「もしも苦労人がカルデアのマスターだったら」 作:HK416
キタキタキター! ボックスガチャがキター!
回すぜぇー、超回すぜぇー! 今のうちに石を目一杯集めるんじゃぁ! 修練場の周回はもううんざりだからな!!
去年の超高難易度は殆どクリア。あとはフィナーレを残すのみ。これは試行回数で勝負だな。
今年の高難易度はスパさんからか。もうちょっと情報が出揃ってから挑戦しようねぇ!
ほい、ではSE.RA.PH編の最後。ご褒美回のエロやでぇ!
それから活動報告でも書きましたが、こっちは一旦区切ります。
今後は、苦労人奮闘記と此方で章ごと書いていく予定。なお、気分によっては変える模様なのであしからず。書きたいもんを書くのが一番モチベを意地できるんじゃ!!
「すごい! 凄い、凄いです! ありがとうございます、メディアさん!」
「礼ならアルフレッドに言いなさいな。私は手伝っただけよ。経過は順調。問題なし、と」
メルト達がカルデアに迎え入れられてから一週間。
神代の魔術工房と化したメディアの自室で、リップの喜びの悲鳴が上がっていた。
リップの怪物性を示していた筈の手は、人間のそれと変わらないものとなっており、メディアが触診を行っていた。
虎太郎の指示とアルフレッドによる霊基の書き換えによるものだ。
アルフレッドは彼女達の手足を武装として捉え、体格に合わせた人間のそれと変わらない手足を設計し、適応させた。
つまり、サーヴァントが戦闘時に纏う鎧や宝具と同じく、当人の意思で出し入れが可能となったのである。
その恩恵だったのか、リップは神経過敏から、メルトは神経障害から開放されていた。無論、武装を行ってしまえば、元に戻ってしまうのだが。
アルフレッドは無茶苦茶な違法改造の結果、神経に障害が引き起こされていたのではないか、と推測している。
ロマニによる診断も神経性の異常は見られず、二人ともに通常の感覚を手に入れていた。
本日は、メディアの解析の魔術による霊基構造のチェック。
これに問題がなければ、以後はこの姿のまま生活を送ることになっている。
すっかり慣れた空間ウインドウの操作を行い、虎太郎、アルフレッド、ロマニ、ダ・ヴィンチへ結果のメールを送信する。
「早いわね」
既に結果を待っていたのだろう四人からは、数分としない内に承認の許可が降りた。
医学的見地からはロマニが、魔術的見地からはダ・ヴィンチが、両側面からアルフレッドがメディアの判断に同意している。虎太郎は、それぞれの意見を確認し、最終的な判断を下しただけだろう。
今日のメディアの仕事は終わってしまった。
大きく身体を伸ばし、凝り固まった筋肉と関節を解していく。
解析の魔術など彼女にとっては難しくもない単純なものではあるが、如何せん他人の身体に関わることだ。気を抜けなかったらしい。
リップは、何度も何度も手を握っては開きを繰り返す。顔は今にも泣き出してしまいそうな笑みが刻まれている。
本当に欲しかったものが、望んでも得られなかったものが手に入れば、誰であれ同じ顔をするだろう。
その時、部屋にチャイムがなる。
予定が元からあったのか、メディアはそのまま入室を許可して来客を招き入れた。
「メディアさん、リップさんの調子は――――あら? あら?」
「この通り、順調よ」
「まあまあ! 良かったわね、リップさん!」
部屋に入ってきたのはフランスの王妃、マリーだった。
純心無垢なリップと悲劇だった最期を覚えていながらも天真爛漫さを失わないマリーは、相性が良い。
リップがカルデアを訪れた初日から、二人は親交を深めていた。
フランスの特異点からの付き合いであるジャンヌも、余りの仲の良さに微笑ましさと同時に初めて出来た友人を取られてしまったような可愛らしい嫉妬を覚えたほどだ。
マリーはリップの様子を見に来たらしく、彼女の手が何の問題もないことを知ると小走りで走り寄り、その両手を握る。
今まで体験したことのない両手から伝わってくる他者の温もりに、リップは大きい目を丸くした。
「――――ふぇ………………うぇ、うぇぇえぇぇ……」
事実を理解し始めたリップは、喜びから大粒の涙を流し始めた。
触れたくても触れられなかった。
触れてしまえば壊してしまった。
可愛らしいものも。暖かなものも。好きな人の手であっても。
手で触れる。
誰しもが持つ筈の当たり前の幸福を、怪物である彼女は享受できず、彼女自身も何時かは叶うなどと信じてはいなかった。
けれど、マリーの手の温もりが、ようやく手にできた幸福を優しく伝えてくる。
「ええ……ええ。嬉しいのなら泣きましょう? きっとその方が、もっと素敵な笑顔になれるもの」
