今回はどちらかというとストーリー重視。エロ重視は次やりますね。
書きたいことしか書けない作者ですみません。
ある日、サクラは団長に個室に呼び出された。
「団長さん、一体何の用でしょうか?」
「ああ」
団長は非常に難しい表情をしていた。
「実はお前に個人的に相談したいことがあってな」
「相談ですか?」
この時点で、察しの良いサクラは嫌な予感がしていた。
なぜならこの男が公的な立場以外でする相談事など、ろくでもないことばかりだというのは容易に想像がつくからだ。
「ああ、お前にしか相談できない」
しかし、サクラとしても真剣な様子の団長に頼られるのは悪い気はしなかった。
他人に説明するにはお互い一言では難しい関係だが、少なくともサクラは彼を嫌いにはなれなかった。
「あのな、実はそろそろペポをものにしようと思ってな」
だからと言って、好きになれるかは別だった。
「帰りますね」
「ああちょっと待て、待てって!! お願いだ、頼む!!」
何とか席を立ったサクラを座らせる団長。
「いつも通り口説けばいいんじゃないのですか?」
「だから、俺にもどうすればいいか分からんのだ。
こんな気持ち久しく忘れていた。10才以上年下の女の子を本気で欲しくなったのは初めてなんだよ!!」
その言葉だけなら不器用な男の告白だが、考えてほしい。
この男はそれこそ不特定多数の女性と関係を持ち、それを現在数人維持している。
「じゃあペポちゃん以外は本気じゃなかったんですか?
他の子たちは肉体関係だけしか求めていなかったと?」
「うぐ……」
サクラの辛辣な言葉に、団長は痛いところを突かれたと言った表情になった。
「ペポちゃんに相手をするなら、そう言った誠実性の欠如が一番の障害になると理解していますか?」
「そりゃあ、そうなんだがなぁ」
煮え切らない態度の団長に、サクラも溜息を吐いた。
普段から笑顔を絶やさず優しいサクラがここまで辛辣で容赦のない言葉を浴びせるのは、そうするのが一番の優しさだからだ。
この男の下半身はこの世の何よりも信用できないし、それで傷つくのはサクラの仲間なのである。
先日のサクラが計画した一件で大分丸くなった団長だが、それとこれとは別なのだ。
「ほら、あれだよ、味覚にもいろいろあるだろ?
甘いとかしょっぱいとか辛いとか。つまり俺の好きにもいろいろあってだな」
「わかりました、それについてはもういいです。お互い納得済みの関係ばかりのようですし」
それに関してとやかくは言わないことにしたサクラだった。
何だかんだでクロユリはこの色情魔に救われている部分が有るし、リンゴも心底楽しそうにしている。
これで誰かを不幸のどん底に突き落としているのなら、先日のサクラの計画も別の様相を呈していたことだろう。
「それで、具体的に団長さんはペポちゃんをどうしたいんですか?」
「どうって、そりゃあずっこんばっこん……」
「違いますって。つまり、どういう関係に落ち着くのを望んでいるんですか?」
「どういう関係って……」
サクラの問いに、団長は言葉を詰まらせた。
「団長さんはペポちゃんを求めているわけですよね?
