「もしも苦労人がカルデアのマスターだったら」 作:HK416
当分は、カルデアに召喚された英霊達との日常を描きます。
勿論、エロも書く。書くには書くが、その為の土台も大切だからね。建築も、野菜づくりも、まずは土地から、だからね。
今回は女王と王妃と魔女のお茶会編。スタァットウゥ!!
カルデア女性陣のお茶会
「…………はぁぁあ、つ、疲れた」
「ふふ、お疲れ様です。メディアさん」
「はいはーい。お茶会のお菓子も用意したから、皆、遠慮しないでね、っと」
「…………………………ど、どうも」
カルデア内部の一室に複数人の女性達が集まっていた。
無論ただの人間ではなく、人類史に名を刻んだ、或いは偉業を為した名だたる英霊達だ。
人理修復の為に造り出されたカルデアであるが、その為だけの施設しかない、というわけでもない。
カルデアの総責任者である虎太郎にとって頭の痛い問題であるが、英霊にとて精神は存在する。
既に座へと至ってしまったが故に、早々に性格が変わる訳ではないが、精神的な疲労というものは否応なく溜っていく。
アルフレッドが全権を握るカルデアの機能により、魔力不足で消滅には至らず、肉体的には最高のコンディションが提供されてはいるのだが、精神は如何ともしがたい。
その為、サーヴァント同士の絆を深める、会話や娯楽から精神的な回復を図るという目的で、複数の娯楽室や休憩室が用意されていた。
彼女達が集ったのは女性英霊しか立ち入りの許されていない休憩室だ。逆に、男性英霊しか入れない休憩室もある。
不思議な事に休憩室の中は、上を見上げれば燦々と輝く太陽と青空と白い雲が、下を見れば季節を問わない花が咲き誇っている。
部屋のはずにも拘わらず、壁は存在せず、遠方には雪化粧の雄大な山岳が見えた。
中央には、簡素な円形テーブルと人数分の椅子が用意されており、その上には人数分のティーカップと、イギリスとフランスを代表する茶会の菓子が用意されていた。
一見すれば、大自然の中で開催された優雅なお茶会、であるが、本物なのはテーブルと椅子、茶と菓子だけだ。
あとのモノは全てがホログラム。カルデアの管理者たるアルフレッドの、無味乾燥な鉄の壁よりも見た目だけでもリラクゼーション効果を、という心遣いであった。
机に突っ伏し、全身からも表情からも疲れを発しているのは、耳の先が尖ったキャスター。真名はメディア。
神に運命を弄ばれ、自らの弟に手を掛け、愛していると妄信していた男には何一つ報いて貰えることなく裏切られた魔女。
多くの裏切りによって、ついぞ自分が裏切る側に回ってしまった“裏切りの魔女”である。
そんな裏切りの魔女であってすら労いと朗らかな笑みを向けたのはライダーだ。真名はマリー・アントワネット。
王権の絶対性が損なわれ、革命が引き起こされた18世紀フランスの王妃。
時代の奔流、人の感情のうねりに呑まれ、断頭台にて首を落とされながら、今もなおフランスと民を愛する儚き貴婦人。
机の上に自身の作った菓子の数々を置いたのは赤髪のライダー。真名はブーディカ。
悪辣な侵略を行ったローマ帝国に対し、諸王を率いて叛乱という名の復讐を引き起こした戦闘女王。
復讐者としての時代は占有地の建物を全て破壊し、住人は老若男女を皆殺しにしたが、今はローマに対して複雑な思いを抱きながらも、ブリタニアの、故郷の為にこそ剣を執る慈愛の女。
四人の中で一人肩身の狭い思いをしていたのは新参者であるアサシン。真名は静謐のハサン。
呪腕のハサンとは別の時代において“山の老翁”となった少女である。
“山の老翁”は各々が特殊な暗殺技能を有する。彼女の有する技能は一言で評するならば“毒の娘”だ。
面子は見れば見るほどに不思議な組み合わせだ。出身も、生前の思いも願いも、聖杯に託すであろう死後の願いも、合致しそうな部分はない。
性格的に相性が良さそうなのは、マリーとブーディカくらいのもの。メディアと静謐のハサンにとって、二人の性格は眩し過ぎるだろう。
「しかし、どうして、私を……?」
