラチオをすることになるだなんて、メルヘヴンにいた時の自分に言っても信じないだろう。
いつかギンタンに…と想っていた行為を、7歳も下の少年に施してしまった。
(これからは定期的に…シてあげないといけないのかな…?)
ドロシーはふと自分の秘部を触ってみると、そこは背徳的な欲情に濡れていた。