※この作品はR-18です。

ゲームオーバーから始めようか   作:モモンガ

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F-8 アルベドとシズ

 広い居間だからこそ一メートル半四方はある大きな箱を二つ並べてもまだまだ余裕が感じられた。

 全てを脱ぎ終わるまで十分近くかかったようだ。その間に持ち込まれた石鹸類は取り出しておいた。

「どうぞ」

 寝室に入ると色白の美しい悪魔が裸で立っていた。脱げるものは全て脱いだようで下着類も無く、裸足であった。

 真っ直ぐに伸びた黒髪は膝に達するほど長く、豊満(ほうまん)な胸も両腕に挟まれていた。

「美しい身体だ」

「ありがとうございます」

「傷をつけるのは申し訳ない。……特殊技術(スキル)の確認をするから結構、面倒をかけるよ」

「はい」

「再生に時間がかかるのだが……、どれくらい居ても大丈夫だろうか?」

「謹慎が終わるまでは大丈夫だと思いますので、明日一杯までは……。お付き合い出来るかと。箱が足りなければ追加しても構いませんよ」

 明日一杯まで箱の中にどれだけのものを入れられるのか、楽しみでもあり、恐ろしくもある。

「一日経つと特殊技術(スキル)が復活するだろうが、君の期待に答えなければな」

 更に箱を一個追加。こちらは野ざらしになっている分を入れる為だ。

 アルベドに背中を向いてもらい、水桶とタオルを用意した。

 それから探知妨害と静寂をかける。

 睡眠の前に『魔法の矢(マジック・アロー)』を打ち込む。

 反撃(カウンター)の特殊技術(スキル)により打ち返される。その程度でヤントラは動じない。

 回復魔法をかけてクレマンティーヌから貰ったスティレットを取り出す。

 それから三着の軽装鎧を出し、アルベドに身に付けさせる。その上をタオルで巻く。

 アルベドは大人しくしていた。

 ガーディアン、ブラックガードなどのクラスを持っているので鎧は装備できる。

 職業(クラス)を持っていないと装備できない者が多々、ある。

 一般的な魔法詠唱者(マジック・キャスター)が重厚な装備で身を固める事ができないように。

 用意が出来たところで鎧の身につけてない尻辺りを思いっきり突く。

「!?」

 ギギ、という音ともにアルベドが受けるはずの攻撃が鎧に伝播(でんぱ)し、傷つく。

 別の箇所も攻撃したが、これも防がれる。更にもう一撃と続く。

 四回目はアルベドの腕を突く。今度は少し刺さった。

 血が出たのを確認し、ナイフで更に切りつける。やはり防がれない。

 回復魔法をかけた後は綺麗に血をふき取った。

 タオルを解(ほど)き、鎧は回収する。

「下準備は終わりだ」

「さすがです。それから解除出来る特殊技術(スキル)は解除しておきましてので。では、お休みなさいませ」

「バラバラにしたまま帰ったりしないよ」

 そう言うとアルベドは苦笑した。その後で眠らせた。

 まずは彼女の長い黒髪を丸めるように縛っておく。

 床にシーツ、タオル数枚を敷いてからアルベドを座らせる。

 守護者統括という任についているのだから採取の数は多めにしようと思った。

 防御力では最強というアルベドに相応しい武器で対応する。

 『処女の業(ヴァージンカルマ)』のナイフを用意しておく。

 魔法で筋力と敏捷を上げる。

 まずは眼球と胸。痛みで目覚める度に眠ってもらうが数が多い。でも、一人だけに対応するから大丈夫だろう。

 通常の倍。MPの量は多くないので本命に費やす事にする。

 多ければ良いというものでもないので適当なところで止めておく。

 血が垂れても良いようにアルベドの顔にタオルを巻くが瞬く間に血で染まっていく。

 切れ味が良いのか特殊技術(スキル)を突破しているか分からないが問題なく採取できている。

 再生が遅いのが難点だが。

 巨乳の詰め合わせが出来てしまった。

 次にアルベドをベッドにうつ伏せにする。

 顔には涎防止のタオルを当てておく。

 大きな黒い翼なので再生も時間がかかるかもしれない。

 まずは二枚いっぺんに搾取。形の良い尻がよく見える。

 再生している間に荷物の整理をする。

 翼の再生は十分かかるようだが十枚分でやめておく。

