「もしも苦労人がカルデアのマスターだったら」 作:HK416
来た! 水着イベキターーーー!
頼光ママ! フランちゃん! エレナママ! ネロちゃま! ニトちゃん! ノッブ! オルトリア! これは突っ込むしかねえ! 回し続ける! 灰になるまで……!
それから、思いの外バニヤンちゃんが可愛い。これ☆1だからコスト面でもスキル面でも宝具速度面でも優秀やなぁ! 完全に周回要員ですわ!
では、引き続きエロ編。何でブーティカママンとかジャンヌじゃねぇって? 今回のイベントで言ってた聖杯捧げられねぇから、こっちで愛を捧げるんじゃぁ!
では、どぞー!
「こんなもんかー?」
「ええ。忙しいでしょうに、手伝わせてしまって申し訳ないわ」
「別に構わんさ。このくらい、どうということはない」
晩秋。秋は深まり、徐々に冬が近づいてきたとある晩。
誰もいない古ぼけた酒場で虎太郎はモップを手に、マタ・ハリは付近でカウンターを拭き、祭りの後始末に勤しんでいた。
何故、カルデアのマスターとサーヴァントである二人が、このような場所で掃除などしているのか。
事の発端は10月の半ば。エルサレムでの激戦、ベディヴィエールの忠節を見届けたカルデアは最後の特異点の探索と攻略の準備を推し進める中、微小な特異点の発生を観測した。
場所はヨーロッパ・スロヴァキア。年代は16世紀半ば。
この観測結果に虎太郎は死ぬほど嫌そうな顔をし、マシュはガックリと肩を落とし、カーミラは怒り心頭で顔を真っ赤に染め上げた。
場所、年代、特異点発生の時期。
ここまでくれば誰でも分かる。あの少女の仕業である、と。
そう。何度も出てきて恥ずかしくないんですか? アイドル、エリザベート・バートリーの仕業だ、と。
昨年のハロウィンは何処で手に入れたのか聖杯の欠片によって同様に特異点を発生させた。
微小な特異点であった故に、虎太郎はスルーするつもりであったが、聖杯の欠片が発端であったと分かれば回収しなければどうなることか。
心底嫌な思いを抱えながら特異点に向かってみれば、レイシフト時に消えたマタ・ハリとカーミラは相手側についていた。
当時のマタ・ハリは虎太郎を非常に警戒しており、隙あらばエリザベートから聖杯の欠片を奪ってやろうとでもしていたのかノリノリであったし。
カーミラは掃除婦をやらされていて、機嫌がすこぶる悪くなるわ。
どういう訳だか、他のサーヴァントもエリザベート側についているわと散々であった。
その上、エリザベートからは招待状が送られてきており――彼女にしてみれば完全無欠の招待状であったのだが――虎太郎はこれを挑戦状と受け取った。
そもそもエリザベートと虎太郎は非常に相性が悪い。
彼女側は人類最後のマスターであるから力を貸したいだけなのか、それとも虎太郎個人を気に入っているのか、一方的な好意を寄せている。
だが、虎太郎は何をしでかすか分からないサーヴァントなど害悪にしかならないと顔を見ただけで加速度的に機嫌が悪くなるほどに嫌っている。
完全にキていた虎太郎は、取り敢えずマタ・ハリとカーミラを説得してさくっと回収。
その後、最早お前に付き合う気はねぇとばかりにエリザベートが聖杯の欠片で召喚したであろうサーヴァントをカルナとスカサハに捕縛させ、レオニダスの宝具による筋肉特盛り圧迫男祭りで弱体化させた。
筋肉の圧力で衰弱したサーヴァント達を黒髭の“
『ちょっとぉ、これは私の城でもあるのだけれど!? 誰も此処までしろなんて言ってないわよ!!』
(う~ん。これに私を巻き込まなかっただけ、マシ、なのかしらねぇ……?)
『うるせー! こんなんやってられっか! 何がアイドルじゃ!
サーヴァントの技量によって最高レベルにまで高まった“アン女王の復讐”の爆発は、チェイテ城を跡形もなく吹き飛ばし更地にした。
チェイテ城跡地で聖杯の欠片を回収した虎太郎は、エリザベートと会話をすることもなく特異点を攻略したのであった。
しかし、アメリカの特異点で再会した際も彼女は全くメゲておらず、花嫁姿のネロとアイドル合戦し始め、虎太郎はロビンに令呪で二人を抹殺させようとした。虎太郎を必死で止めるマシュが居なければどうなっていたことか。
『またかよ……』
『………………』
そして、今年のハロウィンである。
エリザベートが関わっているであろう特異点の発生に虎太郎はビキビキし始め、マシュは先輩の心労が増えてしまうと頭を抱えた。
今年もチェイテ城を吹き飛ばしてやるよぉ! と獰猛な笑みを浮かべた虎太郎と何も言えないマシュはレイシフトを行ったのだが、今年は少しばかり事情が違っていた。
チェイテ城には何故かピラミッドが刺さって、ハロウィン禁止令が城下町に敷かれていたり。一攫千金を狙う冒険者が城下町に集まっていたり。
兎にも角にもカオスといった有様で。
苦労に次ぐ苦労でイライラが溜まりに溜まった虎太郎の表情は鬼を通り越した怪物の表情になり、マシュは冷や汗を掻きながらその後に続いていたのだが、その最中――
『いらっしゃぁ~い♡』
『……………………いや、何やってんのお前?』
『え、えぇっと、マタ・ハリさん! どうして酒場の店主をしておられるのでしょうか!?』
『勿論、情報収集よ? それからちょっとお金も欲しくて。ロビンくんと静謐ちゃんも先行してレイシフトしているから、何がどうなっているのかはすぐに分かるわ』
『これこれ、こういうのが欲しかったんだぁ~。有能有能&有能。同僚はこうでなくちゃねぇ~』
