※この作品はR-18です。

ゲームオーバーから始めようか   作:モモンガ

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L-6 メイドいじり3

 ヤントラが施設に戻る日は大体把握しているアインズ。それは留守をンフィーレアとリイジーに任せているから。

 地上の農園の様子も無視できないから。

 数人のメイドのうちの一人だけ質問役を追加した。

 ヤントラ側はメイドの数に注文はつけていない。目安として最大で十五人が限界かも、というのは聞いている。

 見回り役には普段どおりに仕事に向かってもらい、質問役はヤントラの側で質問のタイミングをうかがうように言いつけた。

 今回は監督役は付けない事にした。代わりにンフィーレアに見回りのメイドの様子を頼んでおいた。

 エロい事はしないだろう、という理由で。あと、快く引き受けてくれた。

「人気(ひとけ)の無いところで二人っきりが良いのですが……」

「……そういう指令か」

 勘のいいヤントラに悟られても気にするな、と言いつけてある。

「持ち出しに関することか?」

「いいえ、私では運べませんよ~」

 アイテムではないのは明らかだ。つまり複製のことだとメイドは思っている。

 答え方でヤントラの表情は色々と変わる。それがメイドにはとても怖く見えた。

 真面目なヤントラは至高の存在としての気配をかもし出すので。

 普通の人間ならば気にしないところだ。

「一の宝物庫が丁度いいか」

「………」

 メイドは黙って付き従う。

 命令とはいえ逆らってはいけない相手だと改めて感じる。

 他の見回りには出会わずに一の宝物庫の地下一階のとある部屋に入る。

 空き室の一つで容器類は無く、椅子だけが置かれていた。

 ヤントラが合図を送ると無表情のメイドが三人ほど現れる。

 室内に入った後は外を三人のメイドで守護する形となる。

 要望どおり二人っきりになり、一般メイドを椅子に座らせる。

 全身から汗が出るような緊張感で満たされる。

「この調子だと裸になれ、と言ったらなりそうだね」

「そ、それがご命令ならば……」

 恫喝されたわけでもないのに身体が震えてきた。

「命令書を渡されたのなら出して読んでいいよ。君は仕事でここに来ているのだから」

「は、ひゃい!」

「それほど答えられることは無いと思うけれど……。悪口は言っていないぞ」

 メイドが怯えているので指令書を出すように言いつけた。

 震える手でポケットから丸められた羊皮紙を取り出し、恭しく差し出す。それを黙って受け取るヤントラ。

 内容をざっと一読する。

 気になる秘密と言うほどの指令は書かれていなかった。

 質問内容は三つほど。

「エ・ランテルの統治……。それは今更だから無理だろう。あんまり街のことは勉強していないし。国の善し悪しもよく分からなかったから」

 冒険者として未知の探求は好きだし、モンスター退治も好きだ。

 それらが出来なくなるのは面白くない。

「異種交配の秘密……。相手方が物凄く嫌がったからだ。私はエロいことは大好きだからな。まあ、そういう事だ」

 と、質問に答えつつ言った言葉を自分で出した羊皮紙に書いていく。

 メイドが喋らなくてもいいように。

「秘密と秘匿……。これは難しいな。適度な情報公開は必要だと思ったから話している。支配者として偉そうに君臨するのが嫌いなだけだ」

 アインズの言い分は敵が居る事が前提だ。それが無くなれば無意味な行為に過ぎない。

 ちやほやされたいだけのバカにしか見えない。

 そういう世界が望みならくれてやる。

 