マリーは微笑みながらリップを抱擁し、リップも恐る恐るながらマリーの背中に手を回して泣き続ける。
メディアは、その光景をただ微笑んで見ていた。
裏切りの魔女と呼ばれていようが、根は善人である彼女が他人の幸福を嘲るはずもない。
例え、彼女の与り知らぬ過程を経て誕生した怪物であろうとも、その姿は少女のそれ。祝福してやるのが彼女の筋であった。
「十分に泣いて?」
「はい。ありがとうございます、マリーさん」
「まあ、素敵な笑顔! やっぱり、リップさんにはそちらの方があっていてよ?」
「……え、えへへ」
泣き止んだリップの顔には、花ような笑みが綻んでいた。
マリーもまた微笑みながら、涙と鼻水で汚れたリップの顔を自らのハンカチで拭っていく。
それなりに高級そうなハンカチであったが、汚れていくことなど気にしない。流石に民の笑顔の為に偶像で在り続けただけのことはある。
「さて、それじゃあショッピングに行きましょう? 女の子ですもの、それだけなんて勿体ないわ!」
「ふぁっ?! で、でもでも、お金とかないですし、それに人の街なんて、行ったこと……」
「気にしないでいいわよ。そっちの方の面倒も見てやれって、虎太郎に頼まれているからね。付き合ってあげるわ」
「……ところで、メルトさんは? 彼女も一緒に、と思ったのだけれど……」
「メルトは診察が終わったら何処かに…………でも、メルトは誘っても来る、かなぁ……?」
「いいわよ。あの娘に関しては、次の機会にでも私から聞いておくから」
メルトの姿が見えなかったのは、診察が終わるとそそくさと何処かへ行ってしまったからだ。
残念ね、とマリーは呟いたものの、メディアの言葉にお願いします、と微笑んだ。
メディアは超一流の魔術師であると同時に、超一流の
メルトの趣味は人形鑑賞であるが、メディアの場合は造形全般、人形ばかりではなく、ジオラマや模型、ボトルシップ、服飾作製まで行ける。
前々からフィギュア作製を黒髭に嫌々ながら教えたりもしていたようで、メルトも其処に参加している。どうやら、鑑賞だけでは満足できなくなってきたようだ。
マリーとリップの仲が良いように、メディアとメルトの仲も良好なのであった。
「さあ、ジャンヌにも声を掛けて、行きましょうか!」
この後、ジャンヌも加えて女四人でショッピングへと向かうこととなる。
それは、マリーに振り回されながらであったものの、他の三人にとっても、何処にでもありふれた幸福であったようだ。
―――――
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―――
――
―
さて、この一週間、虎太郎が何をしていたのか。
当然ながら、仕事である。
新入り四名の皆への紹介と生活基盤の調整。
メルトとリップの手足についても、アルフレッドが担当し、ダ・ヴィンチとメディアが補佐する形を取っていた。
これに関しては、基本的に指示を出しただけなので、それほど時間はかかっていない。
次に、セラフィックスでなかったことになった事象の報告書の作成。
いくら“なかったこと”になったとは言え、ビースト案件。誰かに報告する為のものではなく、実に彼らしい、自身の記憶を全く信用していない故の作業。
どのような形であれ、記録として残すことで曖昧な部分をなくし、思考作業をよりスムーズ化し、見落としを極限し、今後に最大限活かせる形をとった。
更に、オルガマリーへの報告も。
報告内容にはオルガマリー自身も唖然としていた。
魔術師ならではの黒い部分、父親が秘密裏に行っていた実験内容に、蒼い顔で虎太郎に、自分は知らなかったと弁明していた。
その反応は、自身とカルナの二名から見ても嘘ではないと呼べるものであり、アニムスフィア家内部で何が起こっているのか、何をしようとしたのかの調査も快諾した辺り、オルガマリーにとっても寝耳に水であったようだ。
そして、アニムスフィア家の内部からの調査のみならず、外部からの調査も依頼を掛けた。
最近、借金が嵩んできた某人形遣い、義理の娘に苦しい思いをさせずに生活をしたい死霊魔術遣いは声を掛けると二つ返事で承諾し、既に動いているようだ。
後は結果を御覧じろ。二人であれば、どのような事実が浮かび上がってこようとも、必ず成果を上げることは間違いない。
「はいよ、開いてる」
「失礼するわ」
鳴り響いたチャイムに自室への入室を許可すると、入ってきたのはメルトだった。
彼女の両脚は、リップの両腕同様に、ただの少女のそれとなっている。
服装もアルターエゴとしてのものではない。
空色のチューブトップに、デニムのホットパンツ。