(ホッ。先輩のストレスが軽減されました。これでエリザベートさんも多少は……)
『じゃけん、エリちゃんは確実に殺しましょうねぇ~。お前に明日の朝日は拝ませねぇ(ニッコリ』
『……ひぇぇっ』
『うーん、この』
――マタ・ハリの酒場、と銘打って、酒場を開いているマタ・ハリに出会ったのだった。
去年の惨状に頭を抱えたアルフレッドが、虎太郎の怒りを鎮めようと情報収集を担当する三名を先行して特異点へと送り込んでいたのである。
マタ・ハリは普段の
ロビン、静謐は斥候としての役割を果たせるが、マタ・ハリは戦闘能力のないスパイ。城下町に潜伏して情報を収集した方が、能力を最大限発揮できる。
そう考えた彼女は二人と別れ、寂れた酒場の店主を言葉と仕草だけで骨抜きにして、ハロウィンの期間限定で酒場を借り受け、冒険者達から情報を集めていた。
エリザベートに代わる新たな城主がハロウィン禁止令を出しており、粛清騎士が取り締まりを行っていたものの、元より冒険者などというならず者が集う酒場、禁止令などお構いなしだ。
因みに、ロビンは“顔のない王”を用い、新たな城主が召喚したサーヴァントを調べ上げており、静謐などカルデアのサーヴァントであることを隠して城主に取り入り、内情まで探っていた。
何はともあれ、その優秀なスパイぶりにマシュは舌を巻き、虎太郎もニッコリ。
迅速な情報収集により、事態の把握に一役買ったのだが、同時に厄ネタも引き入れていた。
そう、追い出された城主であるエリちゃんが酒場に居たのである。
関わりたくねぇと思わず逃げる虎太郎と必死で後に続くマシュ。
大声で泣きわめきながら、ようやく出会えた心強い味方(まだ味方ではないし、あの男が味方になるはずがない)を追いかけるエリザ。
騒ぎを聞きつけ、集まってくる新たな城主が配置した騎士。
『おう、もう面倒だ。捕まるぞ、マシュ! ドラ娘を気絶させて投降するんだ!』
『はい、りょうか――――へ?』
『面倒だからドラ娘を無力化して投降しよう。アイツが死んでもオレは痛くも痒くもない』
『…………えぇ』
『じゃあ、いいよ。オレがやる。おぉい! エリちゃん!』
『こ、この毒蜘蛛! ようやくあたしを――――』
『死ねオラぁっ!!』
『ぎゃふん!』
全てが面倒になった虎太郎は脚を止め、あたしを助ける気になったのね、と顔を輝かせ走ってくるエリちゃんの顔面に蹴りを叩き込んだ。
凄まじい勢いで突っ込んできたエリちゃんは蹴りをモロに喰らって転倒。虎太郎は勢いで脛の骨が折れた。
その後、困惑するマシュと共に騎士達に投降し、連行されることになった。チェイテ城へ。
そう、元よりそれが狙いだったのである。狼藉者として連れて行かれるのは間違いなくチェイテ城の牢獄だ。
新たな城主が沙汰を下すまで、無駄な抵抗をしなければ害されることはない。城主が配置しているであろうサーヴァント諸々をスルーして城に入り込めるショートカットである。
この男、相も変わらず酷い。相手に付き合ってやるつもりなど、更々ない。
城主が配置したサーヴァントもスルー。召喚したらアカン系サーヴァント筆頭、頼光と清姫を静謐が涙目になりながら必死で手綱を握っている状況もシカトだったそうな。
『おい。あれ、ワラキア公か? オルレアンの時と姿形が随分違うな』
『あっ、オジ――――』
『 《 ● 》 《 ● 》 (じーっ』
『あの、エリザベートさんを、凄く見ているような……いえ、凄く睨みつけています!』
『お、叔父様が私を睨むなんて、ありえないわよ。睨んでるのは毒蜘蛛の方だわ!』
『 《 ● 》 《 ● 》 (じーっ』
『いや、見てる見てる、お前見てる。なにやらかしたんだよ。串刺しにされてピン刺しの標本になれ』
『ひ、酷いこと言わないでよ! 改心したのよ、私ぃ!』
『貴様等、きびきび歩かんか!』
チェイテ城へと入城する際、門番であったヴラド三世がエリちゃんを憎しみを込めて睨んでいたが、それすらもスルーした。
本当に自分が興味のない事柄には、まるで関心を示さない男だ。
その後、エリちゃんを残して牢獄を脱出した虎太郎とマシュは、城へと忍び込んだロビン、静謐と合流し、城主の部屋へと突入した。
新たな城主――クレオパトラの言葉を無視し、どういうわけだかクレオパトラに真面目に仕えていた人妻ンスロット卿と居眠り豚卿を――
『お前、騎士王はどうしたんだよ、おい。その日の気分で仕える相手を変えるとか、そらイゾルデもお前を憎むわ』
『私は、私は……私は、悲しいぃぃぃぃぃいいぃぃぃぃ!!!!』
『いい加減にしてください、人妻ンスロット卿! そんなことだからギャラハッド卿から親と認めて貰えないのです! あと、私の父親面も止めて下さい! 不愉快ですっ!!』
『あ……あ? ……AAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaっっっ!!!!』
――言葉だけで自害に追い込む。
あとは既定路線だ。
クレオパトラを囲み、マシュが守り、静謐の毒とロビンの宝具でコンボを決めてボコにし、どういうわけだか現れたオジマンディアスを無視して、自分一人だけカルデアに帰っていった。
マシュとロビンは付き合いがいいので残り、クレオパトラとカエサルの感動の再会に立ち会った。
変わり果てたカエサルの姿に気を失うクレオパトラ、腹筋崩壊する最高最強のファラオの姿に、一緒に帰ればよかった、とマシュとロビンと静謐は思う特異点であった。