「今日は貴方の歓迎会だからよ! 一緒に楽しみましょう?」
「そんなに固くならなくていいから。えっと、何て言うんだっけ? たしかー、……そう! 女子会! 女子会だから!」
「女子会なんて柄でもないし、そんな年頃でもないのだけれどね。精神的にも肉体的にも。まあ、歓迎だけはしてあげるわ。“
「は、はあ……」
ふふふ、と死んだ魚の目で笑うメディアに気圧され、生返事しか返せない静謐のハサン。
彼女達の言う所の女子会は、ほぼ毎日、メンバーを変えて行われている。
マリーとブーディカは前線での戦闘担当。メディアは戦闘兼後方支援担当。
このカルデアにおけるサーヴァントは、持てる技能と各々の性格から、主になる役割が決められている。
無論、サーヴァントたる身故、戦闘は基本であるが、生きた時代も、暮らした国も違う者達、戦闘以外に得意とする分野を持つこともある。
殊更顕著なのは
キャスターは魔術師だけあって、陣地作成や道具作成など、自身がその場に居らずとも戦闘を優位に進める
アサシンは暗殺者。何も対象を暗殺するだけが仕事ではない。仕事を確実に成功させるため、情報収集などはお手の物だ。
それぞれの役割を果たし、手の空いた隙を見計らって、こうして茶会を開くのが、この女性陣の定番だ。
総責任者である虎太郎も黙認――と言うよりも、止めさせない以上は推奨も同然だ。
自らの与えた役割さえ熟してくれれば、後は何をしてくれても構わない。
制御はしても、支配はしない。協力は求めても、命令はしない。それでも嫌? よし、自害だ。それが虎太郎のサーヴァントに対する基本スタンスである。
最後さえなければ、文句の一つもない環境であろう。最後の一つさえなければ。
「それで、静謐ちゃんは
「慣れた、とは思います……先達と後進――呪腕様や百貌も、よくしてくれていますので」
「意外と言えば意外ね。暗殺者が、面倒見がいいだなんて」
「あら、そうでもないわ。“山の老翁”の盟主様ですもの。生前は後進の指導などにも当たっていたのではないかしら?」
「私としては、あんな格好で掃除好きっていう方が意外だけどね」
「あれ、完全に掃除を精神安定剤にしてるわよ。ある意味、坊やの一番の被害者だもの」
呪腕のハサン。
戦闘特化のサーヴァントよりも、緑衣のアーチャー――ロビン・フッドに並んで重用されている暗殺者である。
カルデアは人類史の修復を目的に賛同した英霊が集っているが、虎太郎との関係はギブ・アンド・テイクが基本だ。
サーヴァント側はその力を貸し、マスターである虎太郎は見返りに彼・彼女等の願いを叶える。
そんな関係の中にあって、呪腕とロビンは本気の忠誠を虎太郎に向けている。
虎太郎も理解しているのだろう。二人の忠誠を無下にせず、その上で最大限利用しているのである。
お陰で、虎太郎のド外道行為において、最大の被害者となるのもこの二人ということだ。
いや、直接的な被害者は敵だ。戦慄させられるという意味での被害者である。今日も今日とて、二人の胃壁は歯科医のドリルによって削られる歯の如く削れているに違いない。
不憫枠二人の話を皮切りに、やいのやいのと女同士の話に華が咲く。
虎太郎とサーヴァントの仲は良好であり、サーヴァント同士も同様だ。
そうでもなければ虎太郎による強制自害命令が炸裂するので仕方がない。
アルフレッドとジャンヌが苦心して召喚する英霊を選定しているので当然と言えば当然であるが、二人の心労を慮れば合掌せずにいられないだろう。
静謐のハサンは新参故にか、元々の性格故にか、居心地が悪そうにちびちびと紅茶を口にしていた。
彼女の性質・性格を考えれば当然だ。その能力故に、自己評価が低く、後ろ向きな考え方しか出来ない。
――のだが、それも初めの内だけであった。
元より周囲を愛し、周囲に愛され、決して華やかさを失わなかったマリー。
大きな慈愛故に復讐に囚われ、今なおイギリスにおいて畏怖と敬意を以て語られるブーディカ。
静謐のハサンの考えや気持ちを察せるだけの、人の心の闇、人の醜さを知るばかりだった裏切りの人生を歩んだメディア。
