※この作品はR-18です。

ゲームオーバーから始めようか   作:モモンガ

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E-13 マーレシリーズとNPCの秘密

 耳の良い森妖精(エルフ)であろうと対策なしでは防げない。

 ベッドに寝かせて上着をめくる。そして、軽くお腹を指でなぞるように触った。

 普通ならくすぐったくて声を出すところだが、マーレは寝息を立てたままだった。

「指輪は一つだけか……」

 アクセサリーは指輪一つだけのようだ。

「森妖精(エルフ)はアインズに任せておけばいいか。アウラが知ったらどうするのか、気になるが……。良い結果にはならない気がする」

 念のために耳を嘗(な)めてみた。しかし、起きないようなので綺麗に拭く。

 風呂場に用意していた道具類を運び込む。

 マーレを床におろし、ベッドに耐水性の敷物(しきもの)を敷(し)いてマーレを乗せる。

 容器を用意して呼吸を整える。

 最初に痛い事を済ませてしまおう。女性とは違い、胸は無い。

 魔法で敏捷性と筋力をあげる。相手はレベル百。肉体的に強化されているかもしれないので念のために筋力増大を追加した。

 素早く耳の根元を切り落とし、色違いの眼球を抉り出す。それからすぐに睡眠と再生魔法をかける。

 血の飛び散り方を確認し、タオルを置いていく。

 アサシン(暗殺者)に相応しい手並みだろうな、とぼんやり思った。

 マーレの耳と色違いの眼球。

 数が増えてきたので保管場所などを色々と考えなければならないと思った。

 再生しきるまでの時間、待っているのも暇なので上着を脱がした。それから、お腹をタオルで巻いて、両手をお腹に乗せる。次に下着を脱がす。

 見た目の年齢に相応しいものがあった。

 小さな陰茎(いんけい)と陰嚢(いんのう)。すぐに切り落として保存しなければ、という思いが浮かんだが今は追い払った。

 浅黒い陰茎はこんがりと焼き色のついた肉料理のようでつい舌なめずりしてしまった。

 固まりかけた茶釜姉さん、に見えなくも無いな。ちーっす、ちあちゃん(茶釜姉さん)。

 軽く陰茎を握ってみる。

 特に変化無し。

 その頃には再生が終わったので改めて耳と目を採取。

 陰茎を触った感触では物凄く柔らかかった。闇妖精(ダークエルフ)だからというわけではないだろう。

 両足を広げておく。一応、肛門も見えた。

 健康的に浅黒い肌が魅力的だ。

 繁殖行為をするには色々と確認しなければならないことがある。このまま柔らかい陰茎では性行為どころか自慰行為も難しいだろう。

 陰嚢を潰れないように揉んでいく。

 他人に触れられると反応するのは変わらないはずだ。しかし、造形がリアルすぎる。

 陰茎を覆う浅黒い皮をめくってみる。

 普通なら出来ないし、出来たとしても再現されるはずがないのだが、結果としては再現されていた。規制も無い。

 耳と目の再生が終わるたびに採取するが十回程度で収めようと思った。

 

 外は黒く中は桃色の肉塊。まさに、小さなぶくぶく茶釜だった。

 陰茎の先端に尿道の入り口があり、女性とは違い指は入れられそうに無い。

 マーレの尿は採取出来そうにないだろう。

 痛いと困るだろうから陰茎の皮は戻しておこう。

 子供なのだが、年齢は七十代。それなりに反応してもおかしくないだろう。

 肛門辺りをさすりながら陰茎をこすってみる。するとピクピクと動き始めた。

 がんばれ、と声に出したくなるが我慢した。

 エロゲーの見よう見まねでこするとどんどん屹立(きつりつ)しようとするマーレの陰茎。そして、次第に太くなる。

 限界まで屹立すれば立派な男子の男性器、というにはまだ成長途中で皮も剥(む)けていない。

 知識として包茎(ほうけい)などの言葉は知っているが、完全な姿になったらもっと立派な形になるんだろうな。

 こするスピードを上げて片方の手は飛び出しても飛び散らないように遮(さえぎ)っておく。

 最初は小さな子供のものだったのが次第に年齢を上げていくように太くなっていく。

「我慢せずに出せ」

 そう良いつつ更にスピードを上げる。

 筋力の増大で潰したり、削り取ったりしないように気をつける事は忘れない。

 寝ているはずのマーレが苦しがってきた。

「大人しく寝ていてくれ」

 睡眠魔法をかけておく。

 先端の皮を少しだけめくり、直接擦る。

 敏感な部分を刺激した後、陰茎の棒の部分を激しく擦る。

「んっ~、あふっ!」

 という声と共に腰を跳ねさせると白い精液(せいえき)が噴き出した。

「あっあっ、ああっ」

 と、言うたびにピュピュっと出続ける。ピュっというよりは小柄な陰茎からは想像できないくらいドリュっやビュルルっと濃厚で粘液の塊が噴出するような激しい勢いがあった。

 

 NPCの射精(しゃせい)。

 

