「もしも苦労人がカルデアのマスターだったら」 作:HK416
今回の話は『ネタバレ注意』で!
次のイベントはプリズマ☆イリヤのイベントか。そっちの方は知らないんだよなぁ。様子を見つつ、無課金で行こう(戒め
さて、今回はお風呂編。男同士で無駄に仲良く生活しています。
きっと御館様にとっては対魔忍やってた時よりも、カルデアの方が幸せ。男連中は使える奴ばっかりだし、女連中も頭が良いのが多いから。寧ろ、対魔忍が組織としておかしいんだよぉ!
では、どぞー。
野郎どもの挽歌 お風呂編!
「あれ、大将? どうしたんだよ、その二人を連れて」
「まさかとは思いますが、また無駄な力仕事をさせるつもりですか……」
「無駄って言うなぁ!! ちげーよ! 毎度毎度、オレが努力の方向音痴してるなんて思うんじゃねぇよ!!」
((そうは言ってもなぁ~~))
たまの休みに食堂でチェスに興じていたロビンと呪腕のハサンは、通路を通りがかった自らの主人と巨躯の二人組に目を奪われ、声を掛けた。
虎太郎の後ろを付いてきている二人は身長2メートルを優に超えるバーサーカー二人組である。
浅黒い肌に筋骨隆々の肉体。爛々と狂気で輝く瞳の中に一握りの理性を残したバーサーカー。真名はヘラクレス。
誰でも一度は耳にしたことがあるであろうギリシャ神話の大英雄。並みの英雄なら一つ乗り越えるのもやっとの試練を12も超えた怪力無双の頂点。
本来であれば、バーサーカー以外での召喚――殊更、アーチャーとして召喚するのが望ましい。
だが、召喚当時、アルフレッドのデータベースにはバーサーカーとしての召喚例しかなく、止むを得ずバーサーカーでの召喚と相成った。
そして、ヘラクレスよりも一回り大きく、頭から角を生やしたもう一体のバーサーカー。真名はアステリオス。
雷光を意味する名ではあるが、人々に分かりやすく伝えるのなら、ミノタウロスの方がよく伝わるだろう。
天性の魔。人と牛との間に生まれた異形の怪物。それが広く伝わっている彼の姿だ。
生まれながらの反英雄ではあるものの、今の彼は人としての側面が強い。彼をアステリオスと呼ぶ限り、彼が怪物になることは決してない。
二体のバーサーカーは戦場では勿論のこと、力仕事においても大いに活用されている。
大浴場の改装でもモードレッド、ガウェイン、カルナが斬り倒した檜の木を持ち帰るのにも連れていかれた。
静謐のハサンのために自室の浴槽を大理石製へと作り替える時にも駆り出された。
それでも二人は文句の一つもないようだ。
元よりヘラクレスは一握りの理性は残していても、思考能力は無きに等しく、狂ってはいるもののアルフレッドが組み上げた術式によって完全な制御下に置かれている。
操り人形――とは違うものの、バーサーカーのクラスで召喚されたにしては比較的大人しい部類であり、そもそもクラス的に不満があったとしても言葉にも態度にも示せまい。
アステリオスはその生を怪物として過ごし、最後には正しい英雄の手によって討たれた存在。
虎太郎の努力の方向音痴が炸裂したとしても、結局の所、人間として利用されているようなもの。
彼にとっては何から何まで未体験の初体験。精神的に未熟で、子供同然の彼には何から何まで新鮮で輝いて映るのか、何の不満もないらしい。寧ろ、楽しんですらいるように見える。
「ん? あれ? なんか、アステリオス……落ち込んでないか?」
「………………うぅ」
「まさかとは思いますが、アステリオスはまだ子供ですぞ。主殿、何をされたのですか」
「オレじゃねぇよ。コイツが悪いし、あとはエウリュアレが悪い」
普段のアステリオスは、大抵の場合は薄ら笑みを浮かべている。
虎太郎にクエストやら努力の方向音痴に付き合わされ、エウリュアレには召使いと称してコキ使われ、ナーサリー、ジャックと遊ぶ日々。
自分を嫌う者は誰一人としていない。このカルデアに居るのは万夫不当の英雄達。日常の中では周囲に信頼されて名を呼ばれ、万が一の時には己を止めてくれる仲間がいる。
それだけで彼は幸せだ。虎太郎には感謝してもし足りず、エウリュアレのちょっとした邪悪さに付き合うのも吝かではない。
――ないのだが、今日のアステリオスはしょんぼりしていた。
一言で言えば、彼の周囲を漂っているほわほわとした木漏れ日のような陽気さがなくなり、表情は暗く落ち込んでいる。
アステリオスがカルデアに来てからと言うもの、普段の無表情、嬉しげな笑み、困惑した表情は見せても、こんな表情は一度足りとて見せたことはなかった。
ロビンと呪腕は顔を見合わせ、続いて虎太郎を咎めるように見たが、当の本人は肩を竦めるだけ。
この様子では、本当に虎太郎は何もしていないらしい。そもそもアステリオスを落ち込ませた程度で、下らない嘘を吐く可愛らしさを持ち合わせていない。
では、アステリオスに一体何が……?
