※この作品はR-18です。

「もしも苦労人がカルデアのマスターだったら」   作:HK416

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ふぅ~、サマーバケーション編に入ってから筆がノリにノッているぅ!

因みにサマーバケーション編ですが、結構な数のエロを書く所存です。
サーヴァント達との馬鹿騒ぎ、モーさんの受難&苦労、更にはエロ。うむ、途中で飽きるかもな!

では、サマーバケーション編、どぞー。



『苦労人はアルフレッドのお陰で造られた命との付き合い方を心得ている』

 

 

 

 

 

『苦労人は仕事があり過ぎると発狂し、仕事がなくなると錯乱する。どうしろと?』

 

 

 

 

 

 私の名前はマシュ・キリエライト。デミ・サーヴァントです。

 

 私の人生は無機質な試験管の中から始まります。

 俗に言うデザイナーベイビー、デザイナーチャイルド、ジーンリッチ、ドナーベイビーなどと呼ばれる存在です。

 

 人理継続保障機関カルデア。

 その前身となった組織――――いえ、機関上の“機能構成(システム)”の完成度を考えれば集団と言った方が正しいでしょう。

 私は、その更に下部となる研究機関で生み出されました。

 

 彼等の目的――もっと正確に言うのなら、マリスビリー・アニムスフィアですけれど――は、恒久的な戦力の確保として、サーヴァントの力を宿した人間を生み出すこと。

 良質かつ豊富な魔力回路を持つ人間の遺伝子を掛け合わせて作り出し、英霊の遺品を移植することで、彼等の力を降ろす。

 

 非人道的な実験の果てに生み出された弄ばれるだけの命、それが私の本質です。

 

 当時の私は、それでもなお自分は幸運だと思っていました。

 だって、顔も知らない兄弟は、私と違って、この世に生まれ落ちることさえ出来なかったから。

 

 生まれてから全ての時間を無菌室で過ごしたとしても。

 外の世界を何一つ知らなかったとしても。

 ただ生きているだけなのに、記憶すら失ってしまう不出来な身体だったとしても。

 いつものように眠り、次の朝、ただ起きられたことを感謝するような日々であったとしても。

 

 外を知らない私に、自分以外の人生がどのようなものであるかなんて、計りようもなくて。

 うん。けれど、今も私は考えに変化はありません。自分は幸せだと思うのです。

 

 ――――無菌室での生活が他人の思惑で始まったものならば、その終わりも他人の思惑によるもので。

 

 ある日突然、無菌室にサイレンが響き渡りました。

 その時の私は困惑するばかりで、命の危険が迫っているなんて思いもよらなくて。

 

 遠くで響く何かが破裂するような音。

 無菌室の換気装置から伝わってくる研究員の悲鳴。

 部屋全体を揺らす振動。

 

 何が起きているかも分からないまま。

 何が起きているのか考えも巡らせないまま。

 今になって考えれば馬鹿馬鹿しいほど無警戒なまま、ベッドに座っていることしか、私には出来なかったのです。

 

 それからどれくらいの時間が経ったでしょう。

 

 何が起こっているのか、主治医の彼に聞いてみよう。

 そう考えた私は、いつものような笑みを浮かべて現れるであろうドクターの到着を待ちました。だって、それ以外に私には手段なんてなくて。

 

 

『――――え?』

 

 

 無菌室の向こう側に入ってきた黒尽くめの誰かに思考が停止した。

 

 

『こいつが例のブツか……?』

 

『まだ子供だが、とびきりの危険物だ。処分の許可は出ている。保護するよりも安全だ』

 

 

 何一つ分からない、何一つ見たことのないものを持った二人の誰か。

 無菌室のガラス越しに向けられた何かには、明確な殺意に本能的な恐怖を感じて――――

 

 

『…………ふん、メチャクチャしやがるな』

 

 

 ――――次の瞬間、二人の首が落ちていた。

 

 それを為したのは、何処にでもいそうな服装を身に纏い、仮面で顔を覆い隠した無貌の男。

 

 

『――――開けろ』

 

『ま、待って下さい! 彼女は今まで無菌室で生きてきたのですよ?! 何の準備もなく部屋を出れば、急速にバイタルが低下する恐れが……!』

 

『準備は進めてきたが、米連の考えなし共が時計の針を進めやがった。もう、コイツに気を使ってる暇はない。お前が拒否するなら、オレは見捨てるまでだ』

 

『…………――――っ!』

 

 

 通信機でも使っているのだろうか。

 男性は誰かと何事かを話していると、無菌室の扉が開く。

 

 彼は、何の遠慮も躊躇も見せず、一直線に私へと向かってくる。

 吐き気を催す匂い――それが血と硝煙の匂いであると知るまで、然程時間は要さなかった――を纏う彼は、私には、何か得体の知れない何かに思えて。

 

 恐怖すら感じる暇もなく、大きな爆発が無菌室(私の故郷)を襲いました。

 そこからプッツリと記憶が途切れています。僅かに覚えているのは、血と硝煙の匂いに包まれて、生まれて初めて自分以外の体温を感じた事だけ。

 

 日本に住む人々は、自分の手の届かない現象に神性を見出し、守り神や荒ぶる神として祀り上げると聞きます。私にとって、彼こそが“それ”でした。

 

 そして、彼こそが先輩で、私の人生に光を与えてくれた人――――私の、大好きな人です。

 

 

 

 

 

―――――

――――

―――

――

 

 

 

 

 

「――――なのに、どうしてこうなってしまったのでしょう」

 

「うー……うーっ……うぅぅううぅぅぅううぅぅううううっっっ」

 

「先輩、そのうーうー言うのをやめましょう。ここにはお仕事はないんですよ?」

 

 

 やってきましたオケアノス。やってきました常夏の島。

 カンカン照りの太陽。雪と見紛う白い砂浜。サファイアの如き青い海。

 

 気温は正に真夏。しかも、日本のそれとは違い、カラッとした気持ちのよさがある。

 

 他のサーヴァント達は、主役である虎太郎のことなど忘れて、各員のやりたいように休暇を過ごしていた。

 

 そんな中、コアトルによって失神させられた虎太郎の介護を引き受けたのが、マシュであった。

 砂浜にレジャーシートを引き、太陽の光から虎太郎を守る為にパラソルを立て、暑苦しい普段着からハーフパンツとアロハシャツに着替えさせた。

 その後、虎太郎が目覚めるまで過去の記憶を思い返したり、潮風に浸りながらサーヴァント達が遊ぶ様を微笑みと共に見守っていたのだ。

 

 

『――――はっ』

 

 