痛々しいまでの攻撃性を表していた両脚は、今や黒いニーハイソックスとピンヒールのサンダルで包まれているだけ。
どうやら、リップとは違って服装に関しても既に考えていたらしく、アルフレッドに頼んで取り寄せていたらしい。
見た目の年齢相応の格好に虎太郎は一瞬だけ視線を向けたものの、何も言うこと無く手元の書類に視線を落とす。
感想のない無神経さにメルトは眉を顰めたが、入ってくる以前から彼女の機嫌は悪かった。
「どうした? 不景気そうな面をしているが」
「当然でしょう。文句の一つも言わないとやってられないわ」
メルトは両腕を組み、咎めるような視線を向けていた。
「やってくれたわね。何一つ足りないものがなかった私の身体を、こんな風に……」
「仕方がないだろ。あんな脚でまともな生活なんぞ送れるか。誰かを傷つけるかもしれんし、何よりもお前が傷つくぞ」
機嫌が悪かったのは、脚を人間と同じ不完全なものにされてしまったから。
メルトにしてみれば、あの脚は完全にして完璧なものだった。
彼女の設計思想に基づいた攻撃性、残虐性を有していながら、何一つ無駄のない機能という名の美しさがあった。
彼女は完璧主義だ。
不器用なリップとは違い、大抵のことが巧く出来るアルターエゴだった。それが完璧主義に拍車をかけた。
不完全なんてものは醜い。そういう思想が、彼女の根底には確かに存在している。それでは文句の一つも言わなければ、やっていられないだろう。
「良いじゃないか、足りなくて。不完全、大いに結構。完全だの完璧は終わることと同義だ。それ以上先がない。なら、不完全であっても成長の余地があった方がいいと思うがね、オレは」
「…………まあ、一理あるわね。でも、もっと他に言うことがあるのではなくて?」
「お前、そういうとこホント不器用な」
「うるさいわよ!」
誰にでも言える正論に、メルトはジト目で睨みつける。
彼女の欲しかった言葉はそんなものではない。
もっとずっと。他でもない虎太郎に言って欲しい言葉があった。
虎太郎は全てを分かっているからこそ、メルトを不器用を称したのだが、お気に召さなかったようだ。
こうなると女という生き物は何処までも意固地になるのは知っている。ならば、彼女の求めている言葉をかけてやるまで。
「ああ、似合ってる。洒落てるじゃないか、可愛いよ」
「…………ハっ、ありきたりな言葉ね。そんな程度で――」
「いや、オレが可愛いって言ったのは、お洒落してまでオレの気を引こうってところだ」
「――――っ」
揶揄うような科白にメルトのぐっと口を噤み、頬に朱が差し込んだ。
ありきたりな褒め言葉であっても彼の口から溢れれば、メルトには例えようもない喜びであった。
喜びを見せなかったのは、素直になれない乙女心故であったが、見透かされては意味もない。
羞恥とも怒りともつかない曖昧な感情にメルトは握り拳を震わせたが、やがては息と共に感情を吐き出して肩を落とした。
彼女が気を引こうとしたのには理由がある。
ここ数日で虎太郎の女癖の悪さを目の当たりにしたからだ。
セラフィックスの案件で戦いを共にしたマルタやエルキドゥを部屋に連れ込む。
BBの逆襲で不興を買った女性陣の点数稼ぎをする傍ら、上機嫌になった彼女達をお持ち帰りをしたりとメルトにしてみれば腹立たしい事この上ない。
愛して欲しくて戦ったわけではない。
だが、舞台から攫われた
無理に手を出して欲しいわけではないが、かと言って何もされないのでは女としてのプライドが許さない。
泣きたくなるような怒りをぐっと抑え、メルトは椅子に座ったままの虎太郎へと近づいていく。
其処でようやく、虎太郎は手元の書類から視線を外した。
彼の瞳は相変わらず無感動な光が宿っていたが、注意深く観察すれば、明らかな警戒の色が見て取れる。
はぁ、とメルトは大きく溜め息を吐いた。
見返りなど求めていなかったが、これではあんまりだ。
命をかけて戦った成果がこれなど、誰であっても泣きたくなるだろう。
メルトがそれでも泣くことも悔しがることもなかったのは、虎太郎が誰であれ、同じように警戒を解かないからだ。
猜疑心の強さはセラフィックスの一件から知ってはいたが、何度目の当たりにしても慣れることなく呆れ返ってしまう。
最早、魂にまで刻まれた在り方故に、誰にも変えることは叶わないと諦め、メルトはすっと手を差し出す。
その行為に、虎太郎は無表情を崩して怪訝から眉根を歪めた。
「なんだ?」
「…………前は、手の感覚なんて、殆どないようなものだったから、その――――」
「そういう所が可愛いと言うんだ」
「――――ッ」
