ゲームオーバーから始めようか 作:モモンガ
食事は自動で出来るものではなく、事前にヤントラが作っていた。
余計なクラスを取得してはいけないので既にレベルは百となっている。
最終的に得たクラスはあまり満足のいくものではないが『
この
好き嫌いはあるかもしれないが、栄養は取ってもらいたい。
料理を作り終えたらメイドに渡してモンスターの量産だ。
ツアレの希望レベルはおよそ三十後半。
一レベルでいいのか怪しいものもあるけれど、出来るだけ希望は叶えてあげたい。
まずは雑魚モンスターを数百体ほど。
着替え終わったツアレに剣を持たせて料理をする要領で倒していってもらう。
言う通りに武器を奮うだけだが、無理せず続けるように言った。
「目標までは長いからザックザックと続けてください」
「は、はい」
メイドにも手伝うように指示し、モンスターの量産を始める。
その間に木枠を外そうかと思っていたがアイテムがまた転がっていた。
落ちている場所の近くに布団を敷いておく。
シモベがやっているのなら仕方ないと思うのだが、アインズがアイテムをぞんざいに扱うだろうか。
金貨は分からないでもないが。
タイルではすべるかもしれないので木の板かタイルを剥がすか。
考えているとンフィーレアが六の宝物庫の扉から現れた。背後には久方ぶりの妻の姿が。
手紙を出したのだから返事の前に本人が来た、ということになる。
「わぁ……。その壁、壊しているんですか?」
「どうしようか模索中だ。それより、ラキュースが来るとは……」
金髪ロール髪で今は簡素な戦士装備だった。
特別な場合に限り
子育ての為に精神的に落ち着いたのかもしれない。子供の前でどぎつい色の鎧を着るのは教育上、よくないと思った、というか気付いたようだ。
「タイルを貼ると綺麗ね~。さっき仔牛達を見てきたけど……。酷い扱いね」
数千頭の死骸が並んでいるようにしか見えない風景だった。
「全て飢えないようにしてあるから寝かせても大丈夫」
「今日はあなたの顔を見に来ただけなんだけど……。元気そうね」
カツンカツンと硬い足甲を響かせてヤントラの元に歩み寄る。そして、軽く頬などに口づけする。
「イビルアイの様子からも作業に集中しているのは聞いていたけど……。ほんと錬金術師になったみたいね、あなたは。立派な研究者を名乗っていいと思うわ」
趣味は突飛だが施設のあちこちを見る限り、清潔感溢れるおぞましい施設、のはずだが意外と人道的な配慮がされている。
眼球とはいえちゃんと保管しているし、掃除も行き届いている。
直に手足を壁に飾る事もしていない。
几帳面なところは好感が持てる。
「なんでこんなところに布団を敷いてるんですか?」
「雑な奴がアイテムを放り投げてくるんで、敷いたんだよ。あと、この辺りのタイルを剥がそうかと思って。滑り止めの意味で」
何処からアイテムが投げられるんだろうと思ったが、ヤントラの側の壁についている木枠からなのだろう。
予想としてはナザリック地下大墳墓だ。
「ンフィーレア君はここに隠し部屋を作った方がいいかな? それともこのまま見える方がいいのかな?」
「秘密の通路なら隠した方が良いかもしれませんね。急造品のようですが……、死角的にも部屋を作った方が良いかもしれません」
「……
「ンフィーレア君はこんな私の手伝いをしてくれるから重宝しているよ」
照れるンフィーレアにラキュースは彼の頬に口付けする。
「ひゃあ!」
「変態で狂人だけど、よろしくお願いします」
「あ、は……、はい」
「リイジーの姿にも驚いたけど、研究者ってみんな変な人なのかしら?」
「あはは……。他人に理解されにくいかもしれませんね。結果が認められれば充分なんですよ。好きな研究に没頭するのが大好きなんです」
さすがに人体の解剖や解体には抵抗を感じます、と伝えておいた。
「あなたに渡した資産はどこに置いてあるの? 執務室?」