 が、それもそこまで。

 虎太郎は目を覚ますや否や、周囲の状況を確認。自分まで休暇に巻き込まれたと知るや否や、アルフレッドに連絡を取り出した。

 

 しかし、何の意味もない行為だ。

 マシュとジャンヌによって、アルフレッドは虎太郎からの連絡を全て着拒するように言い含めてある。

 

 暫らくの間、マシュの言葉も右から左の状態であったのだが――――

 

 

『ウヒ、ウヒィィィィっっ!!』

 

 

 ――――突如として狂乱。砂浜に落ちていた木の棒を手にすると、砂浜に文字を書き始めたのである。

 

 余りに突飛な行動にマシュがしどろもどろになってしまったのだが、虎太郎が何を書いているのかを覗き込んでみれば、恐らくは何らかの報告書を書いているらしかった。

 

 

『せ、先輩……!』

 

 

 こんな所にまで来て仕事をしようとする虎太郎に涙するマシュ。

 後ろから抱き着いて必死になって止めようとしたのだが、生憎とその程度で止まる男であるはずなく。

 

 こうして、眺めていることしか出来ない自分に歯噛みしていたのだが、マシュは意を決した。

 

 これでは本末転倒だ。

 折角、モードレッドが考えてくれた案――どう見ても、彼女自身が遊びたいだけだったとしても――が台無しである。

 

 はあ、と溜め息をついて、水着の上から羽織ったパーカーのポケットからあるモノを取り出した。

 

 

「では、行きます。マーリンさんの見様見真似ですが……カルデア魔術・会議だよ、全員集合! 発射!」 

 

 

 片耳を人差し指で塞ぎ、手にした信号拳銃を天に向けて引き金を引く。どう見ても魔術ではない、単なる文明の利器である。

 

 パシューと音を立てて天へと昇っていく赤い彩煙弾。それから僅か数分でお馴染みの三人が現れる。

 

 

「おいおい、どうしたマシュの嬢ちゃん。信号弾なんて打ち上げ、て、……」

 

「困りますぞ、マシュ殿。信号弾を上げるのであれば、事前に色がどのような内容であるかを伝えておかね、ば……」

 

「敵、ではないようだが、これは……」

 

 

 ロビン、呪腕、カルナの三人である。

 流石に虎太郎の無茶振りやド外道ぶりに振り回されてきただけあって、緊急時の即応性は他のサーヴァントとは比べ物にならない。

 

 が、目の前で展開されている光景に、三人は茫然とした。

 当然である。誰だってそーなる。三人だってそーなる。

 

 

「「なぁにこれぇ……」」

 

「流石だ、虎太郎。諸行無常とは正にこの事。覚者でも、ここまでの苦行を自らに課すまいに」

 

「「いや、そういうのじゃないから、これ」」

 

「申し訳ありません。私は緊急の用が出来ました。暫らくの間、先輩の介護をお願いしたいのです」

 

「えぇー……、オレら、バーベキューの用意してたんだけど……」

 

「これの、介護、……介護? どのようにすれば、何をすれば……?」

 

「承知した。何の用かは見当もつかんが、虎太郎の庇護は任せておけ」

 

「カルナァっ、余計な事言うなぁ!」

 

「我々にどうしろと……?!」

 

「では、よろしくお願いします」

 

「「あっ、ちょっと待ってェ……!」」

 

 

 ロビンとハサンの悲鳴を余所に、マシュは覚悟を決めた女の表情で海とは反対方向――砂浜からすぐに位置する森の中へと入っていってしまう。

 

 残されたロビンと呪腕は茫然としていたが、やがて肩を落として諦める。

 カルナは両手を組んだまま虎太郎の奇行を見守っていた。まるで、それが己の使命と言わんばかりに。

 

 しかし、ロビンと呪腕にそこまでの精神力はなかった。

 他人の奇行を見守るというのは中々に神経を削られる。とてもではないが、痛々しくて見ていられない。

 

 そこで二人は恐る恐る虎太郎に近づいていった。

 

 

「あー、大将? 砂浜は、書類じゃねぇです、よ……?」

 

「そ、そうですとも主殿。これは余りに無為に過ぎます。どうか、止めて頂きたい。具体的な理由は、我々の精神が持ちません故」

 

「いや、待て二人とも、それ以上――――――あっ」

 

 

 カルナの忠告が二人の耳に届くよりも早く、ロビンが地雷を踏み抜いてしまった。

 

 

「ウキィィィィイイイィィィイィィっっっ!!!(甲高い雄叫び」

 

「うぇっ?! な、なんだぁ!?」

 

「あっ、ロビンー! 足元足元ー!」

 

「えっ? あっ! いやいやいや、これはしょうがないでしょうよ! ていうかオレじゃなくても――――!」

 

「ウキー! ウキーっ!!」

 

「ぎゃー! いったい! いってぇ!」

 

「………………………………………………悲惨だ」

 

 

 虎太郎が砂浜に書いた文字を、悪気なく踏み消してしまったロビンであったが、今の彼にそんなことは関係ないらしく、容赦なく襲い掛かる。

 

 ロビンの肩に飛び乗り、顔を引っ掻くわ髪の毛を引っ張るわ。完全に猿だ。カルナも思わず、顔を片手で覆う。

 

 

「主殿、よもやそこまで……(ホロリ」

 

「呪腕の旦那ーっ! 大将を憐れむのもいいけど、オレも助けてーっ! 大将も言語機能まで衰退させてんじゃねぇですよ……!!」

 

「む。機、だな…………虎太郎、海を見ろ」

 

「ウキっ?」

 

 

 言語機能は失われていても、他者に対する気遣いは分かるのか。

 カルナの言葉(きづかい)虎太郎(さる)は海を見る。そして、蒼褪めた。

 

 ――海からは、一際大きい波が砂浜に向かっているではないか。

 

 

「ウ、ウキ――――――やめっ、やめろぉぉぉぉおおぉぉおおっっっ!!」

 

 

 そして、砂浜の文字を庇うように、波打ち際へと飛び、背中で波を受け止める。

 だが、悲しいかな、所詮は肉壁一枚。自然に敵う筈もなく、砂浜に書かれた文字の大半が波で流されてしまった。

 

 

「うっ、う、ぁ、うあぁぁああぁぁぁぁぁぁぁあぁっっ!!」

 

((まさかのマジ泣きかー……))

 

 

 正しく諸行無常の体現。

 これには仏陀も思わずニッコリ。“これで貴方は、また一つ、悟りへと近づいたのですよ”と。

 