 ユリ達と同じく種族的に違いがあるのかもしれない。

 精液は独特の臭いを放っていた。

 ヤントラの手にベッタリと色の濃い白い精液がまとわりついていた。

 人間種だから出せるのだろうか。これは色々と確かめなければならないだろう。

 マーレが射精できるならアウラは凄い潮を噴くかもしれない。

「おめでとう、と言っておこう」

 ヤントラは性別不明のジェンダーフリー。

 男女どちらでも性欲を感じる。だから、手に付いた精液を嘗め取る事にも抵抗は無い。

 女の身体だけ求めていたわけではない。男の身体も当然のように求める事が出来る。しかし、誰でも良いわけではない。

 それは人間種というよりジェンダーフリーの特性なのかもしれない。

 折角なのでポーション瓶に似た外観で大きめのガラス瓶にマーレの精液を入れていこう。最初のものは空気に触れてたり、自分の唾液と混ざっているだろうけど、入れるだけ入れてみた。

 マーレ汁というかマーレポーションの出来上がり。

 効能は鑑定しないと分からないな。

 最初の射精とはいえ量が凄かった。

 他人の射精を間近で見ると性欲がふつふつと刺激されるような気がした。それは目の前で膣(ちつ)から潮(しお)が出る場面を見た時と同じだろう。

「まだ瓶はあるよ。どんどん行こうか」

 量が多いので脱水症状にならないように飲食不要の指輪(リング・オブ・サステナンス)を装備させる。

 次は口に含んで口内射精に挑戦。と、思いはしたがクラスチェンジアイテムだと困るので瓶に入れることにする。

「……あっ!」

 眠ったままのマーレは僅かに声を上げて腰を跳ねさせる。それが射精の合図だった。

 二度目も量は多かった。

 三度目に挑戦する前に綺麗に陰茎を洗っておく。

 寝ているマーレの下腹部にポーションを塗り込んでいく。飲む必要は無いので効能はしみこんでいく。

 睡眠をスクロールを交えて定期的にかけていき、マーレの射精を促していく。

 更に魔法で作業効率を上げていく。数十分も経てば五十本の瓶が満杯になる。それらに『保存(プリザーベイション)』をかけておく。

 まるで牛の搾乳(さくにゅう)のような格好になったのは苦笑した。

 最後は縛っていた手を開放しマーレを寝かせた。

 罪悪感はあるが性欲が勝(まさ)っている。それがこのアバターの特性なのかもしれない。

 貪(むさぼ)っている割に精神的にはとても落ち着いている。だから、やめる時はあっさりと諦められる。やりすぎるのが欠点かもしれない。

 泣き虫なところがあるので顔や身体周りを丁寧に洗い、陰茎が収まるまで放置する。

 ポーションを塗り込んだり、回復魔法をかけると屹立していた陰茎が小さくなり、元の子供のものに戻った。

 可愛い陰茎を見ていると欲望や煩悩が騒ぎ出す。

 持ち帰りたい衝動にヤントラは従う事にした。つまりは去勢(きょせい)だが、それはそれで好都合ともいえるだろう。うろ覚えだが声変わりを抑止するという点からも有効なはずだ。

 肉体を安全に切るものとして有効なのは金属よりは鉱石系の刃物。

 こういう時のために盗賊(ローグ)系を習得したわけではないし、これがクノイチ(女忍者)の特性とも思えないが、手先を器用にするクラスには感謝する。

 軽く陰茎を撫でるとピクピクと反応した。陰茎の先端部分を掴む。

 敏捷をあげて男性器の根元を素早く切り落とし、目覚めと同時に睡眠と回復と保存をかけていく。

 性器は耳などに比べればダメージ的には僅かに上だろう。

 耳を切り落とすよりも大きい範囲だが、即死効果の影響も無いだろう。

 レベル百で階層守護者とはいえ人間種。レベル90で戦士職と盗賊(ローグ)系を習得しているヤントラの攻撃は装備を外された今のマーレにはなすすべが無く通ってしまう。

 相手はNPC、第十階層のアルベドに危機を知らせる警報が発動するおそれがあるがルプスレギナ達と同じなら大丈夫かもしれない。だが、警戒はしておこう。

 このまま殺しきる事は出来ないだろうし、出来る頃には復讐にかられたナザリック軍団が取り囲むだろう。指輪の効果も無効化されればおしまいだ。

 そういう想定をしておくのは油断しないためには必要なのだが、物騒な発想も浮かぶのはクラスの影響なのだろうかと少しだけ苦笑する。

 

 ほんの一瞬だけマーレは眉根を寄せたがすぐに寝息を立てる。

 快楽続きで身体がダメージと判断しなくなったのかは分からないが、睡眠は持続したようだ。

 切り落とされた方は傷口がふさがり、身体の方は新しい男性器が生えてきた。

 本体から切り離されて垂れ下がるマーレの男性器は大人しくなった。すぐ保存をかけておく。

 マーレの性器、または男根(だんこん)と金玉(きんたま)というアイテムになるのかは知らないが、貴重な部位が手に入った。

 手のひらに乗る小さな男性器。勃起(ぼっき)する前だからとても柔らかいし、かすかに動いている。

 それをタオルで包み『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』に入れる。血は全て用意したタオルに落ちたので周りには飛び散らなかった事を確認し、安心する。

