※この作品はR-18です。

「もしも苦労人がカルデアのマスターだったら」   作:HK416

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ふぁああっぁぁ、ジャンヌサンタ、かわいいよぉぉぉおお!!!
ふむ、性能的には可もなく不可もなく、かな? 少なくとも騎ん時レベルでぶっ壊れではない、ですよね? あの宝具の威力は絶対おかしい。

では、今回はとあるイベの導入部。
御館様はイベをスルーが基本だけど、周囲の鯖は別なんやで(にっこり

あと微妙にネタバレ注意です。大分時間は経ったけど念の為。

では、どぞー。


『苦労人の苦労は伝染してしまうのか!(ネタバレ、伝染する)』

 

『苦労人が苦労(自業自得)してる姿を見て、忍びねぇな、とか考えちゃう英霊ばかり召喚されている』

 

 

 

 

 

「皆さん、本日も御足労頂き、ありがとうございます」

 

 

 カルデア内部には、様々な施設が存在している。

 

 英霊達の精神を養生するための娯楽室。

 その一環として設けられた共同浴場。

 霊基再臨によって強化された仮初めの肉体を再確認するトレーニングルーム。

 レイシフトと英霊召喚を行うサモンルーム。

 

 そして、今、多くのサーヴァントが集っている一室も、そんな施設の一つ。

 扇状に広がり、ホワイトボードの設置された壇上に進む度に一段下がっていく構造。

 一段ごとに机の設置された部屋は、これからの作戦を検討しあうミーティングルームである。

 

 

「前回から引き続き、司会進行はデミ・サーヴァントのマシュ・キリエライトが務めさせて頂きます」

 

 

 その壇上では、人の身でありながら英霊の力を宿した少女――マシュがマイクを片手に神妙な面持ちで、これから行われる催しを進めていた。

 

 

「では、第39回女性サーヴァント会議の開催を宣言させて頂きますッッッ!!!」

 

 

 女性サーヴァント大会議とはッッ!

 文字通り、カルデアに召喚された女性サーヴァントによる会議であるッッッ!!

 

 

 第一特異点オルレアンを、(ド外道行為で)難なく攻略した後。

 虎太郎のやり様に頭を抱えたマシュとジャンヌの愚痴が始まりであった。

 

 日々、明らかになっていく虎太郎のド外道ぶりと女性に対する困った性癖。

 大きな不満と小さな信頼、細やかな喜びを溢し合うだけの井戸端会議ではあった。

 

 だが、と言うべきか。やはり、と言うべきか。

 事柄の本質は変わらずとも、人が増えれば形式というものは変わっていく。

 

 初めは食堂の片隅で。

 第三特異点を越えた辺りは、女性陣の娯楽室で。

 それでも手狭となった時点で、マシュが虎太郎にミーティングルームの使用許可を求めた。

 

 虎太郎はこれを快諾した。

 ミーティングルームなど、作戦の打ち合わせ以外に使用することは滅多にない。

 普段からの鬱憤、男が聞けばドン引き間違いなしの女の会話、日々の生活をより良く改善しようと解決するために使用するならば、無駄ではないと考えたからだ。

 またレクリエーションというものは、心を豊かにし、他者との繋がりをも深める。

 不満の解消、信頼関係の増強、生活の改善と一挙三得の事柄を、何よりも自分が関わらずとも勝手に進む一挙三得を虎太郎が認めない訳がない。

 

 人理焼却の案件――魔術王(ソロモン)との戦いは、既に1年近い時間が経過している。

 その中で毎週欠かさずに開かれている辺り、まだまだ皆の心に余裕はある。魔術王涙目案件がまた一つ増えた。

 

 

「えー、では今回の議題の前に、本日は特別ゲストを呼んでいます! まず、ロビンさん!」

 

「特別ゲストじゃねーですよぉ! これは拉致だよぉ!!」

 

「続いて、呪腕のハサンさん!」

 

「ハサンにさんが続くと何とも舌を噛みそうな響きに…………いや、それよりも百貌の、静謐の、貴様らもか」

 

「い、いや、我らは…………」

 

「…………申し訳ありません、呪腕様。周囲に押し切られまして」

 

「そして最後に施しの英雄、カルナさんです!」

 