それは強い衝動で、一度の関係で満足したり、もう興味が無くなったりしないわけですよね?」
「ああ……そうだな」
「ならどのような過程を経ようとも、今のように上司と部下という関係が変化するわけです。
言い換えるのなら、最終的にどこまで責任を持つつもりかと言うことです」
「責任、責任か」
「そこを明確にしないで、ペポちゃんにちょっかいを掛けるのは本気で相手のことを考えているとは言えないんじゃないでしょうか?」
と言った風に、サクラは団長を誘導していく。
団長の良心や責任感に訴え、なるべく悪い結末にならないように自ら考えて貰う。
「難しい、難しいな」
「なら、一つ一つ整理して行ってはどうです?」
「そうだな、まずどういう関係になりたいかだったな」
団長は一息吐いて、こう答えた。
「俺はペポにとって唯一無二でありたいのだ」
「唯一無二ですか?」
「ああ。サクラ、お前はペポが誰かを嫌っていたりするところを見たことが有るか?」
「いいえ、有りませんね」
「だろう? ランタナの奴で慣れてるのか大抵のことじゃ動じない」
そして団長は大きく息を吐いた。
「だからこそ、めちゃくちゃにしたいのだ」
「えッ」
突然の話の方向性の変化に、サクラは呆気に取られた。
「あんなに無垢で優しくて、それでいて器の大きい女の子から嫌悪感を向けられ、稚拙な言葉で罵られながら押し倒す光景を想像しただけで、ぐふ、ふふ」
「団長さん?」
「俺にこんな、こんな衝動が眠っているとは知らなかった。
分かるかサクラ、俺はペポにヒドイことをしたいんだ。
勿論、彼女を悲しませたり泣かせたいわけじゃない。この欲望を衝動のままにぶちまけたいんだ」
「…………」
団長の歪んだ欲望の発露を、サクラは無言で受け止めた。
そして、彼女なりに脳内で解釈し始めた。
「つまり、そうまでしてペポちゃんの気を引きたいと?」
サクラは団長の欲望を好きな子ほど意地悪して気を引きたいと言った独占欲の延長だと解釈した。
「ふむ、なるほど、そうかもしれない。
誰かに俺の女を奪われたなら奪い返すのも楽しいだろうが、それはペポには当てはまらないな。
ペポに手を出す俺以外の男が居たら、そいつを俺は絶対に殺すだろう」
それを聞いて、サクラは少し安心した。
自分の好きな子を独占したい、それに手を出す誰かを許せない。
十分理解できる普通の範疇だった。
普通に、恋していた。やや過激だが。
「それで、どこまで責任を取れるのですか?
団長さんの想いが成就するとして、最終的に身を固めたりするんですか?」
「俺が結婚なんてするわけないだろ」
団長は笑ってそう答えたが、サクラの硬い表情を見て笑みを引込めた。
「まあ、それは成り行きに任せるってことで」
「行き当たりばったりですね、もし仮に冗談では済まない拒絶を受けたらどうするつもりですか?」
「そうならない為に、お前に相談しているんだろうが」
「責任重大ですね」
サクラは笑みを浮かべてそう返した。
勿論ちっとも冗談じゃない。この男が恋敗れたなら、それこそ衝動的に何をするか分からないのだ。
「分かりました。丁度妙案を思いつきました」
「おッ、流石サクラだ。聞かせて貰おうか」
「団長さんがペポちゃんに適度にヒドイことをしつつ、お互いの合意を得られる方法です」
「本当か!!」
喜ぶ団長を見て、サクラは自分は何をやってるんだろうなぁ、と思いつつ彼に提案した。
「それで、どんなんだ、その妙案って」
「夜這いですよ」
「ペポちゃん、ちょっといいかしら?」
ペポがサクラに呼び出され、仮宿舎の廊下に出たのは上記の提案から数時間後のことだった。
「どうしたんですか? サクラさん」
「実はこれ、団長さんから渡してほしいって」
そう言ってサクラは彼女に手紙らしきものを手渡した。
「これは、手紙ですか?」
ペポはわざわざ手紙なんてと思いながら封を開ける。
中の手紙には、詩のような内容がズラリと何枚かの紙に書き綴られていた。
「なんというかその、熱烈ですね……」
その手紙は、大まかにこのような内容だった。
私はいつもあなたのことを目で追ってしまいます。
あなたのことを考えると、胸を掻き毟りたくなるほど恋焦がれてしまいます。
