※この作品はR-18です。

「もしも苦労人がカルデアのマスターだったら」   作:HK416

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注意! 注意!

この話は、FGO第七章の重大なネタバレを含みます!
まだ第七章『絶対魔獣戦線バビロニア』をクリアしていない人は見ちゃだめです。

まあ、公式がピックアップガチャで盛大なネタバレをぶちかましてくれていますが、そこはそれ。

ストーリーやら設定だのの重大なネタバレのオンパレードだから、絶対に見ないように。読んでから文句は受け付けられないからね!


『苦労人も、最後の最後で頼りになるのは自分の肉体、とか考えているので、あの王様とはとっても仲良し』

『仕事 or 遊び。迷いなく震え声で仕事を選ぶのが苦労人の証』

 

 

 

 

 

 今日も今日とて、襲い来る仕事を片付けては次へ、片付けては次へを繰り返しているかに思われた虎太郎であったが、今日は違っていた。

 執務室の机に脚を乗せ、何らかの資料に目を通しているだけだ。執務室は、五車学園の地下にある一室と変わりのない構造であった。

 

 別段、珍しい光景でもない。

 彼は、ただひたすらに仕事の処理能力を上げており、こうした手持無沙汰になる時間というものも存在するのだ。

 

 

『月300時間の残業を三ヶ月熟して半人前以下だな』

 

『じゃ、じゃあ、一人前と呼ばれるには……』

 

『その3倍の仕事量を定時で終わらせられれば一人前だ(真顔』

 

 

 かつてマシュとの間に、このような会話があり、絶句させたこともある。

 流石、苦労人だぜ。頭のネジが何十本も外れている。

 

 

「ねぇねぇ、おかーさん」

 

「ねぇねぇ、マスター」

 

「……なんだ? ジャック、ナーサリー、お前等がオレの仕事部屋に来るなんて珍しいな」

 

 

 その時、ひょっこりと机の端から顔を出したのは子供組二人だった。

 

 無論、虎太郎が気付いていないわけもない。

 カルデアにて召喚されたサーヴァントはアルフレッドによって自らの意思では霊体化できないようになっている。

 よって、誰であれ、部屋の中には扉を開けて入らざるを得ないからだ。

 

 加えて言えば、アサシンのクラスは気配遮断のスキルをカルデア内では使用を禁止されている。

 その気になれば、他のサーヴァントの私生活を覗ける、というのが虎太郎の主張である。

 

 が、実際にはサーヴァントにすら明かしたくないモノを隠しておくためのものだ。

 もっとも、アルフレッドのセキュリティであれば、気配遮断EXですら捉えかねないのだから、呆れた猜疑心である。

 

 

「わたしたち、お願いがあるの……」

 

「聞いて下さる……?」

 

「…………お願い、ねぇ」

 

 

 ジャックとナーサリーのお願いに、虎太郎は犬の糞でも踏んづけたような顔をする。相当嫌なようだ。

 彼女等の保護者に近いジャンヌやモードレッド、ロビンやハサンは呆れ果てた顔をするだろうが、生憎と彼等は其処には居なかった。

 

 しかし、虎太郎の頭の上に疑問符がついた。

 ジャックやナーサリーが、こんな前置きをするのは珍しい。

 二人の場合、相手に前置きをするよりも早く、自分の願いを口にするからだ。

 

 とは言え、虎太郎はマスターである。

 大抵の魔術師のように、サーヴァントは英霊の姿と力の一端を持っただけの使い魔、という認識は極めて薄い。

 

 むしろ、自らの目的のために力を借りている協力者、という認識だ。

 それ故、彼等の願いや提案を大抵は受け入れる。無論、自身の叶えられる範囲、自身に害が及ばない範囲ではあるが。

 

 令呪に関しては、あくまでも簡易的な安全装置や交渉材料の一端としか思っていない。

 一日に一画補填されるが、最大で三画までしか保有できない。

 これだけのサーヴァントを抱えるカルデアだ。これを頼りにしては、結託して反旗を翻されれば、手の打ちようがない。

 地道な関係の構築、心地良い職場、適度な娯楽の提供こそが、管理者の求められ、裏切られない秘訣だと知っているからこそ、頼りにしていない。

 

 

「わたしたち、海に行ってみたい!」

 

「ロンドンもアメリカもエルサレムも海がなかったのだわ!」

 

「海、ねぇ……別に、行って面白いもんでもねぇと思うけどな」

 

 

 ジャックはロンドンという範囲で暗躍した殺人鬼。

 人々が、ジャック・ザ・リッパーの正体はこういったものに違いないという、人類史のブラックボックスから現れた概念に近い英霊。

 

 ナーサリーもまた同様。

 ナーサリー・ライムという物語が子供達に愛され、その愛を受け止めていった物語が一つの概念となり英霊となった存在。

 

 二人とも“海”という知識はあれども、実際に見た事などありはしない。

 見た事のないものに対する興味。まだ見ぬものに対する好奇心。二人にとって、それこそが全てを回す原動力。二人の瞳に宿った好奇と期待の輝きに嘘偽りなどありはしない。

 

 

「うみー! いーこーうーよー!!」

 

「夏と言えば海! 海と言えばサマーバケーション! 水着! 海の家! スイカ割り!」

 

「もう夏じゃないんですけどねぇ……」

 

『私を海に連れてって!』

 

「何処の南ちゃんかな? お前等二人とも、ネタが古いんですが…………まあ、海かー」

 

 

 まともな大人なら、うっ、と目を逸らしたくなる子供の輝く笑顔と無邪気な眼差しであったが、虎太郎をそれを受け止めてなお嫌そうな表情を止めない。

 だが、その言葉に何か思うところがあったのか、あー、と椅子の背もたれに体重を預け、天井を仰ぎ見る。

 

 

(そういや有給とか考えてなかったな。休みも欲しがるもんも十分にくれてやってるが、給料渡してるわけじゃねぇし。ブラック企業だよな、オレのカルデア……ブラックダメ! ゼッタイ!)

 

「おかーさん、何かブツブツ言ってる」

 

「ジャック、大丈夫! きっといつもの努力の方向音痴よ!」

 

「なんだ、いつものことだった」

 

「うるせーよ! …………海。海ねぇ。海かー……しゃあない。行くか、海? 社員旅行ということで」

 

「やったー!」

 

「素敵! 素敵よ、マスター!」

 

「へーへー。じゃあ、お前等も協力しろ。まずは他の連中に伝えてこい。出発の日時は三日後。それまでに各自必要なものを揃えておくように、ってな」

 

「「はーい!」」

 

 

 彼にしてみれば意外なほどあっさりと折れ、二人の願いを聞き入れた。

 その理由が、自分が現在進行形で苦しむだけ苦しんでいるから、というのが笑いを誘う。もとい、涙を誘う。

 

 わーい、とハイタッチしてにっこり笑うと、二人は部屋を後にする。敏捷のランクが上のジャックがナーサリーを引き摺る形であった。

 

 その微笑ましい姿に虎太郎は一切笑うことなく、相変わらず何を考えているのか分からない無表情で手元の資料に視線を落とすのだった。

 

 

 

 

 

―――――

――――

―――

――

 

 

 

 

 

「モーさぁん! やったー!」

 

「マスターが、海に連れて行ってくれるそうよ!」

 

「でかした、お前等!」

 

 

 場所は変わり、カルデアの食堂。

 今回の発案者にして仕掛け人であるモードレッドは、駆け寄ってきた二人を抱き上げ、喜びの余りにくるくるとその場で回り出した。

 

 モードレッドも、虎太郎の性格というものを理解している。

 彼にとって子供は、好きでもないし、嫌いでもないものだが、義務として庇護すべきものと認識しているのは知っていた。

 よって、自分達が虎太郎を気遣って慰安を申し出るよりも、子供たちによる純粋な願いとして伝えた方が得策と考えたようだ。

 