 ヤントラが急に表情を歪めたのでメイドは更なる恐怖を感じた。確実に怒りを買ったのだと。

 質問内容は事前に読んで暗記までした。

 その中でヤントラを怒らせるような事が書かれているとは思わなかった。

 自分では発言していないのだが、自然と身体は椅子から転げ落ちて土下座の格好になっていた。

「……どうか、どうかお許しを……」

「……ったく、本当にアインズはムカつく奴だ。好きにはなれないな、やはり……」

 軽くため息をついた後でメイドの背中をさする。

 それからゆっくりと立たせて椅子に座らせる。足腰が震えて立っていられない状態になっていた。

 顔は泣き顔。

 排泄はしないのだが涙や鼻水、涎は出せるようだ。

 唾液が出ないと食べ物を飲み込むことが難しいだろう。

「……まあ、こうだな」

 『ミイラ取りがミイラになる』と書いた。

 これは教訓だ。とっくにミイラ以上の骸骨だけど。

 この言葉の意味が分からないアインズであれば救いようがない。

「今度はこちらが殴ってもいい番だと思うな」

「……バスパ様のお気の済むまで……」

「君は殴らないって。骸骨は殴りたい」

「あうう……」

 質問状に対する返答を書き終えて二つの羊皮紙を丸めてメイドに渡そうとしたが手が震えていた。

 仕方が無いので胸の谷間に差し込んで、と思ったが構造上の問題があって出来なかった。

 胸の下の部分と服の間に無理矢理ねじ込むことにした。

「秘密の保守は大事かもしれないけど、隠蔽体質は気に入らない。渡した後でそう言ってごらん」

「は、はい。必ず」

「私も怒る時は怒る。かといって意味も無くメイド達を怒ったりしないよ」

 メイドを抱き寄せて彼女の後頭部や背中をさする。

 よしよし、と言いながら。

「……それはアインズに直接渡すように……」

「畏まりました」

「そういえば、指令は一枚だけか?」

「はい。他にはございません」

 メイドから離れて軽く息をつく。

「ちょっと立って歩いてごらん」

「畏まりました」

 先ほどまで震えていたメイドは命令どおり室内を歩き始める。

 身体が震えていれば立っていられなくなるはずが、もう回復している。

 ヤントラはそれを見て満足した。

 

●↓●

 覚悟を持ってきたのなら今一度、確認してみたいことがある。

 軽く息を吐く。

「……そういえば君は前にも脅かしてしまった子だね」

「いえ……。ただ、臆病な性格なのです」

 それでも全裸にしたり、意味も無く身体を切りつけてしまった。

 複製以外で酷い目に遭わせた一人だ。

「君は先ほど命令なら聞くと言いかけた様だが?」

「は、はい。アインズ様のご命令を遂行できるのであれば、いかように扱われてもいい覚悟を持っております。……ただ、正直に言いますと……、臆病な性格ゆえに……、恐怖は感じております」

「なら、命令遂行の為に実験に付き合ってもらおうか。まずは目隠ししてもらって……」

 メイドの顔をタオルで巻き、地上の二階の執務室に連れて行く。

 殆ど使っていなかったのでヤントラのメイドに軽く掃除させてから入りなおした。

 後、椅子と台などを用意する。

 場所的には移動が楽だ。

「それにしても身体が軽いな。食べたものはすぐ無くなるような感じなのか?」

「そ、そうですね。アインズ様当番の時にお借りする飲食不要の指輪があれば一日いっぱいは平気です」

 成長しない人造人間(ホムンクルス)が飲食しないだけで食糧事情はかなり劇的に変化するだろう。

 ただ、そうなると食事の楽しみがなくなってしまう。

「ここで行(おこな)う実験はぜっ……たいにっ!」

「ひぃ……」

「今のは言ってみただけ。怖がらせて悪かった。臆病な人には怖がられるようだ」

「も……、申し訳ございません」

「それぞれ相性と言うものがあるんだろう。それはそれで好都合か……。これから君は言われた通りに従ってくれればいい。目隠しされて怖かった、と言い訳するといい」

「は、はい」

 部屋の窓はカーテンで塞がれ、室内は『永続光(コンティニュアル・ライト)』の明かりだけで照らされる。

 まずは恒例の儀式を行(おこな)う。

 感知妨害は十人のメイドが担当する。

「ちなみに所属に加わったからとて裏切りに入ることは無い。たぶん、復活のホームポイント指定などに必要な事なんだろう。確認の為にいちいち殺す実験はしていなかったが……。たぶん合っているはずだ」