 去勢されたマーレの肢体(したい)は独特な美しさがあった。

 再生が終わった後、感触を確かめておく。数分後に改めて陰茎に刺激を与えて射精を確かめる。

 一度目は切られたことにより血が混じっていたが、量に変化はないようだ。

 射精時の嬌声(きょうせい)も異常は無く、気持ちよさそうな顔になっていた。

 二度目、三度目と繰り返し、五度目で安定した色合いの白い精子と確認した。

 タオルなどで拭き取った精液は風呂場で洗い流す。

 あとはポーションや回復魔法を使い、陰茎が小さくなるまで放置し、タオルで綺麗に汚れを拭(ぬぐ)った。

 無事に機能する事を確認した後、陰毛の生えていない綺麗なマーレの男性器を少しの間眺めた。

 そして、それを繰り返す。二回、三回と搾取するごとに血の混じりも少なくなり効率が上がる。効果切れのおそれがある探知妨害も忘れずにかけ直す。

 声変わりを抑止するには一度の射精も必要としなくさせる必要がある。

 回数を重ねるごとにマーレの肉体も慣れてきたのか、痛覚を快楽と認識し、眉は寄せなくなって安心した顔のまま眠り続けた。喉にもポーションを塗り込んでいるが効果は喋らせないと確認できない。

 作業風景は桃(もも)の収穫のような感じだろう。小さくなるまで待つのは大きい時に切ると出血量が増えるおそれがあるからだ。

 大胆に、繊細に、効率よく。

 耳と目の採取も終えて、下半身に集中する。

 嬌声も今のところ変化は感じられない。

 一時間はかけただろうか。時を忘れて夢中になってしまう。

 『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』に詰め込まれる小型のぶくぶく茶釜達と闇妖精(ダークエルフ)の耳と眼球。

 収穫しすぎた気もするが仕方ない。それがヤントラというエロい煩悩にまみれた存在なのだから。

 最後の方は一度の射精で満足する結果になったので、最後の一個は再生後に確認する作業は行(おこな)わなかった。というよりは最後は首の切断だろう。即死耐性の装備も忘れずに。

 身体も小さいし、耳を難なく切り取れたのだから。

 多めに。というか再生による劣化コピーの生産のような気もする。

 正直、最初からやればもっと時間が短縮できたのでは、と疑問が残る。

 考えても仕方ないし、出来なかったら二度手間だ。

 部位を整頓し『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』に入れれば後は証拠を隠蔽(いんぺい)する作業だ。

 複数体のマーレもアイテムに収納すればアイテムボックスに放り込める。

 残しているとアルベドが騒ぎ出すだろう。

 

 全てが終わった後、身体の各所をマッサージする。特に股間接部分は入念に。

 部屋はメイド達に掃除してもらえば良いか。

 精液と血液にまみれた臭いタオルは私物なので持ち帰って洗いなおすか、焼却処分にするしかないかもしれないな。

 下着を履かせて、荷物を片付ける。

 手に入れた部位や精液などは特に用途は決めていないが、何かの素材になるか、ならなければ責任を持って飲むだけだ。もちろん、泣きながら。

 いや、素直に堆肥等にした方がいいだろう。

 とにかく、それらは後で考える。

 窓を開けて空気を入れ替える。それと飲食不要の指輪は回収しておく。

 疲労を感じているのか、気持ちよく眠っている。

 小さな身体以上の射精をし、様々な部位を切除された後とは思えない寝顔だ。

 これだけの事を行(おこな)ったところでヤントラの精神は罪悪感はあっても明日になれば忘れてしまう程度の些細(ささい)ないたずらに過ぎない。

 年齢は七十代中頃という設定なので少年と呼ぶのも疑問を感じる。

 ドワーフはずっと少年のようなものだろうし。

 記憶が欠如しているわけではないが、出来る事なら意識のある時に好き放題、射精させてみたい気持ちがあるくらいだ。

 煩悩にまみれているが自制は出来る。というか自制が出来ているなら数回でやめておくだろう。

 興味が強いのかもしれない。目の前で観察が出来るのだから、冒険心がうずくだろう。

 酷くてエロい冒険心だが。

 興味本位でアウラと合体(性行為)していたらさすがのアインズも去勢に走るのだろうか。それとも知らない振りをするのだろうか。

 ギルドメンバーを大切に思うなら止めるかもしれない。

 ヤントラは止めないだろうな。人間種だが倫理観は既に崩壊しているようなものだから。

 

