※この作品はR-18です。

猿と狐の昔話   作:添牙いろは

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第2話

 怪我はなかったかい?

 怖かったろう?

 大人たちは口々に 六彦(むつひこ)を慰める。

 しかし……

 座敷牢に迷い込んでからまだ一日も経っていない――その現実が、六彦を戸惑わせる。

 実際、お父もお母も変わりなく、お姉に至っては呆れ顔だ。

 半月以上、離れ離れになっていたはずなのに。

 それは最初から何もなく――すべては幻だったかのよう。

 夕飯を食しながら、六彦は酔いから覚めつつあるのを感じていた。

 そもそも、あんな可愛らしい耳と尻尾を携えた綺麗な女の人がいるわけがない。

 きっと、明日を恐れるあまりに見た夢だったのだろう。

 そうに違いない。

 そう信じたい。

 だが……

 

 今日は一緒に寝ましょう――その夜、そう言って寝間着の姉が六彦の布団に潜り込んできた。

 実際のところは、監視である。再び逃げ出さないように、と。

 しかし、それが六彦の身体に異変を起こした。

 少年は、この香りを知っている。

 少年は、この温もりを知っている。

 すべては夢だったはずなのに、

 胸の鼓動が収まらない。

 無意識のうちに、それを求めている。

 隣で眠っている姉の身体を。

 これは許されることではない。

 しかし、下腹部の疼きは増すばかり。

 オイラ……オイラは……!

 もう――!

 

       ***

 

 その雌狐は、冬になると麓の方まで下りてくる。そして、無警戒に獣道を歩く妙齢の男を気の向くままに攫っていった。

 連れ去られた者は精根尽き果てるまで搾り 奪(と)られ、二度と人里に返されることはなかったという。

 この地方では、山での事故や遭難など然程珍しいことではない。村人のひとりやふたりの行方が判らなくなるなど茶飯事である。

 だが、その男は違った。

 その男は、例外だった。

 何気なしに捕まえた美丈夫は、よりにもよって領主の跡取り息子だったのである。

 直ちに山狩りが行われ――狐は捕らえられた。

 あの、時の歪んだ座敷牢に。

 それから流れた月日は数百年か。

 さもなくば数十年か。

 ともあれ、その束縛から彼女は再び自由を取り戻した。

 しかし――

 いまは、雄を喰らおうという気はさらさら起きない。

 勿論、発情した 子宮(カラダ)は疼く。

 雄が欲しくないはずはない。

 だが、欲しい雄は唯ひとり。

 六彦以外の精など 受精(の)む気になれない。

 何より、人間と争う自分の姿を見せたくない。

 人間を傷つけ、恐れさせたくない。

 深く溜息をつくと、腕を枕に横になる。

 すると、指先が耳に触れた。

 六彦が可愛いと褒めてくれた耳。

 また撫でて欲しい。

 抱きしめて欲しい。

 自分を……求めて欲しい……!

 尻尾を抱いても寂しさは埋まることなく、目尻から悲しみが零れ落ちる。

 声を殺して鼻をすすっていたが――

 

 ……山が……騒いでいる……?

 

 やはり、あの脱獄はちと派手すぎたか。

 ここぞとばかりに人間たちが押し寄せて来ても不思議はない。

 だが……

 もし、六彦を餌に掲げられたらどうしたものか。

 再び顔を合わせてしまえば、正気を保てる自信はない。

 しかし、幸い空は闇に包まれている。

 暗がりならば、人間に遅れを取ることはない。

 離れて様子を窺いながら、喰うか退くかを決めさせてもらおう。

 足音を抑え、異変に向かってゆくと――

「六彦!?」

 まるで、 十月(とつき)は離れていたかのような郷愁感。

 その懐かしい匂いに、思わず 印賀(いんが)は我を忘れた。

 身も潜めず、

 堂々と、

 木々を掻き分け進み行き、

 辿り着いた先にいたのは――巨大な熊。

「邪魔じゃ!」

 舌打ちと共に放つのは盛大に勢いをつけた――膝蹴り。

 その一撃で熊はゴロゴロと斜面を転がってゆき、そのまま何処かへと逃げていったようだ。

 その場に残された小さな仔猿を、印賀はヒシと抱きしめる。

「六彦……ヌシは本当に……六彦なのか……!?」

 ついでに、印賀は尻へと手を回してみた。

 幾度と無く揉み解した小僧の尻である。

 間違えようもない。

 しかし、何故袴も穿かずにこんなところに……?