「では、ナザリック地下大墳墓の所属は消滅してしまうのですか?」

「前に来たメイドにも同じ儀式はさせたが問題は無かったようだ。消すことは可能かもしれないが、認めれば再度の加入は可能だろう。実際にナーベラルがそうだった」

 それはそれでメイドは安心した。

「命令を伝えていくよ。そういえば……、裏切れと口頭の命令だけで裏切れるかな?」

「それは……どうなのでしょうか……」

 一般メイドだと後が怖いのでヤントラのメイドに命令してみた。

 結果は何も変わらなかった。念のために命令は冗談なので無効とすることは伝えておく。

 だが、更に念を入れる意味で処分する。

 冗談で処分されるメイド。それはそれで恐ろしい事だなと反省の意味を込めて、黙祷する。

 気がつけば自分は随分と命を軽く見ている。それは自分以外にも適応されていたようで、今さらながら心苦しくなってきた。

「言うだけでは意味がないようだな」

「……そうですか……」

「まずは制服を脱いでもらおうか」

 メイドは言われるままに制服を脱いだ。

 ヤントラは出来るだけ優しく声をかける事を心がけた。

 威圧しては苛めているようだから。

 羊皮紙などは台に乗せられる。

 改めてメイドを目隠しし、床に敷き布団を敷いていく。

 下の下着だけ脱いでもらい、膝を付かせた状態になってもらう。背後にはメイドが控えていて身体を固定する役を命じていた。

 メイドに自分の性器を開くように指示する。

 それから部屋を出て別の命令を加えておく。

「分かってはいるのだが、あえて言うけど放尿してごらん」

 言い方にもよるのかもしれない。

 頭などを撫でたりしておく。

「はぅ……」

 既に人間の放尿は確認しているので命令内容は理解している。けれども何も出ない。

 ただ、出なくとも言い知れない尿意を恐ろしいまでに感じている筈だ。

 開ききった尿道が放尿するように動いている。

 これがナーベラル達なら大噴出しているだろう。

 可愛いメイドを苛めているようでいじらしくなる。

 出している気持ちだけはあるのだろう、快感で頬が紅潮している。

 開いた尿道に指を入れると激しく身体が跳ねるが控えのメイドにしっかりと抑えられている。

 放尿している最中に指の出し入れは例えようの無い感覚として身体中を駆け巡る。

 どんなに奥まで入れようが人造人間(ホムンクルス)は下から体液は出さない。

 指を引き抜いた後で命令を解除する。

 息遣いの荒いメイド。感覚は人並みにあるのが不思議だ。

 本来なら舐めたり、舌を入れるところなのだろうけれど、それはやめておく。

 手を性器から離させて、部屋の外に待機しているメイドに命令を下す。

 五分後にはヤントラとメイドの身体に異変が生じる。

「実験だから疑問があっても大人しくしていること」

「……はい」

 異変はメイドが男性化することだが、目隠ししているので状況はあまり分からないだろう。

 生えた男性器の皮をめくり刺激し続けるとメイドが喘ぎだす。あと、柔らかい肉質だった。もちろん睾丸も付いている。

 元が美しい娘なので清潔感のある綺麗な身体は男性化しても魅力的だ。

 血流が流れている証拠としてしっかり屹立する。

 どこかで身体の体液が止められているのか、魔法的な力なのか。

 人造人間(ホムンクルス)の身体は不思議がいっぱいだ。

 射精感はあるようだ。合図として広がる穴があった。それでも何も出ないのは寂しい。睾丸は何の為にあるのか疑問に思ってしまう。

 はち切れんばかりに膨張している男性器。

 普通の人間なら爆発するくらいの性的快楽にしている。

 精神支配と言うよりは自己暗示に近い。時に暗示は強力に作用する。

 ただ、能力を爆発的に増やせない。出来ることと出来ないことがあるのは色々な実験で証明されている。

 他のメイド達に清掃道具を用意させて本題に移る。

 ヤントラは裸になって椅子に座る。既に身体は女性のものに変化していた。

「一度は体験したいと思っていた」

