ゲームオーバーから始めようか 作:モモンガ
星の自転に連動する仕組みさえ判明すれば同調させる方法はいくつか考えられる。
簡単ではないだろうけれど。
特に再突入時の摩擦熱。
「面倒くさい時は転移に限る」
と、ヤントラは腕を組みつつ言った。
ンフィーレアと他の研究者が議論している日にアイデアが煮詰まると魔法に頼る。
実際、魔法の方が安全度が高かったりする。
「考え無しに飛び込むのは僕らには出来ませんよ」
「魔法無しで便利なものを発明するのは物凄い労力だ。それは分かっている。細かい原理はンフィーレア君に研究してもらおう」
「頑張ります」
丸投げだが研究成果の報酬は意外と多く入ってきている。
リイジーは出し渋るが施設の利用料や素材の代金はそれなりに出す必要があるだろう。
国に税も納めなければならないので。
経理担当のイビルアイと密かに相談していた。
語学のレッスン以外はヤントラの自由時間。転移により、シリカ製造現場に移動する。
一定の製造を終えた後は帰還させるのだが常駐は危険だろう。
緑地化を進めている場所は百メートルずつ拡大しているのだが安定するには何年もかかる。だから、毎日の水やりなどが必要だ。
地面がほぼ砂漠だった場所を緑豊かにするには栄養豊富な土などが必要で、適度の雨季も無くてはならない。
年中、乾燥している地域だから魔法で強引に維持していてもいずれは破綻してしまう。
栄養豊富な水分は女体の尿。
栄養豊富な大地は女体の糞。
緑地化の裏には多くの女体たちが関わっている。ということを世間に教えたら逃げられるだろうな、と脳裏に浮かべるヤントラ。
一部の人間には支持されそうだが、大半は顔を顰めるだろう。
モンスターのすり潰し作業はナザリックのメイドには出来ない力仕事なのでもったいなかった。
石鹸製作も確認しておく。
家畜類を焼いて油を搾り出す作業の後は黒い仔山羊に食べさせる。
カスばかりでは可哀想なので現場近くに野菜畑を用意する。
食用の家畜も食べさせておく。
飲食不要だけど処分するには打ってつけだし、不味いものばかりでは不満が出るかもしれない。もちろん、気分的にだが。
集めた油に灰や灰汁を注ぐ。
この部分は外部の人間でも出来るのではと思ったが、ここまで連れて来なければならない。
森に隠れるように倉庫類を並べ、その中に大型浴槽を設置して石鹸製作に当てている。
フェルト造り専用の倉庫ももちろんある。こちらの場合は石鹸水を浸すだけが目的だ。
異常がない事を確認した後、森の奥に向かう。
様々なモンスターの内、女体だけ捕らえるように言ってあったが成果は無い様だった。
『
森には森特有のモンスターが絶対に居るとは限らない。
奥の闇に閉ざされた拠点は撤去する事にして命令を下す。
現在居る拠点も引き上げることにした。
命令の仕損じはないはずだが再確認の命令を新たに与えておく。
アインズにとってはとっても面倒くさいメイドの命令。
命令以外のことは現場作業の継続か、待機状態に陥る。
待機は待機してもよい場所で起きるが作業の場合は作業を優先するので待機しない。
秘密を探ろうとするものに関してはヤントラの趣味を押し付けるものになっているので、苦手なものにはとことん苦手だ。
ペロロンチーノならば簡単に攻略されてしまう。
人によっては簡単なイベントだ。
苦手なものには最難関かもしれない。
あまりに淫らな行動はさせないようにしているけれど、絶対に守らなければならない場所は攻撃も辞さない仕様だ。
力技で施設を破壊する場合に限り、全てを諦めようかなと思っているので抵抗は交渉ごとに今は限られている。
メイドだけを狙って危害を加える場合は多少の抵抗はする。それ以上はなすがまま。
魔法で解決する程度のケガは問題にしない。などと色々と妥協している部分がある。
「複雑な命令をよく与えられますよね」