三人とも形は違えど“王”と“女”であった者達。
会話の中で誰かを除け者にすることはなく、自然と会話に参加させる話術は、頑なな静謐の心を熔かし、顔を綻ばせるには十分であった。
マリーとブーディカ、メディアにとっては、かつて幸せの絶頂であった頃を想起させ、静謐にとっては死後初めて与えられる穏やかな時。
その時、不粋な電子音と共に、空間ウインドウが表示される。
それが何かは分からなかった静謐はキョトンとそれを眺めていたが、ふと目に入ったメディアの顔を見てビクンと肩を震わせた。
女神にも勝るとも劣らないメディアの美貌は、今や皺くちゃの老婆の如く歪んでいた。
画面にはfrom Masterと表示されており、虎太郎からの連絡であるのは一目瞭然であった。
その様子に静謐は困惑。マリーとブーディカは乾いた笑みを浮かべている。
恐る恐る画面に指を伸ばし、伸ばしては指を引っ込めるを繰り返すメディア。
彼女はキャスターのクラスにおいて、最高位の一人である。
彼女の操る神代の魔術と智識、陣地作成と道具作成の腕は、並居る魔術師の英霊では到底敵わない。
その分だけ、虎太郎から無駄に難易度の高い仕事を任せられるわけだ。連絡を取りたがらないのも頷ける。
だが、流石に無視を決め込む訳にはいかない。
無視していた所でカルデアの管理を行っているアルフレッドに繋ぎ、すぐに居場所はバレるだろう。
『…………おい、出るの遅くないか?』
「五月蝿いわね。マスターからの連絡は良かった試しがないからよ」
『否定はせんがな。で、今どこにいる?』
「休憩室よ。何? またぞろ厄介事かしら? ………………と言うか、さっきから後ろが五月蝿いようだけど」
『あー、気にするな。アンタなら厄介事ですらねぇよ。単なる頼み事だ、頼み事』
「はいはい、分かったわ。許可を上げるから、休憩室まで来なさいな」
ぎゃーぎゃー、と画面の向こう側、虎太郎の後ろで誰かが騒いでいたのだが、メディアは頭痛から深く考えずに通信ウインドウを切った。
「……………………何故かしら、嫌な予感しかしないわ」
「ま、まあ、いくらマスターだからって、常に苦労しているわけではないもの!」
「そ、そうそう! ほら、きっと、アレ! あのー、そのー……」
「マリー、本当にそう思ってる? ブーディカ、フォロー出来ないのなら無理しない方がいいわよ。フフッ」
(………………私は、もしかしたら、とんでもないお方の所に召喚されてしまったのでは)
ずんどこ目が死んでいくメディアを奮い立たせようとしたマリーとブーディカであったが、メディアの一言にすっと目を逸らす。
輝く貴婦人も、若き戦闘女王も、フォローも出来ず、目を逸らさざるを得ないほどの苦労。正しく苦労人の由縁である。
静謐は、無言を貫いて冷や汗を流すばかり。それ以上のことなど出来よう筈もない。
それから暫らくの間、無言の時間が過ぎたのだが、休憩室の扉が自動で開くと一斉に視線が集中する。
「おう、いたいた。あれ? マリーに、ブーディカ、それに静謐のまでいるじゃないか。何だ、茶会の邪魔しちまったか。後にした方がいい?」
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っっっ! も゛う゛じわ゛げあ゛り゛ま゛ぜん゛、マ゛ズダぁ゛ぁ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ーーーっっ!!!」
「落ち着けよ、沖田くんや。ほら見て、あの四人の不動っぷりを。これぐらい此処じゃ日常茶飯事ってことだからね?」
部屋に入ってきたのはカルデアの総責任者にして人類最後のマスターである弐曲輪 虎太郎である。
そして、その腰には桜色の和装に身を包んだ少女が両腕で抱き着いていた。
彼女は静謐と同時期に召喚されたセイバー。真名は沖田 総司。
後世に名を残す剣客集団、泣く子も黙る新選組の一番隊組長。壬生浪の中であってさえ天才と謳われた剣士である。