ロビンと呪腕の疑問は深まり、心配は増していく。
この二人、汚れ仕事はお手の物であるが、面倒見も良く常識的かつ良識的な大人である。如何な天性の魔と言えど、子供に何かがあれば心配の一つもしよう。
虎太郎は二人に答えを示すため、親指だけを立て、チョイチョイとアステリオスを指し示す。
どうやら近寄ってみろ、という意味らしい。訳が分からなかったものの、虎太郎の指示に従いアステリオスに近寄ると――――
「「うわっ!! 臭っ!?!」」
「………………う゛ぅ゛っ」
「何だよ、この臭い! ちゃんと風呂入ってんのか?!」
「洗ってない牛小屋の匂いが! アステリオス、どのような部屋で生活して居るのだ、お主は!!」
「お二人さん? そこらへんで、だな……………………あー、やっぱいいや。もう遅かった」
「「――――――え?」」
アルフレッドによって召喚されたサーヴァントは、霊体化が出来ない。
虎太郎によれば、『馬鹿言ってんじゃねぇ。カルデアの内部にだって見せたくないもんや入られちゃ困る部屋があるんだよ。霊体化なんぞさせるか』とのこと。
アルフレッドによれば、『皆様は協力者です。サーヴァントは兵器、捨て駒という言い分は理解できますが、それでも、私は人として付き合っていきたいのです』とのこと。
虎太郎は自身の策や能力、或いは過去を明かさぬ為に霊体化することで秘密が明らかになるのを嫌ったが故に。
アルフレッドは、あくまでも人として付き合うために、協力の対価として一時的な第二の生を謳歌して貰いたいという願いから霊体化できない召喚方法を模索した結果である。
霊体化できない、ということは、ほぼ受肉したも同然、ということである。
戦えば身体は汚れるし、怪我をすれば血を流す。当然、発汗排泄もする。風呂に入らなければ、体臭もキツくなるのは自明の理。
どうやら、アステリオスは最近、風呂に入っていなかったらしい。それをエウリュアレに指摘されたのだ。
『アンタ、洗ってない牛の匂いがするのよ! それでも私の召使いのつもり?! 早くお風呂に入ってきなさいよ!!』
と、こんな感じに。
アステリオス大ショックの瞬間であった。トボトボと歩いているところに、虎太郎と顔を合わせたのであった。
「………………■■■■っ」
「いや、ちょいタンマ! ヘラクレスの旦那! 人の頭鷲掴みに――――――ひぎゃあぁぁあああああああっっっ!!!」
「お、落ち着いて下され! 我々は決してアステリオスを貶して――――――ぐわぁぁああああぁぁぁああっっっ!!!」
「■■■■■■■■■■■■―――――っっ!!!!」
「流石、怪力無双のヘラクレス。二人がヌンチャクみたいに。いや、コレはタオルかな?」
「……こ、コタ、ロー、と、とめ、とめて…………」
「無理言うな。あんなん近寄ったらオレが死ぬわ。
二人の頭を鷲掴みにして、ぶんぶんと振り回す
かつて、ヘラクレスは嫉妬深い神によって狂気に陥り、我が子を殺してしまった。
その所為か、カルデアの子供をイジメようものならば、何処からともなくすっ飛んできて、この調子である。
主な被害者は黒髭。いや、この場合は被害者ではなく加害者か。奴が何をしようとしたのかは、それぞれの想像に任せよう。
元々同郷かつ生前も面識のあったアタランテからは死ぬほど頼りにされている。狂ってはいるが、立派なカルデアの保父さんである。ヘラクレスさん、完璧に理性残ってますよね?
