※この作品はR-18です。

彼女の手足となるために   作:最上@なろうで別作品投稿中

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エロ有り 女の子視点 逆夜這い?


お泊まり編【裏】

お母さんは肩で息をする私の頭を撫でると「お赤飯用意しなくっちゃ!」と言って家を出ていった。

廊下に取り残された私は、お母さんのさっきの言葉を思い出す。

 

「あやちゃんはぁ、たっくんとちゃんとお話することがあるでしょ~?」

 

だから、たっくんにお泊まりしてもらって、しっかり話をしなければならないのだと言う。

相手に甘えて、すれ違わないためにも。

 

先ほどのリビングの雰囲気を見たお母さんは、何かに感付いたみたい。

嬉しくて嬉しくてしょうがないという感情を、全身で振り撒いていた。

 

ため息をつく。

雰囲気は壊されてしまったけど、まだ私の体にはたっくんに抱き締められた甘い余韻が残っている。

顔が熱い。腰の辺りに、甘い疼きがある。

こんなんじゃたっくんの顔が見れないよ…

 

しかしいつまでも廊下にいて、たっくんを待たせるわけにはいかない。

私は精一杯のしかめっ面を作ると、車椅子を操作してリビングに戻った。

我が家のリビングの扉はドアノブのない両開閉式で、押せばどちらからでも開けることができる。

 

「えっと、あゆみさんは?」

 

たっくんがリビングに座り込んだまま、ポカンと口を開けながら聞いてくる。

もう、またそんな可愛い顔をして。

外を歩くときは口元を引き結んだ凛々しい顔付きなのに、ふとしたときに気を抜くと、たっくんは凄く幼い表情を見せる。

私だけが知っている、と思いたいが、たぶん学校の授業中に興味深い話題があれば、おんなじ顔をしているんだろう。

他の女の子が気付かなければいいけど。

 

いや、いまはそんなこと考えている場合じゃない。

緩みそうになった表情を奥歯を噛み締めて作り直し、改めて言葉を紡ぐ間を作る。

たっくんはお母さんの登場で完全に気が抜けたのか、いつも通りの雰囲気になっている。

さっきのことを引きずっているのは、間違いなく私のほうだけだろう。

 

「…また買い物に行くって」

 

「え、そうなの?」

 

たっくんが小首を傾げている。

ああもう、お願いだからそういう仕草をとらないでほしい。

心臓の音が早くなるのを感じる。

 

でも、たっくんは再び二人っきりに戻ったことなんて気にしてなさそう。

この顔は、お母さんが何を買いに行ったか考えているんだろう。

そんなことより、もっと考えてほしいことがあるのに。

 

「今日、泊まっていくでしょ?」

 

出来る限りの平静を装う。

言葉を噛むことはなかったけど、声の調子が少し外れたのが自分でもわかって、顔が熱くなる。

 

「えっ、ああ、うん」

 

たっくんが少し驚いたような顔で、何度も頷く。

やった! 小躍りしそうな歓喜の思いが、体を電流のように駆け巡った。

さっきまでの雰囲気は望めないだろうけど、あの会話はハッキリと頭に残っている。

今日はもう少し、たっくんに素直に甘えても許されるはずだ。

たっくんの想いが私のと同じ物なのかはわからないけど、嫌われたり迷惑がられてはいないはず。

せめてお母さんが帰ってくるまでは、抱き着いて過ごしても許されるんじゃないだろうか。

 

「あ、じゃあ家で着替えてくるよ。制服脱がないと」

 

たっくんはさも当然という感じで立ち上がると、リビングから出ようとこちらへ歩いてくる。

肩透かしを食らったような、おあずけされたような気持ちになって、体が急に重くなる。

 

いや、確かに当然と言えば当然の話だ。

たっくんの家は隣だし、制服のままでは寛げないし、制服にシワもついてしまうだろう。

 

「そう。そうね」

 

なんとか心を落ち着けて返事をする。

なるべく顔には出さないように努力したが、声は少し硬かったかもしれない。

やっぱり、たっくんが私と同じ想いを持ってくれていると思うのは、調子が良すぎるのかな…

 

「じゃあ、シャワーとかも浴びてくるつもりだけど、なるべくすぐ戻るから」

 

たっくんはそう言いながら、玄関から出ていった。

シャワー、浴びちゃうんだ…

そしたらお母さんが帰ってきちゃうだろうし、なによりたっくんの匂いが。

 