もう我慢できないので、今夜あなたの寝床に向かいこの衝動を本物なのか確かめたいと思います。
「ええと、要するにこれって今夜夜這いに行きますってことですよね?」
ペポとしては、ああついにこの日が来てしまったか、という心境だった。
「そうね、そうするように私が提案しての」
「サクラさんがですか?」
それはペポにとってちょっと意外だった。
サクラは基本的に、団長を諌めるスタンスだったのだから。
「正直ね、私も適当に誤魔化して諦めさせようかなって思ったのよねぇ」
そう、サクラは胸中を吐露した。
「夜這いって元々相手に事前に通達して寝室に赴く貴族のしきたりだし、それでペポちゃんを私が匿えばいいかなって。
だけど、その手紙を書く団長さんがなんと言うか、とても悩ましげで、いかに本気なのか伝わってくるものだから」
団長の意外な一面を見て彼女は微笑ましそうにしていた。
「私、聞いてみたのよ。どうして本気ならもっと積極的にならなかったのかって」
それは、ペポも気になっていた。
団長は本当に自分の性欲に忠実な男である。
なのにペポは彼と出会って二年近く経つのに、彼の餌食になっていないのである。
「サクラ、お前は恋をしたことがあるか?」
サクラの問いに、団長はそう返したという。
「そりゃあ、俺ならいい感じな状況に追い込んでなし崩しに一夜を過ごすことぐらいやってやれるさ。ペポの性格からしても余裕だし、この手で俺は何人もの女の子をものにしてきた」
彼は以前、同じようなことをみんなの前で語っていた。
「だがそれをペポに対して使うのは嫌だった。
それはなぜかって? あまりにもあっさり成功できてしまうからだ」
団長は自信たっぷりにそう断言しました。
「俺は初めて子供のころに恋をした時、相手の気を引こうと必死だった。
親戚の子でね、はっきり言って芽は無かった。だがその想いが沈静化するまで十年以上掛かった。
激しい情動を知るからこそ、この想いを簡単に成就させたいとは思わなかった。
わかるかサクラ、俺はこの恋を飽きたくないんだよ」
「それだけ好きなのに、飽きるんですか?」
「そうだ、恋は冷めるし飽きるものだ。
だから俺はペポに二年近く好意を向けながらもちょっかいを出したりからかったり、決して決定的なことをしなかった。
良い酒のように、俺はこの恋に酔っていたかったのだ」
団長は熱っぽく浮かされるようにそう語った。
彼の恋に対するスタンスは独りよがりで、お世辞にも素晴らしい物ではなかった。
それでも、ロマンチックだった。
リアリストで感情論を否定する彼からは想像もできないほどロマンチックだった。
「この二年は、ペポのおかげで身も心も若返った気分でいられた。
だから俺の中で彼女を占める割合がほぼすべてになった時、俺は彼女を俺のものにすると決めたのだ」
「だから、ペポちゃんには悪いけど応援したくなっちゃって」
そう言って、サクラは万人を魅了するだろう悩ましげなため息を吐いた。
「…………」
その話を聞いて、ペポの胸に去来したのは複雑な感情だった。
団長のことは好きか嫌いかで言えば、ハッキリ言って嫌いでは無いが好きというほどでもない、だった。
彼女は団長の恋心とやらに随分と弄ばれたのだから当然だった。
だからと言って嫌いになりきれないのは、なんだかんだで女性関係以外では信頼しているからだった。
彼の言った通り、迫られればきっと断りきれなかっただろう。その程度には心を許していた。
だからこそ、彼の女性に対する扱いは少しも、これっぽっちも、微塵も、信用できないことを心底信頼していた。
より端的で直接的な言い方をすれば、軽蔑していた。ペポにさえ軽蔑されるのだから、よっぽどなのである。
そう言う訳で、団長がペポに対してどれだけ恋焦がれていようと、どれだけ本気だと伝えられようと、嬉しいとはちっとも思わなかった。
死刑執行の日付が来て、断頭台に立たされることを通達された死刑囚のように、ついに来たか、としか思わなかったのだ。一種の諦めの境地だった。
「とりあえず、お話はしてみようと思います」
一応それくらいは出来るだろうと思い、ペポはそう言った。