「頼られるのは素直に嬉しくあるが、オレ如きで力になれるとは到底思えないが……」

 

 

 抵抗したらしく、ロープでぐるぐる簀巻きにされたロビン。

 比較的に抵抗が薄かったのか、百貌と静謐に挟まれるだけで入場してくる呪腕。

 そして、普段と変わらない態度、姿で入ってくるカルナ。彼の性格上、抵抗などあろう筈もない。

 

 入ってきた三人の男に、会場全体がざわついた。

 女性ならではの悩みを解消しようとするのも、この会議の一環である。

 其処に男が入ってくるだけで、拒絶反応を示すものも当然いる訳で……。

 

 

「皆さん、静粛に。静粛に。気持ちは分からなくはありませんが、どうか静粛に。この三名は、今回の議題において、重要な要素(ファクター)なのです」

 

(か、か、か、帰りてぇぇぇぇ!! こんなん禄でもない目に合いますわ! 針の筵ですわぁぁぁあ!!)

 

(ロビンよ、抵抗は無駄だと何故分からん。ここは素直に従っておく方が得策よ)

 

(ふむ、このような催しがあるのは知っていたが、マシュや聖女を中心に、よくやっていた。さて、本当にオレ達でどうにかなるのか………………不安だ)

 

 

 マシュの言葉に、参加者は不平不満を飲み込み、静寂がミーティングルームを包む。

 

 

「今回の議題は『先輩働きすぎ問題』です!!」

 

「「無理だぁっ!! どうにもできなぁああぁぁああぁぁぁぁぁいっっ!!」」

 

「………………………………………………………………………………………………確かに」

 

 

 マシュの提示した議題に、ロビンと呪腕が叫び声を上げる。流石の施しの英雄も同意せざるを得なかった。

 

 議題が発表されたタイミングで、何名かの出席者が席を立つ。

 

 この会議、出席は自由であり、強制ではない。

 自分の気に入った、気になる事柄に関係がなければ、出席も退席のタイミングも自由なのだ。

 

 過去の議題は様々だが――

 

『ガウェインとラグネル、ラーマとシータのイチャコラ具合はどうにかならないか(メディア発案)』

『アマデウスと黒髭の暴走はどうにかならないか(マリー&ドレイク&アンメア&エウリュアレ発案)』

『子供達の健康の為、カルデアに喫煙所を設置すべき(ヘラクレス同伴アタランテ発案)』

『虎太郎への愚痴・主にエロ方面(喰われちまった女性陣中心)』

 

 ――等々。人によっては何の興味も関心もない事柄である場合もあった。

 

 今回など、特に顕著である。

 虎太郎に対し、好感を覚える者が大半で固められたカルデアであるが、そうでない者も無論、存在する。

 行為そのものを容認できないものもいれば、逆に虎太郎から警戒を向けられている者もいるのだから当然だ。

 

 残ったのは、虎太郎に対して好感を抱いているか、或いは中立的な立場を貫いている女性陣のみであった。

 

 

「あー、その、マスターが働き過ぎ、と言いますか、努力の方向音痴で自分から仕事を増やしているのは知っていますけど、其処までなんでしょうか? 沖田さんには、ちょっとよく分からないです」

 

「沖田さん、いい質問です。では、此方をご覧ください。はい、どん!」

 

 

 マシュはお笑い番組の敏腕MCのような進行を見せる。

 マシュが取り出したるは一枚のパネル。描かれているのは一つの円グラフ。

 

 通常、円グラフは調査に基づき、何某かについての割合を分かりやすくパーセンテージで表すことが一般的である。

 だが、マシュの取り出したものは違っていた。何せ、何らかの割合を示すであろう色分けが飛び飛びなのだ。これでは分かり難くて仕方がない。

 

 そこから導き出される答えは一つ。

 

 ――そう、これは円グラフではなく、一日のスケジュール表である。

 

 

「これは、私とアルフレッドさんが協力して調査した、先輩のある一日の日程です」

 

「ふむ、確かに分かりやすくはあるがな。色だけではなんとも、言えんな」

 

「で、どの色が何にあたるんだよ、マシュ」

 

 

 ヒシヒシと嫌な予感を感じながらも、スカサハとモードレッドが当然の疑問を口にする。

 確かに、どの色が何を示しているのかが分からなければ、何の意味もないだろう。

 

