その日、カインは自室で、ベッドで仰向けになり自問自答していた。
自分自身に大きな変化が起こっていたからだ。
まず、沸き上がる憎悪がちっとも沸いてこない。
それどころか、何故自分はここにいる?
何故、親友であるセシルと敵対している組織に身を置いている?
不可解な事だらけである。
ここから脱出しようかと思ったが、ローザがこの塔の何処かに監禁されている以上、自分だけ逃げるわけにもいかない。
幸い、敵方は自分を嫌っていても、味方だとは思っている様でその点に関しては好都合である。
カインはゴルベーザから与えられる雑務をこなしながら、ローザの監禁場所を探る事にした。
カインにかけられた術の事を知っている者たちからすれば、監禁場所を探ってもなんら不思議ではないため、不審に思われる事はなく監禁場所を絞りこんでいたが、一人だけその事を快く思わない者がいた。
ついこないだまで、何かと尋ねてきては性行為を要求しており、それが途絶えたかと思えば想いを寄せる女の監禁場所を探っている。
「熱心ね……
それで、ローザは見つかったのかしら?」
バブイルの塔で、内部の者達でさえあまり出入りする事のない場所を探っているカインの前にバルバリシアが現われる。
「バルバリシアか……一体何の話だ?」
カインはとぼけてみせた。
洗脳が解けている事を悟られるにはいかない。
ここ最近、会っていなかったせいか、バルバリシアの露出の高い格好を見るなり性欲が沸き上がってくるのを感じた。
「では、ここで一体何をしているのかしら?」
「それは……」
カインは言葉に詰まる。
不自然な場所にいるし、適当な理由が出てこない。
「お前には関係ない」
下手な言い訳をするよりは突っぱねる方がマシと判断する。
「そう。邪魔をしたわね」
「待て!」
バルバリシアは怪訝そうな顔をした後、背を向けるがとっさに呼びとめる。
「何かしら?」
「その……いや、なんでもない」
カインとしては、沸き上がる性欲を発散させるため、以前のように行為に及びたかったが、洗脳が解けた事もあり言いだせなくなっていた。
バルバリシアは、カインの不可解な行動を理解できなかったが、何処か自分を求めている様なしぐさを見て安堵する。
「ほほほ……また会いましょう」
バルバリシアは気をよくしてその場を去り、カインも自身の部屋へと戻った。
――
「はっ!?」
カインが目を覚ますと、ベッドに拘束されている。
「こういうのは、久しぶりね……
ここ最近、お前の方から来る事が多くなっていたから忘れていたわ」
バルバリシアはカインの性器へと手を伸ばす。
「バルバリシア……その……」
カインが名を呼び、そして口ごもる。
「ん? 聞こえないわ?」
バルバリシアは耳をカインに近づけその言葉を聞くと、笑いだした。
カインは胸を揉みたいと言ってきたのである。
男なら当然の願望であった。
バルバリシアの胸は、決して巨乳ではないが貧乳でもない均整のとれた美しい胸であり、間近で見せつけられれば触れたくなるのは必然である。
「口ごもって何を言うかと思えば。随分とウブなのねお前は」
「それで、どうなんだ?」
カインは少しふてくされた様に聞いてくる。
バルバリシアとしても、正直、マグロの上に跨るだけの行為には飽きを感じていた。
だが、両手を自由にして良いものか?
所詮、カインは人間であり、敵の親友だった男である。
ついさっきもローザの監禁場所を探っていた。
親友を裏切るような男が、こちらをいつ裏切るかわかったもんではない。
主の術がある以上、主を裏切る事はないだろう、しかし、個人的に自分を憎んでいれば、なんらかの報復行為にでるかもしれない。
行為の最中は無防備にもなりやすく、警戒や細心の注意は怠れないのである。
バルバリシアは女性である以上、筋力は弱い。カインの膂力ならたやすく首をヘシ折れるだろう。
どうしたものかと思考を巡らせていると、考えを見透かされたのかカインが口を開いた。
「怖いのか?」
この言葉は、常に相手を見下す様にしているバルバリシアのプライドを刺激する。
「バカ言わないで。
でも、両腕だけよ?」
「ああ」
バルバリシアはカインの両腕の拘束を解いた。
もしカインが自分を殺そうと掴みかかって来ても、最悪、自分には指で触れたものを石化させるという奥の手の能力がある。
カインは両腕が自由になると前屈みになったバルバリシアの乳を掴んだ。
カインにとってバルバリシアが初めての相手である以上、女性の胸を掴むのもこれが初めてである。
まずはその柔らかさに圧倒された。
その弾力性を感じながら、ゆっくりと揉んで感触を味わっていく。
「そんなに私の胸が欲しかったのかしら?」
バルバリシアはカインに跨りながら挑発する。
カインは問いには答えずバルバリシアの乳首を強めに摘みひねってみた。
「あぁっ」
バルバリシアは思わず喘ぎ声を上げてしまう。
カインはその声を聞き興奮した。
「少し、痛かったわ。
繊細なところよ、もっと大事に扱いなさい」
カインの不意打ちに喘ぎ声を上げてしまった事で少し苛立つバルバリシア。
「すまん」
カインは詫びを入れ、改めて冷静にバルバリシアの性感帯を探る。
可能な限り体に手を這わせ、反応を確かめていた。
その日の行為が終わり、カインは部屋へと戻り、再びバルバリシアの部屋へ通うようになった。