底意地悪の悪い笑みを浮かべての言葉に、メルトの頬にさっと朱が差した。
彼女の愛らしい反応に肩を竦め、虎太郎は迷わずに手を差し出す。
そのまま握り締めるような性急な真似はしない。まずは、指と指から。
「…………んっ」
指と指の腹、指紋だけを合わせるような繊細な触れ合い。
たったそれだけの接触、たったそれだけの感触に、メルトは片目を閉じて吐息を漏らした。
生まれて初めて指先から感じる他人の存在は、まさに痛烈と言っても過言ではない。
モノを叩きすぎて皮が厚くなり、人間らしさを失った男の指の感触。
真っ当な感覚器官で感じ取った他人の体温は、焼けた鉄のような熱さ。
石膏で出来た手が、人のそれになっていくような。冷え切った身体に熱が移ってくるような感覚。
メルトは訳も分からないままに涙を溢してしまいそうだった。
十分に相手の感触と体温を交換し合うと、虎太郎は指を握り込み、メルトもそれに倣った。
手の甲から伝わってくる圧と僅かな痛みに、感動と官能の入り混じった吐息が、メルトの口からまたも漏れる。
触覚が低下する神経障害で厄介な点は、現実感の喪失にある。
圧力、痛覚、熱が、まるごとなくなった世界はどんなものであるか、想像すればいい。
光も匂いも音もあるが、直接的な接触を感じ取れないのであれば、それは現実性を正しく認識できないも同然だ。
画面の向こう側の映像を眺めているだけのような。
額縁の向こう側の絵画を眺めているだけのような。
途端に、自分とは無関係な世界を眺めている感覚に陥るだろう。
彼女の加虐嗜好も、自分だけでは他人の存在を感じられないことから生じた反動であった。
その世界が壊され、画面の向こう側に過ぎなかった映像が、額縁の向こう側に過ぎなかった光景が、正しい形で彼女の胸を打つ。
「――あぁ、この出会いに、この運命に感謝します。私の、マスター……」
「おい、口調が戻ってるぞ……?」
「も、もぅ……そうやって人を揶揄って………………ふふ。なら、私も……!」
口唇を尖らせて拗ねていたメルトであったが何を思いついたのか、目を輝かせた。
そのまま距離を詰め、不敵に笑いながら顔を寄せる。
彼女の突飛な行動に虎太郎は目を丸くしたが、抵抗する気はないらしく動こうともしなかった。
メルトは瞳を閉じ、虎太郎の口唇に向かって一直線に向かっていく。
暗闇の中で口唇から伝わる柔らかな触感は、心が溶けてしまいそうなほどに満たしてくれる。
児戯のように幼い触れ合いであったが、指を絡めた手を思わず強く握ってしまう。
悪戯っぽい笑みを浮かべて、してやったりといった表情で目を見開いたメルトであったが、想像とは違う光景に目を丸くした。
虎太郎は口唇の前で、空いた手の指を二本立てていたのである。これではキスではない。
「……~~~~~~~~ッ、あ・な・た・はぁ…………!!」
「待て、落ち着け。手が潰れちゃう……!」
少女としての幸せを享受したつもりだったメルトは、虎太郎の行動から一転して怒り心頭となった。
当然だ。揶揄うにもほどがある。
嫌なら嫌で拒絶すればいいものを、この始末。これで怒らぬ乙女は居るまい。
ギリギリと握り合っていた筈の手を、今度は握り潰す勢いで締め上げる。
メルトの筋力のランクはサーヴァント中最低ランクだが、この時この瞬間に限ってはEXランクになっているのは間違いない。乙女の怒りはそれほどまでに強い。
それに照れもあった。
どれだけ自分に自信を持とうとも、恋や愛、性に関しては知識は豊富であっても経験は皆無。
口唇と指の感触を勘違いしてしまうなど、メルトには赤面しても飽き足らない恥を晒したようなものだった。
「オレはまだ、お前の気持ちを聞いていない。これじゃあ順序が逆だ。出来るわけあるか」
「あら、お目出度い。散々、色んな女に手を出しておいて、何よソレ。それに、私の気持ちくらい理解しているでしょうに。それこそ今更でしょう……?」
「返す言葉も無いがな。言葉にすること自体に意味があることもある」
ギリギリと音を立て始めた手に冷や汗を掻きながらも、虎太郎は冷静な――――いや、冷徹な口調で言い放つ。
それが彼の保つ最低限のラインだ。
度を越した女好きを自覚しているが故に、
仕事以外で手を出すのはあくまでも、本心から自分を好いてくる物好きな女が、心からの言葉を口にした時だけだ。
ぐっ、と口唇を噛み締め、悔しげに表情を歪めたメルトであったが、やがて根負けしたように口を開こうとする。
社会の法を無視しても、自分の定めたルールは破らない。
それが、この男の数少ない美点であることは疑いようがない。メルトも認める所である。
ならば、彼を愛している自分が破らせる訳には行かず、また自分も彼を変えてしまうのは望む所ではなかった。