 

「はい。赤が仕事、黒が休憩、緑がモードレッドさんや子供組を筆頭としたサーヴァントの皆さんとの自由時間、この自由時間には先輩の訓練も含まれています」

 

「七割近く真っ赤よっ!?」

 

「これ死んじゃう奴だーーーーーっっ!!」

 

「まあ、当然の反応だな」

 

 

 知られざる衝撃の事実に、マリーとブーディカの悲鳴が上がり、カルナの嘆息が漏れる。

 

 因みに残りの二割五分が緑、黒が五分である。

 時間に換算すると、仕事が16時間48分、自由時間が6時間、休憩が1時間12分ほどとなる。

 

 

「ちょ、ちょっと待てよ。オレやジャンヌも手伝える範囲で結構な量を手伝ってんだぞ、いくら何でもこれは嘘だろ……?」

 

「そ、そうですね、モードレッドの言う通りでしょう。微力ではありますが、確かに……」

 

「ええ、お二人の尽力は知っています。先輩も大変感謝していました。ところがどっこい、これは夢じゃありません……! 現実です……! これが現実……!(ざわっ……ざわっ……」

 

『――――ここからは私が説明しましょう』

 

 

 画風が変わり始めたマシュに変わり、空間ウィンドウと共に無機質ながらも人間味の感じさせる電子音声が響く。言うまでもなくアルフレッドだ。

 

 

『お二人は元より、生前に政務などに携わっていた方々は積極的に協力して下さっています』

 

「まあ、私も手伝った記憶はあるわね」

 

『はい、カーミラ様も頻繁に手伝ってくれています』

 

「アルフレッド、余計なことを言わない!!」

 

「あら、照れることはないじゃない」

 

「照れてないわよ!!」

 

 

 私もあるけど、ちょっと、ちょっとだけよ。

 事実をさりげなくアッピルしつつも、私はマスターのことそんなに気にしてませんから、と釣れない態度を取る発言をしたのはカーミラ。

 

 カーミラはレ・ファニュの小説に登場する女吸血鬼――――ではなく、そのモデルとなった人物こそが正体。

 即ち“何度も出てきて恥ずかしくないんですか?”アイドル、エリザベート・バートリーその人である。言わば彼女は“エリザベート・バートリー”という英霊の暗黒面そのものだ。

 サーヴァントは全盛期の姿で召喚されるものだが、クラスの違い、召喚された側面の違いによって、最早、別人に変わる。

 名は体を現す。その変名こそが、残虐さの中にも残された愛嬌を全て失くし、怪物へと変貌した姿だ。

 もっとも、根底にある間抜けさ――即ち、微かな善性、或いは人間性は消え去ってはいない。虎太郎に進んで協力している辺りに、それが窺える。

 

 その隣で机に頬杖をついて朗らかに微笑んでいたのはマタ・ハリ。

 第一次世界大戦で活躍したとされるスパイ。世界で最も有名な女スパイだ。

 それは事実であったのか。少なくとも、彼女が本格的なスパイ活動を行った証拠は一つもないのだ。

 他者にスパイであると悟らせないだけの諜報能力を持っていたのか。それとも単なるスケープゴートであったのか。

 彼女は事実を語りたがらず、歴史は証明には程遠い虚偽とでっち上げで満ちているが――少なくとも、彼女がこと諜報において、超一流である事実は疑いようがない。

 

 

『それでもなおこの仕事量なのは、権限の問題です。王には王の、執政官には執政官の仕事があるように、虎太郎のみが行って良い仕事というものもありまして……』

 

「ああ、そうか。カルデアの機械だ何だのは、お前がやるからいいものの、マスター以外に人間なんてマシュくらいのもんだからな」

 

『モードレッド様、他に人類が居たとしても総責任者は虎太郎になりますので、私の仕事は楽になれども、虎太郎への負担は変わりません』

 

「ちょっと待ちなさい。何も無理する必要はないでしょう? 現状、人類は滅んだも同然なのよ?」

 

 

 当然の疑問を提示したのはメディアだ。

 