私は深いため息をつくと、リビングに戻った。

車椅子の座席を一番下まで下げて、車椅子から降りる。

そして私は、リビングの絨毯の上をゴロゴロ転がる。

この移動方法が一番速くて楽だけど、みっともなさ過ぎて決して人には見せられない。

私はたっくんのクッションまで辿り着くと、顔を埋めて大きく深呼吸をした。

さっきまで座っていたから、凄くいい匂いがする。

クッションを抱き締めるようにしながら顔を押し付けていると、下腹のあたりがきゅっと動くような感覚がした。

 

さっきの出来事と合わせて、私の下着はかなり大変なことになっている。

でも気にせず、むしろ好きな人の匂いに反応してくれる体に感謝しながら、下着が汚れるに任せる。

自分でもわかるほど、トロリと溢れて下着を汚すのを感じた。

私がたっくんを好きだという気持ちは、本物なんだと強く実感できる。

クッションに擦り付けたくなるが、それは我慢する。

たっくんが戻ってきたらまたこれに座るわけだし、それまでに後始末することは不可能だろう。

 

初潮がきたあと、私の体は変化を見せた。

オリモノで下着を汚すことが多くなり、時にお漏らしをしたかのようにヌルヌルした液体でベチャベチャになることすらあった。

病気だと思った私は、泣きながらお母さんに相談した。

どんなときにそうなるのかとか、お母さんは泣きじゃくる私からゆっくりと聞き出した。

私がたっくんの傍にいたり、たっくんのことを考えるとこうなると正直に話すと、お母さんは私を優しく抱き締めながら「それは何もおかしなことじゃない」と何度も言い聞かせてくれた。

 

それから、お母さんは頻繁に私に性教育をした。

自慰の仕方や、性行為とはどういうものかまで丁寧に説明してくれた。

それはお母さんとの秘密にすることという条件はあったものの、私の性的なことに対する悩みや罪悪感を大きく取り去ってくれた。

私の体は両手両足がない。

トイレはなんとかなるが、お風呂も洗濯も自力ではできない以上、お母さんが丁寧に色々と教えくれなければ、思春期の衝動で押し潰されていたかもしれない。

自慰をして下着を汚しても、私には家族に隠す術がないのだ。

 

あれだけしつこいくらいに性教育をしてきたお母さんも、私が中学生になるとぱったりと何も言わなくなった。

自慰で汚した下着を洗う時も、お風呂で体を洗うときに反応してしまうときも、見て見ぬふりをしてくれる。

正直とてもありがたかった。

だから私は、開き直ってしまうことにした。

大人になって、結婚するまで我慢するなんて到底無理だと思ったからだ。

 

だから私は、何も考えずにたっくんのクッションを堪能した。

火照りに我慢できず、体をよじったら下着が擦れた。

気持ちよくてそのことしか考えられなくなる。

自分は相当に淫乱なんじゃないかと思うこともあるが、お母さんの「思春期の頃は1日に何回もしちゃうのは普通」という言葉を信じることにする。

同級生の様子を見ると、そんなことはない気がしてくるが、誰かに確認する気はさらさらない。

これが人に話すべき話題じゃないことは、十分理解しているし、今さらそれは普通じゃないと知っても、困る。

体を捩り、太ももを擦り合わせる。

非常に弱い刺激だが、さっきのたっくんとの出来事と、たっくんの匂いがするクッションがあれば、十分にイケそうだった。

 

ふと、玄関に人が近付く気配を感じる。

私は素早く転がって自分のクッションに移動すると、テレビをつけて何食わぬ振りをした。

玄関のドアが開く音。

 

「ただいま~。あれぇ、たっくん帰っちゃったの~?」

 

お母さんがパタパタと小走りに、リビングに駆け込んできた。

バレないようにゆっくり深呼吸をする。心を落ち着けてから、わざと不機嫌そうに返事をした。

 

「制服着替えてくりゅって」

 

噛んだ。

お母さんは「ふ~ん、そっか~」なんて言いながら、特に気にした様子もなく台所に向かった。

安堵して体の力を抜く。

いくら開き直って自慰をしていることを隠す気がなくても、現場を見られるのは気まずすぎる。

 

下着がぬるぬるで、下半身が気持ち悪い。

太ももまで垂れてる気がする。

私は起き上がると、下着を取り替えるために部屋に戻った。

 

