PSO2をプレイした事のない方の為にざっくりと説明しますと、ピエトロはムツゴロウさんとFF14のオルシュファンを足して2で割ったような、PSO2のエピソード4を代表するとてもイイ変態です(おい)。
冒頭なのでまだエロ成分はありませんが、これから色々と書いていく予定です。
アークス船団の中の一隻のうちにある居住区画のとある一室。オールドシリーズで内装と家具を統一している広めのワンルームの中で、部屋の主……安藤 優が、慣れた手つきでビジフォン端末を操作している。
サモナークラスの武装であるタクトを装備した彼女の側には、綿あめの様なもふもふの尻尾を持ち背中に翼が生えた、紫色のアフガンハウンド犬の様な生き物が大人しく立っていて、時折様子を伺うように目を瞑ったままの顔を安藤の方に向けていた。
「……よし。終わったよ、コットン。それじゃあそろそろ行こっか。」
ビジフォンの操作を終え、傍らで暇そうにしていたコットン……サモナーが召喚する、通称ペットと言われる使役獣のうちの、ヴィオラ種と呼ばれる彼女の相棒にそう優しく話しかけると、コットンは嬉しそうに前足を上げ、くるりと宙返りをする。
その様子に目を細めながら、安藤は部屋のドアの前に立ち扉を開ける。……するといきなり目の前の廊下からピンクの体毛に大きな角のついた犬のような生き物が猛烈な勢いで走ってきて、そのまま安藤の横をすり抜けて部屋の中に入っていってしまった。
「うわああっ!……って、えっ?ワンダ?何でこんな所に……。」
ワンダと呼ばれた生き物は部屋の隅にあるベッドの陰に隠れ、小さくなって震えながら安藤とコットンに助けを求めるように見つめている。
ワンダとはヴィオラと同じくサモナーが使役するペットの種類の一つなのだが、本来なら主人に服従し、呼び出されたら常に行動を共にするはずのペットが主人の元を離れるなどという事態はあってはならないのだ。……しかし安藤は、この様にペットが隙を見ては主人の元から逃げ出してしまう主従に心当たりがあった。
「カトリーヌ、今度は貴方なの?家出なんかして、あまりピエトロに心配かけるような事をしたらだめだよ?」
少し困った顔をした安藤に優しく諭されて、隠れていたカトリーヌはばつの悪そうな顔をしながらベッドの陰から顔を出す。
「……まったくもう、どうしてそんなに邪険にするの?本当は、あなた達もあの人の事が大好きなんでしょう?」
そう言うと安藤は苦笑しながらひざまずき、両腕を開き前に広げる。するとカトリーヌはその腕の中に飛び込むと大人しく横抱きに抱えられ、首を伸ばして彼女の顔をペロペロと舐めた。
「あははっ!くすぐったいよカトリーヌ。……やれやれ、でもどうやって貴方のご主人に連絡を取ればいいのかなぁ?」
安藤は抱っこされてご満悦のカトリーヌにそう問いかけると、カトリーヌは不意に何かを察知する様に耳をピクリと動かし、彼女に向かってすがる様な目つきで「くぅん……。」と鼻を鳴らす。するとそれから数秒後に、何かを探している男性の声が微かに聞こえてきた。
「カトリーヌー!何処に居るんだい?出ておいでー!!」
「……っと、噂をすれば、だね。……そんなに悲しそうな顔をしないでよ、カトリーヌ。」
今にも泣きそうな声色で、廊下じゅうに響き渡る大声を上げて何かを探し回っている男性の声が段々と近付いてくる。その声に誘われるように安藤は嫌がるカトリーヌを片手で抱っこしたまま部屋の扉を開けると、そっと廊下に出てみた。
するとマイルームが並ぶ長い廊下で、リチュアルクロースに身を包み頭にアルキュリアベレーを乗せたデューマンの男性がしきりにカトリーヌの名前を呼び息を切らせて走りながら辺りを見回しており、安藤の腕の中にいるカトリーヌを一目見るや否や満面の笑みを浮かべて全速力で走り寄ると、カトリーヌを抱いていた安藤ごときつく抱き締めた。
「ああっ!ここに居たのかい?カトリーヌ!お願いだから、あまり心配をかけさせないでおくれ!」
「………っ、き、きゃああああっ!?ちょ、ちょっとピエトロっ!おおっ、落ち着いて……!!」
安藤の腕の中に居るカトリーヌを潰しかねない程にきつく抱き締め続けるカトリーヌの主人……ピエトロの腕の中で、安藤はもがきながら必死に声をかける。
するとその声で我に返ったピエトロは、自分の数少ない……と言うよりもむしろ唯一の友人を自分の愛し子ごと力いっぱい抱き締めている事に気付き、顔を赤くしつつ申し訳なさそうな表情で腕の力を抜いた。
