※この作品はR-18です。

ゲームオーバーから始めようか   作:モモンガ

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J-11 バハルス帝国と小さな戦争

 セメントが乾いた日にタイルを貼り『永続光(コンティニュアル・ライト)』を設置。

 その後、特注の扉を付けてタイルを貼れば偽装は終了する。

「目立たない程度だが、充分だろう」

 鍵を付けた場合、シモベが開けられずに破壊しそうなので保留にした。

「ナザリックに行く時は私よりルプーに頼むんだよ。連れて行けないことも無いが……、色々と面倒なんだ」

「大丈夫です。ちゃんと相談してますから」

 扉周りの掃除を終えた後は多量のオリハルコンをンフィーレアに与える。

「縦置きと横置きの分を頼むよ。金貨は充分に用意している」

「縦置きもですか?」

「大浴場の上の階にある分だ。保存と一緒では混乱するかもしれないので。……それぞれの階に名前は必要だろうか?」

「それも一応、考えておきますよ」

 奇抜な名前ではなく、言葉と中身が一緒の簡素なもので充分だと思った。自分で混乱するような名前では困るので。

 六の宝物庫に材料を置き、ンフィーレアの好きにさせることにした。

 大量生産に必要なのは原型となるアイテムだ。それを作ってもらえれば後は他の者でも構わない。手伝ってくれるなら、そのまま製作してもらいたいと思っている。

 下の階の仔牛達もずっと寝かせるわけにはいかない。

 水源確保と浄化に必要なアイテムを大量に用意しておく。

 浴槽と簡易テントの追加もしなければならないだろう。

 ンフィーレアと二人だけでは足りないので製作過程を教えた者達に作ってもらう。

 容器製作を止めて、必要数以外は処分する。

 金貨の貯蔵庫は最終的に千トンに耐えうる金属板を二百メートル四方に敷き詰める案でまとまった。

 一メートル四方の10トンに耐えうる板なら四万枚は必要だろうか。

 厚さが二センチメートルほどもあれば充分強固だろう。

 製作を任せてアイテム整理だ。

 増産を終えた後は地上に上がり、畑の選定をしておく。こちらはエンリに任せる。

 開拓していい畑に柵を打ち込み、自由時間だ。

 浴槽と板の増産を続けていると中火月(二年目の八月)となった。

 子供達が生まれて一年が経った事になる。

 既に喋り始めているし、元気に育っている。さすがに裸の女性モンスターの居る施設に連れて行くことは出来ないけれど、地上部分の畑の様子は見せられる。

 貴族とはいえ社交界は苦手だ。

 他の貴族と仲良くなる発想が無く、施設にこもりっきり。

 気がつけば数十年もあっという間に過ぎていくだろう。

 時代のうねり。大々的な変化が起きない限り平和は保たれる。

 国取り合戦でも起きない限りは。

 子供達の誕生日を終えて施設に戻れば農民が畑を耕していた。

 地下施設の関係上、水耕栽培は出来ない。それは教えられているようだ。

 地上は人に任せて地下に降りるとンフィーレアが六の宝物庫で様々な素材を調べていた。

「お帰りなさい」

「ただいま。ここも君の研究室のようだな」

「カルネ村で本格的に研究するので取りませんよ。……ここ、広いので。浴槽や金属板の方は用意できました」

「ありがとう。女体モンスターの活動再開かな」

 ンフィーレアは材料を見せつつ報告できることを伝えていく。

 厄介なモンスターなどは現れなかったことと施設の中も自分が確認できる範囲では異常なしと伝えた。

 まずは浴槽の設置から。

 仔牛たちは定期的に起こしては身体のマッサージを施し鬱血(うっけつ)していないか、床ずれを起こしていないか確認させていた。

 作られた浴槽はおよそ三百ほど。それが数列の横並びに並んでいる。縦か横かは正方形なので分からないが。

 混ぜる関係上、広すぎては排水が大変になるし、作業しにくい。

 浄化の棒は予備を含めて千本以上、充分に確保している。

 『無限の水差し(ピッチャー・オブ・エンドレス・ウォーター)』も同様だ。

 床に固定し、セメントなどを使ってホーロータイルなどを貼っていけば完成だ。

 テントの方はすでに作業が終わっていた。

 作業を手先の器用な者達に任せて七の宝物庫に向かう。

 数人の人虎(ジンコ)が部屋の中を巡回していた。

 そのまま地下一階に上がると女体モンスターだらけには、なっていなかった。

 アインズが連れてくる場合は女性型は少ない。