夕食後、たっくんと二人でリビングで寛ぐ。

お父さんは食事を終えるとすぐ部屋に戻ってしまった。

去り際にたっくんに何か言っていたけど、私にはよく聞こえなかった。

でも、リビングから出ていくお父さんを、お母さんが追い掛けていって抱き着いたようなので、たぶん私とたっくんのことについて何か言ったんだろう。

 

たっくんは自宅にいるかのようにリラックスして、テレビを観ている。

世界のクジラ特集。

私もこういうのが好きだが、たっくんもドキュメンタリー系が大好きだ。

同じ趣味をしていると思うと、嬉しくなる。

正直、学校の男子が話すお笑い番組のネタや芸人の物真似は、欠片も面白いと思えなかった。

愛想笑いなのはバレていないと思うけど。

 

テレビを観るつもりが、ついついたっくんの方をチラチラと見てしまう。

たっくんはテレビに集中していて、場面が変わる度に表情を変えている。

それがカッコよかったり、可愛く感じたりして、つい凝視してしまう。

たっくんは私の視線を欠片も気にしていないようだった。

 

「口、閉じなさい」

 

独占欲が疼いて、外でそういう顔をさせないために釘を刺す。

他の女の子がもう気付いているかもしれないという嫉妬心が出て、言い方が少し厳しくなってしまったかも。

たっくんは「はい」と素直に頷くと、口をきゅっと引き締めた。

その素直な反応が愛しくて、思わず抱き着きたくなるが、我慢する。

いつお母さんが戻ってくるかわからないから。

 

しかしたっくんはまたテレビに熱中すると、口許が緩み始める。

ついその都度注意してしまったが、なんでこっちばっかり見てるんだと思われたかな。

それならそれで、いっそ開き直って認めてしまおうか。

今日のたっくんの反応と、学校で見たショートカットの義手の女の子の存在が、私の思考を大胆にする。

それで行動を起こして、拒絶されたら目も当てられないけど…

 

「あやちゃん、お風呂入ろっか」

 

私の盛り上がった気持ちが萎えしぼんだ頃、お母さんが声をかけてきた。

なんだかお母さんの笑顔がツヤツヤしている気がする。

お父さんと何かあったんだろうか。

 

「お風呂、入ってくるね」

 

「ああ、うん」

 

たっくんに声をかけるが、これは間違いなく空返事だ。

無視されたようで少し腹が立ったが、気持ちが萎えしぼんで少し臆病風に吹かれている私は、特に何も言わずお母さんとお風呂場に向かった。

 

お母さんに髪を、体を洗ってもらう。

お風呂に入るのはとても気持ちいいが、私は常に誰かの手を煩わせることになる。

お母さんからは、自分も楽しいから気にしなくていいと言われているが、感謝の気持ちを忘れることはない。

もちろん、言葉で伝えることも忘れない。

 

「お母さん、いつもありがとう」

 

お母さんの目を見ながらそう言うと、お母さんは私を抱き締めてくれた。

 

「私も、ありがとう」

 

お母さんにありがとうと言われる理由はまったく思い至らなかったが、お母さんに抱かれる気持ちよさに、どうでも良くなる。

ボディソープの泡がついてるせいか、お母さんの肌と触れ合うと、肌の境界線がなくなったかのようにスベスベして、とても気持ちいい。

お母さんがその大きな胸に、私の頭をぎゅっと抱きかかえる。

この大きな胸が、何かにつけてたっくんを誘惑していることを思い出して、少し憎くなる。

いや、いずれは私のもこうなるはずだ。きっと。たぶん。

お母さんはお父さんがいるのに、たっくんへのスキンシップが過剰だと思う。

お母さんはたっくんを自分の子供みたいに思ってるから、仕方ないのかもしれないけど。

そこでふと、今まさに自分がされていることに思いいたり、お母さんの愛情表現を再認識する。

お母さんにとって、私もたっくんも大事な子供なんだと思えて、凄く安心する。

 

お母さんは何も言わずに私のことをたっぷり抱き締めると、「たっくんのために、今日は目一杯綺麗にしておかないとね!」と言った。

お母さんはいつも一言多い。

私はお母さんに文句を言いながら、楽しくお風呂の時間を過ごした。

 

寝る時間になり、自分の部屋に行く。

私の部屋には、二つの布団が寄り添って敷かれていた。

片方は私ので、もう片方はたっくんの布団だ。

我が家には昔から、たっくん用の布団が常備されていて、寝るときはいつも私の部屋に一緒にだった。

だから、私の後ろにはたっくんがついてきていた。

 