 何? 妙に意地が悪くないかって? 西遊記の御釈迦様は、大体こんなもんである。

 

 

 

 

 

―――――

――――

―――

――

 

 

 

 

 

 一方その頃。

 森の中へと消えたマシュは、彩煙弾によって集ったサーヴァント達と何やら話し合っていた。

 

 

「――――以上が、今現在の先輩の状態です」

 

『……これは酷い』

 

 

 猿へと退化した虎太郎の現状を伝えると、集った皆は頭を抱えるか、首を振るか。

 

 因みにであるが、集ったメンバーはジャンヌ、スカサハ、マリー、ブーディカ、ドレイク、アン、マルタ、カーミラ、マタ・ハリ、ケツァル・コアトル――それからもう一人。

 

 もうメンバーを見ただけで、賢明な者ならばあっ(察し、となるであろう。

 これまでに何の会議をしてきたのか丸分かりというものだ。そりゃ、順番とかプレイ内容とか以外に何があるというのか。

 

 

「しっかし、虎太郎も相当だねぇ。そういうところがあるのは分かっちゃいたけど、ここまでとは……」

 

「ですが、どうしたものでしょう。このままではコタローの休暇という本来の目的は果たせませんね……」

 

「ところで、発案者のモードレッドはどうしてるの……?」

 

「あの()ならプリドゥエンで波乗りしてたよ。元気なのはいいけど、虎太郎をそっちのけなのは困ったもんだ。たははー……」

 

「仕方ないわ。あの()は、私と同じで楽しいスイッチが入ると、もう止まりまセーン! 状態になってしまうみたいね」

 

「そのまま宝具をぶっぱしなければいいのだけれどね……」

 

 

 ある意味で同類と感じ取ったのか、コアトルは笑っていたが、ブーディカに聞いたモードレッドの現状を思い、カーミラは嘆息する。

 

 

「先輩及びモードレッドさんについては、一旦置いておきましょう。それで、スカサハさん、宿泊場所についてですが……」

 

「ああ、今現在、風魔の頭領とレオニダスが宝具を展開して急ピッチで建設中だ。私のルーンも使ってな」

 

「あら、意外。レオニダス王は兎も角、風魔が虎太郎のために働くなんて。というよりも、アイツ、宝具(部下)をそんな風に使われるの嫌いじゃなかった……?」

 

「いや、そうでもないぞ、マルタ。と言うよりも褒美で釣っただけだがな。金時と遊べるようにセッティングしてやると言ったら、快諾してくれた」

 

「あらら。風魔くん、いいようにコキ使われちゃってるのね。でも、男を弄ぶのも良い女の条件(たしなみ)よね?」

 

「ええ。ええ! それにスカサハさんの嗜みは私も見習いたいわ。雑誌を見て、リゾートのホテルやコテージを参考にしていたもの。マスターを休ませる為にも、自分が楽しむ為にも手を抜かない。とっても、とても素敵!」

 

「はうぁ……こ、これ、余計なことを言うでない、マリー!」

 

(結構、楽しみだったんだ……)

 

(……案外、乗り気でしたのね)

 

(スカサハさんも、先輩――いえ、虎太郎さんの立派な女ですね!)

 

「生暖かい目で見るでない! えぇい! そもそも、虎太郎がそのような状態では何の意味もなかろうに……!」

 

 

 生暖かい目とは具体的に何度だ? というカルナのツッコミに見せかけたボケが炸裂しそうであったが、生憎と彼は此処に居ない。

 

 虎太郎のためという所にか、休暇を楽しみにしていたという所にか、は定かではないがスカサハの頬は薄らと朱に染まっていく。

 

 

「うーん……コタローの状態だけど、僕もカルナと同意見だからね。放っておいてもいいんじゃないのかな?」

 

「エルキドゥさん――――いえ、エルキドゥちゃんさん」

 

「ははは。マシュ、そこは気軽にちゃんだけでいいよ?」

 

 

 緑の美しい髪と瞳を持ち、可愛らしいフリルのついた白いビキニで凹凸の少ない身体を覆った絶世の()()

 

 エルキドゥ。

 神々によって生み出された至高の神造兵器。“天の楔(ギルガメッシュ)”を、再び()の側へと引き戻すために生み出された“天の鎖”。

 若き日の英雄王ギルガメッシュと互角に渡り合い、ついには決着のつかぬまま引き分けに持ち込んだ逸話を持つ、彼と同格の英霊である。

 

 ()()が召喚されたのは、ギルガメッシュが召喚された後であった。

 

 時系列としてはオルレアンの特異点を修復後。

 これ以後の特異点は、より強力な英霊達、より悪意に満ちた敵と戦わねばならないだろうと想定した虎太郎は、早急に戦力を整えるつもりだった。

 当時のカルデアの戦力は、アマデウス、マタ・ハリ、アーラシュ、オルレアン攻略中に召喚したカルナ、オルレアン攻略後に召喚したジャンヌ、マリーのみ。

 

 

 英霊としての格も能力も低いものの、オルレアンの件で扱いやすいアマデウス。

 

 当時はまだ信頼を勝ち取っていなかったが、諜報能力に秀でたマタ・ハリ。

 

 大英雄であり、様々な能力を持っているが、宝具の扱いが難しいアーラシュ。

 

 攻撃という点においては凡百の英霊に劣るものの、防御に関して秀でたマリー。

 

 極めて高い防御性能及び、集団の強化と戦争経験のあるジャンヌ。

 

 攻撃、防御、技量、速度、宝具。何処を切っても最高位の性能で纏まったカルナ。

 

 これらに加え、まだデミ・サーヴァントとして覚醒したばかりのマシュ。

 

 

 やや防衛、防御に向いた面子が揃っているものの、情報収集、前衛戦闘、後方支援を最低限行えるバランスの良いメンバーであったが、虎太郎は此処に殲滅力を欲した。

 

 カルナの神殺しの槍は、文字通り神をも殺し得る切り札。

 ただ一度だけ、ただ一撃のみに特化した神造兵器――――ではあるのだが、アルフレッドの魔力もあって、その性質は変化している。

 即ち、カルナに与えられた黄金の鎧を解除した時のみ、神殺しの槍は本来の力を取り戻す、というもの。

 

 虎太郎は理解していた。

 切り札とは、伏せていてこそ最大の効果を発揮することを。

 同時に、切り札を切る瞬間こそ、人は無防備になることを。

 

 聖杯探索は、その性質上、一対一ではなく多対多の集団戦となる場合が殆どである。

 カルナ程の技量であれば、一対一ならばまず不様を晒すまい。しかし、多対多となれば話は別だ。

 複数の敵がいる以上、自らの思惑を超えた能力や性能を誇る敵が現れる陥穽が潜んでいないとも限らない。

 