 メイドに犯されるヤントラ。絵面としては悪くないのかもしれない。

 美しい身体を持つメイド。元々女性的な身体を持つヤントラ。

 数倍程度の快楽と射精感で実験してみる。

 まずヤントラの突き出た胸に両手を置かせて揉ませる。

 屹立したメイドの男性器をヤントラ自ら迎え入れる。

 例えば数万倍にしてみたら、触るだけで半狂乱に近い状態になる。えもいわれぬ絶叫が響いたりしたが外部に音は漏れない。

 性行為自体は既に経験しているが性別逆転は始めてかもしれない。

 自然と顔が綻んでくる。やはり自分は変態で間違いないと自覚した。

 後はメイドに腰の振り方を教えて実行させる。しかも、敏捷をあげる魔法をかけて。

 かなりの速さで腰を振るメイド。より活発に動かすために腰を戻そうとすると肛門に控えのメイドの指が深く入るようにする。そうすると身体が跳ねる。

 入れても出しても地獄の腰振り運動。ある意味、拷問だ。

「どんな声を出してもいいから。本能のおもむくままに」

「うひゃん!」

 射精の感覚が訪れるたびに身体が跳ねて声が出るメイド。それが連続的に続いていく。

 されるがままヤントラは大人しくしていた。

 不感症ではなく、ちゃんと快楽は刺激されている。

 例えようも無く気持ちがいい。

 証拠として体液が漏れ出ている。

 女としてもヤントラは強靭だったということだろう。

 そのまま腰振りさせて一眠りするほどだ。一応、三時間後に起こすように命令は出している。

 定期的に魔法をかけられるメイド。

 ゲシュタルト崩壊が起きないまま作業を続ける姿は凄いだろう。

 三時間後に解放されたが命令が持続していれば延々と腰を振り続けただろう。

 それにしても一生懸命に腰を振り続けたメイドも凄い。途中でやめようとは思わなかったのだろうか。

 何度も訪れる射精感はどんな気持ちだったのだろうか。

 ヤントラの方は気持ちよくて久しぶりに完全に熟睡していたようだ。涎が出て、尿漏れが少し続いたりした。

 未だに脈動する男性器。命令を解除すればあっさりと萎えていくのだろう。

 メイドに眠り続ける命令を与えて搾取していく。

 全てが終わった後でメイドの身体を丁寧に拭いて命令を解除し、性別を戻す。

 やっていることはメイドイジメと変わらない。つい調子に乗ってしまう。

「煩悩がまた悪さしたようだ。これは治りそうにないな……」

 メイドを気遣いながら抱きしめる。

 さすがにすぐには平静に戻らないメイド。その間に一旦、服を全て脱がし身体を拭いて行く。

「大丈夫かい?」

「……はい、なんとか……」

「感情を持つ君達が可愛らしくて意地悪してしまうようだ。明日、来られるなら来てくれ」

「畏まり……ました」

「次はちゃんと仕事をさせよう。……これも立派な……、立派でもないが仕事ではあるけどね」

 命令遵守という意味では凄まじい肉体を持っているのかもしれない。これが人間であれば数万倍に設定しただけで入れる前に狂い死にしているところだ。あと、脱水症状など。

 あるいは一瞬で睾丸が爆縮して尿道から飛び散ったりするかもしれない。

 数十分の休憩後には気持ちが落ち着いてきたのか表情が戻っていく。

 一度起きた波は人造人間(ホムンクルス)といえど時間はかかるようだ。

 疲労も回復していくだろう。魔法とはかくも便利なものだ。

 下着を履かせて服を着せれば凄まじい痴態の後はどこにも無くなる。

「お疲れ様。ちゃんと歩けるか?」

 長時間の性行為にも関わらず、メイドはよろける事無く歩いた。

 股間の刺激が続いたのにがに股などにもならない。

 代わりにヤントラは少し歩くのが辛いかもしれない。

 肉体的損傷は治癒されていると思うけれど、眠るのには丁度良い。相手には悪いなとは思った。

 怖がっていたメイドの顔は紅潮したままだが、上半身は人並みなのかもしれない。

 あまりのことに頭の中が整理できていないようだ。それとは別にアインズに報告する命令は覚えていたので安心した。

 