「何してんの、早く寝るわよ」

 

私は内心の動揺を気取られないように、素早く布団に潜り込むと、背を向けて丸々ようにしながら、部屋の入り口で棒立ちしているたっくんに声をかけた。

 

この展開はわかっていたことだ。

お母さんからすでに言われており、私は反対しなかった。

お母さんは「ちゃんと素直な気持ちで話し合いなさい」と言ったあと、「もしものときは枕の下に入れてあるのを使いなさい」と言っていた。

何が置いてあるのかは、なんとなくわかった。

お母さんは私に性教育をしたとき、抵抗できないときはせめてこれを使うように言いなさいと、コンドームを渡してきた。

お母さんはとても真剣な顔で説明して、私はその用途を聞いて酷く傷付いたが、しばらくしてわかった。

あれは私とたっくんとの関係で、万が一があったときのためのものだったのだと。

 

それに思い至ったとき、私は恐怖よりも歓喜が体を走り抜けた。

お母さんの話を思い出す。

思春期の男の子は、性欲の塊である。

普通の女の子でも、成長期のきた男の子の腕力には敵わない。

ましてや手足のない私に、抵抗する術はほぼないだろう、と。

大声をあげても、防犯ブザーを鳴らしても、助けが来ないときはある。

 

その想像は、長らく私にとっての最高の自慰のネタだった。

たっくんに組み敷かれ、抵抗も拒絶も無視されて、体を貪られる。

私が嫌がったとしても、それを踏み潰して愛欲を向けられる。

そこまで強烈に求められることに、憧れすら感じた。

いま、もしかしたらもうすぐそういうことになるかもしれない。

そうなったら拒絶する気はまったくないけれど、そもそもたっくんが私を求めてくれるかわからなかった。

 

だから、話をしなくちゃいけない。

私の想いを素直に伝えて、女としてみてもらって、出来れば想いを受け入れてもらいたい。

胸がドキドキする。声をかけるタイミングが掴めない。

やっぱり諦めてこのまま寝ようかと弱気にもなるが、鼓動が高なり過ぎて眠気は欠片もなかった。

今日、いくしかない。

 

「あ、あの、あのね」

 

決意を固めて、体を回してたっくんの方を向いて声をかける。

 

私の決死の覚悟を嘲笑うかのように、たっくんは気持ち良さそうに熟睡していた。

 

 

 

 

 

やっぱりたっくんは私のことをなんとも思っていないんだ。

でなければ、同じ部屋で寝ているのにこんなにすやすやと眠れるはずがない。

 

かなりの時間落ち込んで沈み込んでいた私は、今度はふつふつと沸き上がってきた理不尽な怒りに身を任せる。

別に私とたっくんはただの幼馴染みで、たっくんが私のことを好きでなければならない理由はどこにもない。

しかも、私は重度の障害者だ。

ただ一方的に、多大な迷惑をかけるだろう女より、普通の女の子の方がいいに決まっている。

自分勝手な怒りと、ほの暗い劣等感に包まれながら、私は穏やかに寝息を立てているたっくんににじり寄った。

怒りに任せて、たっくんの頭を腕でぺちぺちと叩く。

たっくんが一度寝ると、何をしても朝まで起きないことはよく知っている。

それを利用して、たっくんの体に擦り付けて自慰をしたこともあるくらいだ。

あのときは翌日から罪悪感に苛まれ、自分の性欲の強さが恐ろしくなって、たっくんがお泊まりすることを猛反対することで、私がさらなる罪を犯すことを予防した。

 

いま私は、同じ過ちを犯そうとしている。

たっくんの布団に潜り込み、横抱きに抱き着く。

たっくんの腕を太股で挟み込み、いい位置に当たるように調整した。

私の気持ちに気付かないたっくんが悪いんだ。

それに、夕方の反応からすると、たっくんだって女の子にこうされることは、相手が私でも嫌ではないはずだ。

たっくんが寝ていて意識がないことを良いことに、自分の行為を滅茶苦茶な屁理屈で正当化する。

 