歴史には男性と残されているが、真実は女性であったらしい。尤も、アーサー王も、源 頼光も、女の世界である。今更、驚きも何もないだろう。
一見すれば、カルデアに来たばかりの沖田が何がしかの粗相をしてしまった、と見るべきだろう。
事実として、虎太郎は何一つ怒りを抱いていない。全くの平常心である。そう大事ではない。少なくとも、彼にとっては。
だが、一つだけ訂正しなければならない発言があった。
四人は決して不動なのではない。人間、動揺がすれば硬直してしまうもの。動揺の理由は単純明快、そして仕方がないものだった。
――何せ、部屋に入ってきた虎太郎の右腕は拳の先から肘にまで掛けて、
心臓の鼓動に合わせて上がるはずの血液が、右腕から流れ落ちている。
あと数分で死に至るレベルの出血。いや、それ以前に腕を縦に割られているのだ。まともな人間であれば、痛みで身動きも取れない。
突如として出現したスプラッターな光景に硬直していた四人であったが、やがて再起動を果たす。
「――――て、てて、敵襲ぅぅぅぅっ!! てきしゅうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ!!」
混乱の余り、椅子を突き飛ばして立ち上がった静謐は、広大な敷地と防音性能を誇るカルデア内部で無意味な敵襲宣言を叫んだ。
「――――――はふぅっ」
「ちょ、マリぃぃぃぃいいっっ!!!」
マリーは虎太郎の無残な姿に意識を失い、慌てて身体を支えたブーディカは絶叫を上げる。
「う゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っっっ!!!」
「何やってんのよ、アンタはぁぁぁあああああぁぁぁぁああぁああっっっっ――――!!!」
沖田はぎゃーんと泣き叫び、メディアは白目を剥いて魂の咆哮を上げたのであった。
―――――
――――
―――
――
―
「いやぁ、協力的なセイバーのクラスを召喚できたからね。一つ稽古を付けて貰おうと思ってね。で、始めたはいいんだけどね」
「ふぐっ、ぐずっ、ま、マスターが想像以上に、手練れだったので、少し熱くなってしまって、う゛ぅ゛ぅ゛っ」
「そしたら、沖田の剣閃が真向唐竹に入ってきてさ。一応、寸止めはしてくれたんだけど、オレの方が間合いに踏み込み過ぎちゃって。そんで、泡食って右腕を敢えて切らせて軌道を変えた。あのままだったら、頭が半分くらい真っ二つになってたね、うん」
「ふぐぐっ、ふぐぅぅぅうううぅっ!!」
「アンタ、馬鹿じゃないのっっ! 本当に、馬鹿じゃないのっっ!!??」
「何でや、殺し合いの訓練やぞ。殺すつもりでやらんと意味ないやろ。それに生きてるからいいだろ。死んでなきゃ怪我とか全部軽傷ですわ。それに治るんだから、ええやろ」
【…………控えめに言って、マスターの頭がおかしい】
正座のまま涙と鼻水で顔をべちょべちょにし、必死で涙を堪える沖田。
傷ってのは体に負うものじゃない、覚悟に負うものだ。よって、この程度は軽傷。はい、閉廷! 解散! を地で行く虎太郎。
マスターの覚悟の決まりっぷり、痛みへの耐性、カルナにも対抗できそうな精神力に、ドン引き状態の四人であった。
「アンタはいいけどね! この娘にトラウマを植え付けてるんじゃないわよ!」
「トラウマスイッチを植え付けておいた方が、後々使い易いって打算もあったにはあった」
「マスター? それ、オルレアンでも私に植え付けようとしてなかった? あの時、マスターの両腕……」
「あー? アレ? アレはメンバーにモーツァルトが居たからなぁ。アイツは社会不適合者だけど、恩知らずじゃねぇし。そういう懐柔の仕方が一番いいと思いました。あと、お前にも恩を売れると思った。………………どうした、マリー? いつも輝いてるお前の周りからキラキラが失われてるぞ?」
「あー、あーあー、もう、本当に何から何まで過激だなぁ。ほらほら、沖田ちゃんも泣かないで、鼻チーン」
「ちーーーーーーん!!」
(……………………初代様、事件です。私はとんでもないところの召喚に応じてしまいました!)