 更に二枚搾取するが再生は後回しにする。これから少し暴れるだろうから。

 翼にバタバタされると困るので。

 彼女にアダマンタイトのメイスを両手で握らせた。

 へし折ってもいい武器だが、真ん中で折ってくれたほうが都合が良い。

 早速、桶を用意し、両足の間に跨がせる。

 魔法で敏捷などを上げて肛門に指を出し入れする。素早くやらないとアルベドの手がどう動くか分からないためだ。

 嬌声を上げても誰にも聞こえないので好きにさせた。

 アルベドの艶(なまめ)かしい快感に打ち震えるような声。それを外にいる連中に聞かせても種族が違うので異変としか思われないのだろうな、とヤントラは残念に思う。

 勢いよく指を引き抜くと括約筋が盛り上がったりしぼんだりを繰り返す。

 下腹部を押しつつ背中を撫でる。

 嬌声を上げつつ顔を断続的に仰け反らせているので限界が近いようだ。

 肛門を開いて覗き見るが何も見えない。更に指を入れですばやく刺激する。すると一気にまた顔を仰け反らせる。

 それからそのまま一声大きく嬌声を上げて顔をベッドに落とす。

 肛門が一気に開いて中からゆっくりと便が出始める。

 下腹部を撫でつつ尻周りも撫でる。

 気持ちが良いのかモリモリと出てきた。そのまま途切れずに弧(こ)を描きつつ桶に落ちていく。しかもとても長い。

 ある程度の長さが出てきた後、一気に勢いが増して桶に落ちていく。

 桶からこぼれないように注意しながら見守った。

 とぐろどころか満杯になるくらい出て続けた。どれだけ我慢していたのだろうか。

 息遣い荒く便(べん)を出し続けるアルベド。

 桶をもう一個追加するが勢いは止まらない。部屋を埋め尽くすまでだとすごい事になるだろう。

 二個目の中ごろで打ち止めのようだ。少し安心した。

 この身体の中に入っていたとは思えない量にびっくりした。

 ビッチ設定だった頃の名残りや弊害だろうか、溜め込みすぎな部分は顔をしかめる事態だ。

 それとも明日になれば同じ分量を出す特殊技術(スキル)ということもあるかもしれない。

 老廃物は溜めていても身体には良くないと思うが、NPCには分からない事だったのかも知れない。

 溢れた分を移動させて蓋をする。手洗いするとはいえ便(べん)を手で触るのは倫理観の欠如しているヤントラも苦笑する事態だ。

 女淫魔(サキュバス)でも臭いものは臭い。

 空気の入れ替えをしなければ女性としての沽券(こけん)に関わるだろう。

 確認の為に肛門の刺激を続けるとまた少し長い便が出始めた。

 最初から噴出すように一気に滑り落ちて、一気に終わった。その後は数分間の刺激でも肛門が開閉するだけで何も出てこなかった。

 普段は何を食べているのだろうか。茶色から黒。あと良く分からない色も見えた。

 正直、便など集めてもどうしようもない。というか、何も考えていない。

 水漏れ防止の桶とはいえ箱の中にまとめるのは嫌だな、と思った。

 この分だと尿も相当量が出そうだ。

 案の定、瓶では納まらないので大きい容器に移し替える。

 打ち止めになる頃には容器の七割近くを満たした。

 排泄している間はずっとメイスを握って耐えていてくれた。

 なので狂乱する作業は逆に少ない量でやめた。それでも噴出量は凄かった。

 数分で小さな桶を満たすくらいだった。

 性器周りなど拭ける所は拭いておいた。

 次は性器と子宮付き性器。腰の翼の再生と同時進行でこちらも倍の数を採取する。

 両足を開いて性器をさらけ出すアルベドだが、暢気に観賞はしていられない。

 時間のかかる再生にもどかしさは感じるがサクサク切っていく。

 切れ味がいいのか、刃の通りが良い。

 盥(たらい)で余分な血はまとめて洗い流す。

 角(つの)は切らない事にした。

 ガリガリと削る事になるし、なにより再生するか分からない。

 翼が予定数を終える頃に性器なども予定数を終えた。

 大きい部位は再生に時間がかかる。

 膀胱類は見た目には人間と大差ない大きさだが、どこに入っていたのだろうか、というほど液体を溜め込んでいたのが不思議だった。

 便を入れた桶に匂いを確認した香水を振りかけて『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』に入れる。更に上からシーツで包む。