「しっかし、情報収集終わってたのに続けてたのか、酒場」
「ええ。此処を借り受ける条件に、ハロウィンの売上を一部譲渡する契約だったから。それにほら、お金が欲しいって言ったでしょう?」
「何でまた急に金なんざ。必要なものはこっちで揃えてるだろ? それに酒場をまるまる借りる契約だ。手元に残る金なんぞ雀の涙だろ」
「それでも、ね。やりたいことがあったから」
酒場の掃除が終わると、虎太郎とマタ・ハリはカウンターを挟んで向かい合っていた。
何故、このような酒場を借り受けてまで金が欲しかったのか。
そもそも必要な物資は嗜好品も含めて提供している。金のかかるものでなければ虎太郎も文句は言わない。金のかかるものであっても虎太郎の許可が下りれば購入は許される。
元よりカルデアを運営するために、延いては対魔忍を続けるためにアルフレッドが用意した資金故、虎太郎もそれほど口を挟まない。
サーヴァントが自前で用意した金銭で購入する場合は、買うこと自体に意味があるのではなく、虎太郎に知られずに、という側面が強い。
どう足掻いたところでレイシフト先からの物品の持ち込みはアルフレッドの検査からは逃れられないが、虎太郎も其処まで縛るつもりはないらしく、オレに知られたくないと思うものの一つや二つあるだろうと中身を見ずに知らぬ存ぜぬを貫き、アルフレッドに報告も義務付けていない。
そういった経緯がある故、虎太郎はそれ以上問うことを止めた。
己の稼いだ金で何を買うかは自由。余程の危険物でもなければ黙認し、マタ・ハリがそのようなものを欲しがるようなサーヴァントではないことを知っていたからだ。
口を閉ざした虎太郎の姿に信頼を見たのか、彼女は嬉しそうに微笑むとカウンターの奥に引っ込んでいった。
その姿に首を傾げながらも、虎太郎は何も言わなかった。
この特異点も、元凶である聖杯の欠片は既に確保済み。いずれは自然消滅する。持って一ヶ月と言ったところだろう。
今の所、仕事の予定はあるが、急を要するわけではない。このまま戦闘能力が低いマタ・ハリを一人で置いていき、万が一などという展開も避けたいところであった。
酒場の酒を店主の許可もなく開けるわけもいかず、咥えた煙草に火を点け、カウンターに背を向けて酒場を眺める。
ハロウィンの飾り付けは片付けてしまったが、掃除の甲斐もあって店内は新品同様だ。冒険者同士の喧嘩で壁や床に穴が空いていたが、綺麗に修繕してある。
そして、店内で気になっていた部分に目を向ける。
店の奥には周囲よりも一段高い円形のステージがあり、その中央にはポールが天井と床を繋いでいた。
虎太郎は直接目にしていなかったが、マタ・ハリ得意のダンスでもやっていたのだろうか。
(そういや、マタ・ハリ以外の店員もいたな。見た目はそれなり。身体も引き締まっていたし、アイツは店主と言っていたから、踊ってたのはそっちか)
詳しくは知らないが、ハロウィン時の店の様子から、そう予測する。
この酒場はクレオパトラを打ち倒し、一攫千金を夢見る冒険者達の寄り合い場でもあった。
食事をするだけではなく、自分のパーティーには足りない人材を見つける出会いの場。マタ・ハリは管理こそしていないが、性質としては簡易的なギルドのような役割も担っていたはず。
基本荒くれ者に過ぎない冒険者を暴走させず、更には飽きさせない余興も必要だったのだろう。
そして、あの店の盛況ぶり。店主として切り盛りしていたマタ・ハリが直接踊っている暇はあるまい。
従業員がサボらないように仕事を与え、冒険者達の諍いを仲裁し、愛想よく笑顔を振りまき、料理を運んで機嫌を取り、その上で情報を収集する。
余りにも難易度が高い行為であるが、元々彼女は頭がいい自立した女性だ。不可能ではない。
踊り子兼娼婦。そんな職業に身を窶していたが、周囲の失敗を押し付けられなければ、別の道も確かにあっただろう。
何とも間の悪い人生と末路。
虎太郎はマタ・ハリの人生への結論はそれ以上は何もない。
悲しみもしなければ、哀れみもしない。そもそも自身と別の時代、違う価値観で生きた彼女に対して偉そうに批評なぞ恥ずかしくて出来もしない。
かの喜劇王はこう言葉を残している。人生とはクローズアップで見ると悲劇、ロングショットで見ると喜劇、と。
彼女はマタ・ハリとして名を残してしまった故にその人生を広く人々に知られ、クローズアップされているだけ。
悲劇的な人生であったとしても、細やかな幸せと彼女なりの覚悟があったとだけ考える。
「はい、お待たせしたわ。今晩は、私の手料理とお酒で楽しみましょう?」
「こりゃまた…………もしかして、これのために金を?」
「ふふ。貴方の場合、何か形に残るものよりも、記憶に残るものの方が性に合っているでしょう? だから、ね?」
カウンターの上に次々とオランダ産のビール、ワイン、ジンが並んでいく。
そして、オランダの家庭料理の料理の数々。
ムール貝の白ワイン蒸し。ヨーロッパのコロッケであるクロケット。オランダ版のマッシュポテト、ヒュッツポット。お袋の味、エルテンスープ。マスタードの添えられたビターバレン。
オランダの国民性は質素で倹約的。派手さよりも堅実なものを選ぶ。
食事にもそれが反映されているのか、ヨーロッパの他の国々に比べ、日本へと持ち込まれた料理は非常に少ない。