 女性陣は会議に参加していた者、いなかった者問わずに集まっており、今回の狙いは兎も角として、休暇・慰安としてのイベントには興味があるようだ。

 恐らくはこれから私服に着替えていくつかのグループに分かれ、並行世界にレイシフトして買い物に向かう事だろう。

 

 さて、男性陣は、と言えば。

 戦闘時は虎太郎という指揮官、頭脳の下に動く手足という役割を甘んじているが、私生活における協調性というものはないも同然だ。

 アマデウスはクズだし、黒髭はオタク、小太郎は武器の手入ればかりしており、ガウェインとラーマは嫁とイチャついている。

 協調性があるのは、虎太郎に近しい三人組とヘラクレス、アステリオスのバーサーカー組のみ。どうしてこう、男と言う生き物は社会性よりも個人の自由を優先するのか。

 

 そんなわけで、ロビンと呪腕のハサン、カルナの三人組はイベントの準備を女性陣に任せて、とある一人のサーヴァントと共に食堂の片隅に集まっていた。

 

 

「はぁぁぁああぁぁああぁぁ…………」

 

「おい、その地震兵器みたいな溜め息やめてくれよ」

 

 

 溜め息だけで机を振動させ、手元の湯呑をパリーンと粉砕したのは我らがゴールデン。バーサーカー、坂田 金時である。

 これからに思いを馳せて気分が落ち込んでいる金時を、ロビンは机に頬杖を突きながら呆れ顔で諫める。

 

 すると、金時は、すまねぇと首を振り、気を持ち直した。

 

 

「何もそこまで……金――もとい、ゴールデン殿。寧ろ、貴方はこういったイベントは好きなのでは」

 

「嫌いじゃねぇ。嫌いじゃねぇよ? でもよぉ、女衆の露出が……」

 

「初心な事だ。あの牛魔の母は、その程度では済まなかっただろうに」

 

「いや、バーサーカーの頼光サンはアレだけどよ、生前のあの人はかなり理性的だったんだぜ? オレや他の四天王とか仲間に対しては。ヤバい人には変わりねぇが」

 

「でなけりゃ、バーサーカーになんてならねぇし、狂化EX引っ提げてやってこないでしょぉよ」

 

「だなぁ……だよなぁ……」

 

「まあ、だからこそ主殿も即自害させたわけですが……」

 

「頼光さんにゃ悪いが、ウチのマスターだぞ。残念ながら当然だろ」

 

「自分の母親代わりが殺されたことについては……?」

 

「酒呑と、よりにもよってレイシフトルームで殺り合おうとしたんだろ? あそこはカルデアの要じゃねぇか。庇いてぇけど庇うに庇えねぇよ。それに、オレは本当の母親を同じ四天王の碓井さんに討たれてるんだぜ? そこら辺に関しちゃ、オレッち自身も驚くほどドライなんだよなぁ……」

 

((…………コイツが大将(主殿)に着いてきてくれる理由の一端が分かった))

 

 

 坂田 金時。幼名は金太郎。日本における最高の知名度を誇る英雄である。

 かの“神秘殺し”源 頼光が四天王。数々の鬼退治、土蜘蛛退治に参加した武人。

 その正体は純性の人間ではなく、雷神である赤龍と足柄山の人食い山姥の間に生まれた魔性の子。

 頼光の教育――というよりも寧ろ、碓井を中心とした四天王の手助けと当人の生まれ持った気質によって、人の道を歩み、英霊となった平安時代の武士(もののふ)

 

 なのだが――ガキ大将がそのまま大人になったようなものなので、精神年齢は小学生低学年並のお馬鹿さんである。

 おかげで、召喚されてからあっという間に現代の俗世に染まり、現代風の衣装を纏っている。

 

 しかも、馬鹿なのだが、会話からも分かるように、かなり理性的な人物だ。

 バーサーカーとして召喚されているのだが、狂化のランクはE。ほぼあってないようなものである。

 

 因みに、男性陣の人間出来ているランキングでは、カルナ、ハサン、ヘラクレスが最上位にランクインするのだが、次ぐ位置に来るのが金時だ。

 ちょっと卑屈過ぎるという理由で、その後にロビンが続き、遠慮が過ぎるという理由でアステリオスが続く感じである。

 

 おい、どういうことだ。バーサーカーがランキングの上位を半分も占めているぞ。サーヴァントのクラスとは、属性とは一体……。

 

 

「まあ、オレはオレで楽しむさ。ガウェインだのモーツァルトだの黒髭だの抑えに回るからよ。あとはヘラクレスとガキ共の世話でもすればいいし、酒呑みたいにこっちを揶揄ってくる女もいないしな。お前等もお前等で、ワーカーホリック気味なんだから、ゆっくり休めよ」

 

「っつってもなぁ。急に休みって言ったってよぉ。大体、最後の特異点も修復しちまったし、休んでる場合じゃないってのも理解できるんだよなぁ」

 

「だな。こちらとしては、掃除でもしていた方が適度に気は休まるが……」

 

「お前達も虎太郎に似てきているぞ。苦労性な辺りが、特にな」

 

「「…………ぐはぁっ?!」」

 

「おいおい。カルナァ、いくら本当の事だからって、オブラートに包めよ」

 

「…………すまない。またやってしまったか」

 

 

 そう、既に第七の特異点であったウルクの人理修復は終了している。

 残すは魔術王ソロモンのみ。そして、カルデアは外部からのクラッキングを受けた。

 魔術王が座す人類史に存在しない特異点に向けて引っ張られている状態にあったのだ。

 

 さながら、ブラックホールに引かれるスペースデブリのように。その結末も同様のものとなるだろう。

 

 にも拘らず、休暇などとのんびりした雰囲気なのかと言えば、どう考えた所でアルフレッドのお陰に他ならない。

 

 アルフレッドは魔術王のクラッキングに対して、真っ向から勝負を挑んだ。

 単純な魔術の技量、という点においてアルフレッドは魔術王に及ばない。魔術王に行使できても、アルフレッドに行使不可能な魔術も存在しているのが現実だ。

 

 それ故、アルフレッドは魔術の質による防衛ではなく、数による防衛へと即座に切り替えた。

 数百の防衛、妨害の魔術が秒単位で破砕される中、数千の防衛、妨害の魔術を秒単位で再展開し直す。その上で、一つ一つの魔術の効果は変えず、術式(みちすじ)の書き換えを行って、である。 

 

 本来であれば、魔術の祖たるソロモンには魔術で戦いを挑むこと自体が愚かしい。そもそも、人類の行う魔術は完全に無効化される。

 だが、アルフレッドは其処に独自性を加えることで対抗した。

 生み出す効果は変わらずとも、過程を変えることで本来の魔術とは別のものへと変化させる。

 更には機械技術までも組み込み、果ては魔界の魔術・魔法のアレンジを加えた魔術は、最早、原型を留めぬオリジナルだ。

 

 これに当たり、参考にしたのはトーマス・エジソン、エミヤの二名による宝具改良の経験(データ)であった。

 人理修復の旅で成長したのは、何もマシュだけではない。最新の機械仕掛けの神もまた、様々な出会いを経て、成長している。生まれた時から完成された神霊にはない利点だ。

 

 自らの不利と不毛さを理解したのか、魔術王はクラッキングを中止。

 現在、カルデアは特異点・冠位時間神殿ソロモンと一定の時間と空間距離を保ちつつ、静止状態にある。

 

 虎太郎とアルフレッド。この二人は魔術王を何度涙目にさせれば気が済むのだろうか。

 

 いや、気が済むことはないだろう。

 虎太郎は相変わらず、魔術王を敵と言うよりも仕事上の邪魔者程度の認識しかない。

 アルフレッドは、魔術王を命を弄ぶ者として認識しており、おこなの? と問えば、激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームです! と返す程度には怒っている。

 

