最初っからハードは無謀だろうか?
ドウイウコトナノ?
覚醒した私が思ったのは正しくそれだった。
気絶した事は確認できてたし、死にはしないとも確信は出来ていた。
だけども、この光景は何なのだろうか?
「それで、襲われたらどうするつもりだったのですか!!」
「いや、あの…大丈夫かなぁと」
「大丈夫じゃないから言っているんです!!」
「ご…ごめんなさい」
「謝って済む問題じゃありません!!」
あっ、子供の方が目をそらした。そして合った。
(ヘルプ!!)
いやいや、初対面の相手を助けるわ無いじゃない。何考えてるんだこの人間。
「全く!! いいですか、貴方と、そこのピクシー如きですら地力では無く『悪魔』と『人間』と言う規格で見た瞬間に弱者と強者に分られるのですよ!!」
むっかぁ~!! 何よピクシー如きって!! こっちだって好きでピクシーに成ったんじゃないわよ!!
ピクシーに成って十数年!! 私の方が何でピクシー如きにって悩んだわよ!!
(アレ? あの女…)
異界で無双してた奴じゃない!! いや、私達ピクシーなんてLv高くても5位なんだけどさ。
フフ…私、これでも元は高位悪魔の分霊だった筈なんだぁ
ピクシーとして生きた十数年、元の神格とか名前も忘れたわよ。
(これで、終わりかぁ)
あっけなかった。いや、薄くて長い生涯だったわね
取りあえず。私は生きる事を諦めておく事にした。Lv1でLv18に勝てるか!!
アナライズ持ってるから相手の力が分っちゃう!! 悔しい…絶望しか見えない
「あら、起きたみたいね。」
ぜ、絶望しか見えない!!
良い事したと思ったらガチで怒られたナリィ…アギじゃなくて顎です。
全面的に俺が悪い!!
はい、無謀でした。意識が覚醒してたら殺されてたね。うん、ちょっと気分が高揚してて今の自分の状態を忘れちゃってたんだ。
まぁ、その話は置いといて。
あのピクシーは絶対に許さない…絶対にだ!!
美人に怒られるのってメチャクチャ堪えるんだぞ!!
寧ろ、美人だから怒るとマジで怖いんだよ!!
許さない、ピクシー…絶対に許さない!! 契約して使役して馬車馬のように働かせてくれる!!
と言う流れで、実際は違うんだけども、そんな感じで契約してみろと成り申した。
今の俺のLvは2らしく、このピクシーは1。問題無く契約出来るらしい。
契約には封魔式(無理やり管に突っ込む)と盟約式(血の盟約とかそんなの)が在るらしく。
今回は実践と言う事も在り桔梗さんのサポート有りで前者を行う。
ぶっちゃけ最初からやって貰うんですけどね!!
MAGとか全くわからん!! 何なの? ホントにあるの?
本人の中身はこんなモノだったが、それをサポートする桔梗は最初から冷や汗が止まらない状態だった。
後ろから抱き締めるようにして、顎に持たせた封魔管をその手事包むようにして掴む。自身の胸に、腹に、顎の体温を感じる
そして…
(なんて…出鱈目なっ…!!)
MAGの量。MAG溜まりに行ってもこれ程のMAGは得られないだろう。
(制御出来る? ちがう、制御どころの話ではない。道を、ほんの一滴程の量が通れる道を作るしか…)
桔梗は一杯一杯に成っていたが、ピクシーはもっと一杯一杯に成っていた
(逃げたい)
でも、羽も体も動かない。えっ金縛り?
違います。MAGに酔ってます。はい、悪魔の私が酔うってどんだけ質が良いのよ!!
(て言うか、これ…攻撃じゃないよね? 何だか管の奥からギュンギュン音が聞こえるんだけど)
今からメギドラオンが撃たれても私、納得出来ちゃう。
(ねぇ、これで本当に契約出来るの?!)