それでも、これだけの量があれば壮観の一言だ。ましてや、己自身のために用意されたものであるのなら尚の事。
「だが、何だって急に」
「折角のハロウィンですもの。でも、虎太郎は気が多いから。それもどれもこれも本気ですし」
「あー、まあ……」
「ふふ。責めてはいないから、安心して。でも、独り占めしたくなる気持ちは私にもあるから。だから、何かのイベントの前か後なら、二人きりでも問題ないと思って」
その為に、金が必要だった。
アルフレッドに頼めば、もっと楽を出来ただろう。それをしなかったは、妙なところで頑固さを発揮する彼女の気質のせいだ。
二人きりで楽しむのと己で決めたのだから、その準備も自分でやる。そんな風に考えたのだろう。実にいじらしい。
そして、食事を選んだのも、虎太郎の物に対する執着の薄さを知っていたから。
いずれは壊れると分かっている故に、どのような最先端技術であれ、神秘によって象られた宝具級の代物であれ、メチャクチャな使い方をするし、これ以上は使えないと判断すれば簡単に廃棄する。
そんな彼に何かを残したとしても、信じた者を裏切らない彼のこと、それは必ず重荷になる。
後で折角買ったのに、と互いに暗くなるくらいならば、朧気であろうとも華やかな思い出の方が良い。
この辺りの手腕は流石としか言いようがない。
相手の好みを把握する手練手管は、多くの軍人や政府高官を虜にしたことだろう。
男を翻弄しようとも、本質的に彼女も尽くす側。そのお陰で、結婚生活を台無しにしたとも言えるのだが。
自身の本質が、自身の末路へ繋がったことを理解していながらも、それを感じさせない軽やかな足取りでマタ・ハリはカウンターを回り、虎太郎の隣に腰を下ろした。
そして、手慣れた様子で酒へと手を伸ばす。最初に手を伸ばしたのはハイネケンのグリーンボトル。彼女の生きた時代にも存在していた醸造会社のビールだ。
虎太郎には瓶ごと、自身はグラスに中身を注ぐ。
「かんぱーい♡」
キン、とガラス同士がぶつかる高音が響いた。
二人は瓶とグラスをそれぞれ呷る。マタ・ハリは職業柄酒には強いのか、一息で飲み干してしまった。
飲み方にも品がある。ペースは海賊達と変わらないが、酒が通るたびに上下する喉も、飲み干した後に吐き出された呼気も艶めかしい。
「ふふ――――あっ…………もう」
酒を飲むというだけにも拘らず妖艶な姿を眺めていた虎太郎と目が合うと、マタ・ハリは艶然と微笑んだ。
その笑みに、虎太郎は無言で彼女を椅子ごと自身の側に引き寄せた。
肩と肩が触れ合う距離で、彼女の腰に手が回る。
彼の行動を咎めるような声を上げるマタ・ハリであったが、その表情から笑みは消えていない。頬が上気しているのは酒のせいだけではないだろう。
彼女は、こうした他愛ないスキンシップの触れ合いこそを好む。少女のような純真さは、娼婦として生きた反動なのだろう。
普段の饒舌さは何処へ行ったのか、すっかりと口数の少なくなったマタ・ハリは愛すると誓った男の肩に頭を預け、この穏やかな時間を噛み締めるように瞳を閉じるのだった。
―――――
――――
―――
――
―
「――――おいおい。もう酒がないんですけど」
「だって、貴方が飲まないんですもの。折角のお酒が勿体ないわ」
二人きりの細やかなハロウィンパーティーが始まって三時間。
カウンターに並べられていた酒は全てなくなってしまった。虎太郎は空いたワインの瓶を引っ繰り返して呆れていた。
マタ・ハリは相当な酒豪のようだ。
流石に飲む量はドレイクほどではないが、様々な種類の酒を相当量飲んで頬が上気しただけで済んでいる辺り凄まじい。
自分の酔わない量とペースを完璧に把握しているのだ。それでいて、気持ちよく酔える量まで把握しているのだろう。元々の強さも相俟って、飲み続けることに関してはトップクラスかもしれない。
「そりゃ悪かった。酒は一定以上は受け付けない身体でな。その分、料理は喰っただろ?」
「ええ。作り過ぎたかと思ったけれど、安心したわ。お味はどう……?」
「オランダ料理も、悪くないな。舌に合うか不安だったが、喰ってみれば何の事はない。美味かったよ」
「ふふ、たっぷり愛情を込めたから――――――んっ♡」
この三時間、二人は一時も触れ合った身体を離すことはなかった。
時折、肩と肩で、腰に回した手だけの感触では物足りなくなったのか、互いに指と指を絡めて手を握りもすれば、マタ・ハリの方から太腿に手を置いて撫で回すこともあった。
静かに酒を楽しみながら、互いの気分を高めていく過程。
虎太郎は女の、マタ・ハリの男の趣味嗜好を見抜くことに長けている。故に、互いに何を求めているかも分かっている。
二人の視線が交わり、マタ・ハリは深淵のような深い黒瞳に、虎太郎は青みがかった灰の瞳に吸い込まれるように、口唇を重ねた。
「んっ……ちゅ……んっんっ♡」
激しさはない。少年少女の行う、児戯のような触れ合い。
触れる感触を楽しむように、マタ・ハリの瑞々しい口唇を控え目に押し付ける。
余りにも優しいバードキス。
丁寧に、丁寧に。衣服を一枚ずつ脱がせていくような丁寧さで、相手を求めた。
一心不乱に求められれば求められるほど、女は燃え上がっていく。マタ・ハリでも、それは変わらない。
「んふぁっ……一先ず此処までにして。抑えが利かなくなっちゃう♡」
「えー」
「そう言うと思ったわ。でも、今日は特別だから。特別なショーを見せてあげる♡」