と、ンフィーレアが言った。
アインズに聞いて来い、と言われても驚かない。
「個人が持つ性格が複雑さを演出している。こう来たら、こう切り返せ、という命令を与えると全力で切り返す言葉を探ったり作ったりする」
「全力で……。意地でも死のうとする、とか?」
「そうだね。ちょっとメイドが下半身を露出するだけで大抵は怖気づくよ」
「……そうですね。なんとなく想像がつきました」
放尿しているけれど、それでも質問する勇気がありますか、と真剣なメイドの顔が浮かんだ。
あられもない姿を前にすれば自分のような人間は質問など出来る自信が無くなる。
宝のある部屋の前にたくさんのメイド達が排泄行為していたら逃げるだろう。
入りたければ踏んで行くがいい、とか言われるかもしれない。
「違う意味で嫌なトラップですね」
「可愛いメイドの排泄物なら喜んで飛び込む勇者が居るかもしれないよ」
「……凄い英雄でしょうね」
そんな汚い英雄は見たくないな、とンフィーレアは想像したくない無いことを想像してしまった。
「最終的にメイド達を撤収し、無人にする予定だ」
元々倉庫として作り上げたのでナザリックのメイド達が居るだけで事足りる。
下水からの侵入は難しくしているし、排水溝に控えさせている
あくる日、休日だからという理由でヤントラと対峙するクレマンティーヌ。
自慢の武器は刺突武器。
「行っきますよー」
ドン、という地面が爆発するような音を立てて突進する。
地下だとタイルが吹き飛ぶので地上で戦うことになった。
正確無比な攻撃。軌道を自在に変える一撃は洗練されている。
強いヤントラでも無傷ではいられない。今のクレマンティーヌは自分が鍛えたのだから。
上位プレイヤーとて同程度の相手に無傷ではいられない。それと同様に傷は出来るかもしれないけれど致命傷は決して負わない。
「ほい〈流水加速〉、更に〈疾風走破〉」
武技の使用による不可思議な動き。
対するヤントラはスキル無しで捌いて行く。
ヤントラの強みは攻撃を当てる事。
確実に人体にダメージを与える事は言葉で言うほど簡単ではない。
最小限度の動きで最大の成果をあげる。
様々な武器を扱い、接近戦を鍛える。
クレマンティーヌはヤントラの戦法を少し恐れていた。
攻撃を当てさえすればいい。
ヤントラは攻撃を受ける覚悟を持っているし、一撃で倒されない動きを取っている。
簡単に言えば攻撃したからには当てなければ意味がない。
その『攻撃を当てさせる』事がヤントラの目的ならば攻める時は慎重にならざるを得ない。
相手を懐に飛び込ませる為にガントレットのみだったりするのは戦士職にとっては結構、勇気の要ることだ。
「かすり傷だけで倒せるなら私の勝利は確実だよね」
ヤントラは信仰系
多少の大怪我では動じない相手というのは脅威だからだ。
心臓への一撃。脳に直接攻撃も通じない。
爆発力のある攻撃を仕込む必要がある。
スティレットで頭部を完全に粉砕する。それが勝利条件だ。
「それって強いっていうのかな」
確実に殺す必要がある相手ならクレマンティーヌは相打ち覚悟に攻められる。ただ、勝利だけ欲しい場合は無駄に傷つくのは損だと思っている。
試合形式の場で相手を屈服させるだけでいい、という時はどうすればいいのだろうか。
戦わずに降参とヤントラが言うかもしれない。それはそれで勝ちではある。
「ご主人的には魔法で身体の半分くらい吹き飛ばさないとダメなのかな?」
「行動不能が敗北条件だ」
手足を落として頭を潰さないと無理かもしれない、とクレマンティーヌは思った。
それはそれで『
殺しにこだわらなければ練習相手としてはけっこう優秀だ。それは認めている。
不満があるとすればスキルや武技を使わないところだ。使えないらしいのがもどかしい。
手加減しているわけではないようだ。
本気を出したくても出せない相手は可哀相と思ってしまう。