●↑●

 マーレの体勢を整えて掛布団をしっかりとかけておく。

 起きたら騒ぎ出すか気にはなるが、命令に従順なNPCなら些細な事は気にしないかもしれない。

 装備がなくなっていたら騒ぐだろう。

 マーレの装備品には神器級があるにはあるのだが、素材は気になる。

 それから下に居る森妖精(エルフ)達はどうしているだろうか。

 デミウルゴスの言葉に従い、実験と称して繁殖行為に及ぶかもしれない。

 せっかくメイドになったのに性奴隷になってしまうな。

 森妖精(エルフ)と闇妖精(ダークエルフ)だと何エルフが生まれるんだろうか。やっぱり半森妖精(ハーフエルフ)なのかな。

 半闇妖精(ハーフダークエルフ)は聞いた事が無い。

 眠る少年の頭を優しく撫でる。

 悩んでいても仕方が無いので、睡眠効果を解除してマーレを目覚めさせた。

 快楽の夢から覚めた少年のような火照(ほて)った顔ではあったが。

「二時間と少し。身体はなんともないか」

「……あ……、え……」

 ぼうっとした顔で自らの身体を触っていく。

 特に耳。ちゃんとあり、目が少しだけ痛かったが周りは見えているようだ。

「……すごく脱力感が、……あります。……腰周りが……少し違和感が……」

 軽く足を動かすが痛みは無い。痛かったような気持ちよかったような、表現に難しい事があった気がする。

 動きに支障が無ければ問題は無いか、とマーレは納得する事にした。

「顔を洗って風呂で身体を洗うと良い。沸かしておいたよ。あと、装備品は確認しておいてくれ」

「は、はい」

 マーレはまず自分の指にはめている指輪を確認する。

 それからベッドから降りると足に力が入らず、転びそうになる。

「あれれ……」

「疲労はいずれ回復するだろう。後で森妖精(エルフ)達に食事でも作ってもらえば良い。仕事は与えないとね」

「そ、そうですよね」

 這(は)い蹲(つくば)るような形で風呂場に消えていくマーレ。

 出来ばかりの身体だから仕方がないのかもしれない。

 

 数十分かけて戻る時には立って歩いてきた。さすがはレベル百のNPC。

 戻ってきたマーレに回復ポーションを飲ませた。

「それで……どうでしたか」

「言い難(にく)いが……、行為は可能、と言っておこう。……アインズに殺される理由が一つ出来てしまったかもしれないが、デミウルゴスのせいだから仕方ないか……。マーレは普段どおりに仕事に従事していてくれ。後で何かしら直接、本人が説明してくれるだろう」

「な、なんか、すみません」

 何度か頭を下げて謝罪するマーレ。声変わりは起きていないようだ。

 NPCだからかどうかは分からないが、声変わりしないかもしれないが、急に変わればアウラも心配するだろう。

 あと、繁殖行為を勝手にやったら間違いなくアインズは異変に気づくはずだ。

 それと今までの作業に姉が同席していたらと思うと空恐ろしいが。

「……少し違和感はあるだろうが……、明日には解消しているだろう。驚異的な肉体能力を持っているのだから。第九階層のマッサージを受けてみるのもいいな」

「そう、ですね。わ、わかり、ました」

 疲労は魔法ではなく、自然の睡眠で解消するだろうとマーレは思うことにした。

 それにしても何をされたのだろうか、という疑問は残る。風呂場で確認する限りは何も変化はなかったし、痛みも無かった。

 あとでアインズ様から聞けば良いか、と納得する事にした。

「森妖精(エルフ)達を大切にな。……念のために装備品の確認をしてくれ」

「はい」

「部位は頂いたが見ないほうがいいだろう。鏡で何か無くなったものはあったか?」

「顔は特に……」

「あとはゆっくり休息を取ってくれ」

 一つ一つ丁寧に鑑定魔法をかけて確認し、装備していくマーレ。

 MPは豊富なので苦も無く作業を終えていく。

 全ての鑑定を終えると完全武装の階層守護者が姿を現す。

 神器級の杖(シャドウ・オブ・ユグドラシル)を持つと安心したような幸せそうな顔をする。

「神器級は例外として、他の装備素材は良いものを使っているよな。豊富な材料を持っているのは少し羨ましい」

「ありがとうございます」

 笑顔が輝く闇妖精(ダークエルフ)の少年は命令には従順。

 気弱に見えるが敵には容赦しない。階層守護者に弱者は居ない。

「森妖精(エルフ)に部屋の掃除をさせた方がいいだろう。汚いわけではないが、気分転換用に」

「分かりました」

「飛行のアイテムは言ったな……。戦力増強については……、召喚やアンデッド作成とは違い、赤子の頃からじっくりと育てなければならない。それには数十年もかかるだろうから効率はよくない。新しい種族が出来るかもしれないけれど……。即戦力にはならないぞ」

「はい」

「森妖精(エルフ)も人間種。肉体的に優れた種は期待しない方がいいかもしれないが、ナザリックの為に考えるのは悪いことではない」

 ヤントラは腕を組んで鼻を鳴らす。

「アインズと話し合いはするが、マーレは普段どおりにすごしてくれ。マーレは何も悪くないんだから。では、忘れないうちに失礼する」

「は、はい。お気をつけて、バスパ様」

「ありがとう」

 そう言って一階に向かった。

 