 挙句に、多くを敵に回し過ぎている。他の英霊も殺る気満々である。これはもう駄目かも分からんね。

 

 

(…………でもなぁ)

 

(大将がさぁ……)

 

(……このようにあっさりと)

 

(休暇を受け入れるとは思えんな……)

 

 

 特異点で涙目になっている魔術王を余所に、四人の心には一抹の不安が燻り続けていたのであった。

 

 

 

 

 

―――――

――――

―――

――

 

 

 

 

 

「イヤッホォォォオオウ! 遂に来たぜ、待ち遠しかったなぁ~!」

 

「いやぁ、モードレッドさん、そんな修学旅行前の男子中学生じゃないんですから」

 

「うぅん、モーさんは精神的にはちゅうがくせい」

 

「そうね。酷いの、酷いわ。お陰様で寝不足よ」

 

「えぇい、モードレッド、貴様と言う奴は……!」

 

 

 この三日間、テンションアゲアゲ↑のモードレッドに付き合わされたジャックとナーサリーは、これから出発だというのに既におねむのようだ。

 保護者役であるアタランテとヘラクレスの鋭い抗議の視線が突き刺さるが、当の本人は何処吹く風、ズンズンとダンスなんか踊っている。どれだけ楽しみなんだね、叛逆の騎士よ。

 

 そうこうしている内に、レイシフトルームにサーヴァント達が集まってくる。

 

 その中には当然、男性陣も含まれるのだが、ふとロビンが一つの疑問を口にした。

 

 

「え、あれ? アンタら、その服装で行くのか?」

 

 

 男性陣は皆、それぞれのイメージカラーにあったアロハシャツを着ていた。

 割とノリがいいロビンやアマデウス、黒髭、三馬鹿である金時、ガウェイン、ラーマは勿論のこと、紳士のヘラクレス、天使のアステリオス、施しの英雄カルナもである。

 

 対し、女性陣はサーヴァントとしての服装のままであった。

 戦闘中でも魔力の供給で復元する優れものではあるが、これから向かう南の島では相応しい恰好とは言えないだろう。

 

 

「よし、ではお主達、一所(ひとところ)に集まるがよい」

 

「ん? 何をするつもりでございますかな?」

 

「ふふっ。光栄に思うがいい! 霊基の書き換えが行えるのは、この私の原初のルーンだけだ!」

 

「何という能力の無駄遣い……」

 

「いや、呪腕の、戦闘以外にも用いれるのであれば、有効活用とは言えるのではないか?」

 

「つーか、わざわざアロハシャツ買いに行った俺等が馬鹿みてぇじゃねぇですかぁ?!」

 

 

 ふぁさ、とスカサハが取り出した白い布が女性陣を包み込む。

 原初のルーンが刻まれた布の中では一体どのような神秘が行使されたのか、布の中から水着姿の女性陣が次々現れた。

 

 恐らく服装だけではなく、中にはクラスも変更された者がいるであろう辺り、スカサハの規格外振りが分かろうと言うものだ。

 

 

「常夏の島に行くからと言って、みな頭のネジが緩くなって……」

 

「言ってやるな。愉悦というものは様々な意味で人を狂わすものだ。かくいうオレも僅かばかり楽しみでな。生前は、このような馬鹿騒ぎには恵まれなかった」

 

「…………カルナ殿」

 

「……しゃーねぇ。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆でも踊らにゃ損って言うからな。偶には、頭を空にして楽しむかぁ」

 

「だな。酒も食事も十分に用意しております故。此度は皆で阿呆になりましょうか」

 

「――――感謝する」

 

「ふう。いやはや、申し訳ない。遅れました」

 

「おや、これはレオニダス殿、どうか為されましたかな?」

 

「いえ、マシュ殿と打ち合わせをですな。はっはっは」

 

 

 他のサーヴァント達から遅れて現れたのは、ランサー・レオニダス一世。無論、彼もアロハシャツを装備中だ。珍しく自前の兜を脱いでいる。

 

 レオニダス一世。スパルタ教育の語源ともなったスパルタの王。

 彼の名が人類史に英雄として刻まれたのは、ギリシャに侵攻してきたペルシャ軍を三日に渡って、足止めをしたテルモピュライの戦いにある。

 圧倒的な戦力差。避けようのない死の運命。それら全てから目を逸らさず、運命に棄てられながらも、何一つ捨てなかった炎の王。

 

 虎太郎とも節度ある友人関係を保っているが、それ以上に仲が良いのがマシュだ。最早、二人の関係は師弟と呼んでも差し支えない。

 

 見れば、マシュも女性陣と合流していた。

 生憎と、彼女はデミ・サーヴァント。霊基を書き換えた所で水着姿になることはない。レイシフトをした先でゆっくり着替えるのだろう。

 

 その時、レイシフトルームの扉が開く。

 入ってきたのは今回の慰安の主役、虎太郎であるのだが、彼の姿を目にして大半のサーヴァント達は目を丸くした。

 

 

「ふぁあ……何だ、お前等、揃いも揃って気合入ってんな。いや、もう水着って、気が早くねぇ?」

 

 

 それもその筈、虎太郎は普段と全く変わらない服装だったからだ。

 何処にでもいる年相応の服装。特に目立ったものはなく、目を引くものもなく、人前に出ても恥ずかしくない格好であるのだが――――これから向かう常夏の島では暑苦しいことこの上ない。

 

 ジーンズに白いTシャツ、黒いライダースジャケット。

 一見、何の変哲もない服ではあるが、虎太郎自身が誂えた対魔忍装束。特殊繊維による物理的な防御は勿論の事、メディアの護符によって魔術的な防衛も施された正に戦装束だ。

 

 

「……虎太郎、アンタその格好、どういうつもりよ?」

 

「何だよ、マルタ。どうもこうもないだろ。普段通りの服装だろう?」

 

「あのねぇ、坊や。これからバカンスよ? いくら時期外れで、決戦前の馬鹿騒ぎと言ってもね――――」

 

「は? いや、メディア、オレは行かねーよ?」

 

『えっ』

 

「え?」

 

 

 虎太郎の発言に、互いが互いに向けて、何を言ってるんだコイツは状態であった。

 

 サーヴァント達にしてみれば、イベントを楽しむのは寧ろオマケ。

 本来の目的は虎太郎を休ませることだ。虎太郎の発言に目が点になるのも無理はない。

 

 虎太郎にしてみれば、あくまでもサーヴァントに対する労いが目的であって、自分が休むことなど初めから頭になかった。

 そもそもカルデアは現在の拠点だ。いくらアルフレッドが居るからと言って、全てを任せるなど偏執狂の彼には到底許容できるものでもない。

 ましてや、カルデアのトップという自覚もある。彼が此処を空にするなど、それこそ全てが終わった後でしかありえない。

 

 よくある悲しい擦れ違いである。

 この後に起こるのは、話し合い――――なのだが、それは通常の話。虎太郎とサーヴァント達であれば話は別だ。

 互いの性質というものを、よくよく理解し合っている。事ここに至って、話し合いで解決など出来る相手ではないのだ、と……!

 

 先に動いたのは、やはり虎太郎であった。

 この場において、共感せずとも他者への理解深い彼のこと、サーヴァント達の動揺から何を考えていたのかなど造作もない。

 

 一目散に、脱兎の如く。レイシフトルームの扉へ向かって走り始めた。

 

 サーヴァント達は一手遅れてしまった。

 全力で逃走する虎太郎を殺すならまだしも、捕らえるには彼らの保有するスキルを全投入せねばなるまい。

  

 だが、この事態を予測していた者がいないわけではなかった……!

