「この私がぁ……ああん、ああ……あ…あ……」
体と体がぶつかりあう音が部屋中に響き渡っていた。
カインはバルバリシアの細い腰を掴むと何度も強引にピストン運動を繰り返す。
「いやっ、いやあ……あ、ああ、あぁん……」
苦悶の表情を浮かべ、喘ぎ声ではなく悲鳴をあげるバルバリシア。
大して濡れていないため、激しい性交痛に襲われていた。
「やめて……ダメ……あぁ…くっ……は…はなして……」
命令口調ではなく、懇願するように叫ぶがカインは動きを止めない。
泣き叫んでいる様にも見えるバルバリシアはまるで少女の様でもある。
カインは悲鳴や懇願には全く耳を傾けず、淡々と性交を続けた。
ドクッ……
カインの黒い欲望がバルバリシアの中で解き放たれた。
子宮に精が注がれていく。
「あ…ああ……そ…そんな……この…私が……」
バルバリシアは強姦された事実が受け入られず、放心していた。
――
半年程、時を遡る。
カインはミストの村付近で倒れているところをゴルベーザに拾われ、バブイルの塔に招かれていた。
この時、既に洗脳されている。
ゴルベーザの術は、カインの奥底に眠るローザへの密かな想いと、その恋人セシルへの嫉妬を最大限に引き出す事。
こうする事で、心の無い人形ではなく、強い邪悪な意志をもった人間の人材が手に入る。
バロン竜騎士団隊長であったカインはその能力を買われゴルベーザの補佐についていた。
ゴルベーザの側近は四天王と呼ばれる4人がいるが、どれも独自の軍を持つ軍団長の様な存在であり、自分の傍に立って任務を補佐する者ではない。
ゴルベーザはかねてより自分の負担を軽減させる補佐官が欲しがっていたのだ。
カインは立場的には四天王よりも下であったが、人間の新参者がゴルベーザの傍らに立つという事が面白くないという者は多数おり、バルバリシアもその一人であった。
「随分とゴルベーザ様に気に入られているじゃない」
カインは雑務中、バルバリシアに廊下で話しかけられた。
「……確か。風のバルバリシアとかいったな」
四天王とカインは一度だけ面通しをしている。
洗脳されているカインは、周りに興味は一切なく淡々とゴルベーザから与えられた任務や雑用をこなすだけの存在であった。
改めて、バルバリシアを見る。
無駄な脂肪のない洗練された白い素肌の体には、胸を隠すだけの貴金属をあしらった胸当てと陰部を隠すためだけの腰布の様な下着を纏っている。
その際どい格好はほぼ全裸といって差し支えない。
整った顔立ちであり、切れ長の目に青い瞳。
何よりも特筆すべきなのは、自身の身長よりも長く美しいブロンドの髪の毛であった。
髪は地面にふれる事なく常に靡いている。
誰がどう見ても絶世の美女であり、その格好を見れば男性なら間違いなく性器がいきり立つだろう。
しかし、洗脳されているカインはその容姿には全くの無関心であった。
「何の用だ?」
カインの態度にバルバリシアの表情が険しくなる。
四天王にカインが仲間になった経緯は伝わっている。
ゴルベーザの人事に異を唱える者が多く、ゴルベーザは部下を宥めるため経緯をある程度説明せざるを得なかった。
「別に……
好きな女を取られたくらいで、親友を裏切る男がどんなものか見にきただけよ」
カインの表情が先程とはうってかわりバルバリシアを睨みつける。
憎悪の眼差しであり、そのどす黒い視線は、ゴルベーザのかけた術のもの凄さを物語っていた。
「殺すぞ?」
「ほほほ。
流石ゴルベーザ様に気に入られているだけあるわね。
その憎悪に満ちた視線、感じてしまいそうだわ」
「消えろ……今すぐ」
カインは殺気を押し殺した声で言う。
これ以上、刺激すれば暴走しかねないのがバルバリシアにもわかった。
「また会いましょう」
バルバリシアは洗脳された哀れな男を冷笑しながら再会を望む旨を伝え、その場を去り。
カインはその日の仕事を片付け、与えられた居室で眠りについた。
――
「はっ!?」
カインが目を覚ますと、知らない部屋のベッドに寝かされており、手足を縛られている。
四肢がそれぞれ独立して縛られており、大の字にされていた。
「ほほほ!