 寝室から出入り口まで用意してもらった消臭剤や芳香剤で匂いを消していく。

 絶対にこぼれてはいけないので。汚いものは先に箱に入れる、事はやめてアイテムボックスに入れておく。それからアルベドの全身をタオルで拭いてうつ伏せにする。

 翼が形を保ってちゃんと再生しているか確かめる。

 ひっくり返すたびに揺れるアルベドの巨乳。

 次は返り血が飛び散っても良いようにタオルとシーツを配置していく。

 三体の天使達にアルベドの髪の毛を持ってもらう。

 次にアルベドに即死耐性の額飾りを装備しておく。

 処女の業(ヴァージンカルマ)のロングソードを出す。

 探知妨害と静寂をかけなおし、敏捷と筋力を上げていく。

 髪の毛を守らせて膣を刺激する。嬌声を上げた瞬間に剣を振りぬきつつ魔法を唱えていく。

 防御を突破しやすい効果のお陰か、苦も無く静かに斬ることが出来た。

 普通なら様々な対策が取られるだろうし、アルベドを倒すのは容易ではない。

 部位の搾取とはいえモンスター退治と変わらないかも知れない。

 胴体が離れた瞬間の首に再生の魔法かけてから、倒れこむ胴体にも魔法かける。

 再度睡眠をかけつつ髪の毛が邪魔にならないようにしてうつ伏せにしておく。

 胴体の方の首が出来つつあるのを確認し、移動させる。

 双方の欠損した部分から新たな肉体が形成され始めるのは人体の神秘か、魔法の奇跡か。

 

 首から胴体が完成するまで二十分から三十分ほど。

 後は同じことの繰り返し。それで出来たアルベドは十体。本体が完成する間、二対ずつシーツに包んで、木箱に納めていく。それを五つも繰り返せば結構な重量になるかもしれない。

 全てに『保存(プリザーベイション)』をかけているとはいえ手間隙はかかるものだと疲れを少し感じた。

 腰の翼の関係もあるがうまくまとめておく。

 最後にシーツで覆い翼を入れた包みを乗せる。これで箱の一つはだいたい一杯になった。

 それがまだ後二つある。

 適度に休憩や食事を交えつつ部屋の掃除などをしていく。

 隠蔽用に各十枚ずつの採取をしていく。これはほぼ蓋代わりだ。

 抜け落ちる黒い羽。それらは小さな皮袋にまとめておく。

 今の配分では箱が二十箱は必要になるかもしれない。さすがに明日一杯は多すぎるだろう。

 今回は私の負けのようだ、と早々にヤントラは敗北宣言しつつ作業は続けた。

 二箱目を終えて三箱目は二体でやめる事にした。

 二十数体のアルベド。管理画面にずらっと並ぶ光景は異様だろう。アインズを取り囲む大量のアルベドたち。

 

 一斉に喋ったら恐ろしい事態になるだろうな。こんなに居ても養えないが。

 三箱目の一体目はせっかくなので擬似(ぎじ)性行為(せいこうい)を、と思いはしたが虚しいだけなのはラキュースで実践済みだ。

 あと、アインズが悲しむと思った。それどころではないかもしれないけれど。

 男だろう女だろうと身体をこすり合わせることしか出来ない。

 身体を拭いて身なりを整え、一体目を処理する。

 続けて二体目に取り掛かる。今度は絶頂によって大きな桶を半分ほど満たしたところで首を撥ねてみる。

 幸せそうな顔のまま胴体は潮を噴き出しながら倒れこむ。

 首のほうも涎をたらしながら再生が始まっていく。

 頭部を再生しながら身体を震わせて噴く姿は女淫魔(サキュバス)らしい淫靡なものだった。

 脱水症状にならないのが何度見ても不思議に思う。

 再生が終わる頃には収まっていく。

 最後の身体が再生しきるまでの間に部屋の掃除と後片付けを始める。

 それらが終わる頃に装備を回収し、膣の具合は先ほどの結果で確かめなくても良いだろう。

 アルベドの絶頂はタオルを当てていないと周りに飛び散る勢いがある。

 それから装備を回収しポーションを飲ませて全身をマッサージしていく。

 忘れ物がないか確認し、箱の様子を確認する。

 女淫魔(サキュバス)は手に入ったが、今までの者を使役するとナザリックを滅ぼせそうだ。

 部位の収集も何かの選択肢なのだろうか。

 世界を滅ぼすか自分を滅ぼすか。

 一斉に暴走すれば世界は滅びるだろう。

 どちらが先かという問題に過ぎない。

 どのような結末だろうとやりたいようにやらせてもらうだけだ。

 

