赤城「さすがに喪服だけだと、この時間帯は冷えるわね」
翔鶴「…ええ」
赤城「ねぇ、さっきの『代わりならいるって』どういう事?」
―僕とお付き合いして下さい!
翔鶴「…今は言えません」
赤城「…今は?」
―へ、返事…待ってるから
翔鶴「はい…駄目です…言えません」
翔鶴「すいません…」
赤城「いつかは…教えてくれるの?」
翔鶴「…わかりません…」
赤城「…話せるときが来たら、言ってね」
翔鶴「時がきたら…」
翔鶴「話せると思います…」
翔鶴(…今は、あの子に縋(すが)るしかないの…)
翔鶴(…もう…壊れそうなの…)
…
僕「お、姉ちゃん…?」
赤城(…子供?)
翔鶴「…?」
翔鶴「…僕…くん?」
僕「なんで…お姉ちゃんが…こんな所に?」
翔鶴「…」
翔鶴「…」
翔鶴「…壊れてしまったの…」
僕「…壊れた?」
翔鶴「大事だったもの…」
僕「…」
僕(お姉ちゃん…たぶん僕とおんなじ…目をしてる、きっと)
僕「ねぇ、お姉ちゃん…どうしたの?」
翔鶴「…」
僕「なんで、そんな黒い服を着てるの?」
翔鶴「…」
赤城「…ッ!」
僕「…はは、おそろいだね?」
僕「ほら…僕も、今日…黒い服着てるでしょ?」
翔鶴「…ええ」
僕「…おそろいだね」
…
翔鶴(…ああ、そうよ…)
翔鶴「僕くん、いいよ…」
僕「…え?」
翔鶴「…前に告白してくれたでしょ?」
僕「う…うん」
赤城「…?」
翔鶴「お付き合いしましょう?」
僕「…」
僕「…良いの?」
翔鶴「…ええ」
翔鶴「…おいで?」
赤城「翔鶴?なに言ってるの?この子供は?」
僕「…」スタスタ
ギュム
僕(あったかい…)
僕(お姉ちゃんの匂い…)
翔鶴(あったかい…)
翔鶴(僕くんの匂い)
翔鶴(瑞鶴の匂い…)
翔鶴(お帰りなさい…瑞鶴…もう)
ギゥゥ…
ハナサナイ…
…
…
翔鶴「赤城さん…」
赤城「な…なに?」
翔鶴「先に戻っててくれませんか?」
赤城「だ、だめよ!!今の貴女を一人になんて出来る訳ないでしょ!?」
翔鶴「」ジィッ…
赤城(…!)
赤城(なんて…酷い目をしてるの…翔鶴…)
赤城(それが…今まで戦いを共にしてきた仲間に対する)
赤城(誇り高き艦娘の…)
赤城「…ああ」
赤城「そういうこと…」
赤城(翔鶴はもう)
赤城(ずっと前から『壊れて』いたのね…)
赤城(瑞鶴が沈む前からもずっと)
赤城(瑞鶴、貴女は翔鶴の…妹という存在以上の支えだったのね)
赤城(翔鶴が瑞鶴に対するモノは
きっと、肉親に対する綺麗で透明な愛情なんかじゃなく)
赤城(腐った果実のように熟し切った…ドロドロの不透明な…)
僕「」ギュウ
翔鶴「」ギュム
赤城(妹を失った今、
それをどこに向けていいのかわからなくて…苦しんでいるのね…)
赤城(いや、あの子…あの男の子が、その代わりなの?)
赤城(あの子の何が翔鶴の愛情を受け止めているのかわからないけど…)
赤城「良いわ…」
赤城「先に戻ってるわね…翔鶴」
翔鶴「…!?」
赤城「…何も言わないから…」
赤城「安心して…」スタスタ
赤城「あ、それとキミ?」
僕「…はい」
赤城「…翔鶴を、『見て』てね?」
僕「…う、うん」
赤城(…信じるしかないでしょ)
赤城(例え翔鶴が…あの少年以外を拒んでも)
赤城(私だけでも、翔鶴を信じないと…)
…