「地上二階建ての二階の執務室だ」
「イビルアイに管理を任せてもいいわよね?」
「いいよ。私は色々と管理が下手なようだ」
「税金はこちらで処理するから。……手紙はちゃんと読んだけど……」
「うわぁ!」
と、木枠から子供が転がり込んできた。
浅黒い肌に見慣れた装備品。とがった耳。色違いの瞳。
「アウラ。どうした急に……」
「ちょ、ちょっとつまずいただけ。ってバスパ様!? あれ、ここに繋がってたの?」
「繋がってるようだ」
急に現れた
ンフィーレアたちは驚きで言葉を失っていた。
その後で
「お姉ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫、大丈夫」
ヤントラはアウラを立たせた。
改めてアウラは周りを見渡す。
中に入るのは初めてだが、とても広くて明るい室内に感心した。
植物などは無かったけれど、それほど不快な気持ちは湧かなかった。
「そうそう、アウラ。顔は無事か? 無事のようだな」
ヤントラはアウラの顔を手で挟みつつ目や耳、他の部分も異常が無いか確かめた。
傷跡らしいものは見当たらなかったので安心した。
「んっ? ああ、もう治ったよ。……勢いって怖いね~。危うく人形と同じ末路を選ぶところだった」
「んもう……。あ、あの、急に来て、ごめんなさい」
スカートを履いた弟のマーレがヤントラとラキュース達に頭を下げた。
「命令遵守は大事だけどアインズ様を悲しませては本末転倒。……あたしは反省したわ」
「うちの複製は遵守すぎる。愛情を持って接しているナザリックでは活用は難しいだろう。自動的に湧き出るモンスターと同列になってしまう」
「うん。階層守護者が低位モンスターと同列になるのはプライドが許さない。責任を持って任務や仕事に従事する姿を見せるのが大事だもんね」
姉の言葉にマーレは何度か頷いた。
ヤントラから離れて身体が汚れていないか確認するアウラ。
「ところでお前たちか? 本を投げ込んできたの?」
「ううん」
「ぼくたちはアイテムは投げないです」
「急にモンスターとか投げ込まれても困るのだが……。用件が無いなら気をつけて帰るんだよ」
「うん。失礼しました。……マーレ、向うの段差、なんとかしないと危ないわよ」
そう言いながらアウラ達は木枠の中を通って消えていった。
ヤントラはアウラ達が何か落としていないか確認して、ンフィーレアたちに向き直る。
「ちゃんと機能しているようだ」
「びっくりしましたよ」
「私もびっくりした」
ラキュースは苦笑していた。
「金庫類は執務室にある。管理してくれるのなら助かるよ」
「イビルアイに伝えておくわ。たまに家の子供達の様子を見に来てよ」
「うん」
長居はせずにラキュースは去っていった。
あっさりしたやり取りにンフィーレアは呆然としていた。
夫婦の
二人きりになった後で木枠をどうすればいいか議論する。
一メートルほど奥に引っ込ませて内側から簡単に開く扉をつけた方がいい、という案になってきた。
アイテム類の投げ込みがあるので隠し扉はやめた方がいいかもしれない。
木枠の側に布団をいくつか敷いて、今日は諦める事にした。
投げ込まれた本は物置に置いて、ンフィーレアと共に地下二階に降りる。
「容器が増えてる……」
増えているというか、増やしている最中のようだ。
床を
「自前で製作中だ。問題はどう積み上げるかだ」
「大勢でアイテム製作している現場は迫力がありますね」
「……他の種族で適任そうなのが浮かばなかった」
「亜人や異形は部位によっては邪魔になりますもんね」
床に降り立っても作業の手は止まらない。
ただ、女性モンスター達は裸で尚且つ発情中なのか、股間が濡れている。というか、ついつい目が行ってしまうので気付いてしまった。
「み、皆さん。発情中のようですね」
「選定を誤ったか……。本体が年頃のお嬢さんだったようだな。それは出来る限り気にしないように」