 マーレは今後、どうなっていくのだろうか。少し心配になってきた。

 もう少し身体が成長すれば文句は無くなる、のだろうか。

 そんなことを考えているうちに一階の部屋にたどり着く。

 三人の森妖精(エルフ)は大人しく食事しながら話していた。

 メイドの方はびっくりしたようだが。

 まずは探知妨害。マーレに比べれば弱いが、無いよりましだ。

「……どう言えば良いのかな?」

「な、何が、ですか?」

「君達、奴隷からメイドになり性奴隷になるとしたら受け入れられるか?」

 冷酷な言葉がそれぞれの森妖精(エルフ)は怒りを露(あら)わにする。だが、表情だけで言い返してきたりはしなかった。

「ナザリックの者達は命令があれば仲間以外には容赦しない。君達もな。覚悟だけはしておきなさい」

「………」

 二人からの返答は無いが、拳には力がこもっていた。

「それから飛行のアイテムについて頼んでみたから。あと、あとで七階の部屋の掃除をお願いするよ。本は動かさなくていい」

 無言で二人のメイドは頷いた。

「君たちの為に戦いに行ってくるよ。いい返事は期待しないように。ルリマリスさん、行きますよ」

「……はい」

「私を恨むのは構わない。信じてくれるのであれば頑張るよ」

「あなたの何を信じろと……」

 地の底から沸き立とうとする怒りを抑えながら森妖精(エルフ)は言った。

「君たちが繁殖材料になるかならないかの問題だ」

「ぐっ!?」

 三人揃って呻いた。

「支配者の裁量次第なところはあるが、覚悟だけはしておいてくれ」

「……つまり……あ……」

 三人は理解した。

 自分達の未来を。

 自然と涙が溢れ出てくる。

 ここも地獄だったと再確認した。

「……あの糞野郎に比べたら……ましか」

「……ううっ」

「いい事がありますよ」

「え……?」

 ヤントラも微笑みも悪魔の形相に見える森妖精(エルフ)達。

「ここには罠がたくさんあります。ですが、罠避けにはされません。自分達で設置したのだから君たちの安全はだいぶ守られる事でしょう。あと、彼らは人間種の裸には大して興味を持ちません。大半が異形種ですから。恐怖公は常に全裸ですし、コキュートスもある意味、裸です」

「い、異形……」

「……そうでした。ここはそういう人たちがたくさん居ました」

 ルリマリスも自分の事のように涙を流していた。

「この人にも言いましたが、君達は別に運が良いわけではありません。あと、アウラ達は気が変わりやすいかもしれませんが、暴力は奮わないでしょう。……少し上の階層守護者のシャルティアはすぐ殴ったり蹴ったりしますよ」

 最後の方は小声で言った。

 布巾を出して森妖精(エルフ)達の涙を拭(ぬぐ)った。意外と抵抗されなかった。

「衣食住には困らないと思いますが、自由なアウラ達のお世話を頼みます」

 森妖精(エルフ)達は姿勢を正して無言であったが頭を倒した。

「ちなみに他の階層守護者コキュートスが守る階層は凍死すると思うのでメイドは無理です。デミウルゴスに至っては牧場に連れて行かれるでしょう。守護者の中ではアウラ達のほうが人間種には安全な相手かもしれません」

 聞いているだけで恐ろしさを感じてきた。

「支配者の悪口さえ言わなければアウラ達は滅多に怒らないと思います。マーレは本などを大切にしてくださいね」

「わ、分かりました」

「し、親切なのですね」

「親切だけどいやらしい人です」

 ルリマリスの言葉を聞いてヤントラは苦笑する。

「身体には確かに興味があるみたいだけど……。……あと、本当に付いてない人だったわ」

「……ええっ!?」

「……見たのっ!?」

 三人の様子が明るくなってきたので少し安心した。

「結果が出るまで数日かかるかもしれないし、箝口令(かんこうれい)が敷かれて君たちに何も説明されないかもしれない。それはアインズ次第だが……」

「いえ、覚悟はしておきます」

「はい」

「引き続き、彼女は大切にするよ。いつか自由に会える場所が出来るといいな」

「はい」

 帰り際、森妖精(エルフ)の二人は深く頭を下げでヤントラ達を見送った。

 外に出てすぐルリマリスに目隠しが施され、第九階層に転移する。

 