 呆れた猜疑心から虎太郎が求めたのは、カルナに匹敵する白兵戦闘能力及び最大火力を持つ英霊である。

 選ばれたのは騎士王アルトリア、英雄王ギルガメッシュの二騎――――であったのだが、結果は『騎士王様、怒りのエクスカリバーぶっぱでカルデア半壊事件』である。

 

 流石の虎太郎でも、二人が何処ぞの聖杯戦争で出会っており、英雄王が騎士王に粉をかけていたなど予測できるはずもなく。

 半壊したカルデアで、なおも睨み合う二騎を憤死寸前で自害させる羽目になった。

 

 

『…………騎士(アーサー)王の方は他の英雄でも代替は利くだろうが、英雄王(ギルガメッシュ)に代わりはいねぇ。あの戦力は、必ず何処かで必要になる』

 

 

 半ば廃墟と化したカルデアを、皆で必死に片付けと修繕していた折りに、虎太郎はその結論に至った。

 

 問題があるとすれば、あの性格だ。

 自分一人ならばいくらでも御しきれると踏んでいた。認めたくはなかったものの、自分の足掻くざまは英雄王にとって最高の愉悦(たのしみ)になると理解できたからだ。

 しかし、自分以外の英霊はどうか、と問われればNOだった。

 

 特に、カルナと黄金の鎧と神殺しの槍に向ける視線は、正に暴君のそれ。

 お前の物は我の物、と人類最古のジャイアンが暴れ出すのは目に見えていた。

 

 

『――――うん、無理。あの王様に気を使ってたらオレの胃に穴が開く。でも戦力的には欲しい。なら、あの王様を御せる英雄を呼べばいいじゃない』

 

 

 そこで白羽の矢が立ったのが、エルキドゥであった。

 ギルガメッシュ叙事詩において、エルキドゥはギルガメッシュの無二の親友であった。

 ()の王を時に諫め、時に諭し、時に助け、多くの冒険を越えたが、神々による呪いによって最期を迎えた。

 

 あの暴君を如何にか出来るのはコイツしかいねぇ……!

 

 虎太郎だけでなく、アルフレッド、マシュ、ジャンヌも交えた協議の結果、満場一致で可決。

 

 とんとん拍子で何の問題もなくエルキドゥは微笑みと共にカルデアへとやってきた。

 召喚後、虎太郎、マシュ、ジャンヌによる質問と会話によって、ギルガメッシュとは比較にならないほど穏やかで、慈愛に満ちた性格であると分かるや、三人によって胴上げされた。

 

 ギルガメッシュ召喚はまだ早い。まずはエルキドゥとの絆を深め、いざという時に助けて貰おう、という方針の元、数々の戦いを越えていった。

 

 

『此処は良い所だね。皆、笑っている。英雄の笑みは、人のそれとはちょっと違うけれど、此処では只人のように笑っている。コタロー、君のお陰かな?』

 

『ふーん。そんなもんかねぇ。オレはオレのやりたいようにやって、アイツ等はアイツ等でやりたいようにやらせてるだけだ。それに、お前も似たように笑ってるぜ』

 

『――――え?』

 

 

 弱きを助け、強きを挫く――――は言い過ぎなものの、弱者に手を差し伸べることに何の疑問も抱かないエルキドゥは、そう時間も掛からずに皆と打ち解けた。

 

 そんなエルキドゥであったが、やはり欠点と言うものは、いくつか存在していた。

 

 その中で最たるものは、自己が兵器であるという認識である。エルキドゥの出自が原因であり、同時にギルガメッシュへの負い目も、その一端であるのだろう。

 自己に対する認識故に、エルキドゥは常に一線引いた態度を取り続けていた。

 

 しかし、それも長くは続かない。

 虎太郎の、サーヴァントと認識しながらも、一人の個人として扱う方針。

 周囲の暖かな言葉と営み。

 虎太郎が面白可笑しく血反吐を吐いて苦労する様に、これがギルの言っていた愉悦……! を感じたり。

 

 そうこうしている内に、自己の存在意義に亀裂が生じ、思い悩む時間が増えた。

 

 

『ふう。うぅん、虎太郎とも、皆とも、仲が良くなり過ぎちゃったかな。特別に好きっていうのは考えないようにしていたんだけど……これじゃあ、もう――――いや、よそう。それだけは、ダメ、だ。ギルに申し訳が立たない…………ん?』

 

 

 意思を持った兵器(どうぐ)としての懊悩。

 英雄王ギルガメッシュの唯一無二の友であった誇り。

 孤高であることを最大の誠意とした王の矜持に、決して癒えぬ傷を残してしまった悔恨。

 

 様々な理由から、ギルガメッシュを心の内側まで全て曝け出しても良い唯一の親友とすることで、彼との友情を守っていたのだが――――

 

 

『もう騎士としての自分を一端封印すればいいのです! そうですよ、一人の人間として付き合っていくなら、ギリギリ、ギリギリ許容の範囲内ですし!』

 

(……考え方を変える、そういうのもあるのか!)

 

 

 たまたま馬鹿になる前のガウェインの言葉を聞き、

 

 

『私は、虎太郎さんの女ですから!(ムフー』

 

(……コタローの女、そういうのもあるのか!)

 

 

 何故か誇らしげに語るマシュの言葉に、ほほぉう、となってエルキドゥは一つの決心をした。

 

 

『うん、まあ、アレだね。ギルには悪いけど、ほら、虎太郎とか皆の好意を無下にするのも悪いしね。反則ギリギリだけど――――僕は、君の女になるよ!』

 

『え……あっ……んんっ? ……おっ、おう』

 

 

 親友じゃない、男女の関係です。だからしゃーなし、ノーカン!