 頭が三つあったり、蠅の女悪魔だったり、花弁人(アルラウネ)だったりということは、ほぼ無い。

 紳士だし。

 嫌がらせに豚鬼(オーク)の大群と言う事もあるかもしれない。

 巨大化するようなモンスターも困る。

 奴隷に売られていた森妖精(エルフ)を大量に送ってくることはあるかもしれない。

 森妖精(エルフ)の上位種森聖霊(ハイエルフ)が居るのか、どうなのか。

 ルリマリスは知らないと言っていた。

 基本的な種族が居るなら何が居てもおかしくない。

 地下二階が埋まれば地下一階が容器に埋まっていく。

 単純に重量10トンは簡単ではない。単純計算では23回という手間がかかる。

 一万枚に達するのに数ヶ月はかかるのではないかと思う。

 市民感覚では数ヶ月で済む方が凄い、と思われるかもしれない。

 数万人規模で作業すればもっと凄いことになるんだろうな、と数の暴力の恐ろしさを思い浮かべる。

 金貨を完璧に支えようというわけではないから百トンずつはやりすぎか。

 金貨の方はゆっくりやればいいか、と今は容器を優先させることにした。

 同時進行で金貨の分ももちろん行(おこな)う。

 まずは長方形型と正方形型の量産。とにもかくにも人海戦術だ。

 殺しすぎるのも考え物だが、従順な部下は作りにくい。

 急ぐ仕事ではないので一つ一つ確実にやってもらおう。

 高レベルのモンスターを大量に量産しておく。一日がかりとはいえ、なかなか壮観だ。

 暇ではないだろうがンフィーレアを屠殺場に連れて行く。

「一人だと楽な方法が取れるので、一気に討伐してもらうよ」

「それは嫌な予感がしますね」

「眠っている間に終わるはずだ。意識があると失禁するかもしれないから」

 まずは眠らせる。

 嫌なことは早く済ませるに限る。

 武器を持たせてタオルでしっかりと縛りつければ完成だ。

 肉体的にも丈夫だと思うけれど強化の魔法をかけて様子を見ながら始める。

 ダメージを受けない限り目覚めないはずなので数十体ほど倒してみる。

 ンフィーレアは目覚めないようだ。一番の高レベルで目覚めないのであれば大丈夫だろう。

 後は動くだけだ。

 出来るだけ本(・)人(・)が(・)倒(・)し(・)た(・)事にならなければ経験にならない。

 結局はヤントラ一人が大変なだけで終わってしまう。それはそれで当人の為にならないので、戦士や魔法使いの人達には使いたくない楽な方法だ。

 少し虚しくなってしまうし。

 キリのいい所で止めて、残ったモンスターは魔力系に特化させる予定の一般市民の一人に倒させる。

 高レベルはいきなり倒すのは無理があるので小鬼(ゴブリン)などを追加しておく。

 ンフィーレアは六の宝物庫に連れて行った後で睡眠を解呪し、希望のクラスを選ばせておく。

 最終的には殺しやすい人間種がいいんだろうな。

 それはそれで面白くないのだが、仕方ない。

 見栄えのいいモンスター達に囲まれるのも悪くは無い。実用的ではないだけだ。

 一人で作業する上でのんびりしていたら百年はすぐに経ってしまう。

「お疲れのようですね」

 ヤントラがいつにも増して疲れたような姿を晒しているのでンフィーレアは心配になった。

 いつも一人で作業しているので疲れでも出たのだろうかと思った。というか、疲れて当たり前だろう。

 一人で多くの作業をこなしているのだから。

「……飽きた。膨大な数を一人で用意して一人で片付けるの……、面倒くさい」

 愚痴を言うヤントラの肩をンフィーレアは揉む。

 実際、作業量の多さは尋常ではない。

 愚痴や文句を言わない精神力というか忍耐力は計り知れないが、やはり大変なのだろう。

 それが崩壊し、愚痴を言うところは、やはり一人の人間なのかもしれないと思える。

「お疲れ様でした」

「女の子に身体を移して死のうかな……」

 物騒なことを口走るが出来そうで興味深い。

 今のヤントラは死すら自在に扱える。だから不可能なことはない気がする。

 不毛な人生を続ける事になる場合は生きていることが苦痛となるだろう。それを解消する方法は見つけにくい。

「……仮に移せても自分という自我は残るし、死んだら辛そうだな……」

 身体を入れ替えるのとは違う。

 本体に記憶が宿ったままでは死の体験からは逃れられない。

 移せても結局は他人だ。

 おそらくアイテムボックスは使えないだろう。

 生物だから根を上げるのかもしれない。

 