◆ ☯ ☯ ☯ ◆

 ルリマリスの目隠しが開放されるとたくさんのメイド達が歩いていた。

「おお、こんなに……」

「君は食堂の方で待機しててくれ。あと、お風呂に入りたい時や食事はメイドに頼みなさい。死の大魔法使い(エルダーリッチ)達が居るが気にしないように」

「は、はい」

「殆ど異形種だが、人間は食べない、とはっきり言う事。では、ゆっくりくつろいで居てくれ」

 そう言ってヤントラは近くに居たメイドに色々と説明した。

 口唇蟲のお世話。

 ラキュースは先日会ったので今回は特に何も持ってきてないから後日にすることにした。

 問題は第十階層。

 行きたくない反面、行かなければならないし、直接対決しなければならないだろう。

 日ごろから培った対人術とも言うべきものが発揮される事を祈る。

 意を決して決戦地へ。

 いつも以上に荘厳さを感じるダンジョン最下層。

 カツンカツンと普段は気にならない自分の靴の音が聞こえる。

 アインズが居るときは緊張する。突発的に殺しに来ると思ってしまうからなのだが。

 最下層はそれほど複雑なつくりはしていない。

 絨毯が道案内の役目を負っている。

 玉座の間に来ると居るはず存在が居ない。

 見えているのは誰も座っていない玉座の横でモニターを監視している守護者統括のアルベドだけ。

「ここではなかったか」

 と、引き返そうかと思ったが確認だけしておこうと思い、アルベドの元まで向かった。

「ようこそ、バスパ様」

「言い忘れていた事があったな。ずっと立っていて平気か? 椅子に座ればいいのに」

「大丈夫でございます。玉座の隣りで楽をするのは不敬かと存じますので」

 言っている事は正しいが気にはなってしまう。

「一つ確認したいのだが……、モニターを見せてくれるか?」

「はい。どれをご覧になりたいのでしょうか?」

「階層守護者の様子だ。一覧表で良いのだが……」

 そう言うとアルベドが僅かに表情を曇らせる。裏切り行為の確認なのでは、と。

 だが、すぐにいつもの真面目な表情に戻す。

「畏まりました」

 アルベドが手馴れた動きで要望の画面を出す。

「では、どうぞ」

「うん」

 モニターにはアルベドから順に名前が記載されて出てくる。

 全員の名前の色に変化は無く、特に問題は無さそうだった。

 細かい詳細は省き、レベル表記だけ確認できれば問題は無い。

「何か問題でも?」

「特に無いな。支配を疑われたから敵対行為の確認だけだ。いくら私が仲が悪いからと言って……、結果的には敵対行為に見えるのかもしれないな。事態をうまく運ばせるには味方に正確に伝えられない事もあるし、もどかしいよ。……それよりモモンガは第九階層か?」

 モモンガの名前が出るとアルベドの表情が明るくなった。

「はい。自室に居られると思います。それからアイテム類はシズにより金庫に運び入れてもらいましたので、ご確認を」

「こういう時にしかシズを使えないとは……。かといって他のメイドは心もとないし。仕事を与えるのは難しいな」

「はい」

「失礼した。……二人の英雄の運命はどうなるかな」

 アルベドに挨拶して第九階層に戻った。

 それから直接、アインズの自室に向かう。

 第九階層は様々な施設があり、とても広い。

 ギルドメンバー全員の個室も完備されている。

 一般的には扉には護衛の昆虫型のシモベなどが配置されているが、空室になってしまった部屋は現在、メイドの為に開放されている。

 護衛達は他の階層に移動させられており、第九階層は比較的物々しくない。

 だが、アインズの自室は違う。

 中に誰にも見せられないものとか、護衛の八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)ですら立ち入り禁止にしてしまう。

 扉を無理に開けようとすれば様々なトラップが発動する。

 ヤントラは扉を数回ノックする。そんな彼をメイドや不可視化している八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)達が見守っていた。

 本来ならば中に控えのメイドが居て取り次ぐのだが、アインズは誰も入れない質だ。

 物音すらかき消しているので中の様子は外からでは分からない。

 数分後に声が聞こえてくる。

 誰も入れていないのだから自分で対応するしかない。

 開けずとも何者かは探れるだろうが支配者としての態度を取らなければならないために仰々しい言葉使いになる。

「ヤントラだ」

「入れ。ただし、他のものは控えろ」

 扉の鍵が解除される音が聞こえたので扉を開けると更に複数の扉が視界に移る。

 魔法によって声だけ飛ばしてきたのだろう。

 遠くに居る相手にも届くようにする魔法は存在するようだが、今はそんなことはどうでもよかった。

 入ってすぐに扉を閉めると勝手に鍵がかかった。

 セキュリティに関して人一倍気にする男なので仕方が無い。

 ヤントラが向かうのはアインズが一人で仕事をする部屋だ。

 他にもドレスルーム、ベッドルームがある。

 アンデッドは睡眠を必要としないが用意はされている。

 一見すると見晴らしの良い部屋だが、魔法的な防御対策は何重にも施されている。

 

 目的の部屋に到着し、ノックすると鍵が開く音がした。

 これが普段のナザリックにおける厳しい管理体制だ。

 とはいえ、ここまで厳重なのは数人くらいだが。

 二度の挨拶で中に入る。

 アインズの趣味はとても機能的であり、質素なたたずまいだ。決して装飾を華美にして飾り立てる事はしない。

 アインズは大きな椅子に支配者らしい座り方でヤントラを出迎える。

 骸骨の顔に表情は無いが真っ直ぐに相手を見据えている。

「良く来たな。何の用だ?」

「……一つはありがとう。私の小言など聞きたくないだろうから省くぞ。悪魔や帝国も関知しない」

「アイテムのことはシズに任せてある。……確かに小言は聞きたくないな」

「貧乏貴族だからお手柔らかに。随分と利用させてもらっているのになかなか恩返しが出来ない。戦闘メイドとは戦わずに済んでいるが……、お前は彼女達と我々を攻撃させる意図でもあるのか?」

「そんなわけないだろう」

「そうだといいな。敵だとしても話し合いはする。それが政治としては普通の事だ。単純な復讐では殺し合いにしかならない。それでは不毛だ。と、私は思って干渉している。……吸血鬼騒動の洞窟には脱出口があるそうだぞ」