 

 

「レオニダス王、今です!」

 

「ムァスタァァァァ!! 時には筋肉(おのれ)を休ませる必要もあるのです! 見ませい、スパルタの魂を此処に! ――――――炎門の守護者(テルモピュライ・エノモタイア)ァァァァァァァッッっっっっ!!!」

 

「あっつぃっ!」

 

 

 瞬間、レオニダスの宝具が発動する。

 

 逃げようとする虎太郎の周囲を炎が包んだ。

 その炎こそ、スパルタの魂そのもの。かつて“熱き門”を守り抜いた三百の精鋭。彼の宝具は、その歴史的事実を瞬時に再現する宝具である。

 炎はやがて形を成し、盾と槍を手にしたスパルタとなるのだが――――今回は、訳が違っていた。

 

 

「何だ、スパルタ共がオレを中心に円形のスクラム組んでるぞ、コレェ!?」

 

「暑苦しい……!」

 

 

 虎太郎が眼前の光景に悲鳴を上げ、メディアが率直な感想を口にする。

 

 そりゃそうである。なにせ、あのスパルタだ。筋肉モリモリマッチョマンが三百人もスクラムを組んでいれば、絵面はそれはもう暑苦しい。

 しかも、皆さん笑顔である。これじゃあスパルタではなくスパルタクスだ。

 

 

「だが、甘いぞマシュ、レオニダス。オレがこの程度の障害から逃げられないとで、も、…………何だ、このBGM?」

 

「甘いのは貴方です、ムァスタァ! 私はあくまで前座……!」

 

「あー、これ。王者の魂だね。ジャイアント馬場の入場曲。プロレスの入場曲って幼稚で稚拙だけど、盛り上げに関しては超一流なんだよなぁ……」

 

「ぬぅ、しかしアマデウス氏。この状況でこれがかかるということは……」

 

「――――彼女以外に誰かいるのかい?」

 

「…………………………ハっ?!」

 

 

 そう。彼女だ。

 生贄の儀式を否定し、人類とルチャ・リブレをこよなく愛する南米の神性。

 

 因みに、彼女のおかげでサーヴァントの内、何名かがプロレスに嵌った。アマデウス、黒髭もその類である。

 

 虎太郎がその気配に気付き、視線を送ったのは天井付近にあるロボットアームの先。

 彼の視線に合わせて彼女にスポットライトが当たる。この演出はアルフレッドによるものだろう。

 

 

「hola! buenas tardes! お久しぶりデース!」

 

「お前か、ケツァル・コアトル……!」

 

「イエース! アルフレッドとジャンヌ、マシュに呼ばれて来ちゃいましター!」

 

 

 南米はアステカ神話における最高存在の一柱、翼ある蛇(ケツァル・コアトル)

 生命と豊穣の神。文化の神。雨と風の神。戦いの神。明けの明星の具現たる善神トラウィスカルバンテクートリ。マヤ文明のククルカン。

 様々な文明で違った形で現れ、あるいは同一視される善神――――彼女は、その分霊の一つだ。

 

 南米の神霊は、また一風変わった在り方をしている。

 人間に乗り移るのだ。ある種のウィルスのように人間に寄生し、その内部構造を作り変え、記憶を継承する。

 いらなくなった部分を淘汰し、必要な部分を成長させ、文明を繁栄させながら、人類を見守ってきた。

 

 彼女の場合、最終的にはテスカトリポカ神に、その全てを台無しにされてしまったが、その程度で在り方を変える筈もなく。

 

 ある影響からウルクに召喚され、人類の殺戮を謳いながらも、腹の底では人類の繁栄を願っていた太陽の女神である。

 

 

「お姉さん言ったでしょう? しっかり休息を取りなさいって。身体の内側から崩れちゃうわよ?」

 

「うるせー! 今やることやらないと、後から苦労すんだよ! どの道、オレの身体が内側から崩れるのは確定ですー!」

 

「オォウ、なんて哀れな。肉体が破滅するのが先か、仕事を終わらせるのが先か、というチキンレースね。でも、お姉さんはそんなの許しまセーン! トォウ!」

 

「あ! スーパーヒーロー着地だ! スーパーヒーロー着地するぞ! アレ膝悪くするのに皆やる!」

 

 

 圧倒的な肉体の強度を見せつけるよう受け身を取らず、凄まじい音と共に着地するケツァル・コアトル。

 降り立ったのはスパルタがスクラムを組んで作り上げたリングの内側である。

 

 

「さあ、マッスルチェーンデスマッチの始まりデース!」

 

「じょ、冗談じゃねぇ! もう二度とお前とルチャるか! こちとら何度死んだか分からねぇってのに!」

 

「安心してくだサーイ! 今回はプランチャは封印ネー! ――――だから、優しく堕としてあげるわ」

 

「はっ、ぐおぉぉおおぉおおおおぉぉっぅ?!!!?」

 

「あ、アレは……!」

 

「知っているのかい、黒髭!」

 

「プロレスにおける殺人技ッ、シンプルにしてディープッッッ! フロントネックロックッッ! 別名――――」

 

「――――ギロチンチョークッッッッ!!!」

 

「ギロチン…………私、あの技は嫌いだわ」

 

 

 黒髭とアマデウスの解説に、マリーの輝きが損なわれたのだが、周囲はそんなことを気にしない。

 

 女性陣は現状に頭を抱え、男性陣はいいぞー、もっとやれーと熱狂している。

 ロビンとハサンは無言で顔に手を当て、カルナは溜め息を吐いていた。

 頭のネジが緩くなったモードレッドは面白い余興に目をキラキラさせ、マシュとレオニダスは自分達の作戦が上手くいくように祈り、ジャンヌは思わず十字を切った。

 

 

「いくら精神力が肉体を凌駕している虎太郎でも、脳への酸素供給を断たれればどうしようもない。素直にオチてくだサーイ!」

 

「じょ……冗談じゃ、……ねぇ……」

 

 

 ギリギリギリと虎太郎の首が締まる音がレイシフトルームに響く。

 彼の顔は真っ赤を通り越しでどす黒く鬱血し、泡を吹いて酸素不足に喘ぐが、咄嗟に腰を落として防御の体勢に入った。

 

 

「く、くく、コアトル……弱点が、あるのは、お前も、同じ、だ……人間、に、乗り移る、神性、だから……」

 

「…………何ですって?」

 

 

 虎太郎は左手を上げて、その親指だけを立て、地面に向ける。

 どう見た所で相手を挑発するジェスチャーでしかないが、彼の思惑は全く別の所にあった。

 

 

「人体、の、穴という、穴はきゅう、しょ…………喰らぇいぃっ!!」

 

「ひゃわわぁぁああぁぁぁ!?!?」

 

「「や、やったっ!!」」

 

「え、エゲツない……!」

 

 

 ピンと立てた親指をコアトルの肛門に突き立てたのである。

 

 プロレスの関節技における裏技は多数存在する。

 皮膚に対する抓り。目突き。噛み付き。指取り。

 その中でも飛び切り悪辣なのが、肛門への攻撃である。

 人体の反射として、肛門に指を突っ込まれると腰が浮く。これを利用し、関節技を極める。逆に関節技から逃れる手段が、実在する……!

 

 

「え、えへへ、こ、こういうプレイも中々悪くないデスね……」

 

(やはり、コイツは結構なドM。力が緩んだ内に逃れ――――何ィっ!?)

