※この作品はR-18です。

葛葉の里に生まれました   作:B-in

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長く書こうとはせずに、短くテンポよく行けたら丁度良いのかも…だらだら書いてもいかんね。文才無いんだし。


五話

カンカン照りの光の下、林の中は生茂る緑の御蔭で木陰が出来ていて幾分過ごしやすい。

大きな自然石が鎮座するその場所は、長年の雨や風などで凹凸が極端に少なく寝そべっても痛みを感じる事は無く過ごせる絶好の昼寝の場所だった。

 

無論のこと、顎にとってのと付くが。此処ならば誰もが一休みするには向いていると納得できるであろう。

 

小さな体でよじ登り、グタァ~と成るのは仕方が無い。

 

雑草抜きや簡単な選別に細かい水撒き、子供がするには重労働である。更に、水汲み等も行わなくては成らない。

勿論、一人で行うのではなく保護者である大人も一緒に行うのだがそれでも重労働なのだ。

 

ソレに加えて、新たに悪魔に関する勉強が入ってくると成れば睡眠時間が削れる。

 

正直、最初は其処まで必要な事ではないと思っていたのだが…問題が出てきた。

 

思いだせないのである。

 

ソロモン72柱、三大悪妖怪、鬼の眷族、精霊、七つの大罪、至高の三獣、それらに関する細かく、深い事が思いだせないのである。

 

理由は直ぐに分った。

 

知識を御する能力が無い。その為の防衛本能が働いている。

 

そして、防衛本能が働き枷を嵌めているのならば御する事も可能だと言う事も理解できた。

 

桔梗が暈して教えている所が在るのはそっちの方でも同じ事が在るから、その為だろう。

 

深く知れば知るほどに、ソレは毒と成る。

 

悪魔や神の事になればより強力な毒物に成るだろう。

 

「体が出来てないってのも本当だぁねぇ…どんな力か存在の確認も出来なきゃ自衛もできねぇ」

 

以前…前の世界で生まれた時がかなりなイージーモードだったかが分る。いや、ホント今ぐらいの年で魔法とか習ってたんだぜ俺?

 

巧く行かないなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな童を一人の男が異能を使い見て居た。

 

気まぐれも有った、僅かな情も有った。単純に興味が在った。

 

見て居る童はそのまま静かに寝息を立て始めた。

 

こうなっては、見ていても意味が無い。早々に異能の使用を止め、魔封管を磨き始める。コレが仕事の一つでも在った。

悪魔召喚士が契約した悪魔を収める管。悪魔召喚士に取っては大事な物だ。そして、この魔封管は従来の鉄製の管と比べ遥かに頑丈であるが故に生産が難しい。

更に、自分が造るモノはその中でも一級品。20年ほど前なら一つ70円、今の貨幣でなら65円。かなり高いが、悪魔召喚士という生業は儲けられる。たった一度の悪魔退治でも10円相当が最低だ。異界の調査に成れば最低でも30円、|Lv≪存在強度≫15以上の悪魔との戦闘が含まれるモノは最低でも40円以上が最低値である。

俺からしてみたら、Lv20~60ぐらいの悪魔はその辺にゴロゴロと居るのだから魔封管の値段を安くしても良いと思うのだが…その辺の匙加減は外界の人間がやる事なので特に文句は無い。

 

(金よりも珍しい鉱物か酒と摘みでも持ってこいと思うのだがなぁ)

 

仕方が無いと言えば仕方がない。人間のLvは20が限界値、それ以上に成ろうとするのならば限界を突破…死にかけて蘇ると言う事を繰り返さなくては成らない。

だいたいは其処から超人、魔人に成ってしまうから、純粋な人間とは言えない。

人を越えた人、魔に堕ちた人、人間との溝は見るよりも明らかだ。

人の儘で居る方法も有るが、その為の知識は既に紛失されている。

 

(ソレを独自の方法で編み出した十三代目の様な人間も居るがな)

 

懐かしい人物を思い出し、久しぶりに気分が良く成る。

 