「んっ!? だ、脱出口、だと……」

 アインズは身を乗り出すように唸った。

「生き残りが居るかもな。変な説明していたら致命的だろう」

「……貴様……」

 何を狙っていやがる、この男は。とアインズは怒りに似た視線をヤントラにぶつける。

 吸血鬼は倒された事になっている。ただ、生き残りが居るという報告は受けていない、というよりは報告どころではない事態だったからだが。

 事前に調査すべきだったとアインズは頭を抱える。そして、精神が安定化される。

 種族の特性で一定以上の感情は抑制される。

「弱みを握るようなマネはしないさ。確かに冒険の邪魔をされてイラつく事はあるが、ナザリックの皆の事を考えて慎重に動いてはいるよ、私なりにな」

「………」

「時々、怒りが現れるのは仕方ない。人間種なのだから。自作自演の嫌いな私が最近はお前の尻拭いをさせられて困っている。自分自身に呆れてきたよ」

「………」

 小言は言わないと言っていたのに小言が始まってしまったな、とアインズは思った。

「アインス・ウール・ゴウンの名前が出る度にスレイン法国と関連付けられるんだぞ。いい加減にしろよ、と言いたくなるんだが……。どうにかならないか?」

「あ、ああ。そういえば……」

 部下達の報告にも上がっていた事を思い出す。

「エンリが疑われるし、様々なところで出費が嵩(かさ)んでいる。エンリのために金貨二百枚近くかかることになった。お前、ちゃんとカルネ村を守ってやれよ。私も少なからず気にしているけどな」

