※この作品はR-18です。

錆びた涙   作:卵白

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ル級

 

 

 

女研究員「なんだ…こりゃ…!」

 

 

 

 

男研究員1「女研究員さんに言われて過去のデータ

細かくチェックしてみたら

顧客からの気になるクレームがあって

伝手をつうじて調べてみたんですが…昔の薬品って粗悪品だったんですね」

 

 

 

 

 

男研究員1「見て下さいよ、この昔のデータ。

薬品一本の使用で、ここまで侵蝕しちゃったら確かに

大幅に能力は上がりますが…体がいくつあっても足りませんよ…」

 

 

 

 

男研究員「あの…イ-505て暴走歴があったんですよね」

 

 

 

 

女研究員「ああそうだよ。瀕死に追い込んでなんとか機能停止させたことはあったけどね」

 

 

 

 

 

男研究員1「過去にあの粗悪品を服用して暴走経験のある対深海棲艦兵器は

その影響で体が薬品に敏感になってるみたいですね。」

 

 

 

 

 

男研究員1「それ以降の服用で『加速的』に侵食が進むように

なる副作用なんて…しかも蓄積するって…

こんな興味深い報告、こちらの研究所には提出されてませんよ」

 

 

 

 

 

 

女研究員「これまで、

他の対深海棲艦兵器で同じような報告ってあったんかい?」

 

 

 

 

 

研究員1「私が持ち出せた資料はそれだけなんで、

なんとも…」

 

 

 

 

 

 

男研究員1「意識飲まれずにあと何本打てますかね~」

 

 

 

 

 

 

 

男研究員1「いやぁ…是非とも解剖して

実験したいですね~イ-505ぉ!絶対楽しいですよ~

何であんな良いおもちゃを手放したんですかぁ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

女研究員「配属させて正解だったねかもね…」

 

 

 

 

 

 

…

 

 

 

-地下研究所 仮眠室-

 

 

 

 

 

 

ジリリリ

 

 

 

 

 

 

忌々しい時計の音で目が覚める

 

就業時間が不規則だと体に堪える。

 

若い頃なら平気だったが、年はとりたくないもんだ。

 

 

どれ、さっさと起きて

 

愛しい愛しい『ベイビィちゃん』に会いに行くかね。

 

 

 

 

…

 

 

-地下研究所 サンプル監視室-

 

 

 

 

 

 

男研究員2「お疲れ~、ほいコーヒー。

どうよ?ル級の調子?」

 

 

 

 

 

 

 

男研究員3「ん~、ありがとさん。今は落ち着いてるよ。

最初は拒絶反応がヒドくて暴れて

制御上手くいかなかったけどさぁ」

 

 

 

 

 

 

男研究員2「そりゃ良かった。

んでも交代制とはいえ24時間で

監視なんてな~ついてねぇよな」

 

 

 

 

 

 

男研究員3「ま~こんな化け物作っちゃったんだし

怖がるのも無理ないとは思うけどよ」

 

 

 

 

 

 

男研究員2「自分で監視しやがれってんだよ

あの豚提督」

 

 

 

 

 

 

男研究員3「はぁ~あ、マジでブラック」

 

 

 

 

 

 

男研究員2「コーヒーが?勤務体勢が?」

 

 

 

 

 

 

 

 

男研究員3「…どっちもだよ」ズズズ

 

 

 

 

 

 

…

 

 

 

 

 

 

男研究員2「つか、なんでこんなモン作らせるようにしたんだろな。

ル級モデルなんてわざわざ改造する必要なんて

ないだろうに…」

 

 

 

 

 

 

男研究員3「知らんよ、金持ちの考えることなんて…」

 

 

 

 

 

 

 

男研究員2「だよなぁ。…こんなのと毎日深夜まで

一緒にいる俺らの身にもなってほしいぜ」

 

 

 

 

 

 

男研究員3「まぁ、保存液入りのカプセルで保管されてるって言ってもなぁ、やっぱ怖いもんは怖いよな。

なんだよコレさ」

 

 

 

 

 

 

男研究員2「さぁな…とにかく悪趣味ってのはな…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

巨大な培養液に体全身が浸けられた

『化け物』

 

人の頭部は本来、脳を保護するために

骨、筋肉、皮膚、髪の毛と幾重にも組織が

覆い被さっているモンだが

 

コイツに限っては別かもな

 

なんたって鼻から上が

黒い骸骨みたいな

仮面で覆われて

るんだからよ。

 

 

最初に受けた説明では体のあちこちに拘束具が

仕込まれているって聞いてたがよ

 

 

 

これもその一種か?