◆ ☯ ☯ ☯ ◆

 信仰系と魔力系を十人ずつ揃える頃には一ヶ月は過ぎてしまう。

 一ヶ月過ぎれば店でも羊皮紙を取り扱うようになる。

 原材料は分からないが、全て死んだ仔牛というわけではないようだ。

 その合間に七レベルごとに背中の皮を各二十枚分剥いでおく。羊皮紙作成の練習にもなるだろう。

 その間に保存した容器の下に金属板を設置し終わり、培養している容器類も用意した分は終わる。

 飛び道具系が居ないが弓兵(アーチャー)クラスも本当は必要なのかもしれない。

 それはそれとして保存容器の積み重ねにも挑戦していく。

 横移動は簡単なので石や木で棚を作る必要は無く、低位の魔法で移動させた方が消費が少なく済む。

 『懸架(サスペンション)』が永続していれば浮遊は途切れない。間違って解呪しないかぎりは。

 問題は空中に浮かぶ施設に乗せる時だ。重力という概念がどこまで通用するのかは分からないが、外側だけ浮いても中が微動だにしなければ大惨事になるだろう。

 それは実際に作るときに実験すればいいので今は保留にする。

 人間の皮の羊皮紙を外で乾かしている様子にンフィーレアは複雑な思いを感じていた。同じく畑の見学に来ていたエンリも黙って見つめる。

 言われなければ分からない羊皮紙の正体。

 血痕類は無く、薄く削られた見事な革製品にしか見えない。

「人間の……背中部分ですか?」

「顔とかではないよ。見栄えのいい部分を削り取っている。お尻も良かったような気もするが剥ぐのが大変だろうから、今回は諦めた」

「作業風景は……、見なくて良かったかも……」

「拷問と一緒だからね。通常は食肉加工の副産物として保存されたりするそうだ」

 牛が人間になっただけだが、生きた人間なら悲鳴が聞こえてきそうだ。

 複製だからこそ、静かな加工が出来る。

「……人間のか……。これ、どうするんですか?」

「研究用として渡す。さすがにこれは国に渡したりしないよ。魔術的な研究が好きな人に渡す」

 ンフィーレア達はすぐにアインズの骸骨の顔が浮かんだ。

「人間じゃないとダメなんですか?」

 同じ人間の加工品にはエンリは抵抗があるようだ。

 内臓類と食肉加工ではないことが救いだろう。

「丁度いい献体が人間というだけだよ」

 命令した出来栄えとしては合格だろう。

 加工を始めれば保存しなくても腐らなくなる。もちろん、徹底的に脂分や汚れは取らなければならない。

 数日かけて一定の大きさに切りそろえれば完成だ。

 あとは説明書を付けて投げ込むだけだ。

「あとは仔牛達の加工だから、少しは気が休まるかもな」

「生きた仔牛では悲鳴がすごい気がします」

「なら本物には死んでもらうか」

 残酷だけど複製は悲鳴は上げない。それはとても理にかなっているのだが、方法が好きになれない。

 とはいえ、食肉加工して食べている身としてはなんともいえない。

 エンリは複雑な思いがあった。

 仔牛達を残酷と言うなら人間の皮くらい耐えなければ申し訳ない気がした。

 食べられる為に育てられる家畜が居る。

 おそらくヤントラは分かっている。そんな気がした。

 完成した人間の羊皮紙をナザリックに届けた後は仔牛達の加工に入る。

 山羊も入っているけれど作業は変わらない。

 皮を均一に延ばす為の木枠は頭数の三倍ほど用意して一日ごとの時間差に対応する。その間に木枠は最終的に十倍ほどまでに増やさないといけないだろう。

 そんな事をしている間にも容器の増加に培養の増加。それらを支える金属板の増加。

 それだけでまた一ヶ月は過ぎてしまう。

 