気分が良く成ると言えばあの童の両親だ。住まいも離れて居ると言うのに挨拶に来た位だからな、あの里の連中と比べれば人が出来て居る。

そして、その息子は…良く分からない。ただ、一つ言えるのは異常であると言う事だけだ。

 

(なぜ、人の儘で居られているのか…高位悪魔の転生体でも無いのにあのMAGの量と見通す事の出来ないほどの魂の大きさ)

 

それと、無意識下での危機感知能力。異界の入り口には一切近寄らない。近寄ったとしても今寝て居る場所ぐらいだろう。

しかも、一番危険が少ない場所でも50メートルは離れて居る。

 

(あぁ、妖精の一体でも此方に迷い出て来ないモノか…)

 

そう言えば

 

「童の今の保護者は時折異界に入っていたな。ドレ、少し仕掛けてみるか」

 

多田羅目鎚丸は悪餓鬼丸出しの子供っぽい笑みを浮かべて、異界へと潜った。

 

 

 

 

 

 

 

 

悪魔を使役する際に絶対に必要なモノがMAGである。管から召喚する時も悪魔を使役する時も必要であり、悪魔召喚士の生命線の一つと言っても良い。MAGを調達する方法は幾つかある。

 

自ら生成する方法。地脈や霊力等と呼ばれるモノを変換する方法。他のモノから奪う方法。

 

手っ取り早いのは最後の奪う方法である。悪魔を殺せば手に入るのだから簡単なのだ。

前者の方法は生来のMAGの生成量に頼り切る方法であり、保険が欲しくなる。

二番目の方法は術式が難解すぎる上に、異界まで造らなくては成らない。立地の良い場所ならば少なからず黒字には成るだろうが、時間がかかり過ぎるし。霊力等と呼ばれている多種多様な力を変換するには面倒が多すぎる。

出来て損する事は無いが、出来なくても大丈夫と言う方法だ。

殆どの悪魔召喚士は異界に潜り悪魔を狩ってMAGを調達する。異界には稀にMAG溜まりと呼ばれるモノが在り、其処には大量のMAGが溢れて居る事が多い。

だいたいはその異界の主のモノに成って居て殆ど見つからない。

 

つまり、悪魔召喚士は己が悪魔を使役する際に、召喚、戦闘、維持の為にMAGがそれなりの量が必要なのだ。

 

桔梗もそれは同じ事である。まぁ、桔梗の場合は戦闘と契約の維持に必要なので其処まで必要と言う訳でもないのだが、在るに越した事は無い。

 

桔梗には幸運な事に、悪魔達には不幸な事に、この界隈の異界には妖精が多い。

強いモノは強いが弱いモノは弱い。ピクシーやゴブリン達は恰好の獲物だった。一体、また一体とと悪魔がMAGに還る。

そんな中、一匹のピクシーが逃げ回って居た。

 

(今の状態で勝てるかー!!)

 

何を隠そう、Lv1の劣化変異分霊である。

 

スライムに成らなかっただけマシと言うモノだが、他の妖精たちとはウマが合わず離れた所に居たから難を逃れた。

 

(もう少し北に行けば…)

 

今居る場所よりも強い悪魔が居る。巧く身を隠せればやり過ごせる。基本的に単一種族が治める異界では同族同士での殺し合いは起きない。

今の自分の様な弱い悪魔に取っては住みやすい場所だ。だからこそ、狩り場に成ってしまう。其処を見つけた奴等の狩り場に成る。

それも理の一つであるから悪いとは思わない。自分が死ぬのは嫌だが。

 

(後ちょっと!!)

 

本当に後ちょっとと言う所で、異界が一瞬歪み突風が吹いた。

 

「あ、やば」

 

声が出たがもう遅く、異界と現世を繋ぐ歪みに押しやられその際の衝撃で気を失ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異界にて、二人は初めて邂逅した。

 

 

 

 

 

「…貴様…いえ、貴方様は?」

 

「危害は加えん…此処の主に土地を貸しているモノだ」

 

桔梗の背筋を冷たい汗が堕ちた。

 

どう見ても自分に勝ち目が無い。此方が仲魔を召喚する時間で殺される。

190は在るであろう身長に太い手足。何よりも右目を隠すように巻かれている布。

 