盟約式なら反逆して顎をMAGタンクにしてやる気満々だったりしたのだが、桔梗が封魔式にした為、じっくりと子供の思想を自分好みしてやろうと考えていた所…
このざまである。
ある種の極限状態の二人に対して、気が抜けている少年は
「ひっ…クシッ」
クシャミでもって答えた。
「あ」
「あ(死んだ、これ消滅だよ)」
「ズズ…ごめん」
膨大なMAGの奔流がピクシーを包み込み管に収める。管からはガチと撃鉄が落ちるような音が聞こえた。
その日の夜、桔梗はスヤスヤと寝息を立てる顎を見ながら今日起こった事思い返し納得した。
渡された管の劣悪具合。正にこの為のモノだと納得出来てしまった。
MAGを通りにくくしたのは使い手のMAG保有量と生産量が桁外れだから。
劣悪な癖に性能が良いのは、そうでもしないと封魔管が壊れてしまうから。
何故、これを私に渡したのか?
私では顎のMAGを制御できないから、しなくてもよいから。
事実、契約が成った後に顎は興味深そうにMAGを放出したり止めたりとしていた。
その時、自分の持つ管の中から「心地良イ」とオモイカネともう一体の仲魔が私に伝えて来た程だ。
明日からは、もっと厳しくしても…いや、予定を前倒しにしても良さそうだ。
ソレは、それとして…本人が異常だと、近寄ってくる悪魔もオカシク成るのだろうか?
しかも、才能が在ったのだろう。既に契約したピクシーを召喚・送還を自在にこなし、名前まで付けている。
と、言っても。ON/Offが出来る様になっただけで、強弱の調整はヒドイ。
(仲魔も出来た事ですし…実際に悪魔の使う魔法と私が使うモノの違いを認識させましょうか…)
そう決めて布団に入る。
明日も疲れそうだ。
だが、契約に成功した時の顎の笑顔が印象に残った。
(もっと見ていてやれば…あの娘も顎の様に笑ったのかしら)
ピクシーは布団の上に座り込みマジマジと顎の顔を見ていた。
(…こいつ、絶対にオカシイわよね?)
人の身でリミッターが付いてるとか…高位悪魔の転生体とかなら考えられるんだけど…
もう一度、試しにアナライズして見る。
結果は変わらな…いや、少し変わっていた
(魔が20に成ってるっ…!!)
「oh…」
つい声が出た。
いやいや、声が出たけど何で増えてんのよ!! いや、待て。そう言えばこの人間は私と契約する時でさえも緊張の欠片も見られなかったし、あの女がサポートしていた。
(こいつ、全くのど素人?!)
いやいやいや、何でそんな奴があんな契約出来んのよ!!
分らん!!
因みにだがこのピクシー、封魔式の契約でも何とか少しでも自分の優位性を得ようとお互いが対等な契約式を捻じ込もうとしたのだが、あっけなく覆されて完全に負けてしまっていたりする。
(あれぇ? 巧く生き残れたらこのまま強く成れるんじゃない私?)
そんな希望さえ見てしまっている辺り、イロイロとバッキバキに折られている。
如何に高位悪魔の分霊だったとしても数十年の最下層での生活とボッチ具合で自分がどんな悪魔の分霊だったかも覚えていない。無駄な知識ばかりは覚えているあたり、ポンコツと言うか何と言うか
残念である。
(まぁ、いっか。こいつのMAGメチャクチャ体に馴染むし、心地良いし…)
もう一度、言っておこう。残念である。
妖精・“???”ピクシー
Lv1
力:2
知:7
魔:4
体:2
速:3
運:1
スキル
ディア ジオ ラクカジャ スクカジャ スクンダ パトラ ?????
???? ????
特殊スキル
妖精の粉
運の無いピクシー。元は高位悪魔の分霊だったが、故意なのか事故なのかメチャクチャに劣化した上にピクシーに成ってしまった可哀そうな悪魔。スライムに成らなかっただけまだマシなので、ちょっとは運が在った模様。
現界当初自身の見に起きた不条理と元から持っていた気位の高さ故に他のピクシーとは反りが合わずボッチに。数年して仲良くしようとしても、以前の事が在るので中々近づけず…十数年のボッチ生活を送る。もうイロイロとバッキバキやぞ!! らしい。
今回顎との契約を気に弾けた様子。名前を付けて貰った事も在り、結構気に入っている。