 一時間後にアルベドを起こす。

 アルベドシリーズ。

 下手をすれば便だけで一箱埋められるのでは思ったが、杞憂に終わって良かった。

 体液は豊富のようだ。それも今までよりも尋常ではない量だ。

 ビッチ設定の弊害だと思いたい。

 夢見心地の気分だったのか、女淫魔(サキュバス)特有の艶っぽい顔を見せる。

「二日目は諦める事にしたよ。多すぎても扱いに困るからね」

「……なんだかすごい事がたくさんあったような……」

 頭を振りつつ自らの身体を確かめる。

 腰の翼はあるし、角もある。

 手足の欠損も無い。けれども何もしていないわけではないだろう。

「う~ん」

 姿鏡を見ても何も変わったところは無かった。

 せいぜい髪の毛が結ばれているくらいだ。

 あと、僅かに臭い匂いを確かに感じる。

 それは空気の入れ替えをすれば良いのだろう。

 散々確かめた後で服を着る。

「……確かめるのは怖いけれど、今更自分の翼を見ても仕方が無いでしょうね」

 指輪が無事だったから後はどうでもよかった。

「どのようなご活躍なのか、楽しみにしております」

「戦争後はたぶん……、ひっそりと暮らして過ごすかもな。そこも欲があればいいのだが……。湧き出るほどには無いらしい」

 それもまた生まれながらの異能(タレント)能力によるものか。

 興味を失う脱力感は何度と無く襲ってくる。

 既に冒険者の魅力も薄れ始めている。

 代わりにアインズのように興味を抱き続けるものが少し羨ましくなる。

「それは寂しいことでございますね」

「自分にとっての『敵』がどこかにいればまた……、楽しくなるだろう」

 ヤントラは愁(うれ)いを帯びつつもアルベドに笑顔を見せて帰ることにした。

 

 大きな箱はシモベ達に第六階層に集めさせ、更に箱を追加し、残りの部位などを入れた包み、必要なアイテムや武器をつめていく。

「……そういえば……」

 隠し金庫に人が入ったまま閉じる事は出来ない、はずだった。というか忘れていた。

 それが出来ているのは何故だろう。

 ナザリック所属やプレイヤー、NPCで事情が違うのだろうか。

 シズでは怖いので、シモベの一体を金庫に入れて試した。

 

『ブー!』

 

 閉じる事が出来ない、という証拠の警報音がどこからとも無く聞こえた。

「……バスパ様、閉門拒否を確認」

「こんな機能が付いたのか」

 少なくともゲーム時代は無反応。一回だけだから後々の追加分は知らない。

「……残り二回警告音の作動の後、次回は自動的に侵入者と判断されて迎撃体制へ移行」

「一日経つと失敗回数は変化するのか?」

「……一日三回までの認証失敗の猶予(ゆうよ)あり。……使用した回数は二十四時間で復旧」

 予め三回失敗しておいて逃亡、という罠は使えない。

「……外からの開閉はパスワードが間違っていた場合のみ認証失敗と判断」

 シズは淡々と説明を続ける。

 規定の高さで言ったパスワードが別の金庫の場合は警告音が鳴る。

 それはそれで金庫の位置がバレてしまうのだが、ナザリック基準で言えばセキュリティーレベルは低いかもしれない。

 アイテム目当てのプレイヤーにかかれば金庫の存在があるだけで狙われてしまう。

 世界級(ワールド)アイテムともなれば高レベルの盗賊特殊技術(スキル)や罠感知などを駆使してくる可能性はある。

 一流どころはこの隠し金庫を見つけ出すだろう。

 パスワードは妙な文字の羅列ではないのでファンタジー好きならジャンルさえ特定できれば看破は難しくない。

 解錠(かいじょう)特殊技術(スキル)によってはパスワード無しでこじ開けられる可能性も否定は出来ないが、そこまで高レベルの盗賊に対策しなければならないとうんざりする。