メディアの魔術――魔術の女神ヘカテー、叔母であるキルケーより学んだ神代のもの。
最早、その治癒の様は限定的な時間遡行にしか見えないが、本来あるべき姿を算定しての自動修復、が真。並みの魔術師ならば、卒倒するレベルの速度だ。
「それはそうと、改装した大浴場はどうだ? 西洋風じゃないけど、アレはアレで中々だろう」
「今、その話をする?! 腕が真っ二つなのよ!?」
「いや、こう、黙って治療受けてるのもアレだしね。多少はこっちからも親睦を深めようと思ってだね」
「タイミング考えなさいよ、タイミングゥっ!!」
裏切りの魔女による怒涛のツッコミなど、虎太郎は何処吹く風。人の話は聞いているが、意に介していない状態である。
メディアが虎太郎からの通信を受けるのに相当思い悩んだ理由がコレだ。即ち、ツッコミ疲れである。
虎太郎から与えられる命令、仕事は、神代でも最高峰の魔術師であるメディアには朝飯前である場合が大半だ。
一日の労働は最大で8時間まで。仕事さえ熟してしまえば残りの時間は好きにしていていい。必要なもの、欲しいものがあれば、即座に揃えてくれる。
戦闘にも参加する場合もあるが、その後は必ず24時間の休息を取るのが、カルデアのルールである。
このルールが適用されないのは、ロビン、呪腕のハサン、カルナ、スカサハ、ジャンヌ。虎太郎が最適の布陣としているメインメンバーだけ。
つまり、サーヴァントを酷使しないホワイトカルデアなのであった。
理由は、虎太郎が1日に72時間という矛盾した労働を押し付けてくるブラック――否、ダークネス組織に属していたから、という辺りが涙を誘う。
が、それを補って余りあるツッコミの総量に、流石の裏切りの魔女も辟易気味であるようだ。
「はい、終わり! 本当に馬鹿な坊やね、まったく!」
「…………えーっと、確か、檜風呂だっけ? アレもいいよ。大理石よりも私は好きかもなぁ」
「そうね。檜の香りと温もりが全身を包んでくれるようで、心も身体も安らぐわ。ヴィヴ・ラ・檜♪」
「……ぐすっ、ここには、大浴場もあるんですね」
「そうだよ。総檜だよ。オレと小太郎が頑張っちゃったよ。今日は、オレとお前でダブルコタローだ、状態だった」
「マスターが?! ていうか、忍の頭領に何やらせてるんですか!?」
「うるせー! オレが癒されたかったんだよ!! レイシフト先で、モードレッドとガウェインに環境破壊レベルで檜伐採させちゃったぜ!」
「円卓メンバーまで駆り出してるぅぅぅぅ!!」
(初代様、大変です。マスターがサーヴァントの使い方を間違っています)
英霊同士の軋轢。遅々として進まぬ人理修復の道程。増え続けていく自己への負担。
ストレスを爆発させる寸前であった虎太郎に天啓を示したのは、他ならぬマリーであった。
『マスター? そんな死んだ魚みたいな目をしたら嫌よ。お風呂にでも入って、身も心もさっぱり洗濯しましょう?』
『……風呂……癒し……檜……大浴場……疲れ、吹っ飛ぶ……』
『マ、マスター……? ど、どうしたの、ブツブツ呟いて、ちょっとこわ――――』
『癒されたぁぁぁぁイイイっっ!! モードレッド、ガウェイン、カルナ、ヘラクレス、アステリオスのメンバーでイクゾォォォオオオオオっっ!!!』
『―――――っ?!』
『オレ達の癒しは、これからだ!!』
『ます、マスター! マスタァァアアァァアアァァっっ!!』
マリーの悲鳴すら意に介さず、名前を上げたメンバーを引き連れてレイシフト。大量の檜の木と共に帰還した。
その後、忍である風魔 小太郎と宝具である“
古く、城の建築などにも忍は関わりがあった。現代の建築知識を持つ虎太郎が指揮を執れば、決して不可能ではない。
その後、完成した大浴場を前にして、膝から崩れ落ちた彼の一言であるが――
『…………お、オレは、なんて、無駄な時間を』
『分かってるのなら僕と部下を付き合わせるのは止めて下さい! この努力の方向音痴!』
――以前も同じ間違いを繰り返した自分への自虐染みたモノだった。
「誰か、何とかしてくれ。この性格を……」
「無理ね」
「無理よ♪」
「無理、かなぁ?」
「おろろ~~~ん。おろろろろ~~~ん!」
((大の男が、マジ泣きしてる……))
檜風呂はサーヴァント達に大好評なのだが、虎太郎には何の救いにもならなかった。
「まあ、いいんですけどね」
((切り替え早っ!!))