実際サクラが言いくるめてくれたって、団長は納得はしない。また同じことが数日中に、より悪い状況で発生するだけなのだ。
団長がサクラに相談するという、理性的な判断が出来るうちにペポは話し合いをしようと思ったのである。
「そう、私は近くにいた方が良いかしら?」
「大丈夫です。どうしても嫌だったら叫び声をあげますから、そうなったときは穏便になるようにお願いしてもいいですか?」
「わかったわ」
この期に及んで相手のことを考えているペポを心配しつつも、サクラは頷くのだった。
§§§
その日の夜。
ペポは自室の怪しい物品を片付け、パジャマに着替えてベッドに腰掛け団長を待っていた。
彼女はずっと考えていた。
お話をしようと言ったが、いったい何を話すべきなのかを。
ペポと団長はそれなりに二人でデートのようなことをしている。
単純な買い物ばかりだったし、団長は隙有らばセクハラを仕掛けようとしてきたが。
その団長が機が熟したと判断し、最後の詰めに掛かろうとしているのに何を話そうというのか。
ペポは悩んでいた。いったい何を話せば良いのか。
やがて、考えがまとまらないうちに自室のドアをノックする音が聞こえた。
「はい」
ペポはとりあえず覚悟を決めて、ドアを開けた。
そこには、やはり団長がいた。
彼もまた何を言って良いのかわからないと言った表情のまま、ペポの顔を見た。
その時に起こった光景を、ペポはこのように感じた。
人狼が、月を見て狼男に変身したような、と。
「団長さん、痛いです」
ペポはベッドに押し倒され、両腕は団長にシーツに押し付けられていた。
団長の顔は目の前にあった。
ひどく興奮しているのか、荒い息を吐きながら血走った視線を至近距離から彼女に向けていた。
これから性的に襲われるというのに、ペポの心境は平静そのものだった。
まるで心が分離してしまったかのように、冷静に自分の状況を見つめていた。
団長の荒っぽい手がペポの腕から離れると、すぐさま彼女の着ている衣服に伸びた。
もちろん団長はいちいちボタンをはずすなんて冷静な思考能力が残ってるはずも無く、ぶちぶちとボタンを飛び散らしながらペポの儚い守りを破り捨てた。
たったそれだけで、ペポの白い肌が外気に晒される。
「団長さん、お願いです、落ち着いて」
力の入らない手で、自分に覆いかぶさろうとしている団長を押しのけようとしたが、それは僅かな抵抗に終わった。
「んむぅ」
そして、狂乱の相貌が近づき、ペポの唇を奪った。
ペポは両目を閉じて、口内を蹂躙しようとする舌を受け入れた。
ちゅぱ、ちゅぱ、とお互いの舌がみだらに絡み合う。
「ぷはッ、はあ、はあ、ペポ、ペポ」
「団長さん?」
ペポは顔が離れたのを確認すると、両目を開けた。
そこには、情欲に支配され、熱に浮かされた男の顔があった。
「好きだ、好きだ好きだ好きだ」
自分の腕より一回り太い両腕が、ペポの肩を抱いてきつく抱きしめられる。
息苦しさと、重さを感じながらも、ペポは団長の言葉を受け入れていた。
「もう我慢できない、我慢できないんだッ」
「そう、ですか」
「お前を傷つけたくない、悲しませたくない」
ぎゅう、とよりいっそう団長の力が強まった。
「でも、でもだッ、お前から嫌われたら、失望されたら、きっとすごく気持ちいい」
ペポは飢えたケダモノの言葉を、黙って聴いていた。
「限界まで高まった俺の想いが、俺の恋が、お前を大事にしたいという気持ちを」
彼女は視線だけで団長を見た。
「台無しにしたら、きっととんでもなく気持ちいい気がするんだ」
葛藤が、渦巻いていた。
彼の本心からの恋と、破滅的な欲望のどちらを優先すれば良いのか、と。
ペポを抱きしめる体が、僅かに震えていた。
「俺は、どうすればいい?」
ペポに与えられた選択肢は、実に単純だった。
受け入れるか、拒絶するか。
「団長さん、どうしたんですか?」
ペポは精一杯微笑んで、こう答えた。
「我慢するなんて、らしくないですよ」
そして、彼の耳元でこう囁いた。
「私を、めちゃくちゃにしてください」
基本的に、男女の性交は女性が口数が多くなり、男性の口数が減るという。
もしかしたら、彼はそれには当てはまらないのかな、とペポは破瓜の痛みの中で思った。