 ルプスレギナからの報告では平和だと聞いていた。というか、あいつがちゃんと仕事しているのか、確認していなかった。

 エンリの事も初耳だった。

「直接、会ってやれないのか? アイテムについて説明してやってくれよ」

「招待する計画はある。……なるほど、色々と迷惑をかけているようだ。アイテムはこちらでちゃんと説明しておこう」

「アウラにも協力してもらうことになるとは……。あの村、蒼の薔薇も不思議がっていたぞ。あらゆる騒乱が集まってるから」

 ちゃんとした報告を受ける必要があることは認識した。

「……ここからが本題だ。一層の探知妨害を頼むよ」

 言われなくてもこの部屋は最高機密扱いの徹底的な阻害魔法をかけてある。

「そこまですることか?」

「そうだ」

 ヤントラはアインズの側に行き、しゃがみこむ。

 それはまるで主に跪(ひざまず)く従者の姿だった。

 そして、秘密の会話が始まる。

 途中でアインズが唸ったり、声を上げる場面が複数回続く。

 後半は素の喋り方になった。

「アウラ達と合体か……。それは確かに……、いろんな意味で不味い……気がする」

 精神の安定は数十回は続いた。

「森妖精(エルフ)達の扱いも考慮してほしいところだが……、最終的にはアインズ様のお言葉だ」

「う、うむ」

 聞けば聞くほど肉体があれば顔が赤くなって恥ずかしくて転げまわる事態だ。

 デミウルゴスの野郎、と小さく呟くこともあった。

「……しかし、行為が出来るって……、どうやって確かめた?」

 言った後ですぐに恥ずかしさのあまり精神の安定が連続で起こったほどだ。

「寝ている間に確認するしかないだろうから、こうやったりだな……」

 と、手で仕草を表現した瞬間にヤントラの顔面を殴りつける。

 もちろん、ヤントラには想定内だがかなりの打撃が加えられ、近くの壁に後頭部を打ち、血が垂れる。

 勢いで殴ってしまったアインズは回復魔法の使用を許可した。

「あ……謝らないぞ!」

「……う、こっそりとやられるより良いだろう。だからこそ、秘密で会話しているんだ」

 ヤントラは顔を抑えつつ文句も言わずに言った。

 相当な攻撃力なのは理解した。

 神器級装備で固めているが魔法詠唱者(マジック・キャスター)とは思えない物理攻撃の強さだ。ただ単にヤントラのような人間種がもろいのかもしれないが。

 木っ端微塵にならなかった分はたいしたことがない、とも言えなくはない。

「私はエロいプレイも辞さないからな。……とはいえ下半身が機能しないから子孫が出来ないぜ」

「違う意味で最悪だな。ペロロンチーノさんとは対極の変態だよ。ドン引きものだ」

「あの変態とは違うのだよ。女性の身体の扱い方には定評があるほどだ。ラキュースに首輪とかつけたりしないぞ」

 自信たっぷりに言ってんじゃねーよ、とアインズは思った。

「……この世界でお前は覚醒したようだな、エロ魔神とかに」

 変なやつとは思っていたが自分が思っていた以上に変態と化していたとは。

「エロくても終わればお前の精神の安定化のように覚めてしまうのさ。とにかく、こう……」

「……見せなくて良い」

「……知ることは大切だぞ。私は煩悩に従う。有り余る性欲は決して発散できないがな」

 聞いているだけでもう一発殴りたくなってきたアインズ。

 それでも確かに知ることは大切なのだろう。自分はただ、逃げているだけだ。

 知るのが怖い事もある。

 知らないままで大きな事態になっていることもあるだろう。

 どこかで覚悟を決める必要が出てくる。それも誰も助けてくれない時に限って。

「……よし、聞こうか。それでどうなったのだ?」

 ヤントラは小さな声で告げた。

「………」

 少し呆れた。そして、数分の沈黙の後にアインズは気がつく。

「はっ!? NPCがか?」

 原住民ではなく創造者が丹精こめて作り上げたNPCだ。

「詳しく言うのはやめておこう。確認は出来た。繁殖が可能かもしれない。寝ていたマーレはよく分からないだろう」

「あ、ああ、それでアウラと……。いやまて! えっ!? マジで! ああそうか。そりゃあ、不味いわ」

「マーレは悪くないんだ。ナザリックの戦力増強を思ってのことだから」

「……というかお前がそそのかしたんじゃないだろうな?」

「男の子にも興味あったので、色々と……」

 アインズは今度は軽くだがヤントラの頭を殴った。

 骨の拳なのでじかに打撃が伝わる。

「装備品は取ってないからな。それは安心しろ。従順なマーレだから頑張ろうと……。アウラが居なくてよかった。うっかり質問していたと思うと……、案外……やりそうな予感がするから怖い」

「う、うむ。これは由々しき事態だ」

「それに森妖精(エルフ)が二人居るから……。一応、お前に言うから覚悟はしておくように言っておいた。出来ればマーレに極秘で結論を伝えた方がいい。森妖精(エルフ)達はそれとなくでいいか」

 自分で言うのかよ、と思いはしたが、支配者としての責務なのだから仕方ない。

 仮にヤントラが言ったところで意味が無いだろう。

「自分の知らないところですごい事になっているぞ。マーレには繁殖させても育てるのに時間かかるよ、と言っておいた。仮に認めた場合は戦力にするのに手間暇かかるだろう」

 ナザリックがエロい所になって行きそうで涙は出ないが泣きそうになってきた。

「墳墓の外なら関知しないだろうが、墳墓内の問題だからな。しかも階層守護者。アルベドのところで睡眠による弊害(裏切り行為など)が無い事は確認した。……驚異的な肉体を持っていると凄いわ」

 少し喜ぶヤントラを殺せたら殺したいところだが、怒る相手が違うので困り果てた。

「命令なら従うだろう。アイデアとしてはマーレ達には繁殖行為は関知させない……、やらせない方法を与えたほうが良いだろう。というか、デミウルゴスにどんな事を言われたのか正確には知らないがな」

「……分かった。あとでマーレと個人面談する」

「……ちなみに……」

 ヤントラはまたもアインズに耳打ちする。

「NPCでもそうなるかは分からないが、その時は覚悟してくれ」

 内容は声変わりだが、アインズは唸るしかない。

 では、先ほど確認したのならマーレの声は今、どうなっているのだろうか。それを逆にアインズは耳打ちで尋ねた。

 とても大事な事に思えたから恥とか頭には無かった。

 尋ねたら素直に答えるヤントラ。

「……変態の発想には適わないな……。あとで会って確認する」

 違う意味で世界を破滅に追い込むんじゃないのかとアインズは心配になってきた。

 その後は耳打ちのやりとりが続く。

 聞けば聞くほどヤントラの変態的な性癖にドン引きするのだが、精神の安定化のようなものが働き、ナザリック全NPCのコンプリートは無いようだ。ただし、信用できない。

 正直に話すとは思っていたが羞恥心が無いのも転移による弊害なのだろうかとアインズは疑問に思う。

 NPCを洗脳しているわけでもないし、洗脳されていればアルベドが気づくはずだ。それに自分の眼でも管理モニターの確認はしている。それを騙すアイテムがあるとすれば世界級(ワールド)アイテムくらいなのだが、ヤントラ自身が世界級(ワールド)アイテムではないことはユリの持ち帰った残骸を調べて確認している。

「それから、もう一つ。こちらはユリから聞いたやつだ」

「ん……。それもエロい奴じゃないだろうな?」

「なるかもな。部下への褒美については聞いたんだろう?」

「ああ、一応は報告を受けた。なかなか良いアイデアだが、風呂で、というところが……。お前らしいな。今更だが、バカかお前」

 バカなんだろう。

 どうしようもないくらいに。

 それでも聞いてくるように命令したのは自分だ。聞いた自分が本当のバカかもしれないが、それは飲み込む。

「バカなりの発想しているだけだ。それでだ。ユリには言わなかったが褒美アイデアに『失態を犯しても怒られない券』を発行したらどうだ?」

 聞いているだけでバカっぽい。

「部下の失態を帳消しに……か……」

 良いアイデアに聞こえるからムカつく。

「アイテムは豊富だし、資金なんか意味ないだろう。世界級(ワールド)アイテムでも与えるつもりなのかは知らないが……。序列を作ると争いそうで……」

「序列は無いが……。争うか」

「風呂の件はアルベドが危ないと思うから、物理的に」

「……風呂で部下を労(ねぎら)うのも悪くは無いが……。女性陣は確かに難題だろう」

 と、言ったところで『失態を犯しても怒られない券』は危険な匂いに感じてきた。

 

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