異界にて、雷撃が炸裂する。放ったのは女で、隣に居た童は目を輝かせてその光景を見ていた。
そして、その童の頭の上に乗っている妖精は、つまらなさそうにその光景を見ていた。
女は横目で童の表情の変化を見ながら、どこか安心した気持になった。
(この子にも…こんな表情が出来るのですね)
今までが今までだった。そう考えてしまえばそれまでだが、そうしてしまったのは自分なのかもしれない。
罪悪感が沸く。
だが、一言言わせて欲しい。
大体、顎の自業自得です。
どうも、顎です。今日は異能と言うか、人間も扱える魔法を教えてくれるらしいよ!!
なんか、張って来た!!
そう言う事で、やって来た異界に桔梗さんが結界を張ってその中で行っております。
「良いですか顎。今から使う異能…霊能・魔法・魔術・妖術・法術等様々な名前で呼ばれますが、どれも正解で間違いです。認識としては属性攻撃と覚えればそれでいいです。」
ふむふむ、つまりは火から始まり水・氷・雷とか光と闇が合わさり無敵に見えるとかですね。分ります。でも、後者はあり得ないんですね。当たり前です。
「この国…日本ではこの属性攻撃を行う場合大まかに分けて二つのやり方が在ります。一つ、個人で行う属性攻撃。二つ、使役している悪魔と息を合わせた合体攻撃。この上位には奥義と呼ばれるモノが在りますが、初代以降のライドウでもそれを行えたのは半数程です。」
合体奥義…天元突破とか憑依合体とかオーバーソウル的なモノですね。
(…エヴァさんの闇魔法みたいなもんか? 違うか、アレって精霊に自分の魔力っていうか、魂とか齧らせる様なもんだし。)
不老不死じゃ無けりゃそうそう使えないね。てか使いたくないね。人間辞めたくないし、死にたくも無い。仙人? ノーカン、ノーカン…だといいなぁ。
「はい、先生!!」
「何でしょうか」
「合体奥義を使える様に成るにはどうしたらいいんですか?」
「簡単に言ってしまえば信頼関係の深さ…と成ります。忠誠心でも構いませんが…絶体絶命の状況でも、貴方が使役する悪魔となら乗り越えられる、背中を預けられる。そう言った関係に両者が成らなくてはなりません」
ハードル高いね。普通に考えて。
「すこし話がそれましたね。今から私が属性攻撃を使います。貴方はその時、私の力…霊力と便宜上そう呼びますがそれを感じ取りなさい。」
…うん。無理だと思う。
「感じれずとも良いのです。一度見て、その後、悪魔契約をした時の様に私が手伝います。」
「はい。」
俺が、そう答えると桔梗さんは一度眼を閉じて息を整えた。
そして
【ジオ】
そう言った。雷撃が木を穿った。
おぉぉ~…スゲェ。何か懐かしい。
(ちょっとアギト)
(なにさ?)
頭の上に居座る妖精が小声で話しかけてくる。
あっ、名前はベルって使えました。鈴の音みたいな綺麗な声だから。安直? 名前なんてそんなもんだ。思いついて、思いの外それが合っていたからこうなった。
本人も気に言っているみたいだから、これで良い。と、思う!!
(アンタ、この程度も出来ないの?)
ナニソレヒドイ
(お前なぁ、俺ってばド素人だぞ? MAGとか昨日ようやっと感じれたんだからな? 霊力とか…サッパリです)
(へぇ~…でも、アンタは運が良い方よね。あの桔梗って女、相手の力を多少は操れるみたいだモノ。相手の意志が居るみたいだけど、かなりの技量よ)
ふぅ~ん。やっぱりそうなんだ。何のフラグだ!! だ、騙されないからな!!
「それでは実践してみましょうか。」
おっす、私はピクシーのベル。劣化変異分霊である。元はどんな悪魔だったかも思いだせない…
まぁ、良いわ。諦めたモノ。
因みにLVは1よ。笑いなさい、私は笑いすぎて涙が止まらなくなったわ。
今は、アギトの仲魔。名前がベルと言うのは声が鈴の音みたいに綺麗だからと言うらしい。歌を教えて貰ったけど…意味無いわよね? コレ。
楽しいから良いんだけど。
そんな私は今、アギトの属性攻撃…魔法でも良いと思うけどの練習を見ているんだけど…
涙が出そうだわ。
哀れで。
だって一度も成功しないんだモノ。私が見る限り、成功しない事が不思議でしょうがないんだけど
「ジオ!! ジオ?! ジオジオジオジオジオジオ!!!!!」
残念、全くもって成功しない
「ナゼダァァァァァァァ!!」
「アギトー」
「…なに?」
不貞腐れてるわね。まぁ仕方が無いのかな?
「SP(精神力)式止めて、MAG式にしたら?」
「ソレはどう言った違いなのですか?」
ん? 人間って昔はMAG式使ってわよね? 魔女とかそういう奴等は
「いや、だから今アンタ達がやってるのは精神力に属する力を使っての属性攻撃なのよ。で、MAGって言うのは生体エネルギー、生命力って言っても細かくは違うけどそれを使った方ですればって言ってるの。悪魔とか基本はMAG式よ? だから、余分にMAGを溜める訳だし。」
そんな事も知らないの? もしかして伝わって無いの?