自身に忠誠を誓った
ロビンと呪腕の絶叫、ヘラクレスの咆哮と制裁は、ヘラクレスの気が済むまで続くのであった。
―――――
――――
―――
――
―
「あ゛ぁ゛~~~、ひっでぇ目にあった……」
「く、首が…………これ、首が伸びていないか?」
「あー、ハサンの旦那、自己改造のスキル持ってるからな」
「首が伸びる自己改造なぞ、何の意味がある!? そもそも、これでは自己改造ではないぞ!?」
不用意な発言によってヘラクレスの制裁を受けた二人は、共に大浴場に移動していた。
制裁に軋む身体を癒す為、二人揃って檜の湯船に浸かっている。
仄かに香る檜の匂いと身体に触れる感触、全身を包み込む湯の暖かさに、全身の疲れが溶けていくかのようだ。
「しっかし、カルナもこんな時間に風呂入ってるとはねぇ……」
「本来は沐浴をするつもりだったが、流石に水を張るわけにはいくまい。そちらはシャワーで済ませた」
「ああ、スーリヤへの…………失礼ながら、それでよろしいので?」
「父に対する不敬に繋がるかもしれないが、郷に入れば郷に従えという言葉もある。何より、父は日輪そのもの。寛大かつ寛容――――だと思う」
((途中から自信なくしてる……))
先客であったカルナは、疲弊した二人に目を丸くしたものの、快く迎え入れた。
そもそもこの場は共同浴場。思慮深さにおいては言うに及ばず、寛大さに関してはカルデア一――――どころか、英霊の中でもトップクラスである。嫌な顔一つしまい。
「お前等、本当に図体デカいな。何でオレ一人で二人の身体洗ってんだよ! お前等も手伝えよっ!!」
「いやいや大将、そこまではオレの仕事じゃないからね?」
「そうですぞ、主殿。サーヴァントの管理はマスターの職務。主殿の仕事なれば」
「………………(ザバッ」
「「カルナ。お前はいい、座ってろ」」
「…………そ、そうか?」
明らかにアステリオスとヘラクレスの大きさに合っていない手拭いにボディソープを付けて、必死になって汚れを落としていく虎太郎。
しかし、慣れた手付きである。対魔忍として、忍熊の世話もしていた男だ。多少、身体の大きい英霊の身体であろうが何の問題もない。
虎太郎がひーひー言いながら、髪の毛を洗い、身体を洗い終え、ようやく湯船へと向かうことが出来た。
「………………うぅ」
「ん? どうしたアステリオス。折角、大将が努力の方向音痴を発揮して作った檜風呂だぜ?」
「何を遠慮する必要がある。努力の方向音痴だが、皆の為に作ったものだ。お前ひとりが拒否してどうする」
「そうだな。努力の方向音痴ではあるが、この湯船はいい。文化の違いを体験する、というのも中々に新鮮だ」
「お褒めの言葉ありがとう! オレにとっては最悪の罵倒だがな!!(涙目」
「……………………でも、ぼ、ぼく、まえに……こわした」
「「「ああ、そういう……」」」
戸惑いを見せるアステリオスの言葉に、三人は納得したらしく頷いた。
以前、アステリオスはその巨体故に大浴場の湯船を破壊したことがあった。体重150kgオーバーを想定した湯船など造っているはずもない。
ゆっくりと、恐る恐る入ったのだが、残念ながらアステリオスの体重の前には無意味。敢え無く初期の湯船は崩壊の憂き目にあったのである。
それ以後、アステリオスは風呂そのものを拒絶するようになった。
生前、自身も望まぬままに魔として振る舞った引け目なのか。アステリオスは何かにつけて遠慮を見せる場面が多々ある。
尤も、カルデアの住人は皆大人だ。巨躯ではあっても精神的に幼いアステリオスを子供として認識している。大人としての気遣いは決して忘れない。
「ふ、ふふ。甘い、甘いぞ甘すぎる。このオレが二度も同じ失敗を繰り返すと思うなよ、アステリオス」
「…………?」
「ああ、また努力の方向音痴を発揮しちゃったんですね、大将」
「うるせぇ!! アルとメディアによる強化、固着の魔術! スカサハの原初のルーン! この湯船、壊せるモノなし!!」
「流石だ。これほどまでに努力の方向性を間違えるとは恐れ入る」
「黙れぇぇぇぇええ!! やっちゃえ、バーサーカー!!」
「――――――■■■■■■■■っっ!!」
「「ちょ、ま―――――!!」」
「成程、そう来たか。確かに、湯船の頑強さを見せつけるには、ヘラクレスにとつげ―――――」
虎太郎が何処ぞのホムンクルスのような科白を吐いた瞬間、ヘラクレスは床を蹴った。
その巨体に見合わぬ速度は、正に俊敏Aに相応しい。幸運以外のステータス全部Aは伊達ではない。
湯船の前で天井スレスレまで飛び上がったヘラクレスは、くるりと身体を一回転させると、そのまま湯船に飛び込んだ。
瞬間、大津波もかくやという勢いでお湯が跳ねた。既に湯船の中に居た三人は巻き込まれる形となった。
「ぶはっ! 一瞬、全てがスローモーションになったぞ、おい!」
「仮面、仮面……」
「此処だ、呪腕の。しかし、今のは隣にまで……」
「ほら、な? アステリオスも入って大丈夫やで?」
「…………う、うん!」
三人への被害など一切気にしていない虎太郎の言葉に、アステリオスは初めてプールに入る子供のような仕草で湯船に入った。
ヘラクレスのボディプレスで大分減ったお湯の量が、アステリオスの体積で膨れ上がる。
湯の暖かさに包まれた瞬間、アステリオスの顔が輝く。そのまま虎太郎のみならず、周囲の仲間に同じ表情を見せた。
その顔に、男どもの顔はほっこりと綻んだ。ヘラクレスも同様である。やっぱり理性残ってますよね、ヘラクレスさん?