●↑●

 時間をかけて労っておく。あと、脱退の儀式も忘れないうちに行(おこな)う。

「よし。指令は完了した。早く戻らないといけないな」

 メイドの背中を押しつつ七の宝物庫まで移動した。

「今日はお見苦しいところを見せてしまい、申し訳ありませんでした。次回は頑張って働きますので」

「見苦しくさせたのはこちらの方だ。羊皮紙と伝言は忘れないでね。……変な実験に懲りずにね」

「はい。失礼致しました」

 転移していくメイドを見送り、一息つく。

 メイドに鬱憤をぶつけても仕方がない。彼女は仕事で来ているのだから。

 とはいえ、性格的に気に入らない質問は読んでいるだけで腹が立つものだ。

 怒りという感情があるだけまだ自分は人間的なのかもしれない。

 やはりアインズの性格は相容れないところがある。それはもちろん相手もそう思っているだろう。

 良い敵が居て退屈しない。

 

◆ ☯ ☯ ☯ ◆

 次の日、急にメイド達が全裸なったりはしない。

 朝の見回り組みと昨日のメイドが訪れて三つの宝物庫の点検をしていく。

 危険なモンスターが入っている容器は全員に知らせておいた。

 昨日のメイドにはお詫びもかねて一の宝物庫の簡単な掃除をお願いしておいた。

 帰り際に五の宝物庫に入ることも許可させる。地下一階部分から入らないと危険である事は伝えた。

 竜(ドラゴン)は手袋着用でなら観察してもいい事は伝えている。触っても良いがケガしないようにと。

 羊皮紙生産は色々とゴミがつくので入らせることが出来なかった。

 あと武器の扱いが下手なので皮は剥げそうにない。

 一部のメイドを鍛える話しは保留になっていた。

「移動させたいのに容器は増える一方だな」

「新たに部屋を拡張なさるのですか?」

「そうするのが良いんだろうけれど……。今から作るのは時間がかかるな」

 候補地もあるにはあるがモンスターが湧き出るおそれがあるので安易に使えない。

 というか、月にさっさと用意したい。

 灰色の大地が広がる低重力の荒野。

 一の宝物庫も一部は解禁したというのに変な事態を招いてくれるから退屈しないな、もう。と、自然と機嫌が悪くなる。

「……むう。おっと、嫌な事ばかり考えても仕方が無い。君達、この施設の最奥のような秘密の気になる場所などはあるかな?」

「最奥……?」

「見取り図を見る限り、我々が立ち入らなかった部屋は……、一の宝物庫の小部屋などではないでしょうか」

 あと、隠し部屋。

 大きな部屋としては六の宝物庫の地下二階や金貨の五の宝物庫だろう。

 実はまだ大きな部屋が隠されている、とは地図を見る限りは思えなかった。

「後は異空間などでしょうか」

「中二階のような場所は無い。封印された部屋くらいしか秘密は無いな。それは秘密のままにしてもらいたいものだ」

 地上は例外として。

「安易に変なところを作るとナーベラルのように知らず知らず飛ばされてしまうかもしれないから、分かり易くしている。本当に全てを暴こうとするならエロい事は覚悟するように、と伝えるように」