必死で煮え滾った欲求を押さえ込んだマタ・ハリは立ち上がると、不満げな虎太郎の手を引いた。
向かったのは先程、虎太郎が視線を向けたステージ。
その正面には赤い一人がけのソファーが配置されており、其処へ彼を座らせた。
此処までくれば、誰であれ分かる。
あのマタ・ハリのダンスショーの始まりだ。それもただ一人のためだけに向けられ、催される
「……うふふっ」
彼女がステージに立つと、音楽が掛かる。
アップテンポの激しい曲調は、彼女の生きた時代のものでも、この特異点の年代のものでもなく、現代のもの。
それも当然。彼女の生前にポールダンスなどというものは存在しなかった故、召喚されてから学んだのだろう。このダンスに合う音楽も、カルデアから持ち込んだ機材が流しているに違いない。
ポールを利用した曲芸の類は古くからあったものの、多くの人々が連想するようないかがわしさは微塵もない芸と呼ぶに相応しいものだった。
現代におけるポールダンスも意味合いが変わってきている。露骨な性接待の一部というよりも、寧ろ技を競い合う競技としての側面が強くなっている。
ポールダンスのトリックは見ている者が驚くようなアクロバティックなものばかり。ポールを両手で掴み、地面と並行に身体を支えるような技も少なくはない。引き締まった女体がポールを中心に舞い踊るさまは、妖艶さよりも技の凄まじさが目を引く。
虎太郎もマタ・ハリの踊りは息を呑むほど。
生まれ持った
こういうのも悪くはないな、と感じながら、マタ・ハリを煽るように虎太郎は笑いながら指笛を鳴らした。
若干の恥じらいを見せながら、マタ・ハリはポールを掴み周囲をぐるりと一周する。
その一挙一投足すら艶めかしい。一歩踏み出す度に尻が揺れ、一歩踏み出す毎に胸が揺れる。
いないはずの観客に自らの肢体を見せつけると、今度はポールに手足が絡まっていく。
性接待のポールダンスはポールを男性器に見立てるという。蠢く手足の動きは、それだけで彼女がどれだけそれの扱いに長けているのかを示しているかのよう。
けれど、妖艶だったのは其処までだ。踊りは激しさを増していく。
ポールを掴んだと思えば、腕の力を利用して、ゆっくりと後ろに向けてくるりと回る。
片足をピンと伸ばし、もう一方の脚をポールに絡めて身体を支え、大きく上体を反らせる。
バレリーナのように一直線に伸ばした両足をポールにピッタリとつける。
絡めた片足のみで身体を天地逆しまに支え、もう一方の脚を逆に折り曲げ、頭の後ろで掴む。
見る者を魅了する技の数々。
何よりの妙は彼女が音楽に合わせて次の技へと移行する繋ぎの巧みさにある。
身体の動きが音楽のリズムから一切外れず、それでいて見ている者を飽きさせないように次の技へと至る。
これがマタ・ハリの生まれ持つ才能と努力によって磨かれたもの。
見ているものを魅了する洗脳じみた舞踊。その究極が、彼女の持つ宝具なのだ。
音楽が止まると同時に舞の終わりを告げる。
虎太郎は静かであるが力強い拍手を知らず知らずの内に送っていた。それが何であれ、人を魅了する技に賞賛が不可欠であることを理解していたからだ。
全身を汗で濡らし、弾む呼吸を整えながらも、マタ・ハリは微笑みと共に一礼する。
「じゃあ、次は私がもっと得意なものをお見せするわね? 但し、お触りは厳禁よ♡」
次に上がった顔に張り付いたのは淫靡な笑み。
ペロリと乾いた口唇を潤すように舌で口唇を舐め上げると、くるりと背を向けてポールへと向かっていく。
歩き方にすら艶が増している。頬杖をついていた虎太郎ですらが目を見開き、左右に振られる尻肉に生唾を飲み込んだほどだ。
「ふふっ…………あっ、ん♡」
音楽はない。
だが、マタ・ハリの踊りに合わせて聞こえる筈のない弦と笛の音色が聞こえてくるかのよう。
マタ・ハリは少ない布で覆われた胸をポールに押し付け、左右へと揺れる。
硬い金属のポールは容易く柔らかな胸を潰し、形を崩れされるが、すぐにまた元の形へと戻り、柔らかさと張りを伝えていた。
「んじゅ……ちゅる……れろぉぉっ♡」
股を開き、ポールを胸で挟みながら舌を這わせ、膝を折り曲げて下へと降りていく。
すると、ポールの摩擦が肌の摩擦に勝ったのか、ぶるんと音を上げそうな勢いで、脂肪の詰まった乳房が露わになる。
ブラはしていない。
型くずれしていない双乳はただひたすらに淫らであったが、乳首と乳輪を隠すようにハート型のニプレスが張り付いていた。
「んっ……はぁっ……くぅっ……んふっ……♡」
両手で胸を掴んでポールを締め上げるように押さえながら、マタ・ハリの身体が上下する。
股間を擦り付け、全身で男根に奉仕するような動き。何度も何度も、流し目で虎太郎を見ながらも、決して言葉では誘わない。
虎太郎は股間が熱く滾ってはいたが、動かない。
まだ見ていたい、もう動きたいという相反する気持ちの鬩ぎ合いすらも楽しんでいるように見える。
ダンスは次の段階へと移る。
マタ・ハリはポールの前に移動し、背中を預けた。そして、下半身を覆う薄布をずり下ろす。
其処にもやはり、ハート型のニプレスがあった。女性器を覆うように張り付いたそれは、彼女の薄い陰毛までは覆いきれなかった。
既にニプレスの間からは蜜が漏れており、彼女の太腿に濡れ光る筋を幾本も作り出している。
「ふっ……んんっ……ひぁっ……ほ、ぉっ……うふっ……うふふっ……♡」
背後のポールを頭の上で掴み、恥じらいなど忘れたように股を大きく開く。