「その後、ご褒美も貰ったしな。いやぁ、ライダーの騎乗スキルって凄い。それぞれ違いがあって大変よろしかったです」
「「…………?」」
「ご褒美? ……ライダーの、騎乗? ……………………っ! アンタ、いえ、アンタ達、まさかっ?!」
虎太郎の切り替えの速さや努力の方向音痴ぶりに、慣れていない静謐と沖田は先程から驚き通しであった。
そんな中、虎太郎の発言に二人は首を傾げ、メディアは一瞬ポカンとした表情をしたものの、即座にブーディカとマリーに視線を飛ばした。
その視線を受け、スっと目を逸らすマリー&ブーディカのライダー二人組。
信じられないものを見るメディアの視線に耐えきれず、ダラダラと汗を流す騎乗スキル持ち二人。
――やがて、二人は耐えかねたように口を開いた。
「オ、オガワハイムのアレで、落ち込んでる時に優しくされて、その後、そういう雰囲気になっちゃって……」
「ま、マスターが、余りにも落ち込んでたので、癒してあげようと思って、マスターは伴侶みたいなものだから……」
「ハっ?! そういう!? この人、土方さん以上の女好きだぁぁぁああぁ――――っ!!!」
「……女……あっ(察し」
「アンタ、聖女と影の国の女王だけじゃ飽き足らず…。て言うか、ブーディカは兎も角、マリーの方がモーツァルトにバレたら――――」
「大丈夫、自分からバラした。隠し事って良くないよね。他人がよ、震えながらおめでとうって呟いて、ずんどこ目が死んでいくさまを見るのは、居た堪れない気分になるのはなんでかな?」
「アンタって坊やはぁぁぁあああぁぁああっっ!!!」
またしても裏切りの魔女の絶叫が響き渡る。
しかし、当の本人には全く意味がなかった。英霊だろうがお構いなしに喰っちまう男には、その程度が意味などあるはずもなく。
「どっちも未亡人、和姦だからセーフ!」
「完璧にアウトよ! このド外道竿師!」
「うるせー! 好きとか愛してるとか言われると応えたくなるんだよ! 本気になっちゃうんだよ!」
顔を真っ赤にして俯くマリーとブーディカを尻目に、虎太郎とメディアの舌戦がヒートアップしていく。
その光景を目の当たりにしていた新参二人は呟いた。
「静謐さん。私達、とんでもないところに来ちゃいましたねー、あはは(遠い目」
「そうですね。頑張らないとー、うふふ(白目」
メディア
☆3キャスター。顔芸&ツッコミ枠。後方支援担当。まったく、裏切りの魔女も焼きが回ったものだわ(震え声
虎太郎&アルフレッドカルデアでは中堅。
担当は後方支援。主に道具作成による魔術品の供給と陣地作成による魔力獲得を取り仕切っている。
性格的な相性は悪くない。
残忍・冷酷な彼女であるが、王族の娘らしい良識と道徳を失っていないため、敵に対してはド外道、味方と一般人に対しては対等、守護者足らんとする虎太郎との関係は何のかんので良好。
彼女の気分はダメ弟を怒鳴り散らして説教する姉のような感じ。但し、暖簾に腕押しです。
彼女が協力しているのは、“アルフレッドという興味深い存在に召喚された”から。
何か得体のしれない存在に協力要請をされたので、面白そうだから召喚に応じたものの、肝心のマスターが虎太郎だったのが運の尽きである。
初めの内は、気に入らなかったらマスター殺せばいいし、くらいの軽い気持ちだったのだが、ド外道行為と覚悟の決まりっぷりに、裏切ったらアカン相手や、と悟る。
つまり、彼女にとって虎太郎は、裏切る気にさせないマスターではなく、裏切ったら何されるか分からない怖いマスターなのである。どんだけー。
ただ、今の生活には満足しているらしい。
女同士で何の事はない話をしたり、趣味に没頭してみたり、神によって運命を弄ばれ、奪われた
因みに、虎太郎に手を出されていない。
あくまでもマスターとサーヴァントの関係は脱していない。キャス子の相手は葛木先生しかいねぇだろうが、バァロォめ!