 

「でも悪役(ルード)の策を真正面から打ち破ってこその善玉(テクニコ)! 極めるわ……!」

 

「グ――――が、はっ……!」

 

「「ひ、ひぇぇ……!」」

 

「う。やっぱりこわい……」

 

 

 誰がどう見ても善玉(ベビーフェイス)が浮かべてはいけない笑みを浮かべるコアトル。

 その笑顔は、子供組は思わずヘラクレスの影に隠れるほどの威力である。

 

 

「コアトル氏、締める締めるッッッ! (りき)が入っているッッッッ!!!」

 

「う、う、う、浮いた浮いたぁ~~~~ッッ!!」

 

 

 すっかり実況&解説役となった黒髭、アマデウスの言葉通り、首を極められた虎太郎の身体が浮かび上がった。

 何か対抗策をともがく虎太郎の両脚が宙をかくが、最早、彼に手段など残されていない。

 

 やがて、虎太郎の手足から力が抜け、ガクーンと垂れ下がった。

 

 

「――――ole!」

 

「ウィナァァァァァ、ケツァァァアアァァル・コアトォォォォォォォルッッッ!!」

 

 

 カンカンカーンとアマデウスがゴングを鳴らし、黒髭が勝利を告げる。この二人、ノリノリである。

 解放された虎太郎は泡を吹いたまま白目を剥いて気絶し、踏み潰された蟲の不様さでピクピクと痙攣を繰り返していた。

 

 

「ふぅ……先輩の失神を確認。これで(強制的に)休暇に向かえます」

 

「おっま、これ仕組んだの、マシュの嬢ちゃんかよぉ……!」

 

「ま、マシュ殿、これはいくらなんでもやりすぎなのでは……」

 

「いえ、私もそう思ったのですが、アルフレッドさんやジャンヌさん、それからカルナさんと相談した結果、このような形に……」

 

「カルナァ! オタクも一枚噛んでんのぉ?!」

 

「まあ、な。モードレッドのやりようでは、虎太郎自身が行かなくてもよい流れだと思っていてな。その折に、マシュ・キリエライトから声を掛けられた」

 

「仰る通りですが……それよりも主殿は、無事ですかな?」

 

「ヤ。それは勿論デース。私はルチャマスター。力加減を誤ることはありまセーン!」

 

「では、問題ありませんね。ヘラクレスさん、先輩をお願いします」

 

 

 虎太郎の扱いが微妙に悪いが、大抵こんなものである。寧ろ、普段のド外道ぶりを鑑みれば、扱いはいい方であろう。

 

 

「では、第1回カルデアバカンスの開始を宣言します!」

 

 

 マシュの号令に、サーヴァント達の歓声が上がる。

 何のかんの言った所で、皆も楽しみにしていたのだろう。心の潤いというものは英雄であれ、何者であれ必要なものである。

 

 こうして、魔術王を涙目にしたまま放っておいて、カルデアのバカンスは始まるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 各章のはぐれサーヴァントの扱いについて。

 

 FGOでは7つの特異点において、その原因となっている聖杯からはぐれサーヴァントが召喚される。

 聖杯の所有者によって召喚されたサーヴァントは、そのまま所有者と契約を行うが、所有者が意図しない形で召喚される者がいる。彼等は契約者のいない状態で放浪するはぐれサーヴァントと呼ばれる。

 聖杯からの魔力供給もあり、単独行動のスキルを持たないサーヴァントでも即時消滅することはない。

 

 さて、ここで問題となってくるのが、カルデアで既に召喚されているサーヴァントの扱いである。

 

 恐らく公式では、サーヴァントは英霊の座にいる本体からのコピーなので、同じサーヴァントが複数いる状態になっているのだと思われる。

 更にカルデア側のサーヴァントがマシュ以外ストーリーに絡まないのは、戦闘中のみカルデアから召喚しているからではないだろうか――という妄想。

 

 しかし、本作では若干異なる設定にしている。

 

 例えば、カルナは第一章のオルレアンから虎太郎と戦いを共にしているが、戦闘中のみならずストーリーにも絡んでくるし、第五章アメリカではエジソン側のサーヴァントになっているのも同一個体。

 

 これはレイシフト中、聖杯の影響によって、虎太郎とマシュがレイシフトした時間軸とは、別の時間軸にレイシフトされてしまったため。

 

 

 第5章を例に挙げると

 

 カルナ → 虎太郎達が召喚される数ヶ月前の時間軸に召喚(レイシフト)され、エジソン達と出会い、そのまま客将として参加へ。

 

 ロビン → カルナ同様、数ヶ月前に召喚(レイシフト)、ジェロニモ&キッドに出会い、レジスタンス入り。カルナがエジソン側にいることを知り、情報を交換していた。

 

 スカサハ → 二人とは違い、虎太郎達の召喚された時間軸より後、決戦の直前に召喚され、そのまま虎太郎と合流した。

 

 

 と、大体こんな感じ。

 各章のはぐれサーヴァントも大体、こんな感じで登場する。

 まあ、関わりがあるのは上に例であげた三人と、第六章での呪腕のハサン、第七章でのレオニダスくらいのものではあるが。

 大体、クラス違いの同一人物とかもいるのだ。ただでさえ書いていて頭がこんがらがってくるのに、これ以上、こんがらがるのはゴメンだ。作者の頭の弱さを補う救済策である。

 

 なお、虎太郎&アルフレッドのカルデアにおいて一度に召喚し、使役できるサーヴァントはマシュを含めて六体まで。それ以外は自室(カルデア)で待機である。

 

 

 

 第七章における御館様の戦果を箇条書きで。

 

 ・相変わらず、登場人物に根こそぎドン引きされる。

 ・とある理由からマーリン&アナ組と出会うよりも早く、エルキドゥ(キングゥ)が敵であると見抜いて後ろからフルボッコ。ハサンの妄想心音が上手く決まらなかったことで、その心臓が聖杯であると気付く。

 ・賢王ギルガメッシュと出会った瞬間に気に入られる。理由は、ギルが千里眼で御館様の過去を見て、愉悦枠であると理解したと同時に、自分と同じかそれ以上の仕事をこなしていたから。

 ・特異点に出張してきたキングハサンを一目で見抜く。これにはキングハサンも苦笑い。アドバイスだけして最終決戦まで消える。

 ・終始女神どもを翻弄し続ける。まともに戦ってやったのはケツァル・コアトルだけ。

 ・密林でジャガーマンと遭遇。自分と相性が極端に悪い相手(振り回されるという意味で)と悟り、全力でぶっ殺しにかかるが、残念ながら逃げられた。

 ・二度目の遭遇では、ジャングルをナパームやら火炎放射器、果てはカルナの魔力放出(炎)で焦土にしてしまう。

 ・ケツァル・コアトルとの決戦は、突如としてルチャ・リブレで一対一の戦いを挑む。これにはコアトル姉さん大歓喜。分かり合うモードに突入。

 ・三日三晩、ルチャをし続けて死に続けて蘇生し続けて、最終的に彼女から、もうこの人間を傷つけられない、と言わせて一瞬の隙を突いて勝つ。フニッシュホールドはブレーンバスター。

 ・これにはコアトル姉さん、ベタ惚れ。はぐれサーヴァントなのに魔力供給(意味深)イベントが発動する。

 ・過労死した賢王様に、次はいよいよ自分の番かな? と御館様は一人で嘆息する。

 ・ラフム襲来に際して、暖めていた決戦術式“パーティープロトコル”を発動。カルデアの全サーヴァントを召喚して、ラフムに対抗する。

 ・最終的に、レオニダス、牛若丸、弁慶、シドゥリ、ゴルゴーン(アナ)、賢王様も生存させた上、結構な数のウルク民も生き残らせて特異点攻略。

 ・賢王様に魔術王との最終決戦で共に戦う約束を取り付ける。のみならず、「過労死だけはやめておけ」と両肩に手を乗せられて真顔で忠告される。

 ・マルドゥークの斧、コアトル姉さん焼き鳥事件に一枚噛んでいたものの、マーリンにコアトル姉さんと一緒にクロスボンバーをブチ極めることでひっそりと制裁を逃れる。ひでぇ。

 ・実は、キングハサンのお爺ちゃんが気配遮断EXを使ってカルデアについてきたが、アルフレッドによってバレる。御館様とは時々一緒にお茶を飲む関係に。暗殺者、仕事人ということで結構気が合うようだ。

 

 

 総じて、御館様の戦果に賢王様の大爆笑がバビロニアに響き渡り、相変わらず御館様がやりたい放題蹂躙する特異点であったそうな。おう、魔術王、泣くんだよ。早くしろ。次はお前の番だ。