 ヤントラとしては中身が隠れていて、見つけにくければ充分、というレベルだった。

 罠が発動すると第六階層に迎撃モンスターが召喚される。

 召喚されるモンスターは70レベル台が五体ずつの計十五体。

 モンスターはランダムで様々な種族が選ばれる。

 本来なら倒されるごとに強いモンスターで迎撃していくのだが、一回のみで打ち止めとなっているようだ。と、シズが淡々と説明する。

 事前に受けた説明を言っているだけで実際にどんな罠なのかは確認しなければならない。だが、今は確認している精神的な余裕は無い。

 召喚された事がないのでモンスターの数に変更は無い。倒されたらコストを支払って補充する。それは金庫の持ち主の判断による。

 シズの説明を聞きながら様々な設定変更を知ることが出来た。追加要素が多い。

 それは入院中に追加されたものなのかもしれないので最適化と関係ないことも考えられる。その方が納得できるし、余計な不安を抱かなくて済む。

 設定を作った人と説明できる人に感謝はしておこう、とヤントラは思った。

 金庫内に収められているのはアイテム類だから。部位だから。などの理由が考えられる。

 シーツに包まれただけでもアイテム類と判断されるのだろうか。

 あるいは最適化された事で条件が変わった、ということも考えられる。

「シズは金庫内でロックと言って閉じ込められたら、どう開放するか知っているか?」

「……開閉方法は共通で『オープン』と唱える。……ただし、内側から唱えなければ暗号は無効」

 実際にシズに『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』に入ってもらい第三金庫に入れてロックと言うと金庫は一瞬で収縮し、見えなくなった。

 その二分後に金庫は再び開いた。機能が正常であることは証明された。

「……証明終了」

 『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』から出てきたシズは無表情のまま言った。

 やはり『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』に入れるか、入るとアイテム扱いとみなされるらしい。

 確認の為にもう一度、行(おこな)ってみる。今度は中で袋から出た状態で開くかどうか。

 結果は同じ。金庫は警報音を出さずに開いた。

「……閉門する時のみ、警報音が作動。……証明終了」

「ありがとう」

 下手するととても危険な行為だろう。

 例えば両腕を切り落とされて口や喉を潰されたまま入れられたり。

 頭部のみにされて保存液などに付けられたり、など。

 寿命が無い種族にとっては永遠の苦しみになるかもしれない。

 ヤントラはシズと共に金庫内に入り、二人で『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』に入って閉じてみた。下手したら一生出られない事態だが、ヤントラにとっては道連れが居る方が都合が良い。

 金庫内は今まで気付かなかったが明るい。

 閉じた後に『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』から出ても無反応。閉じる時だけ成否が判定されるようだ。

 壁そのものが光源になっていて完全な闇ではなかった。

 外から見れば誰の目にも見えない金庫だが、中からは閉じる前と変わらない四角い空間のままだった。

「……警告の無効化を確認」

「……何も知らなければ一生閉じ込められてしまうね」

 大気はあるようだが、密閉空間だ。シズでなければ酸素を失い、死んでしまうかもしれない。

「酸素量は分かるか?」

 シズの黄緑色の瞳が輝く。

「……計測不能。……無限である可能性大」

「分かった。……シズはケガをしたら回復魔法は効くのか?」

「……魔法、回復ポーションでも可能」

「損壊したら回復はどうなる? そのままでは戦闘に支障が出ると思うが」

「……人造系モンスターと扱いは一緒」

 シズは回復手段を淡々と説明し始める。

 人造系専用の回復魔法もあるが『大治癒(ヒール)』に落ち着いてしまう。もちろん複数の手段は確保しておく。

 ナザリック襲撃において戦闘の出来るNPCは倒されたのだからシズが復活していないと困る。

 当時の大侵攻に参加していないので詳しい事はヤントラは分からない。

 ナザリックに戻ってきた時にはみんなは復活していたから。

「シズは頭だけになっても平気だろうか?」

「……損傷が無ければ無事。……ユリ姉と違い、身体は自律(じりつ)しない」

 聞かれた質問に淡々と無感動にシズは答えていく。そこに疑問は入らない。

「命令をするのは得意ではないが……。シズ、ユリの命令に従い身体を委ねるか?」

 その言葉に数分の沈黙が降りた。

「……了承。……ユリ姉の命令に従い、休眠モードに移行する。……再起動時は『起動せよ』と頭部へ伝達せよ」

 シズは自らの額に指を当てた。

「分かった。休眠を開始せよ」

 そう言うとシズは頷いた。

「……任務を一時中断し、シャットダウンを開始」

 それからすぐにシズの両腕が下がり、瞳の光りが消えて脱力した状態になった。

 軽く頭を叩いたり頬を叩いたりしたが無反応。

 お腹は殴りはしないが腕などを動かしてみても無反応。

「これで起こし方を忘れたら悲劇だな。……世界の終焉だろうか? あの杖があれば問題は無いか……」

 そんなことを言いながらシズを寝かせ、タオルなどを用意し、念のために探知妨害をかけていく。

 