最近、一番落ち込んだのはアルトリアが自害させられた後だと知ったこと。また召喚してくれればいいのに、とモデラー魂が疼いている。
「――――それで、あの魔術王に、どう対抗するつもり?」
「いやいや、もう色々と考えてるんだよ、コレが。既にいくつか仕込みも済んでる」
「…………手の速いこと。それでも戦いになるかしらね。私以上の魔術師なんて、神にも等しいわよ」
「ああ、戦いになんかしないね。オレがやるのは一方的な虐殺だ。どうかな、実に(俺たちにとっては)平和的な解決手段だろう?(ニヤァ」
(…………どうしたら、こんな化け物が現代で生まれてくるのかしら(戦慄))
マリー・アントワネット。
☆4ライダー。エロカワ枠。準戦闘担当。ヴィヴ・ラ・フランス♪
メディアと同じ時期に召喚された生粋の偶像にして、生粋の貴婦人。
担当は戦闘。戦闘時には彼女の保有スキルと宝具で鉄壁要塞と化す。カルナの防御性能にとって代わるメイン盾。
性格的な相性は良い。寧ろ、彼女と相性の悪いマスターの方が珍しいのではないのだろうか。
自らが愛し、自らを愛してくれたフランスと民の為に戦う道を選んだ彼女にとって、日常の守護者である虎太郎と相性が悪い訳もない。
彼女自身の童女のような愛らしさの中に、大人としての強さを持っている。ド外道行為にも寛容だ。若干、引いているが。
彼女が協力しているのは“助けてくれたから”という理由が大部分を占めている。
オルレアン邪竜百年戦争の折り、虎太郎達にその身を犠牲にしようとしたマリーであったが、虎太郎はこれを拒否。
「逃げて、速く……!」
「嫌だね。オレの選択はオレだけのものだ。他人の意思なんぞ差し挟む余地はない。だが、まあ――――」
「…………?」
「初恋の相手は見捨てられない、か。モーツァルトめ、社会不適合者の癖に言うじゃないか」
「――――っ」
「共感なんざ出来ないが…………男の花道だ、道を開けろ蜥蜴ども――――!」
モーツァルトから信頼を得る。その打算だけで格好つけるだけ格好をつけて虎太郎とその仲間はワイバーンに突撃していった。
結果としてマリーを救出しつつ、全員が無事で逃走する離れ業を披露する。
アルフレッド、モーツァルト、ジャンヌのブーストを一身に受け、魔界製の竜殺しの武器を使った虎太郎の両腕は肩から先がなくなった。
そんな状態で、よかったなぁ、全員無事で、と普段通りに笑う虎太郎にトラウマを植え付けられた。
最近、一番恥ずかしかったのは、虎太郎の上で騎乗スキルを披露したこと。
両手を握り合って、キスをしながら腰を振る。生前には絶対にしなかった、はしたない真似にマリー大興奮。流石のエロカワ枠である。
「んはぁっ……ふふ、マスター、どう?」
「ああ、気持ちいい。キュンキュン締め付けて、愛するのも愛されてるのも慣れてるだけある。だが――」
「んぁっ! ましゅ、だ、ひぅっ、気持ちいいところっ、下からズンズン――――んんんんっ!」
「性技ならオレが上ですよ? 我慢してないで、もっと可愛い声で鳴いてくれよ」
ブーディカ。
☆3ライダー。癒し系スケベお姉ちゃん枠。準戦闘担当。そんなに……あたしの格好、気になる?