◆ ☯ ☯ ☯ ◆

 風が冷たくなる季節に入り上風月(十月)となった。

 もはや世間との接点は不要な状態になっている。

 上質な羊皮紙と白い羊皮紙の生産が軌道に乗り、滞っていた書類の作成が始められる。

 培養液に入れたものも順調に再生が始まっているようだった。

 念のために戦闘メイドの一部も入れておいた。完成すればオリジナルと遜色がなくなる個体が出来上がる。

「月に行く時はンフィーを連れて行くんですか?」

 皮の乾きを確認している時にエンリに尋ねられた。

「一人か……、イビルアイと一緒かな。ンフィーレア君は残していくよ」

「戻ってこれないと困るので……」

 と、お腹をさするエンリ。

 妊娠でもしているのだろう。

 と言うか、結婚はまだしていない二人だった。

 ヤントラの資材が無くともアイテム製作は出来るし、商売も祖母と共に今までやってきたので収入には困らないだろう。

 エンリも今は大農場を経営するまでになっている。

 帝国側の農家もお忍びで意見を聞きに来るほどだ。

「月の前に作らなければならないものがある。今年中に、とか決まっていないよ。少なくとも……、エンリが結婚する頃はまだ地上でうろうろしているかもね」

「ということは……、気長な道のりということでしょうか?」

「そうだね。途中でやめるかも。……冒険者の仕事もすっかりしなくなったし……」

 ンフィーレアを必ず連れて行く理由は無いし、地上で出来ることは行(おこな)っていく予定だ。

 目標の場所は安易に行ける所ではないし、様々なトラブルが待っているだろう。

 その為には空中宝物庫は必要不可欠だ。

 必要な魔法と魔力譲渡を新たに作り上げたのでナザリックの依存度は激減出来た。

 最初からそうすればいい、と言われるかもしれない。気づかないことも多々あるのが人生だ。

 ただの一般人なので面白みに欠ける。

 記憶を転写させる魔法は無いのだが、アイテムとして存在することを最近になって知った。

 それは繊細(せんさい)なもので壊れ易い使いきりタイプ。

 よくよく考えれば自分が相手に乗り移るわけではないし、同じ記憶を保持しても他人には変わらない。

 だから、相手も生きる本能に従うだろう。

 従順な人形のような扱いは無理だ。

 正統派の複製で新しい身体に宿る方が安心感はある。

 それでも利点が一つある。

 複製ならでは、とも言えるかもしれない。

 日が変わる頃には宝物庫の中を行き交うメンバーが変わっていく。

 変わらないのは命令くらいだ。

 膨大な数を一人で処理するのは大変だ。

 第八位階魔法『集団支配(マス・ドミネイト)』で片付けていく。

 人間種だからこそ出来る魔法とも言える。

 魔法を込める羊皮紙が同じ素材なら第十位階を込められるだけで全てを賄(まかな)えるはずだ。

 ギリギリの位階にする必要も無いし。

 皮を紙に加工する上で何が違うのかは分からないが、竜(ドラゴン)が必要なら見つけるだけだ。

 

 金貨用の板も数百枚を超えてくると安心感が出てくる。

 重さを分散させるだけで結構、無茶なことが出来る。すべてを埋めるのには時間がかかるが焦っても仕方が無い。地道に増やすだけだ。

 容器の方も整理整頓されると見栄えが良い。

 板一枚だけで天井まで届く金貨を乗せると数百トンはかかる計算だから。満遍なく敷き詰めれば膨大な量は支えきれることになる。

 効率の良い施設運営となってから女体モンスターは基本的にマスコットのようなもの。

 うろうろしているだけでいい。

 裸で居させるとンフィーレアが動けなくなるので服は着せていく。

 数万人規模で作業に当たらせれば金貨の部屋は瞬く間に終わる。だが、そんな人数はすぐには用意できないけれど。

 壁際は『L字』の金属板を敷き詰めていく。無理に部屋を埋めず、半分程度でやめておけば壁にかかる圧も多少は和らぐ。

 板と容器と溶液の生産は時間を短縮することは出来ないので素材の量産に回す。

 それから大量の食事の用意も整えていく。

 飲食不要で楽ばかりしているのは不健康だからだ。

 備蓄食材も有効利用しなければ無意味に廃棄することになってしまう。こちらはカルネ村の村人と相談して作っていく。

 出来たものは誰かに食べてもらうのが一番だが、誰がいいだろうかと考えたら丁度良い相手が居ることに気づいた。

 二箱分の羊皮紙を詰め込んで久しぶりにバハルス帝国に向かってみる。

 留守はリイジー達に任せておいた。

 八足馬(スレイプニール)や鷲獅子(グリフォン)を貰ったのに使わないのは気が引ける。

 しかも今回は『上位転移(グレーター・テレポーテーション)』で向かう。

 目の前には帝都アーウィンタールの検問所がある。

 普通に手続きを済ませて帝城に向かう。

 どれくらいぶりなのか時間の感覚が分からないのだが、たぶん一年ぶりかもしれない。

 街は至って平穏そのもの。

 アインズのアンデッド兵の姿は見当たらない。

 しばらく歩いていると数人の兵士がやってきた。

「こんにちは」

 軽く挨拶するが兵士達は厳しい顔のままだった。

「アインドラ卿でございますね?」

「はい」

 一応、身分を証明するものは見せた。

 馬車を用意するから待てと言われた。

 歩いていくと言っても形式を重んじるのか、待つように重ねて言われた。

 事前に約束していない事を伝え、皇帝が居なくても代理人さえ居ればいいとは伝えた。

 程なく馬車がやってきて城までガタガタと揺れながら移動することになる。

 久しぶりの馬車はやはり具合が悪くなるものだった。

 どういう性格設定なのか、苦手なものが多い。

 ぐったりしたまま兵士達と共に城の中を歩いていると懐かしい顔があった。

 従者の一人『レーモン・クノーン』だった。少し鎧が立派になっているので近衛兵か、それ以上に出世でもしたのだろうか。

「アインドラ卿!? お久しぶりですね。今日は来客の予定は無いとうかがっていたのですか……」

「どうも。勝手に来ただけですよ。血なまぐさい事は無し、ということで」

「は、はあ。陛下は執務室で仕事をされておりますが……」

 と、言いつつレーモンはヤントラを案内する役を引き受ける。

 ヤントラが来たら待合室に運ぶように言われていたらしい。

 レーモンの案内で皇帝の玉座の間に案内されるが誰もいなかった。いや、居るには居る。

 部屋を掃除する従者が数名。

 掃除の邪魔にならないように壁際で椅子に座って大人しくしていると玉座近くから皇帝ジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスが現れる。