 総責任者ともなれば、カルデア内部の方針を決定するのも重大な仕事であるが、最も重要なのは外部交渉だ。

 カルデアは国連主催の組織であるのだが、その実態は時計塔の貴族、アニムスフィア家の研究所であった。

 アニムスフィア家は魔術師ながら米連に強い繋がりを持ち、魔術師にとって忌避すべき魔界技術にも興味を示していた。

 

 それだけの無茶を出来たのは、前当主であるマリスビリー・アニムスフィアの手腕によるところが大きいが、3年前に死亡している。

 

 もっとも彼の手腕でも、各組織との折衝は困難を極め、当初予定していた計画は遅れに遅れていた。

 マシュが安全なカルデア(手元)ではなく、米連の研究施設で生み出されたのは、そういった経緯もあった。

 

 彼の死亡後、後継となったのは一人娘のオルガマリーであったのだが、まだまだ若い彼女では好き勝手に動く組織を纏め上げられるわけもなく。

 

 虎太郎は、その隙を情け容赦なく突いた。

 合法、非合法を問わずにカルデアに必要な機材と技術と人員を揃え、偽りの身分でオルガマリーの立ち位置に成り代わったのである。

 

 そこからはやりたい放題であった。アニムスフィア家の顔を立てつつも、実権を握り、各組織には暗殺、脅迫、懐柔で首を縦に振らせた。

 それでも不可能ならば自分は一切関わらずに、情報を流すだけで組織同士の不安を煽り、対立構造を激化させ、抗争で潰しあわせて自滅させた。

 

 正に悪魔的な所業と言えよう。

 何が恐ろしいと言って、その全てが自身に辿り着けないように行われた点、自身の正体を隠し通して行った点である。

 

 そんなこんなで、国連は勿論のこと、その他諸々の組織に報告書を提出するのも虎太郎の仕事の一つだ。

 が、その仕事は現状、捨て置いても構わない筈、というのがメディアの発言の意図――――なのだが……。

 

 

『虎太郎は全てが終わった後のことも考えていますので。この案件が片付いた後、世界がどうなるのか、誰にも予測はつきません』

 

「あー……つまり……」

 

『虎太郎の発言を再生します』

 

【ふざけんな! 報告書書くの止めろだァ!? 全部終わった後に何ヶ月分かも分からねぇ報告書書かなきゃいけねーかもしれねーだろうが?! 流石に死ぬわ! あと、オレは仕事を溜めるのも、溜める奴も死ぬほど嫌いなんだよ!!】

 

「あの時の先輩の目は、死ぬほど怖かったです……」

 

「このワーカーホリック振りですわ。誰も止められねぇよ……」

 

 

 虎太郎が熟す仕事量に見かねたマシュとロビンも、同じことを考えていたようだが、どうやら上手くいかなかったらしい。

 

 

「んん? あれ? え? ………………ちょっと、マシュ、一つ聞きたいことがあるんだけど。というか、凄く嫌な予感がするんだけど」

 

「はい? 何でしょう、マルタさん?」

 

「このスケジュールって、アレよね? 三種類しかないんだけど休憩時間とか自由時間に、睡眠時間は入っているのよ、……ね?(震え声」

 

「そこに気付いてしまわれましたか……」

 

 

 マルタの発言に、神妙な面持ちで頷くマシュ。

 

 

「先輩はこの一年間――――いえ、私と出会う以前から、不眠で働き通しです(白目」

 

「あの子、頭おかしいんじゃないの?!」

 

「と言うか! 何故、マスターは死なないんですか?!」

 

「皆さん、イルカという生き物はご存知でしょうか……」

 

 

 イルカは片目を閉じて右脳と左脳、片側の脳を休める事ができ、これを半球睡眠と呼ぶ。

 哺乳類であるイルカは、魚類とは異なり鰓呼吸ではなく、肺呼吸を行っている。その為、時折、水面に顔を出して呼吸を行う。

 イルカがこのような進化を遂げたのはサメ等の外敵に気を向ける為と言われており、長距離を移動する渡り鳥の一部も、この機能を有している。

 

 

「先輩は、これができます! つまり、働きながら寝ているのです……!」

 

【……………………(絶句】

 

『……人の脳にはまだまだ解明しきれない部分があります。視覚を失った方の聴覚が鋭くなるように、右脳が眠ることで左脳が右脳の機能を代行する、というのも決して不可能ではない……かもしれません』