メディアと同じ時期に召喚された戦闘女王。もっとも、ローマに対する復讐に囚われていない彼女は守護に秀でた英霊である。
担当は戦闘。防御型であるので、マリーと同じくカルナとポジを入れ替わって運用されている。
性格的な相性は良好。
本来であれば目にも止まらないちっぽけな人の暖かみ。それを守護する者であるブーディカと虎太郎の相性は非常に良い。
ただ、その手段がアレすぎるのが悩みの種である。復讐者時代の自分を思い出して自己嫌悪。虎太郎が取り分け強い感情を抱いていないのに、そんな手段にでるのに戦慄している。
彼女が協力しているのは“守りたいから”。
一度は復讐に囚われ、血塗られた戦闘女王となる道を選んだ彼女ではあるが、その道を選んだのは深い深い慈愛故。
空と大地と人の繋がり、愛するブリタニアと愛した家族を守るために。その為ならば、ちょっとアレなマスターでも付いてきてくれる良妻賢母な彼女なのであった。
最近、一番やっちゃったなと思ったのは、そういう雰囲気になったからって虎太郎と致してしまったこと。
プラスタグスのことは一番の旦那さんだけど、もう亡くなってるし。サーヴァントだから夢みたいなものだし。虎太郎だって結構素敵な男の子だし。私だって女だし。
いやー、これは完全にスケベお姉さんですわ。良妻賢母だから騎乗スキルも完備ですわ。未亡人って響きもスケベだし、装備の見た目もスケベだわ。スケベ、スケベだわー。
因みに、彼女は最終再臨まで至っているけど、見た目は最初期のまま。男受けする格好だと自覚してんだよ! スケベ以外の何物でもないですねぇ(にっこり
「あああ、……やっちゃったぁ、やっちゃったなぁ、たはは」
「あらら、嫌だったか?」
「嫌じゃない、嫌じゃないよ? 嫌じゃないけど、こう、未亡人としての操と申しますか、自己嫌悪と申しますか……」
「じゃあ、そういうこと考えられないくらいメチャクチャにしちゃおうねぇ……」
「も、もう、エッチ♡ …………ちゅ♡」
沖田 総司&静謐のハサン。
まだ召喚されたばっかりだから解説はなし。待て、しかして希望せよ!
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト
☆1キャスター。オチ&不憫枠。後方支援担当。キャスターの中でも最下層のキャスター、それが僕だ。
ここのカルデアにおいて最初期に召喚されたサーヴァント。カルナ&ジャンヌよりも付き合いは長い。
アルフレッドのお陰でガチャ要素を廃して召喚できるのだが、御館様が性能の高すぎる英霊の裏切りを警戒して、性能が低い彼が敢えて選ばれた。
担当は後方支援。音を媒介にした音楽魔術を使えるのだが、魔術師としては三流以下。だが、そんな自分を最低限の指揮で最大限の効果を発揮する虎太郎に驚いていたりする。
性格的な相性は普通。
元より社会不適合者の二人であるが、社交性は無駄に高い。互いの本音や本心はどうあれ、適度な関係を保てるのである。
二人で酒を飲んで、“オレの尻を舐めろ!”を熱演、熱唱するが、普通ったら普通。
彼が協力するのは“僕はクズで恥知らずだけど、恩知らずじゃない”というもの。
最初は人類史の危機だし、僕如きを召喚する馬鹿がどんなものか見定めようじゃないか、という軽い気持ちだった。
だが、邪竜百年戦争で、初恋の女であるマリー・アントワネットと再会。彼女が身を犠牲にして自分達を逃がそうとした際には、命令を無視して残ろうとした。
結果は、マリーの項目である。虎太郎のぶっ飛び加減にドン引きしながらも、何のかんので恩は返すつもりでいるらしい。
しかし、初恋の人を喰っちまったぜと報告を受ける不憫さ加減。ひっでぇオチである。
でも、二秒で立ち直った。マリーが幸せなら、それでいいし、それから……
「ま、マリーって、夜はどんな声を出すのかな?」
「すげーエロ可愛い声で甘えてくる。でも、お前には教えてやんねー!」
「そこをなんとか!」
「は? 何で自分の女のことをお前に教えにゃならんのだ。オレだけが知っていればいいです。クソして寝ろ!!(ゲス顔」
お前等、本当は凄い仲いいよね? ね?
はい、というわけで、御館様味方にドン引きされている&モーツァルト撃沈!――に見せかけて、自分の好きなアイドルがAV転向した感じの背徳感を味わう! 回でした。
こんな感じで仲のいいカルデアメンバー。
アルフレッド&ジャンヌの選定で、基本的に他人に対して寛容な者ばかりなので。
後は御館様が謎のクッション材と化して、仲良し集団が出来上がっています。
あと、過去に因縁があったりした場合は、絶対に組ません。不平不満は、火事場の土壇場、正念場で必ず湧き出てくる、という考えの下に。一部の例外はいるにはいるが、原則はそんな感じです。