 軽く手を振りつつ玉座に座る。

「久しぶりだな、アインドラ卿」

「突然の訪問をお許しください。今回は複製は無し、です」

「……うむ。それで緊急と言うほどでも無さそうだが……」

 ヤントラは虚空から箱を二つ出した。

「献上品です。ようやく生産が始められたので。こちらが仔牛でこっちは山羊です」

 従者の一人が中身を確認し、それぞれ一つずつ取り出し、中身を確認する。

 遠目でも分かる。羊皮紙だった。

「ほう。ついに作ってきたか」

 両方の羊皮紙を実際に手で触れて確認する。

 出来栄えは見事としか言いようがない。

「魔法のスクロールに使えるかは疑問なので、書類とかメモ用にお使いください」

「ありがたく使わせてもらおう。竜王国はしっかりと防衛が出来て獣人(ビーストマン)を食い止められているそうだ。手紙では無事が報告されている」

「それは良かった」

 三日で大半の兵を失えば簡単には侵攻しないだろう。

「もしかして……、これを持ってきただけか?」

「少し無茶なお願いを聞いていただこうかと。決めるのは自由なので」

 少しだけ嫌な予感は感じたが複製ではない、となると何があるのだろうか。

 複製以外のおぞましい事は簡単には浮かばない。

 それとも土地をくれ、ということだろうか、と様々な事柄が浮かんだ。

「軍事大国のバハルス帝国は暇でしょう? これから大群をもって攻めてもいいでしょうか?」

「………」

 にこやかに言うヤントラ。

 それは静かな宣戦布告とも取れる。

「攻める? この帝都にか? アインドラ卿が?」

 羊皮紙を持参して攻めるのは理解できないが、聞いて判断しないことには始まらない。

「部隊はカッツェ平野から帝都まで。そちらの兵士達は敵がいなくて暇だと思うし、私も精神をすり減らして死にたくなっています。少し気分転換をしようかと」

「気分転換に国を攻めるのか……。ははっ、それは凄い」

 普通なら狂気の沙汰ではない。

「こちらの兵はモンスター。武器と防具は用意できないので殴る蹴るだけです。裸の女性の大群も出す予定なので、とても戦いにくいでしょう」

 裸の女性が大挙して襲ってきたら脅威だろう。それがラナー王女なら悪夢だ。

「勝ったらエ・ランテルを返せ、とは言いません。本当に殴ってくるので死人が出るかもしれませんが……。そちらの兵士に良い刺激になれば幸いです」

「つまり大規模な戦闘訓練ということか?」

「私は送るだけです。何の策も講じません。ある意味では公開屠殺ですね。巨大モンスターは出しませんが……。出てきたら、それは違うモンスターなので気をつけてください」

「モンスターの大群か……。ふむ、兵士たちには良い訓練になるかもな」

 停戦中で兵士達がもっぱら相手にするのはカッツェ平野に出没するアンデッドくらいだ。

 骨の竜(スケリトル・ドラゴン)や死の騎士(デス・ナイト)でも無い限りは撤退することは無い、はずだ。それ以上の凶悪なモンスターは黒い仔山羊くらいだろうか。

「ナザリックの兵を使うよりは倒しやすいかもしれません。……問題は移動中に力尽きてしまうかもしれないということですが……。カッツェ平野までもつと良いですね」

「凶悪なモンスターでなければ受けて立つが……。何か目的でもあるのか? 無さそうな気がするが……」

「皆さんは日々楽しいですか? 私は退屈しています。子供に愛情が注げないほどに……。どこかで諦めの気持ちがあって、何も楽しくない。まあ、戦争も目的探しの一環かもしれません」

「退屈しているのか……」

「程よく混沌とした方が退屈しなくて済むのかもしれないけれど……。所詮は気晴らしです。そちらの勝利条件は殲滅のみ。大群で挑む気でいるので。充分な備えは用意した方が良いですね」

「アインドラ卿は何を得る? 楽しみか?」

「何でしょう……。あげられるものは何も無いくらいです。空中に浮かぶ宝物庫を作ってしまうと欲しい物が無くなってしまいます。あとは静かに時が過ぎるだけです」

 それはとても虚しい。

 楽しみが無くなる。

 必要献体は手に入れているし、竜(ドラゴン)を倒せば死ぬ以外に無いかもしれない。

「仮に帝国が敗北した場合はどうなる?」

「それは困ります。必ずモンスターは殲滅してください。帝国の威信にかけて。負けたら王国領になってもらいますよ」

「むう。それでは負ける事は出来ないな」

 占領が目的ではないのだろう。

 兵士達にモンスター退治を体験させたいのかもしれない。

 屠殺場の特訓の拡張版のようなものかもしれないとジルクニフは思った。

 戦う相手が居る方が活気付く。

「周りを取り囲むようなことはしませんが警戒はして下さいね。亜人の国とか」

「うむ。……戦争と言う事なら準備に時間がかかるのだが……」

「私は三日あれば送ってしまいます。暢気に待たせてあげませんよ。割ける人員の都合では減らしてもいいです。無理して集めるのではなく、今居るだけで対応させるのが望ましい」