「マスター、好きよ、愛しているわ。今は、私だけのアルブレヒトになって……」
「勿論。お前がそう言う限り、何度でも、いくらでも、な」
「――――――ぅ、んっ」
笑みを浮かべながら、メルトの頬に手を伸ばす。
それも愛撫だったのだろう。くすぐったいながらも、優しい感触にメルトは甘い鼻息を漏らした。
無骨な、節くれ立った手からは想像も出来ない繊細な
急いてはいない。焦らしてもいない。頬を撫でているだけなのに、全身が炙られたように熱くなっていく。
「色々としたいことはあるだろうが初めて、だろ? 初めくらいはオレがする。いいな?」
「はい、お願い……します……んっ、ふぅっ……♡」
経験の伴わない知識では意味がない。
常々、虎太郎の語る言葉が真実であると、メルトは身を以て体験していた。
頬を撫でられ、耳をくすぐられる。
身体はもどかしくも、心は満たされていくような奇妙な感覚にメルトは全身を震わせた。
今まで他人の存在など、まともに感じたことはなかった。
神経障害による触覚の鈍化を解消され、肌から伝わってくる感覚に脳は混乱している。
メルトの苛烈な性格が表れた切れ長の目は、今やとろんと目尻が落ち沈んで蕩けていた。
子宮からマグマのように湧き上がってくる。
それが、女が満たされていきながらも、まだ足りないと嘆く欲情の証であると気付かされた。
「じゃあ、そろそろ……」
「……はっ、はぁっ……ふぅ……ふっ……」
虎太郎の呟きに、メルトは瞳を潤ませてこくこくと何度となく頷いた。
耳を弄っていた手は頬を伝い、顎を掴むと自分へと視線を合わさせる。
深い黒瞳には、雄の暴虐と男の優しさが同居しており、それがまたメルトの情欲を刺激した。
知らず知らずの内に、作法であるかのようにメルトは瞼を落とす。
視線を合わせたままでの口付けは気恥ずかしさに耐えられなかったというのもあるが、視覚を遮ることでより深く相手を感じるためでもあった。
「――――――んっ♡」
触れた僅かに乾燥した口唇に、思わず鼻息が漏れてしまう。
繋いだままの手を握りしめ、想像を絶する快楽にメルトは堪える。
初めは優しく、触れ合わせるだけ。
「んっ……んふっ……ちゅ……んんっ……♡」
暫くすると虎太郎の動きに合わせ、メルトもまた自分から口唇を押し付けた。
まだプレゼントの包装を解いている段階だと言うのに、鼻息ははしたない程に荒くなっている自覚があるにも拘らず、自分ではどうする事も出来ない。
教えられた通りに、相手の口唇に己の口唇を押し付けるだけではなく、啄み、吸い付き、徐々に気分を高めていく。
ぐつぐつに煮え滾った血液が全身を駆け巡り、口内は唾液で溢れ返り何度となく生唾を飲み込む。
「いっ……ひぅっ……♡」
(舌で、口唇、舐められ……!)
口唇を舌で舐められ、メルトの口からは堪らず甘い嬌声が溢れる。
咄嗟に目を開くと、其処には愉悦から笑みを浮かべた男の顔があった。
弄ばれる怒りよりも、教えられる悦びの方が大きい。
メルトもまた蕩けた表情で笑みを浮かべ、持ち前の負けん気の強さで動きを真似ていく。
控え目でありながらも貪欲に。
動きは相手を気遣うように丁寧でこそあったが、口唇に走る皺の一つ一つに舌を這わせる。
「んんっ……♡ んちゅ……っ、ちゅちゅっ……んれぇ……んぐっ……♡」
(すごい……舌のぶつぶつまで、全部、分かっちゃう……♡)
いよいよ、キスは深くなっていく。
舌と舌を絡めさせ、唾液を交換する。
ポタポタと顎を伝うことも気にせず、口腔に溜まった唾液を送り込み、逆に送り込まれた唾液を飲み下す。
口腔を舌が這い回る度に、勝手に涙が溢れてしまう。快楽に依るものだけではない。成就した恋に依る歓喜のためでもある。
「んひっ……はふっ……じゅるるっ……んんっ……ちゅる……れる……ずろ……んんんんんっ♡」
(舌に吸い付くと喜んでくれる♡ あっ、はぁっ、私、上顎、舌で撫でられるの弱いんだ……♡)
相手の舌を口内に迎え入れて、吸い付きながらも口唇で扱きながら引き抜いていく。
その際、上顎を舌で撫でられ、腰が二度三度と跳ね上がった。
軽い絶頂の波に、処女穴からは本気汁が零れ落ち、下着どころかホットパンツにまでも大きな染みを作ってしまっていた。
はしたなさに羞恥を覚えるも、羞恥すらもが悦びに変わっていく。
当然だ。興奮しているのは何も自分だけではない。相手もズボンを押し上げるほどに男の象徴を熱く滾らせていたのだから。
「んふっ!? ひあぁっ♡ ま、待って! 今、そんなのされたら……!」
(キス、集中できなくなっちゃうじゃないのよぉ……!)