 

 

 

 ジャック・ザ・リッパー

 

 ☆5アサシン。子供枠。対女性戦闘&撹乱担当。わたしたちは、おかあさんが大好きだけどね。

 

 ロンドンを攻略後に召喚される。カーミラと同じく対女性戦闘にも特化しているが、御館様は寧ろ、豊富な宝具と撹乱に特化したスキルに目をつけて召喚する。

 召喚された当初は、解体解体と言いまくって周囲をドン引きされるが、これはいかんと思った御館様による尻百叩きの刑で、その口癖は封印された。

 アタランテの項にあった通り、彼女とジャック、ナーサリーで組む場合が多い。

 周囲の大人が頼りになり、また理性的かつ倫理的なので、性格は矯正されて本当に無邪気な子供。

 但し、敵に対しては容赦なし。こんなところは御館様に似ないでくれ、というのがカルデアメンバーの本音。

 

 性格的な相性は良好。

 元より倫理観など根こそぎ欠落した子供であるので、御館様が何をしてもあんまり気にしない。

 寧ろ、ジャックの方が一方的に慕っている状態。あと、アタランテも大好きである。母親(替わり)を困らせて気を引きたいお年頃なのだ。

 

 ジャックが協力する理由は“おかあさんの中へ還りたい”というものだったが、今では変わっている。

 それはアステリオスと似ており、“少しでも長くカルデアに居たい”というもの。

 この世に生まれ落ちることなく、この世を去った子供達の怨念の集合体が彼女。だからこそ、母親の胎内回帰が彼女の全てだった。

 しかし、カルデアには彼女達に与えられなかった幸福が全てある。母親の胎内に戻らなくても、望んだものは全て此処にある。

 戦闘はある。痛いことも一杯だ。でも、それ以上に暖かなモノを得たジャックは、それを守る為に凶刃を振るう。

 行動から言動まで年相応ではあるが、聡明な彼女のこと、最後にあるのは別れだと気付いている。それが酷く寂しいものだと理解しているが、それでもきっといいことなんだ、と最後まで笑い続けるだろう。

 

 ――――もしかしたら、次に何処かの聖杯戦争で召喚される霧夜の殺人鬼は、平穏の守護者としての顔を得るかもしれない。

 

 御館様に喰われていない。

 曰く、コイツ、見た目は兎も角、中身は赤ん坊だろうが。オレはどんな性癖でも持っちゃいるが、理性的にNGです、とのこと。

 

 彼女の一番好きな物は、御館様から貰った腹巻。お腹が暖かくてジャックはニッコリ。周囲はホッコリ。金時は露出が減ってホッとしている。

 

 今回の話に際して、彼女のクラスは暗殺者(アサシン)からエクストラクラスの生存者(サバイバー)に変化。

 水着の面積も大きく露出も減った。金時、更にホッとする。

 解体解体うるさいので、御館様がアイヌの知識を仕込み、バイコーンだのを解体させたり、毛皮を剥げるようになったり。あと料理もできます。

 ベディヴィエールのゲテモノ料理とは一味違ったアイヌ知識満載のダンジョン飯を振る舞ってくれるだろう。但し、塩をかけた生の脳みそを食べさせられたり、茹でた眼球を舐めさせられたりする。

 カルデアのアシ●パさん一号。変顔も勿論する。

 

 

「おかあさん、脳みそ食べる?」

 

「いや、オレはチタタプの方が好きだから」

 

「じゃあ、呪腕のおじちゃんとロビンにあげるね?」

 

『えっ……!?』

 

「おう。(オレは嫌いだけど)結構美味いぞ、塩かけた脳みそ」

 

「ねぇねぇ、二人ともヒンナ? ヒンナ?(グイグイ」

 

『…………ヒンナヒンナ(死んだ魚の目』

 

 

 

 ナーサリーライム

 

 ☆4キャスター。子供枠。撹乱担当。全ての童話は、お友達よ!

 

 ジャックと同時期に参入。本の姿で現れ、ロンドンの時点で御館様の度胆を抜いた。

 霊基再臨に際して、月であった聖杯戦争時のマスターの姿になる。

 御館様は詳細を聞いていないものの、何となく察しており、そのままの姿で居させることに。

 召喚された当初は、力を持った無邪気な子供と言った有り様でジャックと共に周囲を困らせたが、御館様の尻百叩きの刑で、周囲に迷惑をかけていることを学ぶ。

 戦闘時には、様々な童話を元にしたスキル、召喚物で戦い、敵を引き付ける。あと、彼女自身が分厚い童話集でぶん殴りに行く。何気に強力な一撃を持つ。

 

 性格的な相性はそこそこ。

 こんな邪悪な人は童話にだっていないのだわ、と御館様にドン引きしている。

 だが、手を出すところだけキッチリ躾けて、それ以外は好きにさせてくれるので、御館様には素直に従う。

 アタランテに対しては、迷惑をかけても自分を見捨てない人と慕っているので、割と遠慮がない。

 

 ナーサリーの協力する理由は“■■■の見た夢を、せめて自分も見ていたい”から。

 かつて、月の聖杯戦争で自分を呼んだマスター。彼女の見た夢が、今のナーサリーを形作っている。

 それが何の意味もない独り善がりの願いだと理解しながら、この暖かなカルデアで、自分を通して■■■に夢を伝えようとしている。

 

 こんなに楽しいことがあるの。こんなに辛いことがあるの。でも、世界はこんなに暖かで、こんなにも喜びに満ちている。

 ■■■は何一つ得られないまま砂糖菓子のように溶けてしまったけれど、こんな可能性も、貴女にもあったのよ、と。

 

 ジャックと同様の理由で御館様に喰われていない。

 

 最近、一番頑張って、一番怒ったのは、ウルクでの一連の出来事。

 ウルクでラフムが行った虐殺に子供が混じっていたことを知り、ナーサリー生まれて初めてマジギレする。

 アタランテ、ヘラクレス、ジャックと組んでラフムを蹂躙する姿は、正に子供達の守護神であったそうな。子供たちの英雄の面目躍如である。

 余談であるが、子供達の守護神組で御館様不在時に、臨時の司令塔となるのは彼女。元が童話だからなのか、もっとも物事を俯瞰的に認識できるため。

 

 今回の話で、ジャックと同じく生存者(サバイバー)のクラスにジョブチェンジ。

 獲物解体と煮る焼くのはジャックの仕事。細やかな味付けが彼女の仕事である。アンメアに次ぐ、二体で一組のサーヴァントかな?

 カルデアのアシリ●さん二号である。勿論、変顔もする。

 

 

「そんな、あんなに必死で集めたプクサキナ――ニリンソウが! ああ、ギョウジャニンニクもない! エゾマツタケも……!」

 

「ナーサリーよ、何もそこまで落ち込まなくとも、なぁ……」

 

「呪腕のおじさま! でも、プクサキナはお肉の味を何倍にもするだけじゃなくて、お互いの味を引き立てるのに……!」

 

「おい、月の裏側でマスターと一緒に酷い目にあってる時より落ち込んでるじゃねぇか……」

 

「ふむ。このままでも美味だ、ナーサリーライム(モグモグ」

 

「お、よく煮込んでて肉の臭みが消えてるな(モグモグ」

 

「鹿肉と馬肉の中間と言った感じだな、バイコーンは。ほら、ロビンもカルナ殿もああ言っておられる。元気をだせ(モグモグ」

 

「へっ」

 

(((ナーサリーがまた新しい顔芸を……)))

 

 

 

 

 坂田 金時

 

 ☆5バーサーカー。不憫&馬鹿枠。戦闘担当。俺のことは、ゴールデンと呼んでくれ。

 