気がついたようね……」
バルバリシアが冷笑を浮かべながら、カインを見おろしている。
「……バルバリシアか? 一体なんの真似だ?」
「何の真似って……
ローザを想うお前があまりにも辛そうだから、少し気を紛らわしてあげようと思っただけよ」
カインの目がどす黒いものへと変わるが、手足を縛られていては何もできなかった。
「なにをするつもりだ?」
「この状況でわからないなんて鈍いわね。
それとも気づかいない振りをしているだけなのかしら?
ま、どちらでもいいわ」
バルバリシアは貴金属をあしらった装飾品の様な胸当てを外し、綺麗な桃色をした乳首を露わにする。
カインは一瞬目を見開くとすぐさま視線を逸らした。
洗脳されているといっても意志のない人形になったわけではない。
その反応を見てバルバリシアの溜飲が少し下がる。
というのも廊下で声をかけた時、カインは全くといって良いほど自身の容姿に対して無関心であった。
今まで、人間の男に見られればそれが例え戦場であろうとも、一度は皆目を奪われていたものである。
主の術があるとはいえ、自分を間近で見て無反応なのは何処か屈辱を感じていたのだ。
「ほほほ……」
ゆっくりと身動きの取れないカインに近づくバルバリシア。
「お…おい!」
明らかに、カインは動揺している。
「我慢しないで、少し気持ちよくなるだけよ?」
嘲笑しカインの陰茎を口に咥えた。
「うっ……」
「フフッ……」
バルバリシアは動けないカインを愛撫していった。
愛撫が終わり頃合いと判断すると、バルバリシアはカインに跨り腰を振る。
カインは快感に耐えようとしているのか顔を顰めていた。
「ひょっとして、した事ないのかしら?」
カインの表情がいっそう険しくなる。
「図星みたいね」
「ローザ……」
ぼそりと女性の名を呟いた。
その言葉を聞いて、バルバリシアが凶悪に笑う。
「心配しないで、ローザの事なんか直ぐに忘れさせてあげるわ」
バルバリシアは笑みを浮かべたまま激しく腰を振り始める。
カインに抗う術はなく、限界まで達するのに時間はかからなかった。
ドクッ……
カインは射精し、この時、童貞を失った。
「残念だったわね。
お前の初めての相手がローザじゃなくてこのバルバリシアで」
カインは虚ろな目でバルバリシアを見ていた。
これは明らかな女性による強姦であり、カインのプライドは酷く傷ついている。
その反応が、バルバリシアにとっては堪らなく快感であった。
バルバリシアはベッドから距離をとると、自在に室内の空気、風圧を操り、カインの拘束具を解錠し部屋を後にする。
それからというもの、バルバリシアは度々カインを眠らせては適当な部屋に拘束し強姦していた。
カインは男である以上、バルバリシアと性交すること自体には快感を覚える。
しかし、それが許せない、好きでもない女と体を交わらせ、快感を感じている自分が。
ましてや、ローザという想い人がいるのにも関わらず、そして、バルバリシアはそこを嘲笑する。
最初は、抵抗というか嫌がるそぶりを見せていたカインであったが、次第に覇気は衰えていき、されるがままとなっていく。
やがて、際立った反応が無くなり始め、バルバリシアはカインに飽きてしまった。
あまりやり過ぎて精神的に追いこんでも、ゴルベーザの補佐官として使いものにならなくなれば、何かしらのお咎めを受けるかもしれない。
しかし、バルバリシアがカインを性交しなくなってから、一月程経過した後、二人の関係に転機が訪れた。