 

「流石は我らが主よ。無理を通して道理を捻じ曲げるとは……我等、百の同胞も従わざるを得んなぁ(震え声」

 

「……これ、自己改造の領域――――どころか、イルカや渡り鳥と同等の能力なら、もう自己進化の領域なのですが(白目」

 

「数百年を要する進化を僅か一世代一個体で…………我等が主は最狂のマスターなんだ!!(錯乱&集中線」

 

 

 虎太郎がスキル:自己改造(苦労)を有している事実に戦慄するハサンズ。

 

 脅威のゼロ睡眠を可能とした人類。

 いや、これはもう人類と呼んでもいいのだろうか? しかも、苦労を軽減するためにってこれぇ……。

 

 

「……前にさ、オレ等もそれを知って、ハサンの旦那とカルナと一緒に、これは休ませなきゃヤバいと思った訳ですわ」

 

「とは言え、言葉でどうにかなる男ではないからな。結局、力尽くで拘束した訳だが……」

 

「悲惨、の一言でしたな……」

 

 

 あのカルナですら、相手の気持ちを考慮せずに実力行使に出た、というのだから相当である。

 

 しかし、虎太郎の両腕と槍の三人ですら、どうやら相当に苦戦したようだ。

 単なる戦いであれば、人とサーヴァント、元より戦いというものになりはしないが、こと逃走に関して虎太郎は一流の英霊ですら凌駕する。

 

 カルデアにおいてスカサハに比肩しうる戦力であるカルナ。

 純粋な戦闘力に目立った点はないが、搦め手、サポートが主な役割であるロビンと呪腕のハサン。

 アルフレッドの協力もあり、どうにかこうにか捕獲した三名が目撃したのは、見るも無残な虎太郎の有り様であった。

 

 

「大将を毒で動けなくした上でベッドに縛り付けてよ、無理やり休ませようとしたんだよ……」

 

「初めの内は、仕事がー、仕事がー、と叫んでおられたのだが、次第に静かになってな……」

 

「後で確認しに行ったのだが、過呼吸になって死にかけていた……」

 

「アイツは仕事してなきゃ死ぬのかよ!?」

 

「サメかマグロか、あやつは?!」

 

 

 これまでの経験上、虎太郎にとって休息とは、今まさに襲い掛かろうとする苦労を後回しにするだけの行為でしかないのだろう。

 

 休息した分だけ、仕事が溜まる。

 誰も彼を助けてはくれなかった。

 いや、助けてくれる者は居た。居たには居たのだが、虎太郎が背負わされた苦労を乗り越えられるだけの性能がなかったのだ。

 結局、最終的には苦労が仕事と化して自らの目の前に飛び込んできた。無限の苦労性からなる生き地獄である。

 

 仕事をし続ければ、過労の果てに肉体的に死ぬ。

 仕事をしなければ、これまでの経験から追い込まれ、精神的に死ぬ。

 今の今まで肉体と精神、奇跡的なバランスを保ちながら蜘蛛の糸の上を全力疾走しているような人生である。

 

 

「こんなの、どうしろって言うんですか!」

 

「休ませなければ肉体的に死ぬ。休ませれば精神的に死ぬ。あやつの大馬鹿振りには脱帽だな……」

 

「あ、あはは、否定はしないけど、お姉さん的には衝撃の事実だから、何とかしてあげたいなー、なんて……」

 

「いや、無理だろ。大将の仕事を代行できる奴もいるだろうけど、最終的には大将が目を通さにゃ納得しねぇだろうしよぉ」

 

「その後で、苦労が増えたと、また嘆くわけですね……」

 

「まあ、オレ的に大将が女を抱く回数を減らせばいいんじゃねぇか、と思うわけですけどねぇ」

 

【…………ひ、否定できる要素がない】

 

「確かに、その通りですね。先輩の女性との一時は自由時間に含まれています。因みにパネルの時間は、私が5時間ほど先輩とイチャ♡ラブしていました」

 

「あの、マシュ殿? そのようなことは公衆の面前でおっしゃることでは……」

 

「マシュ・キリエライト調べの平均イチャ♡ラブ時間はドレイクさん、カーミラさんが5時間、ジャンヌさん、マリーさん、ブーディカさん、マルタさんが6時間、スカサハさんは8時間ほどですね」