「もっと詳しく」
アギトがメチャクチャ真剣に聞いてくる。ん~でもなぁ
「アギトじゃ使えないわよ?」
「何で?!」
「だってアンタ、MAGの制御も強弱を付けるのもド下手じゃない。」
あっ、凹んだ。
「ちょっ?! 其処まで凹まないでよ!! 大丈夫よ、これから訓練すれば十年位で使える様に成れるかもしれないから」
「なるかもしれない?」
あ~もう、メンドクサイわね。
「えっと、桔梗って呼ぶわよ? アンタ、私のサマナーって訳でもないし。」
「許しましょう」
偉そうね…ムカつく。
人間で言えば美人なんでしょうけど…あんなメロンをこさえてクソッ!!
羨ましくないもん!!
あんな細い腰とか!! 安産型の形の良いお尻とか!! 羨ましく無いモン!!
「MAGを使用した属性攻撃。まぁ、魔法って私は呼んでるけど。ちゃんと術式ってのが在るのよ。それを簡略化して一息で発動できるようにしているのが、悪魔や神が普通に使っている奴よ。アギとかジオとかマグナとかね。んで、厄介なのが…個人で使う術式が全く違うのよ。」
「……それは、使えないと同じなのでは?」
「だから、
「参考までに、失敗するとどうなりますか?」
「ほぼ瀕死。軽くて…体の一部が吹き飛ぶとか焦げるとか凍りつくとか腐るとかだけど?」
当たり前じゃない。
「顎、MAGの制御訓練は認めますが、MAG式の属性攻撃は禁止します。」
「…はい。」
護るわけないと思うけどね~。
そんなこんなで、日が暮れて、夕食食べて水浴びします。夏に風呂を沸かす気力が出ない。
ついでに、テンションダダ下がり。MAGの制御? ハッ、ダメだししか喰らってねぇよ。
何だよ、張り穴に糸を通し続ける様な繊細さが必要とか言われても…その、困る。
コツコツやるしかないか。
チクショウ
夜、満月が夜空に上り星の輝きが一番強く成る頃、ノソリと顎の腹の上に陣取って寝ていたピクシーが思いだしたかのように起き上がった。
(…こいつ、やっぱり不思議過ぎる。納得がいかない)
そも、人間と言うのはMAGも精神力(SP)も在る程度は持っているのだ。後は個人差だが、最低でも下級の魔法を使う分には在る。使ったらぶっ倒れるが。
そして、この童は確実にそっちの方も膨大な量を保有している筈なのに魔法が発動しない。
これは一体どういう事か?
再びアナライズをしても変化は無く、分類も人間:見習いサマナーとしか出ない。
何らかの高位悪魔の転生体でも無い。
稀に現れる高位悪魔の転生体は、最初から使えるか、自分が転生体だと自覚が出来て初めて使えるようになると言う二つに分けられるのだが、この童はそうではない。
かけなしの人間だ。
(…アギトがMAG式の練習して暴発したら此処ら一体焦土にになっても大分優しい被害なんだけど…下手したら此処ら一体消し飛んで魔界と天界の扉が開いて高位悪魔の分霊が多量に召喚されてもお釣りがくるわよねぇ…)
そうなれば自分も死ぬし、この世界はガオンする。
どうしたモノか…幸い、この童は学が無いわけでもなく寧ろ溢れているようにも見えるが知りたいと願う欲望に忠実な所が在る限り危ない。
(なんか合ったけ…どんな人間にも可能性のある能力って?)
(ん~…人間、人間、人間…集合無意識? 心の海!! )
心当たりがあったが…心が在る程度成長しないといけないのでどの道先の話に成ると結論が出て、ゲンナリする。
(せめて、ディア位は個人で仕えた方が良いのよねぇ)
回復手段の有る無しでは今後が違う。
魔法が使えないなら別のもので補わなくてはならない。
(確か…山の下の方の異界が洞窟に繋がってたわよね。)
魔石とかが転がってた筈、当面はそれを回復手段にした方が良さそうだ。
自分が使っても良いが、今のMAG補給の仕方では戦闘中には出来ないので仕方が無い。
後は、剣とか弓とか習ってくれればそれなりに生きていける下地は出来ると思う。悪魔方面の知識とかはまだ覚えているので、何とか成りそうだ。
(手のかかるサマナーと契約しちゃったわ~)
でも、寂しくないと言う点では良かったとも思う。孤独と退屈は悪魔も殺す。私はそれを学んだ。
はい、顎君は魔法も使えないね。うん。
魔と知のステータスが序盤は略腐ってしまってるってドウイウコトナノ?
俺は何を考えて設定を作ったんだ?
実際の所、SP式、MAG式両方使えると戦闘持続力アップです。SP切れたらMAG式でガンバ!!