「印賀様……お願いです、印賀様ぁ……」

 胸に埋もれながら仰々しく懇願する彼に訝しみながらも、彼女は話を促すために 童(わっぱ)の後ろ髪を優しく梳いた。

 それで、彼は顔を上げる。その両目から涙を流しながら。

「お願いです……オイラに掛けた呪(・)い(・)を解いてくだせぇ……!」

 

 六彦は、実の姉を犯した。

 弟は、明日には引き渡される大切な商(・)品(・)である。

 ゆえに、姉であっても乱暴に抗うことはできない。

 やめなさい――

 落ち着きなさい――

 穏やかな説得を試みるも獣と化した小僧は聞く耳を持たず……

 我に返ったのは、すべてを 女(なか)に吐き 射精(だ)した後だった。

 その段になって襲い来る強烈な悔恨、

 憐憫、

 そして、恐怖。

 姉を傷つけてなお満足できない。

 ここで、ようやく少年は思い出す。

 己の身を蝕む呪いのことを――

 童の股間は再び膨らみ始める。

 しかし、想う相手はここにはいない。

 さめざめと泣き尽くす姉に背を向け、六彦は外へと走り出していた。

 寝袴も穿き直さずに。

 

 崩れた壁を通り抜け、抉られた地面を辿ってきたものの――やはり迷った。そこで大きな獣と鉢合い、印賀によって救われたのである。

「もうオイラ……印賀様のことしか考えられねぇ……印賀様がいねぇと寂しくて胸が苦しい……。印賀様……オイラの呪いを――」

「無理じゃな」

 そもそも――

「端から呪いなど掛けておらん。掛けておらんものは解きようもない」

 それが解らぬほど拙くもあるまい。 体(てい)の良い言い訳に使いおって――と、狐はコツンと可愛らしい額を小突く。

 何より、そんなことを言い出しては、その呪いは彼女自身にも降りかかっている。

 だとすれば。

 もしや、これは呪詛返しというヤツか……?

 そう思えば、互いを縛るのは呪いのようなものなのかもしれない。

 印賀もまた気を張ることを諦め、自ら少年を手放し地べたに寝転ぶ。

 もう必死にしがみつくまでもない。

 この腕の中におらんでも、すぐに返ってきてくれる。

 自分が、彼が、望む限り。

「じゃあ……オイラが印賀のことが大好きなのは――」

「それが、ヌシの本心じゃ」

「なら、オイラが印賀を嫁にしたいのも……!」

 それもまた、本心。

「ククッ、猿が狐に婿入りとはのぅ」

 雌を求める雄は、もう残された小袖すら纏っていなかった。

 この山中で素っ裸とは――本当に猿になってしまったらしい。

 だが……

「オイラはお猿じゃないよ。六彦だよ」

 人でも猿でもなく――ただひとりの雄として、六彦はひとりの雌を愛す。

「だから、印賀も印賀だよ」

 狐だろうが、人だろうが、猿だろうが――そんなものは関係がない。

「ふむ、そうじゃな」

 六彦と印賀――だからこそ、ふたりでありたいと願う。

 いや、すぐにふたりきりではなくなるのだろう。

 そんな未来を胸に秘め、彼女は最愛の夫を抱きしめる。

 子狐たちに囲まれて、六彦と過ごす日々を思い描きながら――

 

       ***

 

「――というのが、かれこれ四・五百年前の話かの」

「えぇ!? ここまで全部回想!? なっが!」

 それも百年単位の思い出話なんて、頭おかしいんじゃないの!? とツッコミたいところなのだけど……まあ、実際頭はおかしい。それは脳ミソ的な意味ではなく、見た目的に。

 金髪くらい今日日珍しいものではないけれど……ナニよ、その狐耳。

 これだけならケモミミ趣味の全裸痴女、ってだけで済むのだけど、お尻から生えてる尻尾はゆらりゆらりと、意志を持って揺らいでる。服も着てないから、妙な装置を隠していないことも明らかだ。それがなければ、即行で通報してたでしょーね。

 さてさて。

 どうして私が弟のタッくんを庇いながら裸の狐女と相対しているかといえば――話せば長くなるのだけど、お風呂あがりにちょっとムラムラっとキたから裏手の土蔵にやってきたんよ。ここには、そのー……オナるときに使うマル秘グッズを隠してるから。ヤる気まんまんなので、ワンピースパジャマの下はノーブラノーパン。あんま長々とうろついていいカッコじゃないわね。

 だから、チョッパヤで済まそうと思ってたのに、まさかタッくんが裸にされて見知らぬ女に襲われてるとは! ――といってもタッくんが上になってたけど……ともかく、可愛い弟をこの女から 引剥(ひっぺ)して、事情徴収中! 以上!