虎太郎の座るソファからでもニプレスを押し上げて自己主張する陰核が見て取れた。
(あぁっ……やっぱり、凄い……虎太郎のギラギラした視線、本当にケダモノみたい……でも、感じちゃう……♡)
全身へと絡みつく虎太郎の視線に、ジリジリと熱を覚えながら、マタ・ハリはカクカクと情けなく腰を動かす。
最早、ストリッパーの動きではない。浅ましい牝の痴態そのものだ。
眉根を寄せて悩ましげな表情をしてはいたが、口元は笑みで象られている。
かつての交わりを思い出し、より快楽を得ようとしているのだろう。
その目論見は成功している。腰を振る度に愛液は漏れ、軽く潮を噴いているらしく、虎太郎に向かって女の欲望が煮詰まった飛沫が飛び散っていた。
視線そのものが愛撫と化し、膣を抉る熱い肉棒の記憶に昂りは増していく。
「んあっ……はぁっ……んくぅっ……イッ、く……は、おぉ……イックゥっ……♡」
ブシュ、と噴水のようにニプレスを押しのけて牝潮が噴き上がる。
性器に触れることなくアクメへと達したマタ・ハリはガクガクと腰を痙攣させながらも、へたり込む不様は見せない。
荒い呼吸を繰り返しながらも、ニプレスが剥がれてしまったヴァキナを指で割り開いて見せびらかす。
完全に開いた女の園はヒクヒクと収縮を繰り返し、男を誘っている。
彼女は身体を翻し、虎太郎に尻を向ける。
ぐいぃと股を開いた姿はガニ股と呼ぶに相応しい下品さ。そして、片手で尻肉を掴み、ヒクつくアナルまでもを見せつける。
これでもう彼女に見せていない部分はニプレスで覆われた乳首だけだ。
股の中央から白濁した本気汁が溢れ、ステージの床近くにまで伸びてようやく切れる。彼女の足元は既に愛液で水たまりが出来ていた。
こうまでされて黙っていられる男はいないだろう。左右に揺れる尻は、男を誘い、早く早くと急かしている。虎太郎も例外ではなかった。
ズボンのチャックを下ろしながらステージに登り、尻を突き出したマタ・ハリの前に立つと猛り狂った肉棒を取り出した。
子供の握り拳はありそうなほどの亀頭、血管がビッシリと浮かび上がった茎、時折上下して痙攣しながら我慢汁が漏れる牡の象徴に、マタ・ハリはうっとりと目を潤ませた。
「うふふっ……お触りは厳禁って言ったわよ、ね?」
「ああ、そうだっけ? とは言え、ここまでされたら我慢できないよ、メグ」
「もぅ……ずるいわ。そう呼ばれたら、私は逆らえないもの♡」
メグ。彼女の本名、マルガレータの愛称だ。
マタ・ハリとして英霊となった彼女は生前の記憶を朧気にしか覚えていない。
そういった生前の記憶の欠落は、英霊達には多々見られる。特に、彼女の場合は近代で成立した英霊故にか、人々の信仰がまだまだ薄い故にか、マタ・ハリをマタ・ハリとして成立させるための記憶ばかりで、マタ・ハリ以前の自分に関しては曖昧としている。
記憶と人生の過程は穴だらけ。
愛した誰かが居たことは覚えている。憎んだ誰かが居たことは覚えている。
ただ、何ゆえ愛したのか、何ゆえ憎んだのか思い出せない。浮かび上がるのは煮え滾るような思いだけ。
虎太郎としても初めはただの思いつきだ。
どうせ自分の女にするなら、芸名でなど呼ぶのは面白くない。
とは言え、マルガレータでは長いし、海外では愛称で呼ぶのも珍しくないと何気なしに口にした愛称がメグだった。
それがマタ・ハリの記憶を刺激した。
まだ幼かった時分。父が事業で失敗する前の幸せの絶頂期。その愛称は、母が口にしていたものではなかったか。
彼女は溢れる涙を止めることが出来ず、今となっては辛いだけの記憶を呼び覚ました虎太郎を憎むと同時に、深く、何処までも愛すると誓った。
己を破滅へと誘い、翻弄してきた男共と似てはいても、決して同じではない彼と地獄の底まで共にする、と。
「少し、遊びたい気分ではあるんだが……」
「はぁぁあぁっ……♡」
ウエストは細いが、胸も尻も大きく肉付きのいい肢体を堪能したい。
そう思いながら、突き出された尻に
菊門に押し当てられた勃起は、火傷しそうなほどに熱い。
其処から子宮と背骨を通じて脳の深い部分に走る電流に、マタ・ハリは恐怖を覚える。
相手が男であるのなら、どのような相手であれ、翻弄する自信はあった。だが、所詮は娼婦としての自信。
ただの女として愛されたことのない彼女には、未知の体験、未知の経験、未知の領域である。
初めて虎太郎に抱かれた時など、生娘のように泣き叫び、抱きしめられてようやく落ち着いたほどだ。
けれど、今は恐怖に勝る期待があった。
あの快楽を交換する歓び。確かにあった自分が溶け落ちて、相手と一つになっていく感覚。
尻の間で肉棒が動く度に背中へと我慢汁が飛び、同じくマタ・ハリの女陰からは期待の涎が溢れていた。
「さあ、準備をしてくれるか?」
「本当、あなたは女を辱めるのが好きね。最低よ♡」
「口でそう言うなら、嬉しそうなのをもっと隠せよ」
虎太郎は、くつくつと笑いながら尻肉の感触を楽しんでいた剛直を引き、今度は蜜の溢れる秘裂へと触れさせる。
それだけで蕩けた性器からはネバついた本気汁が溢れ出し、腰が跳ねてしまう。
マタ・ハリが恥じらいを覚えるよりも先に、戦く子宮に突き動かされるように無意識の内に腰を振っていた。
「んっ……んっふぅ……はっ、はっ……はぐぅっ……うぅうぅぅっ……♡」
ねちゃねちゃと粘着質な水音を鳴らしながら、男女の性器が擦れ合う。
挿入の誘惑を必死で堪えながら、それこそ必死で腰を左右前後に振りたくる。