「んん~」
気にするなと言われても無理だから唸ってしまった。
「それぞれの容器はどう積み上げたらいい? ……タオルを巻いても濡れてしまうし、諦めてくれ」
「……はい」
股間を押さえつつも意見を述べるンフィーレア。
亜人や異形だとしても魅力的な肉体美は性的興奮を覚えてしまう。
彼女たちは作業に集中しているのでンフィーレアには一切興味無い態度だった。
ほぼ無心。
「まとまった数の石の板とかがいいのだろうか?」
「床が抜けるかは分かりませんが、金属の板は加工しやすくて強度的にも最適なのですが……。錆びの問題ではミスリルかオリハルコン……。タオルはさすがに一時的な使用に限られますね」
ンフィーレアは自分のスキルでミスリルの板加工が出来るのか、少しだけ自信が無かった。
素材は充分にある。
時間をもらえれば頑張る気はあった。後は実践だけだ。
「希望としては掃除しやすくて、端の方で切れない。小さな容器も置けて、移動もしやすい、という我がままつきだ。支柱は鉄筋を利用した石材でもいいけど、追加しやすい形は思い浮かばないな」
ようは組み立てやすく掃除しやすい棚。というのがンフィーレアの脳裏に浮かんだ。
「時間と材料をいただければ設計して作り上げたいと思います」
「金貨は宝物庫から持っていくといい。魔法に関してはこちらでやるよ。容器は横置きがいいかな?」
「それも考えておきます」
管理しやすい形でなければならないだろう。
同じ素体用途か。全体のバランスとか。
「それと半分は培養槽にする。もう半分は保存のためだ」
「はい」
「設計は任せた。自分でやると時間ばかりかかってしまう」
棚の設計はンフィーレアに一任するとして報酬の話しになったが受け取らないようだ。
祖母がタダで利用したのだから少しは貢献したいと思っていた。
アイテムを使用するのが報酬と言えなくも無いと説明するとヤントラは折れてくれた。
「……それはいいとして、やはり女体は刺激が強いか」
「強いですね。男の本能なのでしょうか」
「いかがわしい事をさせるとエンリが激怒するだろう」
いかがわしい事で思い浮かぶのは異種交配だ。
女性が発情するように男性も発情してしまうようだ。
先ほどから股間が痛い。
「慣れるしかないのだが……、女を知ったばかりの男というのはやりすぎてしまう。……禿げるかもしれないから、二人で相談するんだよ」
禿げる、と聞いて背筋に冷たいものが落ちた。
「環境が悪いけれど、自制を養うのも仕事かもね。……思い詰めすぎて去勢しないようにね」
「ひー。……あ、製作には……期間とか決まってますか?」
「作れるだけ作るから一階部分が終わる頃を目安とするといい。十日もあれば埋まりそうだが……。焦らずにね。実際の製作も時間かかると思うけど……」
設計図が出来れば人海戦術で作られるのだろう。
自分の案が採用されるのは素直に嬉しく思う。もちろん、欠点が出てしまうと全てが台無しになる。
失敗は怖いけれど、期待には応えたい。
「実用的なものばかり要求しているが、他のアイテムに興味が無いのかもしれない。気になるアイテム……、アイテムじゃなくてもいいが……。ラキュースの悪魔に対する弱点を克服できるようなものを作ってあげてほしい」
「悪魔……。それはヤントラさんの知る高い位階魔法には無いのですか?」
「無い、というか色々と試したが
通常の病気ならば
蘇生しても決して消えない呪いのような。
悪属性のエネルギーのうねりが見えたと言っていた。
「無防備?」
「身体的な異常を見るなら無防備が一番分かりやすいだろう?」
「ああ、そうですね」
完全防備した方がいいと思ってしまった。
魔法の実験なら無防備でも無事なら成功と分かるだろう。
「理想としては頭飾りだ。青い薔薇のね」
「いつも付けているやつですね」
真蒼の薔薇の特徴として装備品のどれかに青い薔薇の模様が付いている。
