-ある病院 手術室-
理科室にあるような…ほら…あれ
『人体模型』…
今のこいつは
まさにソレだよなぁ…
だって、頭部と喉…あとは
心臓と肺だけがさ生命維持装置に繋がれてるんだもんな
あ!これさ、ぶっちゃけ超良い教材だよな!
学校に売り込んだら結構儲かったり…
まぁ、それは置いといて―
女研究員「―気分はどうだい?」
イーゴ「ええ…とても良いですよ女研究員…」
女研究員「そうかい…まぁ最も…んな状態で
良いも悪いも無いかねぇ」
イーゴ「ははは、そうですね」
女研究員「…」
イーゴ「…」
女研究員「器用に脳と心臓…肺だけ残して…残り全ての細胞を浸食させるなんてな…」
女研究員「助かるとは思わなかったよ…」
イーゴ「私もです…」
女研究員「生体部分…ほとんど無くなっちまったがね…」
イーゴ「残ったのはこの頭と僅かな臓器…良い標本ですね」
女研究員「察しが良いな、それ思った」
イーゴ「ヤメテ下さいよ?」
女研究員「冗談だよ」
しばしの談笑
鎮守府での話しや
昔の話し、訓練の話し
まだ少し引きつりながらも昔と比べて表情が増えた
イーゴを見て、本当に嬉しくなった…
こいつ…本当に良く笑うようになったよなぁ…
女研究員「本当に良いのかい?」
イーゴ「はい…もう…『次』の私には
必要ありませんから」
女研究員「そうかい…」
イーゴ「女研究員…」
女研究員「…ん?どうしたんだい?」
イーゴ「今まで…本当に」
女研究員「おっとストップ」
イーゴ「…」
女研究員「死ぬみたいな事言うなよ…
あんたは今から
『生まれ変わる』んだからさ」
イーゴ「そうですね…」ニコリ
女研究員「…」
右手をイーゴの頬に当てて
次いで、額、頭部と撫でていく
顔の
火傷の部分はこいつの幹細胞を培養させて
作った皮膚を移植
少しだけ痕は残ったけどほとんど
わからないレベルだし、まぁ良かったわね
焦げ焦げだった髪もね
女研究員「良い顔だね…」
生命維持装置を操作して
生体部分に麻酔を流し込む
女研究員「…」
女研究員「おやすみなさいイーゴ…」
イーゴ「はい…おやすみ…なさい…ませ」
少しずつ閉じられていく両目
-…-
-システムシャットダウンします-
女研究員「お疲れさま…『イ-505』……」
-今日もお疲れさまでした-
-どうか良い夢を-
…
―~♪♪~♪
―これは?
―マザーグースだよ知らない?
―いえ…聞いたことないです
―ん~紳士だったら一つくらい
覚えてた方が良いね~
―オススメはこれだよ
僕たちもわたしたちも外へ出て遊ぼう
月の光が昼間のように明るいよ
大きな輪っかや小さな輪っかを
元気いっぱい転がして遊ぼう
食べたり寝てたりしてるより
友達と遊ぶほうが楽しいよ
はしごを上ったり塀から飛んだり
おなかがすいたらパンを食べよう
でもパンがなくなったらどうしよう?
そのときにはまた働いて稼ぐんだ
―…
―マザーグースの『Boys and girls』って歌だよ
―昔のイギリスの子供達はね
家の仕事の手伝いだったりしてなかなか
遊べる時間が無かったけど
―なんとか工夫して遊ぶ時間を確保したんだってよ
そんな意味を込めた歌なのさ
―今のあんたは、遊ぶとか、良くわかんないだろうけど…
―いつか、『人間』らしい…そんな日が来ると良いね
―…良くわかりません…
―今はわかんなくても…いずれ…ね
…