 という理由で、性別:エルキドゥから性別:エルキドゥちゃんに転身した。

 

 もう反則ギリギリというか、完璧に反則である。

 

 元々、虎太郎は意思を持った機械(アルフレッド)との付き合いも長く、良好な関係を築いてきた。その手の手合いと付き合っていくノウハウは十分にあったわけだ。

 神代の意思を持った兵器(エルキドゥ)であっても、ツボを刺激して、情に絆される付き合い方というものは、十分に分かっていたようで、この有り様だ。

 

 

『ふふ。コタロー、役得だね。この身体はシャムハトのそれだ。人類最古の聖娼を抱ける機会なんて、他にないよ?』

 

『んー、そういうこと言うのはどうかと思う。シャムハト模していようが、オレが抱くのはお前だし。お前を抱くこと自体の方が役得ですやん』

 

『――――――………………あ、あー、僕は、そのー、神々が造った兵器で、だね』

 

『関係ねぇし。オレの女だろ。そういうどうでもいいこと考えられないくらい、メチャクチャにしてやるよ(ニッコリ』

 

『ちょ、ちょっとコタロー、目が怖いんだけ――――――ひっ、ひああぁぁああぁぁぁああぁっっ♡』

 

 

 そんなこんなで爆誕したエルキドゥちゃんは、今ではすっかりド外道の運営するカルデアの一員です。

 アマデウス、黒髭、虎太郎のゲス顔トリオがゲス笑いしている横で、頬を膨らませてプークスクスしていたり。

 虎太郎が他の女とイチャコラしているところを見て、嫉妬したり。

 虎太郎のド外道行為に、ギルでもここまでしなかったなぁ、と思いつつも、僕の出番だねぇ。分かるとも! と颯爽と現れたりしています。

 

 安心してくれ、ギルガメッシュ。もしくは嫉妬で狂うがいい。エルキドゥは第二の人生を全力で謳歌しているぞ。

 

 

「順番も決めたし、それぞれの現状がどうなっているのかも分かったし、このままこうしていても意味がないし、そろそろ浜に戻ってみようか」

 

「そうですね。コタローの休暇でもありますが、我々の休暇でもあります。楽しめる時に楽しまなくては」

 

 

 順番(意味深)も決まったところで会議終了。

 それぞれ、納得していたり納得していなかったり、期待していたり、ソワソワしていたり。

 

 そんなこんなで、森を抜け、砂浜を抜けた先で女性陣の見たもの、それは――――――

 

 

「げーっはっはっはっはっはっはっはっはっはっっ!! ざまぁねぇなぁ、黒髭さんにモーツァルトさんよぉ!!」

 

「あはははははははははっっ! いい、いいよガウェイン! もうちょっと右、右!!」

 

「ぎゃははははははははっっ! いや、行きすぎ! 行きすぎだガウェイン! 左! 左!」

 

「ここですか? それともここ? もう面倒ですね、ガラティーンぶっぱしてもよろしいでしょうか?」

 

「ガウェイン、馬鹿な事を言うなよ。良いか? 恐怖というものには鮮度がある。一息で事を終わらせちゃあ意味がない。人間はな、確実に訪れる幸せにこそ幸福を感じるように、確実に訪れる不幸にこそ恐怖するんだ」

 

「成程、私がラグネルとのデートで夜も眠れないほどウキウキしてしまうように、お二人も私の一撃がいつ入るか分からない状況にこそビクビクしてしまう、と」

 

「そうだよぉ、ガウェインも分かってきたねぇ」

 

 

 片手に缶ビールを、もう一方の手に一眼レフカメラを持った状態でゲス笑いをしている虎太郎に、腹を抱えて笑いながら指示を出しているメアリーとモードレッド。

 目隠しをして、手にした木刀をブンブン振り回しているガウェイン。

 砂浜に埋められ、首だけ出した状態で、口を噤んだまま周囲に助けを求めている黒髭とアマデウス。

 そして、無言で首を振るカルナ、恐らくはロビン、呪腕と入れ替わりで来たアーラシュ、イライラしているラーマ、うわぁとドン引きしている沖田の姿があった。

 

 もうこれだけで何が起こったのか分かろうものだが、問い質さずにはいられない状況だ。

 

 

「こ、これはどういった状態なのでしょうか……!」

 

「おっ。戻ってきたか。まあ、なんだ。一言で説明すると黒髭とモーツァルトが全部悪い」

 

「全く、その通りだ。余も、シータにあのような真似をされれば―――――ペっ(虫唾ダッシュという顔」

 

「成程! おおよその事情は把握しました! ありがとうございます! アーラシュさん、ラーマさん!」

 

 

 ネクストカルデアヒーント!

 アマデウス、音楽魔術。ラグネル、ポロリ。黒髭、一眼レフカメラ。虎太郎、復活。以上!

 仮にも正義を謳う英雄であり、シータ大好きラーマの唾吐き行為を見れば、何があったのかなど丸わかりである。大英雄とは一体……。

 

 これには大英雄らしからぬ親しみやすい人柄のアーラシュも苦笑いする他なかったようだ。

 

 アーラシュ。

 古代ペルシャにおける伝説の大英雄。アジア世界における弓兵の代名詞。アーラシュ・カマンガー。

 生まれ持った頑強な肉体と千里眼を以て、その目に映る全ての者を、地上の人間を、世界を救おうとした英雄。

 そして、最後には自らの五体と引き換えの絶技により、大地を割り、ペルシャとトゥランに国境を作り、長きに渡る戦いを終わらせた。

 

 彼と虎太郎の付き合いは非常に長い。アマデウス、マタ・ハリと同じ長さの付き合いである。

 

 彼の宝具は逸話と同様に自らの五体と引き換えに放たれるもの。

 しかも、相当に虎太郎を信頼しているらしく、カルデアでアルフレッドが管理する霊基基点すらも粉砕するレベルで躊躇なく放ってくれる。

 その上、虎太郎はポンポン令呪込みの宝具を特異点でぶっぱさせるので、長らくジャンヌによって出禁宣言がされていた。

 

 変化が訪れたのは、第六特異点エルサレムでの再会。

 はぐれサーヴァントとして召喚されたアーラシュであったが、カルデアでの記憶をバッチリ覚えていた。

 最近召喚してくれないじゃないか、と不満を露わにした彼は、自らジャンヌを説得し、出禁宣言を解除されて今に至る。

 

 

「むぅ。こういったものは苦手とは、私もまだまだ未熟。虎太郎、何かいい策はありませんか?」

 

「そうだな。目隠しを外すのはスイカ割りのルール違反だ。生真面目なお前には耐えられないだろう」

 

「その通りですね。こういった制裁(あそび)はルールを守ってこそ意味がある」

 

「なので――――オレが一度、言ってみたかった台詞で決めます」

 

「それは一体……?」

 

 

 虎太郎はふっ、と笑うと、空き缶をアーラシュに投げ渡した。

 そのまま開いた左手で前髪を後ろに撫でつけ、黒髭の一眼レフカメラを持った右手を上げると――――

 

 

「私が天に立つ(バキャーン」

 

「拙者の一眼レフカメラがぁぁぁあぁぁっ!! BBAの! マシュマロッぱいの! メアリー氏とラグネル氏の! エウリュアレたんとジャックたんとナーサリーたんのデータがぁぁぁ!! 後でフィギュア作ろうと思ってたのにぃぃぃぃっっ!!」

 

(ばっ! 黒髭ぇ! 虎太郎の思惑に乗るな……!)