「……畏まりました……」

 真剣な言葉なのでそれぞれのメイドは息の詰まる思いで頷いていった。

「全ての部屋は解禁され……、解禁できないものですか?」

「驚かせたいわけじゃないけれど……。ナザリックと関係ない部分もあるんだから」

「確かに、そうですよね」

「ナザリックが秘密主義でこちらが全面解禁しなければならないのは面白くない。ここはアインズの支配する階層ではないぞ」

「おっしゃる通りでございます」

 来る分には特に制限はかけていないのだし、と続けた。

 ンフィーレアにも口止めらしいことはあまり言っていない。

 一の宝物庫と稼働中の二の宝物庫以外は解禁状態のような気がする。

 ゴミの関係で六の宝物庫の地下二階は多少の制限はかけている。それは秘密というわけではない。

 エ・ランテルの統治を仮に行(おこな)うとしても実験は夢中になるから仕事がおろそかになりそうだ。

 外交作業もどうすればよいのやら。

 定例会議とか面倒くさい。あと、たぶんアインズ側から色々と制限がかけられそうで結局は何も出来ない気がする。

 市民の監視。やってられるか。

 自分の思い描く都市造りをすれば絶対にアインズは機嫌が悪くなるだろう。そんな気がする。

 エ・ランテルで苦労しているのだから世界征服した場合の各都市はもっと大変になるだろう。

 外交はしなくていいのか。自分の国だから。

 都市運営で躓(つまず)く未来が待っているだろうな。

 本当に男のロマンはバカだよな。

 国が分かれているからこそ成り立つ事に気づかないようだし。

「……私にはマヌケな未来しか見えないな……。困ったものだ」

「あうう……。バスパ様には国の未来が見えているのですね」

「慌てふためくアインズのバカ面がな。止めないぞ、自滅への道は。とにかく目的だけはさっさと果たした方が良いな。そうでなければ今のままエ・ランテルの未来を考えるべきだ。魔導国は放っておいても大丈夫だろうとは思うけど……」

 メイド達はそれぞれ顔を青ざめさせていた。

 国の未来というかアインズの未来が破滅だと聞かされれば一刻も早く戻って伝えなければと。

 なにがどう危険なのか、分からない。けれども、嫌な雰囲気は分かる。

「で、では、どうすればアインズ様の目指す世界に……」

「まさか統治を放棄するとか?」

「永久中立国、とまではいかなくとも三国に対して敵対しなければそれぞれと外交しても良い、という約束を取ればいい。それから他の国を一つずつ訪れて仲良くなるか、打ち滅ぼすか決めていけばいい」

「それでは一つの国として統治できないのでは?」

「その方が健康的だと思うんだけどな。アンデッドはすばらしい労働力と思ったままでは税収は増えないぞ」

「えっ? 税が増えない?」

「アンデッドは収入が要らないからな。いずれは働かない者が増えていくだけだ」

 力仕事以外の税収という線を言ってくるだろう。

 そんなものが本当にあれば文句は無い。

 ただ、料理を作る主婦は無収入だ。

 亜人の国は貨幣制度があるとは思えない。

 腹が減れば人間を食えばいい、という国はどうしようもないだろう。

「金貨に関して私は不滅ではない。色々と下準備はあるのだが……。どういう国が幸せだと考えているんだろうな。私の未来には幸せな絵は出て来ないのだが」

 ヤントラの言葉を主に伝えたらどういう答えが返ってくるのだろうか、とメイド達は戦々恐々としてきた。

 ナザリック地下大墳墓の支配者にできない事は無いと信じたい。

 出来ればヤントラの言葉をアインズに笑って否定してほしい願望はそれぞれ持っている。

 アインズが統治する国はきっと幸せな国であるはずだと。

 