アステリオスの通称は天使である。
他の子供組は、肉体的には兎も角、精神的にちょっとアレなのだ。
出自的にジャックは無駄に残酷な発言をさらっとするし、ナーサリーも子供特有の残忍さを発揮するのだが、アステリオスにはそれがない。
蛇の女神もフランスの王妃も差し置いて、カルデア一の愛されキャラなのであった。
「ちょっとぉ!! 男共、何やってんのよ!!」
「ぷはぁっ! い、一体何が……?!」
「あー、この声はマルタとマシュか。いや、悪い。アステリオスにちょっと風呂入っても壊れねぇぞって教えてやりたくてよぉ」
「だからって、やりようってもんがあるでしょう?!」
「マ、マルタさん、落ち着いて!」
「うるせーなぁ。……おい、アステリオス、言ってやれ。こう言ってやれ。ごにょごにょ」
「……う? …………ま、マル、タ、……ヤン、キー? ……なの?」
「――――――っ!?!?!!」
「マルタさんが膝から崩れ落ちたーーーーー!!??」
(((どうしてこう、的確に人の弱みを突けるのか…………)))
大浴場の壁の向こう側。即ち、女湯にも先客は居たようだ。
一人は、かつて“彼”の教えに従い、荒れ狂う竜を調伏した経験のあるライダー。真名はマルタ。
彼女もまた聖女と呼ばれる存在の一人である。“彼”から授かった杖を手にし、信仰と共に生きた女性だ。
ライダーの中でも極めて稀な竜種すらも乗りこなす騎乗スキルを持つ。ドラゴンスレイヤーであると同時にドラゴンライダーでもある。
もう一人は純粋なサーヴァントではなく、人の身に英霊の力を宿したデミ・サーヴァントであるシールダー。人としての名はマシュ・キリエライト。
カルデアで起きたある事件の折、彼女はその身に宿した“ギャラハッド”の力を顕現させた。
無論、彼女自身の想いもあったが、それ以上に宿っていたギャラハッドの琴線に触れる出来事があったのは間違いない。
こうして会話が出来ることから分かるように、大浴場は男湯と女湯が壁一枚で隔てられた銭湯方式の造りだ。
途中で資材がなくなり、まあいいか、で済ませた結果である。おかげで、ごく一部の男どもによる覗きの被害が後を絶たないが。
最近、やらかしたのはモーツァルト、黒髭、ガウェインの三名である。
モーツァルトは言わずもがなマリー目当て。
黒髭はエウリュアレ、もしくはドレイクが目当て。
ガウェインはラグネルがいるので、女の裸体には興味はなかった。だが、男同士で馬鹿をやるのが楽しくて堪らない馬鹿である。二人の土台替わりにはなった。
(ふふふ、こういう背徳感は堪らないものがあるよね)
(デュフフフフ、今宵こそは、写真に収めさせてもらうでござるよぉ)
(さあ、頑張るのです、二人とも。意中の女性の裸を見る。その欲望は痛いほどよく分かります。まあ、私はラグネルがいますので手伝うだけですが)
セイバークラスの筋力で二人を壁の上まで送り届けたガウェインはそっと目を逸らす。
それはそうだ。如何に男同士と言えども、男のクッソ汚いケツとナニなど眺めたくもないだろう。
壁の向こうに広がっている桃源郷をモーツァルトと黒髭は確かに見た。
湯気によって隠されたそこは、徐々にだが、確実に晴れていき、二人の視界には――――
『お主達、何をしている』
『アンタ達、自分が何をしているか、分かっているんでしょうねぇ……』
『うわっ!! 目が潰れる!!』
『BBAはBBAでも、そっちのBBAじゃなぁぁああぁぁああい!!』
『『――――――――――(ブチッ』』
タオルで女神の如き肉体を隠したスカサハとメディアであった。
『ヤバい! ちょ、ガウェイン?!』
『あ、あの野郎いねぇ!? 一人だけ逃げやがった!!』
『――――神代の魔術を見せてあげるわ』
『呪いの朱槍をご所望か――――』
『『――――あっ』』
怒り心頭であっても影の国で無双した最凶の女王と神代でも最高クラスの魔術師である。
大浴場を一切破壊せずに、モーツァルトと黒髭にだけ制裁を加えるなど、造作もなかった。
その後、カルデアのロビーに血祭りに上げられた二人が十字架に括りつけられて晒し者にされた。
だが、マルタとジャンヌを中心にした『“彼”のイメージが悪くなるから止めろ』というキリスト教圏のサーヴァントからの抗議。
御館様を中心とした『おい、あんなクッソ汚いナニがぶらぶら目障りなんだけど、殺すなら殺してくれないか』という意見もあり、数日後に撤去されることになった。
因みに一人逃げたガウェインであるが、手を貸したものの二人よりも罪状は軽いとされて、ラグネルによるお説教だけに留まり、テヘペロで済んだ。本当に性質の悪い馬鹿である。
