始まりは、同じクラスの友達から相談を受けたことだった。
ちなみに私は…マスコット…かな。
背が低く、『個性』によって皆に親愛の情を思いっきり受けていた身としては悲しいかな、それがもっとも近いポジションであろう。
《いくら食べる姿が可愛くても、
学校裏サイトにて提示された提案に有った一文。解せるけど解せたくない。
ともかく、石動さんからこう言われたのだ。
『なぁ、姫ちゃん。ちょっと相談にのって欲しいことあんだけど…。』
『ん?いぃよいぃよ。私で役立つことならなんでも!』
私は二つ返事で承諾した。そもそも、私は周りに愛され、助けられ、支えられるのがアタリマエというヤバイ立場にいた。
甘えても、それが許されてしまうからこそ、傲慢にならないようにしなくては。それが私の誓いであり、誰かに頼られることは喜びであった。
ちなみに、女王妃美呼…どこにも姫は無かったが、姫呼びがいつの間にか定着していた。
『ちょっと二人っきりで話したいことなんだわ。だから、都合ついたらあたしン
『おっけー。今日でもいいけど?母さん帰り遅いから夕飯、外食の予定だったし。』
『ん、じゃあ今日は部活も無いからさ、帰り一緒でいいかな?』
石動さんは嬉しそうだった。クラスの
『あー、アネゴってば姫ちゃんお持ち帰り?! ダメだよー、姫ちゃんは皆で愛でるアイドルなんだから手ぇ出したら。』
混ぜっかえしても、脳天にチョップで許していたから。
『なにバカ言ってるー?
ドスッ
『うきゅーっ!地味に痛いー。』
平和だった。この時は。
そして、放課後。
連れだって石動さんの家へ。
セキュリティ重視のマンション。
一階にはコンビニとヒーロー事務所出張所。
『あ、ナザリーマートだ。ヒーロー・コンビニだね石動さん。』
『何か買ってく?つーかオゴルけど。』
『マジ?ありがとぉ♪ あ、餌付け禁止令に引っ掛かるけど?』
『放課後であたしン
まだ、平和だった。
そして…。
実のところ、告白されること自体は慣れていた。
どちらかというと女の子からされた方が多かったし。
ただ、自分の『個性』の事を考えて冷静になってしまうことが多く、やんわりとお断りをしてきた為に、友達以上の交際の経験は無かった。
…ふざけ半分の悪ノリではあるが、キスの経験は有った。相手は全部女の子だったけど。
だから、石動さんの『相談』が私への告白の可能性は想定してはいた。
『姫…いや、お姫様。あたし、あたし、お姫様のモノになりたいっ!』
いや、これは経験無い。
目の前には正座して、両手ついて私を見上げる石動さん。めっちゃ瞳潤んでる。顔真っ赤。
告白?恋愛的な告白じゃなくて、これはヤバイ系のカミングアウトではないですか?
えっと、石動さんの部屋に来て、スポーツ少女っぽい部屋に感心して、クラスの四方山話して、石動さんのご両親が帰り遅いって話があって、ジュース飲んで、ポテチ食べて、石動さんがモジモジしてて、やっぱり相談って私に告ることかなぁ ( ̄▽ ̄;) って考えて。
どうゆうこと?
『あー、どうゆうこと?』
あ、言葉に出てた。
『自分でもわかんなくて、でも、お姫様にあたしを全部あげたいっていうか、お姫様にイロイロされたいってうか、最近急に…』
『個性』?私の個性?! でもこんな風にオカシクなったことないし?
『落ち着いて石動さん!これは、きっと私の個性が何かアレしたのかもしれないから!いや、私にもわかんないけど、それしか考えらんないし!』
私が落ち着け。いや、ムリ。て、ゆーか、つらたん。
あれ、石動さん?なんで震えてンの?
『お姫様の“個性”なら、あたし…お姫様に選ばれたって事ですよね?
悪化したーッ?! なんでそうなる?ヤバイ、ヤバイ、どうする?どうすればいい?…そうだ!!!
『今はまだ、ダメ!保留!ステイ!分かる?』
お願いはきいてくれるはず。まるっぽ断りたくてたまんないけど、何かスッゴク“仕上がってる”石動さんのリアクションが予想つかないし…。
ひとまず撤退!それが一番!
『…はい。待てと仰るなら、お待ちします。』
よ、よし!何にも解決してないけど、時間は稼げた。
で、では念押しを。
私は正座している石動さんに近づいて、自分の顔を寄せた。
『石動さん、学校ではいつも通りにしてね?今日の事は秘密にしましょ♪』
『はい。…お姫様の仰せのままに。』
うわー、目がトロォンてしてるよ?でも、ここは覚悟を決めて!
『じゃあ、これはご褒美。…花魅ちゃん。』
唇を一瞬だけ触れさせるキス。
即座に離れて背を向ける。
『明日、学校で会おうね!』
撤退ーッ!リアクション見ない!怖いから!
彼女の部屋から飛び出し、マンションも出て帰路につく。
パタパタと走りながら、私はこの異常事態にどう対応したものか悩んでいた。
そうだ、エロ関係だから、あの人に相談しよう!
私の脳裏に、鞭を持ったボンデージ姿の美女が思い浮かんでいた。
18禁ヒーロー“ミッドナイト”。
母の親友で、私の『個性』についても助言をもらったことが有るお姉さんだ。
早速SNSを通して連絡する。すると、今晩会ってくれるとのこと。
私は駅へと進み、そのまま彼女の自宅である高層マンションへ向かう為に電車に乗り込んだ。
その夜、もっとトンデモナイ事態が待つとは思いもせずに。
ほら、健全。