バルバリシアには個室の牢が与えられた。
左足に魔力を吸い取る、魔道師用の足枷がとりつけられる。
鉄球こそついていないもののかなりの重量で女性のバルバリシアには少し辛いものがあった。
力を封じられてしまうため、髪の毛を浮かせる事ができないのも不便である。
看守達は髪を切るようにいったが、本人は嫌がり、ローザを筆頭とした女性陣の口添えもあって髪は切らない事に決まった。
バルバリシアが牢を出るときは用を足すときと、入浴の時だけである。
カインは有力情報を聞き出す尋問を名目にして欠かさず牢へ通っていた。
「あら、異端審問官さん。
今日は何を聞き出そうというのかしら?」
「全てだ、洗いざらい知っている事を全て話して貰う」
個室に用意された、机に向かいあって座る二人。
「知っている事はもう全て話したわ」
「嘘を言うのは……くっ」
バルバリシアは右足を伸ばしてカインの股間を弄っていた。
「あら、顔色が悪いわね、一体どうしたのかしら?」
「随分と挑発的だな、尋問されているうちが花だぞ?」
「一体何のことかしらね」
バルバリシアは妖しく笑いながら、右足により強く力を入れた。
「拷問なんて真似はしたくないんだがな」
カインは席を立ちあがり、バルバリシアの背後へ回る。
「拷問? 一体何をしようというの?」
「こういう事さ」
カインは手始めにバルバリシアの胸に手を入れ、揉みしだく。
「男は本当におっぱいが好きなのね」
バルバリシアがさらに挑発。
「フッ」
カインは胸当てを外して、机におくと、人指しゆびで乳首を小刻みに刺激していく。
「それで……
隠している事を話す気になったか?」
「さあ、何の事だかわからないわね」
「そうか、拷問を続けよう」
カインは乳を中心に責めながら、耳に息を吹きかけたり舌を這わせるなどの援護も行った。
「審問官さん」
「何だ?」
「濡れてきたみたい」
「ほう」
カインはバルバリシアの股に手を入れて秘所を確認する。
「確かに濡れている様だな」
指に付着した愛液を眺めるカイン。
「審問官さん、もっと私の体を調べなくてもいいのかしら?」
「そうだな、是非調べさせて貰おうか」
カインはバルバリシアを椅子から立たせると、床に毛布を引き、そこに寝かせる。
バルバリシアの要望どおり、体を舌で調べ始めるカイン。
「ふむ、乳首が起っているようだな」
カインはバルバリシアの勃起した乳首を摘み上げる。
「審問官さん、乳首はとても繊細で敏感なところなの、大切に扱ってね」
カインはちょっとだけ強めに摘む。
「くっ」
バルバリシアが強烈な刺激に顔をしかめる。
「これは拷問という事を忘れていないか?」
「そうだったわね、次はどんな拷問をするのかしら?」
カインはバルバリシアの左手をとって指を唇で愛撫する。
「随分とおかしな拷問ね」
カインは問いには答えず、秘所に手を伸ばし濡れ具合を確認した。
この行動は、挿入したいという気持ちを暗に伝えるためもある。
「入れて」
バルバリシアは頷き挿入を承諾した。
「これが、拷問という事を忘れてないか?
壁に手をついて、尻を突き出すんだ」
カインが命令する。
「私、バックは……
まあいいわ、ご褒美よ」
バルバリシアは言われた通り壁に手をついて尻を突き出した。
カインは腰に手を当て、陰茎をゆっくり挿入していく。
「優しくしてね」
「ああ」
バルバリシアの気持ちを考え、そこは普通に返事をするカイン。
ゆっくりとピストン運動を始める。
行為が終わると、二人は向い合って机に座った。
「明日はいつ来てくれるのかしら?」
「明日は遅くなるかもしれないが、必ず行く」
明後日には魔導船に乗って月へ向かう。
明日は最終日といえた。
「帰ってくるのは?」
「月の状況がわからないが、遅くとも一ヶ月後には帰ってこれるだろう、一ヶ月経っても帰ってこれなかった場合は……」
「そう、必ず帰ってくるのよ」
「ああ……」
バルバリシアに軽いキスを交わすと席を立った。
カインはこの時気付いていなかった。
ゴルベーザは、バロンの実権を握り、ダムシアン、ファブール、エブラーナの国家に派手な軍事行動を起し、世界を恐怖に陥れた人物である。
その側近であるバルバリシアに憎悪を持つ者も多いという事に。
――
月へ飛び立つ前日、カインはバロンにある指輪を扱っている鍛冶屋を物色していた。
「う~む」
先日、愛撫するふりをして間近で指を確認し、触れるなどをしてみたが、やはり正確なサイズがわからない。
サイズに合わないものをプレゼントして喜ぶだろうか? そんな疑問が頭を過ぎる。
しかし、今更サイズを測る事はできないし、明日には月へと向かう。
「カイン」
カインが頭を悩ませていると後方から声をかけられる。
振り向くとローザが立っておりニヤニヤしていた。
「やっぱり、カインだったのね。
どうして、指輪を物色しているのかしら?」
いたずらっぽい笑顔をするローザ。
「いや、別に指輪を物色していたわけでは……」
そこまでいって言葉に詰まる。
都合のいい良い言い訳が思いつかない。
「あの人の事が好きなんでしょう?」
「……ああ。」
カインは遂に観念した。
ローザはようやっと、本音を聞けて少し嬉しそうである。
「やっぱりね、ゾットの塔の時から何かあるなとは思っていたけど」
「ゴルベーザの補佐官として潜入していた時に、色々とあってな」
「敵同士だから、言いづらいのはわかるけど。
そこは相談してほしかったわね」
「相談と言われてもな」
ローザにとってカインは幼いころから付き合いのある人物で兄の様な存在である。
小さい頃はセシルと3人でよく遊んでいた。
自分がセシルと付き合う様になると、カインにもいい人が見つかるといいなと密かに願っていたものだが、カインは出世はしても女性を何処か避けている様で、恋人ができることはなくやきもきしていた。
カインに恋人ができれば、ダブルデートやその恋人と友人になり女子トークをしたいと思っていたこともある。
ローザは敵という立場とはいえ、ようやっと現われた女性の影にどこか嬉しさを感じていた。
「しかし、カインをその気にさせるなんて大した人ね」
バロンにも、カインに想いを寄せている女性はかなりおり、ローザは立ち位置から相談を受ける事も多々あった。
しかし、カインはその全ての女性を振っていたのである。
「でもよかったわ」
「何がだ?」
「私、貴方がゲイで実はセシルに気があるんじゃないかと疑っていた事もあったの。
とんだ思い違いでよかったなって」
「ふうっ……」
カインは大きく息を吐き、これ以上探られたり、聞きたくない話をされては溜まったもんではないと判断し、話を切りかえる。
「この際だから、正直に言おう。
お前の察しの通りだ。旅立つ前に指輪をプレゼントしたいと思ったのだが、どれを選んでいいかわからない。
アドバイスを貰えるとありがたいのだが」
「その前に指のサイズは?」
カインは首を横に振り、ローザは額に手を当てる。
ローザは、サイズを測る時間が無い以上、一先ずあてずっぽうでも指輪を買い、サイズが違っていたらチェーンを通してネックレスに変えてプレゼントしなおして、指輪は指輪で改めて送るという事を提案。
その後、ローザのアドバイスに従って、似合いそうな指輪を購入した。