 

【あああああっぁぁぁあぁぁあああぁぁ…………】

 

「………………………………チッ(イライラ」

 

「それから、マタ・ハリさんとア――――」

 

「マシュ? その情報は今関係ないんじゃないかしら?」

 

「そうですわね。今は、マスターのことが最優先ですわ!」

 

「……ねぇ、アン。なんか焦ってない?」

 

「気のせいですわよ!(裏声」

 

 

 思わぬ情報を暴露され、顔を真っ赤にして頭を抱える女性陣とイライラしだしたモーさんとドキドキし始めた沖田。そして、虎太郎に手を出されていない女性陣の呆れ顔が炸裂する。

 そして、見事にインターセプトを果たしたのは、男を手玉に取る悪女(マタ・ハリ)とメアリーと虎太郎の関係を気遣って、ひっそり関係を保っている悪女(アン)であった。

 暴露された女性陣は、自分だけ逃げたな、と視線を向けるが、二人は何処吹く風。寧ろ、微笑みを以て受け止める。流石の悪女である。

 

 女性陣の動揺もそこそこに、ミーティングルームに重苦しい空気で満たされる。

 英霊であっても、解決できない問題は当然のように存在する――その現実を突き付けてくるのが虎太郎の在り方というのが笑いを誘うのではあるが。

 

 

「しかし、どうしたもんかねぇ。流石のアタシも、これを聞かされて笑ってられるほど虎太郎を嫌っちゃいないが……」

 

「問題は、坊やをどう休ませるか、ね……」

 

「そう、難しいものでもないと思うが……」

 

「カルナ、どういうことです……?」

 

 

 腕を組み、顎を弄りながらの発言に、ミーティングルームに集まった皆の視線がカルナに集まる。

 それでも彼に動揺はない。カルナのコミュ力は、このカルデアに来てから爆上がり状態だ。いつも通りの涼しげな無表情で滔々と語り出した。

 

 

「虎太郎は我々とは違う。何か一つの道に邁進することの重要性を理解しているが、同時に多様な道を見据えて進む重要性もよくよく理解している」

 

「あー……まあ、確かに、一度決めたら道を譲らないところはあるわよね、英雄(わたしたち)は……」

 

「その通りだ、タラスコンの聖女。我々は最後まで己の定めた道を歩み続けた。何の猜疑も、不信もなくな。だが、アレは違う」

 

 

 常に自身の選択を疑い、それ以上の効率の良い道がないのかを模索し続ける。

 とても英雄とは言い難い在り様。満ちるを知り、同時に諦めるも知る。その上で、決して目的を見失わず、最後の瞬間まで足掻き続ける。

 

 その“()()()()()()()()()”に何か思う誰かが居るのか、カルナはすっと目を細めた。

 

 

「アレはどうしようもなく人間だ。その極北に在りながら、物事を中立中庸で捉えようとする」

 

「つまり、どういう……?」

 

「酷く乱暴ではあるが、力尽くで休まざるを得ない状況に叩き落とせば、勝手に順応する。初めの内は監視が――いや、介護が必要ではあるがな。問題は……」

 

「どう休ませるか、ではなく、何処で休ませるか、ということね」

 

 

 カーミラの発言に、カルナは無言で頷いた。

 

 それぞれが虎太郎が休ませるには、何処が良いのかに思いを馳せる。

 のだが、彼等の記憶にある虎太郎は、仕事をしているか、苦労をしているか、努力の方向音痴をしているか、女を抱いているかしかなく、中々思いつかないようである。

 

 

「あー、…………はい! はいはいはい!」

 

 

 うーん、と総員が頭を捻っている中、沈黙を引き裂いてモードレッドが笑顔と共に手を上げた。

 

 

「オレにいい考えがある!」

 

 

 ようやく浮上した妙案であった、モードレッドの台詞回しに、全員が不安を覚えたのは言うまでもない。

 

 

「海だ! 海に行こうぜ! 季節外れだが、オケアノスのどっかに気候も丁度いい無人島の一つや二つあるだろ?」

 

「海ですか。いいですね。無人島でも準備を整えれば、問題なく生活できますし」

 