「す……すまない、マイフレンド。カトリーヌが見つかったのが嬉しくて、つい……。さあおいで、カトリーヌ。あまりマイフレンドに迷惑をかけるものではないよ。」
安藤に非礼を詫び、ピエトロは右手を差し出し優しい笑顔でカトリーヌに話しかける。しかしカトリーヌは低く唸りながら差し出された右手に噛みつこうと牙を剥き出し、それと同時に前足で安藤の腕にしっかりとしがみついてそこから動こうとしない。
「どうしたんだいカトリーヌ!?ジョセフィーヌといい、どうしてこんなに愛しているのに僕を困らせるんだい?……やはりまだまだ、僕の愛が足りないせいなんだね!」
オッドアイの瞳を潤ませながら悲しげに叫び、芝居がかった身振りで嘆くピエトロを他の一人と二匹は冷めた眼差しで見つめている。その内に、居住区画の廊下で騒いで苦情でも来たら大変だと気付いた安藤は空いている手で恐る恐るピエトロに触れると、優しく微笑みながら彼に話しかけた。
「……ま、まあここで立ち話をするのも何だから、ちょっと中に入らない?カトリーヌも貴方も、今はあまり冷静ではない様だし……。少し気持ちが落ち着くまで、私の部屋でお茶でも飲んでいってよ。」
そう言われたピエトロはハッと顔を上げ、安藤を見つめて戸惑う様にはにかんだ。
「いいのかい?……それじゃあ、お言葉に甘えてお邪魔するよ。迷惑をかけて本当にすまないね、マイフレンド。」
「ふふふっ、どういたしまして。……それじゃあ適当に座って楽にしていて。今お茶を淹れるから。」
自分のマイルームにピエトロを通しカトリーヌをそっと床に降ろすと、今まで安藤の横で成り行きを見ていたコットンはフンフンとカトリーヌの匂いを嗅ぎ、慰めるように鼻と鼻をちょんとくっつける。それからカトリーヌを案内する様に部屋のベランダに向かって歩いていくと、そこで二匹は仲良く追いかけっこを始めた。
「……君の子供は、とても優しい子なんだね。」
お茶を淹れていた安藤はそう呟く声に振り向くと、ピエトロはオールドベンチに腰掛けてどこか寂しげにベランダを眺めていた。
自分のペットから慕われているどころか懐かれてすらいないように見えるピエトロだが、実は彼こそがサモナークラスの創設者でありクラスの教官も勤めている、言わばサモナーの第一人者なのだ。
にも関わらず見事なまでに使役するペットに避けられている理由は、一言で言えば彼の豊かすぎる愛情にあった。
自分の使役獣に全てを捧げ、我が子と呼んで溺愛するピエトロ。彼が使役する三匹のペットを等しく愛するのは大変素晴らしい事である。だがその愛情が重過ぎるのか接し方に問題があるのかは分からないが、三匹共に等しく彼の惜しみない精一杯の愛情を容赦なく与え続けられた結果、その過剰な愛情を疎ましく思われ邪険にされているのだった。
戦闘に関しては何の問題もなくこなしているので、彼の『子供達』もこの主の事を心から嫌っている訳ではないのだが……。
「はい、どうぞ。熱いから気をつけて。」
「ありがとう。……ときにマイフレンド、ちょっと聞いてもいいだろうか。」
「えっ?ええ。私に答えられる事なら……。」
良い香りのするお茶が入った、ラッピーの絵柄のついた青いマグカップを受け取ったピエトロは思い詰めた表情で安藤を見つめる。その視線に少したじろぎながら彼女は自分用に淹れたお茶の入った赤いマグカップを両手に持ち、彼の隣に座った。
「……実はジョセフィーヌが家出した時に言われた事が、ずっと気になっていてね。僕の過剰な愛が家出の原因だと言われても、僕には具体的にどうすればいいのか皆目見当がつかないんだよ。……だから、同じサモナーとしてのマイフレンドの意見が聞きたいんだ。もしこのままあの子達が家出を繰り返すようになれば、もっと沢山の人達に迷惑をかけてしまうだろうからね。」
マグカップを指の関節が白くなる程握り締め、不安そうな顔をして安藤を見つめるピエトロ。そんな彼を見て、(ほほう、ようやくあんたのベタ甘で暑苦しい溺愛ぶりがうっとおしいと思われているって気付き始めたのか。)という本音をお茶と一緒に飲み込むと、安藤はなるべく言葉を選びながら話し出した。
「うーん……。可愛いからつい構いたくなるのは分かるけど、やっぱり適度な距離は必要じゃないかな?ただでさえずっと一緒に居るんだし、四六時中そんなハイテンションで来られたら、多分どんな人でも疲れると思うよ?」