腰が動く度に男性器が本気汁で濡れていく。
マタ・ハリのはしたない痴態に歓びを示すかの如く、カウパーが漏れ、互いの性器が汚れていった。
「はぁっ……ねぇ、あなたぁ、そろそろ……いい、でしょう……♡」
「ああ、そうだな、っとぉ!」
「あ、かっ…………はひぃぃぃいいぃぃぃいいぃっ♡♡」
マタ・ハリが子宮から湧き上がるマグマのような欲情に根を上げて振り返る。
すると、虎太郎は意地の悪い笑みを浮かべながら、彼女の腰を両手で掴むとパンと自らの腰を叩きつけた。
挿入はしていない。
ただ、恥ずかしいほどに勃起したクリトリスを怒張が擦り上げたのだ。
目の前を白く染める快楽の放流に、マタ・ハリは耐えきれずにアクメ声を上げる。
尻を突き出していた格好から、身体が跳ね上がり海老反りに反り返った。
仰け反る身体を虎太郎に預け、尿道からは牝潮が激しく噴き上がる。
「はっ……はっへ……はっ……はっ……あぁ……はひっ……♡」
何度となく潮を噴いて肉棒を濡らし、舌は口から溢れている。
ぼうとした瞳は力なく天井に向けられており、短く犬のような呼吸を繰り返す絵に書いたような仰け反り絶頂。
性に長けた彼女のアクメ姿に、虎太郎は射精しそうなほどの優越感を得ていた。
彼女には苦労こそさせられなかったが、心を開かせるのには難儀した。聖杯を求める彼女であるのならば、ビジネスライクな関係も結構と割り切っていたが、関係が変化した今は別だ。
自分に何処までも尽くしてくれる女。これほど愛おしいものはあるまい。
このような愛し方しか出来ないが、その分だけ深く愛してやらねば嘘だ。何処までも彼女を蕩けさせ、何処までも彼女の心に踏み込み、何処までも深い絶頂を味合わせたい。
「メグ、大丈夫か? もう終わりにしてもいいが……」
「はっ……ら、らめ……あにゃたが、イってなひぃ……らから、らめなのぉ……♡」
「そうか。じゃあ、もう少しだけ楽しませて貰うからな。一緒に気持ちよくなろう」
「……は、はひぃぃっ♡」
熱い吐息を漏らしながら呂律も回らない言葉でいじらしい科白を漏らすと、よたよたと覚束ない足取りでマタ・ハリは身体を離し、またしてもポールに背中を預けた。
絶頂から戻ってきた彼女は、再び股を大きく開くガニ股のポーズを取った。
そして、両手を使って秘裂を割り開く。開かれた淫穴は何本もの糸を引いている。
胸を隠す衣装はずり上がって意味を為していない。
股を覆う衣装はとうの昔に自分から脱ぎ捨てた。
隠すものはニプレスと脚の先から太腿までを覆うニーソックスとハイヒールだけ。
ニプレスを押し上げるほどに勃起した乳首、包皮から顔を出して発情を示す陰核。
何もかもを曝け出した、女の被虐と服従の欲望、男の加虐と征服の欲望を表す姿。
とろり、とまたしても本気汁が糸を引いて溢れだす。
銀色の糸に虎太郎はゴクリと生唾を飲み込み、メグは淫らに微笑んだ。
「あなたぁ……んくっ、きて……はぐっ、はっ、私のとろとろに蕩けて、躾けられら牝穴に、あなたの逞しい女殺しのおちんぽで突き回してぇ……♡」
「ふふ。尽くす女だよなぁ、メグは。本当は、恥ずかしくて嫌なのに、必死になって誘ってくれて、可愛いな」
「うぅ……そうなるように、躾けたのはあなたなんだからぁ……娼婦じゃないお前が欲しいって、泣いて怖がる私を何度も何度も蕩けさせて、躾けた、癖にぃ……♡」
「そうだったな。だから、まあ、責任は取るさ――――愛してるよ、メグ」
「―――――あっへぇっ♡」
真っ直ぐと目を見据え、言葉だけでも、と愛を告げる。
自分の中には、そんな感情はないと分かっている。無論、マタ・ハリもだ。
壊れているわけではない。生まれた時から、この男は致命的に何かが欠けていた。
度重なる経験を積み、欠けていたものは更に広がっていった。まるで砂上の城が崩れるように。あとに残ったのは、機能の権化が如き、舞台装置じみた何かだ。
そんな自分を愛すると言うのなら、せめて言葉にする。心にもない言葉であったものだとしても。
普段の彼からは考えられない誠実さ。
こうして自分を抱くときばかりに見せる卑怯な一面に、マタ・ハリには悦びしかない。
例え、心にもない言葉だったとしても、それは彼自身が認めないだけで、私にとっては間違いなく欲しかったものなのよ、と。
「はっ、はっ、はひっ、ず、ずるいぃ♡ いつも、いつも、そうやって、私が言って欲しいこと、こんな、タイミングでばっかり、なのにぃっ♡」
「普段じゃなぁ。白けるだろ、オレが言っても。ほら、口を開けて」
「んむゅっ♡ ちゅる、れろる、んくんくっ、はむぅっ、れるれろろ、ずろろ、じゅりゅ、るろっ……♡」
降りていた子宮口を狙い澄まし、一息で突きいれた肉棒が震える。
迎え入れた秘裂は嬉しげに肉棒を締め上げ、襞は絡みついて抜かないでとせがむようだ。
虎太郎が顔を近づけると、マタ・ハリは自らキスをした。
目を細め、舌を絡めて互いの唾液を飲み下す。
蛇のように絡め合わせ、舌の腹を擦り合わせて快楽を交換する姿は、とてもキスと呼べる上品なものではなかった。
口から溢れた涎が顎を汚すことも厭わない様は、口で行う交尾のよう。
けれど、それも長くは続かない。
結局、マタ・ハリは押し切られ、一方的に口内を蹂躙されてしまう。
口腔に広がる自分のものではない酒と煙草の味と舌の感触に、溢れる蜜液も牝潮も止まらない。