 タッくんは余程怖い目に遭ったのか、私の背中にピッタリとくっついてる。何か、腰をスリスリさせてる気もするのだけど……。チンチンも硬くなってるし。ぅぅ……私の理性も何かヤバイ。

「と・も・か・く……アンタ、人ん家でナニしてんの?」

 じーっと睨みつけてみるも、ケモミミ女は素知らぬ顔だ。

「季節柄、ムラムラしたから山を下りてきて、そこの小僧とまぐわっておったのよ」

「弟犯して軽く言うな!」

 私だってしたことないのに!

 とはいえ……

 状況から鑑みて、弟も率先してシてたっぽいのよねぇ……。ヘタに訴えようなら、タッくんまで巻き込まれてしまいそう。

 だったらここは穏便に……なかったことにするべきか。

「今回は見逃してあげるから、とっとと行きなさい。次ヤったら、ホントに警察に突き出すわよ」

 私からの本気の脅し文句に、老獪な雌狐は肩を竦めて苦笑い。

「おお、怖い怖い。ご先祖様は大切にするものじゃぞ?」

 これに……タッくんが反応しちゃった!

「印賀さんって、お祖母ちゃんなの……?」

 何やら興味津々の弟の視線を必死にブロック。これに、狐の方もズカズカ寄ってくるし……ぅぅ……これじゃ私がふたりの仲を邪魔してるみたいじゃない!

 そして狐は、私の前でやたらと大きい乳を張る。

「いかにも。いやぁ~……それまで狐の子しか産んだことなかったのにの。六彦の子を孕んだら人の子が 出産(で)てきて驚愕したわい」

 何なのその生態。あんまり無茶しないでくれる?

「まぁー……あれから色々食ってみて解ったことじゃが、どうやら幼子の精を受けると人の子となるようでな」

 丁度、そこの小坊主くらいの――ってタッくんを変な目で見るな!

「ともあれ、その坊主は六彦から数えて、十六代目か、十七代目か……そのくらいの子孫で間違いないぞ。ワシがこの目で代々見守ってきたからの」

 しかも、そのうちの祖母の何人かはコイツ自身らしい。うっかり人を孕んでしまったときは、勝手に我が家に押し付けて……って無責任に子作りすんな!

「タッくん、こんな女の大ボラ、信じちゃダメだよ!」

 そんなお伽話を本気にするほどこの子だって幼くない。

 だけど……

 あの耳、

 あの尻尾。

 現実離れしたあの姿が、タッくんをグイグイ引き込んでいく。

 弟の興味が削がれないのをいいことに、狐は全然挑発をやめない。

「何なら証拠を見せてやっても良いが……のぅ? んん?」

 厭らしい目つきで、狐は私の顔を覗き込んでくる。弟の前で、私(・)の(・)秘(・)密(・)を暴く気なんだ。でも、それはダメ……絶対に……!

 運の悪(・)い(・)ことに、ここは私のオナニー部屋。それに、後ろでは硬くなったタッくんが私のお尻にグイグイ押し付けられてる。

 くぅ~、これは大ピンチ! 深呼吸で気持ちを落ち着けないと。

 スー……ハー……スー……ハー……

 

 クリッ。

「ひゃんっ❤」

 

 ピンポイントで乳首を摘むな! 直接手を出してくるなんて反則でしょーよ!

 だけど……もう遅かった。

「わぁ……お姉ちゃん、可愛い……!」

 見られちゃった! 私の秘密!!

 頭の上には角みたいな耳がピョコンと突き出し、スカートの裾からは黄色い尻尾がモッサリと。

 実は……

 私の身体は、エッチなことで興奮すると、あの女みたいなパーツが飛び出してきてしまうのである。

 だから、アイツの姿を一目見たときから、我が家の関係者だってのは何となく察していた。とはいえ、まさか諸悪の根源だったとはね!

 とにかく、気持ちを落ち着けないと。今度は狐の動きに警戒しながらゆっくりと心を鎮めていく。

「あ……お姉ちゃんのお耳……尻尾……」

 抱きしめていた弟の腕からシュルシュルと狐の身体が逃げて引っ込んでいく。これに、タッくんは名残惜しそうに呟くが、やっぱりあんまり見せたくはない。だって……こんなの恥ずかしいもの。

 と、思ったら!?

 

 クリッ。

「あぅん!?」

 ニョキッ!