 

「――――――はっ?!」

 

「成程、そこでしたか。Mr.黒髭(にっこり」

 

 

 黒幕っぽい台詞を吐きながら、片手でカメラを握り潰す虎太郎。これ以上ないほどお似合いの台詞であった。 

 

 その所業に思わず泣きながら悲鳴を上げる黒髭であったが、ガウェインに位置がバレてしまった。

 黒髭に逃げる術などない。最早、負け惜しみを言うか、命乞いしかできないだろう。

 

 

「デュ、デュフフフ。だが、しかし! ガッウェ氏の持っている木刀はガラティーンに非ず! いくら格の低い英霊である拙者と言えど――――」

 

「虎太郎、何か一言」

 

「それ、樹齢二千年のご神木から削り出した木刀だから。お前の頭カチ割るくらい訳ねぇよ?」

 

「ままま、マスター! 拙者! 拙者が悪かったでござる! どうか! どうかご慈悲をぉぉぉぉおぉぉ!!」

 

「虎太郎、更に何か一言」

 

「慈悲はない。潔くハイクを詠め。ガッウェ、バスターゴリラの本領を見せてあげちゃって」

 

「私の英霊100万パワー+BBBEXの100万パワーで200万パワー! 昼間三倍の力が加わり600万パワー! そしてラグネルへの愛を加えれば600万×100で6億パワーです!」

 

「ぎぇぇええぇぇっ!! ここでゆで理論とは、これではランスロット氏も一撃で吹き飛ぶレベル!! 拙者、首すら残らないでは――――――」

 

 

 べちゃあ、と黒髭の頭部で真っ赤な花が咲いた。

 ぶちまけられた血液はアマデウスの蒼褪めた顔を染め上げる。アマデウスにできることは必死で悲鳴を飲み込むことだけである。

 

 鮮血の結末であるが、何の問題もない。

 どうせ霊基基点が無事なので、カルデアで復元中だ。この後、アルフレッドによって島に現れるか、怯えて部屋に引き籠っているかは黒髭次第である。

 

 

「次は――――」

 

(は、はは。ぼ、僕は大丈夫さ。恐怖には耐えられる! 黒髭のように弱味を握られているわけじゃない!)

 

「マリー、ちょっとこっちにおいで(にっこり」

 

「え、ええ。何かしら、マスター?」

 

(マ、マリアを使うなんて! …………い、いや、落ち着け、僕! 何があろうとも僕は……!)

 

「マリー。コイツ、実はな――――――ぽしょぽしょぽしょ」

 

「……………………アマデウス。貴方って、本当に最低の屑ね」

 

「あ、これは予想外だ。マリーが僕を養豚場の豚を見るような目で見てる。彼女にこんな視線を向けられたのは、人類史上で僕だけだろうね。ふふふ、何だか気持ち良く――――――ハっ!?」

 

「はーい、ガッウェ、やっちゃってー。今度は宝具も込みでねー」

 

「は、はは、ガラティーンでもないただの木刀で、ガウェインがそんなこと――――めっちゃ木刀光ってるーーーーーっ!?」

 

「ふぬぬぬぬぬ。彼の獅子心王(リチャード一世)やランスロット卿は手にしたものは宝具と化した。ならば、同格の私にも出来ぬ筈はない――!(ゆで理論」

 

「んなむちゃくちゃなぁ――!!」

 

「ラグネルへの愛を此処に! 告白します! 私は、ラグネルが、大好きだ―――――ッッ!(周知の事実」

 

 

 妻への愛で新たな宝具を生み出したガウェイン。その名も、愛しき妻への告白剣(キャメロット・ラーブラブ・ガラティーン)

 その一撃は正しくエクスカリバーの名に相応しいものであった。具体的に言うと、光線は一直線に放たれ、沖合まで海を割っている。物凄い威力である。愛の力って凄い。

 

 ガウェインは妻を害した蟲を駆除して、思わずにっこり。

 虎太郎とその隣にいつの間にか立って愉悦ってるエルキドゥは、早々に問題を起こした二人を駆除できて、思わずほっこり。

 カルナとアーラシュは、その余りの威力に、思わずあっぱれ。

 モードレッドとメアリーは、ざまぁねぇなと、思わず粉砕! 玉砕! 大喝采!

 残りの皆さんは、あんまりな所業に思わずドン引きであった。

 

 

「せ、先輩。もう、調子の方は……」

 

「ん? どうかしたか、マシュ?」

 

「す、すみません。勝手なこととは思いましたが、その、最近の先輩の働きぶりを見たら、お仕事を中断させてでも、と……」

 

 

 カシュと、アーラシュから受け取った缶ビールの蓋を開けながら、虎太郎はマシュに向き直ると一口煽る。

 

 マシュは虎太郎に怒られることも、恨まれることも覚悟の上で、この強制休暇に踏み切った。

 好きな人に嫌われるのは嫌だが、好きな人が襤褸雑巾になっていく姿を見ているだけなのは耐えられない。

 自らの我が儘だとは理解しても、自分の行為は間違いではないと思いつつも、やはり謝らずにはいられなかったのだ。

 

 そんなマシュに対して、虎太郎は両肩に手を掛け、にっこりと笑った。

 

 

「マシュ、何を言ってるんだ。オレは仕事を一ヶ月分くらい片付けてから来たんだよ。記憶はないけど、きっとそうなんだ(死んだ魚の目」

 

「………………(絶句」←虎太郎の追い詰められっぷりに思わず思考が止まる

 

「お、オオ、オレが仕事を投げ出して、遊びを選ぶ訳がない。そうだ。きっとそうだ。この後、カルデアに帰った後、山積みの書類が待っていることなんてきっとない(早口」

 

「…………マ、マシュ・キリエライト、先輩は、そのような人物ではないと断言します。いえ、寧ろ、先輩が仕事を終わらせるところを、確認、しまし、た(大嘘&震え声」

 

 

 全て――――全てを理解した上で、自分の精神を保つために必死で嘘をつく虎太郎。

 そのワーカーホリック振り、その苦労人振りに、皆は頭を抱えそうになりながらも、本当のことは言えなかった。

 

 唯一、一人で愉悦ってるエルキドゥは本当のことを口にしようとしたが、コアトルによって口を塞がれてしまう。

 

 

「なーなー、マスター! こんな時くらい仕事のことなんか忘れてさぁ! あそぼーぜ!」

 