それでも賢明に舌を使って相手の口内へと唾液を送り込み、舌に吸い付いて奉仕する。まるで、もっと私を感じて、という彼女の気持ちを表したかのようだ。
「はぅぅっ♡ ま、まっへぇっ♡ きしゅ、べろちゅぅ、れきないっ♡」
「上のキスも好きだけど、こっちのキスも好きだろう?」
「うぅ、ひっ♡ はひぃっ♡ すき、すきすきぃぃっ♡ 子宮で、あなたのチンポにきしゅ、すきぃぃぃっ♡」
キスと共に開始された抽送に、マタ・ハリは堪えきれずに口を離してしまう。
抽送と呼ぶは余りにも優しく、小刻みな抽送。
亀頭は子宮口を何度となく突き回し、ぷっくりと膨らんだGスポットは幹に浮かび上がった血管の隆起で擦り上げられる。
「はぐぅぅぅっ♡ はっ、はぁっ、あっ、あっあっ、らめぇっ、抜けちゃう、ちんぽ抜いちゃ、いやぁ……」
「そんな泣きそうな声を出すなよ、ほら」
「あっ、おっ♡ おぉッ♡ おおぉ……あ、っ、おぉおおぉっ♡」
吸い付いた子宮口が引き抜かれる亀頭に追い縋り、襞は更に絡みついて寂しさの余りに懇願する。
けれど、それも一瞬のこと。
本気汁を掻き出しながら膣口付近まで引き抜かれた肉棒は、すぐさま奥へと戻り、子宮口を叩く。
マタ・ハリの女を蹂躙し、躾けながらも、彼の抽送は余りにも優しい。
「はは、またイったのか?」
「む、無理よぉっ♡ こ、こんなに、一心不乱にっ♡ 好きってこつこつされたら、女なら誰だってぇっ♡ 逆らえないっ♡ 好きな人に逞しいチンポでされたら、誰だって逆らえないのよぉっ♡」
「じゃあ、そろそろ射精すぞ、メグ」
「は、はいぃぃぃっ♡ 射精してっ♡ 私のどスケベマンコで、いっぱい気持ちよくなってぇぇぇぇぇえぇっ♡ ほ、ほぉおぉおおぉぉっ♡」
ぶくりと亀頭が膨らみ、射精が間近であることをマタ・ハリの全身へと伝える。
度重なる絶頂によって緩みきった子宮口は亀頭を、女にとって最も大事な部分へと招き入れる。
虎太郎とマタ・ハリは、指を絡めて手を握り合い、その瞬間、共に高みへと上り詰めた。
「おっほぉおおぉおぉぉおおぉぉぉおおぉっ♡」
「ぐっ、っ―――」
「ひぐぅっ♡ で、射精てるっ♡ チンポ、跳ねぇっ♡ ザーメン、熱いぃいぃいいぃぃっ♡」
「はぐぅうぅっ♡ お、おぉっ、お潮、とまらにゃいぃっ♡ ひっ、ひぃぃっ、イク、イクイクイクっ♡」
「はっ、あっあっあっ、好き、あなたぁ、好きぃっ♡ 愛してるぅっ、愛してますぅ♡」
「手、離さないれぇっ、このままぎゅってしてっ♡ あぁっ、どちゅどちゅダメェっ♡ イク、またイクっ♡ おまんこぉ、おぉっ、イクゥゥゥウウゥウゥゥっ♡」
決して離さないと手を握り合ったまま、肉棒が跳ね回り、秘裂は蠕動する。
牝の本能に従うように、女の悦びに従うように、マタ・ハリの女は虎太郎の精液を本気で搾り取る。
射精しながらもピストンを止めない。
怒張を飲み込んだ女陰の隙間からは溢れた精液と本気汁の混合物が溢れ出す。
最後を告げるように一際大きく亀頭が膨れ上がった。
「イィイイィィっっっくぅぅううぅうぅぅううぅううぅぅぅううぅっっ♡♡」
最後の精液が吐精され、子宮の内部をみっちりと埋め尽くす。
「はっ、あっ、はっへぇっ……あひっ、あぁっ、れ、れてるぅ……おしっこ、漏れてりゅぅ……♡」
身体を密着させ、深くで繋がったまま絶頂の余韻を噛み締めていたマタ・ハリは、自分の股間から漏れ、虎太郎のズボンを汚していく黄金水に端的な感想を漏らした。
尿道で液体が動く度に、小刻みな絶頂が襲い掛かってくる。全身の痙攣は止まらず、甘いアクメの余韻が心地いい。
けれど、虎太郎の手だけは離さない。これが、下半身の繋がりよりも遥かに強い、繋がりだとでも言わんばかりに。
「メグ、可愛かったぞ。それから、その、まだ出来そうか……?」
「あぁんっ♡ はっ、はぁっ、あなたの、まだおっきぃっ……♡」
「無理なら、本当に止めておくが」
「いやぁっ♡ して、もっとしてぇ♡ あなたの女、ですもの……♡ あなたのおちんぽ、おっきしなくなるまで、して下さい……♡」
「じゃあ、遠慮なく。続きは、風呂でしようか」
「あっ、う、うそっ♡ ち、チンポで支え――――あっひぃいぃいいぃぃぃいぃっ♡」
ようやく開放された両手で、虎太郎はマタ・ハリの身体を持ち上げる。駅弁と呼ばれる体位だ。
抜かれない剛直に身体を支えられながら、子宮から伝わる律動に、マタ・ハリは悲鳴染みた声を上げるが、間違いなく女の嬌声であった。
虎太郎が歩く度に伝わってくるピストンとは違う法悦に目を白黒をさせながらも、迎え腰でくなりくなりと揺れ動き、互いの思いの丈を伝え、交換していた。
誰もいなくなったステージに残ったのは、マタ・ハリの発情の跡と虎太郎の快楽の証明のみ。
酒場に備え付けられた風呂からは、朝になるまで、マタ・ハリの甘い悲鳴が響き続けたのは、言うまでもない。
ほい、というわけで、御館様の簡単ハロウィン攻略&マタ・ハリさん有能&有能有能&マタ・ハリさん、好きな相手なら何でもやってくれる、の回でした。
マタ・ハリさん、ビリー君と同じく、親しくなってくると華やかで親しみやすい面以外も見せてくれそう感があるな、ということでこんか感じに。
でも、ダンサーとしての技とか娼婦としての技とかも使って一緒に気持ちよくなってくれるんだぜ? 最高じゃね? という妄想。
さぁて、自分のエロは満たされた次回からはSE.RA.PH編再開だ。何処まで書いたっけかな? 夏休みで終わればいいなぁ……