「へへっ、だろ? それにここ最近は全員が全員、戦い通しだ。マスターも休めて、オレ等もパーっと遊ぶ。これが効率の良い休暇、ってな」

 

 

 モードレッドの提案に、沖田は何も考えずに肯定の言葉を吐いた。皆はそれぞれ納得や不満を抱えながらも否定はしない。

 この分では、オケアノスの何処かで休暇(虎太郎承認無)ということになりそうである。

 

 

 ところで、こんな言葉を聴いたことはあるだろうか。

 

 曰く、ペットは飼い主に似る。

 

 マスターとサーヴァントの関係にも当て嵌まるか、と問われれば、誰もが首を捻らざるを得ない。

 触媒を使わない、いわゆる縁による召喚では、召喚者に似通った性質の英霊が召喚されることもある。

 だが、それは初めから似ていただけであって、サーヴァントがマスターに似てくることとは、別の話――――なのだが。

 

 モードレッドはまだ知らない。彼女もまた虎太郎に似てきている。

 どの辺りが、と問われれば、苦労する辺りが、と答えざるを得ない。

 

 輝くモーさんの笑顔は曇ってしまうのか!

 そして、虎太郎は更なる苦労を前に、死んだ魚の目(平常運転)になってしまうのか!

 

 その答えは、苦労さんのみが知るのである。因みに、彼はもう既に愉悦状態とだけ言っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 カーミラ

 

 ☆4アサシン。ドMチョロイン枠。対女性戦闘担当。……触らないの?

 

 ある意味、彼女もエリちゃんの派生キャラ。

 彼女の加入は、大体第一章の終わりから第二章の始まりくらいの間。

 クラス相性を無視して女性に対して極めて強烈なダメージを与えられる宝具に目を付けられて召喚される。

 召喚された当初は警戒を露わにしていたのだが、その内心――孤独な最期に対する思いを見抜かれて、コロっといく。

 しかし、彼女は彼女なりのプライドがあるらしく、表向きには高慢な態度を取る。

 

 性格的な相性は悪くない。

 生前が生前だけに、虎太郎の手段にドン引きはするものの、妥当ねと受け入れる。

 時折、虎太郎には自分と同じようにはなってほしくないらしく、口を挟むものの、最終的には言い包められてしまう。

 

 彼女が虎太郎に協力する理由は特にない。

 彼女にとって世界も人理も、ただ貪り喰らうだけのもの。

 聖杯に対して、永遠の若さを求めているものの、既に英霊となった身には不要である為、それほど欲しているわけではない。

 

 作中からも分かるように、御館様に喰われちまっている。

 彼女は若かりし頃の姿――エリザベートとは異なり、自分の運命を受け入れている。

 自らに救いなどなく、世界が終わったとしても、何一つ救いがないことを理解しているのだ。

 けれど、救済を望んでいないわけではなく。また、自身を罰してほしいと心の何処かで望んでいる。

 

 なので、エロの時はそりゃもうドMと化す。

 痛いのも、苦しいのも嫌いではない、むしろ好き。

 拘束されて犯されたり、罵られて犯されると自分でも訳が分からなくなるほどに感じてしまう。

 でも、一番好きなのは、その後に優しくされること。こりゃ完堕ちですわ。

 御館様はドSはドMの素養も秘めているとのこと。流石、性技の味方は言う事が違う。

 

 最近、一番感じてしまったのは縄で縛られた後に、縄跡を舌で舐め回されたこと。

 挿入されるまでもなく、性感帯でもない肌で、絶頂してしまった。

 

 余談であるが、このカーミラは、精神的に丸くなっているので、あのトゲトゲしい金属性の装飾はなく、ただのドレスのみとなっています。

 

 

「なぁ、そういや最近、血を要求してこないが、大丈夫か?」

 

「貴方は鳥頭ではなかったと思ったのだけれど、違ったようね。サーヴァントの身には魔力供給だけで十分でしょうに」

 

「ああ、お前にとっちゃ吸血は生態ではなく、娯楽だ。だから、不思議なんだろう?」

 

「…………貴方の血が、煙草臭くて嫌なだけよ。止めたらのなら考えるわ」

 

「くくっ、こっちの健康まで気を使ってくれるのか。嬉しいねぇ」

 

「何を言うかと思え――――――いっつぅ!」

 