仰向けのまま完全に理性がブチ飛んだ団長に組み敷かれ、パジャマのズボンとショーツを半脱ぎにしたまま彼は自身の肉棒をペポにあてがい、事実上の処女を何の情緒も無く貫いた。
慣れない内臓的な痛みにペポは顔をしかめつつも、自分に覆いかぶさるケダモノを見上げた。
おおおぉぉん、おおおおぉぉぉん、と団長はまるで狼か何かの唸り声のように下半身を打ちつけ始めた。
「痛ッ、やッ、団長さ、ちょ、ちょっと、少しだけ、待って」
ペポは痛みのあまりそう訴えるが、ケダモノに人間の言葉など通用しない。
ぐちッ、ぐちッ、と自身を貫く肉棒が血まみれになりながら一心不乱に奥を突き刺そうと前後し、ペポを苛んだ。
「ふぐぅ、うむ、むうぅ」
彼女の訴えが煩わしかったのか、唇をふさがれた。
当然律動は止まることなど無い。
最初のように恋焦がれてのキスではない、ただ気が向いたからしただけの何の意味の無いケダモノの口付けだった。
「(めちゃくちゃにしようとしてる……。
私をめちゃめちゃに壊そうとしてる……)」
痛みと息苦しさに思考が乱されながらも、ペポは確信していた。
これは男女の逢瀬ではなく、性欲を爆発させたケダモノの強姦なのだと。
相手がどうなろうと知ったことではなく、ただ己の性欲の捌け口としてのみペポを求めているのだと。
愛欲にまみれた男は、突き詰めることでマイナスへと数値が振り切ってしまっていた。
もしかしたら何らかの魔法でペポとまったく知らない別の誰かが入れ替わってしまっても、気づかないのではないのかと思うほどに。
「(ああ、もう、何にも考えなくていいや)」
団長に手紙を渡されてからずっと考え続けていたペポは、なんだか面倒になって思考を放棄した。
彼女も考えるのに疲れていたので、ようやく楽になることが出来たのだった。
「みんな、どうやら今日は団長さんが体調を崩してしまったらしくて」
「今、ペポさんが診ているんですが、今日一日はたぶん無理そうで」
翌日、サクラとリンゴは時間になってもやってこない団長に関して、彼の部下たちにそう説明した。
皆なにやら眠そうに目をこすったりしながら、自主訓練などに取り組み始めた。
「ねぇ、昨日なんだか狼の唸り声みたいなの聞こえなかった?
あたしそれで目が覚めちゃってさ」
「リリィウッドの街中に狼なんているわけないでしょ。
きっと犬でも盛ってたのよ、まったく迷惑だわ」
イヌタデちゃんに文句言ってもらいましょう、と彼女らがぼやいているのを背に、サクラとリンゴは宿舎に戻った。
「どう、まだ続きそう?」
そしてペポの部屋の前にやってきた二人は、番をしていたらしいランタナに問うた。
ランタナは彼女にしては珍しく、何も言わずに辟易した様子で肩をすくめるだけだった。
サクラとリンゴが顔を合わせ、意を決したようにペポの部屋のドアノブに手を掛けて、開けた。
「おほおおぉぉぉんんんん!!!」
むわっとした異臭と同時に、狂ったようなペポの声が廊下まで響いた。
「そごッ、そごぉ、ぎもぢぃのおおぉぉ!!」
その異臭の発生源では、男女が、いや、ケダモノの雄雌が交尾に勤しんでいた。
「もっど、もっどおぐぅうう、おぐなのぉぉお!!」
団長の愛した少女は見る影も無く無残な有様だった。
髪は乱れ、その表情は数時間前まで処女とは思えないほど淫らにとろけ、両目は焦点が合っていない。
そして口から漏れるのは、もはや人語かと疑いたくなるほど快楽を求めるいやらしい催促だけだった。
びちゃ、びちゃ、と互いの腰がぶつかり合う度に二匹の体液が周囲に飛び散る。
ベッドの上は何種類もの体液としわでぐちゃぐちゃになり、淫猥にスプリングがぎしぎしと鳴っていた。
そして、極めつけは。
「はぁはぁ、ご主人の臭い、くんくん」
部屋の隅っこで団長のシャツの臭いを嗅ぎながら自慰に耽っているイヌタデだった。
「堕落の坩堝って感じですね……」
「まったくね……」
リンゴですら呆れるような有様だった。
「それで、二人はずっとこのままなの?」
「ペポをかじったり叩いたりしたけど、虚ろに笑うだけだし、だんちょを揺すってみたけどバチンと叩かれた」