「……くっ、誰が、ヤンキーよ。こちとら聖女なのよ。“あの人”の教えを一生かけて説いて回った身だっつーの!」
「そうだよぉ。立派な聖女様だよぉ。でも、根っこが根っこなんだよなぁ。ヤンキー聖女、ステゴロ聖女が妥当です」
「そんな不穏な言葉、聖女の前に付けないでくれるぅっ!?」
「うるっせーなぁ。聖女だろうが痴女スタイルじゃねぇか。杖使うよりも素手で殴った方が強ェだろうがよ」
「……そ、う、……なの?」
「ああ、マルタの杖と服はな、ロン毛のおっさんがアイツに与えた拘束具なんだよ。素手になったアイツはヘラクレスとも殴り合える」
「ちょっとぉ!! アステリオスに変なこと吹き込むなぁ!!」
「そうです、先輩! いくら事実とは言えアステリオスさんに残酷なことを教えないで下さい! ジャンヌさんも事実を知った時に引き攣った笑みしか浮かべられなかったんですよ! 事実とは言え!!」
「――――ぐふっ」
「マシュの嬢ちゃあん、其処までにしてあげてー! 悪意がないのは分かるけど、マルタにダメージいってるからー!!」
「…………ま、マル、タ……お、こらせ、ない……こ、わい……」
「はっ! マルタさんの霊基が! このままでは消滅する可能性があると推測します!!」
「大丈夫大丈夫、死にゃしねぇよ。あくまでも可能性は可能性だから――――だが、そうだな。ちょっとくらいはフォローいれてやろう」
ふっ、と笑い、スタスタと脱衣所に向かっていく虎太郎。
その背中に何かを察したカルナは湯船から立ち上がり、ヘラクレスに視線を向けると、無言で頷くギリシャの大英雄。やっぱり理性残ってますよね?
「アステリオス、上がるぞ。少々早いが問題なかろう」
「……ま、だ……ひゃく、まで、数えて、ない……」
「そうか。いま上がるのなら、コーヒー牛乳を施すのも吝かではないが、どうする?」
「……こー、ひー、ぎゅうにゅ、う……アレは、おいしい……アレは、……いい、ぶん、めい……あがる」
カルナの奇妙な言動に、ロビンと呪腕は顔を見合わせる。
施しの英雄であるカルナは、道理さえ通っていれば、何でもくれてやる。
かつては、我が子可愛さにスーリヤの息子の証である黄金の鎧をインドラに渡したことさえある。インドラの父親としての愛情、自らの破滅を全て理解した上で。
その高潔さに惚れ込んだインドラは、自らですら使いこなせなかった雷光の槍を譲った。
よって、カルナの言動は奇妙だ。
彼は他者に施している自覚などまるでない。自分よりも必要としている者がいるのならば、其方に譲った方が有用、程度の考えしか持たない。
施しの英雄などと呼ばれているが、カルナにはその自覚などまるでないのだ。それ故、施す、という言葉自体を使うのがおかしい。
つまり、カルナはアステリオスがこの場に居るべきではない、と考えているからこそ、使い慣れない言葉を使って離れさせようとしているのは明白だ。
更にはカルナの後に続くアステリオスの両耳を、野太い腕でそっと押さえるヘラクレスの姿があった。やっぱり理性残ってますねぇ、これは。
その光景に、あっ(察し、となったロビンと呪腕は、そそくさと後を追う。二人が着替えた後に、大浴場の前に清掃中の看板を立てた辺り、マスターの性質をよくよく理解している。
「はあ……そりゃ、そういう時期もあったけど、さ。その後は、私なりに頑張ったんだから……」
「ふふ。それは先輩も分かってはいますよ。…………ただ、その、マルタさんを言い包めるのに、その辺りの時期のことを引き合いに出すのが一番簡単だと分かっているだけで」
「ええ、知ってるわ。そういう人の言われたくないところをズバズバ突いてくる奴だってね。何が性質悪いって、カルナとは違って、自分が楽するためにそこを容赦なく利用するところよね」
「まあ、それはそう、なんですが…………先輩にだって、良いところは、たくさんあります」
「それも知ってる。アイツの善悪に対するバランス感覚は相当なもんよ。人が倒さなきゃ、殺さなきゃって思うと、善行重ねてその気を圧し折って完全な中立中庸を保ってるのよね。性質悪いわぁ……」
男湯から男が消え、女湯では虎太郎談義に花が咲く。
が、その時、スパーンと音を立てて引き戸が開く音が高らかに響き渡った。男湯の扉は開いていないが故に、必然的に女湯の方が開いたことになる。
「――――――俺が(全裸で)来た」
「何やってんのよ、アンタはぁぁあああああああぁぁああっっ!!」
「せ、先輩っ!? 前、前くらいは隠してくださいぃぃぃいいぃぃぃいいぃっっ!!」
「あ? 自分の女を抱きに来たんだ。前を隠す必要ってあるの?」
…………どうやら、虎太郎の得意分野が炸裂するようだ。