自分と虎太郎の口に集中していたメルトであったが、握りあった手とは逆の手で本格的な愛撫が始まった。
剥き出しの背中を指先だけで軽く触れられ、上から下に、下から上に這い回る。
特に反応を抑えられなかったのは背骨の窪み。つーっ、と遅くもなく速くもない指の動きに、ゾクゾクと電気のような悦楽が背骨から脳へと駆け上っていく。
最早、熱く滾った女性器に近い内股を撫でられるだけで、腰が何度も跳ねる。
もどかしさの募る動きに、女陰から漏れ出している愛液の量は冗談のように増していった。
下腹の辺り、子宮を腹の上からぐっと掌で押される。
鈍痛にも似た疼きは収まったかのようにも思えたが、火に油。疼きは益々強くなっていく。
チューブトップを押し上げる乳首を抓まれる。
痛みは絶無であったが、様々な方向に押し倒され、引っ張られる度に、口からは嬌声が漏れる。
「あっ♡ あっ♡ そ、それ、ダメ♡ んむっ……んちゅ、ちゅるろ……じゅる、ふぅ……んふぅ♡」
(またキスぅ……はっ、そ、それに、クリトリスまでぇ……な、何で、そんなに簡単に分かっちゃうのよぉ……♡)
女の弱点を衣類の上から指で引っ掻かれる。
見えてもいない部分を的確に探り当てられ、メルトは目を白黒とさせた。
無意識に腰を振って逃れようとするものの、キスの最中であり、大きくは逃げられず、手は決して外れてくれない。
かりかりと爪から伝わる微振動は、強烈だった。
まだキスを愉しんでいたいのに、身体は絶頂を求めている。
愛した人に最大の快楽を与える事こそが最大の悦びと信じて疑わなかった彼女であるが、此処に来てあっさりと自らの考えを改めざるを得なかった。
「んんっ、はっ、らめ、もっ、きしゅできな……あっ♡ あひっ、ひあぁああぁああぁああぁぁあぁっ♡」
衣類の下で完全に勃起した淫核を指で押し込まれると、メルトは仰け反りながら絶頂した。
爪先立ちで腰を持ち上げ、何度となく腰を震わせる。
生まれて初めての絶頂は、雷に打たれたかの如くメルトに衝撃を与え、そのままの格好で失禁していた。
「いやぁ……あぁ……っ、み、見ない、でぇ……」
衣服を汚していく黄金水は、床へびちゃびちゃと広がっていく。
まるでメルトの羞恥と興奮を形にしたかのように、臭気と湯気が立ち上っていた。
一度決壊してしまえば、女性の尿道の造り故に止めることは叶わない。
死にたくなるほどの惨めさにメルトは涙を溢して見ないで、と懇願したが、虎太郎は笑みを浮かべるばかりで視線を逸らさない。
粗相を責めてなどいない。寧ろ、快楽に翻弄される姿を楽しんですらいた。
「く、屈辱よ……こ、こんな、惨め過ぎるわ……」
「良いじゃないか。気持ち良かったろ……?」
「そ、それは、そうだけど……」
「なら問題ない。これからは、お前の全てを見せて貰うから覚悟しろよ。…………じゃあ、本番と行こうか」
絶頂から戻ってきたメルトは、いつもの強気な態度を取り戻したものの、語気は弱い。
誰の目から見ても明らかな強がりであったが、虎太郎は指摘すらせずに椅子から立ち上がった。
繋いだままの手を引き、未だに足元が覚束ないメルトをベッドまで連れて行く。
虎太郎は、背中を向けたまま何を言うまでもなく、服を脱ぎ始めた。
その姿に、メルトはいよいよなのね、と期待半分、不安半分の心持ちで背中を向けて服を脱いだ。
全身が汗で濡れて気持ちが悪い。更には、愛液と小水でぐちゃぐちゃになった下半身はもっと酷い。
ホットパンツごと下着をずり下ろすと、それだけで全身が震えてしまう。秘裂と下着を繋ぐ本気汁の糸に改めて赤面せざるを得ない。
「――――――あっ♡」
全ての衣服を脱ぎ去り、裸体になると待っていましたとばかりにベッドへと押し倒される。
自分とは違う男の身体。
人間という脆弱な生き物であっても、雄の逞しさというものを否応なしにメルトは教えられる。
完璧さなぞ何処にもない不完全で不器用な身体。
傷の上に重ねる傷で才能の無さを、執念と信念で補ってきたのを理解できてしまう。
彼の傷一つ一つには物語があるのだろう。目に見えるだけでも数十。回復能力か医療によって綺麗になくなった傷も考えれば数百は下らないに違いない。
それが堪らなく愛おしい。それを理解できたことが誇らしくも喜ばしい。
自分が愛情を注ぐだけの人形を求めていたかつての自分が馬鹿馬鹿しくなってしまうほどだ。
互いの身体を重ねるということは、互いの人生を重ねること。今になってようやく、メルトは愛し合うことの意味を理解した。
「――――何だ、敵うわけないのよね」
「……どうした、急に?」
「いえ、気にしないで。当然のことに気付いただけだから…………続きを、しましょう?」
「そうか…………自分の心は、必ず言葉にしろよ。その方が、気が和らぐ」