 

 

 

頭部の骸骨みたいな仮面に加えて、

体中に巻き付けられたベルトのようなもの

 

キツく締められているのか

所々が肉に食い込んでいる。

 

 

見れば見るほど醜い生き物…化け物だ。

 

 

 

俺らふつうの人間でいうところの

目の部分は雑に

くり貫かれたように穴が開いてるが

そこから白濁した両目が覗いている。

 

 

 

 

 

気持ちわるい

 

 

 

 

仮面は、頭頂部から上顎までを頭の丸い

ラインに沿って覆っていたが

その下、つまり鼻の下はむき出しだった。

 

 

いや、剥き出しってのは

黒い仮面で覆われてないってことじゃなくて…

 

 

頬の肉とか唇とかが無くてよ…

筋肉組織みたいなもの、

歯茎、歯そのものが露出してんだよ。

 

 

 

 

 

 

気持ち悪い

 

 

 

 

 

 

んで、胴体は血色悪い皮膚

山のようにゴツゴツした

ボディビルダーのような筋肉

 

 

 

両腕、両足は

標準の義肢よりも一回りも二回りも太い

こいつ専用のモノ

 

 

 

コイツが深海棲艦化で、ル級の能力を得たとして

どこまで力を引き出せるんだろうか

 

 

 

 

改造を施した今、どれ程能力を

制御できるのか

 

 

 

 

好奇心とも恐怖ともとれる

妙なザワつく感覚がとにかく気持ち悪ィ。

 

 

 

 

 

 

 

?

 

 

 

 

 

 

 

ル級モデル「」ニタァ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

!?

 

 

 

 

 

 

 

 

男研究員2「!?」ガタ

 

 

 

 

男研究員3「あ?どした?コーヒーこぼしたぞ?」

 

 

 

 

 

 

男研究員2「あ、いや…おまえ…見たか?

アイツ今、こっち見て『笑って』なかったか?」

 

 

 

 

 

 

 

男研究員3「あぁ?んなわけねえだろ?コイツ今眠ってんだぞ?ほら」

 

 

 

 

 

 

 

 

ル級モデル「…」

 

 

 

 

 

 

男研究員2「あ、ああ。そう…だな。気のせい…だよ…な?」

 

 

 

 

 

再び、保存液が入ったカプセルに目をやると

ソレは目を閉じていた

 

 

見間違いか…疲れてんのかなぁ。

 

 

 

 

 

有給とっかな

 

 

 

 

…

 

 

=システム起動します=

 

 

 

 

=全内部兵装 稼道可能=

 

 

 

 

 

=優先任務表示します=

 

 

 

 

 

=○○鎮守府所属 高速戦艦『榛名』以外の艦娘の排除=

 

 

 

 

=高速戦艦『榛名』の捕獲=

 

 

 

 

=任務確認終了=

 

 

 

 

 

=出力設定=

 

 

[Full]

 

 

 

 

 

 

 

 

=深海棲艦薬 注入=

 

 

 

 

 

 

 

 

=動けます=

 

 

 

 

 

 

[FIRE]

 

 

 

 

 

…

 

 

 

 

 

 

ズ…ド…ォォォォン

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…

 

 

 

 

 

本当に今日はついてない

 

 

やっぱり有給とって休みゃ良かった

 

そしたらこんなに苦しい思いをすることも

 

 

なかったのに

 

 

 

 

 

男研究員2「ぐ…げ…ふぅ…!!」

 

 

 

男研究員2「なにが…起きたんだ…?」

 

 

 

男研究員2「?、カプセルが…!?」

 

 

 

 

巨大な

 

クレーターが目の前に。

 

 

そこに有ったはずのモノがポッカリと消えている。

 

 

その周りには、消えた対象のものと思われる

 

カプセルのガラス片、薬品注入用のケーブル類等々

 

 

ありとあらゆるモノが散らばっている。

 

 

 

しかし肝心の『それ』がどこにもいない。

 

 

 

背をイヤな汗が伝う。

 

 

心臓がウルサいくらいに

鼓動する。

 

頭を振り

最悪な思考を消し去る

 

 

 

あれが動くはずがない

 

動くはずがない

 

 

 

 

だって

 

眠っていたハズ…

 

 

 

 

さっきまで後ろにいた

 

男研究員3に注意を促すように

 

声を吐く

 

 

男研究員2「おい…あの化け物…消えてんぞ…

おい?」クル

 

 

 

首を背後に向ける

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『絶望そのもの』が二本足で

その巨体を支えていた。

 

 

右手は男研究員3の頭部とそこから

 

力なく垂れ下がる上半身、

 

左手には彼の下半身だったものが

 

真っ二つに分断されていた

 

 

 

 

 

 

 

 

思考が停止した

 

 

 

なにも出来ずに現実を受け入れるしかない。

 

 

 

 

 

 

もう…

 

今日は本当についていない

 

 

 

 

 

男研究員2だったものが

 

投げ出され彼の血にまみれた

 

太い丸太のような腕が振りあげられた

 

 

 

 

 

 

 

グシャ…

 

 

 

 

 

 

 

…

 

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