 子供組二人と同時期に参戦。

 雷神の息子としての能力と、一撃の破壊力を期待されて御館様が召喚する。

 アルフレッド、ジャンヌ、マシュからは、御館様の抑え役を期待されていたが、蓋を開ければ小学生低学年並の馬鹿だった。

 野郎どもや子供達とはすぐに打ち解けたが、エウリュアレは酒呑を思い出して苦手。

 ブーティカみたいに露出が多かったり、スカサハみたいに身体のラインが浮き出る服装の女性陣とは目も合わせられない。

 ガッウェに唆されて、アマデウスや黒髭と馬鹿をやったりするが、何故か怒られるのは自分一人という状況に首を傾げている。 

 同じ三馬鹿であるガッウェ&ラーマとは特に仲が良いのだが、嫁とイチャイチャするのは余所でやってほしい所存。

 

 御館様との性格的な相性は意外なほど良好。

 身内に対して非常にドライ。力のない者に対しての守護者という側面が似通っているからだろう。

 ゴールデンの方も、何となしに御館様の胸に何があるのかを察している節があり、ド外道行為に戦慄はしてはいるものの止めはしないし、見捨てもしない。

 効率主義なやり方は頼光の戦い方で慣れていたので、他のメンバーに比べれば比較的理解がある。あくまでも比較的にだが。

 

 彼が協力する理由は“こんな大事を前にして目を背けるなんざ、ちっともゴールデンじゃねぇ”とのこと。

 彼は聖杯を求めているが、そんなことは二の次。人類の危機、世界の崩壊を前にして、関係ねぇと言えるほど薄情でもなければ臆病者でない生粋のヒーロー体質なのだ。

 何よりも、同じ馬鹿をやって親友になった奴等のため、身を削って戦い続けるマスターのためであれば、自分の願いも望みもブン投げて戦うのが漢気ってもんである。

 

 最近、一番頭を抱えたのは、今回の件。

 ただでさえ露出の多い女がいるカルデアで、水着イベントなど彼にとっては生き地獄だ。

 とは言え、子供達の面倒見てればいいし、と思っているのもあるし、ヘラクレスと相撲が出来そうというのもあるので、色々と楽しみではある模様。 

 

 

「なあ、マスター、このバイクかなりゴールデンだ! キャプテン・アメリカ(映画版)が乗ってる奴、買ってくれよ~」

 

「チっ、仕方ねぇなぁ。最近、お前頑張ってるしな。(アルが)買ってやるよ」

 

「さっすがマスター! ゴールデン過ぎて直視できねぇ!」

 

 

 これが騎ん時爆誕の切欠になろうとは、誰も予測していなかったのです……!

 

 

 

 

 

 レオニダス一世

 

 ☆2ランサー。マシュの師匠枠。盾役&一般人の被害削減担当。これが、スパルタどぅわぁぁぁぁぁっっ!!

 

 マシュが最も尊敬する盾持ちサーヴァント。ネタ鯖と思いきや、下手な☆5よりもよっぽど使えると評判のガチ鯖。

 穏やかな心も持ちながら、激しい熱血と計算によって目覚めたスーパースパルタ人。

 第二章のローマで敵として現れたが、守るものがなかったためにあっさり敗北。本人も世界を滅ぼす一助にならず、ほっとしたまま消滅した。

 が、盾持ち、守護の逸話あり、ということでマシュの成長を促せると目論んだ御館様によって召喚される。

 その後はマシュの良き師匠として、スパルタ的な指導をしつつも、マシュ本来の良い部分を認めて、自分とはまた形の違う守護のサーヴァントとして成長させる。

 筋肉や鍛錬が絡むと人が変わるが、普段は落ち着いており紳士的。でも、戦いになると雄叫びを上げるのは抑えられない脳筋。

 

 御館様との相性は極めて良好。

 脳筋というだけあって御館様が嫌っている、レオニダスは邪悪な手段を躊躇しない御館様を嫌っている――と思われたが、そんなことはなかった。

 この男、脳筋は脳筋でも頭のいい脳筋なのだ。計算も結構できるし、勉強ができるタイプの頭の良さではないが、的確に状況を把握し、的確な指示を出せる頭の良さ。

 その思考の冴えは追い詰められれば追い詰められるほど極まっていく。でも、対外的には雄叫びを上げているので、そんな風には見てもらえないのである。

 幽霊は苦手中の苦手。オガワハイムのアレでも仲間の危機に駆けつけたのだが、周りが幽霊だらけで死ねぇい、怖いぃ、と叫びまくり。挙句の果て、御館様とマシュに襲い掛かろうとした。

 

 ――が、そこは我らが御館様である。自分の目にかけている人物に最大限の譲歩を見せた上で、最適の行動を取る男だ。

 

 

「トゥッ――――!」

 

「パンツ一丁の姿にぃっ?! 変態ですか、先輩ィイィっ!! ――――――あっ、先輩は元々変態でした」

 

「これを見ろぉ、レオニダァス!!」

 

「ハっ、その厚みはないものの、叩き抜かれた鉄の如き大胸筋と腹筋! 長い手足に巻き付き、刃そのものの上腕二頭筋と大腿筋は俊敏さの証明!!」

 

「そうだぁ! この筋肉がぁ! 幽霊如きが見せる幻に見えるのかぁ!! ふんんうぬぬぬうううぅぅっっ!!」

 

「そのような筈は! このレオニダス、一生の不覚! ムァスタァァの筋肉を見間違えるとは! これはお詫びの筋トレですぅうううぅっ!!(スクワットしながら」

 

「お前ひとりの筋肉に悲鳴は上げさせねぇぞ! レオニダァァァアアァァス!!(腕立て伏せしながら」

 

「ムァスタァァァアアァァァァァアアァァ!!」

 

 

 とまあ、オガワハイムの一室は謎の筋トレ大会会場と化して、マシュはドン引き。御館様のキャラは行方不明。レオニダスは無事にカルデアに帰還した。

 

 彼が協力する理由は“私は守護に人生を捧げた男です。その男がどうして、世界の危機に盾を投げ出せましょう”というもの。

 御館様と相性が良い理由の大部分が、これ。日常の守護者である御館様とギリシアを――いや、人を守り抜いた彼とが相性が悪い筈もなく。但し、御館様のやり方には苦言を呈したいようだ。

 そんな彼であるが、聖杯への願いが出来ていた。“取りあえず、マスターを休めるようにしてやりたい”。筋肉は鍛えた後に休ませることも重要なのです。

 

 最近、一番頑張ったのは、ウルクの特異点。

 レイシフト時、聖杯――勿論、ギルガメッシュの持つウルクの大杯の方――の影響で、一足先にウルクに召喚され、以後は北壁の守りとして、その力を如何なく発揮していた。

 元より破滅を約束された負け戦。他のサーヴァントも負け戦の経験者であり、負け戦を長引かせ、泥仕合に移行させる天才達。その破滅を一日でも先延ばしにすることこそが、自らの使命とし、仲間が一人、また一人と脱落していく中、兵士達にスパルタ教育を施し、何一つ投げ出さなかった。

 

 そして、運命の時は来る。

 ギリシャの神々に呪いを掛けられ、複合神性ゴルゴーンと化したメデューサから仲間達を守る為に、熱線と石化の魔眼に割って入り――――

 

 

「ぬぅ!? 何故、石化しないのだ!? 私は物理しか防げないはず……!」

 

「こんなこともあろうかと、お前の装備に魔術防御(メディアお手製)の護符を仕込んで、盾はヴィブラニウム製にすり替えておいたのさ!」

 

「何という抜け目の無さ! 流石です、ムァスタアアアアアアアァァっっ!!」

 

 

 ――――普通に生き残った。

 

