揺蕩う。揺蕩っている。今の自分を表すとしたらそうなのだろう。
この意識の目覚めは早すぎるモノで、直ぐに眠らなければならない。
だって、生まれた瞬間から記憶が在るとか、シナプスとかの関係上で頭パーンって成るんだモノ。
シリアスがログアウトしました。
時は明治44年。 山奥に有る簡素な集落にその命は誕生した。
集落は山々と森に囲まれた天然の城塞の様な場所であり、外から人がやってくる事は少ない。
集落のモノが買い出しに行き、帰る。それ位の出入りなら頻繁に有るが、別に食料品等を買いに行く訳ではない。
衣服や薬剤を買いに行くのだ。集落にとってその二つは外に出る為、生きる為には必要な物であった。
地図にすら乗っていないであろう集落の名は【
その一族は日の元の国が出来る昔より存在した。
曰く、闇を生きる血統
曰く、神々の声を聞くモノ
曰く、闇の異形を使役し闇を払う守護者
曰く、悪魔召喚士
この国が出来て以来、天照大神を称え使える集団ヤタガラスに協力する護国の刃にして盾。
闇の奥底に眠る最強の一角初代・葛葉ライドウを筆頭に神を斬り、妖威を払い、邪霊を封じ、それらを含めた悪魔を使役をする。悪魔召喚士達の一族。
国家の裏に居を構え、裏の闇でその力を行使するモノ達。
超国家機関となったヤタガラスに与する闇の精鋭達の一族。
平穏の中に生きるモノ達は知らない。知っては成らない世界を生きるモノ達。
それが葛葉である。
そんな一族も1000年の時を経れば本家を中心に分家に分れ、さらに傍流となる。
一部は国民に紛れ庶民となり、一部はその能力を使い政治に食い込む。
だが、決して人と人との戦場には出ない。
彼等が出るのはその殆どが戦後間もない戦地である。
そして、新たな命が生まれたこの葛葉の里は幾つかある里の中でも異様な里として知られていた。
この世界には悪魔が居る。天使が神が魔王が魔神が存在する。
おとぎ話の中から出てきた様な英雄が、怪物が、人に知られず存在している。
ソレに対抗する為の悪魔召喚士だが、中には悪魔や神々と懇意な関係に成るモノも居る。
神や悪魔との婚姻は遥か昔から伝承として残り、その子が異能を備えているのは当たり前の事と伝えられる。
この集落は、誰もが祖にその異能を有するモノ達を持つ。
学びもせずに、最初から持っているモノが多いのだ。それ故の排斥もあり、自然と集まりが出来、村が出来、集落と成ったのがこの里の始まりだった。
下には下が居て、上には上がいる。
底辺は見えれど、天井は計り知れない。人と悪魔の関係と酷似しているのがなんとも皮肉めいている。
今より五年前、この里に同じく闇のモノが逃げ込んできた。長く艶やかな黒髪をした朱い着物を来た年若い女とソレに手を引かれた右目が異様に紅い少女。
そして、その二人を先導するように歩く、黒衣に身を包んだ黒髪短髪で右腕を失っている男。
女は場違いな野太刀を持ち、男はその拳に鉄板を張った手袋の様なモノを付けていた。
里の人間は追い返そうと彼等に話しかけたが、事情を聴けばすんなりと通した。
女が振りかえり、野太刀を一閃させる。
途端に上がる異形の悲鳴。赤銅色の肌に一本の角、鉄でできた棍棒を片手に持つ悪魔が両断された。
悪魔が二つに分かたれる前に、黒衣の男は鬼を飛び越えその先に右の拳を放つ
強力な衝撃が地を揺らし、一部を陥没させた。
地面に着地すると同時に体を半回転させ、左の手刀を突き出す。
その声を聞いた里の人間達は、ある種の安堵を浮かべた。
【ザンマ】
衝撃の刃が木を両断し、その後ろに隠れていた者の右腕を斬り飛ばした。
遅れて血が噴き出し、思い出したかのように甲高い悲鳴が響いた。
里の者は笑顔を見せた。
声で判別出来たのだろう。敵は女であり、まだ死んでない。
そして、悪魔召喚の才が在ると。
老人がゆっくりと進み出て、鉄製の管を取りだした。
紙の様に薄い胴に狐の様な、イタチの様な顔を持った異形が現れのたうつ女を捕獲した。
そんな事から3年。この里にやって来た異邦人二人の間に子が出来たのだ。
そして、里人からはその存在は疎まれていた。
同じ異能者で在りながら、その存在は歓迎されてはいなかった。
新たな血を取り入れるのは歓迎すべき事で在ったが、この二人…男は葛葉の者では無かった。
開祖と言って良い。庶民の中で生まれた突然変異であり、また強かった。
女は葛葉の血を引いては居たが出来そこないと呼ばれ、異能に目覚める事は無く、悪魔召喚の才能すらない。ただ、血をつなぐ為の人形とも言って良い存在だった。
男は自分が異常であり、人の中では生きれないからこそ鍛え強くなってしまった。
女は自分の価値を知りながら、翻弄されない為に鍛えた。故に強くなってしまった。
突然変異の男と、無能の烙印を持つ女
そんな番いの子に危機感を里の大人や老人は抱いていた。
よしんば、異能が在ったとしよう。その子に異能が引き継がれる可能性は余りにも低い。
片親が無能なのだ。その無能が遺伝してしまえば自分たちの子の子、又はその次の子に無能が出るかもしれない。
血統は大事なのだ。
確かな才能、確かな能力が無ければ、自分達の血が途絶えてしまえば…里は崩壊してしまう。
無能が増えれば食い扶持が減り、何れは何もできないモノ達が増えてしまう。
そうなれば里は終わりだ。
捕えた、女召喚士は良い苗床になった。新たな血を継ぐ子がもう、五人も生まれたのだ。異国の血も代を重ねれば薄く成り、代々重ねる葛葉の血が圧倒する。
必要な才の欠片もない女と突然変異の男の合いの子等とは違うのだ。
予てより、能力者しか居ない里では能力の無い…異能の無い子等は穢多や非人の様な扱いになってしまう。閉鎖的な里ではそれが当たり前だった。
唯一、自分達が異能を駆使しても勝てないほどの強さを持っているからこそ向かいいれた。
男と女の救いは連れてきた少女が異能力を所持しており、尚且つ葛葉の分家でも中堅所の血を引いていた事だろう。
悪魔召喚の才能は無く、異能も制御しきれない爆弾故にこの里に送られたのだから。
ヤタガラスの使いが最低でも月に一度は様子を確認しに来る為、その様な事に成っていない。
男と女の考えでは、ソレはこれ以降も変わらない。
異能力者としては単純な強さでは既にこの里でも五指には入るであろう少女は、生まれてくる子を祝福している。
この子が守るであろう事は直ぐに予想できた。
男と女は己が子供に名を付け、少女に託した。
後は何を残せるだろうかと考えて。
満月の夜。生まれた忌子は男子。
黒髪、黒目
名を
シリアスさんが戻って来たよ!!
18Rなのは…まぁ、なんだ。苗床と言われた薄い本を愛読する人にならよくわかるだろ?
ユーフォリア的な…な?
もっと進んだら直接的な表現も増えると思います。苦手な方は逃げてください。