◆ ☯ ☯ ☯ ◆

 帰還したメイド達がヤントラの言葉を出来る限り伝えると怒りのオーラを噴出した。

 五の宝物庫に入ったメイドは持ち帰った金貨を提出して第九階層に戻っていた。彼女だけヤントラの指名だったので別行動だった。

 ともかくメイド達の責任ではないのだが一様に平伏していく。

「税が増えない? あいつは何を言っているんだ」

「……わ、分かりかねます……」

「ん……。いや、メイド達は伝えただけだろう。声を荒げて悪かったな」

 第十階層の玉座の間で報告を受けるアインズの機嫌は悪かった。

 ヤントラに関してはいつも悪い気がする。

 根拠がタレントならもっと腹立たしいのだが、どういうことなのだろうか。

 本人と話し合わないから意見の相違が広がっているとも言える。

 セバスは話し合いの席を設けるべきと進言しているのに。

「アンデッドの労働力を否定するようなことを言いおって」

 金貨は確かに真っ当な増やし方はしていないので理解できなくはない。

「バカ面とは……。それに自滅への道だと?」

「は、はい……」

 一言一句伝えたので仕方がないのだが、言われると腹が立つものだ。

 少なくとも魔導国は問題がなさそうだ。

 エ・ランテルも別に返還しろ、とは言っていない。

 では、どういうことなのだろうか。

 今のままでは自滅するというのは。

 国民を殺すわけでもないのに。

 頭脳労働は戦闘だけにしてほしい。政治とか経済はさっぱりなアインズ。

「……仕方が無いな。デミウルゴスを呼ぶしかないか。それより、イビルアイは居たのか?」

 イビルアイとンフィーレアが不在なのは監視の部下から報告があった事を思い出す。

「あ、今のは忘れてくれ」

「はい」

 自分ひとりの判断ではヤントラの言葉を正しく理解出来そうに無い。

 ここはデミウルゴス、またはセバスの立会いが必要だろうか。

 アルベドは役に立たない気がする。一緒に連れて行け、とかは言うかもしれない。

 施設には転移で行けるしな。

「おそれながら……、発言してもよろしいでしょうか?」

 平伏しているメイドの一人が言ったので許可した。今はどんな意見でも聞きたい気分だった。

「ありがとうございます。バスパ様の口ぶりではアインズ様の統治なさる国の未来が暗いのだと愚考いたします。どういった理由かまでは……、分かりかねますが……」

「国民を幸せにすると言っているのにか?」

「税収入が得られない理由が分かれば……と……」

 アンデッドは強力だ。だから、レンタルとして貸し出せば良い収入となるだろう、とアインズは思っていたし、良いアイデアだと自負している。それを否定するのだから根拠があるはずだ。

 仮に話し合うとしてヤントラ側のメイドが嫌がらせに、は来ないだろうな。

 イビルアイやンフィーレアとの話し合いでも勝手に現れて口封じする場面は無かった。

 盗聴という線は薄いのだが、巨大図書室(アッシュールバニパル)に交渉のテーブルを用意した方がいいだろうか。

 執務室は色々と大事なものがあるし、エ・ランテルの都市長の館は防壁が紙レベル。

 一国の王が無名の貴族と肩を並べていいのか、という問題もある。

 中身は同じプレイヤーなのだから実際には同等の存在だ。

 メイドもヤントラの機嫌が悪くなると怯えるようだし。というか、そのメイドは臆病な性格らしく自分が悪いと言って来た。

 性格的な問題であるならば仕方がないとアインズは納得することにした。仕事はちゃんと達成したので労(ねぎら)いの言葉はかけておいた。

「……これでは伝言ゲームだな」

 メイド達に交渉に使うテーブルの用意を頼んでおいた。壊れても良いように予備も用意しておく。

 来て早々、殴り合いになるかは分からないが、壊れそうなものなどは移動させておく。

 護衛のメイドを連れてくるとは思えないのだが、高レベルのメイドを揃えている場合は対処がしにくいだろう。

 階層守護者が居れば話し合いが中断されそうだから同席は難しい。

 地上をユリに任せてセバスを同席させるのが良いだろう。

 あとはいつ呼びつけるかだ。

 そういえば大剣も借りっぱなしだったな。一本は折れてしまったが。

 本当に斬れ味のみに特化しすぎてソードブレイカー系に弱いとは思わなかった。

 折れた部分は第七階層の溶岩に入れたら簡単に溶けた。

 それでよく戦えたものだ。生粋の戦士職は侮れないな。

 壊れた武器を返しても仕方が無いだろうけど。

 

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