「うっ。そういう所が、敵わないって言ってるのよ…………その、やっぱり、少し怖いから、優しく、お願い……します」
「ああ、そういうのも得意だからな。任せてくれ」
いよいよ露わになった互いの性器。
メルトの女陰は本気汁で蕩々に蕩けており、既にぱっくりと花開いていた。
対して、虎太郎の一物は雄々しくそそり勃っており、今すぐにでも欲望を開放してしまいそうだ。
初めて見る雄の威容にメルトは明確な恐怖を覚えたが、虎太郎の言葉に従い、胸中を吐露すると、今まで感じたことのない類の恐怖に締め付けられていた心が、すっと和らいだ。
一人の男に身を委ねることが、こんなにも嬉しく、安らぎになるなど考えたこともなかった。
今は、快楽のアルターエゴではなく、一人の女の子として在れることが堪らなく嬉しい。
「そ、そんなに、じろじろ、見ないで……♡」
両膝に掛けられた手が、股を割り開く。
中央では、今か今かと散らされることを待ち望んでいる処女穴がヒクついていた。
虎太郎の視線は品定めをするかのよう下劣なもの見えて、その実、メルトを一心に気遣った視線である。
どうすれば苦しみを与えずに済むのか、どうすれば満足させてやれるのか。今は、それだけしか考えていない。メルトも分かっているからこそ、抵抗をしなかった。
「ゆっくり行くからな。痛かったら、言えよ」
「……は、はい。マスターのおっきいの、私の奥まで、来てください♡」
それがメルトの精一杯だった。
虎太郎が、自分の女に卑猥な台詞を吐かせ、その上で犯すのを好むのは知っていたが、とてもではないが口にできない。
女としてのプライド故にではない。そんなものは、キスを任せてしまった時点で捨て去ったも同然だ。ただ、一人の女として、愛して貰いたかったからこそ、口には出来なかった。
「――――あぅっ♡」
メリ、と音を立てて亀頭が女性器に侵入する。
どろどろに溶けた膣は、メルト自身ですらが信じられないほど一切の抵抗なく、受け入れていた。
処女を喪失しているというのに、痛みは一切ない。
代わりにあるのは、下半身が溶けてしまったのでは、と錯覚するほどの快楽であった。
「はっ、ふぅんっ……あ、くっ……ひぃ……ふひぃっ……ふぅうぅっ……♡」
(う、嘘ぉ……♡ 痛く、ない……こ、こんなに、き、気持ちいい、なんてぇ……♡)
媚肉を割り開かれる圧迫感が有りながらも、苦しさは欠片もない。
呼吸を忘れるほどの快感の電気信号が膣を駆け巡り、子宮を更に疼かせ、脳髄まで犯されていくかのよう。
彼女の身体の小ささ同様に、淫穴はきつくはあったが、狭くはない。
寧ろ、虎太郎を迎え入れるように、易々と呑み込んでいく。とても、処女のそれとは思えない。
「クリもこんなに勃起させて、可愛いもんだ」
「い、いやぁ……言わな、ひぅうっ、あっ、あっ、だ、ダメェっ、そ、それ、グリグリしないでぇ……はへぇええぇぇぇっっ♡」
ゆっくりと挿入をしながら、虎太郎は自己主張するように勃起した陰核へと指を伸ばした。
愛液を親指で掬い上げ、指の腹で擦り上げる。時に強く押し潰すように、時に弱々しく焦らすように。
虎太郎に組み敷かれた状態で、メルトは訳も分からず藻掻く。
恥ずかしい声を上げまいと口唇を噛み締め、ベッドのシーツを握り締め、脚で船を漕ぐ。
けれど、肉棒が奥へと進む度に雌の悲鳴が口から漏れ、クリトリスを擦られる度に手の力は抜け、カウパーが噴き出る度に脚はピンと伸びる。
「ひぁ、ひあぁああぁあぁぁぁあぁあぁあぁあぁぁああぁっ♡」
何もかもが思い通りにならないことを楽しみながら、メルトは口の端から涎を溢していたが、男根がある部分を擦り上げた瞬間に、最大の嬌声を上げた。
蕩けた膣の一部分。牝の弱点であるGスポットだ。
「へひっ……ふぁ、い、今の……、な、なにぃ……♡」
「此処が、Gスポットだ。どれ、少しだけ慣らそうか」
「ま、まっ……へひゃぁっ、ひふぅっ、ぐっ、あ゛あぁ゛ああぁあぁぁぁあぁぁっ♡」
待って、という言葉すら紡げない。
今の今まで奥へ進むだけだった一物にピストン運動が加わった。
開いた笠で、ぷっくりと膨れたGスポットを執拗に擦り上げる。
バチバチと目の前で白い火花が散り、尿道からは熱い牝潮が吹き上がった。
手足までバラバラになってしまいそうな快楽の波に、メルトは顔を涙や涎だけでなく鼻水まで垂らして翻弄される。
その度に、男根を締め上げて、女の悦びと感謝を示していた。
「はっ、はぁっ、はっへぇ……♡ す、すごいすごいすごいぃッ♡ こ、こんなの、しらないい、しらにゃいぃいぃぃぃぃぃっ♡」
「まだまだ、こんなもんじゃないんだが……そろそろお前が限界だな」
「――――――おひっ♡」
こつん、と軽い衝撃が奔った瞬間、メルトの瞳が上へと持ち上がる。
ようやく最奥に存在する子宮口に、亀頭が到達したのだった。
「おぉっ……ほぉっ、あっ……へぁぁ……んっ、んっ……ふっひぃぃ……♡」