 

 え!? これって誰の手よ!? 狐はニヤニヤしてるだけなのに。

 だったら、他にはもう……!

「お姉ちゃん、おっぱい摘まれると可愛くなるんだねぇ……❤」

 モミモミクニュクニュと……ただ無邪気に揉んでるだけじゃない。触り方が凄くエッチだ。

「やぁっ……タッくんやめてぇ!」

「でも……おっぱい触ってないと、お耳と尻尾が引っ込んじゃうから」

「だからって……そんな……!」

 やめさせなきゃいけないのに、タッくんの指、凄く嬉しそうだし……

 耳や尻尾にも喜んでくれてるし……

 でも……こんなの……

 こんなの……!

「ククク、我が子孫の男児は揃って狐が大好きでのぅ。ワシからの誘惑を拒めた者はおらぬよ」

 くぅっ、タッくんに変な遊びを教えたのはこの女か!

「そして、女児の方は何者に執着するか……教えてやろうか?」

 えっ? まさかこの女……

 私が好きな 男(ひと)を知っている……!?

 ハッとして棚に置かれた秘密のダンボールの位置を確認すると……何か傾きが変わってるような……!?

 この女……もしや物色済み……ッ!?

 なんて余所見をしてたら、物凄い腕力で私の両手が握り上げられた!

「ほれ、ター坊、姉のおめこを触ってみるが良い」

「……う、うん」

「だ、だ……だめぇ!!」

 逃げようにも、タッくんの身体は既に私をぴったりと捕らえていて、腰を捻ろうがくねらせようが、指は着実に迫ってくる。

 そして――

 クチュリ。

「はぁぅんっ❤」

「わぁ……お姉ちゃんのおめこ、ヌレヌレぇ……❤」

 そ……それは、タッくんの所為だよ! タッくんが硬くなったところをずーっと当ててくるから……私の 膣(カラダ)が……!

 言い訳できない私に向けて、タッくんがとんでもないことを言い出した!

「ヌレたおめこには、チンチン入れても……いいんだよね……?」

「だっ、ダメに決まってるじゃない! やめなさいタッくん!」

 ダメなのに、狐は私の手を前に引っ張っていくし、弟は腰にしがみついて動かないし……そんなに前屈みにされたら……もう……!

「それじゃ、入れるよ……お姉ちゃん……❤」

「ダメぇぇぇぇ!!」

 ダメなのはわかってる。

 だけど、止められない。

 何故なら……

 こうなることを、ずっと望んでいたから。

 朝は布団の中で。タッくんとの夢の続きに浸りながら、自分の指で慰める。

 タッくんがお風呂に入ったら、洗濯カゴからこっそりパンツを抜き取り、匂いを嗅いだり、お股に擦りつけたり。

 そして寝る前も、タッくんの夢が見られるように、タッくんのことを考えながらアソコを弄る。

 そして、たまにはここに隠してあるタッくん写真集を眺めながら❤ 半脱ぎや全裸、勿論チンチンが写ってるのもある。

 今日も昼間から三回はタッくんのこと考えながら――タッくんにチンチン 挿入(い)れられてるところ想像しながらオナニーしてたけど……まさか四回目は、本物が 挿入(はい)ってくるなんて……!

「だっ、ダメぇ……ダメェ……!」

 タッくんの腰つきには遠慮がない。きっと、狐と遊び尽くしたからだろう。

「姉弟でこんなことしちゃ……ダメなのにぃ……っ」

 だからこそしたくなる……のかもしれない。

 私は、ずっと、したかった。

 だけど、これはイケないこと。

 本音と建前――それをタッくんは、狐によってとっくに壊されていた。

「でも、お姉ちゃん、ボク、気持ちよくって……!」

 弟だって、最初からこんなケダモノじゃなかったハズ。

 それを、あの雌狐がアレやコレやと 男体(カラダ)に叩き込んだのだろう。

 まさに、こんなふうに――

 いま、私の 女体(カラダ)が受けているように……!

 ここで、狐が余計な横槍を刺し込んできた。

「やれやれター坊よ、姉が嫌がっておるぞ? 自分だけ楽しんでいてはいかんのぅ」

 え? ナニ言ってんのこの女。

「そっか……ごめんなさい、お姉ちゃん」

 スッ……と弟の腰が静まっていく。

 私の 膣内(なか)ではまだピクピク強張ってるのに。

  挿入(い)れたまま、じっとされても……燻っちゃう。

 じっとしてなんて……いられない!