体を擦り寄せ、たっくんの寝顔に頬擦りをする。

キスはしない。

こんなことまでしておいて浅ましい話だが、それだけはいつかたっくんからしてくれることを夢見ていた。

それでも、自分ルールでこれはノーカンだと理由をつけて、たっくんの首筋に吸い付く。

あんまり強くすると痕が残ってしまうことは、前回の時に学習したので、舐めるのを中心にする。

お風呂上がりで弱くはなっているが、確かにたっくんの味がした。

たっくんの耳の後ろに唇を寄せながら、腕に腰を擦り付ける。

興奮し過ぎて、すぐにイった。

電気を流した蛙の足のように、ビクンビクンと体が跳ねて、快楽を脳に伝える。

まずは一回。

顔を擦り寄せてたっくんのパジャマの襟元をはだけさせると、たっくんの鎖骨に舌を這わせる。

快感の余韻を楽しむために、股間だけじゃなく全身を使って、たっくんの体を撫で回した。

 

そこで、私の太ももが何か熱くて硬いものに触れた。

自分の快楽を貪ることに夢中だった私は、それが何かに思い至らぬまま、それがなんなのかを内腿を使ってぐりぐりと探った。

 

そのとき、たっくんの吐息が荒いことに気付いた。

 

私はたっくんが起きたのかと思い、自分の行為が露見する恐怖に突き動かされ、慌ててたっくんの顔を見た。

なんでもいい、何か言い訳しないと。

たっくんは目を瞑ったまま、苦しそうに呻いた。

内腿に押し付けていた硬いものが、激しく脈打つのを感じる。

たっくんはまだ寝ているようで、苦しいような気持ち良いような、初めて見る表情で小さく呻く。

その顔を見つめながら、お母さんに教わった男の子の生理現象を思い出す。

たっくんが射精している。

全身を強烈な歓喜と征服欲が満たした。

たっくんのこの表情は、間違いなく誰も見たことがない、私だけのものだ。

たぶん、たっくん本人でさえ見たことはないだろう。

私が太ももを動かすたび、たっくんは色っぽい吐息をつき、内腿に感じる熱は激しく脈打った。

たっくんの顔を見つめながら、私も絶頂を迎える。

しばらくして、いくら太ももを押し付けても、たっくんの体がピクリと震えるだけで、内腿の熱いものは動かなくなった。

しかし、まだ硬いし、注意深く探れば、小さく鼓動しているかのように感じる。

 

好奇心に突き動かされて、たっくんの布団の中に潜り込んだ。

いままで嗅いだことがない、強烈な匂いに頭がくらくらする。

蜘蛛が壁を這うような動きで、たっくんの体の上を移動する。

口を使ってたっくんの寝間着の上着をどかす。

真っ暗で何も見えないが、確かに匂いは濃くなった気がする。

おそるおそる、たっくんの寝間着のズボンをずらそうと、口を近付ける。

私の顎に、ぬるりとした熱い感触がした。

血よりも粘り気がある、私の股間を濡らすのと同じ種類のぬめり。

私は無意識に舌を伸ばした。

舌先に触れる、ピリピリとした味。

私はたっくんのお臍ごと舐めとるように、舌の上にその液体を掬い上げた。

鼻に抜ける独特の匂い。口に広がる未知の味。

 

「あっ、ぐぅ…!」

 

それで、またイった。

一番敏感な部分でたっくんの心臓の鼓動を感じながら、声が漏れるのを歯を食いしばって我慢する。

いままでの人生で一番深い、強烈な絶頂。

私は体を震わせながら、口の中の液体を飲み込んだ。

酸欠か、快感によるものか、意識が遠退き、このまま眠ってしまいたくなる。

 

そこでやっと、自分のやっていることの重大さに気付いた。

サッと血の気が引いて、急に冷静になる。

全身から冷たい汗が溢れ出た。

掛け布団を跳ね上げてたっくんの上から退くと、薄明かりの下で状況を確認する。

たっくんの寝間着の胸と腕には、私の体液で大きな染みが出来ている。

たっくんのズボンに染みは見当たらないが、上着がめくり上がって丸見えになったお腹には、テラテラとした大量の精液が見えた。

 

どうしよう。

どうしようもない。

完全にパニックになった私は、たっくんの上着を元に戻すと、布団をかけ直して自分の布団に潜り込んだ。

頭が真っ白になって、思考は千千切れになる。

 

しばらくして、たっくんが起き出した気配が背後からしたが、私は恐怖でまったく動けなかった。

私は朝まで、まったく身動きをすることが出来なかった。

 