「ちょちょちょ、ちょいタンマ! タンマ! 身体の一部を元気にさせながらコッチくるなぁぁぁああ!!」
「いや、な。ちょっと言い過ぎたかなぁ、とオレも反省した訳ですわ。お前、そういうところを責めると本気でへこむだろう? だから、な?」
「だからって、そういう方向性で元気づけようとするの止めてくれない?!」
「はわ、はわわわわ。先輩の先輩が、いい感じに天を衝いてます! これはもう逃走不可避と判断します!」
「マシュ! 微妙に嬉しそうな顔でうっとりしない!」
「む、無理です。も、もう、私は先輩――いえ、虎太郎さんの女になっていますから……」
「そうかそうか。じゃけん、一緒に楽しみましょうねぇ」
「う、こ――――――んっ♡」
「――――――――――あ♡」
ヘラクレス
☆4バーサーカー。制裁&ツッコミ枠。能力測定&戦闘&保父担当。■■■■■■■■―――――っっ!!
カルデアの頑張る保父さん。生前に子供を殺してしまったが故か、子供を守ることに掛けてはアタランテ以上に凄いので、アタランテには死ぬほど頼りにされている。
カルデアで待機中でも、レイシフト先で子供達に危機が迫れば、すっ飛んできて敵を蹴散らす。その姿は正に子供達の
戦闘時においては怪力無双はするのだが、御館様の使い方は“
Fate/GO本編では“十二の試練”は機能していないのだが、こっちのカルデアでは十全に機能している。しかもアルフレッドが魔力をガン送りしてストックの回復も可能というドチート状態。
彼は狂化しているので、基本的に協力している理由はない。
ないのだが、一握り残った理性は“子供のため”というのが大部分を占めている。
日常内では文字通りのヘラクレス像と化しているのだが、子供達のアスレチックでもある。
ナーサリーを膝に乗せて本を読ませたり、ジャックに肩車したり、アステリオスに高い高いをしたり、ヘラクレスの厳つい顔も思わずほっこりである。やっぱり理性残ってますよね?
最近、一番嬉しかったことは、アタランテの労いで小さなパーティーを子供たちが開いてくれたこと。
生前は得られなかった子供との穏やかな日常に、ヘラクレスは涙したとか。完全に理性残ってますわ、これは。
「…………■っ」
「あー? 気にする必要ないんじゃねぇの? ほら、子供も懐いてるし」
(あのヘラクレスと会話してる?!)←物陰から覗いていたアタランテ
アステリオス
☆1バーサーカー。天使&癒し枠。準戦闘&デバフ担当。ぼくは、みんなが、だいすきだ……!!
ドレイクら海賊組と同時期に召喚される。オケアノスで虎太郎一行と出会い、絆を育んでいたので何の躊躇もなく召喚に応じた。
オケアノスではヘクトールの一撃をあえて受け、ヘラクレスと共に海底へ沈んでいったのだが、それをただ黙っている我らが御館様ではない。
御館様は“他者の傷を肩代わりする能力”を発動させ、海底に沈んでいったアステリオスを“瞬神”を使って船上に転移させてのけた。
死にかけのまま、ざまぁみさらせと笑う御館様にアステリオス困惑。エウリュアレ&オリオン(アルテミス)の神々は茫然。ジャンヌは卒倒。カルナさんは首を振りながら“黄金の鎧”を一時的に譲渡して事なきを得た。
性格的な相性は可もなく不可もなく。
アステリオスは、虎太郎に向ける感情は、なんなのこのひと、である。
化け物であった頃の自分よりも邪悪。神々よりも悪辣。それでも、人としての優しさを垣間見せる御館様が怖かったり、尊敬していたり。
それでも御館様は勿論のこと、仲間達も名前で呼んでくれるので、アステリオスの笑顔に陰りはなく、彼が怪物になることは決してないだろう。
最近、一番驚いたのは御館様がエウリュアレをガン泣きさせたこと。
あのちょっとじゃあくな、えうりゅあれが、ないてる、とアステリオスが愕然とした。
どうやら、御館様はエウリュアレがオケアノスの一件でアステリオスに礼の一つも言っていないところを突いて泣かせたようだ。
「えうりゅあれは、ちょっとじゃあく…………でも、こたろーは、もっとじゃあく……」
『何一つ間違ってないんだよなぁ……』
「でも、こたろーも、すき、みんなも、だいすき、だから、がんばる」
【天使や、天使がおる】
「ほーら、アステリオスが好きって言ってるぞぉ? どうしたぁ? お前は好きって言ってやらないの? あ、ゴッメーン! 自分の妹にすら好きって言ってやれないクソみたいなツンデレだったねお前! ―――――この駄女神が(ボソッ」
「ぐ、く、ぐぬぬ(涙目」
【こっちには女神を泣かせる悪魔よりも悍ましい何かが居る……】
マルタ。
☆4ライダー。騎乗位ヤンキー枠。準戦闘&調理担当。悔い、改めろっての!