「チッ! 仕方ねぇな! モーさんの頼みじゃ仕方ねぇ! どーする? なにする?」

 

「んー、ビーチバレーもいいけど、やっぱサーフィン! 父上の宝物庫からパ――借りてきたプリドゥエンもあるしさー」

 

「おーしおーし。やっちゃうか? 大技決めちゃうか?」

 

「へへっ、オレも負けねーからなー?」

 

「行くぜ、モーさん! オレ達の休暇は――」

 

「これからだぁっ!!」

 

 

 今までの悲壮さは何処へ吹き飛んだのか。既に虎太郎は仕事のことは頭の後ろの方に追いやっていた。

 ヒャホォォォォォイっ! と歓喜の雄叫びを上げながら、モードレッドと一緒に海へと向かっていく虎太郎。

 楽しげでありながら、何処か物悲しげな背中に、声を掛けられる者は、誰一人としていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 愛しき妻への大告白剣(キャメロット・ラーブラブ・ガラティーン)

 

 ランク:EX

 種別:愛情宝具

 レンジ:1~99

 最大捕捉:100人

 

 ガウェインのラグネルへの愛情が天元突破した時にのみ発動する宝具。

 手にした物体を何でも光の剣へと変え、極光を放つ。

 転輪する勝利の剣(エクスカリバー・ガラティーン)は拡散型だが、此方は約束された勝利の剣(エクスカリバー)と同様に集束型。

 ――だけではなく、無毀なる湖光(アロンダイト)のように、光の斬撃として放たれる魔力を敢えて放出させず、斬り付けた際に放つ対人宝具としても使用可能。

 もはや、全てのエクスカリバーとその姉妹剣を過去の物とする勢い。エクスカリバーを授けた湖の乙女も、これには唖然とすることだろう。

 

 

 ガッウェ「何? チートすぎる? 何を言うのです。ギャグでしか発動しないのでいいでしょう。それよりも、私のラグネルに対する愛はこんなものでは……」

 

 

 以上がガウェインの主張である。

 なお、この台詞の後、ラグネルがガウェインを呼びに来るまでの5時間ほど、惚気に付き合わされる羽目になる。

 

 

 

 エルキドゥ。

 

 ☆5ランサー。TS&プッツンモンスター&愉悦&僕っ娘枠。対神性戦闘&金ピカの首輪担当。呼び起こすは星の息吹。人と共に歩もう、僕は。故に――――人よ、神を繋ぎとめよう(エヌマ・エリシュ)

 

 第一章終了後の『騎士王様、怒りのエクスカリバーぶっぱでカルデア半壊事件』の後、金ピカの手綱を握って貰おうと召喚された。

 本来は性別は無性、もしくは性別:エルキドゥなのだが、本作のカルデアでは性別:エルキドゥちゃんに。ほら、Fateの醍醐味、女体化だぞ。戦車男でも女だった、何の問題もないね!

 作中の設定としては、ギルガメッシュも出来なかったエルキドゥが自ら定めた兵器としての在り方を、御館様があっさりと崩してしまったが故の開き直りとして女であることを選んだ。

 

 元より御館様は“意思を持った機械(アルフレッド)”を相棒としてきたので、“意思を持った宝具(エルキドゥ)”の扱い方も心得ていた。

 それ以外にもマシュのような、愛情や性交ではなく、偶発的かつ意図して生み出された存在とも、その苦しみと悲哀を理解しながらも、全く哀れみもしなければ、同情もしない。ただの人として付き合っていく。

 

 御館様曰く『別に人も化け物も道具も変わらねぇわ。こっちと会話する気があるなら誰でも同じように扱う。そういう特別扱いは意味わかんねえ。会話をする気がなければ? 死ねよ』というスタンスが心地いいらしい。

 実際、造られたモノであるマシュ、モードレッド、アルフレッドとも巧く付き合えている。エルキドゥも、生前、ギルとの冒険で感じたものとは別の心地良さを感じ、あっさり陥落してしまった。

 

 性格的な相性は良好。

 ギルでもやらないド外道行為には苦言を呈したいものの、まあ、人間ってこういうものだよね、と受け入れている。

 穏やかにして、たおやか。女性として己を再定義したので、仕草も女性っぽくなっている。まさにパーフェクト乙女。

 

 だが、そんな彼女にも欠点はある。

 御館様が戦慄するほどのプッツンモンスターなのである。

 元々、一度動き始めれば、待ったなし・容赦なし・自重なしのアクティブモンスターであったのだが、女としての性質を得たことでプッツンするともう手が付けられない。

 

 ギルガメッシュ叙事詩の原典においても、その片鱗は見受けられる。

 大聖獣・フワワにガチビビリしたギルのケツをぶっ叩いたり、命乞いするフワワにどうしようと迷うギルに、ぶっ殺そうよ、と言ったり。

 天の牡牛・グガランナをギルと打倒した際、イシュタルがギルに呪いを掛けたので、ブチ切れてグガランナの内臓をイシュタルの顔面にブン投げたり。

 そら、メソポタミアの神々も、コイツは殺さなきゃ(使命感、になるわけである。

 

 第六章では、獅子王の所業にガン切れ。

 人間を虐殺するのはまあいいにしても、大地を焦土にすることは許せなかったようだ。

 

 

エルキドゥ「ねえ、コタロー。獅子王ぶっ殺そうよ」

 

御館様「落ち着けよ、エルキドゥ。ぶっ殺すのは確定にしても、まずは状況の把握をだな」

 

エルキドゥ「じゃあいいよ。僕一人でぶっ殺してくる」

 

御館様「――――――っ?!!?」

 

 

 この後、マジに山村から一人で聖都に向かおうとする。

 御館様必死の説得も功を奏さず、片足に必死でしがみついた状態で引き摺られていた。

 それから2時間後、疲れ果てた御館様と、頬を染めてぼーっとした表情のエルキドゥが無事に山村へと戻ってきた。一体、何があったんですかねぇ。

 

 彼女が協力する理由は、“カルデアの居心地がいいし、コタローも皆も好きだから”。

 初めの内は、またギルと一緒に戦えるんだ、楽しみだな、と思っていたのだが、上記の理由で今ではすっかり絆されてしまった。

 

 無論、御館様に喰われている。

 性交(こういう)の、知識としてはあるけど体験するのは初めてだなぁ、と軽い気持ちで身体を預けたのだが、それが間違いだった。

 神造兵器というだけあって、感覚カットなど簡単に出来るのだが、御館様の性技に翻弄され、感覚カットをする暇もなく絶頂を叩き込まれてドハマリしてしまう。

 

 