サクラの問いに、もはやこの状態の二人に関わるつもりの無いらしいランタナがそう答えた。
「とりあえず、ランタナちゃんはお風呂を沸かしておいてちょうだい。リンゴちゃんは強いお酒を買ってきて。
私はこの場を何とかするわ」
一番嫌そうな現場の対処を買って出たサクラに、二人は文句があるはずも無く全員は行動し始めた。
それから三十分後。
「……」
「…………」
サクラに引き離され、度数の高い酒を顔にぶちまけられ、正気を取り戻した二人は床にタオル一枚でへたり込んでいた。
ベッドの上は既に掃除されて換気されてなお、異臭がこびり付いていた。
「二人とも、気は確かですか?」
サクラの声に、二人は答えない。
ペポは羞恥でタオルで顔を隠していて、団長のほうは精根尽き果てて賢者モードならぬミイラモードだった。
それでも二人はかろうじてこくりと頷いた。
「今日はお二人は休みにしておきましたから、とにかくお風呂に入ってください。
お昼には皆帰ってきますから、それまでにしゃんとしてくださいね」
サクラはそれだけ言って、職場に戻っていった。
「終わったらお湯抜いといてね、私とリンゴちゃんは皆への別の言い訳考えておくから」
そして次はランタナに風呂場に押し込まれる二人。
「なあペポ、こっち来いよ」
「何ですか? またするんですか?」
それなりに広い浴場の正反対の場所に陣取っている二人。
ペポに関しては団長に背を向けていた。
「いや、もう一滴も出んってば。
実を言うと昨日のことほとんど覚えて無くてな。出来ればペポの体の柔らかさだけでも実感したいって言うか」
「もう、好きにすればいいじゃないですか」
「おう、好きにする」
団長は恨めしげに彼を見るペポに近づくと、優しく抱き寄せた。
「ほうほう」
後ろから抱きしめる形になったペポの幼さの残る肢体を堪能する団長。
控えめな胸の膨らみは未だ頂点にしこりが残っていて触れると、んッとペポが小さく息が漏らした。
きめ細かい腹部の肌を撫で回すと、団長は鼠蹊部を指でなぞった。
拗ねた表情のままのペポはそれにびくりと反応する。
そして、団長の指はいよいよ昨夜さんざん突きこんだ狭い膣内に入り込む。
「お、これは昨日俺が出した奴か?」
「もうやめてください!!」
さすがにそれ以上は看過できないのか、ペポは大きく身じろぎして団長の指を振り払った。
「団長さんのバカ!! 本当にあんなにめちゃくちゃにするなんて!!」
「いやぁ、本当に悪かった。ヤバイと思ったけど性欲が抑えきれなかった」
「どこの性犯罪者ですか!!」
「良いって言ったのはペポじゃないか!!」
「あの状況で逃げられると思うんですか!?」
「じゃあ何でオーケーしたんだよ」
団長は声のトーンを落として、少し拗ねたように問うた。
「わかりません、覚えてないです!!」
「なんだよ、それ!!」
「知りません!!」
ぷいっ、とペポはそっぽを向いた。
団長はもちろん納得できなかったが、とりあえず追求はしなかった。
あんまり覚えていないが、ペポの体を十分堪能したので今は満足してたのである。
「あ、ご主人!! ご主人たちも入ってたんだ」
そこに、いつの間にか昨日二人の情事の脇にいたイヌタデが浴場に入ってきた。
風呂に入るからか、長い髪の毛を下ろしていたので普段とは別人のようである。
「おう、つうか何でお前あそこに居たんだ?」
「え、だってご主人の声が聞こえたから」
それを聞いたペポは己の痴態を思い出し、顔を湯船に沈めた。
「普通入ってくるか、お前」
「だって、昔教えた犬たちの言葉で、好き好き言ってたんだもん!!
ボクを呼んでるって思っちゃうじゃない!!」
それを聞いた団長も湯船に顔を沈めた。
「いくら声を掛けても気づいてくれないしさ!!
せっかく混ぜてもらおうと思ったのに」
ぷんぷんとご機嫌斜めなイヌタデが昨日の二人の様子を愚痴り始めるので、二人の顔はしばらく浮いてこなかった。
この話は時期的に去年の十一月から十二月ぐらいのお話。
次回はランタナも交えてペポをもう一回じっくりとやる予定。
ほかに何かやる予定ありましたっけ?
ローちゃんを酷い目遭わせるのは確定ですが!!
向こうの感想は時間が有るときに返しますので悪しからず。