(かなり格の高い呪布…魔眼か何かね。厄介だわ。)

 

何かを封じる為のモノなのだろうが、その強い力のお陰で此方も相手の正確な強さが分からない。

 

「土地の…この霊地の持ち主である御方が、私如きに何か御用ですか?」

 

「用…用か、用ならばもう済んだ。そうだな、お前が見て居る童にコレをくれてやれ。」

 

投げ渡された一本の管には何の力も感じない。新品の管で在る事には変わりがないが…

 

「?! な、何故これ程のモノを…いえ、顎にコレを渡してどうするおつもりです!!」

 

容量が違う、性能が違う。こんな劣悪な管では自分でもピクシー一体も中に封ずる事は出来ない。

それ程までにMAGの通りが悪い、更にオカシナ機構が存在している所為でかなりの操作技術が必要に成る。

 

まだ、MAGの流れや力も実感した事の無い童に与えるモノでは無い。

 

悪魔召喚士なら、こんな使い勝手が悪くMAGの消費を促す様なモノは使わない。

 

「必要になる。なに、お前に見えないモノが見えて居る。それだけの違いだ。去れ、暫くは此処に近寄るな。少々狩り過ぎだ。」

 

そう言い、男は消えた。

 

ドッと疲労がせり上がって来た。尻が地面に下りそうに成るのを堪え、急ぎ足で異界から出る。異界から出た後はそのまま家に戻り、其処でようやっと長い息を吐いた。

 

そんな時だ、顎が帰って来たのは。

 

その姿を見て桔梗は直ぐに悟る。

 

(あぁ、確かに必要だわ。契約するだけなら確かな媒介…召喚士と悪魔を繋ぐ安全な管には成るわね)

 

仕組まれたその出会いに少しばかり、感謝した。

 

今日から、少し技術の方も教えましょう。

 

 

 

時を少し戻す。葛葉顎が最初に感じたのはチョットした心地良さだった。

腹の上に何かが乗っている。しかし、その大きさや重さは小さくそして軽い、逆に心地の良いモノだった。

上半身を起こし、目をこする。丁度自分の股ぐらに堕ちたであろうモノに目を向けると

 

「………ん?」

 

体調15~20センチ程の小人が目を回していた。

 

「なんぞコレ?」

 

いや、うん。何? 妖精?

 

緑がかった可愛らしいホイップカール、ブレザーとスカートはお揃いの赤と黒のチェックで、ブレザーの下に見える黄色い布地は長袖のモノなのだろう。

 

うん、こんな妖精居ない。

 

だって、桔梗さんの授業で習ったもん。赤毛気味の茶髪に蒼いレオタードみたいなのを着てるのがピクシーなんだよ?

これ、違う。

 

「…うし、取り合えず桔梗さんに投げよう。気絶してるみたいだし…大丈夫でしょ」

 

そこで、ふと思い出す。

 

(お菓子とか上げればそれなりに友好的に接せれただろ…たしか…)

 

兄弟の様な、子供の様な、友人兼僕な精霊達。

 

(あぁ、名前を着けるのも良いな。契約出来たらだけど)

 

二十分後、ルンルン気分で戻った顎が、妖精が起きるまで説教を喰らったのは言うまでも無い。

下手したら死んでいたのだから当たり前である。

 

 

 

 




多田羅目 鎚丸(たたらめ つちまる)

種族 超人:転生体

LV78

耐性 火炎吸収・破魔無効・呪殺無効・物理耐性・精神耐性

この近辺の霊地守護を司っている異能者(高位悪魔転生体)
本人は鍛冶師としても優れているが、長年鉄ばかり打っていたせいか寡黙で人付き合いは下手糞。
顎の両親の事は好ましい人間と感じていたが、その息子にはなんぞ面白い事に成りそうだから弄っておこうと考えている。
近接格闘に優れており貫通持ち。
高位悪魔の転生体だが、悪魔の自我を逆に喰らった珍しい存在であり人よりの存在。
基本は中立であり、友好を結んだ相手には便宜を図る。

めちゃくちゃ金持ってる。

この時代での65円とか大学院の教授とか涙目である。

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