 手袋などを取り、腕を切る。

 自動人形なので血ではなく潤滑油のような液体が漏れる。

 相手は自動人形なので素手での作業は危険かもしれないので手袋を嵌める。

 様々な回復魔法で傷跡が塞がることを確認していく。それから切断して再生することも確認する。

 ただ、血管の代わりに導線類。機械的な組織が意思を持って蠢(うごめ)く様相(ようそう)になっていた。

 確認作業が終われば服を脱がすだけだが、様々な重ね着の為に脱がしづらい。

 自爆はしないと思うが警戒はしておこう。

 天使達を召喚してシズを立たせたりと苦労した。

 全裸に剥いたシズ。

 人造系でもやることは変わらない。

 眼球と小ぶりな胸、はあまり必要性は感じなくなってきた。

 下半身も女性だから、当たり前なのだろうが。自動人形なのに人間的なつくりは最適化の弊害だろうか。

 うつ伏せにして尻を上げさせ桶を両足の間に置く。

 人造系は何も出さないかもしれないが確認作業は大事だろう。

 今までの女性達とは違い、電源の落ちた自動人形のせいか無反応。

 再起動用のエルネギーは無いとおかしい。謎技術で動いていると割り切った方がいいのかもしれない。

 エネルギーが足りなくなって起動しなかったら悲劇だろうな。回復魔法が通じるから大丈夫だと思うし、一日待てばMPが回復するようにエネルギーも回復するだろう。

 出来なかったら、色んなことが終わるな。

 シズを破壊して『安眠の屍衣(シュラウド・オブ・スリープ)』に入れて金庫を閉じればナザリックのギミックの一部は封印できるだろう。

 ギルド武器と一緒に放り込めばナザリックは陥落できそうだな。

 そう考えるとこの金庫は末恐ろしい存在かもしれない。

 

 そんなことはさておき、結論から言えばシズでも排泄する。ただし、真っ黒な便だ。

 エルネギーのカスか、使用済みの炭素のような感じだった。しかも真っ直ぐで固い。

 身体を覆う皮膚は人間的に柔らかく、何故か肛門が動く。

 動作的には人間と同じ部分があるのかもしれない。

 シズの身体以上に長い便では困るが、直接引き抜いてみる。

 小気味よい音ともに三十センチメートルくらいの棒状の便が出た。匂いは揮発油に近いかもしれないので発火の恐れを感じた。

 密閉空間だから結構な爆発力になるおそれがある。

 便の方は適度に折って桶に入れるが希少な金属とか入っていそうだ。見た目には火薬にも見えるが。

 それが三本も出てくるとは。どんな設定を付けられたのだろうか。

 尿の採取も石油とか出てきそうだ。

 二瓶程度の液体が出たが見た目には特に代わり映えのない透明な液体。

 放射性物質という線があるが棒は赤熱していないし、具合が悪くなる事も、それはよく分からないけれど。

 核燃料で動くような設定ではなかったはずだ。

 倒された時点でナザリックは崩壊するだろうし、シズは特別な種族でもないから安全度は高い、はずだ。

 アンデッドですら狂乱し、メイド達も痙攣する行為に対し、シズは一切反応しなかった。

 尿の時も無反応。

 身体は無反応だが定期的に体液を噴き出していた。快感はあるのかもしれないが、見た目には分からない。

 続いて性器採取。次に下腹部を裂くと機械的ではあるが構造的には人間と大差ない。

 自動人形に子宮があるのは不思議だが、無理やり人間を自動人形に変換したとも言える。

 それらが終われば髪の毛を縛り、天使達に髪と頭を持ってもらう。即死はしないと思うが即死耐性の額飾りは装備させた。

 