イビルアイは仮面。ティアとティナは鎖帷子。軽装鎧など。と、それぞれ他者に見える範囲の部分に付けられていた。
「が、頑張ってみます」
色々な事を任せてンフィーレアを別の部屋に運んだ。
一人では歩きにくそうだったから。最終的には宿舎まで運んだ。
空の瓶を渡しておく。
「これに出せるだけ出してすっきりしなさい。後でアイテム作成で何か出来ないか実験するから」
「……おおぅ……。ヤントラさん、悪魔ですね……」
「出すところを見せてくれるのかな?」
「……いやです……、……恥ずかしい」
自分ではそう言っているが施設内の女性モンスターは全裸で丸出しだ。
誰も恥ずかしいとは言っていないし、誰も隠そうともしない。
滴り落ちる糸引く風景が思い出される。
「ああ、あと……」
ヤントラは
純情な青年は何もかもが不安だろうが、いずれは慣れてくるだろう。
それまでは男女でじっくりと相談すればいい。
その間、大人としてヤントラは仕事に専念する。
だいぶ放置していたがツアレはメイド達にマッサージを受けつつも結構な数のモンスターを倒していたようだ。
「どれくらい倒しました?」
「……い、いっぱいです。手が……痛いです……」
足元を見れば失禁と脱糞の後が見える。
モンスターに囲まれては逃げられないと身体が訴えるのだろう。足は震えていた。
すぐに別のメイドを呼び、死体等を掃除させた。
ヤントラはツアレに両手で剣を握るように指示する。
握った後はタオルで結ぶ。
「手がもげてもやってもらいますからね」
「……はい」
これから少し乱暴な扱いになるけど、我慢せず悲鳴を上げていいと言っておいた。
「簡単にはもげませんけどね。ちゃんと治癒しますがモンスターを倒すのが目的なので」
「はい」
「では、いきますよ」
ツアレは身体を引きずられるように引っ張られ、モンスターを倒し続けた。
手首がゴキゴキと鳴るような嫌な音が身体に伝わる。
すぐに手の感覚は無くなり、タオルが赤くにじんでくる。
痛いけれど口はきつく閉めた。
涙で前は見えないけれど。
それが数十分も続けば失禁も再度出てくる。
椅子に座った時は両腕がへし折れていたようで骨が出ているのが見えた。しかし、痛みは無く、身体の奮えだけが感じられた。
それから
全身が治ったところで安心したのか、景気よく失禁した。
止めることが出来ないほどだった。
タオルを取られてメイド達に温かい湯をかけられてマッサージなどを受ける。
椅子に座ったまま石鹸などで洗われたり、頭も洗われた。
無抵抗で居ると気持ちが良くなり、精神的に落ち着いてきた。
気が付けば目の前にはモンスターが一匹も居なくなっていて、死体すらも無く、綺麗な床が見えた。
「セバスが心配するから、早めに終わりましょう。今日はこれで上がって、明日また頑張りましょうね」
「腕は大丈夫でしょうか?」
治ったとはいえぽっきり折れていた筈だ。とても心配になる。
「大丈夫でしょう。私が強引にやったせいですよ。明日は少し楽になっているかもしれません。モンスターを百匹たらず倒したくらいでは強くなったりはしません。もっとたくさん倒す必要があるのです。料理の腕が上がったかどうかはしばらく経たないと実感しないと思うので……」
洗い終わったツアレにタオルを巻いておく。
服を持たせて宿舎に運び、中の様子を伝えたら屠殺場に戻る。
経験値の回収を
空の容器は立てかけられており、指示通り培養液を満たして蓋をしていく。
空気を抜く弁があり、開ける時に空気を入れることが出来る親切設計になっている。
ざっと完成したものは五千個ほどだろうか。
部屋が広いので少なく見える。
隙間無く詰めると五十万個ほど。それを層にすれば国一つ分は簡単に納まるかもしれない。
先は長いな、思った。やはり大浴場で培養した方が早いかもしれない。
大浴場の上の階を改造すればいいだけだ。丁度、秘密の部屋になっているし。