「そうかな……?僕はただ、子供達と一緒に居る時に沸き上がる愛情を表現しているだけに過ぎないんだが……。」
「いやいや、それで常時あのテンションはおかしいからね?……うーん……。そうだ!いっその事あの子達よりも大切な人を作ってみるっていうのはどうかな?」
お茶を飲みつつ楽しげな笑顔で安藤が放った言葉の意味が解らないピエトロは、いぶかしげな表情で首をかしげる。
「……大切な、人……?」
「そう!例えば彼女を作るとかさ。……ピエトロはそういう気になる人っていないの?ペット以外にも愛情を注ぐ相手が居れば、そのうっとおしい位の愛情もちょうどいい感じになると思うんだけど。」
「はははっ!マイフレンド、それは愚問というものだよ。僕にとってはあの子達が恋人だからね、他のものなんて目に入らないのさ!」
「あー……やっぱりそうなっちゃうんだ。」
「勿論さ!誰が何と言おうとも、愛しい子供達が僕の全てなんだからね!!」
「でも、その愛が重すぎてあの子達に冷たく当たられているんでしょ?」
「うっ!………し、しかし第一、僕には気になる人どころかまともに付き合いのある人間はマイフレンド以外に一人も居ないんだ。だからとてもじゃないけれど、僕や僕の子供達に理解のある恋人なんて……。」
「あー、そっかー……。考えてみるとそうだよねー。」
「ええっ?ひっ……非道いじゃないかマイフレンド!そんなにあっさりと肯定しなくてもいいだろう!?」
「あはははははははっ、ゴメンゴメン!」
顔を真っ赤にして食ってかかるピエトロを見て、安藤自身は弄り甲斐のある相手をおちょくっているだけだが彼にとってはこの上なく真剣なお悩み相談なのだという事を思い出し、彼女は自分のお茶を飲み干すと姿勢を正して、少し膨れっ面をしたピエトロに向き合った。
「まぁからかうのはこれくらいにして、まず貴方がいつもあの子達とスキンシップをとる時はどうしているのか教えて欲しいの。」
「……やっぱり僕をからかっていたんだね、マイフレンド。」
「ふふふっ、それは悪いと思ってるよ。……で、どんな感じなの?」
「どうって……。僕はいつも全力で僕の愛する子達を愛で、愛らしさや美しさを讃え、どれだけ愛しているのかを分かってもらう為に日夜努力しているよ!」
「うん、それは分かってるんだけどね。具体的にどう触れ合っているのかを教えてくれるかな?例えばカトリーヌと二人きりの時とか……。」
そう言いながらベランダに視線を移すと、カトリーヌとコットンは遊び疲れたのか、よく日の当たる場所で折り重なるような格好で昼寝をしている。
お互いの体を枕代わりにして幸せそうな顔で眠っている二匹は、時折走っている夢でも見ているのか足をピクピクと動かしており、その様子に気付いた二人は顔を綻ばせて、しばしの間その可愛らしい光景に目を奪われていた。
「うーん、さすがにあんなに気持ち良さそうに寝ているのを起こして拷問を受けさせるのは気が引けるよね。」
「……さっきからなかなか辛辣なコメントをしてくれているね、君。」
「えっ?そうかなぁ。……まぁそれはともかく、試しに私を貴方の子供達だと思って、普段どんな風にコミュニケーションを取っているのかやってみてよ。」
「君を、僕の子供達に見立てる。って事かい?」
「そうそう!実際にやられてみたら、何がまずいのかが分かると思うし。」
「そうか……。よし、マイフレンドがそう言ってくれるなら、少しやってみようじゃないか。……でも実際に僕なりのスキンシップを君にした結果、その……引いてしまわないだろうか?」
「ああ、それは何と言うか……今更だよね。大体の事は想定の範囲内だと思うから、とりあえずやってみようよ。」
複雑な表情をして戸惑っているピエトロに優しく笑いかけながら、安藤は彼の悩みを解決するべく……と言うよりも人懐こく賢いペットをあそこまで敬遠させるスキンシップとは一体どういうものなのか?という好奇心に駆られて、ピエトロなりの愛の表現方法とやらを実際に体験する事になったのであった。
わんこ同士のイチャイチャも書きたくてついやってしまった。反省はしていない。
妙にペット用品の引きがいいので密かにペットの育成にも手を出していますが、使ってみるとなかなか楽しいですね、サモナー。
ガチサモナーの身内の様な動きは出来ませんが、ヴィオラのもふ尻が可愛いのでたまにこっそりと使っています。マロンちゃん片手にアルターエゴ特攻なんて荒業、自分には無理っす……。