「じゃあ、こっちが噛みついてみようか」

 

「や、やめ、あぁっ♡」

 

 

 こんなピロートークからの再戦があったとかなかったとか。

 

 

 

 

 

 マタ・ハリ

 

 ☆1アサシン。チョロくないヒロイン。対男性魅了&諜報担当。そうして結局、小指と小指が一番気持ちいいのよね

 

 虎太郎&アルフレッドカルデアにおける最古参。アマデウスと同時期に召喚された。

 その諜報能力はオルレアンで遺憾なく発揮。また魅了の効果を持つ宝具は場面場面で御館様の助けとなった。

 生前の職業が職業だけに貞操観念はそれほどでもないが、ガードはバリカタという、人懐っこい言動からは想像できない気難しい女性。

 

 性格的な相性は、その実最悪。

 根本的に他人を信用していない御館様とスパイであっても誰かに信じて貰いたい彼女とでは当然であろう。

 彼女にとって男と言う生き物は、たったそれだけで警戒に値し、尚且つ翻弄すべきもの。殊更、御館様のような男は、天敵であると同時に宿敵でもある。

 表向きには従いつつ、裏では何処で離反するかを常に探っていたほど。

 

 彼女が虎太郎に協力する理由は、“聖杯を欲している”が故。

 逸話からも分かるように、彼女の戦闘能力は極めて低い。通常の聖杯戦争では、聖杯を手に出来る可能性は、無きに等しい。

 それ故に、このグランドオーダー案件。或いは、多対多の聖杯戦争こそが、彼女が聖杯を手に入れられるチャンスなのだ。

 

 勿論、彼女も御館様に喰われている。

 相性が最悪なだけに、最初期に召喚されながら、最も最後に喰われている。

 第一章から第六章までの間、警戒と離脱の機会を探っていた彼女であったが、その間、徐々に御館様の性質を理解していった。

 

 “相手が望まなければ手を出さない”

 “己は信じておらずとも、己を信じるものを裏切らない”

 “身勝手ではあるものの、最低限の責任を果たす”

 

 彼女の嫌う男と似通っているが、ギリギリの合格点を与えられる御館様を認めつつあった。

 決め手は第六章終了後に、保有していた聖杯の欠片をポンと与えられたこと。

 

 

「もういいぞ。残りの特異点はあと一つ。その後はソロモンを倒すだけだ。お前がいなくても、残りの連中でどうにかなる。よくやってくれた。お前はお前の望んだものを手に入れろ」

 

 

 自身の内心と望みを見透かしつつも、必要だからと使い、これ以上は望まないから好きにしろという言葉に、彼女は呆れると同時に覚悟を決めた。

 最後の瞬間まで、この男と共に戦い抜く、と。地獄の底まで共にする、と。

 そこでようやく、彼女から虎太郎を求め、身体を許したのである。

 

 つまり、愛しい旦那様を見つけた新妻ということだよ!!

 

 最近、一番嬉しかったのは、御館様がマタ・ハリという踊り子としての芸名ではなく、本名の愛称“メグ”と呼んでくれたこと。

 そこからはもう、ラーマ&シータ、ガッウェ&ラグネルに勝るとも劣らない、ゲロ甘新妻プレイが捗った。

 

 

「あっ、あっ、やぁっ! ま、待って、あなた、待ってェ……!」

 

「……どうした?」

 

「し、知らないの。私、こんな、誰かに、心を許したことも、愛されるのも、知らないから……怖い、の」

 

「ふーん。じゃあ、オレが教えてやるよ、メグ」

 

「んきゃぁっ、ひぃん、ま、まっ――――ひ、あぁあぁぁぁあぁっっ♡」

 

 





というわけで、もう大分時期が過ぎちゃったけど、水着イベの導入部だ、オラァ!!
 あと、モーさん地獄変の始まりやで(にっこり

そして明らかになる御館様の秘密。
もう何なのかね。色んな人外マスターがいるけど、コイツだけは別ベクトルっていうか。苦労を乗り越える為だけのものっていうかね、もう。

ではでは、自分はイベントに戻ります。もうジャンヌサンタは宝具MAXにしたが、まだ再臨素材とフォウさんを揃えてねぇからな、走るぞ走るぞぉ!
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