余りの快楽と多幸感に言葉すらない。
ちゅうちゅうと子宮口が精液を求めて亀頭に吸い付いているのが自覚できる。
これまでのクリトリスやGスポットへの責めが、児戯だと思えてしまうほどだ。
水鉄砲のように潮を拭きながら、メルトは自らの手で腹の上から自らを蹂躙した雄を撫でていた。
そうせずにはいられない。まるで蹂躙してくれたことを感謝するかのようであり、また愛する男を受け入れた自分を労っているようでもある。
「あっ♡ あっ♡ そ、それ、すごっ、いいっ♡ こつ、って、こつこつって、されるの、好き、かもぉ……♡」
「こうか?」
「んっ♡ そ、それっ♡ 子宮口、こつこつされると、またイっちゃうぅっ……♡」
「いいぞ、一杯イって、気持ちよくなってくれよ」
「や、やだっ! 嫌ぁっ、マスターも、マスターも一緒に、一緒にぃ……♡」
子宮口を優しく揺さぶられる度に、メルトは軽い絶頂を味わった。
じわじわと子宮が精液を求めて更に昂ぶっていくのを感じながらも、自分一人だけが気持ち良くなってしまうのは嫌だと涙を流す。
泣きながら、精一杯自分のことを考えながら優しくしてくれる彼に両手を伸ばしての哀願までしてしまう。
プライドなどない。今のメルトにあるのは、愛した男に甘え、同時に気持ちよくなって貰うことだけだった。
「分かった。射精すからな」
「はいっ、はひぃっ♡ マスターの、気持ちよくなってくれた証、私に、下さい……♡」
「う、くっ――」
「おぉ、ほぉ、あっ、ひぃ、へっひゃぁああぁああぁあぁあぁあぁぁああぁあぁっっ♡♡」
伸ばした両手に応え、指を握りあった瞬間、熱い精液が解き放たれる。
亀頭にピッタリと吸い付いた子宮は、一滴も漏らすことなくザーメンを貪欲に呑み込んでいく。
媚肉は締めると同時に蠕動し、より雄を気持ちよくしようと竿全体を扱き上げる。
べちゃべちゃと子宮に張り付いていく精液の熱さに、脚の指を丸めながらピンと伸ばし、腰を痙攣させた。
「イってるっ♡ イクイクイクっ♡ イッてるのに、またイクぅぅううぅっ♡」
「はぁっ、はひっ、もっと、もっとぉ♡ マスター、気持ちよくなって、もっと射精してぇっ♡」
「な、なるぅっ♡ マスターのっ、マスターだけの女の子になって、またイクっ♡」
「うぅっ、ひうっ、へっひゃぁっ、あ゛ぁ、ふひぃいいぃいいぃいいぃいいいぃぃぃぃぃぃぃっ♡」
止めに、一際大きく痙攣した肉棒が最後の塊を放出した瞬間、メルトの尿道からはちょろと勢いのない黄金水が漏れた。
本気汁と精液が溢れる女陰を更に汚水で染め上げていたが、彼女の頭には入ってきていない。
涙と涎でぐちゃぐちゃになったアヘ顔は、少女と牝の悦びを噛み締めているかのようだ。
虎太郎はその顔を見下ろして、満足と安堵から溜め息を吐き、未だに萎えていない男性器を引き抜いていく。
ご丁寧に、出した精液を媚肉に塗り込みながらゆっくりと。その度に、メルトは無意識の内に膣を締め上げていた。
音を立てて引き抜かれると、どろりとした白い粘液がまだまだ女の中に入っていたいと名残惜しむようにゆっくりと垂れていく。
精液が膣道を伝うだけで軽く絶頂しているのか、メルトの腰は時折痙攣し、更には潮まで吹いていた。
「ふぅ……ひっ……はぁ、はぁ……はっ……はっへぇぇ、こんな、しあわせ、なんてぇ……♡」
「余り、無理をしなくていいぞ。そのまま寝てしまった方がいい」
悔しさと嬉しさを混ぜ合わせたかのような口調で、メルトは起き上がる。
全身は絶頂の余韻で気怠い。虎太郎の言葉通りに眠ってしまうのも悪くなかったが、それ以上にやりたいことがあった。
「いいえ、今度は……はぁ、私が、貴方を、ふぅ……気持ち良く、して、あげたいわ……♡」
「……そうか、分かった。じゃあ、お願いしようかな。でも、無理だけはするな。一緒に、だぞ」
「――――はい、マスター……♡」
思うように動かない手足を必死で動かし、虎太郎の胸にしなだれ掛かると軽くキスをする。
そのままメルトの口唇は顎を伝い、喉を下り、胸板を舐めあげ、腹筋の割れ目をなぞり、牡と牝の欲望で汚れながらも勃り立つ剛直へと辿り着く。
それからじゅるじゅるという粘着質な音が一物から響き、彼女の肉穴からはくちゅくちゅという本気汁と精液を掻き回す音が溢れ出すのに、そう時間はかからなかった。
こうして、快楽のアルターエゴの恋は成就し、愛となる。
それは怪物と人の間に生み出されたものとは思えない、一人の少女と一人の男として酷く真っ当な形であった。
という訳で、メルトエロ回でした。
いやー、すげー難産だった。こう、初々しい感じって自分は苦手ですわ。
アレだな、自分の経験とか今までやってきたエロゲーとか呼んできた官能小説とか、性癖が滲み出ていますなぁ!
さて、活動報告のアンケートはどうなるか。楽しみだなぁ……!