「手厳しいな。……良かろう。三日後だな」

「移動には数日かかるので実際はもう少し余裕があるかもしれません。一人数百体は倒してほしいところです。楽をすると強くなれませんので」

「あい分かった。すぐに準備を整えさせよう。身体がなまっている帝国騎士も働いてもらわなければな」

「……侵略はしませんよ。数が多いけれどアンデッドはほぼ居ません」

 それから侵攻は数日ほど続くだけの数を用意すると伝えて城を出る。

 早速ジルクニフは兵士と騎士達にカッツェ平野で戦争の用意を整えさせる。

 王国の侵攻とは違うのだが、兵士達の訓練の一環として本物の戦争のような緊張感を持つように伝えた。

 ヤントラの特訓を受けた学生たちの意見から用意されるモンスターは途方も無い数であることと赤帽子の小鬼(レッドキャップ)すら雑魚モンスター扱いである事が伝えられる。

 急な命令だが、兵士達の兵糧作りが始まる。

 既にカッツェ平野に駐屯している兵士達は皇帝の命令にどよめくが規則正しく隊列を組む。

 そして、二日が過ぎる頃にエ・ランテル近郊を膨大な小鬼(ゴブリン)と人食い大鬼(オーガ)、豚鬼(オーク)の大群が通っていくのが報告される。

 推定で十万匹。出所は『マグヌム・オプス』なのだが王国には帝国から演習という名目で黙認するように伝えられていた。

 リ・アインドルに居たラキュースもヤントラの行動には驚いたが、黙って見守る事にした。

 責任追及で死罪にされようと夫と一緒ならば耐えられる。子供達の将来はレエブン侯に任せようと覚悟しておいた。

 途中で冒険者に襲われる個体が居たようだがモンスターは真っ直ぐにカッツェ平野を目指していた。

 モンスターの歩みはそれほど速くなく、三日目から飢えて倒れる者が現れる。

 さすがにヤントラも失敗したことに気付いて別の方法を考える。

 帝国側に着く前に勝負がつきそうなので弱った個体は仮面を付けたメイド達に始末させて死体は回収されていく。

 一日というか三日も経たず、というか帝国に到着する前に最初の軍勢は消え去った。

 代わりにカッツェ平野には『転移門(ゲート)』が現れて改めて小鬼(ゴブリン)達が出て来た。

 最初の軍勢が居なくなった後でメイド達による道路掃除はちょっとした噂となってしまった。

 『転移門(ゲート)』を潜ったモンスター達は真っ直ぐに帝国兵に向かっていった。

 開戦を告げる合図はモンスターの襲撃だった。

 第一陣の『転移門(ゲート)』が閉まると第二の『転移門(ゲート)』が開く。それらを繰り返しながらモンスターが次々と現れる。

 武器は無く、ただ単に殴りかかってくるだけ。

 それでも膨大な数が止め処も無くやってくる。

「ひるむな~!」

「どんどん倒していけ~!」

 兵士や騎士達が膨大な雑魚モンスターを迎撃していく。

 敵は二手に分かれたりせず一本道を進むように襲い掛かってきている。

 伏兵の存在は無いのだが警戒はしている。

 一時間もすれば兵士達は疲弊してくるのだが、特訓を受けた生徒達の意見が伝えられているのでまだまだモンスターは襲ってくる。

 二時間が経過する頃に『転移門(ゲート)』が騎士達が駐屯している場所に開いた。

 そこから現れたのはメイド服を着た女性。最初の一人が説明し始め、その後で複数人のメイドが現れる。

「我々は戦わないっすよ。兵糧を持ってきたので食べて下さいっす」

「はっ?」

 大きな箱をいくつか持ってくるメイド達。

「まだまだ敵は居ますから、どんどん倒して下さいっす。それと最初のモンスターは失敗ということで。ここまでの道のりってけっこう遠いっすからね。では、また」