オルレアン邪竜百年戦争後。マリー達と同時期に召喚された。
完璧な聖女なのだが、このカルデアにおいては聖女としての彼女よりも、レディー――もとい町娘としての彼女が全面に現れている。
御館様のド外道さの前に化けの皮が完全に剥がれた。あ、いえ、違うんですマルタさん! マルタさんは裏表がない素敵な聖女です!!
というわけで、もうスイッチのオンオフがぶっ壊されてしまったので、完全に開き直っている。これで本当に裏表がない素敵な聖女になった。これでいいのだろうか。
戦闘時には、タラスクを召喚してガメラさながらに大暴れさせるのだが、時々、御館様にロン毛のおっさんから貰った杖を奪われて、素手でぶん殴りにいく。
その姿は、かつて月の聖杯戦争で魔力供給不足から槍を一瞬しか顕現できず、素手で戦っていたカルナさんも感心するほど。やっぱり杖は彼女の拘束具だったんだよ!
性格的な相性は悪い。
そもそも聖女、聖人と呼ばれる人種とは相性以前の問題。
だが、あくまでも聖女としての相性が悪いのであって、町娘としての彼女は御館様を認めている。
元々が奪われる側の人間だったからであり、ただ生きることすら難しかった時代に生きたからだろう。
人の醜さ、未熟さを見据えた上で人の優しさと暖かみを信じ、世の無常と理不尽を理解した上で人々に幸福が訪れることを信じているのだ。
だからこそ、御館様がド外道で邪悪な手段を用いたとしても、目指す場所は“守護”に行きつくことを信じている。
彼女が協力している理由は“世界と人々のために”。
彼の救世主の血を受けた杯以外は聖杯と認めない彼女は通常の聖杯戦争において決して召喚に応じない。
人類滅亡、人理焼却の危機だからこそ召喚に応じ、共に戦っている。マスターの心が折れぬ限り、いや折れたとしても彼女は戦うであろう。もっとも、あのド外道の心が折れる事態など在り得ないのであるが。
今回の話でも分かるように、御館様に喰われている。
本質的には聖女なのだが、スイッチのオンオフが出来なくなって、これじゃあ周りに幻滅されちゃうと落ち込んでいた所に――
「え? なんで? オレ、今のお前の方が付き合いやすくて好きだけど?」
――このスケコマシ発言である。この男、本当にタイミングだけは良い。
そこからはもう坂から転げ落ちるが如く、であった。聖女は皆チョロインなんですかねぇ?
キリスト教では姦淫はかなり重い罪、なのだが、どうやら彼女が生きた時代、“彼”の教えでは余り重要視されていないようだ。無論、配偶者以外との性行為はダメだが。
その日一日を生きるのもやっと。産めよ、増やせよ、地に満ちよを地で行かないと人類が滅びかねなかったからだろう。
“彼”的には「愛があれば、いいんじゃないかなぁ? 勿論、お互いに、だよ?」らしい。うーん、コレはますます立川に在住している可能性が増えてきましたねぇ。
マルタの言い分は――
「私はいいのよ! コタロー一人だけだし! あと、アイツだって“彼”の教えを認めてるけど信じてるわけじゃないしー!」
――これである。
因みに彼女の騎乗スキルは竜種にも乗りこなせる破格のA++。騎乗だけなら御館様に一時的に対抗できます。
でも、上から下に移動させられるともうアカン。思う存分に鳴かされる模様。ウチの御館様は何なんですかねぇ(困惑
最近の一番楽しんでいることは、ブーディカと一緒に食堂で調理を任されていること。
子供達の美味しいの一言は、かつて町娘であった頃、弟妹との生活を思い出して、かなり楽しいようだ。
大喰らいのジャンヌにはちょっぴり呆れているが、食べっぷりが気持ちいいわね、とご満悦の模様。
「……うぅ、最悪。最悪よ。あんな醜態、しかもマシュと一緒に、だなんて」
「でも、楽しかったろ?」
「た、楽しくなんてないわよ! ああ、こんなの聖女失格よ……」
「聖女の条件は、別にそこじゃないと思うんだよなぁ。ほら、マグダラのマリアも元は娼婦だったんだろ?」
「娼婦から聖女になったんだっつーの! 聖女になってからこんなの楽しんでたわけじゃないわよ!」
「じゃあ、お前も楽しめるように縄で縛ったりしてみるか? オレは縛られるのは好きじゃないから、お前を縛るんですけどね?」
「ちょ、ちょっと! んく、んんんんんんんーーーーっ♡」