「使えるものと使えないものがあるらしい」
全てのスキルが使用できないわけではない。
魔法は確実に使える。
必殺技のようなものが世界と齟齬を生んで反発しあっている、みたいな感じになっているのだろうか。
感覚や経験だけでクレマンティーヌの攻撃は捌いている。普通の人間ならそもそも一流の暗殺者に勝てるわけがない。
ゲームならではの動きが再現できてこそだろう。というか、ゲームではない現実でもここまでの動きが取れる、または潜在的な能力が備わっているとでもいうのだろうか。
疑問を感じながら戦うのはクレマンティーヌに失礼だろう。
「んー、私は気にしないよー。速さ、重さは勉強になるから。人それぞれ得手不得手があるものだよー」
カンカンと金属音を鳴らしながらクレマンティーヌは微笑む。
手を抜かず思いっきりの状態で鍛錬できる相手はなかなか居ない。
仲間だから殺してはいけない、というためらいはヤントラには必要ない。
殺す気でも勝てない。というか、相当なてだれだ。
武技を使ってかすり傷。
まだまだ伸びる可能性があるといってもまだ自分は今の強さを生かしきれていない気がした。
「〈疾風走破〉」
手の感覚などはしっかりと伝わっている。
更なる前進は出来るはずだ。だが、それは今すぐしなければいけないものではない。確実に、着実に進めたい。
「〈能力超向上〉、〈十二連弾〉、〈即応反射〉」
片方だけで六連撃。それを両手で
だが、全て弾かれる。
この武技の弱点は硬直時間が存在する。六や八で止めるのが普通だ。
鍛錬だから全部繰り出せる。
「〈雀蜂〉、これもダメか!」
一足飛びの刺突蹴りを軽い動作で受け流された。
アダマンタイト製の防具でも今のクレマンティーヌは体術のみで破壊できる自信があった。
雑魚モンスターと違って一流どころは簡単には技を決めさせてくれない。
これがガガーランならば大体の攻撃は当たる。ただし、武技で全て止められてしまう。
防具を壊せても肉体はびくともしない場面はさすがに驚いた。
性質の悪い
「おっと〈即応反射〉……で、つーかまえたー」
延ばした脚を起用に曲げてヤントラの首に絡めて行く。
それはさながら蛇の動きに似ていた。
するすると首に絡みつき太ももでしっかりとヤントラの頭を挟み込む。
後はスティレットで頭をコンコンと叩くだけ。
「勝負ありだね、ご主人」
普通ならばすぐにでもクレマンティーヌの太ももをガントレットで肉を引き裂くなどすればいいのに、何もしなかった。
「嫌がらせに小便をかけるのもありかもー。てへへ」
口角を上げる独特の笑い方は無邪気な猫のようだ。
戦いに満足したのか、クレマンティーヌはヤントラの頭に手を置いて器用に地面に降り立つ。
「今日は負けたな」
「試合だったらいい笑いものだろうねー。おっとと、本当に小便が出そうだよ。今日は付き合ってくれてありがとう。また今度ねー」
と、手を振りつつ『疾風走破』の武技を使って宿舎に直行するクレマンティーヌ。
彼女の姿が消えた後、ヤントラは空を見上げる。
スキルも満足に扱えない不器用なキャラクター。
それでもこの世界では強い部類に入るのだから困る。
対モンスターならそれでもいいのだが、対人や対プレイヤーでは話しにならない。
クレマンティーヌ達には一流のプレイヤーに劣らない方が良いと思う。
地面に寝転がり、大の字になっていると武装したメイドが覗き込んできた。
手に
「農民の姿が無い様だが……。彼らはもう来ないのか?」
「頼めば来てくれるだろう」
広大な施設にも関わらず地上は人気が無い。
リイジーの店は客が来るけれど、田畑は放棄気味だった。
雑草も生えている。しかし、空中庭園ではゴムの木がしっかりと育っていた。
やるべき仕事はちゃんとしている。それ以外は休止する。
継続し続けるには必要性が求められる。ヤントラは今、作物の必要性を感じていない。ただそれだけだ。