 そう言ってメイド達は荷物を置いた後は『転移門(ゲート)』を潜って居なくなった。

「敵の罠?」

「鑑定すれば良い」

 メイド達が運んできた食料には毒などは入っていないようだが、どういう意図なのか分からなかった。

 それらは皇帝の元に報告される。

「長期戦になるから腹ごしらえをしろ、という意味だろう。こちらの敗北は願っていないようだからな。ありがたく頂いておけ」

 最初のモンスターの数の報告には驚いたが、来る前に飢えるとは想定外だった。

 思わず笑ってしまった。

 報告にあったモンスターが数十人のメイド達によって片付けられていったのにも驚いた。

 『転移門(ゲート)』は今のところカッツェ平野に開いている。

 帝都近くに開こうと思えば出来るのにしないのは演習ということかもしれない。

 とにかく、兵士達には力尽きないように指示を送る。

 弱いモンスターも数で攻められると苦戦するものだ。

 これだけのモンスターをヤントラ一人で用意しているとなると脅威としか言えない。

 倒したモンスターが消滅しないところを見ると召喚ではなく複製なのだろう。

 人間相手の戦争経験はあるのだが、これだけの数のモンスターは始めての経験だ。

 三時間が経過すると下半身が蛇の女性モンスターが数体やってきた。

 頭に角が生えてて腰に翼のある女淫魔(サキュバス)。

 裸ではあるが女性の人馬(ケンタウロス)。

 獣人(ビーストマン)に蜘蛛女(アラクネ)。

 悪霊犬(バーゲスト)。

 少しずつ種類が増している。

「裸の女も倒すんですか?」

「殴ってくるなら倒すしかないだろう」

 連絡を受けた皇帝は苦笑した。

 女体が趣味の変態ならば出してくるのは自然なことだろう。

 それらも当然、討伐対象だと命令を下す。

 下手をすれば森妖精(エルフ)の大群も出てくるかもしれない。

「あ~、なんか戦いにくそう……」

「バカ者! 襲ってくるモンスターに惑わされるな!」

 止め処も無く現れるモンスターに最初の兵士達は疲労を感じているはずだ。

 第二陣として入れ替える必要があるだろう。

「それにしても……。全然減らないですね」

 種類を増(ま)して増(ふ)えている気がするくらいだ。

 総戦力とはいえないが数万人規模の精鋭でも手に余る。

 帝国魔法省から援軍を要請してみた。

 それから作戦会議を行(おこな)っている仮設テント近くに『転移門(ゲート)』が開き、メイドが数名現れた。

「ちーっす」

「今度はなんだ?」

「こちらの兵力は一週間ぶっ通しで出てくるほど用意できるっすけど、そちらは体力は充分っすか?」

「はっ? 一週間だと!?」

 一週間も膨大なモンスターが襲ってくる。

 そうなれば兵士達の疲労は凄まじく溜まってしまう。

 人間なので休息は必要だ。それが出来なければ精神的におかしくなる。

「一週間は例えっすけど……、実際問題として無理っすか? これから女体モンスターが多数出てくる予定っすけど、掴まったら去勢される、かもしれないので倒して下さいね」

「うおぅ!」

 それは一大事だ。すぐさま兵士達に伝達される。

「危険なモンスターを入れるわけにはいかないんで、女体モンスターが必然的に多くなるんすよ。そういうモンスターばかり集めてしまったので」

「わかった」

「強さ的には赤帽子の小鬼(レッドキャップ)まで……、今は。日が暮れたらモンスターは休止させる。翌朝、また現れる、といった具合っす」

「これはいつまで続くんだ? 一週間か?」

「ナザリック勢に頼ってもいいっすよ。数の暴力はこんな程度じゃないっすから」

 不敵な笑みを残してメイドは去っていった。

 帝国兵達の地獄はまだ始まったばかりだ。

 