「ちっ、違うの! ホントはタッくんのチンチン気持ちいいの! だから……もっとシてぇ!」

 私は自分から腰を振っていた。

 お尻をムニムニとタッくんに押し付けて、

 タッくんの男のコを自分の女のコにグイグイ押し込んで!

「……うんっ!」

 嬉しそうに一声返すと、タッくんも私に合わせて動き始めた。

 ここは、姉弟だから……かな? 二人三脚みたいに息はピッタリ❤

「あっ、あぁん……いいっ! タッくんのチンチン気持ちいい……!」

 でも……

 私は自分が怖くなっていた。

 こんなに幸せになってしまったら……もう独り遊びに戻れなくなっちゃう。

 アソコが疼く度に、抱いて欲しくなっちゃう。

 一日何度も……

 寝ても覚めても……!

「お姉ちゃん……ボク…… 射精(で)るよぉ!  膣内(なか)で……いいよね……!?」

 きっと、狐にはずっと 膣内射精(なかだし)だったのでしょうね。あの女は最初から弟の子を 妊娠(はら)みに来ていたのだから。

 だけど……

 私とタッくんは血の繋がった姉弟だから。

 私は弟の子を産むわけにはいかない。

 産みたいって気持ちはある。

 ずっと一緒に、ふたりの子供を育てていきたい、って思いは。

 でも、それは許されない。

 それは、ダメ。

 なのに……私の 尻尾(カラダ)が勝手に動く!

 弟の子種を逃さないよう……男のコの腰をシュルンって私に縛り付けちゃった!

 だったらもう、いまさら言い訳しても遅いよねっ!!

「いいよっ! お姉ちゃんの 子宮(なか)に全部 射精(だ)しちゃってぇぇぇ❤」

 

 ビュルッ! ビュクルッ! ビュルルルルッ……!

「あっ、あぁ…… 射精(で)てる! ホントに…… 射精(で)てるぅぅぅ……❤」

 

 夢の中では、いっぱい 射精(だ)されてたもの……

 それが……本当に……!

 でも……

  子宮(おなか)に熱いものを受けながら、私は我に返っていた。

 勢いとはいえ……ヤバいことしちゃったなぁ……マジで。

 後悔に眉をひそめる私に、狐は更にとんでもないことを言い出した。

「気に病むことはないぞ。雌の嗜好も代々似たようなもんじゃからな。母体の四割はワシ、残りの半数は実の姉よ」

 何なのその呪われた家系!

 濃すぎでしょ!

 そりゃあ尻尾だって生えちゃうよ!!

「……タッくん、もう戻ろう……」

 前後の拘束から開放されて、私はぐったりと肩を落とす。

 コイツと付き合ってるとどんどん気分が滅入っていくわ。

 それに、こんな時間に子供がふたり揃っていなくなってたら、さすがに親だって気づくだろうし。

 だけど、狐はしたり顔。

「案ずるでない。封は解かれたで薄まってはおるがな、外の時間で一〇分もあれば充分に楽しめる。またワシが欲しくなったらここに来るが良いぞ」

「うんっ!」

「タッくん!?」

 ナニ元気に返事してんの! ダメに決まってんでしょ!?

 ……と、強く言い切れないのが悔しいところ。

 だって……私とだけ遊んで、狐とはダメー……ってのは筋が通らないし。

 立場的にはどー考えても私の方がマズイし。

 それは分かっていながら、どうやったら弟を独占できるか頭を悩ませる実姉・私。

 ……ワガママなのかなぁ……。

 さて、母屋に帰って時計を見ると……ホントだ。あんな長話を聞かされてたのに一五分くらいしか経ってないや。あの蔵でのオナニーは短時間ですっごく濃ゆいなー、って思ってたけど……実際加速してたんだねー。

 それに、あの狐の言うことに間違いがなければ、多分子供も 妊娠(でき)ないだろうし……いやいや、油断しちゃダメだよ! タッくんにはちゃんと避妊も教えなきゃ!

 でも……私自身、ゴム付きエッチを楽しめるかなぁ……? ナマより気持ちいいなんてことないだろうし……。

 うぅ、変なこと考えてたら変な気分になってきた。ダメダメ、気を静めないと……スーハースー……

 

 くりっ。

「きゃんっ!?」

 ニョキ!

 

「やっぱり……お姉ちゃんは耳と尻尾がある方が可愛いよ❤」

 そんなこと言って……結局自分が欲しいだけじゃないの!?

 だって……

 私も、タッくんに触って欲しいもの……❤

 お父さんはまだ会社。お母さんは台所で洗い物。

 その合間を縫って――

 私たちは、子供ふたりで大人のキスを交わすのでした❤

 

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