マシュ・キリエライト。
シールダー。苦労&従順エロカワ子犬枠。サポート&戦闘担当。それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我らが故郷。顕現せよ! “
御館様が魔術協会やら米連から技術を奪いまわっている最中に助けた捨てられた子犬系の少女。詳しい設定、出自は第六章になって明かされた通り。
彼女の宝具開帳の台詞は、作者一番のお気に入り。ロードじゃなくて、ロォォォドって辺りが勇ましさと覚悟を現しているようで大変宜しい。
カルデアを爆破しようとしたレフ・ライノールによって瀕死の重傷を負った。勿論、レフの企みを御館様は見抜いていたのだが、運命というものはどうにもならないようだ。
結果、良し悪しは別としてデミ・サーヴァントとして覚醒した。
寿命云々に関してであるが、魔界医療によって問題なくなっている。ウチの御館様が自分の女が死ぬのを良しとするわけねーだろ。
性格的な相性は極めて良好。
マシュにとっては、自身を人間として扱ってくれた初めての存在。
御館様には今まで腐るほど見てきた弄ばれるためだけに生み出された望まれない生命。
マシュは御館様に感謝と尊敬を抱いており、御館様はマシュを憐れんでおらず、ただ彼女という一人の人間を尊重している。
関係性に依存はない。マシュもまた一人の人間として立とうとしており、御館様も信頼こそはないものの、一人の人間として彼女の行く末を見守るつもりである。
彼女が協力する理由は“マスターが見せてくれた世界と人類を守り、見ていたい”というもの。
生まれてから無菌室での生活を強いられ、世界も知らず、周囲は自身を人として扱わず、その日眠って起きられたことにすら感謝する日々。
それを一瞬で破壊せしめ、救い出した御館様は、彼女の目には神の如く映ったであろう。
当初は御館様を妄信していたのだが、多くの英霊と出会い、別れを繰り返し、彼女は徐々に成長し、一人で考え、一人で大地に立つようになっていった。
その姿に、人形に興味はないとばかりに御館様は冷たい態度を取っていたのだが、一人の人間になっていくにつれて態度を軟化させていった。
ただ自我や自己が強くなっていく内に、御館様のド外道行為に戦慄するようになった。
今ではアルフレッド&ジャンヌと一緒に悩み、気苦労が絶えないのだが、それでも人生を謳歌しているようだ。
今日も今日とて、マシュ・キリエライトは生きていく。愛した人と出会った時のように、多くの苦悩と絶望を乗り越えて。
言うまでもないが御館様に喰われている。
切欠は色々あるが、あるサーヴァントと愛し合っている御館様を見てしまったから。その後、思い悩みながらも御館様と一線を越えた。
それからというもの、マシュは頑張っている。マリーから愛され方を聞いたり、ブーディカに男と言うものがどんな生き物かを教えてもらったり。
今では立派なエロ子犬である。男好きするドスケベな下着を着て、御館様を誘惑したりしている。でも、最終的には御館様のペース。ひゃんひゃん鳴かされて、最後には気を失うのがデフォ。
戦闘時にはマスター、日常では先輩、エロの時は虎太郎さんと呼び方を変える。
「ん、ひぃっ……好き、大好きっ! 虎太郎さん、愛してますぅっ……!」
「オレもだぞ。お前が、そう言い続ける限りな」
「はっ、ふぅっ、な、なら、安心、ですっ……虎太郎さん、マシュはずっと、虎太郎さんの、
「物好きな女だよ、お前は」
「あっ、あっ、あっ、こひゃろうさ、おっき……イク、イクイクっ――――いっくぅぅぅううぅうぅぅうっっ♡」
ビーストですよこいつは……!
というわけで、今回はヘラクレス立派な保父さん化&アスエリオスは天使! &レディ-スと子犬ばっちり喰われてる、の回でした。
因みに、赤王様、キャス狐、紅茶はこのカルデアには登場しません。なんでって? ザビーズとイチャつくのに忙しいんだよ! 言わせんな、恥ずかしい!
AUOだけは来た模様。仕方ないね、愉悦枠だからね。こんな苦労している奴のところには来ない訳ないよね。でも、御館様はもう二度と召喚したくないと思っている模様。そりゃ、カルデア半壊させる事件の切欠となってので当然である。