早速、培養槽を一つずつ運び、部位に指定した魔法をかけてもらって入れておく。
魔力切れは譲渡してもらい作業を続けられるだけ続ける。
一個ずつ並べるので手間はかかるがやっておくに越した事はないだろう。
巨乳も混ぜておく。随分と経ったがどうなるのか興味もある。
三百個ほどで休止し、明日に備える。
翌朝、ンフィーレアの様子を見ると物凄くやつれた顔になっていた。
「……予想は付くな。今日は地下に入らず設計だけしてくれ。しっかり食べて体力をつけるように」
「は、はい。こんなに疲れるとは……。もう……、……なんとも言えないです」
タオルに包まれたものをヤントラに渡す。
素直な性格のようで可愛い。というか、本当に持ってくるとは思わなかった。
「……試しに鑑定しましたが……、素材として使えそうに無い気がします」
それでも用意してしまったし、仕方なくタオルに包んでおいた。
「……いや……やりすぎは危険ですね。頑張って自制します……」
「一日いっぱい休むように」
「……はい」
宿舎は自由に使っていいと伝えて、ツアレを地下に運び込む。
筋肉痛だったようだが我慢して続けてもらう。
「始める前に風呂に入って待っててくれ」
「はい」
ツアレを屠殺場の風呂場に入れた後、金貨のある部屋に向かう。
風呂場は一部のメイド達に管理させているから、いつでも温かい湯が楽しめる。
のぼせないように沸かしたら休むように命令してある。
上から色々と処分されたものが金貨に変換されて落ちてくる。
ンフィーレアから預かったタオルを解けば瓶が現われる。
白濁した液体が結構溜まっている。本当に入れて持ってくる素直さに罪悪感を感じる。
意外と度胸はあるんだろう。エンリと幸せになってほしいものだ。
「精力はかなりあるようだな」
女性の裸に免疫が無い若者だからかは分からないが、孕ませたい気持ちがいっぱいなのは伝わった。
亜人となら獣姦になりそうなものだが、その手の法律は無いようだ。
それなりの法律があっても厳格に守られているとは思えない。
奴隷制度があったり、見世物で殺し合いをさせる闘技場があるくらいだ。
ンフィーレアから渡された瓶の中身でアイテムはおそらくは出来ない。
以前、大量の体液を複数種類費やしてみたが無意味な結果に終わった。
様々なものを媒介にする事ができるのだから、と淡い期待を持っていたのだが。
せめて新しい魔法とか出来ないのだろうか。
孕ませる魔法とか。
ユグドラシルでは出来なかったエロい魔法とかアイテムとか。
瓶を素体のそばに置いてツアレの特訓の開始だ。
昨日に比べて少し筋力はついているはずなので
確実に倒す方法を伝えて実戦させる。
「闇雲に斬っては時間がかかります」
筋力増大の魔法を使う。
一人でやらせるならこっちの方が効率的だったのかもしれない。
ザクザクとツアレはモンスターを倒していく。
メイド達を使い、強化させていく。
「相手は誰でもいいわけではなく、強いモンスターを倒す方が経験が大きい」
「はい」
人型として
それらを倒してもらっているうちに培養液の移動を始める。一個ずつ部位を入れていき五十個ほどが終わったところでツアレに休憩に入ってもらう。
強引な手法ではあったけれど随分と経験は溜まっているようだ。
拷問のような方法を取っているとセバスが怒るだろうから、必要なクラスレベルを上げておく。
一時間毎に休憩していき、二日目を終える。
培養液を並々と注ぐ作業は床がタイルだと安心できる。
排水をちゃんと考えておくのは大事だなと思う。
直に流すと危ないので浄化設備は完備。最初はエクスチェンジ・ボックスだったが今は浄化する棒を大量に用意したお陰で下水に流れる水は比較的、安全で綺麗になっている。
三日目はンフィーレアが復活していた。
充分に食べて運動して身奇麗にしてきたようだ。
「若い男の子は復活が早いな」
「そう簡単に免疫はつかないと思いますが……」