種となる物はほとんど保管容器に保存している。無駄に増やしても場所を取るだけだ。
という事を説明するとナーベラルは納得し、そのまま去っていった。
気になる点は尋ねよ、と命令されているのかもしれない。
休んでいても施設は今も稼働中だ。静かに聞こえてくるのは地上に落ちてくる金属音。
オリハルコンの塊。
一気に全ての材料が揃えば楽が出来るのだが、現実は時間がかかるものだ。
それぞれ担当する作業員や会社があれば効率的な計画が出来て、大勢が『
それが出来ない今はあるもので作るしかない。当然、時間は物凄くかかるはずだ。
無い物は無い。実にわかりやすい。
月に行く以外の目的が見出せない時の自分は虚しさが支配する。
子育ても育児放棄気味だ。出来ないわけじゃないけれど子供達に良い未来をあげられそうにない。
どんな子に育ってほしいかと聞かれれば健康的に、と答える。というよりはそれ以外に無い。
立派な政治家になってほしい。
強い騎士になってほしい、などという願望が湧いてこない。
エロい事以外の欲がない、のかもしれない。それすらも無くせば生きている欲もいずれは失うようなものだ。
平和だから無気力かもしれない。
膨大な数の侵略者が攻めてこない限りは日がな一日怠惰な生活を強いられるのかも。
便利なアイテムがあるから食べなくてもいい。
便利な魔法があるから即死攻撃でもなければ特に問題は無い。
自己完結型は正しく動く事が全て無駄。
仲間が居ない場合のゲームほどつまらない事はない。だからもう楽しくない。
後は月か世界めぐりか、くらいしか思いつかない。
伴侶たるラキュースやイビルアイを伴なった新たな旅はこの世界から抜け出る事かもしれない。
いっそ、百年のコールドスリープも悪くないかもしれない。飽きたら眠る。
いずれは宇宙に出るほどの科学技術などが開発されるかもしれない。
新たな戦乱が起きるかもしれない。
我が身が風化するまで留まるか、進むか。
ここでログアウトするか。
選択肢はいくつかあるけれど、どれを選ぼうか。
ここで終わる事も一つの結末だ。
戦士ヤントラの旅はここより先は黙して語らず。
バッドエンドの選択により記録は全て闇に没す。
魔法の乱用により世界が穢されて無限増殖するモンスターによって生きとし生ける全てが潰されていく。
最初は軽い気持ちだったのかもしれない。
誰も知らないダンジョンの奥深くで増えたモンスターは滅びるよりも増殖する速度が勝っていた。
ダメージを受ける度に自己増殖する。
異次元にでも送らなければ対処できない。だが、そんな魔法は高い位階魔法なので扱えるものは既に無く。
居たとしても一人二人では対処できない。
そうしてまごついている間にも増え続けるモンスターによる物量の蹂躙は留まる事無く続いていった。
世界を飲み込むのに時間はかからない。
ついには星を飲み込み、宇宙に広がる。
倍々に増えるモンスターは桁数では表せないほどになると太陽やブラックホールに飲み込まれるのだが、それで止まるような事はない。
己の増殖により押し潰されていくモンスターはそれ自体が超重力を生む原動力となり、自らをブラックホール化していく。
自然と宇宙のあちこちに穴が空き始め、世界。いや、宇宙が崩壊していく。
止まる事無く崩れ去る宇宙は物質が存在する限り破壊のみが広がっていく。
滅びの先にあるのは新たな増殖と滅びの連続だ。
終わりがあるとするならば増殖する以上に消滅する力が勝ればいい。
そんなものがあればだが。
時を遡る魔法が存在する。
この魔法は一方通行で過去にも未来にも行ける。
ただし、過去に行けば永遠のループ化に囚われて出られなくなる、と言われている。
気軽に使えばお仕舞いだ。
危険性を認識していても精神支配されてしまうと厄介な事になる。
経験値を消費する魔法なので未来に戻ればいい、と簡単に言えるものではない。