 全ての作業は滞りなく終わり、腕一本だけ余計に増えてしまった。

 揮発性(きはつせい)のものは念入りに封印作業する。

 服などを着せて部品の忘れ物がないか確認し、一息つく。

 起こす前に金庫を開ける。

 新たに増えた荷物も箱に詰めて、シズを外で寝かせる。そして、銃器類に複数のシーツとタオルを被せてから金庫の入り口付近を掠めるように『火球(ファイアボール)』を打ち込む。

 一瞬だけ金庫内が燃え上がるが爆発はしなかった。代わりに『火球(ファイアボール)』が落ちた地面は少し吹き飛んだ。

 揮発性の液体だったようだ。

 取り扱いに注意しなければならないだろう。

 金庫内は急に焦げ臭くなったが弾丸や銃器への引火は無さそうだ。

 手榴弾もあるから派手に吹き飛ぶだろうなと思った。

「起動せよ」

 そう言うとシズの体内に電流が走り、様々な音が鳴り響く。

 すぐに動けるとは思っていないのでしばらく置いておく。

 五分後にシズは立ち上がり、動作確認に入った。

「……エネルギー、大幅減少を確認。……損傷箇所の修復……。……装備の確認」

 更に十分後に服の隙間から白い煙が噴き出す。

「……再起動を確認。……任務の継続を開始する」

「異常は無さそうだね。問題がなければ第三金庫の中を確認してくれ。あと、中の大気を入れ替えられたらやってくれ」

「……了解」

 シズはレアメタルの宝庫かもしれないので命令は継続にしておこう。

「第三金庫は安全が確認できたら閉じてくれ。それまでは洗浄作業が必要だろう。メイド達を使って、休憩しながらでいいから。しっかりエネルギー補給してくれ」

 それから追加の保存液なども注文し、用意が出来次第全ての箱は王都の自宅に届けるように手配した。部位などは特にすぐ移動させた方がいいだろう。

 金庫の中にはまだアイテムや武器、大量の金貨が残っているが、それらは置いておくことにした。

 何かが変わって必要となるかもしれないし。

 それにまだ蒼の薔薇の強化、ラキュースが残っている。

 口唇蟲を回収し、今日でナザリックに来るのは最後になるだろう。

 次は戦後だ。

 ログハウスに戻ったヤントラは広い平原を眺める。

 今日で見納めになるか、新しい冒険への希望になるのか。

 

●↑●

 開戦まで残り二日。

 カルネ村は避難が終わり、滞在者は村長のエンリとイビルアイの二人だけになった。

 静かな生活だった。

 いつ誰がどのように訪れるのか、怯えながら過ごさなくてはならないとは。

 物見櫓(ものみやぐら)からイビルアイは柵の向こう側を偵察し、エンリは掃除したり、家々の戸締りを確認していた。

 井戸の水の様子や残るものの為に残された食料で戦争を迎える日を静かに待つ。

 明日にはエンリを避難させ、村は放棄する。

 戦争が終わった後でエンリを呼び出すならば蒼の薔薇が責任を持って連れて行くことにしていた。

「イビルアイさん、今日までありがとうございます」

 エンリは物見櫓(ものみやぐら)で偵察していたイビルアイに声をかけた。

「気にするな」

「皆さんを巻き込んだお詫びをしなければなりませんね」

 遠くに人影がないことを確認してからイビルアイは地面に降り立った。

「王国の民を守るのも立派な仕事だ」

 静かな時間が流れる事は良い事なのだが、今は静寂がとても恐ろしい。

 イビルアイは様々な思案を試みていたが王国の軍勢は未だにわき道をそれていないようだ。

 それとも王国側で色々な事でもあったのだろうか。

 戦闘に勝つためならどんなことでもするような貴族たちが小さな農村を見逃してくれたのだろうか。

「昼頃には仲間たちが来る。エンリは避難の準備をしていてくれ」

「はい」

 時間までエンリは自分の生まれ育った村の様子を確かめ、イビルアイは偵察を続けた。

 日が傾く頃にティア達メンバーと数人のガゼフの部下達が訪れた。それ以外の人影も気配も無い。喧騒(けんそう)すら聞こえてこない。

「では、エンリ。気をつけて」

「皆様、本当にお世話になりました」

 エンリは蒼の薔薇の一人ひとりに深く頭を下げてお礼を述べて、そして戦士達と共に夕闇に紛れるように避難場所へ向かった。

 

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