◆ ☯ ☯ ☯ ◆

 日が暮れる頃にモンスターの襲撃は止んだが死体の山がうず高く積み上がってしまった。

 戦死者は出なかったが、かなりの数の兵士が疲弊していた。

 援軍を要請したが明日も同じだけの敵が出てくると思うと逃げ出したくなる。

 これは生徒達が体験した特訓の内容に酷似していた。

 これだけの大群を特訓に扱えるのだ、ヤントラという者は。

 それぞれ休息に入り、明日に備える。

 日の出と共にモンスターが襲撃しに来るのかと警戒していたがメイド達が来た。

「朝ごはんっすよ」

「君たちはどうして兵糧を持って来るんだ?」

「それは帝国兵を殺すのが目的じゃないからっす。この程度で根を上げるほど弱い軍事力なら侵略するっすよ」

 そう言いながら飲み物を渡す。

 メイド達が持ってきた兵糧の他に帝国側の兵糧も加わっているので数万人分は余裕で行き渡っていた。

 現れたメイドは全て同じ顔だった。

「骨の竜(スケリトル・ドラゴン)が現れると簡単に蹴散らされるっすから。それまでは付き合ってくださいっす」

 そう言いながら『転移門(ゲート)』の中に消えて、別の『転移門(ゲート)』が現れてモンスターが出て来た。

 持久戦。それも数が途切れない敵。

 人間相手と違い、死のうがお構い無しに襲ってくる。

 生きたアンデッド兵のようだ。

 今回は朝から助っ人が一人現れていた。

 白髪の紳士。

 執事の仕事をこなすが拳で敵を粉砕する『セバス・チャン』だった。

「帝国の皆様にお力添えをするように賜りました。どうぞ、よろしく」

「あ、ああ。敵は止め処も無く襲ってくる。我々は言われるまま倒しているのだが……。このまま続けて良いのか迷っている」

「そういう戦いなのでしょう。大勢の敵には魔法詠唱者(マジック・キャスター)の助けが必要かもしれませんが、それまでは私が戦います」

 現れたのは小鬼(ゴブリン)などではなく獣人(ビーストマン)系虎型の女性モンスターだ。

 体毛の色が違う程度が一気に走り寄ってきた。

「これは元気なお嬢さん方だ」

 敵は全て殲滅するのが主の命令なので女性モンスターでも倒さなければならない。

 ただ、いくらセバスとて数が多いのでまとめて倒すのは困難かもしれないと思った。

 なので第二の助っ人に任せることにする。

 帝国の騎士達の近く『転移門(ゲート)』が開き、中から二メートルを超える氷の巨人のようなモンスターが出て来た。

 四本の腕には刀に似た武器があり、氷の息吹きのような白い息を吐き出す。

 虫の巨人『コキュートス』だった。

「ムウ。相手ハ獣人カ……」

 と、軽く息を吐いた後で駆け出し、武器を奮えば数体の獣人(ビーストマン)が胴体を断ち切られる。

「では、コキュートス様。そちらは任せました」

「了解シタ」

 コキュートスの事はすぐさま兵士達に伝達される。

 たった二人で膨大な数のモンスターを押し返し始めた。

 その後で帝国魔法省からの援軍が到着する。

 それを合図に更なる『転移門(ゲート)』が開き、今度は多種多様な女体モンスターが流れ込んできた。

「ははっ。これはまた……。目のやり場にこまりますな」

「女ダロウト関係ナイ」

 というコキュートスの言葉が聞こえたのか、赤帽子の小鬼(レッドキャップ)の大群まで出て来た。

「ムウ!?」

「そちらは強そうですね。頑張って倒して下さいね」

「……容赦ノ無イオ方ダ」

 倒し損ねたモンスターは魔法詠唱者(マジック・キャスター)が狙い撃ちにする。

 広範囲に襲ってくるモンスター達だが伏兵は居ないのか、警戒任務に出ている者に尋ねるが一切見当たらないと報告してきた。

 帝都周辺にもモンスターが取り囲む事態は無いという。

 獣人(ビーストマン)の新手が現れるが手ごたえが変わった気がした。

 先ほどよりも強い。

「少し強いモンスターが現れ始めたようですね」

「ウム」

 連続で開く『転移門(ゲート)』は見ごたえがあるのだが、ここまで続くものは初めてだった。

 それにモンスターの勢いが全く衰えない。

「……なんかまずい気がします」

「ああ……。もっと援軍が必要だな」

「魔導国の援軍でもダメなのか……」

 報告を受けた皇帝は笑っていた。

 未だに戦闘が続く様相に。

 その気になれば国を取るヤントラの底知れぬ実力に。

 魔法学院に居る生徒達に戦況を伝え、意見を求める。

 止め処も無いモンスターの中には魔法を寄せ付けない者も居る。

 赤帽子の小鬼(レッドキャップ)より強いモンスターも居るので気をつけるようにと。

「帝国の総力を挙げても足りないかもしれないな」

 ナザリックの援軍を増やしてもらう手もあるのだが、それは手段として正しいのか迷うところだ。

 特訓ならば兵士達だけで倒さなければならないだろう。

 ご丁寧に食事を持ってくる余裕が相手にはある。

 兵士達の皆殺しは望んでいないようだが、絶え間ない戦闘は厳しいだろう。

 帝国最強の四騎士は温存したかったが、そろそろ出さざるを得ないかもしれない。

 今のところ空を飛ぶ飛翔系のモンスターが居ないので空は監視だけで充分だろう。

「それにしても凄まじいな。たった一人で膨大なモンスターを送り出しているのだろう?」

「一人で? いや、それはありえないでしょう」

「魔法の使える複製が居れば可能だろうな。それらは結局のところアインドラ卿一人で用意した戦力と言えるだろう」

 普段の戦争でもここまで数は多くない。

 というよりはただ殴りかかってくるだけの無謀さは無い。

 装備を整えた軍隊ならば違った結果になっているだろう。

「終わりが見えない……。降伏すれば止みますか?」

「いや、どこかで終わるはずだ。殲滅が勝利条件だからな」

 一週間通しで倒し続けたら終わるかもしれない。

 こんな戦いは始めてだから誰かに意見を聞きたいくらいだ。

 生徒達も参戦させようかと言ってみたが従者達に却下された。

 

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