使いようによっては有益かもしれない。
危険性を知らない方が幸せなこともあるだろう。
この魔法を使う勇気のある者はどんな結果を目にするだろうか。
一方通行なので未来にちゃんと無事に到達できたと証明するすべがあるといいな。
自作自演の果てに言い逃れができなくなる。
そうなった時は世界を壊すしかない。
自分より賢い者は皆殺し。
部下が色んな厄介な失態を犯すので処分するのも大変だ。
最終的には弱い一般メイドくらいしか残らない。それもごく少数だ。
落ち着いた時に後ろを振り返れば誰も居ない荒野。
不死の存在であるプレイヤーは新たな部下を創造しようと思ったが、また厄介な事態になりそうなので手が止まってしまう。
他人が居ない方が気が休まるかもしれない。
世界征服は成った。
後は残りの人生をどう使えばいいのだろうか。
賢い部下は居ない。
悩みに答えられる者はもう何所にも居ない。
第八位階の魔法に『
厄介な者は五体をバラバラにした後でこの魔法を使用する。
解呪されないかぎり何者にも物理的に危害を加える事は出来ない。
寿命で老衰する事もない。
ゆえにそのまま火山の火口に投げ込んだり、深い海の底に沈めたりすれば封印は完了だ。
星が寿命を終えても永遠に。
ブラックホールでも押し潰される事なく。
宇宙が何度も崩壊と誕生を繰り返しても。
決して風化することは無い。
百年後。五百年後と時を過ごせたならば何を思うだろうか。
退屈な日常なのか。
新しい発見が出来ると喜ぶのか。
千年後の未来で世界が素晴らしいと言える自分は想像できない。
宇宙戦争が起きているかもしれないし、相変わらず西洋ファンタジー色が抜けていないかもしれない。
多くの人間は死に絶えて新しい世代と入れ替わっている事だろう。
過去の偉人は美化されているかもしれないし、不死の存在は相変わらず健在かもしれない。
誰かが世界を征服して楽しい国に作り変えているかもしれない。
それでもヤントラは面白いと感じる事ができるのか自信が無い。
生きていたいとも死にたいとも思わない。
楽しければ充分だ。
そうでなければ死が連続するだけ。
生まれては死んでいく。
死。死。死。
今までがバッドエンドなら死は唯一のトゥルーエンド。ただ、グッドエンドとは言わないが。
幸せな家庭を築き、その先は思考をやめる。それがグッドエンドだろう。
そして、伝説へ。第二部突入など。
不老の存在となり、悠久を生き続ける。
生命や物質と言うのは滅びが約束されている。いずれは風化するかもしれない。
だけれど、もし風化せずに永久に存在し続けられたら。
それは素晴らしい事なのか。それとも新しい絶望の始まりか。
最初は色々とイベントが立て込んでいて忙しい中にも楽しさがあるものだ。
それらを終えた後は次のイベントまで退屈な時間が訪れる。今の自分はまさにそうかもしれない。
自分はまだ寿命のある人間種だが、モモンガは遠い未来のことは考えていないだろう。
他人のことを心配すると夜も眠れない。
これらも『悪用方法』の改訂の為に書き加えていく。
自然と涙が流れる自分に気付く。
感情を捨てたような自分が泣くとは。
嗚咽までする。
相手は自分を殺した男だというのに。
それでも心配している、とでもいうのだろうか。
終わりを見ないモモンガのことを。
出来る事なら考えるのを辞めたい。そう思う日はきっと来るんだろう。
永久の幸せなど誰が願うものか。
有限だからこそ。
限りある生命だからこそ。
貴い輝きを知る事が出来る。
本当に自分は。
何を言っているんだか。
涙が止まらない。
終わりが見えない事はなんてつまらないことだろうか。
本当につまらない。
モモンガ、お前はそれでいいのか。
元の世界に未練が無くてもいい。
今一度、問いに行ってやる。
たとえ、それでナザリック地下大墳墓が崩壊しようとも。