朝になり、カーテンの隙間から朝日が漏れているのが見える。

外からは鳥の鳴き声が聞こえ、お母さんが起き出しで朝食の準備をしている音が聞こえた。

 

このままだと、お母さんが起こしにきてしまうかもしれない。

たっくんは夜中に起きて、異常に気付いているはずだ。

それでも、たっくんは何も言ってこなかった。

気付かないふりをして、黙っていてくれるのだろうか。

それとも朝食の席で、弾劾裁判が始まるのだろうか。

タイムリミットが迫っていることを感じて、思考が急にグルグルと回り始める。

 

たっくんに謝ろう。

たっくんには嫌われるかもしれないが、自業自得だ。

そして、お母さんたちには黙っていてもらうようにお願いしよう。

凄く利己的で身勝手な考えだが、たっくんに嫌われた上に、両親にまで見捨てられたら、私は死ぬしかない。

黙っていてもらうために、何でもしよう。

這いつくばって許しを乞う他に、方法はないと思った。

 

「ね、ねぇ」

 

布団から出て、震える声でたっくんに声をかける。

ちょうど起きる頃合いだったのか、たっくんはパチリと目を覚ました。

 

「ん…あ、おはよう、あやちゃん」

 

たっくんは体を起こすと、普段と何一つ変わりのない笑顔を向けてくれた。

 

「あ…あの、あのね」

 

声が震える。でも言わなくちゃ。

不思議そうに首を傾げるたっくんの顔を見てられなくて、視線を下に落とす。

そこで、何か違和感を感じた。

 

「寝間着…」

 

たっくんの寝間着が、寝る前と違った。

確かにあれだけ汚れれば着替えるだろうが、たっくんが着ているのはうちに置いてある予備のヤツだ。

たっくんの予備の寝間着は、お母さんとお父さんの部屋のタンスに仕舞ってある。

たっくんはその場所までは知らないはずだった。

 

「あ、これ? いや、寝汗が酷くてさ、夜中にあゆみさんに言って着替えさせてもらったんだよね」

 

たっくんが頭を掻きながら視線を反らして言う。

これは嘘を、しかも悪いことをしたことを隠すときの顔だ。

 

「…ふ~ん?」

 

つい、普段の癖で問い詰めるような声が出てしまう。

このことの真相を問い詰められて、困るのは自分なのに。

 

「いやぁ、あははは」

 

たっくんは視線をさ迷わせながら、誤魔化し笑いをしている。

問い詰めれば話すだろうけど、自分から言う気はなさそう。

私は表情を消して考えた。たっくんは気まずそうにしているが、私から反応があるまでは、部屋から出ていったり話を反らしたりする様子もない。

 

そこでふと、男の子の生理現象に夢精というものがあることを思い出した。

たっくんは、あの惨状は全て自分のせいで、私のしたことに気付いてないんじゃないだろうか。

チラリと視線を上げて、たっくんを見る。

たっくんはいつの間にか正座していて、覚悟を決めた顔をしていた。

聞かれたことには全部答えます、というときの態度。

 

急に立場が逆転した気がして、たっくんの口から夢精がどんなものだったかを語らせたい嗜虐心が沸くが、馬鹿な考えをグッと捩じ伏せる。

元々悪いのは全部私だ。

何を調子に乗ったことをしようとしているのか。

とんでもないことをしでかしたり、不埒な考えをした罪悪感より、助かったという安堵の方が大きい私は本当に最低な人間だ。

こんな私は、たっくんには…宇田川くんには相応しくない。

 

せめてもっと、自分がまともになって、宇田川くんと釣り合うようになるまでは、この想いは自分だけの中に留めておこう。

それまでに宇田川くんに彼女ができてしまったら、それはしょうがない。

 

でももし万が一、本当に低い確率だが、宇田川くんと想いを通わせることができたら、今日のことを正直に話そう。

黙って考え込む私を前に、宇田川くんはガチガチに固まっている。

 

「そろそろ朝御飯が出来るだろうから、いきましょ」

 

私は跳ねるようにして移動すると、車椅子に乗り込んだ。

宇田川くんが手伝おうと腰を浮かしたけど、視線でそれを制止する。

 

「あ、うん」

 

車椅子の座席調整して、部屋から出る。

自分を磨いて、宇田川くんに相応しい女性になるまでは、変な気は起こさないと強く誓う。

…でも、一人でスルのはセーフだよね。

 

決意に早速大きな穴を開けながら、私は宇田川くんと一緒にリビングに向かった。

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