エルキドゥ「でもさぁコタロー、僕の本当の姿を見て、抱けるかな。完全に人間の形じゃないんだけどなぁ……」

 

御館様「あ? 舐めんな。オレの性癖はそりゃもう歪んでるから。お前が可愛く鳴いてくれるなら、どんな姿でもいける……!」

 

エルキドゥ「……………………っ」

 

 

 ピロートークでの言葉に、お前はどんな姿でも可愛いよ、と言われた気分になったエルキドゥちゃんは完堕ち。

 御館様の性癖とタイミングの良さはどうなってんですかねぇ……。

 

 最近、一番面白いことは、虎太郎弄りと他人とイチャコラしてるところへの乱入。

 

 

エルキドゥ『また苦労だねぇ、分かるとも!』

 

エルキドゥ『触手プレイだねぇ、分かるとも! いい声を聞かせておくれ……!』

 

 

 虎太郎弄りはギルから学んだ愉悦から。

 イチャコラへの乱入は、嫉妬心から。

 その後、御館様に自分の力を奪われて、お仕置き触手プレイされるまでがデフォである。もうこれわかんねぇな。

 

 

 

 賢王様。

 

 第七章で共闘した生前のギルガメッシュ。愉悦&苦労&爆笑枠。矢を構えよ、我が許す! 至高の財を以ってウルクの守りを見せるがいい! 大地を濡らすは我が決意! 王の号砲(メラム・ディンギル)――――!

 

 現在、カルデアには召喚されていないものの、エルキドゥ紹介に当たって必要な人物なので。

 

 ウルクに向かった御館様を出迎えた原初の王。

 千里眼によってウルクの滅亡が避けられないと悟ったギルガメッシュは、自らの個の強さではなく、集団としての強さで人間の意地を見せることを決意。

 王律鍵を封じ、宝物庫の財宝を全開放し、更には七騎の英霊まで召喚して、避けようのない破滅へと備えていた。

 

 そんな折、マーリンがジグラッドに連れてきた御館様を姿を見て大爆笑。

 千里眼によって、御館様の過去を垣間見たからだ。これまでの御館様の苦労と足掻きっぷりは勿論のこと、エルキドゥとの関係も、だ。

 

 

(す、すげー! この雑種すげー! 我でもエルキドゥにここまで言わせられなかったのに! てゆーか、朋友を女扱いって! あwたwまwwwわwいwwwてwwるwwww)

 

 

 暴君としての側面が強調されたギルガメッシュならば即座に殺されていただろうが、賢王様はとっくの昔にエルキドゥの死を乗り越えていたので、ゲロを吐くまで笑いまくる。

 

 御館様の馬鹿さ加減に腹を抱えて笑い、以後、お気に入りの雑種となる。

 なお、御館様の上げてくる戦果に、毎度毎度爆笑して迎える。

 

 

「え? 嘘やん。牛若丸もレオニダスも生き残ったのぉ? でかした雑種ゥ!!」

 

「え? マジで? イシュタルと交渉だけで事を収めた? 絶対、戦闘になると思ったのに……だが良し! もっとやれ雑種!」

 

「え? 今なんていった? ケツァル・コアトルと一対一でルチャ・リブレで勝って、その上仲間にしてきた? 何だか知らんが兎に角良し!」

 

「え? エレシュキガルとも話し合いだけでケリをつけるの? 本気で? うわ、マジか。マジだ。チョロいな、この駄女神。でもいいぞぉ~、これ」

 

「え? アレ? シドゥリ、お前なんで戻ってきてんの? ラフムどもに攫われて……え? 雑種が何とかしてくれた? やるではないか、雑種ゥ! これで我の過労死が遠退いたわ!!」

 

 

 大体、こんな感じである。

 最終決戦時、封印していた乖離剣まで引っ張り出して、カルデアメンバーと共に、神々との決別を果たした。

 

 生き残ったウルクの民を見て、賢王様またも大爆笑して、一つ約束をする。

 

 

「ふはははははっ!! カルデアのコタロー、此度の働き、見事である!」

 

「我も滅びを前にして弱気になったか。ここまでの民が生き残るとは我が眼を以てしても見通せなんだわ!」

 

「ここまでされて、このまま帰そうものならば、王としての沽券に関わる。よいぞ、褒美の一つもくれてやろう」

 

「じゃあ、ソロモンぶっ殺す時に手伝ってくれ、王様」

 

『………………っ!』←ウルク民の皆さん、戦慄

 

「ふっ、欲のない奴よ。いや、これはこれで欲塗れか――――よかろう。お前は縁も所縁もない我の戦いに力を貸した。ならば、我もお前の戦いに力を貸すは道理。貴様の今生限りであるが、いつでも呼び出すがいい。貴様の敵は我の敵。これより先、我も貴様の剣となろう――!」

 

『………………っ?!』←ウルク民の皆さん、まさかの大盤振る舞いに困惑。

 

「いや、ソロモンぶっ殺す時だけで十分だから」

 

「ふん、そういった所は面白みのない雑種よな」

 

「切り札ってのは、一回こっきりだからこそ効果抜群なんだよ」

 

「言うではないか。その不敬、聞き流そう。では、カルデアに戻るがいい、我が雑種。その無様な生涯を全うし、足掻き続けるがいい。貴様の足掻きならば、さぞや見応えのある物語となるであろう!」

 

「――――それはそれとして、過労死だけはやめておけ。アレは駄目だ。アレはいかん(両肩ポンー&真顔」

 

 

 御館様、賢王様からまさかの我が雑種認定、ザビーズ並みに気に入られる。

 

 なお、エルキドゥと賢王様であるが、結局、二人は会話をすることはなかった。

 賢王様はエルキドゥの死を乗り越えており会話の必要性はなく、エルキドゥは初めの内は悔恨から対話自体を望まなかったが、シドゥリがキングゥに向けてはなった言葉によって救われていたから。

 





はい、という訳で、御館様サルにある&エルキドゥちゃん爆誕&アーラシュさん登場でした。
そして、エルキドゥちゃんですが、まあええやろ。ビジュアルも女のコっぽいし、戦車男でもそうだったし。
他の性別:アストルフォや性別:デオンくんちゃんは出せないからね。

アストルフォ → 理性蒸発しているとか御館様の即自害対象だから無理。
デオンくんちゃん → マリーに手を出してるし、御館様は完全に性倒錯者なので蛇蝎の如く嫌われるから。

こんな感じだしね。
かなりハッチャケておりますが、CVが画伯なのであんまり自分は違和感がない。すげーや画伯、すげーやさっちゃん。
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