カインはゆっくり男根を引き抜く。
バルバリシアはうつ伏せになったまま、しばらくの間、拳を握りしめ小刻みに震えていたが。やがて自我を取り戻したのか立ち上がってカインを睨みつけた。
「カイン、貴様よくも!」
カインは無言でバルバリシアを見つめる。
射精したカインは欲望から解放され、強姦という許されざる行為をしたことに罪悪感を感じ始めていた。
一方、バルバリシアは、先程はカインに押され戦意喪失し、まるでか弱い女性の如く、陵辱されたが、闘士を取り戻していた。
カインに近寄ると頬をはたく。
「よくも、私を汚してくれたわね!」
カインはなにも答えない。
気の収まらないバルバリシアはカインの肩を掴むとベッドに投げるようにして倒した。
「今度は私の番よ」
カインを睨めつけながら騎乗する。
「……お前だっていつも強引だったじゃないか」
「うるさい!」
バルバリシアはカインの男根をしごき、再びたたせると、その上に跨り腰を振りはじめる。
まだ大して濡れていないため、当然、痛みを感じていたし、カインとしても先程盛大に射精したばかりであり、大して気持ちよくなかった。
高いプライドと、強姦されたという屈辱がカインの上に乗って腰を振る唯一の動機であり、ありていにいえば、意地を張っているだけである。
カインがよく見ると、痛みからかバルバリシアは目にはうっすらとだが涙を浮かべている。
普段は行為の時でも相手を見下し冷笑する女性であるため、そのギャップが堪らなく可愛く映った。
「フッ……」
カインは一笑すると唐突に身を起す。
「なっ!?」
突然の動きに大きく体を仰け反らせ、倒れそうになるバルバリシアであったが、倒れないようにカインはその体を抱きしめる様にして支えた。
そして、バルバリシアの乳首にしゃぶりつく。
「あぁ」
バルバリシアが喘いだ。
乳首はバルバリシアにとっても感じやすい性感帯の一つである。
先程の強引な性交と違って、今度は優しく舌を這わせていく。
「あ、ああぁ……カ…カイン…き…きさまぁ!」
バルバリシアはもがくが、カインの力には敵わない。
カインは既にバルバリシアが何処が感じやすいのかを把握しており、背中に手を這わせながら徹底的に弱点を攻めあげる。
「あぁ……あん……くっ……」
性感に必死に耐えようとするバルバリシア。
先程の痛い行為とはうってかわり、優しい手つきで尻や太ももを愛撫されていく。
本音でいえば気持ちよくてしょうがなく、喘がずにはいられないほど快感に支配されていたが、喘ぐ事はプライドが許さず気丈に耐えていた。
一方カインは乳首から口を離すと首筋に舌を這わせつつ、耳元で囁いた。
「さっきは悪かった、お前を傷つけるつもりはない」
謝罪され、一気に心のガードが緩んでしまう。
カインは攻め手を休めずに、今度は耳を舌で愛撫した。
バルバリシアは愛撫に必死に耐えようと体に力が入っていたが、カインの言葉と耳を攻められた事で弛緩してしまい。
カインは自身に対する敵意をバルバリシアが失いつつあるのを感じとった。
すかさずバルバリシアの両肩を掴んで顔を見据える。
「わかってくれ、俺はお前を抱きたいんであって殺すつもりはない。
ああでもしなければ、今頃はどちらかが死んでいた」
カインはバルバリシアの瞳をじっと見つめた。バルバリシアは少し戸惑った様な表情していたが、先程のように睨む目つきはしていない。
優しさに慣れていないため、どう返していいか分からないといった感じだ。
「……お…お前を殺そうとした事は謝るわ。
でも、痛いのはいやよ」
バルバリシアはしばらく黙り込んだ後、カインにトルネドをぶつけようとした事を謝罪した。
互いに殺気だった感情は既に消えており、新たな感情が生まれつつあった。
「フッ……痛いのはいやか」
「何がおかしいの?」
再びバルバリシアの表情が険しくなる。
「いや、今まで俺の意志を無視して跨っていた女の言葉とは思えなくてな」
「男と女では意味が違うわ。
気持ちよくなかったなんて言わせないわよ?
むしろご褒美よ」
「……そうだな。だが、心は傷ついた。
行為の最中は確かに快感に包まれるが、終われば自慰以上の虚しさに苛まされる」
バルバリシアは言葉に詰まった。
自身に確かな好意を寄せる男を、傷つけていた事を後悔する。
「だが……お前がああでもしなければ、俺は憎悪や嫉妬に囚われ支配されていただろう。
おかげで自分を取り戻せた。礼を言う」
カインはバルバリシアの唇に自分の唇を重ね、バルバリシアはそれを受け入れる様にして目を閉じた。
唇を離して再び見つめ合う二人。
「お前は童貞だったけど、私は処女ではなかったわ。
けれどキスをしたのはお前が初めてよ」
いつも顔に険のある表情しているバルバリシアであるが、険がなくなり視線を逸らして頬を赤らめている。
その後、カインは再び優しくバルバリシアを愛撫していくと、バルバリシアは次第に濡れていき、痛みを感じなくなった。
「もう大丈夫よ」
動いていい旨を伝え、カインは腰を動かす。
バルバリシアはカインに身を任せ、切なく喘いだ。
ドクッ……
カインの精がバルバリシアの子宮に注がれる。
「……こんなに、満たされる行為だったのね」
性交が終わった後、バルバリシアは少し恥ずかしいのか、カインに背を向けてベッドに横たわっていた。
「一体いつから?」
バルバリシアは洗脳が一体いつから解けていたのかを聞く。
「具体的にはわからない。
洗脳されていたという実感があまりないからな。
ただ、お前自身が言っていただろう? 『ローザの事なんか忘れさせてあげる』と。
例えそれが快楽であろうと、お前に抱かれれば抱かれる程、ローザの事を忘れられ、お前の事が知りたくなり、俺から嫉妬や憎悪という感情が薄れていったようだ」
「……それで、お前は一体どうするつもりなの?」
バルバリシアが、カインの真意に迫った。
先程はこの事が原因で、殺し合いになりかけている。
「……セシルの元に戻る。
あいつらには俺の力が必要だし、これ以上、悪魔に魂を売るつもりはない」
その言葉を聞き、切なく悲しい表情をしてしまうバルバリシア。
「お前を連れてな」
バルバリシアはその言葉に嬉しさを感じつつも、忠誠心は少しも揺らがなかった。
「ゴルベーザ様を裏切るつもりはないわ。
洗脳が解けたというならそれでも構わない。
改めて、ゴルベーザ様に忠誠を誓いなさい、私が執り成す」
バルバリシアはカインの方を振り向きじっと目を見据えたが、カインの決意は揺らがない。
「それはできない」
無言が続く。
本来なら、敵である以上、ここで相手を仕留めなくてはならないが、互いに戦意はなかった。
「……今はまだ、クリスタルを効率良く集めるためにセシル達を泳がせている」
「そうだな」
「セシルがゴルベーザ様と雌雄を決するまで、まだ時間はあるわね」
「なにが言いたい?」
「その時までに、お前を説得してみせるわ。
勝つ方につくべきってね」
「フッ……それなら、ますますお前を連れて帰らないとな。
勝つのはこっちだから」
「ホホホ。
まあ、口だけならなんとでも言えるわね」
「口だけでできる事も色々あるぞ?」
カインは素早く体を寄せ、首筋にキスをする。
バルバリシアはくすぐったそうにしつつも嫌がってはいなかった。
二人はそのまま3度目の行為に及び、どっちがどっちにつくという最も重要な事に関しては棚上げする事にきまった。