 その後はジャンヌとマーリンとブーディカの宝具が御館様によって投入された。

 魔獣の母からウルクの北壁を守る天使の祝福と理想郷の影響、ケルトの神々の加護を受けた三百のスパルタ兵という訳の分からない絵面が展開される。

 鉄壁過ぎるスパルタ兵に、ゴルゴーンは北壁を傷付けることさえ敵わず、御館様に煽られまくる。その後、彼女を諫めに来たキングゥですらが、お前大概にしとけよ! とブチ切れていた。御館様鼻をホジって応対するだけであった。

 

 その後も牛若丸、弁慶と共に北壁の守りを担ったが、ラフムの襲来に際して、決断を迫られる。

 このまま北壁を守るか、それともウルクに向かうのか。無辜の民が居るのはどちらも同じ。悩む彼の背中を押したのは、彼自身が教導した兵士の言葉であった。

 

 

「レオニダス殿、どうかウルクへ! 北壁の守りは我々にお任せください! 我等には、貴方の教えがあります!」

 

 

 その後はもうスパルタ無双である。イメージとしては劇場版の野原一家の無双シーン。

 牛若丸と弁慶と共に僅か数時間でウルクに到着。しかも、道中で避難する民を守りながらであった。

 ウルクの民の多くが生き残れたのは、彼という守護の英霊が居たからこそであろう。

 

 

「「「スパァァァァルタァァァァァアアァァっっっっ!!!」」」

 

 

 これがウルクへ向かうレオニダス、牛若丸、弁慶の雄叫びである。

 日本の自由な英霊ですら染め上げてしまうスパルタって凄い。御館様は改めてそう思った。

 

 

 

 

 

 ケツァル・コアトル

 

 ☆5ライダー。チョロチョロドMお姉さん。戦闘担当&対御館様最終強制休息装置。いくわよ~? トペ・プランチャ~!

 

 やってきました南米の主神。こんにちは、太陽の女神様。

 神霊系サーヴァントの中で、御館様が嫌っていない数少ない存在。というか、彼女以外にはエレシュキガルくらいしかいないだろう。

 CMで彼女はヤバい奴だと思ったぐだーずは土下座しないといけないね。あの凶悪な笑顔に騙されちゃったね。蓋を開けてみれば女神様の中でもっともマトモでした。ごめんなさいぃぃぃ(土下座。

 

 ウルクでは、御館様とルチャ・リブレで一対一で戦う。ただ、性能差がありすぎるので御館様は、何度も犬神家状態になるわ、折り畳み式の携帯電話になるわ、口から内臓撒き散らすわ、脳漿ぶち撒けるわ。

 だが、三日三晩そんなことを繰り返しても一向に折れない御館様にコアトル姉さん大歓喜と同時に悲しくなる。

 これだけの痛みに対する耐性、死に対する耐性、こんな精神性を獲得するまで、どれだけの地獄を潜り抜けてきたか理解できたからだ。

 これ以上、この人間を自分は傷付けられない、と迷った所、御館様の不意討ちが炸裂。ブレーンバスターを極められて、敗北を認めた。

 

 その後はもうメロメロのベタ惚れ。

 正義じゃないけど、秩序で、一生懸命で、自分の仕事は投げ出さないところが良いらしい。チョロい!

 

 性格的な相性は非常によろしい。

 そもそも南米の神性は人に寄生しなければ、存在できない。そういう在り方だ。

 神性ごとに人間の好みのタイプは異なるものの、人間好きには変わりはない。

 また彼女自身は人間の繁栄を望んでいるため、御館様のような人間に力を貸すのは積極的。

 女神的にNGだと分かっているけど、力を貸してあげたいからしょうがないじゃない、とのこと。

 

 彼女が協力するのは“虎太郎(にんげん)が好きだから”。

 最後には消えてなくなってしまうとしても。その繁栄に何の意味がなかったとしても。その文明(さくもつ)が成果よりも、浪費の方が多かったとしても。

 彼女は人間が大好きだ。それも神々のような身勝手な“好き”ではなく、人間から見ても理解できる“好き”である。

 例え、人間に理解の及ばない本性を持っていても、彼女は人間に合わせてくれる。その様は正にパーフェクトゴッデス。こんな神霊っているんですね。

 復讐者としての側面も持っているには持っているが、人間の為に根性で抑え込んでくれている。

 こんな素敵女神様なのだが、顔芸のせいで子供組にはビビられ気味でちょっとしょんぼりしている。

 

 無論、御館様に喰われている。はぐれサーヴァントの状態で、である。

 これには流石のオリオンもガチで忠告することだろう。お前、女神に手を出すってアホなの? それも主神クラスだよ? と。

 御館様はこう返します。知らねー知らねー! こんな良い女抱けるんなら神罰喰らっても本望だわ! 女と遊ぶ事しか考えてねーからプレイボーイ止まりなんだよ、お前は、と。

 流石、性技の味方。女の為なら神罰すら恐れねぇ……!

 

 最近、一番嬉しかったのは、虎太郎が分かり合った上で受け入れてくれたこと。

 マーリンの所為で神性がガタ落ちしたのを良い事に、魔力供給(意味深)を申し出たのだが、御館様意外にもこれをスルー。

 

 

「そういうの楽しくないから。義務とか仕事で女を抱くとか作業だから。そういうのつまんねー。お前がオレの女になるってんなら別だけど」

 

「………………そ、それは」

 

「まあ、オレの女になったら、メチャクチャするけどな、オレ。止めといた方がいいんじゃない?」

 

「――――――ご、ごくり」

 

 

 御館様の自分の女にする宣言に、思わず生唾を飲み込むコアトル姉さん。身体中のいろんな所でキュンキュン、ビクビクしてしまった。

 

 で、結局は有耶無耶の内に抱かれることになったのだが、そこはそれ。

 御館様、コアトル姉さんのドMっぷりを見抜いてイジメまくる。

 人の上に立つ存在は、抑圧された精神性のせいでマゾッ気がある場合が多いからね。神様も王様の経験もあるからね。仕方ないね。

 散々焦らされまくって、泣きながら屈服宣言させられてしまったとさ。

 

 

「お願いっ! ひぃんっ、虎太郎、お願いよぉ! イカせて! もうイカせてぇっ!」

 

「えー、もっと泣かせて楽しみたいんだけどなぁ」

 

「もうムリぃ! 我慢ムリなのぉ! お願い、アクメ、下さいぃ♡」

 

「じゃあ、他にも言う事あるんじゃないのかな」

 

「あ、うぅ、……こ、虎太郎だけの、女神になるから……虎太郎の逞しい勃起チンポで、私のスケベおまんこ、イカせて下さぁい♡」

 

 

 このドMっぷりだよ。

 但し、痛みとか苦しみが欲しいのではなく、辱められたり、貶されたりすると嬉しいドM。

 カーミラとはまた違うタイプなんだぜ。差別化を図らないとね……!

 




さて、第七章の盛大なネタバレをぶちかまして終了。成し遂げたぜ……!
あと、キャラ紹介で女性キャラをぶっちぎってレオニダスのテキスト量が多いのは、自分が好きだからです。シリアスもギャグも出来て、キャラ性能もいいとか、お前何なんだよ。カルナさんの次ぐらいに好き!

そして、コアトル姉さん。貴女、最高です……!

第七章中盤 → うわぁ、またヤバい神霊だよ。女神に碌な奴いねー。

第七章クリア時 → うわぁぁぁぁ! コアトル姉さん大好きぃ! 単体宝具持ちのライダーいないからウチにお迎えしないと!(ガチャガチャ

FGOプレイヤーの皆さんは、こんな感じではなかろうか。
オジマン、アンメアには火力は劣るけど、状況に応じて他のサポートに回れるのは強みだし、スキルの全てがライダーのクラスと噛み合ってやがる……!
キャラ良し、性能良し、スタイル良し、性格良し。非の打ち所がない女神様じゃないか……!

あと、各キャラの水着姿ですが、水着の絵がある場合はそれで。残り? 詳しい描写はあんまりしないで? それはね、皆さんの心の中に水着姿があるからだよ!(手抜きの良い訳
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