「君から貰った瓶では少ないから素体を……、献体でもいいんだが。それを入れる容器いっぱいに満たせば……、孕ませ棒、みたいなバカみたいなアイテムが出来るかも」
「……なんか嫌です」
ンフィーレアは少し顔を赤くして苦笑する。
大きな容器をいっぱいにするほどとなると死んでしまう気がした。
死ぬか男性器が溶けて消えるか。
「……錬金術というより大工のような仕事をさせて申し訳ない」
「錬金術も物造りの一種ですから気になさらずに。そういえば、地下に居る人達はずっと作業しているんですか?」
「そうだよ。のんびりしていると素材が痛むかもしれないからね。アンデッドの方がいいんだろうけれど、室内の衛生環境が悪くなりそうでね。突然、自動的にモンスターが湧き出るようになっては困るから」
「………」
「もったいないと思っているのかもしれないが……。今は道具扱いだ。それとも一体欲しいとか?」
出来る事ならもらいたいが養えない。というか亜人の飼い方は得意ではない。
「
「……うわぁ、飼えそうにない……」
「
人間以外は色々と問題がありそうで少し残念な気持ちになってきた。
「ルプーの正体は聞いたかな?」
「はい。
「
「え~と、弱い者は強い者に従うのが自然の掟、みたいなものですか?」
「その傾向はあるよ。ルプーは負けず嫌いだから一回くらいの敗北ではへこたれないけどね」
何度もエンリに勝負を挑んできた目は野獣そのものだった。
普段の優しい雰囲気は勝負の時には消失していた。
「斬りかかってくるやつは敵だが、アインズの部下だと分かっていると……、よっ、
「ははは。あ~、それは僕もやってしまうかもしれません。
「そこに行ったか。アイテム製作に特化した者達が多く居るから。地下に居るメイド達もそこで聞いてきた事を実践しているだけだ」
「見た目が怖いし、表情が分からないんですが……。ヤントラさんは分かりますか?」
「言葉の雰囲気でだいたいは。彼らは研究熱心なところがあるから基本的に笑わない。……笑うどころではないな、あれは。興味があると目が光る。その点では人間と変わらないと思うよ。あと、とても真面目だ」
参考になる話しが聞けて嬉しくなった。
図書館では買い物も出来るそうだが、現地通貨は取り扱っていないと聞いてがっかりしたものだ。
「ンフィーレア君に金貨を渡すから買っておいで。それから……、君たちが作るアイテムは冒険者や国の為に渡してくれればいいよ。……いかがわしい話しを聞いてくれたお詫びもしないとね」
「そんな! 悪いですよ。おばあちゃんがタダで施設を利用しているのに」
「人に理解されない非合法な実験施設に付き合ってくれているだけで嬉しいよ」
「……僕も少しは抵抗を感じていますけどね」
食材として加工するようなおぞましさは無く、作る料理の素材は都市で買ってきたものが中心のようだ。
ヤントラは限界近くまで金貨を入れた皮袋を二つ渡した。
見た目には小さな皮袋にしか見えないがそれぞれ五百キログラム分の金貨が詰まっている。
「え~と、確か媒介アイテムが必要なのも……」
三つ目の袋には色々と細かいアイテムが入れられる。
「運べない場合はシモベに頼むように。ここからでも行ける気がするが……。一応、ルプーに報告しなさい」
「はい。ありがとうございます」
「その袋は返してもらうけどね。作ってもらう場合は説明を受けること。これは見た目はしょぼいけど、高いよ。だいたい金貨四十枚くらい」
現地通貨のことなのはすぐに理解したが便利な道具は安くないなとンフィーレアは思った。
「この金貨だと……、四万枚とか?」
「そうだね。入れてはいけないもの。入れられないものがある。それも聞いてみるといい。
大事なアイテムを入れて忘れてしまったら大変だし、アイテムを破壊されるような事があっては困る。
袋を破壊されると中身全てが失われるとか。
それらもちゃんと説明を受けようと思った。